(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167437
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】包装済み乾燥食品
(51)【国際特許分類】
A23L 3/00 20060101AFI20221027BHJP
A23L 23/10 20160101ALI20221027BHJP
【FI】
A23L3/00 101A
A23L23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073217
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森中 直紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 奈央
【テーマコード(参考)】
4B021
4B036
【Fターム(参考)】
4B021LA15
4B021LW10
4B036LC04
4B036LF01
4B036LP19
(57)【要約】
【課題】乾燥食品の保存性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】吸湿シーラント層を含む包装材で乾燥食品を包装することにより乾燥食品の保存性を向上させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装済み乾燥食品であって、
乾燥食品と、
前記乾燥食品を包装する吸湿性包装材と
を含み、
前記吸湿性包装材が、吸湿シーラント層を含む包装材である、包装済み乾燥食品。
【請求項2】
前記吸湿シーラント層が、第1のシーラント層を含み、
前記第1のシーラント層が、吸湿剤が配合されたシーラント層である、請求項1に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項3】
前記吸湿剤が、ゼオライト、パーライト、珪藻土、活性炭、軽石、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩化カルシウムから選択される、請求項2に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項4】
前記第1のシーラント層における前記吸湿剤の含有量が、30~60%(w/w)である、請求項2または3に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項5】
前記吸湿シーラント層が、さらに、前記第1のシーラント層の内側に第2のシーラント層を含み、且つ/又は、前記第1のシーラント層の外側に第3のシーラント層を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項6】
前記吸湿シーラント層の厚みが、30~150ミクロンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項7】
前記第1のシーラント層の厚みが、20~100ミクロンである、請求項2~6のいずれか1項に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項8】
前記第2および第3のシーラント層の厚みが、それぞれ、7~20ミクロンである、請求項5~7のいずれか1項に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項9】
前記吸湿性包装材が、さらに、吸湿シーラント層の外側に基材層を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項10】
前記乾燥食品が、具材と残部からなる乾燥食品である、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項11】
前記具材の水分活性が、0.2~0.6である、請求項10に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項12】
前記残部の水分活性が、0.1~0.4である、請求項10または11に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項13】
前記乾燥食品が、具材入りスープまたは具材入り煮込み料理である、請求項1~12のいずれか1項に記載の包装済み乾燥食品。
【請求項14】
乾燥食品の保存性を向上させる方法であって、
吸湿性包装材で乾燥食品を包装する工程を含み、
前記吸湿性包装材が、吸湿シーラント層を含む包装材である、方法。
【請求項15】
包装済み乾燥食品を製造する方法であって、
吸湿性包装材で乾燥食品を包装する工程を含み、
前記吸湿性包装材が、吸湿シーラント層を含む包装材である、方法。
【請求項16】
前記吸湿シーラント層が、第1のシーラント層を含み、
前記第1のシーラント層が、吸湿剤が配合されたシーラント層である、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記吸湿剤が、ゼオライト、パーライト、珪藻土、活性炭、軽石、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩化カルシウムから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のシーラント層における前記吸湿剤の含有量が、30~60%(w/w)である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記吸湿シーラント層が、さらに、前記第1のシーラント層の内側に第2のシーラント層を含み、且つ/又は、前記第1のシーラント層の外側に第3のシーラント層を含む、請求項16~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記吸湿シーラント層の厚みが、30~150ミクロンである、請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のシーラント層の厚みが、20~100ミクロンである、請求項16~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第2および第3のシーラント層の厚みが、それぞれ、7~20ミクロンである、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記吸湿性包装材が、さらに、吸湿シーラント層の外側に基材層を含む、請求項14~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記乾燥食品が、具材と残部からなる乾燥食品である、請求項14~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記具材の水分活性が、0.2~0.6である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記残部の水分活性が、0.1~0.4である、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記乾燥食品が、具材入りスープまたは具材入り煮込み料理である、請求項14~26のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥食品の保存性を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾燥食品の保存技術の開発が求められている。
【0003】
乾燥食品の保存には、例えば、シリカゲル等の乾燥剤が用いられている。
【0004】
特許文献1には、Aw(水分活性)を低下させることで乾燥麺類の保存性を高める技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ガスバリヤー性包材からなる袋体内に封入された乾燥たらば蟹汁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-261012
【特許文献2】特開2000-325054
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、乾燥食品の保存性を向上させる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、吸湿シーラント層を含む包装材で乾燥食品を包装することにより乾燥食品の保存性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
包装済み乾燥食品であって、
乾燥食品と、
前記乾燥食品を包装する吸湿性包装材と
を含み、
前記吸湿性包装材が、吸湿シーラント層を含む包装材である、包装済み乾燥食品。
[2]
前記吸湿シーラント層が、第1のシーラント層を含み、
前記第1のシーラント層が、吸湿剤が配合されたシーラント層である、前記包装済み乾燥食品。
[3]
前記吸湿剤が、ゼオライト、パーライト、珪藻土、活性炭、軽石、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩化カルシウムから選択される、前記包装済み乾燥食品。
[4]
前記第1のシーラント層における前記吸湿剤の含有量が、30~60%(w/w)である、前記包装済み乾燥食品。
[5]
前記吸湿シーラント層が、さらに、前記第1のシーラント層の内側に第2のシーラント層を含み、且つ/又は、前記第1のシーラント層の外側に第3のシーラント層を含む、前
記包装済み乾燥食品。
[6]
前記吸湿シーラント層の厚みが、30~150ミクロンである、前記包装済み乾燥食品。
[7]
前記第1のシーラント層の厚みが、20~100ミクロンである、前記包装済み乾燥食品。
[8]
前記第2および第3のシーラント層の厚みが、それぞれ、7~20ミクロンである、前記包装済み乾燥食品。
[9]
前記吸湿性包装材が、さらに、吸湿シーラント層の外側に基材層を含む、前記包装済み乾燥食品。
[10]
前記乾燥食品が、具材と残部からなる乾燥食品である、前記包装済み乾燥食品。
[11]
前記具材の水分活性が、0.2~0.6である、前記包装済み乾燥食品。
[12]
前記残部の水分活性が、0.1~0.4である、前記包装済み乾燥食品。
[13]
前記乾燥食品が、具材入りスープまたは具材入り煮込み料理である、前記包装済み乾燥食品。
[14]
乾燥食品の保存性を向上させる方法であって、
吸湿性包装材で乾燥食品を包装する工程を含み、
前記吸湿性包装材が、吸湿シーラント層を含む包装材である、方法。
[15]
包装済み乾燥食品を製造する方法であって、
吸湿性包装材で乾燥食品を包装する工程を含み、
前記吸湿性包装材が、吸湿シーラント層を含む包装材である、方法。
[16]
前記吸湿シーラント層が、第1のシーラント層を含み、
前記第1のシーラント層が、吸湿剤が配合されたシーラント層である、前記方法。
[17]
前記吸湿剤が、ゼオライト、パーライト、珪藻土、活性炭、軽石、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩化カルシウムから選択される、前記方法。
[18]
前記第1のシーラント層における前記吸湿剤の含有量が、30~60%(w/w)である、前記方法。
[19]
前記吸湿シーラント層が、さらに、前記第1のシーラント層の内側に第2のシーラント層を含み、且つ/又は、前記第1のシーラント層の外側に第3のシーラント層を含む、前記方法。
[20]
前記吸湿シーラント層の厚みが、30~150ミクロンである、前記方法。
[21]
前記第1のシーラント層の厚みが、20~100ミクロンである、前記方法。
[22]
前記第2および第3のシーラント層の厚みが、それぞれ、7~20ミクロンである、前記方法。
[23]
前記吸湿性包装材が、さらに、吸湿シーラント層の外側に基材層を含む、前記方法。
[24]
前記乾燥食品が、具材と残部からなる乾燥食品である、前記方法。
[25]
前記具材の水分活性が、0.2~0.6である、前記方法。
[26]
前記残部の水分活性が、0.1~0.4である、前記方法。
[27]
前記乾燥食品が、具材入りスープまたは具材入り煮込み料理である、前記方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乾燥食品の保存性を向上させることができる。本発明によれば、特に、野菜等の高いAwを示す乾燥具材を含有する乾燥食品の保存性を向上させることができると期待される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、吸湿性包装材を乾燥食品の包装に利用する。
【0012】
吸湿性包装材で乾燥食品を包装することにより、乾燥食品の保存性を向上させることができる、すなわち、乾燥食品の保存性が向上する効果が得られる。よって、吸湿性包装材は、乾燥食品の保存性の向上に利用されてよい。同効果を、「保存性向上効果」ともいう。具体的には、吸湿性包装材で乾燥食品を包装することにより、吸湿性包装材で乾燥食品を包装しない場合と比較して、乾燥食品の保存性が向上してよい。吸湿性包装材で乾燥食品を包装しない場合としては、他の包装材で乾燥食品を包装する場合が挙げられる。他の包装材としては、吸湿層を有しない包装材が挙げられる。
【0013】
また、吸湿性包装材で乾燥食品を包装することにより、包装済み乾燥食品(具体的には、保存性が向上した包装済み乾燥食品)を製造することができる。よって、有効成分は、包装済み乾燥食品(具体的には、保存性が向上した包装済み乾燥食品)の製造に利用されてよい。
【0014】
乾燥食品の保存性の向上としては、乾燥食品の呈味の悪化の抑制、乾燥食品の変色(例えば乾燥食品の具材の変色)の抑制、乾燥食品のAw(水分活性)の低下が挙げられる。乾燥食品の保存性の向上としては、特に、乾燥食品の呈味の悪化の抑制が挙げられる。例えば、乾燥食品のAw(水分活性)の低下により、乾燥食品の呈味の悪化および/または乾燥食品の変色が抑制されてもよい。
【0015】
乾燥食品の呈味の悪化の抑制は、例えば、吸湿性包装材で包装した乾燥食品と他の包装材で包装した乾燥食品を保存した際の乾燥食品の呈味の変動を測定し比較することにより、確認できる。すなわち、例えば、所定の期間(例えば、1、3、6、9、12、または15ヶ月間)の保存による呈味の悪化の程度が他の包装材で包装した乾燥食品よりも吸湿性包装材で包装した乾燥食品で小さい場合に、乾燥食品の呈味の悪化が抑制されたと判断できる。また、例えば、呈味が所定の程度に悪化するまでの保存期間が他の包装材で包装した乾燥食品よりも吸湿性包装材で包装した乾燥食品で長い場合に、乾燥食品の呈味の悪化が抑制されたと判断できる。乾燥食品の呈味の測定および比較は、例えば、専門パネルによる官能評価により実施できる。
【0016】
乾燥食品の変色の抑制は、例えば、吸湿性包装材で包装した乾燥食品と他の包装材で包装した乾燥食品を保存した際の乾燥食品の色調の変動を測定し比較することにより、確認
できる。すなわち、例えば、所定の期間(例えば、1、3、6、9、12、または15ヶ月間)の保存による変色の程度が他の包装材で包装した乾燥食品よりも吸湿性包装材で包装した乾燥食品で小さい場合に、乾燥食品の変色が抑制されたと判断できる。乾燥食品の色調の測定および比較は、例えば、目視により実施できる。
【0017】
乾燥食品のAwの低下は、例えば、吸湿性包装材で包装した乾燥食品と他の包装材で包装した乾燥食品を保存した際の乾燥食品のAwの変動を測定し比較することにより、確認できる。すなわち、例えば、所定の期間(例えば、1、3、6、9、12、または15ヶ月間)保存した後のAwが他の包装材で包装した乾燥食品よりも吸湿性包装材で包装した乾燥食品で小さい場合に、乾燥食品のAwが低下したと判断できる。Awの測定は、例えば、aw-box(novasina社)等のAw測定機器を用いて実施できる。
【0018】
<1>吸湿性包装材
吸湿性包装材は、乾燥食品の包装に利用される。吸湿性包装材は、フィルム状に調製され、乾燥食品の包装に利用されてよい。吸湿性包装材は、乾燥食品の包装時には、シールされて袋状となってよい。
【0019】
吸湿性包装材について、「内側」とは、吸湿性包装材で乾燥食品を包装した際の内側(すなわち、乾燥食品に近い側)を意味する。吸湿性包装材について、「外側」とは、吸湿性包装材で乾燥食品を包装した際の外側(すなわち、乾燥食品から遠い側)を意味する。吸湿性包装材において最も内側に位置する層を、「最内層」ともいう。吸湿性包装材において最も外側に位置する層を、「最外層」ともいう。吸湿性包装材が単一の層からなる場合、当該単一の層は、最内層であり且つ最外層である。
【0020】
吸湿性包装材は、吸湿シーラント層を含む包装材である。
【0021】
「吸湿シーラント層」とは、吸湿機能およびシーラント機能を有する層を意味する。「吸湿機能」とは、水分を除去する機能を意味し、具体的には、乾燥食品を吸湿性包装材で包装後に包装内の水分を除去する機能を意味してよい。「シーラント機能」とは、シールにより接着される機能を意味し、具体的には、乾燥食品を吸湿性包装材で包装する際にシールにより接着される機能を意味してよい。吸湿機能を有する層を、「吸湿層」ともいう。シーラント機能を有する層を、「シーラント層」ともいう。すなわち、吸湿シーラント層は、吸湿層であり、且つシーラント層である。吸湿シーラント層は、最内層であってよい。
【0022】
吸湿シーラント層は、吸湿剤が配合されたシーラント層を含む。吸湿剤が配合されたシーラント層を、「中央シーラント層」または「第1のシーラント層」ともいう。
【0023】
吸湿シーラント層は、中央シーラント層からなるものであってもよく、そうでなくてもよい。すなわち、吸湿シーラント層は、中央シーラント層に加えて、さらに他の層を含んでいてよい。他の層としては、中央シーラント層以外のシーラント層が挙げられる。中央シーラント層以外のシーラント層としては、吸湿剤が配合されていないシーラント層が挙げられる。吸湿シーラント層は、例えば、中央シーラント層の内側および/または外側にシーラント層(例えば、吸湿剤が配合されていないシーラント層)を含んでいてよい。吸湿シーラント層において中央シーラント層の内側に含まれるシーラント層を、「内側シーラント層」または「第2のシーラント層」ともいう。吸湿シーラント層において中央シーラント層の外側に含まれるシーラント層を、「外側シーラント層」または「第3のシーラント層」ともいう。吸湿シーラント層は、特に、内側シーラント層を含んでいてよい。吸湿シーラント層が内側シーラント層を含まない場合、中央シーラント層は、最内層であってよい。吸湿シーラント層が内側シーラント層を含む場合、内側シーラント層は、最内層
であってよい。
【0024】
吸湿シーラント層は、具体的には、内側から外側に向かって、内側シーラント層および中央シーラント層を順に含んでいてもよく、内側シーラント層、中央シーラント層、および外側シーラント層を順に含んでいてもよい。
【0025】
中央シーラント層は、吸湿剤を配合してシーラント層を形成することにより製造できる。中央シーラント層は、具体的には、吸湿剤とそれ以外の原料とを混合してシーラント層を形成することにより製造できる。
【0026】
中央シーラント層における吸湿剤の含有量は、吸湿シーラント層において所望の吸湿機能およびシーラント機能が得られる限り、特に制限されない。中央シーラント層における吸湿剤の含有量は、例えば、吸湿剤の種類や中央シーラント層の厚み等の諸条件に応じて適宜設定できる。中央シーラント層における吸湿剤の含有量は、例えば、20%(w/w)以上、30%(w/w)以上、40%(w/w)以上、または50%(w/w)以上であってもよく、70%(w/w)以下、60%(w/w)以下、50%(w/w)以下、または40%(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。中央シーラント層における吸湿剤の含有量は、特に、30%(w/w)以上であってよく、さらに特には40%(w/w)以上であってよい。中央シーラント層における吸湿剤の含有量は、特に、60%(w/w)以下であってよく、さらに特には、50%(w/w)以下であってよい。中央シーラント層における吸湿剤の含有量は、具体的には、例えば、20~70%(w/w)、30~60%(w/w)、または40~50%(w/w)であってもよい。
【0027】
吸湿剤の種類は、吸湿シーラント層において所望の吸湿機能およびシーラント機能が得られる限り、特に制限されない。吸湿剤としては、ゼオライト、パーライト、珪藻土、活性炭、軽石、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩化カルシウムが挙げられる。吸湿剤としては、特に、ゼオライトが挙げられる。吸湿剤としては、1種の吸湿剤を用いてもよく、2種またはそれ以上の吸湿剤を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
中央シーラント層の材質は、吸湿剤が配合されており、且つ吸湿シーラント層において所望の吸湿機能およびシーラント機能が得られる限り、特に制限されない。吸湿剤以外の中央シーラント層の材質としては、シーラント層に通常用いられる材質が挙げられる。吸湿剤以外の中央シーラント層の材質として、具体的には、PE(ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、L-LDPE(リニア低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)、EAA(エチレン-アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン-メタクリル酸共重合体)、CPP(無延伸ポ
リプロピレン)、メタロセンポリエチレン、アイオノマーポリエチレンが挙げられる。吸湿剤以外の中央シーラント層の材質としては、特に、PE(ポリエチレン)が挙げられる。中央シーラント層は、例えば、吸湿剤に加えて、1種の材質で構成されていてもよく、2種またはそれ以上の材質の組み合わせで構成されていてもよい。
【0029】
内側シーラント層および外側シーラント層の材質は、吸湿シーラント層において所望の吸湿機能およびシーラント機能が得られる限り、特に制限されない。内側シーラント層および外側シーラント層の材質としては、シーラント層に通常用いられる材質が挙げられる。内側シーラント層および外側シーラント層の材質として、具体的には、上記例示した吸湿剤以外の中央シーラント層の材質が挙げられる。内側シーラント層および外側シーラント層の材質としては、特に、PE(ポリエチレン)が挙げられる。内側シーラント層および外側シーラント層は、それぞれ、例えば、1種の材質で構成されていてもよく、2種またはそれ以上の材質の組み合わせで構成されていてもよい。
【0030】
シーラント層の材質は、内側シーラント層、中央シーラント層、および外側シーラント層について、それぞれ独立に選択できる。
【0031】
吸湿シーラント層およびそれを構成する各層の厚みは、吸湿シーラント層において所望の吸湿機能およびシーラント機能が得られる限り、特に制限されない。吸湿シーラント層およびそれを構成する各層の厚みは、例えば、吸湿剤の種類や層の材質等の諸条件に応じて適宜設定できる。
【0032】
吸湿シーラント層の厚みは、例えば、10ミクロン以上、15ミクロン以上、20ミクロン以上、30ミクロン以上、40ミクロン以上、50ミクロン以上、60ミクロン以上、70ミクロン以上、80ミクロン以上、90ミクロン以上、または100ミクロン以上であってもよく、300ミクロン以下、250ミクロン以下、200ミクロン以下、150ミクロン以下、120ミクロン以下、100ミクロン以下、90ミクロン以下、80ミクロン以下、70ミクロン以下、60ミクロン以下、または50ミクロン以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。吸湿シーラント層の厚みは、具体的には、例えば、10~300ミクロン、20~200ミクロン、または30~150ミクロンであってもよい。
【0033】
中央シーラント層の厚みは、例えば、上記例示した吸湿シーラント層の厚みであってよい。また、中央シーラント層の厚みは、例えば、10ミクロン以上、15ミクロン以上、20ミクロン以上、30ミクロン以上、40ミクロン以上、50ミクロン以上、60ミクロン以上、70ミクロン以上、80ミクロン以上、90ミクロン以上、または100ミクロン以上であってもよく、250ミクロン以下、200ミクロン以下、150ミクロン以下、120ミクロン以下、100ミクロン以下、90ミクロン以下、80ミクロン以下、70ミクロン以下、60ミクロン以下、50ミクロン以下、40ミクロン以下、または30ミクロン以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。中央シーラント層の厚みは、具体的には、例えば、10~250ミクロン、15~150ミクロン、または20~100ミクロンであってもよい。
【0034】
内側シーラント層および外側シーラント層の厚みは、それぞれ、例えば、3ミクロン以上、5ミクロン以上、7ミクロン以上、10ミクロン以上、15ミクロン以上、または20ミクロン以上であってもよく、50ミクロン以下、40ミクロン以下、30ミクロン以下、25ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、または7ミクロン以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。内側シーラント層および外側シーラント層の厚みは、それぞれ、具体的には、例えば、3~50ミクロン、5~30ミクロン、または7~20ミクロンであってもよい。
【0035】
吸湿シーラント層は、例えば、所望の吸湿量が得られるように構成されていてよい。吸湿量は、例えば、3g/m2以上、3.5g/m2以上、4g/m2以上であってもよく、6g/m2以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。吸湿量は、具体的には、例えば、3~6g/m2であってもよい。
【0036】
吸湿シーラント層は、例えば、所望の吸湿速度が得られるように構成されていてよい。吸湿速度は、例えば、0.2g/m2/h以上、0.22g/m2/h以上、または0.25g/m2/h以上であってもよく、0.4g/m2/h以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。吸湿量は、具体的には、例えば、0.2~0.4g/m2/hであってもよい。
【0037】
吸湿性包装材は、吸湿シーラント層からなるものであってもよく、そうでなくてもよい
。すなわち、吸湿性包装材は、吸湿シーラント層に加えて、さらに他の層を含んでいてもよい。吸湿性包装材は、例えば、吸湿シーラント層の外側に他の層を含んでいてよい。吸湿性包装材において吸湿シーラント層の外側に含まれる層を、「基材層」ともいう。
【0038】
基材層の材質は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限されない。基材層の材質としては、例えば、基材層に通常用いられる材質が挙げられる。基材層の材質として、具体的には、印刷に適した材質やガスバリア性の高い材質が挙げられる。また、基材層の材質として、具体的には、PET(ポリエステル)、OPP(延伸ポリプロピレン)、ONY(延伸ナ
イロン)、Al(アルミニウム)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)が挙げられる。PET(ポリエステル)、OPP(延伸ポリプロピレン)、ONY(延伸ナイロン)は、例えば、印刷に適した材質であり得る。Al(アルミニウム)
、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)は、例えば、ガスバリア性の高い素材であり得る。基材層は、例えば、1種の材質で構成されていてもよく、2種またはそれ以上の材質の組み合わせで構成されていてもよい。例えば、或る材質のフィルムが別の材質でコーティングされていてもよい。
【0039】
基材層は、一層からなるものであってもよく、二層またはそれ以上の層からなるものであってもよい。基材層は、例えば、内側から外側に向かって、ガスバリア性の高い材質の層および印刷に適した材質の層を含んでいてよい。基材層は、例えば、内側から外側に向かって、Al(アルミニウム)層およびPET(ポリエステル)層を含んでいてもよい。PET(ポリエステル)層等の印刷に適した材質の層は、最外層であってよい。
【0040】
基材層およびそれを構成する各層の厚みは、本発明の効果を損なわない限り、特に制限されない。基材層およびそれを構成する各層の厚みは、例えば、層の材質等の諸条件に応じて適宜設定できる。
【0041】
基材層の厚みは、例えば、3ミクロン以上、5ミクロン以上、7ミクロン以上、10ミクロン以上、15ミクロン以上、または20ミクロン以上であってもよく、50ミクロン以下、40ミクロン以下、30ミクロン以下、25ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、または7ミクロン以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。基材層の厚みは、具体的には、例えば、3~50ミクロン、5~30ミクロン、または7~20ミクロンであってもよい。
【0042】
基材層を構成する各層の厚みは、例えば、3ミクロン以上、5ミクロン以上、7ミクロン以上、または10ミクロン以上であってもよく、25ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、または7ミクロン以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。基材層を構成する各層の厚みは、具体的には、例えば、3~25ミクロン、5~20ミクロン、または7~15ミクロンであってもよい。
【0043】
吸湿性包装材が二層またはそれ以上の層を含む場合、吸湿性包装材はそれらの層を積層することにより製造できる。層の積層は、例えば、ラミネートフィルムを製造する公知の手法により実施できる。そのような手法としては、押出ラミネートやドライラミネートが挙げられる。
【0044】
<2>乾燥食品
乾燥食品の種類は、特に制限されない。乾燥食品としては、具材を含有する乾燥食品(以下、「具材入り乾燥食品」ともいう)が挙げられる。すなわち、具材入り乾燥食品は、具材と残部からなるものであってよい。「具材」とは、例えば、喫食時に固形である素材を意味してよい。「残部」とは、具材以外の部分(すなわち、具材入り乾燥食品を構成す
る具材以外の部分)を意味し、例えば、喫食時に非固形である素材を意味してよい。
【0045】
具材入り乾燥食品としては、具材入り乾燥スープや具材入り乾燥煮込み料理が挙げられる。具材入りスープとしては、中華風スープ、コンソメスープ、カレー風味スープ、お吸い物、味噌汁、ポタージュスープ、トマトスープ等のスープであって、具材を含有するものが挙げられる。具材入り煮込み料理としては、ミネストローネ、クラムチャウダー、カレー、シチュー、雑炊、おかゆ、リゾットが挙げられる。
【0046】
具材の種類は、特に制限されない。具材は、例えば、乾燥食品の種類等の諸条件に応じて適宜選択できる。具材としては、卵、肉、穀類、豆類、芋類、野菜、果物、キノコ、魚介類、海藻、およびそれらの加工品が挙げられる。肉としては、牛肉や豚肉等の動物の肉や、鶏肉等の鳥の肉が挙げられる。穀類としては、米、麦、コーンが挙げられる。豆類としては、大豆が挙げられる。野菜としては、キャベツ、ホウレンソウ、小松菜、ネギ、タマネギ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、トマト、ナス、カボチャが挙げられる。芋類としては、ジャガイモやさつまいもが挙げられる。キノコとしては、マイタケ、シイタケ、シメジ、ニバシメジ、ヒラタケ、ナメコ、ポルチーニが挙げられる。魚介類としては、アサリ等の貝類、エビ等の甲殻類、フカヒレやサーモン等の魚肉、タラコやカラスミ等の魚卵が挙げられる。海藻としては、ワカメや海苔が挙げられる。加工品としては、ハム、ベーコン、ソーセージ等の肉加工品、パスタ、その他の麺類、クルトン等の穀類加工品、豆腐や油揚げ等の豆類加工品、こんにゃく等の芋類加工品、春雨等の澱粉加工品が挙げられる。具材は、例えば、生のまま乾燥されていてもよく、茹で、揚げ、炒め等の加熱後に乾燥されていてもよい。具材としては、1種の具材を用いてもよく、2種またはそれ以上の具材を組み合わせて用いてもよい。具材の種類は、例えば、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、または5種以上であってもよく、20種以下、15種以下、10種以下、5種以下、または3種以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。具材の種類は、具体的には、例えば、1~20種、1~10種、1~5種、または1~3種であってもよい。
【0047】
残部(具材以外の部分)の種類は、特に制限されない。残部は、例えば、乾燥食品の種類等の諸条件に応じて適宜選択できる。残部としては、調味料(醤油、味噌、ソース、食塩、砂糖、酢、その他のスープ成分、等)やその他の各種添加物(保存料や賦形剤、等)が挙げられる。残部としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。粉末は、造粒物であってもよく、そうでなくてもよい。残部は、例えば、粉末状であってよい。
【0048】
具材入り乾燥食品における具材の含有量は、例えば、5%(w/w)以上、10%(w/w)以上、20%(w/w)以上、30%(w/w)以上、40%(w/w)以上、または50%(w/w)以上、90%(w/w)以下、80%(w/w)以下、70%(w/w)以下、60%(w/w)以下、50%(w/w)以下、または40%(w/w)以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。具材入り乾燥食品における具材の含有量は、具体的には、例えば、5~90%(w/w)、10~80%(w/w)、または20~70%(w/w)であってもよい。
【0049】
乾燥食品、具材、および残部の乾燥の程度は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限されない。乾燥食品、具材、および残部の乾燥の程度は、それぞれ、例えば、乾燥食品、具材、および残部のAwが所定の範囲となるように設定してよい。乾燥食品、具材、および残部についての「Aw」とは、特記しない限り、初期Aw(すなわち、吸湿性包装材で包装した時点のAw)を意味する。
【0050】
乾燥食品のAwは、例えば、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、
0.35以上、または0.4以上であってもよく、0.6以下、0.55以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、または0.35以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。乾燥食品のAwは、具体的には、例えば、0.15~0.55、または0.25~0.5であってもよい。乾燥食品のAwは、例えば、後述する具材および残部のAwならびに上述した具材入り乾燥食品における具材の含有量から算出される値であってもよい。
【0051】
具材のAwは、例えば、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、または0.4以上であってもよく、0.6以下、0.55以下、0.5以下、0.45以下、または0.4以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。具材のAwは、具体的には、例えば、0.2~0.6、または0.3~0.5であってもよい。2種またはそれ以上の具材を組み合わせて具材として用いる場合、「具材のAw」とは、具材全体のAwを意味する。
【0052】
残部のAwは、例えば、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、または0.3以上であってもよく、0.4以下、0.35以下、0.3以下、0.25以下、または0.2以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせであってもよい。残部のAwは、具体的には、例えば、0.1~0.4、または0.15~0.3であってもよい。2種またはそれ以上の成分を組み合わせて残部として用いる場合、「残部のAw」とは、残部全体のAwを意味する。
【0053】
乾燥食品、具材、および残部は、いずれも、例えば、原料を適宜乾燥することにより製造できる。原料は、全てまとめて乾燥してもよく、そうでなくてもよい。例えば、2種またはそれ以上の原料を乾燥食品、具材、または残部の製造に用いる場合、それら原料は、それぞれ別個に乾燥してから組み合わせてもよく、一部をまとめて乾燥してから組み合わせてもよく、全部をまとめて乾燥してもよい。乾燥食品は、特に、別個に調製した乾燥状態の具材および乾燥状態の残部を組み合わせることにより製造してよい。原料の乾燥方法は、特に制限されない。原料の乾燥は、例えば、対象物を乾燥させる公知の手法により実施できる。そのような手法としては、熱風乾燥(エアドライ;AD)やフリーズドライ(FD)が挙げられる。
【0054】
<3>本発明の包装済み乾燥食品
本発明の包装済み乾燥食品は、吸湿性包装材で包装された乾燥食品である。
【0055】
本発明の包装済み乾燥食品は、具体的には、
包装済み乾燥食品であって、
乾燥食品と、
前記乾燥食品を包装する吸湿性包装材と
を含む、包装済み乾燥食品である。
【0056】
乾燥食品および吸湿性包装材については、上述の通りである。
【0057】
本発明の包装済み乾燥食品は、例えば、吸湿性包装材で乾燥食品を包装することにより製造できる。本発明の包装済み乾燥食品は、具体的には、例えば、後述する本発明の方法により製造できる。
【0058】
<4>本発明の方法
本発明の方法は、吸湿性包装材で乾燥食品を包装する工程を含む方法である。同工程を、「包装工程」ともいう。
【0059】
本発明の方法により、具体的には吸湿性包装材で乾燥食品を包装することにより、乾燥食品の保存性を向上させることができる、すなわち、保存性向上効果が得られる。よって、本発明の方法は、乾燥食品の保存性の向上のために実施されてよい。すなわち、本発明の方法は、例えば、乾燥食品の保存性を向上させる方法であってよい。同方法を「本発明の保存性向上方法」ともいう。
【0060】
また、本発明の方法により、具体的には吸湿性包装材で乾燥食品を包装することにより、包装済み乾燥食品(具体的には、保存性が向上した包装済み乾燥食品)を製造することができる。よって、有効成分は、包装済み乾燥食品(具体的には、保存性が向上した包装済み乾燥食品)の製造のために実施されてよい。すなわち、本発明の方法は、例えば、包装済み乾燥食品(具体的には、保存性が向上した包装済み乾燥食品)を製造する方法であってよい。同方法を「本発明の製造方法」ともいう。
【0061】
包装工程は、例えば、シーラント層を含むフィルムで対象物を包装する公知の手法で実施できる。例えば、吸湿シーラント層が対向するように、1枚の吸湿性包装材を折り曲げるか、2枚枚の吸湿性包装材を重ね、対向する吸湿シーラント層の間に乾燥食品を配置して、吸湿性包装材をシールすることにより、包装済み乾燥食品が得られる。あるいは、例えば、吸湿シーラント層が対向するように予め袋状に加工した吸湿性包装材に乾燥食品を充填して、吸湿性包装材の開口部をシールすることにより、包装済み乾燥食品が得られる。吸湿性包装材を袋状に加工することは、例えば、1枚の吸湿性包装材を折り曲げるか、2枚枚の吸湿性包装材を重ね、吸湿性包装材をシールすることにより実施できる。袋の形態は、乾燥食品を充填できるものであれば、特に制限されない。袋の形態は、例えば、二方シール型、三方シール型、サイドシール型、ボトムシール型、ガゼット型、合掌袋型等の任意の形態であってよい。シールは、例えば、シーラント層を含むフィルムをシールする公知の手法により実施できる。そのような手法としては、ヒートシールが挙げられる。乾燥食品が2種またはそれ以上の素材を含む場合、それらの素材は予め組み合わせてから包装されてもよく、そうでなくてもよい。例えば、別個に調製した乾燥状態の具材および乾燥状態の残部を包装時に包装内で組み合わせることにより、包装内で乾燥食品が完成してもよい。すなわち、「吸湿性包装材で乾燥食品を包装する」ことには、完成した乾燥食品を吸湿性包装材で包装する場合に限られず、包装時に包装内で乾燥食品が完成する場合も包含される。
【実施例0062】
以下、非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0063】
表1に記載の配合で原料を混合し、具材入り乾燥スープを調製した。表中、「FD」とはフリーズドライを、「AD」とは熱風乾燥(エアドライ)を示す。各原料および具材入り乾燥スープのAw(水分活性)は、aw-box(novasina社)で測定した。
【0064】
【0065】
調製した具材入り乾燥スープを表2に記載の包装材で包装し、包装済み具材入り乾燥スープを得た。表中、「構成」には、包装材を構成する層を積層順に列挙し、外側の層を左側に、内側の層を右側に示す。また、表中、「構成」のアルファベットは層の材質を、「構成」の数値は層の厚み[ミクロン]を示す。また、表中、「吸湿シーラント50」とは、厚さ50ミクロンの吸湿シーラント層を示す。包装済み具材入り乾燥スープを5℃、24℃、34℃、または44℃で最大15か月間保存し、内容物である具材入り乾燥スープのAwおよび
呈味を経時的に評価した。
【0066】
Aw(水分活性)は、aw-box(novasina社)で測定した。
【0067】
呈味は、2名の専門パネルによる官能評価により測定した。官能評価は、5℃保管品を
対照品として、24℃、34℃、または44℃保管品の呈味を0~5点の6段階(下記)で評価し、3点を合格下限とした。
5点:対照品と全く同じ
4点:対照品とほとんど同じ
3点:対照品とやや差がある
2点:対照品と差がある
1点:対照品とかなり差がある
0点:対照品と非常に差がある
【0068】
保管温度34℃および44℃における呈味の経時変化から、保管温度34℃および44℃において呈味が3点を切る保管期間を算出した。算出結果に基づいてTTT解析を実施し、保管温
度と呈味が3点を切る保管期間との関係式を導出した。同関係式から、保管温度24℃において呈味が3点を切る保管期間を算出した。
【0069】
【0070】
具材入り乾燥スープのAwの測定結果を表3~5に示す。吸湿シーラント層を含む包装材(試験包装材1および2)で包装した場合、吸湿シーラント層を含まない包装材(対照包装材)で包装した場合と比較して、15ヶ月保存後のAwが低く維持されていた。以上より、吸湿シーラント層を含む包装材で乾燥食品を包装することにより、乾燥食品の保存性が向上することが明らかとなった。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
具材入り乾燥スープの呈味の測定結果を表6~8に、TTT解析の結果を表9に示す。吸
湿シーラント層を含む包装材(試験包装材1および2)で包装した場合、吸湿シーラント層を含まない包装材(対照包装材)で包装した場合と比較して、保管温度24℃において呈味が3点を切る保管期間が延長されており、すなわち、保管に伴う呈味の悪化が抑制されていた。以上より、吸湿シーラント層を含む包装材で乾燥食品を包装することにより、乾燥食品の保存性が向上することが明らかとなった。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】