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特開2022-167336デジタルオーディオ処理ユニットにおけるハイレゾリューションオーディオのためのシステム及び方法
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  • 特開-デジタルオーディオ処理ユニットにおけるハイレゾリューションオーディオのためのシステム及び方法 図1
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  • 特開-デジタルオーディオ処理ユニットにおけるハイレゾリューションオーディオのためのシステム及び方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167336
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】デジタルオーディオ処理ユニットにおけるハイレゾリューションオーディオのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04S 3/00 20060101AFI20221027BHJP
   H04R 3/04 20060101ALI20221027BHJP
   H03H 17/02 20060101ALI20221027BHJP
   H03G 9/00 20060101ALI20221027BHJP
   H03G 5/16 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H04S3/00 200
H04R3/04
H03H17/02 601J
H03G9/00 005
H03G5/16 165
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021073073
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アナンド サティヤムルティ
(72)【発明者】
【氏名】スニール シュクラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ペイル
(72)【発明者】
【氏名】ダービー ハドリー
【テーマコード(参考)】
5D162
5D220
5J030
【Fターム(参考)】
5D162AA13
5D162BA07
5D162CA01
5D162CA11
5D162CA13
5D162CA21
5D162CB12
5D162EG02
5D220AB03
5J030AA01
5J030AA10
5J030AA11
5J030AC10
5J030AC16
5J030AC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハイレゾリューションオーディオを効率的に処理するデジタルオーディオ処理システム及び方法を提供する。
【解決手段】デジタルオーディオ処理システム200は、ハイレゾリューションオーディオ入力信号202を上側波帯信号及び下側波帯信号に分配し、高度なオーディオ処理機能208を下側波帯信号に適用し、上側波帯信号を下側波帯信号と並列して同時に処理し、上側波帯信号にハイパスフィルタ210を適用すること、下側波帯信号のオーディオレベルにマッチングするように上側波帯信号にボリューム制御212を追加すること、下側波帯信号のタイミングにマッチングするように上側波帯信号に遅延補償214を追加すること、下側波帯信号の位相にマッチングするように上側波帯信号に位相補償216を追加すること及び処理した上側波帯信号及び処理した下側波帯信号を混合220してハイレゾリューションオーディオ出力を生成する処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルオーディオ処理ユニットでハイレゾリューションオーディオを処理する方法であって、
ハイレゾリューションオーディオ入力信号を上側波帯信号及び下側波帯信号に分配することと、
高度なオーディオ処理機能を前記下側波帯信号に適用することと、
前記上側波帯信号を前記下側波帯信号と並列して同時に処理することであって、前記上側波帯信号を同時に処理することは、
ハイパスフィルタを前記上側波帯信号に適用するステップと、
前記下側波帯信号のオーディオレベルにマッチングさせるようにボリューム制御を前記上側波帯信号に追加するステップと、
前記下側波帯信号のタイミングにマッチングさせるように遅延補償を前記上側波帯信号に追加するステップと、
前記下側波帯信号の位相をマッチングさせるように位相補償を前記上側波帯信号に追加するステップと、
をさらに含む、前記処理することと、
前記処理された上側波帯信号、及び前記処理された下側波帯信号を混合して、ハイレゾリューションオーディオ出力を生成することと、
というステップを実行するためのコンピュータ実行可能命令を有するプロセッサで実行される、前記方法。
【請求項2】
1つ以上のスピーカーで前記ハイレゾリューションオーディオ出力信号を再生するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハイパスフィルタを前記上側波帯信号に適用する前記ステップは、24kHzでカットオフ周波数を有するフィルタをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の高度なオーディオ処理機能を有するオーディオシステム内の1つ以上のラウドスピーカーで再生されるハイレゾリューションオーディオ信号を生成するデジタルオーディオ処理ユニットであって、
前記システムは、
プロセッサと、
前記ハイレゾリューションオーディオ信号を上側波帯信号及び下側波帯信号に分配するスプリッタと、
前記上側波帯信号に適用されるハイパスフィルタと、
ミキサーと、
を含み、
前記プロセッサはボリューム制御、遅延補償、及び位相補償を含む前記複数の高度なオーディオ処理機能のために前記下側波帯信号を処理し、
前記上側波帯信号を前記下側波帯信号と並列して同時に処理し、前記上側波帯信号は前記下側波帯信号の前記ボリューム制御、前記遅延補償、及び前記位相補償にマッチングするボリューム制御、遅延補償、及び位相補償を追加するためにのみ処理され、
前記ミキサーは前記処理後に前記上側波帯信号及び前記下側波帯信号を混合して、1つ以上のラウドスピーカーに再生される前記ハイレゾリューションオーディオ信号を生成する、前記デジタルオーディオ処理ユニット。
【請求項5】
前記下側波帯信号は、前記処理前に48kHzの信号にダウンサンプリングされ、それが前記上側波帯信号と混合される前の前記処理後に96kHzにアップサンプリングされる、請求項4に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタルオーディオ処理ユニットにおいてハイレゾリューションオーディオの効率的な処理のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽愛好家は、通常、圧縮されたオーディオファイルまたはコンパクトディスク(CD)オーディオなどのデジタル形式で配信される音楽を受信するが、デジタル形式で配信される音楽は、そのアナログ形式またはライブパフォーマンスと比較される場合、音楽の品質を損なう場合がある。デジタルオーディオ形式は、アナログ音楽ファイルまたはライブパフォーマンスをデジタル形式に変換するときに使用されるサンプリングレート変換(SRC)に基づく。オーディオファンは、純粋なオーディオを好む音楽愛好家であり、通常、圧縮されたオーディオファイルまたはCDオーディオの品質に満足していない。ハイレゾリューションオーディオは、優れた音質のものであると考えられており、その最も純粋な形式でオーディオを聞くことを期待するオーディオファンに好まれている。ただし、ハイレゾリューションオーディオは、圧縮及びコンパクトディスクのオーディオ形式についての一般的なSRCをはるかに上回って動作するサンプリング周波数を必要とする。ハイレゾリューションオーディオについてのSRCが高いほど、圧縮及びCDのオーディオファイルに必要なストレージ及び処理能力と比較して、これらよりも、オーディオファイルの格納、再生、及びストリーミングに対して著しく多くのメモリ及び処理能力を必要とする。
【0003】
現在、ハイレゾリューションオーディオコンテンツの供給は限られている。しかし、これは、消費財業界のオーディオファンからだけでなく、数例を挙げると、自動車、軍事、及びセキュリティプロバイダなどの他の業界からも、高品質オーディオに対する需要の高まりにより変化している。この需要の結果として、ハイレゾリューションオーディオはますます利用可能になっている。ただし、利用可能な場合でも、上記のファイルサイズだけでなく、高度なオーディオ処理機能に対して既存のオーディオアルゴリズムがより高いSRCをサポートしないため、その実施態様は妨げられている。既存のDSPアンプの場合、48kHzを超えるオーディオ信号はダウンサンプリングされ、そのサンプリングレートを下げることでデジタルオーディオ信号をより小さくする。残念ながら、これは、オーディオ信号からハイレゾリューションコンテンツを除去する効果を有する。これを克服し、純粋なオーディオに対するオーディオファンの要望に応えるために、考えられる解決策は、ハイレゾリューションオーディオ信号に対応するために、より多くのメモリ及び処理能力を実装することである。ただし、少なくとも2倍の処理速度(MIPS)が必要とされるため、既存のシステムにかなりのコスト及び複雑さが加わる。
【0004】
効率的かつ費用効果の高いデジタルオーディオ処理ユニットでハイレゾリューションオーディオを処理するためのシステム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
方法及びシステムは、デジタルオーディオ処理ユニットでハイレゾリューションオーディオを処理するためのものである。1つ以上の実施形態では、方法及びシステムは、ハイレゾリューションオーディオ入力信号を上側波帯信号及び下側波帯信号に分配することと、高度なオーディオ処理機能を下側波帯信号に適用することと、上側波帯信号を下側波帯信号と並列して同時に処理することとを含む。上側波帯信号を同時に処理することは、上側波帯信号にハイパスフィルタを適用することと、下側波帯信号のオーディオレベルにマッチングするように上側波帯信号にボリューム制御を追加することと、下側波帯信号のタイミングにマッチングするように上側波帯信号に遅延補償を追加することと、下側波帯信号の位相にマッチングするように上側波帯信号に位相補償を追加することと、処理された上側波帯信号、及び処理された下側波帯信号を混合してハイレゾリューションオーディオ出力を生成することとをさらに含む。
【0006】
1つ以上の実施形態では、方法及びシステムは、1つ以上のスピーカーでハイレゾリューションオーディオ出力信号を再生することを含む。1つ以上の実施形態では、方法及びシステムは、ハイパスフィルタを上側波帯信号に適用することを含む。ハイパスフィルタは、24kHzでカットオフ周波数を有する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
デジタルオーディオ処理ユニットでハイレゾリューションオーディオを処理する方法であって、
ハイレゾリューションオーディオ入力信号を上側波帯信号及び下側波帯信号に分配することと、
高度なオーディオ処理機能を前記下側波帯信号に適用することと、
前記上側波帯信号を前記下側波帯信号と並列して同時に処理することであって、前記上側波帯信号を同時に処理することは、
ハイパスフィルタを前記上側波帯信号に適用するステップと、
前記下側波帯信号のオーディオレベルにマッチングさせるようにボリューム制御を前記上側波帯信号に追加するステップと、
前記下側波帯信号のタイミングにマッチングさせるように遅延補償を前記上側波帯信号に追加するステップと、
前記下側波帯信号の位相をマッチングさせるように位相補償を前記上側波帯信号に追加するステップと、
をさらに含む、前記処理することと、
前記処理された上側波帯信号、及び前記処理された下側波帯信号を混合して、ハイレゾリューションオーディオ出力を生成することと、
というステップを実行するためのコンピュータ実行可能命令を有するプロセッサで実行される、前記方法。
(項目2)
1つ以上のスピーカーで前記ハイレゾリューションオーディオ出力信号を再生するステップをさらに含む、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記ハイパスフィルタを前記上側波帯信号に適用する前記ステップは、24kHzでカットオフ周波数を有するフィルタをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
複数の高度なオーディオ処理機能を有するオーディオシステム内の1つ以上のラウドスピーカーで再生されるハイレゾリューションオーディオ信号を生成するデジタルオーディオ処理ユニットであって、
前記システムは、
プロセッサと、
前記ハイレゾリューションオーディオ信号を上側波帯信号及び下側波帯信号に分配するスプリッタと、
前記上側波帯信号に適用されるハイパスフィルタと、
ミキサーと、
を含み、
前記プロセッサはボリューム制御、遅延補償、及び位相補償を含む前記複数の高度なオーディオ処理機能のために前記下側波帯信号を処理し、
前記上側波帯信号を前記下側波帯信号と並列して同時に処理し、前記上側波帯信号は前記下側波帯信号の前記ボリューム制御、前記遅延補償、及び前記位相補償にマッチングするボリューム制御、遅延補償、及び位相補償を追加するためにのみ処理され、
前記ミキサーは前記処理後に前記上側波帯信号及び前記下側波帯信号を混合して、1つ以上のラウドスピーカーに再生される前記ハイレゾリューションオーディオ信号を生成する、前記デジタルオーディオ処理ユニット。
(項目5)
前記下側波帯信号は、前記処理前に48kHzの信号にダウンサンプリングされ、それが前記上側波帯信号と混合される前の前記処理後に96kHzにアップサンプリングされる、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(摘要)
システム及び方法は、ハイレゾリューションオーディオ入力信号を上側波帯信号及び下側波帯信号に分配し、高度なオーディオ処理機能を下側波帯信号に適用し、上側波帯信号を下側波帯信号と並列して同時に処理するためのものである。上側波帯信号を同時に処理することは、上側波帯信号にハイパスフィルタを適用することと、下側波帯信号のオーディオレベルにマッチングするように上側波帯信号にボリューム制御を追加することと、下側波帯信号のタイミングにマッチングするように上側波帯信号に遅延補償を追加することと、下側波帯信号の位相にマッチングするように上側波帯信号に位相補償を追加することと、処理された上側波帯信号、及び処理された下側波帯信号を混合してハイレゾリューションオーディオ出力を生成することとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】高度なオーディオ処理能力を有する既知のデジタルオーディオ処理システムのブロック図である。
図2】高度なオーディオ機能及びハイレゾリューションオーディオを同時に処理する能力を有するデジタルオーディオ処理システムのブロック図である。
図3】高度なオーディオ機能を損なうことなくハイレゾリューションオーディオを処理するシステムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図中の要素及びステップは、簡素さ及び明瞭さのために示されており、必ずしもいずれかの順序に従って表されていない。例えば、本開示の実施形態の理解を改善するのを助けるために、同時に、または異なる順序で実行され得るステップが図中に示されている。
【0009】
本開示のさまざまな態様が図1~3を参照して説明されているが、本開示は、そのような実施形態に限定されず、追加の修正、適用、及び実施形態は、本開示から逸脱することなく実装されてもよい。図中では、同様の参照番号は、同一の構成要素を示すために使用される。当業者は、本明細書に記載されるさまざまな構成要素及び方法ステップが、本開示の範囲から逸れることなく、変更されてもよいことを認識するであろう。
【0010】
図1は、最大48kHzのオーディオ処理をサポートする既知のデジタルオーディオ処理システム100と、それがハイレゾリューションオーディオの処理を取り扱う方法とのブロック図である。デジタルオーディオ処理システム100は、オーディオミキシング機能を提供する1つ以上のデジタル信号処理(DSP)ユニットを含むことで、さまざまな入力信号及び出力信号を混合し、特定の出力に送信し得る。これらの出力は、追加の信号プロセッサ、アンプ、及びラウドスピーカーを含み得るが、これらに限定されない。DSPユニットは、オーディオ処理システムを利用するサラウンドシステムについての効果、物理モデリング、及び低音管理を変更するように機能する。DSPユニットは、ゲイン(複数可)及びフィルタ(複数可)を使用してオーディオイコライゼーション(EQ)を制御し、イコライゼーションを提供する。高度なオーディオ処理機能もまた、DSPユニットによって成し遂げられる。例えば、サラウンド処理は、動作パラメータを使用して、選択したオーディオモードについてのオーディオ出力をもたらす。1つ以上のDSPユニットからのオーディオ出力ストリームをラウドスピーカーで再現し、3次元サウンドを生成する。DSPユニットは、複数のパラメータを使用して、サウンド信号を処理し、音楽ソースからオーディオストリームを抽出するアルゴリズムを適用する。ハードウェア、ソフトウェア、またはその両方を使用して、DSPユニットは、リスニング環境に応じて適切なスピーカー位置にオーディオストリームを送信する。DSPユニットは、ステレオ出力、モノラル出力、及びバーチャルベニュー出力も生成し得る。別の実施例では、DSPユニットは、スペクトル品質及び空間品質をオーディオ信号に埋め込み得る。
【0011】
図1に示される実施例では、メインオーディオ入力102は、104では2つのチャネルに分配され、高度なオーディオ処理機能についての48kHzでのSRCのために、106では96kHzから48kHzにダウンサンプリングされる。次に、処理されたオーディオは、xチャネルに多重化され、114ではアップサンプリングされて48kHzから96kHzに戻され、118では、それぞれのスピーカーに出力される(図示せず)。サラウンドサウンド及びバーチャルベニューなどのオーディオ処理システムでの高度な機能に加えて、ハイレゾリューションオーディオも含むことが望ましい。ただし、上記に考察されるように、48kHzでのSRCは、オーディオ入力がダウンサンプリングされるときにオーディオ信号のハイレゾリューション部分を効果的に除去する、または著しく多いメモリ及び処理能力を必要とする。どちらも、ハイレゾリューションオーディオを処理するために既知のシステム及び方法を使用した望ましくない結果である。
【0012】
図2は、高度なオーディオ機能及びハイレゾリューションオーディオ信号の両方をサポートするデジタルオーディオ処理システム200のブロック図である。メインオーディオ入力202は、96kHzのハイレゾリューションオーディオを含む。この場合も、メインオーディオ入力202を2つのチャネル204に分配する。第一チャネルでは、信号をダウンサンプリングし、最大48kHzのSRCを適用する。第二チャネルでは、信号は、ハイレゾリューションオーディオを含む、24kHzを超える信号のみを通すハイパスフィルタ210を通過する。
【0013】
第一チャネルについて、最大48kHzの信号のみが、図1に記載されるように、高度なオーディオ処理機能を含む、すべてのオーディオ処理ブロックに対して処理される。これにより、イコライゼーション、トーン制御、サラウンドサウンド、バーチャルベニューなどの高度なオーディオ機能に従って、オーディオ信号を処理することができる。
【0014】
第二チャネルについて、24kHzを超える信号が第一チャネルと同時に、かつ並列して処理される。この信号は、ハイパスフィルタ210を通過し、基本的なオーディオ処理を受ける。信号は、212ではボリューム/ミュートユーザ制御を受け、ハイレゾリューションオーディオについてのオーディオレベルが第一チャネル上で処理される48kHzのオーディオ信号とマッチングすることを確保する。ハイレゾリューションオーディオのタイミングを、第一チャネル上で処理される48kHzのオーディオ信号とマッチングさせるように、第二チャネルについて遅延補償214を導入する。ハイレゾリューションオーディオの位相を、第一チャネル上で処理される48kHzのオーディオ信号とマッチングさせるように、第二チャネルについて位相補償216を導入する。
【0015】
第一チャネルでのオーディオは、48kHzから96kHzにアップサンプリングされる。220では、第一チャネルからのオーディオを、第二チャネルからのハイレゾリューションオーディオ信号と混合する。222では、完成したオーディオ信号を、オーディオシステム内の関連するスピーカー(図示せず)に出力する。
【0016】
図2に示される1つ以上の実施形態では、2つの周波数帯に対応するために、ハイレゾリューションオーディオを2つのチャネルに分配する。第一帯域または下側波帯は0~24kHであり、第二帯域または上側波帯は、>24kHzの周波数についてのものである。下側波帯信号は、サラウンドサウンドなどの高度なオーディオ信号処理のために48kHzまでダウンサンプリングされる。同時に、上側波帯信号は、ボリューム、遅延、位相の補正のための基本的な信号処理を受け、出力では48kHzのアップサンプリングされた信号と混合される。適切なチューニングが適用され得て、下側波帯信号と上側波帯信号との間のいかなる位相及びボリュームレベルの差異もオーディオ出力222では緩和されることを確保する。
【0017】
高度なオーディオ処理機能を有する、下側波帯信号の複雑な処理を実行することで、リスナーエクスペリエンスが提供される。これは、上側波帯信号についての基本的な処理のみが下側波帯信号と並列して同時に実行され、高度なオーディオ処理機能を犠牲にすることなくMIPSの処理を低く抑えることを確保するため、ハイレゾリューションがはるかに高いオーディオでも成し遂げられる。出力ステージでは、上側波帯及び下側波帯を混合することで、完成したオーディオ信号に対する高度なオーディオ処理機能を損なうことなく、完全なハイレゾリューション帯域幅が出力オーディオについて損なわれないままであることが確保される。
【0018】
図3は、デジタルオーディオ処理ユニットにおいてハイレゾリューションオーディオを処理するための1つ以上の方法300の流れ図である。ステップ302では、ハイレゾリューションオーディオを含むメインオーディオ入力信号を、デジタルオーディオ処理ユニットが受信する。304では、メインオーディオ入力を2つのチャネルに分配する。第一チャネルは下側波帯を処理するために使用され、第二チャネルは上側波帯を処理するために使用される。上側波帯は、オーディオ入力信号のハイレゾリューション成分を含む。306では、下側波帯信号は、最大24kHzの信号コンテンツを含む、最大48kHzのSRCでサンプリングされる。
【0019】
ステップ308では、下側波帯信号は、サラウンドサウンド、トーン制御、バーチャルベニューなどを含むが、これらに限定されない機能について高度なオーディオ信号処理を受ける。ステップ310では、上側波帯信号は、下側波帯信号のボリューム、遅延及び位相の補正にマッチングするように基本的なオーディオ信号処理を同時に受ける。これにより、信号を混合するときに、上側波帯信号及び下側波帯信号がマッチングすることが確保される。ステップ312では、下側波帯信号を48kHzから96kHzにアップサンプリングする。ステップ314では、上側波帯信号及び下側波帯信号を混合する。そしてステップ316では、オーディオ信号をそれぞれのスピーカー(図示せず)に出力する。
【0020】
前述の明細書では、本開示は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されている。本明細書及び図面は、限定的ではなく例示であり、修正形態が本開示の範囲内に含まれることが意図される。したがって、本開示の範囲を、単に記載された実施例によってではなく、請求項及びそれらの法的均等物によって決定されるべきである。
【0021】
例えば、請求項のいずれかの方法またはプロセスに記載されるステップは、いかなる順序で実行されてもよく、請求項に提示される特定の順序に限定されない。加えて、いずれかの装置の請求項に記載される構成要素及び/または要素は、組み立てられてもよく、またはその他の方法により、様々な置換において動作可能に構成されてもよく、したがって、特許請求の範囲に記載される特定の構成に限定されない。説明されているいずれかの方法またはプロセスは、ほんの数例を挙げると、プロセッサまたはコントローラ、メモリ(非一時的なものを含む)、センサ、ネットワークインタフェース、アンテナ、スイッチ、アクチュエータなどの1つ以上のデバイスを用いて、命令を実行することによって行われ得る。
【0022】
実施形態に関する利点、有利な点、及び問題への解決策が上記に説明されてきたが、いずれかの利点、有利な点、問題への解決策、またはいずれかの特定の利点、有利な点、もしくは解決策を生じさせる、もしくはより明白にさせ得るいずれかの要素は、いずれかの、または全ての請求項の重要な、必要とされる、または必須の特徴または構成要素として解釈されることにはならない。
【0023】
用語「を備える(comprise)」、「を備える(comprises)」、「を備える(comprising)」、「を有する(having)」、「を含む(including)」、「を含む(includes)」、またはそれらのいずれかの変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、構成物、または装置が、列挙されるそれらの要素を含むだけでなく、明示的に列挙されていない、他の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品、構成物、もしくは装置に特有な他の要素を含んでもよいように、非排他的包含に言及することが意図される。特に記載されていないものに加え、本開示の実施において使用される上述された構造、配置、用途、比率、要素、材料、または構成要素の他の組み合わせ及び/または修正は、その一般的な原理から逸脱することなく、変えられてもよい、またはその他の方法で、特定の環境、製造仕様、設計パラメータ、もしくは他の動作要件に特に適合されてもよい。

図1
図2
図3
【外国語明細書】