(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167464
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】水溶液の製造装置および水溶液の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 11/02 20060101AFI20221027BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20221027BHJP
【FI】
C01B11/02 A
B01F1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073260
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000230630
【氏名又は名称】株式会社ルミカ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 士郎
(72)【発明者】
【氏名】土川 静記
(72)【発明者】
【氏名】日原 剛
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AA01
(57)【要約】
【課題】必要とする物質(たとえば二酸化塩素)を得ることができるとともに、得られた物質の使い勝手を良くすることができる水溶液の製造装置を提供する。
【解決手段】所定の物質(たとえば二酸化塩素)15が透過する材料で構成されており所定の物質15と所定の物質以外の物質(副生成物)17とが内部に入っている第1の器物(第1のチューブ)3と、水7と、第1の器物3とが内部に入っている第2の器物(第2のチューブ)5とを有する水溶液の製造装置1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物質が透過する材料で構成されており前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが内部に入っている第1の器物と、水とが、第2の器物内に入っている状態で、前記第1の器物を透過して前記第1の器物の外部に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程を有する水溶液の製造方法。
【請求項2】
前記第1の器物は第1のチューブで構成されており、
前記第2の器物は第2のチューブで構成されており、
第1のチューブは第2のチューブ内に入っており、
前記第1のチューブ内を前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが流れ、前記第2のチューブ内であって前記第1のチューブの外側を前記水が流れる請求項1に記載の水溶液の製造方法。
【請求項3】
前記第1のチューブ内での、前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが流れる方向に対して、前記第2のチューブ内であって前記第1のチューブの外側での、前記水が流れる方向は、逆方向になっている請求項2に記載の水溶液の製造方法。
【請求項4】
所定の物質が透過する材料で構成されている仕切り部材で、内部が第1の部屋と第2の部屋とに仕切られている器物の前記第1の部屋内に、前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とを入れ、前記第2の部屋内に水を入れ、前記仕切り部材を透過して前記第2の部屋に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程を有する水溶液の製造方法。
【請求項5】
所定の物質が透過する材料で構成されており前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが内部を流れる流路形成材と、水とが、器物内に入っている状態で、前記流路形成材を透過して前記流路形成材の外部に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程を有する水溶液の製造方法。
【請求項6】
前記流路形成部材内での前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが流れる方向に対して直交する平面による前記流路形成部材の断面をとると、
前記流路形成材の前記器物内に入っている箇所の、前記所定の物質および前記所定の物質以外の物質と接している線の長さが、前記流路形成材の前記器物の外に出ている箇所の、前記所定の物質および前記所定の物質以外の物質と接している線の長さよりも長くなっている請求項5に記載の水溶液の製造方法。
【請求項7】
所定の物質が透過する材料で構成されており前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが内部に入っている第1の器物と、
水と、前記第1の器物とが内部に入っている第2の器物と、
を有する水溶液の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶液の製造装置および水溶液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、亜塩素酸ナトリウムと酸化剤としてのクエン酸とを化学反応させることで、二酸化塩素を発生する気体発生装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記化学反応においては、殺菌等のために必要である二酸化塩素の他に不要物質であるクエン酸ナトリム等の反応物質が生成されてしまう。ここで、不要物質の発生による予期せぬ影響を除外すべく、亜塩素酸ナトリウムとクエン酸とを化学反応させることで、必要である二酸化塩素のみを得たいとの要望が発生する。また、生成された二酸化塩素は気体であるので、空気中ですばやく分散してしまい殺菌等に使用するときの使い勝手がよくないことがある。
【0005】
なお、上記要望は、クエン酸やクエン酸以外の物質を用いて二酸化塩素を発生させる場合や、二酸化塩素以外の物質の場合においても同様に発生する。
【0006】
本発明は、必要とする物質(不純物を含まない物質)を得ることができるとともに、得られた物質の使い勝手を良くすることができる水溶液の製造装置および水溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、所定の物質が透過する材料で構成されており前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが内部に入っている第1の器物と、水とが、第2の器物内に入っている状態で、前記第1の器物を透過して前記第1の器物の外部に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程を有する水溶液の製造方法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記第1の器物は第1のチューブで構成されており、前記第2の器物は第2のチューブで構成されており、第1のチューブは第2のチューブ内に入っており、前記第1のチューブ内を前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが流れ、前記第2のチューブ内であって前記第1のチューブの外側を前記水が流れる請求項1に記載の二酸化塩素水溶液の製造方法である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記第1のチューブ内での、前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが流れる方向に対して、前記第2のチューブ内であって前記第1のチューブの外側での、前記水が流れる方向は、逆方向になっている請求項2に記載の二酸化塩素水溶液の製造方法である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、所定の物質が透過する材料で構成されている仕切り部材で、内部が第1の部屋と第2の部屋とに仕切られている器物の前記第1の部屋内に、前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とを入れ、前記第2の部屋内に水を入れ、前記仕切り部材を透過して前記第2の部屋に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程を有する水溶液の製造方法である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、所定の物質が透過する材料で構成されており前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが内部を流れる流路形成材と、水とが、器物内に入っている状態で、前記流路形成材を透過して前記流路形成材の外部に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程を有する水溶液の製造方法である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記流路形成部材内での前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが流れる方向に対して直交する平面による前記流路形成部材の断面をとると、
前記流路形成材の前記器物内に入っている箇所の、前記所定の物質および前記所定の物質以外の物質と接している線の長さが、前記流路形成材の前記器物の外に出ている箇所の、前記所定の物質および前記所定の物質以外の物質と接している線の長さよりも長くなっている請求項5に記載の水溶液の製造方法である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、所定の物質が透過する材料で構成されており前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが内部に入っている第1の器物と、水と、前記第1の器物とが内部に入っている第2の器物とを有する水溶液の製造装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、必要とする物質(不純物を含まない物質)を得ることができるとともに、得られた物質の使い勝手を良くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置の概要を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置の要部の概要を示す図である。
【
図3】
図2における第1のチューブと第2のチューブが使用されている箇所を具体的に示す図であり、(b)は(a)におけるIIIB部の拡大図であり、(c)は(a)におけるIIIC部の拡大図である。
【
図4】(a)は、本発明の第2の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置の概要を示す図であり、(b)は、器物(容器)等の斜視図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置の概要を示す図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材の変形例を示す図である。(b)は(a)におけるVIB―VIB断面を示す図であり、(c)は(a)におけるVIC―VIC断面を示す図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材の変形例を示す図である。(b)は(a)におけるVIIB―VIIB断面を示す図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材の変形例を示す図である。(b)は(a)におけるVIIIB―VIIIB断面を示す図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材の変形例を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材の変形例を示す図である。(b)は(a)におけるXB―XB断面を示す図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材の変形例を示す図である。(b)は(a)におけるXIB―XIB断面を示す図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材と器物との変形例を示す図である。(b)は(a)におけるXIIB―XIIB断面を示す図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材の変形例を示す図である。(b)は(a)におけるXIIIB―XIIIB断面を示す図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材と器物との変形例を示す図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材と器物との変形例を示す図である。
【
図16】本発明の第3の実施形態に係る水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造装置における流路形成部材と器物との変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る水溶液の製造装置1(たとえば、二酸化塩素水溶液2の製造装置)は、
図2、
図3で示すように、第1の器物3と第2の器物5とを備えて構成されている。
【0017】
第1の器物3は、所定の物質(たとえば二酸化塩素15)が透過する材料で構成されており、二酸化塩素15と二酸化塩素以外の物質17とが内部に入っている。第2の器物5には、水7と、第1の器物3とが内部に入っている。そして、第1の器物3を透過して第1の器物3の外部に出てきた二酸化塩素15が、第2の器物5内の水7に溶解(溶存)するようになっている。なお、水7としてたとえば、日本薬局方に定められている「精製水」等の純水を掲げることができる。
【0018】
また、水溶液の製造装置1には、
図1~
図3で示すように、物質合わせ部9が設けられている。物質合わせ部9では、第1の反応前物質(たとえば、亜塩素酸)11と第2の反応前物質(たとえば、クエン酸)13とが合わせられるようになっている。
【0019】
物質合わせ部9によって合わせされた亜塩素酸11とクエン酸13とが化学反応を起こすことによって、二酸化塩素15が生成されるようになっている。亜塩素酸11とクエン酸13とはたとえば水溶液の形態で存在している。
【0020】
亜塩素酸11とクエン酸13との化学反応を反応式で示すと、「15NaClO2+4C(OH)(CH2COOH)2COOH→12ClO2+4C6H5Na3O7+3NaCl+2H2O」となる。ここで、上記反応式で生成された「C6H5Na3O7」、「NaCl」、「H2O」は、二酸化塩素以外の物質17を構成している副生成物(不要物質)ということになる。
【0021】
また、第1の器物3は、耐薬品性があり気体のみを透過させるポリプロピエン、ポリエチレン、シリコン等の合成樹脂等で構成されている。これにより、上記化学反応で生成された二酸化塩素15のみが、第1の器物3を透過し、第2の器物5内の水に溶けるようになっている。一方、第2の器物5は、ガラスや所定のコーティングがされている合成樹脂等の、水7や二酸化塩素15や副生成物17は透過しない材料で構成されている。
【0022】
図2、
図3で示すように、第1の器物3は第1のチューブで構成されている。第2の器物5は第2のチューブで構成されている。また、第2のチューブ5は、上述したようにコーティング等が適宜されている合成樹脂等で構成されている。これにより、上記反応式に記載されている物質は、第2のチューブ5を透過しないようになっている。第1の器物3および第2のチューブ5はたとえば可撓性を備えている。
【0023】
第1のチューブ3は第2のチューブ5内に入っている。そして、第1のチューブ3内を二酸化塩素15と二酸化塩素以外の物質17とが流れるように構成されている。また、第2のチューブ5内であって第1のチューブ3の外側の空間19を水が流れるように構成されている。
【0024】
第1のチューブ3は、円筒状等の細長い筒状に形成されており、第2のチューブ5も、円筒状等の細長い筒状に形成されている。第1のチューブ3の外径は、第2のチューブ5の内径よりも小さくなっている。
【0025】
第1のチューブ3の長手方向と第2のチューブ5の長手方向とはお互いが一致しており、第1のチューブ3が第2のチューブ5内で延びている。第1のチューブ3を除く第2のチューブ5内の部位には、筒状の空間19が形成されており、この筒状の空間19に水7が流れるようになっている。
【0026】
二酸化塩素15と二酸化塩素以外の物質17とが流れる方向は、第1のチューブ3の長手方向と一致しており、水7が流れる方向は、第2のチューブ5の長手方向と一致している。
【0027】
第1のチューブ3内での、二酸化塩素15と二酸化塩素以外の物質17とが流れる方向に対して、第2のチューブ5内であって第1のチューブの外側での、水7が流れる方向は、逆方向になっている(
図2の矢印参照)。
【0028】
二酸化塩素水溶液の製造装置1についてさらに詳しく説明する。
【0029】
二酸化塩素水溶液の製造装置1は、
図1で示すように、架台21と、第1の反応前物質用タンク(たとえば亜塩素酸用タンク)23と、第2の反応前物質用タンク(たとえばクエン酸用タンク)25と、水用タンク27と、二酸化塩素15の水溶液用タンク29と、副生成物用タンク31とを備えて構成されている。
【0030】
また、二酸化塩素水溶液の製造装置1には、
図1で示すように、第1の反応前物質用ポンプ(たとえば亜塩素酸用チューブポンプ)33と、第2の反応前物質用ポンプ(たとえばクエン酸用チューブポンプ)35と、水用ポンプ37とが設けられている。
【0031】
さらに、二酸化塩素水溶液の製造装置1には、所定の物質透過部(たとえば二酸化塩素透過部)39と温度調整部41と制御部(図示しないCPUとメモリとを備えている制御部)43とが設けられている。
【0032】
各タンク23、25、27、29、31や各ポンプ33、35、37等は、架台21に載置されている。なお、各ポンプ33、35、37として、たとえば、可変吐出量チューブポンプが採用されている。
【0033】
亜塩素酸用タンク23には、亜塩素酸11の水溶液が蓄えられており、クエン酸用タンク25には、クエン酸13の水溶液が蓄えられており、水用タンク27には、水7が蓄えられている。二酸化塩素15の水溶液用タンク29には、二酸化塩素15の水溶液2が蓄えられるようになっており、副生成物用タンク31には、副生成物17が蓄えられるようになっている。
【0034】
亜塩素酸用チューブポンプ33の吸入口からは、吸入用チューブ45が延びている。吸入用チューブ45の先端部は亜塩素酸用タンク23内に入っている。亜塩素酸用チューブポンプ33の吐出口からは、吐出用チューブ47が延びている。
【0035】
クエン酸用チューブポンプ35の吸入口からは、吸入用チューブ49が延びている。吸入用チューブ49の先端部はクエン酸用タンク25内に入っている。クエン酸用チューブポンプ35の吐出口からは、吐出用チューブ51が延びている。
【0036】
吐出用チューブ47の先端と吐出用チューブ51の先端とがお互いが接続されており、この接続されている箇所等で物質合わせ部9が形成されている。物質合わせ部9から第1のチューブ3が副生成物用タンク31に向かって延びている。
【0037】
物質合わせ部9によって、亜塩素酸11の水溶液とクエン酸13の水溶液とがお互いに混じり合って化学反応が起こり、二酸化塩素15と副生成物17とが生成されるようになっている。この二酸化塩素15と副生成物17とは、第1のチューブ3内を副生成物用タンク31に向かって流れるようになっている。
【0038】
水用ポンプ37の吸入口からは吸入用チューブ53が延びている。吸入用チューブ53の先端部は水用タンク27内に入っている。水用ポンプ37の吐出口からは、吐出用チューブ55が延びている。
【0039】
吐出用チューブ55の先端は第2のチューブ5に接続されており、この接続がされている箇所から第2のチューブ5が二酸化塩素15の水溶液用タンク29に向かって延びている。なお、第2のチューブ5の先端からは排出用チューブ30が延びている。
【0040】
そして、排出用チューブ30の先端が二酸化塩素15の水溶液用タンク29内に入っている。これにより水7や二酸化塩素15の水溶液2が、水用タンク27から二酸化塩素15の水溶液用タンク29に向かって流れるようになっている。
【0041】
第1のチューブ3の長手方向の一部(たとえば、中間部の大部分)は、
図2や
図3で示すように、第2のチューブ5の内部で長く延びている。第1のチューブ3の、第2のチューブ5の内部で長く延びている部位が、二酸化塩素透過部39になっている。二酸化塩素透過部39では、二酸化塩素15が第1のチューブ3から出てきて、第2のチューブ5内の水7に溶け込むようになっている。
【0042】
図1で示す温度調整部41は、二酸化塩素透過部39の長手方向の一部(たとえば、中間部の大部分)で、第1のチューブ3と第2のチューブ5との温度を調整するようになっている。すなわち、温度調整部41は、亜塩素酸11の水溶液、クエン酸13の水溶液、二酸化塩素15、副生成物17、水7の温度を調整するようになっている。第1のチューブ3と第2のチューブ5との温度は、たとえば、―9℃~60℃の範囲で適宜調整されるようになっている。また、温度調整部41のところでは、
図1で示すように、二酸化塩素透過部39を形成している第1のチューブ3と第2のチューブ5とがコイル状(螺旋状)になって延びている。なお、温度調整部41で、二酸化塩素透過部39が、蛇行等の他の形態で曲がって延びていてもよい。
【0043】
図1を参照しつつ温度調整部41についてさらに説明する。温度調整部41は容器42とこの容器42内入っている不凍液等の所定の液体44と、この所定の液体の温度を調節する温度調節器46とを備えて構成されている。そして、コイル状の二酸化塩素透過部39が、所定の液体44内に収まっている。
【0044】
第2のチューブ5の長手方向の一端(水用ポンプ37側の端)は、
図3(b)で示すように、ティー57の1つ目の接続部59に接続されている。ティー57の2つ目の接続部61は、吐出用チューブ55に接続されている。
【0045】
第2のチューブ5の長手方向の他端(二酸化塩素15の水溶液用タンク29側の端)は、
図3(c)で示すように、ティー63の1つ目の接続部65に接続されている。ティー63の2つ目の接続部67は、排出用チューブ30に接続されている。
【0046】
ティー57の3つ目の接続部69には、
図3(b)で示すように、ブッシュ71が設置されている。ティー63の3つ目の接続部73には、
図3(c)で示すように、ブッシュ75が設置されている。
【0047】
そして、各ブッシュ71、75を貫通して、第2のチューブ5内を第1のチューブ3が貫通している。なお、
図3(b)(c)に参照符号77で示すものは、第1のチューブ3の変形を防止するための変形防止部材である。変形防止部材77は円筒状に形成されているとともに、剛性が高くなっている。
【0048】
図3(b)で示す状態では、ティー57の3つ目の接続部69と変形防止部材77とによって、ブッシュ71と第1のチューブ3とが所定の圧力をもって挟み込まれている。
図3(c)で示す状態でも、ティー63の3つ目の接続部73と変形防止部材77とによって、ブッシュ75と第1のチューブ3とが所定の圧力をもって挟み込まれている。
【0049】
そして、各ポンプ33、35、37を駆動すると、
図1~
図3に矢印で示すように、二酸化塩素15、副生成物17、水7等が、第1のチューブ3や第2のチューブ5から漏れ出すことなく、流れるようになっている。なお、第1のチューブ3のうちの第2のチューブ5の外に出ている部位については、第2のチューブ5と同様に、コーティングがされていることで水7や二酸化塩素15や副生成物17が透過しないようになっていることが望ましい。
【0050】
次に、二酸化塩素水溶液の製造装置1の動作について説明する。
【0051】
初期状態では、亜塩素酸用タンク23内に亜塩素酸11の水溶液が入っており、クエン酸用タンク25内にはクエン酸13の水溶液が入っており、水用タンク27内には水7が入っており、水溶液用タンク29、副生成物用タンク31は空になっている。また、各ポンプ33、35、37は停止している。
【0052】
上記初期状態で制御部43の制御の下、まず温度調整部41で温度を調整する。続いて、各ポンプ33、35、37を稼働させる。ポンプ33、35の稼働は、たとえば、間欠的にされる。所定時間あたりの二酸化塩素15の生成量は、微量でよいからである。これに対して水ポンプ37は、たとえば、連続的に稼働する。
【0053】
これにより、二酸化塩素15の水溶液用タンク29内に二酸化塩素15の水溶液2がたくわえられ、副生成物用タンク31内に副生成物17が蓄えられる。
【0054】
二酸化塩素水溶液の製造装置1では、第1のチューブ3と、水7とが、第2のチューブ5に入っている状態で、第1のチューブ3を透過して二酸化塩素15が第1のチューブ3の外部に出てくるようになっている。さらに、第1のチューブ3の外部に出てきた二酸化塩素15が第2のチューブ5内の水7に溶解するようになっている。これにより、必要とする二酸化塩素(副生成物等の不純物を含まない二酸化塩素)を得ることができるとともに、得られた二酸化塩素の使い勝手を良くすることができる。
【0055】
たとえば、二酸化塩素15が水7に溶存していることで、二酸化塩素15の分散速度が遅くなり、二酸化塩素15の使い勝手が良くなる。たとえば、二酸化塩素15のみが溶存している水7を殺菌対象であるテーブル上に霧状に散布すれば、二酸化塩素15が水7から徐々に放出され、殺菌作用を持続させることができる。
【0056】
また、二酸化塩素水溶液の製造装置1では、亜塩素酸11とクエン酸13とを合わせたときの化学反応で、二酸化塩素15を生成するようになっている。これにより、不安定な二酸化塩素15を必要に応じてタイムーに得ることができる。
【0057】
また、二酸化塩素水溶液の製造装置1では、第1のチューブ3が第2のチューブ5内に入っており、第1のチューブ3内を二酸化塩素15とこれ以外の物質17とが流れ、第2のチューブ5内であって第1のチューブ3の外側を水7が流れるようになっている。これによって、連続した態様で、二酸化塩素15の水溶液2を効率良く得ることができる。
【0058】
二酸化塩素水溶液の製造装置1では、第1のチューブ3内を二酸化塩素15とこれ以外の物質17とが流れる方向と、第2のチューブ5内での水7が流れる方向とが逆になっているので、二酸化塩素15の水溶液2を一層効率良く得ることができる。
【0059】
すなわち、二酸化塩素15とこれ以外の物質17とが流れる方向の上流側では二酸化塩素15の濃度が高く、二酸化塩素15とこれ以外の物質17とが流れる方向の下流側では二酸化塩素15の濃度が低くなっている。また、水7の流れる方向の上流側では二酸化塩素15の濃度が低く、水7の流れる方向の下流側では二酸化塩素15の濃度が高くなっている。
【0060】
また、第1のチューブ3と第2のチューブ5との長手方向での一方の側では、第1のチューブ3内および第2のチューブ5内での二酸化塩素15の濃度が高くなっている。第1のチューブ3と第2のチューブ5との長手方向での他方の側では、第1のチューブ3内および第2のチューブ5内での二酸化塩素15の濃度が低くなっている。
【0061】
これにより、第1のチューブ3と第2のチューブ5との長手方向での、第1のチューブ3を透過する二酸化塩素15の量の偏りを極力少なくすることができ、二酸化塩素15の水溶液2を一層効率良く得ることができる。
【0062】
なお、上記説明では、二酸化塩素15の水溶液2を得る場合を例に掲げて説明したが、二酸化塩素以外の水溶液を得る場合にも、水溶液の製造装置1を、そのまま、もしくは、一部を適宜変形した態様で、使用することができる。たとえば、香料と香料以外の物質が混ざっているものから、香料の水溶液を得ることができる。
【0063】
なお、上述したものを方法の発明として把握してもよい。
【0064】
すなわち、所定の物質が透過する材料で構成されており前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが内部に入っている第1の器物と、水とが、第2の器物内に入っている。この状態で、前記第1の器物を透過して前記第1の器物の外部に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程を有する水溶液の製造方法として把握してもよい。
【0065】
また、前記物質生成工程が、少なくも2種類の物質(たとえば亜塩素酸当の第1の反応前物質とクエン酸等の第2の反応前物質)を合わせたときの化学反応で、前記所定の物質を生成する工程であってもよい。
【0066】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る二酸化塩素水溶液の製造装置1aは、
図4で示すように、器物(容器)79内を仕切り部材81で2つの部屋83、85に仕切っている等での点で第1の実施形態に二酸化塩素水溶液の製造装置1とは異なる。二酸化塩素水溶液の製造装置1aでも、二酸化塩素水溶液の製造装置1と同様な効果を得ることができる。
【0067】
さらに説明すると、二酸化塩素水溶液の製造装置1aは、容器79と仕切り部材81とを備えて構成されている。仕切り部材81は、第1のチューブ3と同様な所定の物質(たとえば二酸化塩素15)が透過する材料で構成されている。また、仕切り部材81は、容器79の内部を第1の部屋83と第2の部屋85とに仕切っている。なお、容器79は、ガラスや所定のコーティングがされている合成樹脂等の、水7や二酸化塩素15や副生成物17は透過しない材料で構成されている。
【0068】
二酸化塩素水溶液の製造装置1aでは、第1の部屋83に所定の物質(たとえば二酸化塩素)15と所定の物質以外の物質(たとえば二酸化塩素以外の物質)17とが入り、第2の部屋85に水(純水)7が入るように構成されている。
【0069】
そして、仕切り部材81を透過して第2の部屋85に出てきた二酸化塩素15が第2の部屋85の水7に溶解するようになっている。
【0070】
また、二酸化塩素水溶液の製造装置1aにおいて、仕切り部材81での二酸化塩素15の透過を促進するために、第1の部屋83の圧力を第2の部屋85の圧力よりも高くする圧力調整部87を設けてもよい。
【0071】
二酸化塩素水溶液の製造装置1aについてさらに詳しく説明する。
【0072】
容器79はたとえば枡状(有底円筒状)に形成されており、容器79上端の開口部には、蓋89がされている。また、容器79には、第1の取り出し口91と第2の取り出し口93とが設けられている。
【0073】
第1の取り出し口91は、開閉自在になっており、第1の取り出し口91が開いている状態では、第1の部屋83内のものを容器79の外部に取り出せるようになっている。第2の取り出し口99も、開閉自在になっており、第2の取り出し口93が開いている状態では、第2の部屋85内のものを容器79の外部に取り出せるようになっている。
【0074】
また、二酸化塩素水溶液の製造装置1aには、チューブ95、97、99が設けられている。チューブ95、97は、容器79の外部で延伸しており端部がお互いつながっている。チューブ99の一端部は、チューブ95、97のお互いがつながっているところで、チューブ95、97につながっている。チューブ99は、蓋89を貫通して容器79の第1の部屋83内に入り込んでいる。
【0075】
仕切り部材81は、薄い平板状に形成されており、容器79の内部を、半円柱状の第1の部屋83と半円柱状の第2の部屋85とに仕切っている。
【0076】
そして、チューブ95内を流れてきた亜塩素酸水溶液とチューブ97内を流れてきたクエン酸水溶液とが、二酸化塩素水溶液の製造装置1の場合と同様にして、チューブ99のところで混じり合い化学反応を起こすようなっている。これによって、二酸化塩素15と副生成物17とが生成されるようになっている。生成された二酸化塩素15と副生成物17とは、第1の部屋83内に溜まるようになっている。
【0077】
そして、第2の部屋85内に水7が入っている状態で、二酸化塩素15が仕切り部材81を透過し、第2の部屋85内の水7に溶解するようになっている。
【0078】
圧力調整部87は、第1の部屋83内にたとえば空気を送り込んで、第1の部屋83の圧力を高めるようになっている。なお、第2の部屋85はたとえば大気開放されている。
【0079】
ここで、二酸化塩素水溶液の製造装置1aの動作について説明する。
【0080】
初期状態では、第1の取り出し口91と第2の取り出し口93とが閉じており、第1の部屋83は空になっており、第2の部屋85には水7が入っている。
【0081】
上記初期状態において、チューブ95、97、99を用いて、第1の部屋83内に、二酸化塩素15と副生成物17とを溜め、この後、チューブ95、97による亜塩素酸水溶液、クエン酸水溶液の供給を停止する。
【0082】
続いて、圧力調整部87が設けられている場合にあっては、圧力調整部87で第1の部屋83内の圧力を高める。これによって、二酸化塩素15が、仕切り部材81を透過して第2の部屋85内の水7に溶解する。
【0083】
続いて、第2の取り出し口93を開いて第2の部屋85内の二酸化塩素15が溶解している水7を容器79から取り出し、第1の取り出し口91を開いて第1の部屋83内の副生成物17を容器79から取り出す。
【0084】
この後、第1の取り出し口91と第2の取り出し口93とを閉じ、第2の部屋85内に水7を入れることでることで、上記初期状態に戻る。
【0085】
二酸化塩素水溶液の製造装置1aでは、第1の部屋83内に、二酸化塩素15とこれ以外の物質17とを入れ、第2の部屋85内に水7を入れ、仕切り部材81を透過して第2の部屋85に出てきた二酸化塩素15を水7に溶解させている。これにより、必要とする二酸化塩素(副生成物等の不純物を含まない二酸化塩素)15を得ることができるとともに、得られた二酸化塩素15の使い勝手を良くすることができる。
【0086】
また、二酸化塩素水溶液の製造装置1aにおいて、第1の部屋83の圧力を第2の部屋83の圧力よりも高くすることで、仕切り部材81を二酸化塩素15が効率よく透過するようになる。
【0087】
なお、上記説明では、二酸化塩素15の水溶液2を得る場合を例に掲げて説明したが、二酸化塩素以外の水溶液を得る場合にも、水溶液の製造装置1aを、そのまま、もしくは、一部を適宜変形した態様で、使用することができる。たとえば、香料と香料以外の物質が混ざっているものから、香料の水溶液を得ることができる。
【0088】
なお、上述したものを方法の発明として把握してもよい。
【0089】
すなわち、所定の物質(たとえば二酸化塩素)が透過する材料で構成されている仕切り部材で、内部が第1の部屋と第2の部屋とに仕切られている器物を用いる。そして、前記第1の部屋内に、前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とを入れ、前記第2の部屋内に水を入れる。そして、前記仕切り部材を透過して前記第2の部屋に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程(二酸化塩素溶解工程)を有する水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造方法として把握してもよい。
【0090】
また、前記所定の物質の前記仕切り部材での透過を促進するために、前記第1の部屋の圧力が前記第2の部屋の圧力よりも高くなっている水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造方法として把握してもよい。
【0091】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係る二酸化塩素水溶液の製造装置1bは、
図4で示すように、器物(容器)101内を流路形成材103が通っている等の点で第1の実施形態に二酸化塩素水溶液の製造装置1とは異なる。二酸化塩素水溶液の製造装置1bでも、二酸化塩素水溶液の製造装置1と同様な効果を得ることができる。
【0092】
すなわち、二酸化塩素水溶液の製造装置1bは、流路形成材(第1の器物3に相当)103と、容器(第2の器物5に相当)101とを備えて構成されている。流路形成材103は、所定の物質(たとえば気体状の二酸化塩素15)が透過する材料(第1の器物3と同様な材料)で構成されているとともに、たとえば筒状に形成されている。また、流路形成材103の内部を二酸化塩素15と副生成物17とが流れるようになっている。容器101は、ガラスや所定のコーティングがされている合成樹脂等の、水7や二酸化塩素15や副生成物17は透過しない材料で構成されている。
【0093】
容器101の内部には、水(純水)7と、流路形成材103とが入っている。そして、流路形成材103を透過して流路形成材103の外部に出てきた二酸化塩素15が、容器101内の水7に溶解するようになっている。
【0094】
二酸化塩素水溶液の製造装置1bについてさらに詳しく説明する。
【0095】
容器101は、たとえば枡状(有底円筒状)に形成されており、容器101上端の開口部には、蓋105がされている。また、容器101には、取り出し口107が設けられている。取り出し口107は、開閉自在になっており、取り出し口107が開いている状態では、容器101内のものを容器101の外部に取り出せるようになっている。
【0096】
また、二酸化塩素水溶液の製造装置1bには、チューブ109、111が設けられている。チューブ109、111は、容器101の外部で延伸しており端部がお互いつながっている。流路形成部材(チューブ)103の一端部は、チューブ109、111のお互いがつながっているところで、チューブ109、111につながっている。流路形成部材103は、蓋105を貫通して容器101内を通っている。流路形成部材103の他端部は、容器101の外に位置している。
【0097】
そして、チューブ109内を流れてきた亜塩素酸水溶液とチューブ111内を流れてきたクエン酸水溶液とが、二酸化塩素水溶液の製造装置1の場合と同様にして、流路形成部材103のところで混じり合う。これによって化学反応を起こして、二酸化塩素15と副生成物17とが生成されるようになっている。
【0098】
容器101内に水7が入っている状態で、二酸化塩素15が流路形成部材103を透過し、容器101内の水7に溶解するようになっている。
【0099】
ここで、二酸化塩素水溶液の製造装置1aの動作について説明する。
【0100】
初期状態では、取り出し口107が閉じており、容器101には水7が入っている。チューブ109、111とによる亜塩素酸の水溶液とクエン酸の水溶液との供給が停止されている。
【0101】
上記初期状態において、チューブ109、111とに亜塩素酸の水溶液とクエン酸の水溶液とを流し、流路形成材103に二酸化塩素15と副生成物17とを流す。これによって、二酸化塩素15が、流路形成材103を透過して容器103内の水7に溶解する。
【0102】
続いて、取り出し口107を開いて容器103内の二酸化塩素15が溶解している水7を容器103から取り出す。
【0103】
この後、チューブ109、111とによる亜塩素酸の水溶液とクエン酸の水溶液との供給を停止し、取り出し口107を閉じ、容器103内に水7を供給することで、上記初期状態に戻る。
【0104】
ここで、変形例に係る二酸化塩素水溶液の製造装置1bについて、
図6~
図13を参照しつつ説明する。
【0105】
図5で示す第3の実施形態に係る二酸化塩素水溶液の製造装置1bでは、流路形成材103が細い円筒状に形成されており、容器101内で直線状に延びている。これに対して、
図9で示す二酸化塩素水溶液の製造装置1bでは、二酸化塩素15を水7により効率良く溶解させるために、細長い筒状の流路形成材103が容器101内で螺旋状に延びている。なお、二酸化塩素15を水7により効率良く溶解させるために、流路形成材103が容器101内で蛇行する等、他の形態で曲がって延びていてもよい。
【0106】
図6~
図8、
図11~
図13で示す二酸化塩素水溶液の製造装置1bでは、流路形成材103が、二酸化塩素15を水7により効率良く溶解させるために、容器101内で次に示す態様で延びている。
【0107】
すなわち、流路形成部材103内での二酸化塩素15と副生成物17とが流れる方向に対して直交する平面による流路形成部材107の断面をとる。流路形成材103の容器101内に入っている箇所(内側箇所の少なくとも一部)の、二酸化塩素15と副生成物17と接している線(流路形成部材103と二酸化塩素15および副生成物17と境界を示す線)を第1の線とする。流路形成材103の容器101の外に出ている箇所(外側箇所)の、二酸化塩素15と副生成物17と接している線を第2の線とする。すると、第1の線の長さが第2の線の長さよりも十分に長くなっている。
【0108】
さらに、流路形成部材103の肉厚はたとえば一定になっている。流路形成部材103内での二酸化塩素15と副生成物17とが流れる方向に対して直交する平面による流路形成部材107の断面をとる。流路形成材103の容器101内に入っている箇所(内側箇所の少なくとも一部)の、水7と接している線を第3の線とする。流路形成材103の容器101の外に出ている箇所(外側箇所)の、水7と接している線を第4の線とする。すると、第3の線の長さが第4の線の長さよりも十分に長くなっている。
【0109】
このように構成することで、二酸化塩素15が容器101内で流路形成材103を透過しやすくなっており、効率良く二酸化塩素15の水溶液2を容器101内で得ることができる。
【0110】
図6で示す流路形成材103について詳しく説明する。
図6で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所の外形形状は、大きな直方体状に形成されている。この直方体には、小さな直方体状の貫通孔113が、行列になって複数ならんで設けられている。
図6で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所の肉部の厚さはたとえば一定になっている。
【0111】
図7で示す流路形成材103について詳しく説明する。
図7で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所は、円筒状の中央部位115と、円筒状の中央部位115と同心であって径の大きな肉厚円筒状部位117と、放射状の連結部位119とを備えて構成されている。放射状の連結部位119は、円筒状の中央部位115と肉厚円筒状部位117とをつないでいる。
図7で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所の肉部の厚さはたとえば一定になっている。
【0112】
図8で示す流路形成材103について詳しく説明する。
図8で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所は、径の大きな肉厚円筒状部位121を備えて構成されている。
図8で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所の肉部の厚さはたとえば一定になっている。
【0113】
図10で示す流路形成材103について詳しく説明する。
図10で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所は、一定の肉厚の円錐台状部位131を複数つなげた形態になっている。
【0114】
図11で示す流路形成材103について詳しく説明する。
図11で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所は、円筒状の中央部位125と、この中央部位125から放射状になって突出している放射状部位127を備えて構成されている。
図11で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所の肉部の厚さはたとえば一定になっている。
【0115】
図12で示す流路形成材103について詳しく説明する。
図12で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所は、薄い肉厚で外形が概ね矩形状になっている大きな矩形状部位129と、一対の円筒状部位131とを、連結部位133とを備えて構成されている。連結部位133は、蛇行して矩形状部位129の内部で延びているとともに、一対の円筒状部位131をつないでいる。これにより、矩形状部位129の肉厚が薄く剛性がほとんど無いとしても、一対の円筒状部位131の相対的な位置関係が維持されるようになっている。なお、連結部位133も若干の弾性を備えている。
【0116】
図13で示す流路形成材103について詳しく説明する。
図13で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所は、一対の肉厚円盤状部位135と、一対の肉厚円盤状部位135をつないでいる複数の円筒状部位137とを備えて構成されている。
図13で示す流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所の肉部の厚さはたとえば一定になっている。
【0117】
ところで、
図14(a)で示す構成は、
図5や
図9で示すものの構成と同じものである。
図14(b)で示すものでは、
図14(a)で示すものにおいて、器物101の内部の水7を攪拌する攪拌部139が設けられている。これにより、流路形成材103から出てきた二酸化塩素15を効率良く水7に溶解させることができる。
【0118】
図15(a)で示す構成では、
図14(a)で示すものにおいて、流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所を回転もしくは回動させている。これにより、流路形成材103から出てきた二酸化塩素15を効率良く水7に溶解させることができる。
図15(b)で示す構成では、
図14(a)で示すものにおいて、容器101を回転もしくは回動させている。これにより、流路形成材103から出てきた二酸化塩素15を効率良く水7に溶解させることができる。
【0119】
図16(a)で示す構成では、
図14(a)で示すものにおいて、流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所、容器101の少なくともいずれかを上下方向に往復運動させている。これにより、流路形成材103から出てきた二酸化塩素15を効率良く水7に溶解させることができる。
【0120】
図16(b)で示す構成では、
図14(a)で示すものにおいて、流路形成材103のうちの容器101内に入っている箇所、容器101の少なくともいずれかを振動させている。これにより、流路形成材103から出てきた二酸化塩素15を効率良く水7に溶解させることができる。
【0121】
なお、上述したものを方法の発明として把握してもよい。
【0122】
すなわち、所定の物質(たとえば気体状の二酸化塩素15)が透過する材料で構成されており前記所定の物質と前記所定の物質以外の物質とが内部を流れる(筒状の)流路形成材(第1の器物)と、水とが、器物(第2の器物)内に入っている。この状態で、前記流路形成材を透過して前記流路形成材の外部に出てきた前記所定の物質を前記水に溶解させる物質溶解工程(二酸化塩素溶解工程)を有する水溶液(二酸化塩素水溶液)の製造方法として把握してもよい。
【符号の説明】
【0123】
1、1a 水溶液の製造装置
3 第1の器物(第1のチューブ)
5 第2の器物(第2のチューブ)
7 水
15 所定の物質(二酸化塩素)
17 所定の物質以外の物質(副生成物;不要物質)
79、101 器物(容器)
81 仕切り部材
83 第1の部屋
85 第2の部屋
103 流路形成材