(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167352
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】水平循環式駐車装置とその制御方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
E04H6/18 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073103
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(57)【要約】
【課題】車両を格納できない低天井領域を有効利用して、全体の円滑性を向上させることができる水平循環式駐車装置とその制御方法を提供する。
【解決手段】車両格納フロア6Aが、実車パレット2Aを格納可能な車両格納領域7Aと、空パレット2Bのみを格納可能な低天井領域7Bとを有する。水平循環式駐車装置100は、パレット2を載せて二方向に移動させる複数の駆動セル4と、車両格納領域7Aに位置する駆動セル4より少ない数のパレット2と、駆動セル4を制御する制御装置20と、を備える。複数の駆動セル4は、車両格納領域7A及び低天井領域7Bの両方に互いに隣接して設置されている。制御装置20は、車両1の入出庫の際に、空パレット2Bを車両格納領域7Aと低天井領域7Bの両方において移動させる。また空パレット2Bを低天井領域7Bの空セル4bに移動して、車両格納領域7Aの空セル4bを増加させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両格納フロアにおいて、車両を載せたパレットを水平面内で直交する二方向に移動させて前記車両の入出庫を行う水平循環式駐車装置において、
前記車両格納フロアは、前記車両を載せた前記パレットである実車パレットを格納可能な車両格納領域と、前記車両を載せない前記パレットである空パレットのみを格納可能な低天井領域と、を有し、
前記水平循環式駐車装置は、前記パレットを載せて前記二方向に移動させる複数の駆動セルと、
前記車両格納領域に位置する前記駆動セルより少ない数の前記パレットと、
前記駆動セルを制御する制御装置と、を備え、
複数の前記駆動セルは、前記車両格納領域及び前記低天井領域の両方に互いに隣接して設置され、
前記制御装置は、前記車両の入出庫の際に、前記空パレットを前記車両格納領域と前記低天井領域の両方において移動させる、水平循環式駐車装置。
【請求項2】
前記車両格納領域と前記低天井領域の境界部分に設けられ、前記車両格納領域から前記低天井領域に移動する前記実車パレットを検出する実車パレット検知装置を備える、請求項1に記載の水平循環式駐車装置。
【請求項3】
前記実車パレット検知装置により前記実車パレットを検出するとすべての前記駆動セルの作動を非常停止する、請求項2に記載の水平循環式駐車装置。
【請求項4】
前記車両格納フロアは、さらに、前記二方向のうち一方向のみで前記車両格納領域又は前記低天井領域に隣接し、前記空パレットのみを格納可能な一方向領域を有し、
前記水平循環式駐車装置は、さらに、前記一方向領域に設置され前記空パレットを載せて前記一方向のみに移動させる一方向駆動セルを有する、請求項1に記載の水平循環式駐車装置。
【請求項5】
請求項1に記載の水平循環式駐車装置の制御方法であって、
前記車両の入出庫の際に、前記空パレットを前記車両格納領域と前記低天井領域の両方において移動させる、水平循環式駐車装置の制御方法。
【請求項6】
前記空パレットを前記低天井領域の前記パレットが載っていない前記駆動セルである空セルに移動して、前記車両格納領域の前記空セルを増加させる、請求項5に記載の水平循環式駐車装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を格納できない低天井領域を有効利用する水平循環式駐車装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「水平循環式駐車装置」とは、車両(例えば乗用車)を載せたパレットを、水平面内で移動させて車両の入出庫(入庫と出庫)を行う機械式駐車設備である。かかる装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
また、天井に高低差があり、天井が高い空間にハイルーフ車を駐車させ、天井が低い空間に普通車を駐車させて、駐車空間を有効活用する手段が、例えば特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-241811号公報
【特許文献2】特許第4559136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水平循環式駐車装置では、車両を載せたパレットを、その幅方向に移動する「横送り」と、その長さ方向に移動する「縦送り」との両方が可能な駆動セルが用いられる。
この駆動セルは、平面視でパレットの大きさに相当するフレームと、このフレーム上に設置されたパレット駆動装置とを備える。
【0006】
水平循環式駐車場において、車両格納フロアの一部に天井が低く車両を格納できない領域(以下、「低天井領域」、例えば、エレベータピット、水平梁、排気ダクト、等の下部)が存在する場合がある。
かかる低天井領域よりも天井が高く、車高の低い低車高車(例えば普通車)を格納できる場合には、特許文献2により駐車空間を有効に活用することができる。
しかし、特許文献2の手段は、車両を格納できない低天井領域への適用は不可能なため、従来、低天井領域は、使用不可能な領域であった。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、天井が低く車両を格納できない低天井領域を有効利用して、全体の円滑性を向上させることができる水平循環式駐車装置とその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、車両格納フロアにおいて、車両を載せたパレットを水平面内で直交する二方向に移動させて前記車両の入出庫を行う水平循環式駐車装置において、
前記車両格納フロアは、前記車両を載せた前記パレットである実車パレットを格納可能な車両格納領域と、前記車両を載せない前記パレットである空パレットのみを格納可能な低天井領域と、を有し、
前記水平循環式駐車装置は、前記パレットを載せて前記二方向に移動させる複数の駆動セルと、
前記車両格納領域に位置する前記駆動セルより少ない数の前記パレットと、
前記駆動セルを制御する制御装置と、を備え、
複数の前記駆動セルは、前記車両格納領域及び前記低天井領域の両方に互いに隣接して設置され、
前記制御装置は、前記車両の入出庫の際に、前記空パレットを前記車両格納領域と前記低天井領域の両方において移動させる、水平循環式駐車装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、上記の水平循環式駐車装置の制御方法であって、
前記車両の入出庫の際に、前記空パレットを前記車両格納領域と前記低天井領域の両方において移動させる、水平循環式駐車装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両格納フロアが車両格納領域に位置する駆動セルより少ない数のパレットを有するので、車両を載せた実車パレットを車両格納領域において二方向に移動させて車両の入出庫を実施することができる。
【0011】
また、車両格納フロアがさらに低天井領域を有し、車両格納領域と低天井領域の両方に複数の駆動セルが互いに隣接して設置されているので、車両を載せない空パレットを車両格納領域と低天井領域の両方において移動させることができる。
【0012】
従って、車両の入出庫の際に、空パレットを車両格納領域と低天井領域の両方において移動させることで、空パレットの移動経路の自由度を高めることができ、入出庫時間を短縮し、全体の円滑性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の水平循環式駐車装置の一例を示す側面図(A)と平面図(B)である。
【
図2】水平循環式駐車装置(駐車装置)の動作説明図である。
【
図3】本発明による水平循環式駐車装置の一例を示す図である。
【
図4】本発明による水平循環式駐車装置の制御方法の全体フロー図である。
【
図5】「低天井使用経路A」の具体例を示す図である。
【
図6】「低天井不使用経路B」の具体例の前半を示す図である。
【
図7】「低天井不使用経路B」の具体例の後半を示す図である。
【
図8】本発明による水平循環式駐車装置の第2例を示す平面図である。
【
図9】本発明による水平循環式駐車装置の第3例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0015】
図1は、水平循環式駐車装置の一例を示す側面図(A)と平面図(B)である。
水平循環式駐車装置(以下、単に「駐車装置」と呼ぶ)は、車両1を載せたパレット2を水平面内で移動させて車両1の入出庫(入庫と出庫)を行う機械式駐車設備である。
車両1は、例えば乗用車である。車両1は、小型車、中型車、大型車、ハイルーフ車、などである。
【0016】
図1(A)(B)において、駐車装置は、地下式であり、地下に上下2段の格納領域を有する。また、地上の入出庫部と、地下の上段及び下段との間で鉛直に昇降し、その間でパレット2を昇降するリフト3が設けられている。
上下2段の各段(各格納領域)には、この例では、リフト3がパレット2を昇降する位置以外の範囲に、それぞれ11台分の車両格納スペースを有する。
【0017】
この図において、各車両格納スペースには、車両1を載せたパレット2をその幅方向と長さ方向に移動する駆動セル4が設けられている。またこの例では、リフト3にも、駆動セル4が設けられている。
【0018】
駆動セル4は、車両1を載せたパレット2を、その幅方向に移動する「横送り」と、その長さ方向に移動する「縦送り」との二方向の移動が可能に構成されている。また、駆動セル4は「横送り」と「縦送り」の間で「搬送向きを変更する機構」を有する。
【0019】
図1において、上下2段の各段には、この例において、それぞれ11台分の車両格納スペースにそれぞれ1台ずつの駆動セル4が設けられている。各駆動セル4は、平面視でパレット2の大きさに相当するフレーム(図示せず)を有する。
上下2段の各段において、複数のフレームは互いに一定の間隔を隔てて配置され、それぞれその4隅で水平に支持されている。また、各段において、少なくとも1つの駆動セル4上にはパレット2が載らず、その他の駆動セル4上にはパレット2が載っている。パレット2が載っていない駆動セル4を以下「空セル4b」と呼ぶ。
【0020】
上述した駐車装置の構成により、各段において少なくとも1つの駆動セル4が空セル4bであるので、空セル4bに隣接する駆動セル4上のパレット2を空セル上に水平移動(横送り又は縦送り)することができる。この水平移動により空セル4bの位置が隣接する位置に移動する。
従ってこれを繰り返すことにより、各段のパレット2を自由に水平移動(横送り又は縦送り)することができる。
【0021】
図2は、上述した水平循環式駐車装置(駐車装置)の動作説明図である。
この図において、5は、リフト位置を示している。なおこの図において、駆動セル4の配列は、
図1とは相違する。
【0022】
図2は、符号aで示す車両1(以下、車両aと呼ぶ)を(A)(B)(C)(D)の順で、リフト位置5まで水平移動し、リフト3により地上の入出庫部まで搬送する動作を示している。
この図に示すように、この駐車装置におけるパレット2の水平移動は、コンピュータ制御により最短の入出庫ルートを決定し、パズルのように次から次へと車両1を効率よく水平移動させ、最短の入出庫の待ち時間を実現するようになっている。
【0023】
図3は、本発明による水平循環式駐車装置100の一例を示す図である。この図において、(A)は平面図、(B)はB-B線における矢視図である。
この図において、本発明による水平循環式駐車装置100は、車両格納フロア6A,6Bにおいて、車両1を載せたパレット2を水平面内で直交する二方向に移動させて車両1の入出庫を行う装置である。
【0024】
この例で、車両格納フロア6A,6Bは、地下に設けられた上下2段の車両1の格納領域である。このうち、上段の車両格納フロア6Aは、車両1を載せたパレット2(以下、「実車パレット2A」)を格納可能な車両格納領域7Aと、車両1を載せないパレット2(以下、「空パレット2B」)のみを格納可能な低天井領域7Bと、を有する。
なお、車両格納フロア6A,6Bは、地下に限定されず、地上に設けてもよい。
低天井領域7Bは、車両格納フロア6Aの一部に位置し、天井が低く車両1を格納できない領域である。なお、低天井領域7Bは、駆動セル4と空パレット2Bを格納可能な天井高さを有する。低天井領域7Bは、例えば、エレベータピット、水平梁、排気ダクト、等の下部である。
また、この例で、8は、車両格納フロア6Aの一部に位置する柱である。
【0025】
図3において、水平循環式駐車装置100は、複数の駆動セル4、複数のパレット2、及び制御装置20を備える。
【0026】
複数(この例で23台)の駆動セル4は、車両格納領域7A及び低天井領域7Bの両方に互いに隣接して設置されている。またそれぞれの駆動セル4は、パレット2を載せて二方向に移動可能に構成されている。
「二方向」は、上述した「横送り」の方向と「縦送り」の方向である。また、この図では、23台の駆動セル4の表示を省略している。
なお、車両格納フロア6Aの外縁部に位置する駆動セル4は、その外側に向かう「横送り」及び「縦送り」は不要なため省略してもよい。
【0027】
また車両格納領域7Aに位置する駆動セル4より少ない数(この例で22台)のパレット2が、車両格納領域7Aに設けられている。
なお
図3(A)では、車両格納領域7Aに格納する1つのパレット2が、リフト3に設けられた駆動セル4に載っている状態を示している。
リフト3に設けられた駆動セル4は、この例では外縁部の外側(図で上側)を除く3方向の駆動セル4との間でパレット2を移動可能に構成されている。
【0028】
図3(A)において、22台のパレット2を長方形で示し、そのうち20台の実車パレット2Aを灰色の長方形で、2台の空パレット2Bを白色の長方形で示している。また、各パレット上の小さい数字(1~22)は、パレット番号nである。
【0029】
上述した
図3の水平循環式駐車装置100は、リフト3に載っている実車パレット2A(n=22)を含め、上段の車両格納フロア6Aに22台の車両1を格納することができる。また、
図3(A)において、2つのパレット2に相当する2台分の空セル4bを有する。
なお、リフト3の実車パレット2A(n=22)を車両格納領域7Aに格納すると、空セル4bは1台分のみとなる。
【0030】
図3において、制御装置20は、車両格納フロア6Aのすべての駆動セル4を制御する。
制御装置20は、例えばコンピュータ(PC)であり、車両1の入出庫の際に、空パレット2Bを車両格納領域7Aと低天井領域7Bの両方において移動させる機能を有する。制御装置20による制御内容は後述する。
【0031】
図3において、水平循環式駐車装置100は、さらに実車パレット検知装置22を備える。
実車パレット検知装置22は、車両格納領域7Aと低天井領域7Bの境界部分に設けられ、車両格納領域7Aから低天井領域7Bに移動する実車パレット2Aを検出する。
図3(A)において、実車パレット検知装置22は、低天井領域7Bの幅方向両側とリフト3の側に設けられている。
実車パレット検知装置22は、例えば、車両1がセンサ光を遮光することで実車パレット2Aを検出する光電管、又は車両1がロープ等に接触することで実車パレット2Aを検出するロープ式リミットスイッチであるのがよい。
光電管は、例えば、透過形、回帰反射形、拡散反射形、又は距離設定形であるのがよい。また、ロープ式リミットスイッチは、例えば、引き綱スイッチ、又はロープ型非常停止スイッチであるのがよい。
【0032】
制御装置20は、実車パレット検知装置22により実車パレット2Aを検出するとすべての駆動セル4の作動を非常停止する。
なお、制御装置20を用いずに、同様に、実車パレット検知装置22により実車パレット2Aを検出し、すべての駆動セル4の作動を非常停止させてもよい。
上述した構成により、誤った経路計画により実車パレット2Aが低天井領域7Bへ移動することを未然に防止することができる。
【0033】
図4は、本発明による水平循環式駐車装置の制御方法の全体フロー図である。
この図において、水平循環式駐車装置の制御方法はS1~S5の各ステップ(工程)を有する。
【0034】
ステップS1では、車両1を使用する人により、例えばスタート釦により入庫又は出庫の指示とパレットの指定がなされる。この操作は、入出庫口の操作パネル又はスマートフォンなどによる。
ステップS2では、入庫指令又は出庫指令に基づき、制御装置20により各パレットの現在のレイアウトを読み出す。
【0035】
ステップS3では、各パレットの現在のレイアウトに基づき、指定されたパレットの取出し手順を演算する。
ステップS3は、この例では、ステップS31~S33からなる。
ステップS31では、低天井領域7Bを使用した経路計画A(以下、「低天井使用経路A」)を作成する。低天井使用経路Aでは、車両1の入出庫の際に、空パレット2Bを車両格納領域7Aと低天井領域7Bの両方において移動させる。
ステップS32では、低天井領域7Bを使用しない経路計画B(以下、「低天井不使用経路B」)を作成する。
ステップS33では、経路計画A,Bを比較し、指定されたパレット2の取出しに有利な方を選択する。「有利な方」とは、好ましくは車両1の入出庫時間が短い方である。
満車時などでは、低天井領域7Bの有効利用が難しいので、経路計画Bの方が有利な場合があるが、一般的には経路計画Aの方が有利である。
【0036】
ステップS4では、選択された経路計画に基づき各駆動セル4を作動させる。
ステップS5では、指定されたパレット2の取出しの有無を確認し、取出しが完了していない(NO)の場合はステップS4を繰り返す。取出し完了(YES)の場合は、制御を終了する。
【0037】
制御装置20は、上述したステップ2~5を実行する。
なお、制御装置20は、管制用PCと駐車場制御装置で構成してもよい。また、上述した各ステップを実行するためのソフトウェアは、制御装置20にインストールされていることが好ましい。
【0038】
図5は、
図3に示した水平循環式駐車装置100における「低天井使用経路A」の具体例を示す図である。
この例は、
図3に示した各パレットのレイアウト(ステップT0)から、パレット番号nが1の空パレット2Bをリフト3まで移動させるまでのステップT1~T4を示している。ステップT1~T4はそれぞれ、水平面内で直交する二方向(「横送り」と「縦送り」)のうちの一方のみの動作である。
【0039】
ステップT0において、新たな入庫のため、空パレット2B(n=1)が指令される。
ステップT1~T4は、低天井使用経路Aに相当する。
ステップT1では、2つの空セル4bを利用して実車パレット2A(n=12)を矢印で示すように縦送りする。
ステップT2では、低天井領域7Bを通して2つの空パレット(n=1,5)を横送りする。
ステップT3では、リフト上の実車パレット(n=22)を横送りして、リフト上を空セル4bにする。
ステップT4では、リフト上に空パレット(n=1)を縦送りする。その後、入庫フロア(例えば地上階)へリフトを上昇させて、空パレット(n=1)に新たな車両1を入庫させることができる。
上述した低天井使用経路Aでは、ステップT0からステップT4までの4ステップで、空パレット2B(n=1)をリフト上まで移動することができる。
【0040】
図6と
図7は、
図3に示した水平循環式駐車装置100における「低天井不使用経路B」の具体例を示す図である。
この例は、
図4と同様に、
図3に示した各パレットのレイアウト(T0)から、パレット番号nが1の空パレット2Bをリフト3まで移動させるまでのステップT1~T20を示している。ステップT1~T20はそれぞれ、水平面内で直交する二方向(「横送り」と「縦送り」)のうちの一方のみの動作である。
【0041】
(
図5の低天井使用経路Aと
図6と
図7の低天井不使用経路Bとの比較)
本発明によれば、車両1の入出庫の際に、空パレット2Bを車両格納領域7Aと低天井領域7Bの両方において移動させることで、空パレット2Bの移動経路(低天井使用経路A)の自由度を大幅に高めることができ、入出庫時間を短縮し、全体の円滑性を向上させることができる。
【0042】
図8は、本発明による水平循環式駐車装置100の第2例を示す平面図である。
この図において、車両格納領域7Aは上方の4列であり、低天井領域7Bは下方の1列である。すなわち、低天井領域7Bは、例えば水平梁の下部であり、この部分には駆動セル4のみが設置されている。
【0043】
上述した
図8の水平循環式駐車装置100は、リフト3に載っている実車パレット2A(n=17)を含め、上段の車両格納フロア6Aに17台の車両1を格納することができる。また、この図において、車両格納領域7Aは、2つのパレット2に相当する2台分の空セル4bを有する。
なお、リフト3の実車パレット2A(n=17)を車両格納領域7Aに格納すると、空セル4bは1台分のみとなる。
【0044】
この例において、本発明の制御方法は、車両1の入出庫の際、又はそれ以前に、空パレット(例えば、n=13~16)を低天井領域7Bの空セル4bに移動して、車両格納領域7Aの空セル4bを増加させる。
この結果、車両1の入出庫の際に車両格納領域7Aの空セル4bが、例えば、図の2つから6つに増やすことができ、入庫時及び出庫時の低天井不使用経路Bの自由度を大幅に増やすことができ、入出庫時間を短縮し、全体の円滑性を高めることができる。
【0045】
図9は、本発明による水平循環式駐車装置100の第3例を示す平面図である。
この例において、
図8の構成に加えて、車両格納フロア6Aは、さらに、「横送り」と「縦送り」の二方向のうち一方向のみで車両格納領域7A(又は低天井領域7B)に隣接し、空パレット2Bのみを格納可能な一方向領域7Cを有する。
この例では2つの一方向領域7Cのうち一方は「横送り」のみ、他方は「縦送り」のみ可能になっている。
また、この例において、水平循環式駐車装置100は、さらに、一方向領域7Cに設置され空パレット2Bを載せて一方向のみに移動させる一方向駆動セル9を有する。
この例では2つの一方向駆動セル9のうち一方は「横送り」のみ、他方は「縦送り」のみ移動可能になっている。
上述した第3例の構成により、一方向駆動セル9は駆動セル4に必要な「搬送向きを変更する機構」が不要になるため構造が簡単になる。
【0046】
上述した本発明の実施形態によれば、車両格納フロア6Aが車両格納領域7Aに位置する駆動セル4より少ない数のパレット2を有するので、車両1を載せた実車パレット2Aを車両格納領域7Aにおいて二方向に移動させて車両1の入出庫を実施することができる。
【0047】
また、車両格納フロア6Aがさらに低天井領域7Bを有し、車両格納領域7Aと低天井領域7Bの両方に複数の駆動セル4が互いに隣接して設置されているので、空パレット2Bを車両格納領域7Aと低天井領域7Bの両方において移動させることができる。
【0048】
従って、車両1の入出庫の際に、空パレット2Bを車両格納領域7Aと低天井領域7Bの両方において移動させることで、空パレット2Bの移動経路の自由度を高めることができ、入出庫時間を短縮し、全体の円滑性を高めることができる。
【0049】
また、空パレット2Bを低天井領域7Bの空セル4bに移動して、車両格納領域7Aの空セル4bを増加させることで、入出庫時の低天井不使用経路Bの自由度を大幅に増やすことができ、入出庫時間を短縮し、全体の円滑性を高めることができる。
【0050】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両、2 パレット、2A 実車パレット、2B 空パレット、3 リフト、
4 駆動セル、4b 空セル、5 リフト位置、6A,6B 車両格納フロア、
7A 車両格納領域、7B 低天井領域、7C 一方向領域、8 柱、
9 一方向駆動セル、20 制御装置、22 実車パレット検知装置、
100 水平循環式駐車装置