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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167424
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】バリ除去用リーマ
(51)【国際特許分類】
   B23D 79/00 20060101AFI20221027BHJP
   B23D 77/12 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B23D79/00 A
B23D77/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073201
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】521177577
【氏名又は名称】阪本 晃弘
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】阪本 晃弘
【テーマコード(参考)】
3C050
【Fターム(参考)】
3C050EA00
3C050EB01
3C050FB02
3C050FB09
3C050FB12
(57)【要約】
【課題】円形状の開口部の内周側のバリを除去するためのバリ除去用リーマであって、除去後の削り屑が開口部内に落ち残存してしまうことを防ぐことができるバリ除去用リーマを提供する。
【解決手段】中空円錐状の本体部と、前記本体部の周面部に形成されたスリット状の収納口と、前記収納口を形成する一方の縁部に設けられた切削刃と、前記本体部の中心軸に沿って前記本体部と一体に設けられた回転軸と、前記本体部の頂部側に設けられ前記本体部の内部空間と連通する収納空間を有する収納部と、を備えたことにより課題を解決した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状の開口部の内周側のバリを除去するためのバリ除去用リーマであって、
中空円錐状の本体部と、
前記本体部の周面部に形成されたスリット状の収納口と、
前記収納口を形成する一方の縁部に設けられた切削刃と、
前記本体部の中心軸に沿って前記本体部と一体に設けられた回転軸と、
前記本体部の頂部側に設けられ前記本体部の内部空間と連通する収納空間を有する収納部と、
を備えたことを特徴とするバリ除去用リーマ。
【請求項2】
前記切削刃は、前記本体部に対して着脱可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載のバリ除去用リーマ。
【請求項3】
前記収納部に設けられ、前記開口部の内周面に接触することで、前記開口部に対する前記本体部の位置をガイドするガイド部を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバリ除去用リーマ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば配管の開口端部等の円形状の開口部の内周側のバリを除去するためのバリ除去用リーマに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管を切断する際に多くは円形の刃で配管の外周側から内周側へ徐々に切り込むことによって切断するパイプカッターが用いられている。
このようなパイプカッターを用いて配管を切断した際には、配管の開口端部の内周側にバリが生起してしまう。
【0003】
バリの除去を行わない又はバリの除去が不十分であれば、例えば、所定の機器に接続される配管の場合は、機器に対する配管の接続が上手くできないことがある。また、ガスの流路を構成する配管の場合は、配管の開口端部のバリは、ガス漏れ等の原因となり得る。したがって、配管の切断面に生じたバリは、基本的に除去する必要がある。
【0004】
そこで、配管のバリを除去するための技術として、例えば、特許文献1には、円錐状に複数の刃を配置し頂部から配管の開口端部に差し入れ回転させることでバリの除去を行うコーンリーマ付き切断器が開示されている。また、特許文献2には、円錐状に配置した複数の刃と配管を内部に収容固定し本体部のぐらつきを減らすガイドと複数の刃の中央に形成した小孔より挿通されバリの除去後に配管内を清掃するためのブラシ付き棒体とを有したリーマが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3129660号公報
【特許文献2】実用新案登録第3042787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコーンリーマ付き切断器は、円錐状に配置した複数の刃からなるコーンリーマにより、配管を切断したのちコーンリーマの頂部側から配管の開口端部に差し入れ配管の開口端部の内周側に生起したバリに接触させた状態で回転させることで、切削しバリの除去を行うことができる。
【0007】
しかしながら、円錐状に配置した複数の刃を有したのみのリーマによって配管の開口端部の内周側に生起するバリの除去を行った場合、切削したバリが屑となり配管内に残存してしまう虞がある。
例えば、エアコンの配管であれば、この残存してしまった屑はエアコンの本体側へ取り込まれてしまい機器の故障を招く原因となる。
【0008】
特許文献2に記載のリーマは、配管の開口端部に差し入れる際に、ガイドによって配管に対するリーマ本体の位置を確実なものとしていることで、配管の開口端部の内周側に生起したバリを確実に除去し、また、円錐状に配置した複数の刃の頂部に挿通孔を有し該挿通孔に挿通されるブラシ付き棒により除去後の配管内部を清掃することができる。
【0009】
しかしながら、バリを除去した後の配管内部を付属のブラシで清掃する場合には除去時に配管の奥に流れてしまった屑や、ブラシで掃き出すことの困難な微細な屑が残存してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、円形状の開口部の内周側のバリを除去するためのバリ除去用リーマであって、中空円錐状の本体部と、本体部の周面部に形成されたスリット状の収納口と、収納口を形成する一方の縁部に設けられた切削刃と、本体部の中心軸に沿って本体部と一体に設けられた回転軸と、本体部の頂部側に設けられ本体部の内部空間と連通する収納空間を有する収納部と、を備えたことを特徴とした。
【0011】
また、切削刃は、本体部に対して着脱可能に設けたことにも特徴を有する。
【0012】
また、収納部に設けられ、開口部の内周側に接触することで、開口部に対する本体部の位置をガイドするガイド部を備えたことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のバリ除去用リーマによれば、開口部から差し入れることで開口部の内周側に接触した状態にある円錐状の本体部を回転させることにより、本体部に設けた切削刃が作用し開口部の内周側に生起したバリを切削することで除去を可能とすると共に、切削したバリ屑を本体部の内部空間を介して本体部の頂部側に設けた収納空間を有した収納部に収納しバリ屑が開口部の内部に残存することを防ぐことができる。
【0014】
請求項2に記載のバリ除去用リーマによれば、長期の使用で刃の切れ味が悪くなったり刃こぼれが起きてしまったりした際に新たな刃と交換することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載のバリ除去用リーマによれば、ガイド部が開口部の内周側に接触し本体部の中心軸と開口部の中心軸との位置合わせを可能とすることで、より正確なバリの除去を行うことができる。
【0016】
また、ガイド部を開口部の周方向全体に接触するような円形状としたときには、バリの除去時に発生した微細な屑が収納部に収納がされずにこぼれた際に、受け皿として受け止め開口部の内部に微細な屑が残存してしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るバリ除去用リーマの構成を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るバリ除去用リーマの構成を示す平面図である。
図3図2に示すA-A断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るバリ除去用リーマの使用状態を示す模式的説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係るバリ除去用リーマの使用状態を示す模式的説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係るバリ除去用リーマの使用方法の例を示す模式的説明図である。
図7】本発明の他の実施例に係るバリ除去用リーマの構成を示す説明図である。
図8】本発明の他の実施例に係るバリ除去用リーマの使用状態を示す模式的説明図である。
図9】本発明の他の実施例に係るバリ除去用リーマの構成を示す説明図である。
図10】本発明の他の実施例に係るバリ除去用リーマの使用状態を示す模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の要旨は、円形状の開口部の内周側のバリを除去するためのバリ除去用リーマであって、中空円錐状の本体部と、本体部の周面部に形成されたスリット状の収納口と、収納口を形成する一方の縁部に設けられた切削刃と、本体部の中心軸に沿って本体部と一体に設けられた回転軸と、本体部の頂部側に設けられ本体部の内部空間と連通する収納空間を有する収納部と、を備えたことにある。
【0019】
また、本体部に設けた切削刃を本体部に対して着脱可能としたことにも特徴を有する。
【0020】
また、収納部に設けられ、開口部の内周側に接触することで、開口部に対する本体部の位置をガイドするガイド部を備えたことにも特徴を有する。
【0021】
[1.配管のバリ除去用リーマの構成について]
本実施形態に係るバリ除去用リーマの構成について図面を用いて詳説していく。本発明の実施の形態では、本発明に係るバリ除去用リーマを、配管の開口端部に形成されたバリを除去するために用いる場合を例にとって説明する。ただし、本発明に係るバリ除去用リーマによる加工対象は、配管に限らず、例えば、板状の部分に形成された円形状の開口部や、ブロック状の部分に形成された円形状の穴部等であってもよい。
【0022】
本実施形態に係るバリ除去用リーマMは、円形状の開口部としての配管Pの開口端部P3に生じたバリBを除去するために用いられる(図4参照)。バリ除去用リーマMは、図1図3に示すように、主に頂部11側から配管Pの開口端部P3(図4参照)に差し入れる中空円錐状の本体部1と、本体部1の周面部12に形成されたスリット状の収納口13と、収納口13を形成する一方の縁部131に設けられた切削刃2と、本体部1の中心軸に沿って本体部1と一体に設けられた回転軸3と、本体部1の頂部11側に設けられ本体部1の内部空間S1と連通する収納空間S2を有することで除去されたバリBを収納可能とした収納部4とから構成されている。
【0023】
中空円錐状の本体部1の頂部11側には、収納部4と連通するための連通孔14が形成されている。本体部1において、頂部11側と反対側の底面部15には、内部空間S1を開放させた底側開口部151が形成されている。本体部1の底面部15側には、円周形状の底側開口部151の直径方向に、所定の幅を有する支持プレート5が底側開口部151に横架するように設けられている。なお、以下の説明では、本体部1の円錐形状における中心軸方向に沿う方向(図1における上下方向)を上下方向とし、底面部15側(図1における上側)を上側、頂部11側(図1における下側)を下側とする。
【0024】
また、本体部1の周面部12には、斜面に沿って縦長スリット状の収納口13が形成されている。収納口13は、本体部1において円錐形状の外形をなす周壁部である周面部12において、円錐形状の母線に沿うように直線状に形成されている。本実施形態では、収納口13は、本体部1の頂部11側から底面部15側の全体にわたって形成されている。ただし、収納口13は、本体部1の上下方向について、例えば両端を除いた中間部等の一部に形成されてもよい。収納口13は、対向する縦長縁部131,132により形成されている。収納口13の対向する縦長縁部131,132のうち、一方の縦長縁部131には、配管Pに生じたバリBを切削するための切削刃2を設けている。本実施形態では、本体部1の底面部15側からの軸方向視において(図2参照)、時計回りの方向(右回転方向)の手前側の縦長縁部131に、切削刃2が設けられている。
【0025】
切削刃2は、収納口13を形成する他方の縦長縁部132に対して、先端縁部を、本体部1の径方向の外側に位置させるように設けられている。つまり、切削刃2は、先端縁部を、縦長縁部132の外周側の縁端部に対して外側にわずかに突出させ、本体部1の周面部12の外周面においてわずかな段差を形成するように設けられている。縦長縁部132の外周側の縁端部と、切削刃2の先端縁部との間には、隙間が形成されており、本体部1を回転させることで切削刃2を作用させバリBを切削していく際に、削り屑B1は細長手状に削られると同時に、該隙間を介して切削刃2を設けた縦長縁部131の厚み部分(端面)にぶつかりロール状に変形しながら収納口13を通過し内部空間S1へ収納されることとなる。
【0026】
切削刃2は、本体部1の上下方向について、縦長縁部131の全体にわたる範囲に設けられている。切削刃2は、本体部1において周面部12を構成する部材とは別部材を取り付けることにより設けられている。本実施形態では、周面部12を構成する部材の縦長縁部131をなす縁端部分において、周壁部を外周面側から肉薄部分とした段差状の切欠部131aが形成されており、この切欠部131aに嵌るように切削刃2が取り付けられている。切削刃2は、本体部1の周壁部の厚さよりも薄い板状の部材であり、縦長縁部131の切欠部131aに嵌った状態で、本体部1の外周面と面一状の面を形成するように設けられている。
【0027】
切削刃2は、本体部1に対して着脱可能に設けられている。切削刃2は、本体部1の周面部12を構成する部材に対して、金属を溶かし接着する鑞付けによって固定されるものであってもよいし、切削刃2に複数の開口を設けビスやボルト等で着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
切削刃2を着脱可能とした構成によれば、刃の劣化や錆が生じた際に交換を可能とし、バリ除去用リーマMを長く使用することが可能となる。なお、切削刃2は、周面部12を構成する部材の一部として設けられてもよい。
【0028】
回転軸3は、直線棒状の部分であり、本体部1の中心軸に沿って設けられている。回転軸3は、本体部1に対して、底面部15側から上方に向けて延出するように設けられている。回転軸3は、本体部1と一体の部分として設けられている。本実施例では、回転軸3は、本体部1に設けた支持プレート5の中央部に軸状の部材を固定することにより設けられている。
また、回転軸3の上端部31付近には、後述する工具類との連結を可能とした溝部32が形成されている。溝部32は、直線棒状の回転軸3において、軸方向の一部を縮径させた部分である。
【0029】
本体部1の頂部11には、連通孔14に連通開口41側を向けた有底筒状の収納部4が設けられている。収納部4は、本体部1の周面部12を構成する部材に対して筒状の部材を同軸心状に取り付けることにより設けられる。収納部4は、本体部1の頂部11の端面、つまり本体部1の下端面と略同じ外形を有し、本体部1とともに漏斗状の外形をなしている。
収納部4を構成する筒状の部材が連通孔14に連通開口41側を向けて取り付けられることで、本体部1の内部空間S1と収納部4の収納空間S2とが互いに連通している。
【0030】
本体部1及び収納部4それぞれの部材を形成する素材としては、硬質樹脂やステンレスやアルミ等が用いられる。
また、回転軸3は、後述する工具類に連結するため、鉄やステンレスといったある程度の剛性を備えた金属から形成される。
切削刃2は、一般的なリーマの刃に使用される金属であればよく、例えば鉄やステンレスから形成される。
【0031】
また、本実施形態では、中空円錐状の本体部1の底面部15には底側開口部151を設けており、切削後に出る削り屑B1を底側開口部151より排出できるようにしているが、底面部15を閉塞状態に形成し、本体部1の頂部11に設けた収納部4を取り外し自在に構成することで削り屑B1を排出可能とすることも考えられる。収納部4は、例えばねじ係合構造により、本体部1に対して着脱可能な部分として設けられる。
【0032】
また、本実施形態では、本体部1において回転軸3を支持する部分は、本体部1の底側開口部151に架設された支持プレート5であるが、回転軸3を支持するための構成は、特に限定されるものではない。回転軸3は、本体部1と一体的に回転する部分として設けられればよい。
【0033】
[2.使用方法について]
次に、本実施例に係る配管のバリ除去用リーマの使用方法について図面を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係るバリ除去用リーマの使用状態を正面側から見た模式的説明図であり、図5は、本実施形態に係るバリ除去用リーマの使用状態を平面側から拡大して見た模式的説明図である。図6は、本実施形態に係るバリ除去用リーマに接続する工具の例を示した模式的説明図である。
【0034】
エアコンの取り付けや業務用の冷蔵庫の設置等で配管Pの接続が必要となる工事では、設置場所により必要となる配管Pの長さが異なるため、配管Pの切断を行う必要がある。
その切断の多くは、パイプカッターと呼ばれる円形状の刃を配管Pの外周面P1側から内周面P2側へ押しながら回転させることで切断を可能としている。
【0035】
このパイプカッターでの切断は、銅製の柔らかい配管Pを切る際に手動で容易に切断が行えるため工事現場で一般的に用いられているが、押しながら切断を行うことにより、配管Pの開口端部P3の内周面P2側にバリBが生起してしまう虞があった。
【0036】
そのため、バリBの除去は接続時に必ず必要な作業であり、バリBが上手に除去できていなければ、例えば、所定の機器に接続される配管の場合は、機器に対する配管の接続が上手くできないことがある。また、ガスの流路を構成する配管の場合は、配管の開口端部のバリは、ガス漏れ等の原因となる虞がある。
【0037】
そこで、バリ除去用リーマMは、上述してきた構成とすることにより、配管Pの開口端部P3に生起したバリBの除去を確実且つ容易に行い、さらに除去によって発生する削り屑B1を配管Pの内部に残存させることなく仕上げることができる。
【0038】
図4(a)及び図5(a)に示すように、切断することでバリBが生起した配管Pの開口端部P3内にバリ除去用リーマMの本体部1を頂部11側から差し入れる。
配管Pの開口端部P3内に差し入れたバリ除去用リーマMの本体部1の周面部12の外周面がバリBと接触した状態で、バリ除去用リーマMを回転させる。ここで、バリ除去用リーマMに対して、配管Pに対する差し入れ方向に押し付ける力を作用させながら、バリ除去用リーマMを回転させる。バリ除去用リーマMの回転操作には、回転軸3が用いられる。
【0039】
回転させたバリ除去用リーマMは、図4(b)及び図5(b)に示すように、配管Pの開口端部P3の内周面P2側に生起したバリBと切削刃2が接触した状態で回転することで徐々にバリBを切削し除去していく。切削刃2は、本体部1の周面部12の外周面から突出した先端縁部をバリBに作用させながら、バリBを削っていく。
【0040】
バリBを切削する過程で生じた細長手状且つロール状の削り屑B1は、本体部1の内部の内部空間S1に収納されていく。
【0041】
内部空間S1に収納された削り屑B1は、配管Pから切り離されることで、本体部1の頂部11に設けた収納部4の収納空間S2へ落下し収納される。
収納空間S2に削り屑B1が収納されることで、バリBを除去した配管P内部に削り屑B1が残存することがなくなる効果がある。
【0042】
また、バリBに切削刃2を押しつける力を作用させながらバリ除去用リーマMを回転させることで細長手状に削られ、さらに切削刃2を設けた収納口13の縦長縁部131の厚み部分にぶつかりロール状に変形しつつ収納部4に収納されていくため、細かい屑が発生しにくくなる。また、削り屑B1の入口となる収納口13は縦長スリット状でありロール状に変形した削り屑B1は、収納口13よりも体積が大きくなり収納口13から排出されることがなく収納された削り屑B1がこぼれる虞がなくなる。
【0043】
本実施形態のバリ除去用リーマMは、回転軸3を把持部として手動で回転操作することで、バリ除去用リーマM単体で、配管Pの開口端部P3の内周面P2側に生起したバリBの除去を可能としている。バリ除去用リーマMは、回転軸3を所定の形状の部分とすることにより、様々な工具類と接続可能となる。
【0044】
例えば、図6に示すように、バリ除去用リーマMは、先端を交換可能に構成された手回しドライバD1や、インパクトドライバD2等の工具に接続して用いることができる。すなわち、バリ除去用リーマMにおいて、回転軸3が、各工具における回転駆動部に対する接続軸となり、例えば工具の回転駆動部が有する取付穴部に回転軸3を挿入させた状態で連結させることで、バリ除去用リーマMが工具に取り付けられる。
【0045】
バリ除去用リーマMを工具に装着して用いる場合、主にエアコンと室外機との接続に用いられる銅製の配管は、比較的に柔らかく削りすぎないように手回しドライバD1に接続することが好ましいし、鉄製の配管等の硬い素材でできた配管にはインパクトドライバD2に接続することが好ましい。
このように、本実施形態に係るバリ除去用リーマMは、用途に応じて手動でも電動でも使用可能な構成としている。
【0046】
[3.他の実施形態について]
次に、本発明の配管のバリ除去用リーマにかかる他の実施例について説明する。
図7及び図9はそれぞれ他の実施形態に係るバリ除去用リーマの構成を示す説明図であり、それぞれ図7(a)及び図9(a)は正面図、図7(b)及び図9(b)は底面図である。また、図8及び図10はそれぞれ他の実施形態に係るバリ除去用リーマに備えたガイド部の使用状態における作用についての説明図であり、図8は正面図、図10は正面断面図(縦断面図)である。
【0047】
配管Pについては、規格によってサイズが決まっている場合がある。そのため、図7及び図9に示すように、規格に合わせたガイド部6を備えることで、配管PのバリB除去を行う際の本体部1のブレを防ぎ正確な除去を行える効果がある。ガイド部6は、収納部4に設けられ、配管Pの内周面P2に接触することで、配管Pの開口端部P3に対する本体部1の位置をガイドする。また、ガイド部6を図9に示すように、配管Pの周方向の全体に接する円形状とすることで、バリBの除去を行うに際して、収納することができず落下した削り屑B1や微細な屑B2を受け止める受け皿としての機能を有することができる。
【0048】
バリ除去用リーマMの他の実施形態の一つとして、図7に示すように、収納部4の周面に配管Pの内周面P2に接する大きさとした板状のガイド部6を複数枚備えたものが考えられる。
【0049】
ガイド部6は、上下方向を板厚方向とする板状の部分であり、収納部4の下端部において、収納部4の外周面から径方向外側に向けて突出するように設けられている。ガイド部6は、収納部4の周方向について複数箇所に設けられている。図7(a)、図7(b)に示す例では、ガイド部6は、収納部4の周方向について互いに反対側となる2箇所に設けられている。ガイド部6は、加工対象の配管の内径に応じて、ガイド部6の先端部が配管の内周面P2に接触するように設けられる。ガイド部6は、図8に示すように、バリ除去用リーマMの本体部1の頂部11側から配管Pの開口端部P3へ差し入れる際に配管Pの内周面P2に接することで、配管Pの内径の中心とバリ除去用リーマMの中心軸との位置を合わせることができる。
すなわち、バリBの切削する際に位置合わせを行うと同時に、切削刃2のブレを抑え、バリBの除去を容易とすることができる。
【0050】
さらに、バリ除去用リーマMの他の実施形態の一つとして、図9(a)、図9(b)に示すように、収納部4の周面に配管Pの内周面P2に接する大きさとした円形状のガイド部6を備えたものが考えられる。
【0051】
図9(a)、図9(b)に示す構成例において、ガイド部6は、平面視において円形状をなす円板状の部分であり、収納部4の下端部において、収納部4の外周面から径方向外側に向けて突出するように設けられている。ガイド部6は、加工対象の配管の内径に応じて、ガイド部6の先端部が配管Pの周方向の全体に接触するように設けられる。ガイド部6は、図10に示すように、バリ除去用リーマMの本体部1の頂部11側から配管Pの開口端部P3へ差し入れる際に配管Pの周方向の全体に接することで、配管Pの内径の中心とバリ除去用リーマMの中心軸との位置を合わせることができる。
すなわち、バリBの切削する際に位置合わせを行うと同時に、切削刃2のブレを抑え、バリBの除去を容易とすることができる。
【0052】
また、図10に示すように、円形状のガイド部6の縁部には本体部1側へ延出した壁部61を形成している。つまり、ガイド部6は、中心部に収納部4に対する取付け用の孔が形成された円板状の底面部と、底面部の周囲の全周にわたって周壁状に設けられた壁部61とを有する。そうすることで、図10に示すように、円形状のガイド部6はバリBの除去を行うに際して、収納することができず落下した削り屑B1や微細な屑B2を受け止める受け皿としての機能を有すると共に、配管Pからバリ除去用リーマMを上方へ引き抜く際に壁部61はガイド部6の縁部から削り屑B1や微細な屑B2をこぼれないようにする効果がある。なお、図10に示す例では、円板状のガイド部6は、上下方向について、収納部4の下端部に設けられているが、収納部4の中間部に設けられてもよい。
【0053】
ガイド部6は、バリBが生起した配管Pの開口端部P3より差し入れられることから、ある程度の可撓性を有した素材から形成されることが望ましく、例えばシリコン樹脂や硬質ゴム等で形成される。また、ガイド部6は、収納部4に対して着脱可能なアタッチメントとして設けることができる。この場合、加工対象の配管の内径に応じて複数のサイズのガイド部6を準備することで、各種の配管径の加工に対応することができる。
【0054】
また、その他の実施形態の例としては、本体部1に設ける収納口13及び収納口13に設けられる切削刃2を、本体部1の周方向について複数箇所に備えることも考えられる。
この実施形態では、本体部1に切削可能な箇所を複数備えることで、よりバリBの除去を迅速に行える効果がある。
【0055】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係るバリ除去用リーマは上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、上述した各種効果は、あくまで例示に過ぎず、本発明による効果は、本実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
M バリ除去用リーマ
1 本体部
11 頂部
12 周面部
13 収納口
131、132 縁部
131a 切欠部
14 連通孔
15 底面部
151 底側開口部
2 切削刃
3 回転軸
31 上端部
32 溝部
4 収納部
41 連通開口
5 支持プレート
6 ガイド部
61 壁部
S1 内部空間
S2 収納空間
P 配管
P1 外周面
P2 内周面
P3 開口端部
B バリ
B1 削り屑
B2 微細な屑
D1 手回しドライバ
D2 インパクトドライバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10