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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167450
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20221027BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20221027BHJP
   H01M 50/547 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20221027BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M10/04 Z
H01M50/547
H01M50/593
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073239
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】大井手 竜二
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【テーマコード(参考)】
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028CC05
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC19
5H028CC26
5H043AA04
5H043AA08
5H043AA13
5H043BA11
5H043CA05
5H043CA13
5H043DA08
5H043GA24
5H043GA25
5H043HA09D
5H043JA03D
5H043JA04D
5H043JA21D
5H043JA26D
5H043KA22D
5H043KA45D
5H043LA21D
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】端子を覆う端子カバー内に熱がこもることを抑制する蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置1は、積層された複数のバイポーラ電極を含む積層体2と、積層体2の積層方向である第1方向において積層体2の一方端に積層され、第1方向に交差する第2方向に突出する端子6を有する集電板5と、積層体2及び集電板5を第1方向において拘束する拘束板8と、拘束板8の第2方向に交差する側面8aに設けられ、集電板5の端子6が固定された端子台70と、端子6及び端子台70を覆う樹脂製の端子カバー100と、を備え、端子カバー100には、端子6の一部を露出するスリット110が形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のバイポーラ電極を含む積層体と、
前記積層体の積層方向である第1方向において前記積層体の一方端に積層され、前記第1方向に交差する第2方向に突出する端子を有する集電板と、
前記積層体及び前記集電板を前記第1方向において拘束する拘束板と、
前記拘束板の前記第2方向に交差する側面に設けられ、前記集電板の前記端子が固定された端子台と、
前記端子及び前記端子台を覆う樹脂製の端子カバーと、を備え、
前記端子カバーには、前記端子の一部を露出するスリットが形成されている、蓄電装置。
【請求項2】
前記拘束板は、前記第1方向における内面と、前記内面の反対側に位置する外面と、を有し、
前記端子カバーは、前記第2方向に交差する天壁と、前記天壁の周縁から前記第2方向に沿って前記拘束板の前記側面に向かって突出する周壁と、を含み、
前記周壁は、前記第1方向に対向する一対の側壁を含み、
前記一対の側壁は、第1側壁と前記第1方向において前記第1側壁よりも前記外面に近い第2側壁とからなり、
前記スリットは、前記第1側壁に形成されている、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第1側壁は、短辺と長辺とを有する略矩形状であり、
前記スリットは、前記第1側壁の前記長辺の端縁から切り欠かれて形成されている、請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記スリットは、第2方向に沿って形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記拘束板と前記集電板との間を絶縁する絶縁板をさらに有し、
前記端子台は前記拘束板の前記側面に固定ボルトで固定されており、
前記絶縁板は、前記固定ボルトを被覆する被覆部を有し、
前記端子カバーは、前記絶縁板のうちの前記被覆部に係止されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池モジュールが開示されている。この電池モジュールは、複数のバイポーラ電極を積層したバイポーラ電池と、バイポーラ電池をバイポーラ電極の積層方向に挟み込んで保持する一対の保持板と、一方の保持板を介してバイポーラ電池の正極側に電気的に接続される正極端子と、他方の保持板を介してバイポーラ電池の負極側に電気的に接続される負極端子と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-213990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような積層されたバイポーラ電極を用いる電池モジュールでは、積層方向に大電力を取り出すことが可能となっている。そして、正極端子及び負極端子といった、電力取出用の端子を他の物体との接触から保護するために、当該端子をカバーで覆うことが考えられる。しかしながら、電力取出用の端子が大電力通電時に発熱した場合、端子を覆うカバー内に熱がこもることが考えられる。
【0005】
本開示は、端子を覆う端子カバー内に熱がこもることを抑制する蓄電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の蓄電装置は、積層された複数のバイポーラ電極を含む積層体と、積層体の積層方向である第1方向において積層体の一方端に積層され、第1方向に交差する第2方向に突出する端子を有する集電板と、積層体及び集電板を第1方向において拘束する拘束板と、拘束板の第2方向に交差する側面に設けられ、集電板の端子が固定された端子台と、端子及び端子台を覆う樹脂製の端子カバーと、を備え、端子カバーには、端子の一部を露出するスリットが形成されている。
【0007】
この蓄電装置では、集電板から突出した端子が拘束板の側面に設けられた端子台に接続されることで、当該端子台へ電流を取り出すことができる。端子及び端子台が端子カバーによって覆われることにより、端子は他の物体との接触から保護されている。この端子カバーには端子の一部を露出するスリットが形成されている。そのため、端子が発熱した場合であっても、端子カバー内の熱がスリットから放出され、端子カバー内に熱がこもることが抑制される。
【0008】
拘束板は、第1方向における内面と、内面の反対側に位置する外面と、を有し、端子カバーは、第2方向に交差する天壁と、天壁の周縁から第2方向に沿って拘束板の側面に向かって突出する周壁と、を含み、周壁は、第1方向に対向する一対の側壁を含み、一対の側壁は、第1側壁と第1方向において第1側壁よりも外面に近い第2側壁とからなり、スリットは、第1側壁に形成されていてもよい。この構成では、スリットに異物が挟まった場合であっても、スリットが拘束板の外面から離れているので、異物による端子と拘束板との短絡が抑制される。
【0009】
第1側壁は、短辺と長辺とを有する略矩形状であり、スリットは、第1側壁の長辺の端縁から切り欠かれて形成されてもよい。この構成では、長辺の端縁から切欠き状にスリットが形成されているので、樹脂成形後の反りによる第1側壁の変形が抑制される。
【0010】
一例のスリットは、第2方向に沿って形成されている。この構成では、スリットが端子の突出方向に沿っているので、端子の放熱性をより高めることができる。
【0011】
一例の蓄電装置は、拘束板と集電板との間を絶縁する絶縁板をさらに有し、端子台は拘束板の側面に固定ボルトで固定されており、絶縁板は、固定ボルトを被覆する被覆部を有し、端子カバーは、絶縁板のうちの被覆部に係止されている。この構成では、例えば、拘束板の側面に端子台が固定された後に、絶縁板及び集電板が順次取り付けられてから、端子カバーが取り付けられる。この場合、端子カバーが取り付けられるまでの工程において、固定ボルトを介した拘束板と端子との短絡を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、端子を覆う端子カバー内に熱がこもることを抑制する蓄電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一例の蓄電装置の概略図である。
図2】一例の蓄電装置における、Z軸方向の負側の端部付近の構成を示す分解斜視図である。
図3】一例の端子カバーを示す斜視図である。
図4】一例の蓄電装置における、端子の近傍を示す斜視図である。
図5図3のV-V線に沿った断面図である。
図6図3のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図3のVII-VII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0015】
図1は、一例の蓄電装置の概略図である。図2は、一例の蓄電装置における、Z軸方向の負側の端部付近の構成を示す分解斜視図である。蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。一例の蓄電装置1は、積層された複数のバイポーラ電極を含む積層体2と、端部集電板(集電板)5A,5Bと、絶縁板20A,20Bと、拘束板8と、端子台70と、端子カバー100とを含む。本明細書では、便宜上、積層体2におけるバイポーラ電極の積層方向をZ軸方向とし、積層方向から見た蓄電モジュール3の長手方向をY軸方向とし、蓄電モジュール3の短手方向をX軸方向としている。Z軸方向は鉛直方向に一致しており、Z軸方向の正側が鉛直方向上側に一致し、Z軸方向の負側が鉛直方向下側に一致する。
【0016】
一例の積層体2は、それぞれが積層された複数のバイポーラ電極を含む複数(本実施形態では7つ)の蓄電モジュール3と、複数(本実施形態では6つ)の内部集電板5Cと、を含む。蓄電モジュール3は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池である。ただし、蓄電装置1は、上記二次電池に限られず、例えば電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電装置1は、ニッケル水素二次電池である。
【0017】
蓄電モジュール3のバイポーラ電極は、電極板の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されている。蓄電モジュール3は、バイポーラ電極とセパレータとが交互に複数枚積層されることによって構成された電極積層体13を含む(図2参照)。また、電極積層体13の側面には枠状の絶縁性の樹脂からなるシール部材14が設けられている。すなわち、電極積層体13の側面は、シール部材14でシールされている。電極積層体13の内部には、電解液が封入されている。なお、蓄電モジュール3は、Z軸方向において両端に正極側及び負極側の電流取出面13aを有する。電流取出面13aは、蓄電モジュール3から電流を取り出す面であり、シール部材14から電極積層体13の電極が露出することによって形成される。
【0018】
複数の蓄電モジュール3は、内部集電板5Cを介してZ軸方向に積層されている。Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3同士は、内部集電板5Cを介して電気的に接続されている。すなわち、積層体2は、蓄電モジュール3と内部集電板5Cとが交互に積層されることによって構成されている。Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3間において、内部集電板5Cは、矩形板状に形成されており、互いに対向する電極積層体13の電流取出面13a間に接触配置されている。
【0019】
図1に示すように、端部集電板5A,5Bは、積層体2の積層方向であるZ軸方向(第1方向)において積層体2の一方端及び他方端に積層されている。すなわち、端部集電板5A,5Bは、積層方向であるZ軸方向において積層体2を挟む位置に配置される。一例の端部集電板5Bは、積層体2の他方端に位置する蓄電モジュール3の電極積層体13の正極側の電流取出面13aに接触される矩形板状の本体部15と、本体部15の外縁部15aを基端としてY軸方向に突出する正極端子6(端子)とを有する。例えば、正極端子6は、板状をなしており、本体部15に対して一体的に形成されている。端部集電板5Aは、端部集電板5Bと同様の形状を有している。すなわち、端部集電板5Aは、積層体2の一方端に位置する蓄電モジュール3の電極積層体13の負極側の電流取出面13aに接触される矩形板状の本体部と、本体部の縁部を基端としてY軸方向に突出する負極端子7(端子)とを有する。蓄電装置1の充放電は、負極端子7及び正極端子6を介して実施される。なお、一例において、負極端子7は、X軸方向の正側に寄った位置に設けられ、正極端子6は、X軸方向の負側に寄った位置に設けられる。以下の説明では、端部集電板5A,5B及び内部集電板5Cを集電板5という場合がある。
【0020】
拘束板8は、積層体2及び端部集電板5A,5BをZ軸方向において拘束する。拘束板8は、Z軸方向から見た蓄電モジュール3の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。拘束板8は、Z軸方向から見て積層体2に重なる本体部11と、本体部11からX軸方向に延在するとともにZ軸方向から見て積層体2に重ならない縁部10と、を有する。本実施形態では、一対の縁部10は、X軸方向における本体部11の両側に設けられている。すなわち、本体部11は、一対の縁部10に挟まれている。縁部10は、Z軸方向の内側を向く内面10bと、Z軸方向の外側を向く外面10aと、を有している。本体部11は、Z軸方向の内側(Z軸方向における蓄電モジュール3側)を向く内面11bと、内面11bとは反対側の面である、Z軸方向の外側(Z軸方向における蓄電モジュール3とは反対側)を向く外面11aと、を有している。外面10aは、外面11aよりもZ軸方向の内側に位置している。内面10bは、内面11bよりもZ軸方向の内側に位置している。
【0021】
一対の縁部10は、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に延在する外縁部分である。一対の縁部10は、Z軸方向から見て積層体2と重ならないように配置されている。各縁部10には、ボルト9aが挿通される複数の挿通孔10cが設けられている。各縁部10において、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に沿って互いに離間するように配置されている。本実施形態では、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向における縁部10の一端から他端まで等間隔に配置されている。
【0022】
ボルト9aの頭部は、拘束板8Aの外面10a上に配置されている。ボルト9aの軸部の先端部(ネジ先)は、拘束板8Bの外面10aから突出している。ボルト9aの先端部には、ナット9bが螺合されている。ナット9bは、拘束板8Bの外面10a上に配置されている。これにより、複数の蓄電モジュール3及び複数の集電板5が、拘束板8A,8Bによって挟持されている。また、Z軸方向の拘束荷重が積層体2に対して付加されている。
【0023】
絶縁板20A,20Bは、拘束板8と端部集電板5A,5Bとの間を絶縁する。端部集電板5Aと拘束板8Aとの間には、絶縁板20Aが設けられる。絶縁板20Aは、端部集電板5Aと拘束板8Aとの間の絶縁性を確保するための部材であり、例えば絶縁性を有する樹脂によって形成されている。また、端部集電板5Bと拘束板8Bとの間には、絶縁板20Bが設けられる。絶縁板20Bは、集電板5Bと拘束板8Bとの絶縁性を確保するための部材であり、例えば絶縁性を有する樹脂によって形成されている。
【0024】
端子台70は、拘束板8のY軸方向に交差する側面8aに設けられている。一例の蓄電装置1では、拘束板8A,8Bのそれぞれに同様に端子台70が設けられる。端子台70には、端部集電板5Bの正極端子6が固定される。一例の端子台70は、X軸方向に長手方向を有する略直方体形状の台座部71を有する。台座部71は、例えば絶縁性を有する樹脂によって形成されている。図示例の台座部71では、X軸方向の両端側の部分におけるY軸方向に沿った大きさが、X軸方向の中央部分におけるY軸方向に沿った大きさよりも小さい。すなわち、台座部71は、X軸方向の中央においてY軸方向に突出した中央部72と、X軸方向の両端側において中央部72よりもY軸方向に凹んだ一対の端部73,75とを含む。台座部71の中央部72にはZ軸方向に突出する締結部32が設けられている。
【0025】
図3は、一例の端子カバーを示す斜視図であり、蓄電装置における正極端子の近傍を示す。端子カバー100は、端子台70及び正極端子6を覆う樹脂製のカバーである。例えば、端子カバー100を構成する樹脂は、蓄電モジュール3の電解液に対する耐性を有している。例えば、蓄電モジュール3がニッケル水素二次電池である場合、樹脂の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0026】
一例の端子カバー100は、Y軸方向に交差する天壁101と、天壁101の周縁からY軸方向に沿って拘束板8Bの側面8aに向かって突出する周壁102と、を有する。一例の周壁102は、Z軸方向に対向する一対の側壁を含む。一対の側壁は、Z軸方向において端子台70を挟むように配置されている。一対の側壁は、Z軸方向において端部集電板5Bに近い第1側壁104と、Z軸方向において第1側壁104よりも外面11aに近い第2側壁105とからなる。さらに、周壁102は、第1側壁104と第2側壁105とを接続し、X軸方向において端子台70を挟むように配置された第3側壁106及び第4側壁107を有する。一例の第1側壁104は、第2側壁105、第3側壁106及び第4側壁107よりも広い壁面を有する。第3側壁106及び第4側壁107には、後述する配線36を配置するための切欠きが形成されていてもよい。
【0027】
以下、端子台70周辺の構成について、図4図7を更に参照して説明する。図4は、一例の蓄電装置における、正極端子の近傍を示す斜視図である。なお、図4では、端子カバーが取り外された状態が示されている。図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。図6は、図3のVI-VI線に沿った断面図である。図7は、図3のVII-VII線に沿った断面図である。図4図7では、正極端子の近傍が示されているが、一例の蓄電装置1においては、負極端子の近傍も同様の構成を有している。
【0028】
図4及び図5に示すように、正極端子6は、第1の片部41と、第2の片部42と、屈曲部47を有することで、X軸方向から見て略L字状に構成される。第1の片部41は、Z軸方向からみて、本体部15の縁である外縁部15aからY軸方向へ延びる板状の部分である。第2の片部42は、第1の片部41の先端部から端子台70側(Z軸方向の負側)へ積層方向に沿って屈曲し、端子台70に押圧された状態で取り付けられる板状の部分である。第2の片部42の略中央位置には、Y軸方向に貫通する貫通孔43が形成される。当該貫通孔43には、締結部32が挿通される。第1の片部41及び第2の片部42は、いずれもX軸方向に平行に広がっており、両者のX軸方向の大きさは同一である。屈曲部47は、正極端子6を構成する板材が屈曲し、第1の片部41と第2の片部42とを接続する部分である。
【0029】
正極端子6には、当該正極端子6に作用する応力を緩和するバネ部50が形成される。このバネ部50は、正極端子6を締結部32及びナット38を用いて端子台70に押圧された状態で取り付けた後、正極端子6に作用する応力を緩和することができる。一例のバネ部50は、曲げ部51と、延在部53と、曲げ部52とを含む。曲げ部51は、正極端子6のY軸方向の正側の端部であって外縁部15aと正極端子6とが接続される接続部46に形成されており、第1の片部41をZ軸方向において端子台70側に湾曲させる部分である。延在部53は、曲げ部51からY軸方向に沿って延びる部分である。曲げ部52は、延在部53のY軸方向の負側の端部から曲げ部51と逆側に第1の片部41に湾曲させる部分である。
【0030】
図6及び図7に示すように、端子台70の台座部71は、拘束板8Bの側面8aに固定ボルト19で固定されている。一例では、台座部71を構成する一対の端部73,75にY軸方向に端子台70を貫通する貫通孔73a,75aがそれぞれ形成されている。台座部71は、貫通孔73a,75aに挿通された固定ボルト19が拘束板8Bの側面8aに締結されることにより、側面8aに固定される。台座部71は、少なくとも蓄電モジュール3よりもY軸方向の負側へ突出する。台座部71の上下方向の大きさは、側面8aの上下方向の大きさと略同一である。
【0031】
締結部32は、台座部71における中央部72の端面からY軸方向に突出するボルトによって構成されている。締結部32は、Y軸方向の負側へ向かって、Y軸方向と平行に延びる。なお、締結部32は、台座部71の内部に設けられた円筒状の支持金具33に支持される(図5参照)。なお、支持金具33は、台座部71におけるY軸方向の負側の端面において締結部32から外周側へ向かって広がるフランジ部33aを有する。この締結部32に対しては、正極端子6の第2の片部42、及び配線36に接続されたワッシャ37が、締結部32に締結されたナット38に押圧される形で取り付けられる(図4参照)。
【0032】
一例の絶縁板20Bは、樹脂などの絶縁性の材料によって形成される部材であり、端部集電板5Bと拘束板8Bとの間に設けられる。絶縁板20Bは、Z軸方向から見て端部集電板5Bの本体部15の全域と重なるように配置される。これにより、端部集電板5Bと拘束板8Bとが対向する箇所には、絶縁板20Bが介在することで、端部集電板5Bと拘束板8Bとの間の電気的な絶縁性が確保される。
【0033】
図4に示すように、絶縁板20Bは、本体部21と、壁部24と、を有する。絶縁板20Bの本体部21は、端部集電板5Bの本体部15と拘束板8の本体部11との間に配置される平板状の部分である。本体部21は、Y軸方向に長手方向を有する長方形状をなしている。壁部24は、本体部21のX軸方向に沿った外縁部21aから下方へ向かって延びる。壁部24は、外縁部21aに沿ってX軸方向に延びる。
【0034】
一例の壁部24には、台座部71及び固定ボルト19を被覆する端子台保護部16(被覆部)が形成される。端子台保護部16は、壁部24からY軸方向の負側へ突出するように設けられる。端子台保護部16は、内部に端子台70の台座部71を収容するような、箱形の形状を有している。
【0035】
端子台保護部16は、本体部21からY軸方向の負側へ延びる上壁部22と、壁部24からY軸方向負側へ延びる一対の側壁部23,23と、上壁部22及び側壁部23,23のY軸方向の負側の端部において壁部24と平行に広がる端壁部26と、を有する。上壁部22は、台座部71の端部を上から覆うように配置される。側壁部23,23は、台座部71の端部をX軸方向の両側から覆うように配置される。端壁部26は、Y軸方向において、台座部71の端部を覆うように配置される。端壁部26は、台座部71の中央部72の位置において、当該中央部72が露出するように開口している。また、端壁部26の開口が形成された位置には、側壁部23に対向する袖壁部26aが形成されている(図2参照)。台座部71を側面8aに固定する固定ボルト19は、側壁部23、上壁部22、端壁部26及び袖壁部26aによって形成される空間内に収容され得る。
【0036】
また、端子台保護部16は、係止壁26bを含む。係止壁26bは、X軸方向の負側の側壁部23及び端壁部26に沿ってZ軸方向の正側に向かって突出する壁体である。一例の係止壁26bは、Z軸方向から見てL字状を呈している。図示例の係止壁26bは、端壁部26のうち、開口よりもX軸方向の負側の部分に沿うとともに、側壁部23のうち、中央よりも端壁部26側の部分に沿って形成されている。
【0037】
端子台保護部16を構成する上壁部22には、他の領域よりも下方へ向かって窪んだ凹部27が形成されている。凹部27は、蓄電モジュール3から液体が漏れた場合に、当該液体を受けてためておく機能を有する。凹部27のY軸方向の負側の端部には、Y軸方向に沿って端壁部26まで延びる一対の溝部28,28が形成される。一対の溝部28,28は、凹部27に溜まった液体を端壁部26側へ排出できる。
【0038】
端子カバー100は、正極端子6(端子)及び端子台70を覆うためのカバーである。端子カバー100は、絶縁板20Bの一部を構成する端子台保護部16に係止されている。一例の端子カバー100は、上述のとおり、天壁101と、第1側壁104と、第2側壁105と、第3側壁106と、第4側壁107とを含む。図3に示すように、天壁101は、台座部71の中央部72に対応する中央天壁101Aと、台座部71の端部73,75に対応する端部天壁101B,101Cとを含む。端部天壁101Bは、X軸方向の負側に位置する端部73に対応し、端部天壁101Cは、X軸方向の正側に位置する端部75に対応する。端部天壁101B,101Cは、中央天壁101AよりもY軸方向の正側に位置している。すなわち、中央天壁101Aは締結部32を覆うために端部天壁101B,101CよりもY軸方向の負側へ突出している。なお、中央天壁101Aには、締結部32に対応する位置に、締結部32の先端を収容する収容部101dが形成されている。収容部101dは、中央天壁101Aにおいて、Y軸方向の負側に突出するドーム状を呈している。
【0039】
第1側壁104は、天壁101のZ軸方向の正側の端縁からY軸方向の正側に向かって延在している。一例として、第1側壁104の端縁は、側面8aの位置まで延びている。第1側壁104は、X軸方向に沿った長辺とY軸方向に沿った短辺とを有する略矩形状をなしていてよい。図示例では、端部天壁101B及び端部天壁101Cの位置が中央天壁10BよりもY軸方向の正側にあるため、第1側壁104のY軸方向負側の長辺に凹凸が形成されている。
【0040】
図3及び図7に示すように、第1側壁104には、X軸方向において端部天壁101Bと重複する部分に、係止爪104aが形成されている。係止爪104aは、Y軸方向に沿って延在する板状部104bと、板状部の内面から突出する爪部104cとを含む。板状部104bは、第1側壁104の一部を兼ねており、上壁部22の一部に対向する。図示例では、第1側壁104においてY軸方向の正側の端縁から負側に向かって形成された一対の切欠き部によって、板状部104bが画成されている。爪部104cは、端子台保護部16に形成された係止壁26bに係合する。
【0041】
端部天壁101Bには、X軸方向及びZ軸方向において、Y軸方向から見て係止爪104aと重なる位置に開口108が形成されている。X軸方向において、開口108の大きさは、係止爪104aの板状部104bの大きさ以上である。また、Z軸方向において、開口108の大きさは、爪部104cの大きさ以上である。
【0042】
第2側壁105は、天壁101のZ軸方向の負側の端縁からY軸方向の正側に向かって延在している。第2側壁105のY軸方向における長さは、第1側壁104のY軸方向における長さよりも短い。一例として、第2側壁105の端縁は、台座部71における中央部72の位置まで延びている(図5参照)。図3及び図6に示すように、第2側壁105には、X方向において端部天壁101Cと重複する部分に、係止爪104aと同様に形成された係止爪105aが形成されている。係止爪105aは、Y軸方向に沿って延在する板状部105bと、板状部105bの内面から突出する爪部105cとを含む。爪部150cは、端子台保護部16のうちの、X軸方向の正側に形成された端壁部26の端縁に係合する。
【0043】
端部天壁101Cには、X軸方向及びZ軸方向において、Y軸方向から見て係止爪105aと重なる位置に開口109が形成されている。X軸方向において、開口109の大きさは、係止爪105aの板状部105bの大きさ以上である。また、Z軸方向において、開口109の大きさは、爪部105cの大きさ以上である。
【0044】
図3及び図5に示すように、端子カバー100には、正極端子6の一部を露出するスリット110が形成されている。一例のスリット110は、周壁102のうち、端部集電板5Bに近い第1側壁104に形成されている。図示例では、X軸方向に互いに離間して3つのスリット110が第1側壁104に形成されている。第1側壁104と端子台70との間には、端部集電板5Bの正極端子6と絶縁板20Bの上壁部22とが位置している。スリット110は、X軸方向において正極端子6と重複する位置に形成されている。スリット110は、Z軸方向に正極端子6に隣接した位置に設けられる。そのため、Z軸方向から見たときに、スリット110を介して正極端子6の少なくとも一部が視認できる。また、スリット110は、第1側壁104の端部集電板5Bの本体部15側の端縁(Y軸方向の正側の端縁)から正極端子6の突出方向(Y軸方向の負側方向)に沿った切欠き状に形成されている。図示例では、スリット110は、Y軸方向において、正極端子6の第2の片部42の位置まで延びている。一例において、スリット110のX軸方向における幅は、作業者の指が端子カバー100の外部から正極端子6に触れられない程度の大きさであり、例えば、約2mm以下であってよい。
【0045】
以上説明したように、蓄電装置1は、積層された複数のバイポーラ電極を含む積層体2と、積層体2の積層方向であるZ軸方向(第1方向)において積層体2の一方端に積層され、Y軸方向(第2方向)に突出する端子を有する端部集電板5Bと、積層体2及び端部集電板5BをZ軸方向において拘束する拘束板8と、拘束板8のY軸方向に交差する側面8aに設けられ、端部集電板5Bの正極端子6が固定された端子台70と、正極端子6及び端子台70を覆う樹脂製の端子カバー100と、を備え、端子カバー100には、正極端子6の一部を露出するスリット110が形成されている。
【0046】
この蓄電装置1では、端部集電板5Bから突出した正極端子6が拘束板8の側面8aに設けられた端子台70に接続されることで、当該端子台70へ電流を取り出すことができる。正極端子6及び端子台70が端子カバー100によって覆われることにより、正極端子6は他の物体との接触から保護されている。一方で、このように正極端子等の端子がカバーで覆われている場合、通電によって端子が発熱することにより、カバーに覆われた端子周辺に熱がこもることが考えられる。そこで、一例の端子カバー100には、正極端子6の一部を露出するスリット110が形成されている。これにより、正極端子6が発熱した場合であっても、端子カバー100内の熱せられた空気はスリット110から外部に逃げるため、端子カバー100内に熱がこもることが抑制される。この場合、正極端子6の発熱により端子カバー100が高温になることが抑制されるので、熱による端子カバー100の変形も抑制される。なお、図示例では、端子カバー100のスリット110より正極端子6から離れた位置に別の開口(例えば開口108,109)が形成されていることにより、外気が別の開口から端子カバー100内に取り込まれ得る。
【0047】
一例では、拘束板8は、Z軸方向における内面11bと、内面11bの反対側に位置する外面11aと、を有し、端子カバー100は、Y軸方向に交差する天壁101と、天壁101の周縁からY軸方向に沿って拘束板8の側面8aに向かって突出する周壁102と、を含む。この周壁102は、Z軸方向に対向する一対の側壁として、第1側壁104とZ軸方向において第1側壁104よりも外面11aに近い第2側壁105とを含む。スリット110は、第1側壁104に形成されている。この構成では、例えば、スリット110に異物が挟まった場合であっても、スリット110が拘束板8の外面11aから離れているので、異物による正極端子6と拘束板8との短絡が抑制される。仮にスリット110に異物が挟まったとしても、スリット110と拘束板8との間には絶縁板20Bが位置しており、異物による正極端子6と拘束板8との短絡が抑制される。また、電極積層体13の側面には絶縁性のシール部材14が設けられるため、異物による正極端子6と電極積層体13との短絡も抑制される。
【0048】
一例において、第1側壁104は、短辺と長辺とを有する略矩形状であり、スリット110は、第1側壁104の長辺側の端縁から切り欠かれて形成されている。この構成では、第1側壁104がX軸方向を長辺方向とし、Y軸方向を短辺方向としており、Y軸方向に沿ったスリット110が第1側壁104の長辺側の端縁から形成されるので、樹脂成形後の反りによる第1側壁104の変形が抑制されやすい。
【0049】
一例のスリット110は、Y軸方向に沿って形成されている。この構成では、スリット110が正極端子6の突出方向に沿っているので、正極端子6の放熱性をより高めることができる。図示例では、スリット110がY軸方向において正極端子6の第2の片部42まで形成されている。この場合、スリット110は、正極端子6のY軸方向の全域に対応しているため、効率よく正極端子6の熱を端子カバー100の外に逃がすことができる。
【0050】
一例の蓄電装置1は、拘束板8と端部集電板5Bとの間を絶縁する絶縁板20Bをさらに有し、絶縁板20Bは、固定ボルト19を被覆する端子台保護部16を有し、端子カバー100は、絶縁板20Bのうちの端子台保護部16に係止されている。このような構成を有する場合、蓄電装置1の製造工程としては、例えば、拘束板8の側面8aに端子台70が固定された後に、絶縁板20B及び端部集電板5Bが順次取り付けられてから、端子カバー100が取り付けられる。端子カバー100が端子台保護部16に係止される構成では、端子カバー100が取り付けられるまでの工程において、固定ボルト19が端子台保護部16によって被覆されているので、固定ボルト19を介した拘束板8と正極端子6との短絡が抑制され得る。
【0051】
以上、実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られない。例えば、端子カバー100のうち、第1側壁104のみにスリット110が形成されている例を示したが、スリット110は、端子カバー100の他の部分にも形成されていてよい。例えば、端子カバーの天壁にスリットが形成されていてもよい。
【0052】
また、スリット110が正極端子6の延在方向であるY軸方向に沿って形成されている例を示したが、スリット110は他の方向(例えばX軸方向)に沿って形成されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…蓄電装置、2…積層体、5B…端部集電板(集電板)、6…正極端子(端子)、8B…拘束板、11a…外面、11b…内面、70…端子台、100…端子カバー、110…スリット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7