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特開2022-167411リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法
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  • 特開-リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法 図1
  • 特開-リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法 図2
  • 特開-リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法 図3
  • 特開-リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167411
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20221027BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20221027BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221027BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01M10/44 P
H01G11/84
H01M10/48 P
H02J7/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073184
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】598103705
【氏名又は名称】林田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 知也
【テーマコード(参考)】
5E078
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5E078LA01
5E078LA03
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA05
5G503EA09
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電を効率よく実施する方法を提供すること。
【解決手段】リチウムイオンバッテリ2に接続可能な商用電源61と、リチウムイオンバッテリ2に接続可能となっており、かつ商用電源61に電気的に並列に接続された充放電用リチウムイオンキャパシタ62と、商用電源61と充放電用リチウムイオンキャパシタ62の並列の接続をいずれか一方に切り替え可能な切替部63を有する充放電電源装置60の切替部63を商用電源61側に切り替える。切り替えの後に、商用電源61からリチウムイオンバッテリ2を充電する。充電の後に、充放電電源装置60の切替部63を充放電用リチウムイオンキャパシタ62側に切り替える。切り替えの後に、充電されたリチウムイオンバッテリ2から充放電用リチウムイオンキャパシタ62に放電する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法であって、
前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタに接続可能な商用電源と、前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタに接続可能となっており、かつ前記商用電源に電気的に並列に接続された充放電用リチウムイオンキャパシタと、前記商用電源と前記充放電用リチウムイオンキャパシタの前記並列の前記接続をいずれか一方に切り替え可能な切替部と、を有する充放電電源装置の前記切替部を前記商用電源側に切り替え、
前記切り替えの後に、前記商用電源から前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタを充電し、
前記充電の後に、前記充放電電源装置の前記切替部を前記充放電用リチウムイオンキャパシタ側に切り替え、
前記切り替えの後に、前記充電された前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタから前記充放電用リチウムイオンキャパシタに放電するリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法。
【請求項2】
請求項1に記載のリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法であって、
前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタの前記充電および前記放電を繰り返して行う場合、
前記放電の後に、蓄電された前記充放電用リチウムイオンキャパシタから前記リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタを充電し、
前記充電の後に、前記充電された前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタから前記充放電用リチウムイオンキャパシタに放電するリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法。
【請求項3】
請求項2に記載のリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法であって、
前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタの充電可能容量と、前記充放電用リチウムイオンキャパシタの蓄電容量と、を計測可能な制御装置は、前記繰り返しの前記充電の途中において、前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタの前記充電可能容量がゼロでなく、かつ前記充放電用リチウムイオンキャパシタの前記蓄電容量が適正電池残量になったことを判断すると、前記充放電電源装置の前記切替部を前記商用電源側に切り替え、
前記切り替えの後に、前記商用電源から前記リチウムイオンバッテリまたは前記リチウムイオンキャパシタを充電するリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法を備えたリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のリチウムイオンバッテリは、その製造工程において、活性化のために検査充放電(少なくとも1回の充電と放電)を必要とする(特許文献1参照)。この検査充放電は、リチウムイオンバッテリを商用電源に接続した状態で行われる。そのため、検査充放電の充電において、商用電源から電力を必要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-20921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の技術では、検査充放電の放電によって放出された電力は商用電源に戻され一部が回生されている。そのため、リチウムイオンバッテリの検査充放電を繰り返し行う場合(同一のリチウムイオンバッテリに対して検査充放電を繰り返し行う場合、または1回の検査充放電を異なるリチウムイオンバッテリに対して繰り返し行う場合)、その都度、商用電源から新たな電力を必要としていた。そこで、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電を効率よく実施する方法が従来求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴であるリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法は、まず、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタに接続可能な商用電源と、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタに接続可能となっており、かつ商用電源に電気的に並列に接続された充放電用リチウムイオンキャパシタと、商用電源と充放電用リチウムイオンキャパシタの並列の接続をいずれか一方に切り替え可能な切替部を有する充放電電源装置の切替部を商用電源側に切り替える。切り替えの後に、商用電源からリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタを充電する。充電の後に、充放電電源装置の切替部を充放電用リチウムイオンキャパシタ側に切り替える。切り替えの後に、充電されたリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタから充放電用リチウムイオンキャパシタに放電する。
【0006】
そのため、充電されたリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタからの電力を充放電用リチウムイオンキャパシタに蓄電できる。したがって、繰り返して、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの充電および放電を行う場合、商用電源からでなく、蓄電された充放電用リチウムイオンキャパシタからリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタを充電できる。結果として、2回目以降の検査充放電において、商用電源からの電力を必要としない。かくして、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電を効率よく実施できる。
【0007】
本開示の他の特徴において、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの充電および放電を繰り返して行う場合、まず、放電の後に、蓄電された充放電用リチウムイオンキャパシタからリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタを充電する。充電の後に、充電されたリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタから充放電用リチウムイオンキャパシタに放電する。
【0008】
そのため、同一のリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタに対して充電および放電を繰り返して行う場合、商用電源からでなく、蓄電された充放電用リチウムイオンキャパシタからリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタを充電できる。したがって、繰り返しの充電および放電において、商用電源からの電力を必要としない。かくして、同一のリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタにおいて検査充放電を繰り返して行う場合でも、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電を効率よく実施できる。
【0009】
本開示の他の特徴において、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの充電可能容量と、充放電用リチウムイオンキャパシタの蓄電容量を計測可能な制御装置は、繰り返しの充電の途中において、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの充電可能容量がゼロでなく、かつ充放電用リチウムイオンキャパシタの蓄電容量が適正電池残量になったことを判断すると、充放電電源装置の切替部を商用電源側に切り替える。切り替えの後に、商用電源からリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタを充電する。
【0010】
そのため、充放電用リチウムイオンキャパシタに蓄電されている電力が不足している場合でも、商用電源からリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタを充電できる。
【0011】
本開示の他の特徴は、リチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法を備えたリチウムイオンバッテリまたはリチウムイオンキャパシタの充放電システムである。そのため、この充放電方法をシステムとして構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る充放電システムの全体構成図である。
図2図1の充放電システムのブロック図である。
図3】実施形態に係る充放電システムのフロー図であり、検査充放電を1回行う場合のフロー図である。
図4図3において、検査充放電を繰り返して行う場合のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態を、図1~4を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、実施形態に係るリチウムイオンバッテリの充放電システム1の全体構成を説明する。充放電システム1は、棚10と、搬入ライン20と、搬出ライン30と、搬送装置40と、計測装置50と、充放電電源装置60とを制御装置70を備えている。これらの電気的な構成として、図2に示すように、リチウムイオンバッテリ2と計測装置50は、電気的に接続可能となっている。また、計測装置50と充放電電源装置60と制御装置70は、互いが電気的に接続可能となっている。
【0014】
棚10は、複数個(この例では、横15×縦3=45個)の載置個所11を備えている。複数個の載置個所11には、リチウムイオンバッテリ2を載置可能となっている。載置されたリチウムイオンバッテリ2は、後述する計測装置50に電気的に接続される。搬入ライン20は、図示しない外部下流工程(リチウムイオンバッテリ2の一連の製造工程における下流工程)で製造されたリチウムイオンバッテリ2を搬入する装置である。
【0015】
外部下流工程から搬入ライン20にリチウムイオンバッテリ2が載せられると、載せられたリチウムイオンバッテリ2を後述する搬送装置40の搬送装置本体42に載せて搬入できる。搬出ライン30は、リチウムイオンバッテリ2を図示しない外部上流工程(リチウムイオンバッテリ2の一連の製造工程における上流工程)に搬出する装置である。後述する棚10から搬送装置40の搬送装置本体42にリチウムイオンバッテリ2が載せられると、載せられたリチウムイオンバッテリ2を搬出ライン30に載せて搬出できる。
【0016】
搬送装置40は、棚10と、搬入ライン20と、搬出ライン30とが繋がるようにリング状に配置されたレール41と、リチウムイオンバッテリ2を載せてレール41を移動する搬送装置本体42とを備えている。計測装置50は、棚10の載置個所11に載置されたリチウムイオンバッテリ2の電圧、電流、温度、充電可能容量等をリアルタイムに計測できる。
【0017】
充放電電源装置60は、計測装置50を介してリチウムイオンバッテリ2に接続可能な商用電源61と、計測装置50を介してリチウムイオンバッテリ2に接続可能となっており、かつ商用電源61に電気的に並列に接続された充放電用リチウムイオンキャパシタ62と、商用電源61と充放電用リチウムイオンキャパシタ62の並列の接続をいずれか一方に切り替え可能な切替部63を備えている。この切り替えは、後述する制御装置70からの処理に基づいて行われる。充放電電源装置60は、充放電用リチウムイオンキャパシタ62の蓄電容量を計測できる。また、商用電源61と充放電用リチウムイオンキャパシタ62は、電気的に直に接続されている。
【0018】
制御装置70は、例えば、バッテリマネージメントユニットであって、プログラム等を記憶するメモリと、プログラムに基づいて各種機器を制御する演算処理装置を備えている。また、制御装置70は、計測装置50で計測されたリチウムイオンバッテリ2の電圧、電流、温度、充電可能容量等をリアルタイムに認識できる。また、制御装置70は、充放電電源装置60で計測された充放電用リチウムイオンキャパシタ62の蓄電容量をリアルタイムに認識できる。充放電システム1は、このように構成されている。
【0019】
次に、図3を参照して、充放電システム1におけるリチウムイオンバッテリ2の検査充放電の方法を説明する。この説明にあたって、リチウムイオンバッテリ2の検査充放電を1回行う場合を説明する。まず、作業者(図示しない)は、外部下流工程で製造されたリチウムイオンバッテリ2を搬入ライン20を介して搬送装置40の搬送装置本体42に載せる第1処理を実行する。次に、作業者は、載せたリチウムイオンバッテリ2を搬送装置40の搬送装置本体42を移動させて棚10の所定の載置個所11にリチウムイオンバッテリ2を載置させる第2処理を実行する。
【0020】
次に、制御装置70は、載置されたリチウムイオンバッテリ2の電圧、電流、温度、充電可能容量等を計測する第3処理を実行する。次に、制御装置70は、充放電電源装置60の切替部63を商用電源61側に切り替える第4処理を実行する。次に、制御装置70は、商用電源61からリチウムイオンバッテリ2を充電する第5処理を実行する。
【0021】
次に、制御装置70は、充放電電源装置60の切替部63を充放電用リチウムイオンキャパシタ62側に切り替える第6処理を実行する。次に、制御装置70は、充電されたリチウムイオンバッテリ2から充放電用リチウムイオンキャパシタ62に放電する第7処理を実行する。次に、作業者は、放電されたリチウムイオンバッテリ2を搬送装置40の搬送装置本体42に載せる第8処理を実行する。
【0022】
次に、作業者は、載せたリチウムイオンバッテリ2を搬送装置40の搬送装置本体42を移動させて搬出ライン30に載せる第9処理を実行する。このようにして、外部下流工程で製造されたリチウムイオンバッテリ2に対して活性化のために検査充放電を実施できる。また、検査充放電されたリチウムイオンバッテリ2を外部上流工程に搬出できる。
【0023】
なお、上述した検査充放電の説明において、同一のリチウムイオンバッテリ2に対して検査充放電を繰り返して行う場合がある。この場合、上述した第7処理と第8処理との間に下記の処理を入れ込んで実行する(図4参照)。制御装置70は、第7処理の後に、蓄電された充放電用リチウムイオンキャパシタ62からリチウムイオンバッテリ2を充電(再充電)する第7A処理を実行する。次に、制御装置70は、充電されたリチウムイオンバッテリ2から充放電用リチウムイオンキャパシタ62に放電(再放電)する第7B処理を実行する。この再充電および再放電を予め決められた所定数だけ繰り返す。やがて、この繰り返しの再充電および再放電が完了すると、上述した第8処理を実行する。
【0024】
また、上述した第7A処理の途中において、充放電用リチウムイオンキャパシタ62に蓄電されている電力が不足する場合がある。その場合、制御装置70は、リチウムイオンバッテリ2の充電可能容量がゼロでなく、かつ充放電用リチウムイオンキャパシタ62の蓄電容量が適正電池残量(例えば、最大蓄電容量の30%)になったことを判断すると、充放電電源装置60の切替部63を商用電源61側に切り替える第7C処理を実行する。その後、制御装置70は、第5処理を実行する。
【0025】
実施形態に係るリチウムイオンバッテリ2の製造工程における充放電方法は、上述した処理によって行われる。この充放電方法によれば、制御装置70は、充放電電源装置60の切替部63を商用電源61側に切り替える第4処理を実行する。次に、制御装置70は、商用電源61からリチウムイオンバッテリ2を充電する第5処理を実行する。次に、制御装置70は、充放電電源装置60の切替部63を充放電用リチウムイオンキャパシタ62側に切り替える第6処理を実行する。次に、制御装置70は、充電されたリチウムイオンバッテリ2から充放電用リチウムイオンキャパシタ62に放電する第7処理を実行する。そのため、充電されたリチウムイオンバッテリ2からの電力を充放電用リチウムイオンキャパシタ62に蓄電できる。したがって、繰り返して、リチウムイオンバッテリ2の検査充放電を行う場合、商用電源61からでなく、蓄電された充放電用リチウムイオンキャパシタ62からリチウムイオンバッテリ2を充電できる。結果として、2回目以降の検査充放電において、商用電源61からの電力を必要としない。かくして、リチウムイオンバッテリ2の製造工程における充放電を効率よく実施できる。
【0026】
また、この充放電方法によれば、同一のリチウムイオンバッテリ2に対して検査充放電を繰り返して行う場合、上述した第7処理と第8処理との間に下記の処理を入れ込んで実行する。制御装置70は、第7処理の後に、蓄電された充放電用リチウムイオンキャパシタ62からリチウムイオンバッテリ2を充電(再充電)する第7A処理を実行する。次に、制御装置70は、充電されたリチウムイオンバッテリ2から充放電用リチウムイオンキャパシタ62に放電(再放電)する第7B処理を実行する。この再充電および再放電を予め決められた所定数だけ繰り返す。やがて、この繰り返しの再充電および再放電が完了すると、上述した第8処理を実行する。そのため、同一のリチウムイオンバッテリ2に対して検査充放電を繰り返して行う場合、商用電源61からでなく、蓄電された充放電用リチウムイオンキャパシタ62からリチウムイオンバッテリ2を充電できる。したがって、繰り返しの検査充放電において、商用電源61からの電力を必要としない。かくして、同一のリチウムイオンバッテリ2において検査充放電を繰り返して行う場合でも、リチウムイオンバッテリ2の製造工程における充放電を効率よく実施できる。
【0027】
また、この充放電方法によれば、第7A処理の途中において、充放電用リチウムイオンキャパシタ62に蓄電されている電力が不足する場合がある。その場合、制御装置70は、リチウムイオンバッテリ2の充電可能容量がゼロでなく、かつ充放電用リチウムイオンキャパシタ62の蓄電容量が適正電池残量(例えば、最大蓄電容量の30%)になったことを判断すると、充放電電源装置60の切替部63を商用電源61側に切り替える第7C処理を実行する。その後、制御装置70は、第5処理を実行する。そのため、充放電用リチウムイオンキャパシタ62に蓄電されている電力が不足している場合でも、商用電源61からリチウムイオンバッテリ2を充電できる。
【0028】
また、この充放電方法を備えたリチウムイオンバッテリ2の充放電システムを提供できる。そのため、この充放電方法をシステムとして構築できる。
【0029】
実施形態を上記構造を参照して説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって実施形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば実施形態は、特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。
【0030】
上記構成によると、リチウムイオンバッテリ2の製造工程における充放電方法を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、リチウムイオンキャパシタの製造工程における充放電方法であっても構わない。また、充放電が可能であれば、ニッケル電池、全個体電池等であっても構わない。
【0031】
また、上記構成によると、同一のリチウムイオンバッテリ2に対して検査充放電を繰り返し行う場合を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、1回の検査充放電を異なるリチウムイオンバッテリ2に対して繰り返し行う場合に適用しても構わない。
【0032】
また、上記構成によると、商用電源61と充放電用リチウムイオンキャパシタ62は、電気的に直に接続されている。そのため、商用電源61から直に充放電用リチウムイオンキャパシタ62を充電して、この充電により蓄電された充放電用リチウムイオンキャパシタ62からリチウムイオンバッテリ2を充電しても構わない。
【符号の説明】
【0033】
1 充放電システム
2 リチウムイオンバッテリ
60 充放電電源装置
61 商用電源
62 充放電用リチウムイオンキャパシタ
63 切替部
図1
図2
図3
図4