IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-鞍乗型車両 図1
  • 特開-鞍乗型車両 図2
  • 特開-鞍乗型車両 図3
  • 特開-鞍乗型車両 図4
  • 特開-鞍乗型車両 図5
  • 特開-鞍乗型車両 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167396
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 19/30 20060101AFI20221027BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20221027BHJP
   B60T 17/04 20060101ALI20221027BHJP
   B62K 19/38 20060101ALI20221027BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B62K19/30
F01N13/08 G
B60T17/04 Z
B62K19/38
B62M7/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073163
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匡人
(72)【発明者】
【氏名】小澤 利明
【テーマコード(参考)】
3D049
3D212
3G004
【Fターム(参考)】
3D049AA01
3D049BB26
3D049CC02
3D049HH12
3D049HH20
3D049HH39
3D049HH43
3D049HH45
3D049KK09
3D049PP04
3D049PP07
3D212BH03
3D212BH08
3D212BM02
3G004AA02
3G004DA01
(57)【要約】
【課題】アップマフラー型の鞍乗型車両において、ブレーキ配管が長くなることを抑制すると共に、排気管とブレーキ配管との干渉を回避しながら、ブレーキ配管内のブレーキオイルが、排気管による熱影響を受けることを抑える。
【解決手段】鞍乗型車両は、エンジンと、車体フレームと、後輪と、マフラーと、排気管と、リアブレーキと、液圧ユニットと、ブレーキ配管とを備える。マフラーの少なくとも一部は、後輪よりも上方に配置される。排気管は、車両側面視で車体フレームと交差している。排気管は、エンジンから、車両左右方向において車体フレームの内側を通って、マフラーまで延びる。ブレーキ配管は、液圧ユニットからリアブレーキまで延びている。ブレーキ配管は、少なくとも一部が車体フレームに沿って配置されている。ブレーキ配管は、車両側面視で排気管と重なる屈曲部を含む。屈曲部は、車両左右方向において排気管の内側に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンを支持する車体フレームと、
後輪と、
少なくとも一部が前記後輪よりも上方に配置されたマフラーと、
車両側面視で前記車体フレームと交差しており、前記エンジンから、車両左右方向において前記車体フレームの内側を通って、前記マフラーまで延びる排気管と、
前記後輪を制動するリアブレーキと、
前記リアブレーキへの油圧を制御する液圧ユニットと、
前記液圧ユニットから前記リアブレーキまで延び、少なくとも一部が前記車体フレームに沿って配置されたブレーキ配管と、
を備え、
前記ブレーキ配管は、車両側面視で前記排気管と重なる屈曲部を含み、
前記屈曲部は、車両左右方向において前記排気管の内側に配置される、
鞍乗型車両。
【請求項2】
車両左右方向において、前記排気管と前記屈曲部との間隔は、前記車体フレームと前記排気管との間隔よりも大きい、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記屈曲部は、車両側面視で直線状の形状を含む、
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記ブレーキ配管は、
前記屈曲部に接続され、前記屈曲部よりも前方に位置する前部と、
前記屈曲部に接続され、前記屈曲部よりも後方に位置する後部と、
をさらに含み、
車両上面視で、前記前部と前記後部とは、直線状に並んでいる、
請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記屈曲部は、前記排気管の上方に配置された上部を含み、
前記上部は、車両上面視で前記排気管と重なり、車両左右方向に直線状に延びる、
請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記屈曲部は、前記排気管の下方に配置された下部を含み、
前記下部は、車両上面視で前記排気管と重なり、車両左右方向に直線状に延びる、
請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記屈曲部は、車両左右方向において前記排気管の内側に配置される側部をさらに含み、
前記側部は、第1直線部と第2直線部とを含み、車両上面視で、前記第1直線部と前記第2直線部との間で屈曲した形状を有している、
請求項1から6のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記液圧ユニットと前記リアブレーキとは、車両前後方向に延びる前記鞍乗型車両の中心線に対して、左右方向において同じ側に配置されている、
請求項1から7のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前輪と、
前記前輪を制動するフロントブレーキと、
前記フロントブレーキを操作するためのフロントブレーキ操作部材と、
前記リアブレーキを操作するためのリアブレーキ操作部材と、
をさらに備え、
前記液圧ユニットは、車両平面視で、前記フロントブレーキ操作部材と前記リアブレーキ操作部材との間に配置される、
請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記液圧ユニットは、前記屈曲部よりも前方に配置される、
請求項1から9のいずれかに記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両には、ABS(Anti-lock Brake System)を備えたものがある。ABSは、ブレーキへの油圧を制御する液圧ユニットを備えている。例えば、特許文献1の鞍乗型車両のように、液圧ユニットは、ブレーキ配管を介して、フロントブレーキ及びリアブレーキに接続されている。液圧ユニットは、シートの左側方に配置されている。フロントブレーキは、前輪の右側方に配置されている。ブレーキ配管は、車体フレームの左側方において液圧ユニットから前方に延び、エンジンの後方において左右方向に延び、車体フレームの右側方においてリアブレーキへ向かって後方へ延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-030394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鞍乗型車両には、マフラーが後輪の上方に配置された、所謂アップマフラー型のものがある。アップマフラー型の鞍乗型車両では、エンジンからマフラーまで延びる排気管の一部が、車体フレームと交差するように配置される。そのため、ブレーキ配管の一部が、車体フレームに沿って配置されている場合には、ブレーキ配管も排気管に交差するように配置される。その場合、ブレーキ配管が、排気管に近接して配置されることで、ブレーキ配管内のブレーキオイルが、熱影響を受ける可能性がある。
【0005】
一方、上記の鞍乗型車両のように、ブレーキ配管がエンジンの後方において左右方向に延びている場合には、排気管を避けてブレーキ配管を配置することができる。しかし、その場合、ブレーキ配管が長くなる。ブレーキ配管が長くなると、ブレーキ配管のレイアウトが複雑化すると共に、ブレーキ配管の重量が大きくなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、アップマフラー型の鞍乗型車両において、ブレーキ配管が長くなることを抑制すると共に、排気管とブレーキ配管との干渉を回避しながら、ブレーキ配管内のブレーキオイルが、排気管による熱影響を受けることを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、エンジンと、車体フレームと、後輪と、マフラーと、排気管と、リアブレーキと、液圧ユニットと、ブレーキ配管とを備える。車体フレームは、エンジンを支持する。マフラーの少なくとも一部は、後輪よりも上方に配置される。排気管は、車両側面視で車体フレームと交差している。排気管は、エンジンから、車両左右方向において車体フレームの内側を通って、マフラーまで延びる。リアブレーキは、後輪を制動する。液圧ユニットは、リアブレーキへの油圧を制御する。ブレーキ配管は、液圧ユニットからリアブレーキまで延びている。ブレーキ配管は、少なくとも一部が車体フレームに沿って配置されている。ブレーキ配管は、車両側面視で排気管と重なる屈曲部を含む。屈曲部は、車両左右方向において排気管の内側に配置される。
【0008】
本態様に係る鞍乗型車両では、ブレーキ配管は、屈曲部において排気管を回避するように配置される。それにより、ブレーキ配管が長くなることを抑制すると共に、排気管とブレーキ配管との干渉を回避しながら、ブレーキ配管内のブレーキオイルが、排気管による熱影響を受けることが抑えられる。また、屈曲部は、車両左右方向において排気管の内側に配置される。もし屈曲部が車両左右方向において排気管の外側に配置されると、排気管の外側に配置された車体フレームによって屈曲部の配置が制限される。しかし、屈曲部が排気管の内側に配置されることで、車体フレームによる制限を受けずに、屈曲部を配置することができる。それにより、排気管と屈曲部との間の距離を大きく確保することが容易になる。そのため、ブレーキ配管内のブレーキオイルが、排気管による熱影響を受けることが、さらに抑えられる。
【0009】
車両左右方向において、排気管と屈曲部との間隔は、車体フレームと排気管との間隔よりも大きくてもよい。この場合、排気管と屈曲部との間隔が大きいことで、ブレーキオイルへの熱影響がさらに抑えられる。
【0010】
屈曲部は、車両側面視で直線状の形状を含んでもよい。この場合、ブレーキ配管が短くなることで、油圧のロスが低減される。
【0011】
ブレーキ配管は、前部と後部とをさらに含んでもよい。前部は、屈曲部に接続され、屈曲部よりも前方に位置してもよい。後部は、屈曲部に接続され、屈曲部よりも後方に位置してもよい。車両上面視で、前部と後部とは、直線状に並んでいてもよい。この場合、前部と後部とが直線状に並んでいることで、ブレーキ配管が短くなる。それにより、油圧のロスが低減される。
【0012】
屈曲部は、排気管の上方に配置された上部を含んでもよい。上部は、車両上面視で排気管と重なり、車両左右方向に直線状に延びていてもよい。この場合、上部が直線状に延びていることで、ブレーキ配管が短くなる。それにより、油圧のロスが低減される。
【0013】
屈曲部は、排気管の下方に配置された下部を含んでもよい。下部は、車両上面視で排気管と重なり、車両左右方向に直線状に延びていてもよい。この場合、下部が直線状に延びていることで、ブレーキ配管が短くなる。それにより、油圧のロスが低減される。
【0014】
屈曲部は、側部をさらに含んでもよい。側部は、車両左右方向において排気管の内側に配置されてもよい。側部は、第1直線部と第2直線部とを含んでもよい。側部は、車両上面視で、第1直線部と第2直線部との間で屈曲した形状を有していてもよい。この場合、側部が屈曲していることで、他の部品との干渉を回避できる。
【0015】
液圧ユニットとリアブレーキとは、車両前後方向に延びる鞍乗型車両の中心線に対して、左右方向において同じ側に配置されてもよい。この場合、液圧ユニットとリアブレーキとが左右方向において異なる側に配置される場合と比べて、ブレーキ配管が短くなる。
【0016】
鞍乗型車両は、前輪と、フロントブレーキと、フロントブレーキ操作部材と、リアブレーキ操作部材とをさらに備えてもよい。フロントブレーキは、前輪を制動してもよい。フロントブレーキ操作部材は、フロントブレーキを操作するためのものであってもよい。リアブレーキ操作部材は、リアブレーキを操作するためのものであってもよい。液圧ユニットは、車両平面視で、フロントブレーキ操作部材とリアブレーキ操作部材との間に配置されてもよい。この場合、ブレーキ配管が長くなることが抑制される。
【0017】
液圧ユニットは、屈曲部よりも前方に配置されてもよい。この場合、液圧ユニットのレイアウトの自由度が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アップマフラー型の鞍乗型車両において、ブレーキ配管が長くなることを抑制すると共に、排気管とブレーキ配管との干渉を回避しながら、ブレーキ配管内のブレーキオイルが、排気管による熱影響を受けることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る鞍乗型車両の側面図である。
図2】鞍乗型車両の上面図である。
図3】エンジン及びその周囲の拡大側面図である。
図4】鞍乗型車両のブレーキシステムの構成を示す模式図である。
図5】リアブレーキ配管及びその周囲を示す斜視図である。
図6】リアブレーキ配管と排気管と第1メインフレームとを模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施形態に係る鞍乗型車両について説明する。図1は、実施形態に係る鞍乗型車両1の側面図である。図2は、鞍乗型車両1の上面図である。図1に示すように、鞍乗型車両1は、車体フレーム2と、ステアリング装置3と、前輪4と、シート5と、エンジン6と、後輪7と、スイングアーム8と、車体カバー9とを含む。なお、本実施形態において、前後左右の方向は、シート5に着座したライダーから見た前後左右の方向を意味するものとする。
【0021】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ11と、第1メインフレーム12と、第2メインフレーム13と、第1リアフレーム14と、第2リアフレーム15とを含む。ヘッドパイプ11は、前方且つ下方へ向かって延びている。第1メインフレーム12は、ヘッドパイプ11に接続されている。第1メインフレーム12は、ヘッドパイプ11から、エンジン6の後方を通って延びている。第1メインフレーム12は、後方且つ下方へ向かって延びている。
【0022】
第2メインフレーム13は、ヘッドパイプ11に接続されている。第2メインフレーム13は、ヘッドパイプ11から、エンジン6の前方を通って延びている。なお、本明細書において「接続」とは、別体の複数の部品が、溶接、接着、或いはボルトなどの固定手段によって、互いに連結されることに限らず、一体の部品に含まれる複数の部分が連続的につながっていることを含むものとする。
【0023】
第1リアフレーム14は、第1メインフレーム12に接続されている。第1リアフレーム14は、第1メインフレーム12から後方、且つ、上方へ向かって延びている。第2リアフレーム15は、第1メインフレーム12に接続されている。第2リアフレーム15は、第1リアフレーム14の下方に配置されている。第2リアフレーム15は、後方、且つ、上方へ向かって延びている。
【0024】
ステアリング装置3は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持される。ステアリング装置3は、ライダーによって操舵可能である。ステアリング装置3は、フロントフォーク16とハンドル部材17とを含む。フロントフォーク16は、前輪4を回転可能に支持している。フロントフォーク16は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持される。ハンドル部材17は、フロントフォーク16に接続されている。ハンドル部材17は、グリップ18を含む。グリップ18は、車両左右方向に延びている。グリップ18は、ライダーによって把持される。
【0025】
シート5は、ヘッドパイプ11の後方に配置されている。シート5は、車体フレーム2に支持されている。エンジン6は、シート5の下方に配置される。エンジン6は、第1メインフレーム12と第2メインフレーム13に支持されている。エンジン6は、第1メインフレーム12と第2メインフレーム13との間に配置されている。シート5の下方には、フットレスト19が配置されている。フットレスト19は、第1メインフレーム12から側方へ突出している。
【0026】
エンジン6は、後輪7を回転させる駆動力を発生させる。後輪7は、エンジン6の後方に配置される。後輪7は、スイングアーム8を介して、第1メインフレーム12接続されている。スイングアーム8は、第1メインフレーム12に揺動可能に支持されている。後輪7は、スイングアーム8に回転可能に支持されている。
【0027】
車体カバー9は、第1メインフレーム12の車両左右方向における外側に配置される。車体カバー9は、第1メインフレーム12を側方から覆う。車両側面視で、車体カバー9は、第1メインフレーム12の少なくとも一部と重なる。車両側面視で、車体カバー9の少なくとも一部は、エンジン6の上方に位置している。
【0028】
鞍乗型車両1は、マフラー21と排気管22とを備えている。マフラー21は、エンジン6からの排気を消音して排出する。マフラー21は、後方且つ上方へ向かって延びている。マフラー21の少なくとも一部は、後輪7よりも上方に配置されている。マフラー21の後端は、後輪7の頂上部よりも上方に位置している。マフラー21の一部は、後輪7の頂上部よりも下方に位置してもよい。車両側面視で、マフラー21の一部が後輪7と重なっていてもよい。
【0029】
排気管22は、エンジン6とマフラー21とに接続されている。排気管22は、エンジン6からマフラー21へ向かって延びている。エンジン6からの排気は、排気管22を通って、マフラー21へ流れる。図3は、エンジン6及びその周囲の拡大側面図である。図3に示すように、排気管22は、エンジン6から前方へ延び、エンジン6の前方において、後方へ向かって折り曲げられている。排気管22は、エンジン6の車両左右方向における外側を通って後方へ延びている。
【0030】
排気管22は、車両側面視で第1メインフレーム12と交差している。排気管22は、車両側面視で第1メインフレーム12と重なる。排気管22は、車両側面視で、エンジン6の後方において、第1メインフレーム12と交差している。排気管22は、車両左右方向において車体フレーム2の内側を通って、マフラー21へ向かって延びている。
【0031】
図4は、鞍乗型車両1のブレーキシステム30の構成を示す模式図である。図4に示すように、ブレーキシステム30は、フロントブレーキ31と、リアブレーキ32と、液圧ユニット33と、ABS(Anti-lock Braking System)コントローラ34とを含む。フロントブレーキ31は、前輪4を制動する。リアブレーキ32は、後輪7を制動する。図2に示すように、液圧ユニット33とリアブレーキ32とは、車両前後方向に延びる鞍乗型車両1の中心線C1に対して、左右方向において同じ側に配置されている。本実施形態では、液圧ユニット33とリアブレーキ32とは、鞍乗型車両1の中心線C1に対して右側方に配置されている。フロントブレーキ31とリアブレーキ32とは、油圧式のディスクブレーキである。
【0032】
フロントブレーキ31は、フロントブレーキディスク35とフロントブレーキキャリパ36とを含む。フロントブレーキディスク35は、前輪4に接続されている。フロントブレーキキャリパ36は、油圧によってフロントブレーキディスク35を挟み込むことで、前輪4を制動する。フロントブレーキキャリパ36は、フロントブレーキ配管37を介して、液圧ユニット33に接続されている。
【0033】
ブレーキシステム30は、ブレーキレバー38とフロントマスタシリンダ39とを含む。ブレーキレバー38は、フロントブレーキ31を操作するためのフロントブレーキ操作部材の一例である。ブレーキレバー38は、グリップ18の前方に配置されている。フロントマスタシリンダ39は、ブレーキレバー38に接続されている。フロントマスタシリンダ39は、ブレーキレバー38の操作に応じたブレーキ油圧を発生させる。フロントマスタシリンダ39は、フロント連結配管41を介して、液圧ユニット33に接続されている。
【0034】
ブレーキレバー38が操作されたときには、フロントマスタシリンダ39がブレーキレバー38の操作に応じたブレーキ油圧を発生させる。このブレーキ油圧は、フロント連結配管41を介して、液圧ユニット33に供給される。液圧ユニット33は、フロントブレーキ配管37を介して、フロントブレーキ31に、ブレーキ油圧を供給することで、フロントブレーキ31を作動させる。
【0035】
リアブレーキ32は、リアブレーキディスク42とリアブレーキキャリパ43とを含む。リアブレーキディスク42は、後輪7に接続されている。リアブレーキキャリパ43は、油圧によってリアブレーキディスク42を挟み込むことで、後輪7を制動する。リアブレーキキャリパ43は、リアブレーキ配管44を介して、液圧ユニット33に接続されている。
【0036】
ブレーキシステム30は、ブレーキペダル45とリアマスタシリンダ46とを含む。ブレーキペダル45は、リアブレーキ32を操作するためのリアブレーキ操作部材の一例である。ブレーキペダル45は、フットレスト19の下方に配置されている。リアマスタシリンダ46は、ブレーキペダル45に接続されている。リアマスタシリンダ46は、ブレーキペダル45の操作に応じたブレーキ油圧を発生させる。リアマスタシリンダ46は、リア連結配管47を介して、液圧ユニット33に接続されている。
【0037】
ブレーキペダル45が操作されたときには、リアマスタシリンダ46がブレーキペダル45の操作に応じたブレーキ油圧を発生させる。このブレーキ油圧は、リア連結配管47を介して、液圧ユニット33に供給される。液圧ユニット33は、リアブレーキ配管44を介して、リアブレーキ32に、ブレーキ油圧を供給することで、リアブレーキ32を作動させる。
【0038】
液圧ユニット33は、例えば、車体カバー9の内側に配置される。液圧ユニット33は、排気管22よりも上方に配置されている。ただし、液圧ユニット33は、車体カバー9の内側以外の場所に配置されてもよい。液圧ユニット33は、車両平面視で、ブレーキレバー38とブレーキペダル45との間に配置されている。液圧ユニット33は、電動モータ、ポンプ、ソレノイドバルブなどを含む。液圧ユニット33は、ABSコントローラ34からの信号に応じて、フロントブレーキ31とリアブレーキ32のブレーキ油圧を制御する。
【0039】
ブレーキシステム30は、前輪センサ48と後輪センサ49とを含む。前輪センサ48は、前輪4の回転速度を検出し、前輪4の回転速度を示す信号を出力する。後輪センサ49は、後輪7の回転速度を検出し、後輪7の回転速度を示す信号を出力する。ABSコントローラ34は、通信線51を介して、前輪センサ48と接続されている。ABSセンサは、前輪センサ48から、前輪4の回転速度を示す信号を受信する。ABSコントローラ34は、通信線52を介して、後輪センサ49と接続されている。ABSセンサは、後輪センサ49から、後輪7の回転速度を示す信号を受信する。ABSコントローラ34は、前輪4の回転速度と後輪7の回転速度とを監視し、前輪4及び後輪7がロックしないように、液圧ユニット33からのブレーキ油圧を制御する。
【0040】
上述したリアブレーキ配管44は、液圧ユニット33からリアブレーキ32まで延びている。図3に示すように、リアブレーキ配管44は、少なくとも一部が、第1メインフレーム12に沿って配置されている。図5は、リアブレーキ配管44及びその周囲を示す斜視図である。図6は、リアブレーキ配管44と排気管22と第1メインフレーム12とを模式的に示す上面図である。なお、図6において、第1メインフレーム12は、図3におけるVI-VI断面で示されている。
【0041】
図5および図6に示すように、リアブレーキ配管44は、第1屈曲部61と、第1前部62と、第1後部63と、ブレーキホース64とを含む。第1屈曲部61と、第1前部62と、第1後部63とは、第1メインフレーム12に沿って配置されている。第1屈曲部61と、第1前部62と、第1後部63とは、金属のパイプ製である。第1屈曲部61は、車両側面視で排気管22と重なる。液圧ユニット33は、第1屈曲部61よりも前方に配置されている。第1前部62は、第1屈曲部61に接続されている。第1前部62は、第1屈曲部61よりも前方に位置する。第1前部62は、排気管22よりも上方に位置する。
【0042】
第1後部63は、第1屈曲部61に接続されている。第1後部63は、第1屈曲部61よりも後方に位置している。第1後部63は、排気管22よりも下方に位置する。図6に示すように、車両上面視で、第1前部62と第1後部63とは、直線状に並んでいる。第1後部63は、コネクタ53を介して、ブレーキホース64に接続されている。ブレーキホース64は、例えばゴムなどの可撓性を有する材料製である。ブレーキホース64は、リアブレーキ32に接続されている。
【0043】
第1屈曲部61は、車両側面視で直線状の形状を含む。図6に示すように、第1屈曲部61は、車両左右方向において排気管22の内側に配置される。車両左右方向において、排気管22と第1屈曲部61との間隔G1は、車体フレーム2と排気管22との間隔G2よりも大きい。図6において、“120”は、第1メインフレーム12のうち車両側面視で排気管22と重なる部分(以下、「重複部分」と呼ぶ)を示している。重複部分120は、車両左右方向において排気管22の外側に配置されている。すなわち、排気管22は、車両左右方向において、第1屈曲部61と重複部分120との間に配置されている。
【0044】
第1屈曲部61は、第1上部65と、第1下部66と、第1側部67とを含む。第1上部65は、排気管22の上方に配置されている。車両上面視で、第1上部65は、排気管22と重なる。第1上部65は、車両左右方向に直線状に延びている。第1上部65は、第1前部62に対して垂直に屈曲している。第1下部66は、排気管22の下方に配置されている。第1下部66は、車両上面視で排気管22と重なる。第1下部66は、車両左右方向に直線状に延びている。第1下部66は、第1後部63に対して垂直に屈曲している。
【0045】
第1側部67は、車両左右方向において排気管22の内側に配置される。第1側部67は、車両側面視で、排気管22と重なる。第1側部67は、第1直線部68と第2直線部69とを含む。第1側部67は、車両上面視で、第1直線部68と第2直線部69との間で屈曲した形状を有している。第1直線部68は、第1上部65と第2直線部69とに接続されている。第2直線部69は、第1直線部68と第1下部66とに接続されている。第2直線部69は、車両上面視で、第1前部62及び第1後部63と平行に延びている。第1直線部68は、第2直線部69に対して傾斜している。上述した排気管22と第1屈曲部61との間隔G1は、車両左右方向における第2直線部69と排気管22との間隔である。
【0046】
上述したリア連結配管47は、液圧ユニット33からコネクタ53を介してリアマスタシリンダ46まで延びている。なお、図3では、理解の容易のためにリアマスタシリンダ46が省略されているが、リアマスタシリンダ46は、例えばブレーキペダル45に近接して、第1メインフレーム12の内側に配置される。
【0047】
図5及び図6に示すように、リア連結配管47は、第2屈曲部71と、第2前部72と、第2後部73とを含む。第2屈曲部71と、第2前部72と、第2後部73とは、金属のパイプ製である。第2屈曲部71と、第2前部72と、第2後部73とは、それぞれリアブレーキ配管44の第1屈曲部61と、第1前部62と、第1後部63と同様の形状を有する。第2屈曲部71は、第1屈曲部61と平行に配置されている。図6に示すように、第2屈曲部71は、クリップ80-87によって第1屈曲部61と連結されている。第2前部72は、第1前部62と平行に配置されている。第2後部73は、第1後部63と平行に配置されている。
【0048】
図5及び図6に示すように、第2屈曲部71は、第2上部75と、第2下部76と、第2側部77とを含む。第2上部75と、第2下部76と、第2側部77とは、それぞれ第1上部65と、第1下部66と、第1側部67と同様の形状を有している。第2上部75は、第1上部65と平行に配置されている。第2下部76は、第1下部66と平行に配置されている。第2側部77は、第1側部67と平行に配置されている。
【0049】
以上説明した本実施形態に係る鞍乗型車両1では、リアブレーキ配管44は、第1屈曲部61において排気管22を回避するように配置される。それにより、排気管22とリアブレーキ配管44との干渉を回避しながら、リアブレーキ配管44内のブレーキオイルが、排気管22による熱影響を受けることが抑えられる。また、上述した第1屈曲部61の形状により、排気管22との干渉を回避しながら、リアブレーキ配管44の長さを短くすることができる。
【0050】
第1屈曲部61は、車両左右方向において排気管22の内側に配置される。もし第1屈曲部61が車両左右方向において排気管22の外側に配置されると、排気管22の外側に配置された第1メインフレーム12によって第1屈曲部61の配置が制限される。しかし、第1屈曲部61が排気管22の内側に配置されることで、第1メインフレーム12による制限を受けずに、第1屈曲部61を配置することができる。それにより、排気管22と第1屈曲部61との間の距離を大きく確保することが容易になる。そのため、リアブレーキ配管44内のブレーキオイルが、排気管22による熱影響を受けることが、さらに抑えられる。
【0051】
リア連結配管47の第2屈曲部71は、リアブレーキ配管44の第1屈曲部61と同様の形状を有している。そのため、リア連結配管47についても、上述したリアブレーキ配管44と同様の効果を得ることができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
鞍乗型車両1の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1メインフレーム12、或いは第2メインフレーム13の形状が変更されてもよい。第1屈曲部61の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1直線部68と第2直線部69とは、車両上面視で一直線上に並んでいてもよい。すなわち、第1側部67は、車両上面視で、直線状の形状であってもよい。
【0054】
第1前部62と第1後部63とは、車両上面視で一直線上から、ずれて配置されてもよい。第1屈曲部61の第1上部65と第1前部62との間の角度は、垂直に限らない。第1屈曲部61の第1上部65と第1前部62との間の角度は、垂直より大きくてもよく、或いは、垂直よりも小さくてもよい。第1屈曲部61の第1下部66と第1後部63との間の角度は、垂直に限らない。第1屈曲部61の第1下部66と第1後部63との間の角度は、垂直より大きくてもよく、或いは、垂直よりも小さくてもよい。
【0055】
液圧ユニット33とリアブレーキ32との配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。液圧ユニット33とリアブレーキ32とは、鞍乗型車両1の中心線C1に対して左側方に配置されてもよい。或いは、液圧ユニット33とリアブレーキ32とは、鞍乗型車両1の中心線C1に対して、左右方向に異なる側に配置されてもよい。例えば、液圧ユニット33が鞍乗型車両1の中心線C1の左側方に配置され、リアブレーキ32が鞍乗型車両1の中心線C1の右側方に配置されてもよい。或いは、液圧ユニット33が鞍乗型車両1の中心線C1の右側方に配置され、リアブレーキ32が鞍乗型車両1の中心線C1の左側方に配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、アップマフラー型の鞍乗型車両において、ブレーキ配管が長くなることを抑制すると共に、排気管とブレーキ配管との干渉を回避しながら、ブレーキ配管内のブレーキオイルが、排気管による熱影響を受けることを抑えることができる。
【符号の説明】
【0057】
2:車体フレーム、 6:エンジン、 7:後輪、 21:マフラー、 22:排気管、 32:リアブレーキ、 33:液圧ユニット、 44:リアブレーキ配管、 61:第1屈曲部、 62:第1前部、 63:第1後部、 65:第1上部、 66:第1下部、 67:第1側部、 68:第1直線部、 69:第2直線部
図1
図2
図3
図4
図5
図6