(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167410
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ワークの板厚測定装置およびワークの板厚測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/06 20060101AFI20221027BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20221027BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20221027BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G01B11/06 Z
B23Q17/20 A
B23Q17/24 Z
B21D43/00 B
B21D43/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073183
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】594027878
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 義忠
(72)【発明者】
【氏名】山本 公男
(72)【発明者】
【氏名】中之庄 慎市
(72)【発明者】
【氏名】中村 功
【テーマコード(参考)】
2F065
3C029
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA30
2F065BB01
2F065DD06
2F065GG04
2F065HH13
2F065JJ05
2F065PP11
2F065QQ08
2F065QQ25
2F065RR03
2F065TT03
2F065TT07
3C029BB02
3C029BB10
3C029EE20
(57)【要約】
【課題】ワークの板厚の測定にタイムロスを生じさせることなく、ワークの板厚を正確に測定できるワークの板厚測定装置を提供すること。
【解決手段】板厚測定装置3は、ワーク7を保持させる保持体31と、保持体31に保持させたワーク7の上面7aの略中心までの第1垂直距離Cを測定する非接触レーザ式の上センサ32と、保持体31に保持させたワーク7の下面7bの略中心までの第2垂直距離Dを測定する非接触レーザ式の下センサ33と、マスターワークで予め測定しておいた第1垂直距離Cとマスターワークで予め測定しておいた第2垂直距離Dとを加算して成る基準垂直距離と、ワーク7で測定した第1垂直距離Cとワーク7で測定した第2垂直距離Dとを加算して成る実測垂直距離との差分を算出し、算出した差分に基づいてワーク7の板厚を測定する制御装置を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの板厚を測定するワークの板厚測定装置であって、
前記ワークを保持させる保持体と、
前記保持体に保持させた前記ワークの上面の略中心までの第1垂直距離を測定する非接触レーザ式の上センサと、
前記保持体に保持させた前記ワークの下面の略中心までの第2垂直距離を測定する非接触レーザ式の下センサと、
前記ワークにおけるマスター材であるマスターワークで予め測定しておいた第1垂直距離と前記マスターワークで予め測定しておいた第2垂直距離とを加算して成る基準垂直距離と、前記ワークで測定した第1垂直距離と前記ワークで測定した第2垂直距離とを加算して成る実測垂直距離との差分を算出し、算出した前記差分に基づいて前記ワークの前記板厚を測定する制御装置と、を備えるワークの板厚測定装置。
【請求項2】
ワークの板厚を測定するワークの板厚測定方法であって、
保持体に保持させた前記ワークのマスター材であるマスターワークの上面の略中心までの第1垂直距離を測定し、
前記保持体に保持させた前記マスターワークの下面の略中心までの第2垂直距離を測定し、
前記第1垂直距離と前記第2垂直距離とを加算して基準垂直距離を算出し、
前記保持体に保持させた前記ワークの上面の略中心までの第1垂直距離を測定し、
前記保持体に保持させた前記ワークの下面の略中心までの第2垂直距離を測定し、
前記第1垂直距離と前記第2垂直距離とを加算して実測垂直距離を算出し、
前記基準垂直距離と前記実測垂直距離との差分を算出し、
算出した前記差分に基づいて前記ワークの前記板厚を測定するワークの板厚測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの板厚を測定するワークの板厚測定装置およびワークの板厚測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレス成形の一連の工程(プレス成形システム)において、プレス成形工程(プレス機のプレス工程)の前工程でワーク(プレス機でプレス成形される前の未加工の状態の薄い鉄板)の板厚が測定されている(例えば、特許文献1参照)。この測定された板厚が基準値を超えていると、プレス成形システムは、ワークの板厚の異常(例えば、ワークが2枚重なっている)と判断する。そのため、プレス成形システムは、プレス機へのワークの搬入を停止する。したがって、プレス機の金型の破損を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した技術では、例えば、ワークの上方位置からワークの上面位置に接触式センサが下降し、下降した接触式センサがワークの上面に接触することでワークの板厚を測定している。このようにワークの上方位置とワークの上面位置の間で接触式センサが昇降するため、例えば、材料リフタからプレス機にワークを搬入する移載機に接触式センサが干渉することがあった。
【0005】
この干渉を防止するために、移載機の高さを超える高さ位置まで接触式センサを上昇させることが考えられた。すなわち、接触式センサの昇降ストロークを長く確保することが考えられた。しかしながら、この考えでは、接触式センサの昇降時間が長くなるため、ワークの板厚の測定にタイムロスが生じることとなっていた。したがって、プレス成形の生産性が悪化する問題が発生していた。
【0006】
この問題を解決するために、平面視におけるワークの隅で接触式センサを昇降させることが考えられた。しかしながら、この考えでは、ワークに反り返りが生じている場合、測定したワークの板厚に誤差が生じることがあった。したがって、測定したワークの板厚が不正確なものとなっていた。
【0007】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、ワークの板厚の測定にタイムロスを生じさせることなく、ワークの板厚を正確に測定できるワークの板厚測定装置およびワークの板厚測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの特徴によると、ワークの板厚を測定するワークの板厚測定装置は、ワークを保持させる保持体を備える。また、板厚測定装置は、保持体に保持させたワークの上面の略中心までの第1垂直距離を測定する非接触レーザ式の上センサを備える。また、板厚測定装置は、保持体に保持させたワークの下面の略中心までの第2垂直距離を測定する非接触レーザ式の下センサを備える。また、板厚測定装置は、制御装置を備える。制御装置は、ワークにおけるマスター材であるマスターワークで予め測定しておいた第1垂直距離とマスターワークで予め測定しておいた第2垂直距離とを加算して成る基準垂直距離を算出する。また、制御装置は、ワークで測定した第1垂直距離とワークで測定した第2垂直距離とを加算して成る実測垂直距離を算出する。そして、制御装置は、これら基準垂直距離と実測垂直距離の差分を算出し、算出した差分に基づいてワークの板厚を測定する。
【0009】
板厚測定装置において、非接触レーザ式の上センサ、下センサを使用しているため、ワークの板厚を瞬時に測定できる。したがって、ワークの板厚の測定にタイムロスを生じさせることがない。また、上センサは、保持体に保持させたワークの上面の略中心までの第1垂直距離を測定している。また、下センサは、保持体に保持させたワークの下面の略中心までの第2垂直距離を測定している。そのため、ワークの略中心の板厚を測定している。したがって、ワークに反り返りが生じている場合でも、測定したワークの板厚に誤差が生じることがない。したがって、ワークの板厚を正確に測定できる。
【0010】
本開示の他の特徴によると、ワークの板厚を測定するワークの板厚測定方法は、保持体に保持させたワークのマスター材であるマスターワークの上面の略中心までの第1垂直距離を測定し、保持体に保持させたマスターワークの下面の略中心までの第2垂直距離を測定し、第1垂直距離と第2垂直距離とを加算して基準垂直距離を算出しておく。また、保持体に保持させたワークの上面の略中心までの第1垂直距離を測定し、保持体に保持させたワークの下面の略中心までの第2垂直距離を測定し、第1垂直距離と第2垂直距離とを加算して実測垂直距離を算出する。そして、基準垂直距離と実測垂直距離との差分を算出し、算出した差分に基づいてワークの板厚を測定する。
【0011】
そのため、上述した板厚測定装置と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態のプレス成形システムの全体構成図である。
【
図2】
図1の電気的構成を説明するブロック図である。
【
図3】
図1のプレス成形システムの次の動作の説明図である。
【
図10】マスターワークにおいて基準垂直距離の算出の説明図である。
【
図11】ワークが1枚のときの実測垂直距離の算出の説明図である。
【
図12】ワークが2枚のときの実測垂直距離の算出の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態の1つを
図1~12を参照して説明する。説明中、同じ部品番号は、同じ機能を有し、重複する説明を省略する。各図面で用いた各方向(上、下、前、後)は、ワーク7の流れ方向を前方向として決定している。
【0014】
まず、
図1~2、10を参照して、実施形態に係るプレス成形システム1を説明する。プレス成形システム1は、予め準備しておいたワーク7(板厚T=1mmの鉄板)をプレス成形することで所定の形状の製品を成形する装置群である。そのため、このプレス成形システム1は、工程の上流側から下流側に向けて、材料リフタ2と、第1移載機3と、第1プレス機4と、第2移載機5と、第2プレス機6を順に備えている(
図1参照)。以下に、これら材料リフタ2と、第1移載機3と、第1プレス機4と、第2移載機5、第2プレス機6を個別に説明する。
【0015】
はじめに、材料リフタ2を説明する(
図1参照)。材料リフタ2は、フロア50に設置される材料リフタ本体20と、シリンダ21と、マグネット分離機22を備えている。材料リフタ本体20には、巻いたコイル(図示しない)を引き延ばして切断された複数枚のワーク7が上下に重ねられた状態でセットされている。そして、シリンダ21を動作させると、一番上のワーク7のみがマグネット分離機22によって残りのワーク7に対して浮き上がる。また、シリンダ21は、後述する制御装置38に電気的に接続されている(
図2参照)。材料リフタ2は、このように構成されている。
【0016】
次に、第1移載機3を説明する(
図1参照)。第1移載機3は、フロア50に設置される移載機本体30と、移載機本体30に備えられるテーブル31と、テーブル31を介して上下に対向する非接触レーザ式の上センサ32、非接触レーザ式の下センサ33と、移載機本体30に対して前位置、後位置および前後の中間である中間位置にスライドするアーム34を備えている。
【0017】
移載機本体30は、プログラム、データ等を記憶するメモリと、プログラムに基づいて各種機器を制御する演算処理装置を有する制御装置38を備えている。テーブル31は、ワーク7を載せ可能に移載機本体30に備えられている。もちろん、テーブル31は、ワーク7だけでなくワーク7のマスター材であるマスターワーク8も載せ可能となっている。
【0018】
テーブル31には、平面視における略中央に貫通孔31aが形成されている(
図10参照)。上センサ32は、上センサ32自身の鉛直方向の下方にある物体の上面(例えば、ワーク7の上面7a、マスターワーク8の上面8a)の略中心までの第1垂直距離Cを測定可能に移載機本体30に備えられている。このとき、
図10から明らかなように、テーブル31の上面31bと上センサ32の距離A=200mmとなるように、上センサ32は移載機本体30に備えられている。
【0019】
下センサ33は、下センサ33自身の鉛直方向の上方にある物体の下面(例えば、ワーク7の下面7b、マスターワーク8の下面8b)の略中心までの第2垂直距離Dを測定可能に移載機本体30に備えられている。このとき、
図10から明らかなように、テーブル31の上面31bと下センサ33の距離B=30mmとなるように、下センサ33は移載機本体30に備えられている。なお、この
図10から明らかなように、これら上センサ32と下センサ33は、テーブル31の貫通孔31aの中心を通る軸線上に上下に対向している。
【0020】
アーム34は、移載機本体30に対して駆動源35を介して前位置、後位置および前後の中間である中間位置にスライド可能に構成されている。また、アーム34は、前位置、後位置にスライドした状態において、移載機本体30に対して駆動源35を介して上下にスライド可能(昇降可能に)に構成されている。アーム34の両端(前端、後端)には、吸着装置37に接続された吸着部36が備えられている。
【0021】
そのため、吸着装置37を動作させると、吸着部36に物体(例えば、ワーク7)を吸着(真空吸着)できる。したがって、アーム34を前位置、後位置にスライドさせると、吸着された物体もスライドさせることができる。また、上センサ32と、下センサ33と、吸着部36と、吸着装置37は、制御装置38に電気的に接続されている(
図2参照)。なお、制御装置38のメモリには、基準垂直距離Sが記憶されている。この基準垂直距離Sとは、ワーク7におけるマスター材であるマスターワーク8で予め測定しておいた第1垂直距離Cとマスターワーク8で予め測定しておいた第2垂直距離Dとを加算したものである。
【0022】
この場合、マスターワーク8の板厚T=1mmであるため、マスターワーク8で予め測定しておいた第1垂直距離C=199mmとなる(
図10参照)。また、マスターワーク8で予め測定しておいた第2垂直距離D=30mmとなる。そのため、基準垂直距離S=第1垂直距離C+第2垂直距離D=199mm+30mm=229mmが制御装置38によって算出され、この算出された基準垂直距離Sが制御装置38のメモリに記憶されている。
【0023】
なお、第1移載機3のテーブル31に載せられたときのワーク7の中心位置は、第1プレス機4のボルスタ40のセンター位置から第1移載機3のアーム34のストローク(前位置と後位置の間隔)だけ離れた位置となるように決められている。すなわち、ワーク7は、第1移載機3のテーブル31の略中央に載せられる。したがって、上センサ32は、テーブル31に載せたワーク7の上面7aの略中心までの第1垂直距離Cを測定できる。また、下センサ33は、テーブル31に載せたワーク7の下面7bの略中心までの第2垂直距離Dを測定できる。第1移載機3は、このように構成されている。この第1移載機3が、特許請求の範囲に記載の「板厚測定装置」に相当する。
【0024】
次に、第1プレス機4を説明する(
図1参照)。第1プレス機4は、フロア50に設置されるボルスタ40と、ボルスタ40に骨格(図示しない)を介して上下に対向配置されるスライド41と、ボルスタ40に取り付けられる下金型42と、スライド41に取り付けられる上金型43を備えている。下金型42と上金型43は、駆動源44を介して型締め型開き可能に構成されている。下金型42にワーク7を載せた状態で型締めを行うと、載せたワーク7に一次加工を施すことができる。また、駆動源44は、制御装置38に電気的に接続されている(
図2参照)。第1プレス機4は、このように構成されている。
【0025】
次に、第2移載機5を説明する(
図1参照)。第2移載機5は、第1移載機3と同様に、フロア50に設置される移載機本体30と、移載機本体30に備えられるテーブル31と、移載機本体30に対して前後にスライドするアーム34を備えている。第2移載機5は、このように構成されている。
【0026】
最後に、第2プレス機6を説明する(
図1参照)。第2プレス機6は、フロア50に設置されるボルスタ40と、ボルスタ40に骨格(図示しない)を介して上下に対向配置されるスライド41と、ボルスタ40に取り付けられる下金型42と、スライド41に取り付けられる上金型43を備えている。下金型42に一次加工が施されたワーク7を載せた状態で型締めを行うと、載せたワーク7に二次加工を施すことができる。この二次加工により、製品が出来上がる。第2プレス機6は、このように構成されている。
【0027】
上述した材料リフタ2と、第1移載機3と、第1プレス機4と、第2移載機5と、第2プレス機6からプレス成形システム1は構成されている。
【0028】
続いて、
図1、3~9、11~12を参照して、プレス成形システム1の動作を説明する。この説明では、
図1に示すプレス成形システム1の初期状態から説明する。この初期状態では、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34は、中間位置に位置した状態となっている。また、材料リフタ2の一番上のワーク7は、マグネット分離機22によって残りのワーク7に対して浮き上がった状態となっている。
【0029】
また、第1移載機3のテーブル31には、ワーク7が載せられた状態となっている。また、第1プレス機4の下金型42には、一次加工が施されたワーク7が載せられた状態となっている。また、第2移載機5のテーブル31には、一次加工が施されたワーク7が載せられた状態となっている。また、第2プレス機6の下金型42には、二次加工が施されたワーク7が載せられた状態となっている。
【0030】
なお、第1移載機3のテーブル31にワーク7が載せられると、上センサ32は、瞬時に、第1垂直距離Cを測定する処理を実行する(
図11参照)。このとき、測定した第1垂直距離C=199mmとなる。また、下センサ33も、瞬時に、第2垂直距離Dを測定する処理を実行する。このとき、測定した第2垂直距離D=30mmとなる。そのため、実測垂直距離M=第1垂直距離C+第2垂直距離D=199mm+30mm=229mmが制御装置38によって算出され、この算出された実測垂直距離Mが制御装置38のメモリに記憶される。
【0031】
この実測垂直距離Mが記憶されると、制御装置38は、既に記憶されている基準垂直距離Sと、この実測垂直距離Mの差分を算出する処理を実行する。この場合、制御装置38は、基準垂直距離S(229mm)と実測垂直距離M(229mm)の差分=0mmと算出する。このように差分=0mmと算出されると、制御装置38は、マスターワーク8の板厚Tとワーク7の板厚Tの差が無いと判定する。
【0032】
すなわち、制御装置38は、瞬時に、ワーク7の板厚T=1mmと測定するため、第1移載機3のテーブル31に載せられているワーク7が1枚であると判定する。したがって、制御装置38は、第1移載機3のテーブル31に載せられているワーク7を第1プレス機4に搬入してプレス成形しても第1プレス機4の下金型42と上金型43の破損の恐れが無いと判定するため、下記に記す処理を実行する。
【0033】
まず、初期状態(
図1に示す状態)から、制御装置38は、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34を後位置にスライドさせる処理を実行する。これにより、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34が後位置にスライドする(
図3参照)。次に、
図3に示す状態から、制御装置38は、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34を下降させる処理を実行する。これにより、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34が下降する(
図4参照)。
【0034】
この下降の完了と同時に、制御装置38は、第1移載機3の吸着装置37および第2移載機5の吸着装置37を動作させる処理を実行する。これにより、材料リフタ2の一番上のワーク7(マグネット分離機22によって浮上しているワーク7)および第1移載機3のテーブル31に載せられた一次加工が施されたワーク7が第1移載機3のアーム34の各吸着部36に吸着される。また、これにより、第1プレス機4の下金型42に載せられた一次加工が施されたワーク7および第2移載機5のテーブル31に載せられた一次加工が施されたワーク7が第2移載機5のアーム34の各吸着部36に吸着される。
【0035】
次に、
図4に示す状態から、制御装置38は、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34を上昇させる処理を実行する。これにより、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34が上昇する(
図5参照)。そのため、材料リフタ2の一番上のワーク7、第1移載機3のテーブル31に載せられた一次加工が施されたワーク7、第1プレス機4の下金型42に載せられた一次加工が施されたワーク7および第2移載機5のテーブル31に載せられた一次加工が施されたワーク7が持ち上げられる(上昇する)。
【0036】
これと同時に、第2プレス機6の下金型42に載せられた二次加工が施されたワーク7が製品としてプレス成形システム1の外部へアーム(図示しない)を介して搬出される。次に、
図5に示す状態から、制御装置38は、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34を前位置にスライドさせる処理を実行する。これにより、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34が前位置にスライドする(
図6参照)。
【0037】
次に、
図6に示す状態から、制御装置38は、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34を下降させる処理を実行する。これにより、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34が下降する(
図7参照)。この下降の完了と同時に、制御装置38は、第1移載機3の吸着装置37および第2移載機5の吸着装置37の動作を停止させる処理を実行する。
【0038】
これにより、第1移載機3のアーム34の各吸着部36および第2移載機5のアーム34の各吸着部36の吸着が停止する。そのため、第1移載機3のテーブル31にワーク7が載せられる。また、第1プレス機4の下金型42にワーク7が載せられる。また、第2移載機5のテーブル31に一次加工が施されたワーク7が載せられる。また、第2プレス機6の下金型42に一次加工が施されたワーク7が載せられる。
【0039】
次に、
図7に示す状態から、制御装置38は、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34を上昇させる処理を実行する。これにより、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34が上昇する(
図8参照)。次に、
図8に示す状態から、制御装置38は、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34を中間位置にスライドさせる処理を実行する。これにより、第1移載機3のアーム34および第2移載機5のアーム34が中間位置にスライドする(
図9参照)。
【0040】
次に、
図9に示す状態から、制御装置38は、第1プレス機4の駆動源44および第2プレス機6の駆動源44を動作させる処理を実行する。これにより、第1プレス機4の下金型42と上金型43の型締め型開きが行われ、下金型42に載せたワーク7に一次加工が施される。また、これにより、第2プレス機6の下金型42と上金型43の型締め型開きが行われ、下金型42に載せた一次加工が施されたワーク7に二次加工が施される。これら一連の処理が完了すると、
図1の初期状態に戻るため、以降、上述した一連の処理が繰り返される。そのため、所定の形状の製品を連続して成形できる。
【0041】
なお、材料リフタ2において、一番上のワーク7と二枚目のワーク7が油によってくっついた状態で二枚一緒に浮き上がる場合がある。この場合、第1移載機3のテーブル31に上下に重なった状態で2枚のワーク7が載せられる(
図12参照)。すると、測定した第1垂直距離C=198mmとなる。また、測定した第2垂直距離D=30mmとなる。そのため、実測垂直距離M=第1垂直距離C+第2垂直距離D=198mm+30mm=228mmが制御装置38によって算出され、この算出された実測垂直距離Mが制御装置38のメモリに記憶される。
【0042】
この実測垂直距離Mが記憶されると、制御装置38は、既に記憶されている基準垂直距離Sと、この実測垂直距離Mの差分を算出する処理を実行する。この場合、制御装置38は、基準垂直距離S(229mm)と実測垂直距離M(228mm)の差分=1mmと算出する。このように差分=1mmと算出されると、制御装置38は、ワーク7の板厚T=2mmと測定する。
【0043】
すなわち、制御装置38は、ワーク7が2枚であると判定する。そのため、ワーク7の板厚Tを正確に測定できる。なお、制御装置38は、第1移載機3のテーブル31に載せられているワーク7を第1プレス機4に搬入してプレス成形すると第1プレス機4の下金型42と上金型43の破損の恐れが有ると判定するため、以降の処理を停止する処理を実行する。
【0044】
なお、これと同様に、ワーク7が3枚重なっていると、制御装置38によって差分=2mmと算出される。この場合、制御装置38は、ワーク7の板厚T=3mmと測定するため、ワーク7が3枚であると判定する。また、これと同様に、ワーク7が0枚の場合、制御装置38によって差分=-1mmと算出される。この場合、制御装置38は、ワーク7の板厚T=-1mmと測定するため、ワーク7が0枚であると判定する。以降、同様である。
【0045】
実施形態を上記構成を参照して説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって実施形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば実施形態は、特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。
【0046】
実施形態に係る板厚測定装置は、上述したように構成されている。この構成によれば、板厚測定装置は、ワーク7を載せるテーブル31と、テーブル31に載せたワーク7の上面7aの略中心までの第1垂直距離Cを測定する非接触レーザ式の上センサ32と、テーブル31に載せたワーク7の下面7bの略中心までの第2垂直距離Dを測定する非接触レーザ式の下センサ33と、制御装置38を備えている。制御装置38は、ワーク7におけるマスター材であるマスターワーク8で予め測定しておいた第1垂直距離Cとマスターワーク8で予め測定しておいた第2垂直距離Dとを加算して成る基準垂直距離Sを算出する。また、制御装置38は、ワーク7で測定した第1垂直距離Cとワーク7で測定した第2垂直距離Dとを加算して成る実測垂直距離Mを算出する。そして、制御装置38は、基準垂直距離Sと実測垂直距離Mとの差分を算出し、算出した差分に基づいてワーク7の板厚Tを測定する。
【0047】
このように非接触レーザ式の上センサ32、下センサ33を使用しているため、ワーク7の板厚Tを瞬時に測定できる。したがって、ワーク7の板厚Tの測定にタイムロスを生じさせることがない。また、上センサ32は、テーブル31に載せたワーク7の上面7aの略中心までの第1垂直距離Cを測定している。また、下センサ33は、テーブル31に載せたワーク7の下面7bの略中心までの第2垂直距離Dを測定している。そのため、ワーク7の略中心の板厚Tを測定している。したがって、ワーク7に反り返りが生じている場合でも、測定したワーク7の板厚に誤差が生じることがない。したがって、ワーク7の板厚Tを正確に測定できる。
【0048】
上記構成によると、移載機本体30に制御装置38を備える形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、プレス成形システム1の内外に捉われることなく、制御装置38をどこに備える形態でも構わない。また、上記構成によると、テーブル31にワーク7を載せる形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、把持部材(チャック等)にワーク7を把持させる形態でも構わない。
【符号の説明】
【0049】
3 第1移載機(板厚測定装置)
7 ワーク
7a 上面
7b 下面
8 マスターワーク
31 テーブル(保持体)
32 上センサ
33 下センサ
C 第1垂直距離
D 第2垂直距離
S 基準垂直距離
M 実測垂直距離
T 板厚