IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

特開2022-167409車両のバックドアの空気抵抗低減構造
<>
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図1
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図2
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図3
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図4
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図5
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図6
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図7
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図8
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図9
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図10
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図11
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図12
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図13
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図14
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図15
  • 特開-車両のバックドアの空気抵抗低減構造 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167409
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】車両のバックドアの空気抵抗低減構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 35/00 20060101AFI20221027BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20221027BHJP
   B60J 10/84 20160101ALI20221027BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20221027BHJP
   B60R 19/48 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B62D35/00 C
B60J5/10 Z
B60J10/84
B60J5/00 D
B60R19/48 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073182
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 庸介
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA17
3D201BA01
3D201CA10
(57)【要約】
【課題】意匠の制約を受けずに車体背面における負圧の増大を抑制することができる車両のバックドアの空気抵抗低減構造を提供する。
【解決手段】従来、車両の走行時、車両後部に生じた負圧の差により、左縁空間20Lや右縁空間20Rが気流の通り道となっていたところ、エアダム41で気流の通り道を塞いだ。エアダム41により、左縁空間20Lと右縁空間20Rがそれぞれ分断されるが、分断後上側左縁空間22Lではその両端において負圧の差はほぼ生じず(分断後下側左縁空間23L、分断後上側右縁空間22R、分断後下側右縁空間23Rにおいても同様)、気流の通り道となることはない。その結果、渦流の発生が抑制され、負圧の増大を抑制することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部に設けられた開口部である車両後部開口部を開閉するバックドアの、車両走行時における空気抵抗を低減する、車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、
前記バックドアは、全閉状態では、前記車両後部開口部の縁部である車両開口縁部を覆っており、
前記車両の後方から全閉状態の前記バックドアを見た場合、
左側の前記車両開口縁部である左車両開口縁部は、前記バックドアの左縁部である左バックドア縁部に覆われ、前記左車両開口縁部と前記左バックドア縁部との間には、上下方向に延びる空間である左縁空間が形成されており、
右側の前記車両開口縁部である右車両開口縁部は、前記バックドアの右縁部である右バックドア縁部に覆われ、前記右車両開口縁部と前記右バックドア縁部との間には、上下方向に延びる空間である右縁空間が形成されており、
前記左縁空間は、前記左バックドア縁部と前記車両のボディとの間に形成されて上下方向に延びる左縁隙間にて前記車両の外部と連通しており、
前記右縁空間は、前記右バックドア縁部と前記車両のボディとの間に形成されて上下方向に延びる右縁隙間にて前記車両の外部と連通しており、
前記左縁空間と前記右縁空間のそれぞれには、下方から上方、あるいは上方から下方への空気の流れを遮断あるいは抑制するエアダムが設けられている、
車両のバックドアの空気抵抗低減構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、
前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記左縁空間の一部は、前記車両の左テールランプに隣接しており、
前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記右縁空間の一部は、前記車両の右テールランプに隣接しており、
前記左縁空間に設けられている前記エアダムは前記左テールランプと一体成形されており、前記右縁空間に設けられている前記エアダムは前記右テールランプと一体成形されている、
車両のバックドアの空気抵抗低減構造。
【請求項3】
請求項1に記載の車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、
全閉状態の前記バックドアに覆われる前記車両開口縁部における前記車両後部開口部の側となる端部には、周方向に連続するウェザーストリップが装着されており、
前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記左縁空間及び前記右縁空間は、前記ウェザーストリップに隣接して形成されており、
前記エアダムは、前記ウェザーストリップと一体成形されている、あるいは、前記ウェザーストリップと一体成形されることなく別体とされており、前記ウェザーストリップに取り付けられている、
車両のバックドアの空気抵抗低減構造。
【請求項4】
請求項1に記載の車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、
前記左バックドア縁部における、前記バックドアが全閉状態とされた場合に前記左車両開口縁部と対向する位置には、前記バックドアを閉じる際に異物を挟み込むことを防止するための左タッチセンサが設けられており、
前記右バックドア縁部における、前記バックドアが全閉状態とされた場合に前記右車両開口縁部と対向する位置には、前記バックドアを閉じる際に異物を挟み込むことを防止するための右タッチセンサが設けられており、
前記左縁空間に設けられている前記エアダムは前記左タッチセンサと一体成形されており、前記右縁空間に設けられている前記エアダムは前記右タッチセンサと一体成形されている、
車両のバックドアの空気抵抗低減構造。
【請求項5】
請求項1に記載の車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、
前記左車両開口縁部の一部には左車両側緩衝部材が設けられており、
前記バックドアが全閉状態とされた場合に前記左車両側緩衝部材に対向する前記左バックドア縁部には左バックドア側緩衝部材が設けられており、
前記右車両開口縁部の一部には右車両側緩衝部材が設けられており、
前記バックドアが全閉状態とされた場合に前記右車両側緩衝部材に対向する前記右バックドア縁部には右バックドア側緩衝部材が設けられており、
前記左縁空間に設けられている前記エアダムは、前記左車両側緩衝部材または前記左バックドア側緩衝部材と一体成形されており、
前記右縁空間に設けられている前記エアダムは、前記右車両側緩衝部材または前記右バックドア側緩衝部材と一体成形されている、
車両のバックドアの空気抵抗低減構造。
【請求項6】
請求項1に記載の車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、
前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記左縁空間の一部は、前記車両の左側バンパーカバーに隣接しており、
前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記右縁空間の一部は、前記車両の右側バンパーカバーに隣接しており、
前記左縁空間に設けられている前記エアダムは前記左側バンパーカバーと一体成形されており、前記右縁空間に設けられている前記エアダムは前記右側バンパーカバーと一体成形されている、
車両のバックドアの空気抵抗低減構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、
前記エアダムには、前記左縁空間内および前記右縁空間内に浸入した水を通過させるための排水隙間あるいは排水孔が設けられている、
車両のバックドアの空気抵抗低減構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行時における空気抵抗を低減する、車両のバックドアの空気抵抗低減構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃費向上等の目的で、車両走行時において車体背面に生じる負圧を減らし、車両全体の空気抵抗を減少させることが望まれている。例えば特許文献1では、車体背面に段差(絶壁形状)を環状に連続して設けることで、車両の上下左右側面に沿って流れてきた空気が車両背面の段差に到達後、車体から剥離するようにしている。その結果、車両後方に向かって発生し得る渦流を抑制し、抑制した渦流の分だけ負圧の増大を抑制している(渦流は、負圧を増大させる作用がある)。車両背面の負圧が増大すると、車体が後ろに引っ張られ、空気抵抗が増してしまうからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-254193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1では、車体背面に段差(絶壁形状)を環状に連続して設ける必要があり、車体背面において意匠の自由度が制限され、見栄えもあまり良くない。
【0005】
また、ハッチバック型の車体背面では、バックドアでボディ開口部を塞ぐ構造上、バックドア全閉の場合でもボディとの間に隙間が生じ得るが、車両の走行時には、その隙間を通る気流が車両後方に向かう渦流となり、車体背面の負圧を増大させている。
【0006】
つまり、ハッチバック型の車体背面においては部位によって負圧の差が生じており、車両の走行時には、例えば、バックドアとピラーの間にできた隙間が空気の吸い出し口となり、その隙間より下側に位置する隙間全体が空気の吸い込み口となる(図6参照)。そして、吸い込み口から吸われた車体背面(負圧小)の空気は、ボディとバックドアの間の隙間を通って吸い出し口より車体背面(負圧大)へと噴き出し、渦流となって車両後方に向かって流れていた。渦流は、負圧を増大させる作用があるため、車体背面の負圧が増大し、車両全体に対する空気抵抗となる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、車体背面の意匠の自由度を制限することなく見栄えが良く、かつ、車両の走行時における車体背面の負圧の増大を抑制して空気抵抗をより減少させることができる車両のバックドアの空気抵抗低減構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の第1の発明は、車両の後部に設けられた開口部である車両後部開口部を開閉するバックドアの、車両走行時における空気抵抗を低減する、車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、前記バックドアは、全閉状態では、前記車両後部開口部の縁部である車両開口縁部を覆っており、前記車両の後方から全閉状態の前記バックドアを見た場合、左側の前記車両開口縁部である左車両開口縁部は、前記バックドアの左縁部である左バックドア縁部に覆われ、前記左車両開口縁部と前記左バックドア縁部との間には、上下方向に延びる空間である左縁空間が形成されており、右側の前記車両開口縁部である右車両開口縁部は、前記バックドアの右縁部である右バックドア縁部に覆われ、前記右車両開口縁部と前記右バックドア縁部との間には、上下方向に延びる空間である右縁空間が形成されており、前記左縁空間は、前記左バックドア縁部と前記車両のボディとの間に形成されて上下方向に延びる左縁隙間にて前記車両の外部と連通しており、前記右縁空間は、前記右バックドア縁部と前記車両のボディとの間に形成されて上下方向に延びる右縁隙間にて前記車両の外部と連通しており、前記左縁空間と前記右縁空間のそれぞれには、下方から上方、あるいは上方から下方への空気の流れを遮断あるいは抑制するエアダムが設けられている、車両のバックドアの空気抵抗低減構造である。
【0009】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記左縁空間の一部は、前記車両の左テールランプに隣接しており、前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記右縁空間の一部は、前記車両の右テールランプに隣接しており、前記左縁空間に設けられている前記エアダムは前記左テールランプと一体成形されており、前記右縁空間に設けられている前記エアダムは前記右テールランプと一体成形されている、車両のバックドアの空気抵抗低減構造である。
【0010】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明に係る車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、全閉状態の前記バックドアに覆われる前記車両開口縁部における前記車両後部開口部の側となる端部には、周方向に連続するウェザーストリップが装着されており、前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記左縁空間及び前記右縁空間は、前記ウェザーストリップに隣接して形成されており、前記エアダムは、前記ウェザーストリップと一体成形されている、あるいは、前記ウェザーストリップと一体成形されることなく別体とされており、前記ウェザーストリップに取り付けられている、車両のバックドアの空気抵抗低減構造である。
【0011】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明に係る車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、前記左バックドア縁部における、前記バックドアが全閉状態とされた場合に前記左車両開口縁部と対向する位置には、前記バックドアを閉じる際に異物を挟み込むことを防止するための左タッチセンサが設けられており、前記右バックドア縁部における、前記バックドアが全閉状態とされた場合に前記右車両開口縁部と対向する位置には、前記バックドアを閉じる際に異物を挟み込むことを防止するための右タッチセンサが設けられており、前記左縁空間に設けられている前記エアダムは前記左タッチセンサと一体成形されており、前記右縁空間に設けられている前記エアダムは前記右タッチセンサと一体成形されている、車両のバックドアの空気抵抗低減構造である。
【0012】
次に、本発明の第5の発明は、上記第1の発明に係る車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、前記左車両開口縁部の一部には左車両側緩衝部材が設けられており、前記バックドアが全閉状態とされた場合に前記左車両側緩衝部材に対向する前記左バックドア縁部には左バックドア側緩衝部材が設けられており、前記右車両開口縁部の一部には右車両側緩衝部材が設けられており、前記バックドアが全閉状態とされた場合に前記右車両側緩衝部材に対向する前記右バックドア縁部には右バックドア側緩衝部材が設けられており、前記左縁空間に設けられている前記エアダムは、前記左車両側緩衝部材または前記左バックドア緩衝部材と一体成形されており、前記右縁空間に設けられている前記エアダムは、前記右車両側緩衝部材または前記右バックドア緩衝部材と一体成形されている、車両のバックドアの空気抵抗低減構造である。
【0013】
次に、本発明の第6の発明は、上記第1の発明に係る車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記左縁空間の一部は、前記車両の左側バンパーカバーに隣接しており、前記バックドアが全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように形成される前記右縁空間の一部は、前記車両の右側バンパーカバーに隣接しており、前記左縁空間に設けられている前記エアダムは前記左側バンパーカバーと一体成形されており、前記右縁空間に設けられている前記エアダムは前記右側バンパーカバーと一体成形されている、車両のバックドアの空気抵抗低減構造である。
【0014】
次に、本発明の第7の発明は、上記第1の発明~第6の発明のいずれか1つに係る車両のバックドアの空気抵抗低減構造であって、前記エアダムには、前記左縁空間および前記右縁空間内に浸入した水を通過させるための排水隙間あるいは排水孔が設けられている、車両のバックドアの空気抵抗低減構造である。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、車両後部においては、おおよそ上部の負圧が大きく、下部の負圧が小さいものとなって負圧の差が生じており、右縁空間と左縁空間が気流の通り道となっていたところ、エアダムによって、気流の通り道を塞いでいる。言い換えると、エアダムにより、右縁空間と左縁空間がそれぞれ分断され、分断後の各空間においても空気の吸い出しや吸い込みが抑制される。つまり、気流の通り道が塞がれ渦流の発生が抑制される。したがって、車両の走行時における車体背面における負圧の増大を抑制することができる。また、エアダムは、バックドアの全閉時に外部から視認されることはないため、車体背面の意匠の自由度を制限することなく見栄えを良いものとすることができる。
【0016】
第2の発明によれば、バックドアは、おおよそリアウィンドウ部分とアウタパネル部分とからなり、前者が傾斜角度を有しているのに対し後者は略垂直であり、両者の境目、つまり負圧の差の境目付近にテールランプが設置される場合が多い。よって、右縁空間と左縁空間を分断する位置として好適である。また、テールランプとエアダムを一体成形することにより、車両の組立において従来のテールランプの組付けが同時にエアダムの組付けとなり、エアダムを別途組付ける工程が発生することがない。
【0017】
第3の発明によれば、ウェザーストリップは、いかなる車両であっても車両後部開口部を取り囲むように全周囲に装着されており、任意の場所にエアダムを成形することができる。そのため、車両後部のデザインによって負圧の差の境目は変わり得るが、デザインごとにエアダムの最適位置を決定することができる。また、ウェザーストリップとエアダムを一体成形した場合は、車両の組立において従来のウェザーストリップの組付けが同時にエアダムの組付けとなり、エアダムを別途組付ける工程が発生することがない。さらに、エアダムを設置できる領域が広く、例えば複数設けることで、より効果的に気流を遮断あるいは抑制できる。また、エアダムを別体として場合は、左縁空間及び右縁空間の任意の位置にエアダムを配置することができる。
【0018】
第4の発明によれば、挟み込み防止のためのタッチセンサは、左バックドア縁部および右バックドア縁部のほぼ全領域に設けられており、その領域の範囲内においては任意の場所にエアダムを成形することができる。そのため、車両後部のデザインによって負圧の差の境目は変わり得るが、デザインごとにエアダムの最適位置を決定することができる。また、タッチセンサとエアダムを一体成形することにより、車両の組立において従来のタッチセンサの組付けが同時にエアダムの組付けとなり、エアダムを別途組付ける工程が発生することがない。さらに、エアダムを設置できる領域が広く、例えば複数設けることで、より効果的に気流を遮断あるいは抑制できる。また、バックドアを開けたときに、跳ね上げられたバックドア側のエアダムは目立つことがないため、バックドアを開けたときの見栄えを変えずに維持することができる。
【0019】
第5の発明によれば、緩衝部材としてのサイドストッパやクッションゴムは、エアダムを一体成形し得る車両後部における他の部品と比較して小型であり、仮にエアダムが破損した場合でも取り換え作業が簡易である。また、サイドストッパやクッションゴムとエアダムを一体成形することにより、車両の組立において従来のサイドストッパやクッションゴムの組付けが同時にエアダムの組付けとなり、エアダムを別途組付ける工程が発生することがない。
【0020】
第6の発明によれば、バンパーカバーは、車両後部における樹脂製部品として広範囲を占めるものであるため、比較的剛性の高いエアダムを複数設けることができ、より効果的に気流を遮断あるいは抑制できる。
【0021】
第7の発明によれば、左縁空間および右縁空間をエアダムで完全に埋めて隙間を設けない場合と比較して、気流を遮断あるいは抑制する効果を維持したまま効果的に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】バックドアを開いた状態の車両の背面図である。
図2】バックドア全閉時の車両の背面図である。
図3図2におけるIII-III断面図でエアダムのすぐ下方の断面図である。
図4図2におけるIV-IV断面図でエアダムを設けた箇所の断面図である。
図5図2におけるV-V断面図である。
図6】エアダムを設けない場合に発生する渦流について説明する図である。
図7】エアダムの作用と効果を説明する図である。
図8】その他の実施形態におけるエアダムの設置個所の断面線を示す図である。
図9】第2の実施形態に係るエアダムを説明する図8におけるA-A断面図である。
図10】第3の実施形態に係るエアダムを説明する図8におけるA-A断面図である。
図11】第4の実施形態に係るエアダムを説明する図8におけるB-B断面図である。
図12】第4の実施形態に係るエアダムの変形例を示す図である。
図13】第4の実施形態に係るエアダムの変形例を示す図である。
図14】第5の実施形態に係るエアダムを説明する図8におけるC-C断面図である。
図15】第6の実施形態に係るエアダムを説明する図8におけるC-C断面図である。
図16】排水孔を設けたエアダムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
●[車両後部における構造の概要について(図1図5)]
以下に本発明を実施するための第1の実施形態を図面を用いて説明する。まず、図1図5を用いて、車両1後部における構造を説明する。なお、図中に「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」が示されている場合、「前」、は車両1の前方向を指し、「後」は車両1の後方向を指す。また、「左」は車両1の左方向を指し、「右」は車両1の右方向を指す。「上」は車両1の上方向を指し、「下」は車両1の下方向を指す。
【0024】
図1、2に示すように、車両1の後部に設けられた開口部である車両後部開口部50には、車両後部開口部50を開閉するバックドア10が設けられている。車両1の後部には、バックドア10のほかに、左右のテールランプ30、車両1のアウタパネルを覆うバンパーカバー35が設けられている。したがって、図2の全閉状態にて視認できるものとしては、車両1のアウタパネル1A、バックドア10の外板であるアウタパネル10Aおよびリアウィンドウ10B、テールランプ30の筐体の一部であるアウタレンズ30A、バンパーカバー35である。そして、図1におけるバックドア10の全開状態にて、車両後部開口部50の縁部である車両開口縁部51が現れ、車両開口縁部51は、車両1のアウタパネル、テールランプ30のアウタレンズ(もしくはハウジング)、バンパーカバー35で形成される。なお、車両開口縁部51における車両後部開口部50の側(内側)となる端部には、周方向に連続するウェザーストリップ25が装着されている。
【0025】
バックドア10は、図2の全閉状態では、車両後部開口部50の縁部である車両開口縁部51を覆っている。その際、車両開口縁部51のうち、左側の車両開口縁部51である左車両開口縁部52L(図1参照)は、バックドア10の左縁部である左バックドア縁部12Lに覆われ、右側の車両開口縁部51である右車両開口縁部52Rは(図1参照)、バックドア10の右縁部である右バックドア縁部12Rに覆われる。なお、下側の車両開口縁部51である下辺車両開口縁部52Dは(図1参照)、バックドア10の下縁部である下辺バックドア縁部12Dに覆われる。
【0026】
図3に示すように、左車両開口縁部52Lと左バックドア縁部12Lとの間には、上下方向に延びる空間である左縁空間20Lが形成される。なお、図3には本実施形態に係るエアダムが図示されていないが、図2におけるIII-III断面線のすぐ上方に引いたIV-IV断面線の断面図(図4)には、エアダム41が図示されている。エアダム41の詳細については後述する。また、例えば、図3においては、左縁空間20Lは、左テールランプ30Lの筐体、ウェザーストリップ25、バックドア10の車室内側(左バックドア縁部12L)等で囲まれているが、車両開口縁部51においてはテールランプ30やバンパーカバー35が部分的に配置されるため、どこの断面かによって左縁空間20Lを囲む構成は異なる。同様に、右車両開口縁部52Rと右バックドア縁部12Rとの間には、上下方向に延びる空間である右縁空間20Rが形成される。なお、図5に示すように、下辺車両開口縁部52Dと下辺バックドア縁部12Dとの間にも、下縁空間20Dが形成される。図5においては、下縁空間20Dは、バンパーカバー35、ウェザーストリップ25、バックドア10の車室内側(下辺バックドア縁部12D)等で囲まれている。
【0027】
図3に戻って、左縁空間20Lは、左バックドア縁部12Lとボディ(アウタパネル1A、テールランプ30、バンパーカバー35)との間に形成されて上下方向に延びる左縁隙間21L(図2参照)にて車両1の外部と連通している。同様に、右縁空間20Rは、右バックドア縁部12Rとボディ(アウタパネル1A、テールランプ30、バンパーカバー35)との間に形成されて上下方向に延びる右縁隙間21R(図2参照)にて車両1の外部と連通している。また、図5に示すように、下縁空間20Dは、下辺バックドア縁部12Dとボディ(バンパーカバー35)との間に形成されて左右方向に延びる下縁隙間21D(図2参照)にて車両1の外部と連通している。なお、上述したように、車両開口縁部51における車両後部開口部50の側(内側)となる端部には、周方向に連続するウェザーストリップ25が、車両1のアウタパネル1Aとインナパネル1Bを覆うように装着されている。そのため、バックドア10の全閉時においては、バックドア10の縁部12はウェザーストリップ25と全周囲で密着し、左縁空間20Lや右縁空間20Rや下縁空間20Dが車両後部開口部50を介して車両1の車室内へ繋がることはない。
【0028】
●[エアダムの設置個所とその形状(図2図4)]
図2におけるIV-IV断面図である図4に示すように、左縁空間20Lと右縁空間20Rのそれぞれには、下方から上方への空気の流れを遮断あるいは抑制するエアダム41が設けられている。ハッチングを施した部分がエアダム41であり、突出した分だけ左縁空間20Lを埋める。エアダム41は左テールランプ30Lや右テールランプ30Rと一体成形されている。具体的には、左テールランプ30Lは、ハウジングとアウタレンズから構成される筐体内にランプや反射板等が収容されたものである。そして、左テールランプ30Lの筐体外面(ハウジングもしくはアウタレンズ)の一部が、バックドア10の左バックドア縁部12L側に向かって突出されてエアダム41として形成されている。右テールランプ30Rのエアダム41も同様である。
【0029】
エアダム41の突出具合としては、バックドア10の左バックドア縁部12Lや右バックドア縁部12Rに接触するまで突出させても良いが、本実施形態では左縁空間20Lおよび右縁空間20Rに浸入した水(雨水など)を通過させるための排水隙間S1が設けられている。エアダム41の上下方向の厚みについては、下方から上方への空気の流れを遮断あるいは抑制できればよく、例えば、1~2mm程度が望ましい。
【0030】
●[エアダムの作用と効果(図6図7)]
図6に示すように、従来、エアダム41を設ける前においては、車両1の走行時、車両1後部に生じた負圧の差により、比較的大きな渦流Wが発生していた。具体的には、車両1の走行時、車両1後部の下側領域RDよりも上側領域RUのほうが負圧が大きくなる。その結果、左テールランプ30L付近における左縁隙間21Lから下縁隙間21Dを経て右テールランプ30R付近における右縁隙間21Rまでの隙間全体が吸い込み口となって空気を吸い込む。そして、吸い込み口から吸われた空気は、左縁空間20Lや右縁空間20Rを通って、最も負圧が大きい上端まで到達すると、吸い出し口となっている左縁隙間21L、右縁隙間21Rから噴き出し、渦流Wが発生していた。
【0031】
図7に示すように、本実施形態においては、気流の通り道となっていた左縁空間20Lや右縁空間20Rをエアダム41で塞ぎ、左縁空間20Lと右縁空間20Rがそれぞれ分断される。そして、分断後の上側の左縁空間20Lを分断後上側左縁空間22L、分断後の下側の左縁空間20Lを分断後下側左縁空間23Lとすると、分断後上側左縁空間22Lではその両端において負圧の差はエアダム41を設ける前と比較して小さくなる(外形意匠により程度の差はある)。同様に、分断後下側左縁空間23Lでもその両端において負圧の差はエアダム41を設ける前と比較して小さくなる(外形意匠により程度の差はある)。よって、分断後上側左縁空間22L、分断後下側左縁空間23Lにおける空気の吸い込み量と吸い出し量が低減され、車両1後方に向かって発生する渦流は小さくなり、車体背面における負圧の増大を抑制することができる。なお、分断後の上側の右縁空間20Rである分断後上側右縁空間22Rや分断後の下側の右縁空間20Rである分断後下側右縁空間23Rにおいても同様である。
【0032】
●[第2の実施の形態におけるエアダム(図8図9)]
続いて、本発明の第2の実施形態に係るエアダムについて説明する。以下の実施形態では、図8で示すA-A断面線、B-B断面線、C-C断面線で示される断面図を用いて、車両1後部の左側のみを説明する。右側は左側と対称であるため説明を省略する。なお、第1の実施形態にてすでに説明した事項については適宜説明を省略する。
【0033】
図8におけるA-A断面である図9に示すように、全閉状態のバックドア10に覆われる車両開口縁部51における車両後部開口部50の側となる端部には、周方向に連続するウェザーストリップ25が装着されている。左縁空間20Lは、バックドア10が全閉状態とされた場合に上下方向に延びるように、かつ、ウェザーストリップ25に隣接して形成されている。エアダム42は、ウェザーストリップ25と一体成形されている。エアダム42の上下方向の厚みについては、第1の実施形態と同じく、例えば、1~2mm程度が望ましい。
【0034】
エアダム42と左車両開口縁部52Lの間には、左縁空間20Lに浸入した水(雨水など)を通過させるための排水隙間S2aを設けている。一方、エアダム42と左バックドア縁部12Lの間には、車両1走行時に発生し得る異音を低減するために隙間S2bが設けられているが、隙間S2bを無くしエアダム42を左バックドア縁部12Lに接触させても良い。
【0035】
なお、ウェザーストリップ25は、車両後部開口部50を取り囲むように全周囲に装着されているため、エアダム42を設ける位置としては図8におけるA-A断面線の位置に限られず、例えば、図8におけるB-B断面線、C-C断面線にしても良い。
【0036】
なお、エアダム42をウェザーストリップ25と一体成形することなく別体で構成し、別体のエアダム42をウェザーストリップ25に取り付けるようにしても良い。
【0037】
●[第3の実施の形態におけるエアダム(図8図10)]
図8におけるA-A断面である図10に示すように、従来、左バックドア縁部12Lにおける左車両開口縁部52Lと対向する位置には、バックドア10を閉じる際に異物を挟み込むことを防止するための左タッチセンサ60Lが設けられている。エアダム43は、左タッチセンサ60Lと一体成形されている。例えば左タッチセンサ60Lは、左バックドア縁部12Lに沿って上下に延びる形状とされている。エアダム43の上下方向の厚みについては、第1の実施形態と同じく、例えば、1~2mm程度が望ましい。エアダム43と左車両開口縁部52Lの間には、左縁空間20Lに浸入した水(雨水など)を通過させるための排水隙間S3が設けられている。
【0038】
なお、左タッチセンサ60Lは、左バックドア縁部12Lのほぼ全領域に装着されているため、エアダム43を設ける位置としては図8におけるA-A断面線の位置に限られず、例えば、図8におけるB-B断面線、C-C断面線しても良い。
【0039】
●[第4の実施の形態におけるエアダム(図8図11)]
図8におけるB-B断面である図11に示すように、左車両開口縁部52Lの一部にはボディ側サイドストッパ61L(左車両側緩衝部材に相当)が設けられており、ボディ側サイドストッパ61Lに対向する左バックドア縁部12Lにはバックドア側サイドストッパ62L(左バックドア側緩衝部材に相当)が設けられている。ボディ側サイドストッパ61L、バックドア側サイドストッパ62Lは、車両1の走行中におけるバックドア10の振動を抑えるために設けられており、バックドア側サイドストッパ62Lは、バックドア10の開閉に応じて、ボディ側サイドストッパ61Lに対して係脱する。
【0040】
エアダム44aは、ボディ側サイドストッパ61Lと一体成形されている。エアダムは、左車両側緩衝部材または左バックドア緩衝部材と一体成形されていればよいため、変形例として、図12図13に示すような、エアダム44b、44cであってもよい。具体的には、エアダム44bは、バックドア側サイドストッパ62Lと一体成形されたものである。またエアダム44cは、ボディ側サイドストッパ61Lとバックドア側サイドストッパ62Lそれぞれに一体成形されたものである。エアダム44a、44b、44cの上下方向の厚みについては、第1の実施形態と同じく、例えば、1~2mm程度が望ましい。
【0041】
図11に示すように、エアダム44aと左車両開口縁部52Lの間には、左縁空間20Lに浸入した水(雨水など)を通過させるための排水隙間S41aが設けられている。一方、エアダム44aと左バックドア縁部12Lの間には、異音を低減するために隙間S41bが設けられているが、隙間S41bを無くしエアダム44aを左バックドア縁部12Lに接触させても良い。
【0042】
図12に示すように、エアダム44bと左車両開口縁部52Lの間には、左縁空間20Lに浸入した水(雨水など)を通過させるための排水隙間S42aが設けられている。一方、エアダム44bと左バックドア縁部12Lの間には、異音を低減するために隙間S42bが設けられているが、隙間S42bを無くしエアダム44bを左バックドア縁部12Lに接触させても良い。
【0043】
図13に示すように、エアダム44cと左車両開口縁部52Lの間には、左縁空間20Lに浸入した水(雨水など)を通過させるための排水隙間S43aが設けられている。一方、エアダム44cと左バックドア縁部12Lの間には、異音を低減するために隙間S43bが設けられているが、隙間S43bを無くしエアダム44cを左バックドア縁部12Lに接触させても良い。
【0044】
なお、ボディ側サイドストッパ61L、バックドア側サイドストッパ62Lおよびエアダム44a~44cを設ける位置としては図8におけるB-B断面線の位置に限られず、例えば、図8におけるA-A断面線、C-C断面線しても良い。
【0045】
●[第5の実施の形態におけるエアダム(図8図14)]
図8におけるC-C断面である図14に示すように、左縁空間20Lの一部は、車両1のバンパーカバー35に隣接している。エアダム45は、バンパーカバー35と一体成形されている。具体的には、バンパーカバー35の一部が、バックドア10の左バックドア縁部12L側に向かって突出されて、エアダム45が形成されている。エアダム45は、バックドア10の左バックドア縁部12Lに接触するまで突出されていても良いが、本実施形態では左縁空間20Lに浸入した水(雨水など)を通過させるための排水隙間S5が設けられている。エアダム45の上下方向の厚みについては、第1の実施形態と同じく、例えば、1~2mm程度が望ましい。
【0046】
●[第6の実施の形態におけるエアダム(図8図15)]
図8におけるC-C断面である図15に示すように、左車両開口縁部52Lの一部にはボディ側クッションゴム63L(左車両側緩衝部材に相当)が設けられており、ボディ側クッションゴム63Lに対向する左バックドア縁部12Lにはバックドア側クッションゴム64L(左バックドア側緩衝部材に相当)が設けられている。なお、ボディ側クッションゴム63Lとバックドア側クッションゴム64Lは、バックドア10の全閉時に互いに当接し、例えば、車両1の走行時のバックドア10のがたつき防止や、バックドア10の閉まり具合を制御する機能を有するものである。エアダム46は、ボディ側クッションゴム63Lと一体成形されている。エアダム46の上下方向の厚みについては、第1の実施形態と同じく、例えば、1~2mm程度が望ましい。
【0047】
エアダム46と左車両開口縁部52Lの間には、左縁空間20Lに浸入した水(雨水など)を通過させるための排水隙間S6aが設けられている。一方、エアダム46と左バックドア縁部12Lの間には、異音を低減するために隙間S6bが設けられているが、隙間S6bを無くしエアダム46を左バックドア縁部12Lに接触させても良い。
【0048】
●[排水孔の例(図16)]
第1~第6の実施形態では、排水隙間を設けるものとして説明したが、左縁空間および右縁空間内に浸入した水が通過しさえすればよく、1つ又は複数の孔を設けて排水孔としてもよい。例えば、図16に示すように、左テールランプ30Lの筐体外面(ハウジングもしくはアウタレンズ)の一部を、バックドア10の左バックドア縁部12L側に接触するまで突出させてエアダム41を形成したうえで、エアダム41の付け根付近に排水孔Kを設けても良い。エアダム41の上下方向の厚みについては、下方から上方への空気の流れを遮断あるいは抑制できればよく、例えば、1~2mm程度が望ましい。なお、排水隙間および排水孔はエアダムにおける最も低い位置に設けられていることが好ましい。また、左縁空間20L、右縁空間20Rに浸入した水は、主に、左車両開口縁部52L、右車両開口縁部52Rに沿って流れ落ちるので、排水隙間、排水孔は、左車両開口縁部52L、右車両開口縁部52Rに落ちる位置に設けられていることが、より好ましい。
【0049】
本発明の車両のバックドアの空気抵抗低減構造は、本実施の形態で説明した外観、構成、構造等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0050】
以上、各実施形態において、左縁空間と右縁空間のそれぞれに一つのエアダムを設けるものとして説明したが、左縁空間と右縁空間のそれぞれに複数のエアダムを設けても良い。例えば、ウェザーストリップに2つのエアダム(図8で示すA-A断面線付近とC-C断面線付近)を設けても良いし、テールランプに1つ目のエアダムを設けたうえで、さらにバンパーカバーにも2つ目のエアダムを設けるようにしても良い。
【0051】
第1の実施形態では、排水隙間S1を設けるものとして説明したが、エアダム41をバックドア10の左バックドア縁部12Lおよび右バックドア縁部12Rに対し、完全に接触するまで突出させても良い。なお、第2~第6の実施形態における排水隙間についても同様に無くしてもよい。
【0052】
第1の実施形態における作用と効果にて、従来、負圧の差によって、空気が左縁空間20Lや右縁空間20Rを下方から上方に向かって通り、エアダムによってその気流を遮断あるいは抑制するものとして説明した。しかし、エアダムが遮断あるいは抑制する対象は、下方から上方に向かう気流に限定されない。すなわち、車両後部のデザインによっては、空気が左縁空間20Lや右縁空間20Rを、逆に、上方から下方に向かって通る場合もあり、その場合でもエアダムは有効に機能する。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
10 バックドア
12 縁部
12R 右バックドア縁部
12L 左バックドア縁部
12D 下辺バックドア縁部
20R 右縁空間
20L 左縁空間
20D 下縁空間
21R 右縁隙間
21L 左縁隙間
21D 下縁隙間
22L 分断後上側左縁空間
23L 分断後下側左縁空間
25 ウェザーストリップ
30 テールランプ
30R 右テールランプ
30L 左テールランプ
35 バンパーカバー
41~43、44a~44c、45、46 エアダム
50 車両後部開口部
51 車両開口縁部
52R 右車両開口縁部
52L 左車両開口縁部
52D 下辺車両開口縁部
60L 左タッチセンサ
61L ボディ側サイドストッパ
62L バックドア側サイドストッパ
63L ボディ側クッションゴム
64L バックドア側クッションゴム
S1、S2a、S3、S41a、S42a、S43a、S5、S6a 排水隙間
S2b、S41b、S42b、S43b、S6b 隙間
W 渦流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16