(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167470
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】車両通信方法、車両通信システム及び携帯端末
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20221027BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20221027BHJP
【FI】
E05B49/00 J
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073271
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】土持 直城
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB36
2E250DD06
2E250FF23
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
【課題】車両の装備を制御するために携帯端末と車載装置との間で行う無線通信による電力消費を低減する。
【解決手段】携帯端末2は、携帯端末2に搭載された運動検出センサ20によって携帯端末2が運動しているか否か判定する。携帯端末2が運動していると判定した場合に、携帯端末2は、第1周波数の第1無線信号を送信する。車載装置10は、第1無線信号を受信したか否かを判定する。車載装置10が第1無線信号を受信した場合に、車載装置10は、第1周波数よりも低い第2周波数の第2無線信号を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に搭載された運動検出センサによって前記携帯端末が運動しているか否か判定し、
前記携帯端末が運動していると判定した場合に、前記携帯端末が第1周波数の第1無線信号を送信し、
前記第1無線信号を受信したか否かを車載装置が判定し、
前記車載装置が前記第1無線信号を受信した場合に、前記車載装置が前記第1周波数よりも低い第2周波数の第2無線信号を送信する、
ことを特徴とする車両通信方法。
【請求項2】
前記車載装置は、前記携帯端末が前記車載装置に近づいているか否かを判定し、前記携帯端末が前記車載装置に近づいていると判定すると前記第2無線信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の車両通信方法。
【請求項3】
前記携帯端末が運動していても前記携帯端末が前記車載装置から離れている場合には、前記車載装置は、前記第2無線信号の送信を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両通信方法。
【請求項4】
携帯端末と、車載装置と、を備える車両通信システムであって、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の運動を検出する運動検出センサと、
前記運動検出センサが前記携帯端末の運動を検出した場合に、第1周波数の第1無線信号を送信する第1送信機と、を備え、
前記車載装置は、
前記携帯端末から送信された前記第1無線信号を受信する受信機と、
前記受信機が前記第1無線信号を受信した場合に、前記第1周波数よりも低い第2周波数の第2無線信号を送信する第2送信機と、を備えることを特徴とする車両通信システム。
【請求項5】
第1周波数の無線信号を車載装置に送信する携帯端末であって、
前記携帯端末の運動を検出する運動検出センサと、
前記運動検出センサが前記携帯端末の運動を検出した場合に、前記第1周波数よりも低い第2周波数の無線信号の送信を車載装置に要求する前記第1周波数の無線信号である要求信号を送信し、前記携帯端末の運動を検出しないときには前記要求信号の送信を停止する送信機と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通信方法、車両通信システム及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の装備を制御するために携帯機と通信を行う車両通信装置が記載されている。車両通信装置は、長波帯のLF信号よりも周波数が高い高周波信号を間欠的に送信して通信相手を探索し、高周波信号による探索により通信相手が見つかった場合に、LF信号を間欠的に送信して通信相手を探索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明では、高周波信号の届く範囲に携帯機が位置していれば、利用者が車両を利用する意図がなくても、車両通信装置と携帯機との間で電波の送受信が行われて電力を消費してしまうという問題があった。
本発明は、車両の装備を制御するために携帯端末と車載装置との間で行う無線通信による電力消費を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
車両通信方法では、携帯端末に搭載された運動検出センサによって携帯端末が運動しているか否か判定し、携帯端末が運動していると判定した場合に、携帯端末が第1周波数の第1無線信号を送信し、第1無線信号を受信したか否かを車載装置が判定し、車載装置が第1無線信号を受信した場合に、車載装置が第1周波数よりも低い第2周波数の第2無線信号を送信する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の装備を制御するために携帯端末と車載装置との間で行う無線通信による電力消費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の車両通信システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】(a)は車載装置の状態遷移図の一例であり、(b)は携帯端末の状態遷移図の一例である。
【
図3】(a)~(e)は、車載装置及び携帯端末の動作例の説明図である。
【
図4】携帯端末と車載装置の動作の一例のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の車両通信システム100の概略構成の一例を示す図である。車両通信システム100は、車両1に搭載された車載装置10と、車両1の利用者が所持する携帯端末2とを備え、車両1の装備を制御するために携帯端末2と車載装置10との間で無線通信を行うシステムである。
車両1は、携帯端末2を探索するためのLF(Low Frequency)信号S
LFを車外及び車内へ送信する。LF信号S
LFは、比較的低い周波数を有する無線信号であってよい。例えば、LF信号S
LFは約125kHz程度の周波数の無線信号であってよい。LF信号S
LFの通信可能距離は比較的短い。例えばLF信号S
LFの通信可能距離は1m程度であってよい。
【0010】
携帯端末2は、例えば車両1の施錠及び解錠や、イグニションスイッチを操作するリモートコントロール端末(例えば、KEYFOB等)であってよい。
携帯端末2は、車両1にLF信号SLFを送信することを要求する要求信号SHFと、LF信号SLFに応答して送信される応答信号SRと、車両1の装備を操作するための操作信号SOを送信する。応答信号SRには、携帯端末2のIDコードなどの識別情報を含んでよい。
要求信号SHF、応答信号SR及び操作信号SOは、比較的高い周波数を有する無線信号であってよい。例えば、要求信号SHF、応答信号SR及び操作信号SOは、約300MHz程度の周波数を有する無線周波数(RF:Radio Frequency)信号であってよい。
要求信号SHF、応答信号SR及び操作信号SOの通信可能距離は比較的長く、例えば、30m程度であってよい。
【0011】
上記のとおり、LF信号SLFの通信可能距離は比較的短い。このため、LF信号SLFを受信した携帯端末2が送信する応答信号SRに含まれる識別情報に基づいて携帯端末2の認証を行うことにより、携帯端末2を所持している利用者が車両1の車内又は車両1の近くにいる場合にのみ車両1の装備の操作を許可できる。
要求信号SHFは、特許請求の範囲に記載の「第1無線信号」の一例であり、LF信号SLFは、特許請求の範囲に記載の「第2無線信号」の一例である。
【0012】
車載装置10は、高周波数受信機11と、低周波数送信機12と、操作スイッチ13と、コントローラ14を備える。
なお、
図1において高周波数を「HF」(すなわちHigh Frequency)と表記し、低周波数を「LF」と表記し、スイッチを「SW」と表記し、イグニションを「IGN」と表記している。高周波数受信機11および低周波数送信機12は、それぞれ特許請求の範囲に記載の「受信機」及び「第2送信機」の一例である。
高周波数受信機11は、携帯端末2から送信される要求信号S
HF、応答信号S
R、操作信号S
Oを受信する。
低周波数送信機12は、LF信号S
LFを車外及び車内へ送信する。
【0013】
操作スイッチ13は、利用者による車両1の装備の操作を受け付けるスイッチである。車両1の装備は、例えば車両1のドアをロック及びアンロックするロック装置17や、イグニションスイッチ18であってよい。
コントローラ14は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)であり、LF信号SLFの送信制御と、利用者による車両1の装備の操作を許可又は禁止する制御を行う。
コントローラ14は、プロセッサ15と、記憶装置16等の周辺部品とを含む。プロセッサ15は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。
【0014】
記憶装置16は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置16は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。以下に説明するコントローラ14の機能は、例えばプロセッサ15が、記憶装置16に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ14を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。
例えば、コントローラ14は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ14はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
コントローラ14による処理は後述する。
【0015】
携帯端末2は、運動検出センサ20と、高周波数送信機21と、低周波数受信機22と、操作スイッチ23と、コントローラ24を備える。
高周波数送信機21は、特許請求の範囲に記載の「第1送信機」若しくは「送信機」の一例である。
運動検出センサ20は、携帯端末2の運動を検出する。例えば運動検出センサ20は、3軸方向の加速度と3軸周りの角速度を検出する。例えば運動検出センサ20は、慣性センサ(3軸加速度センサと3軸ジャイロセンサ)と3軸地磁気センサを組み合わせたモーションセンサであってよい。
携帯端末2の運動を検出することにより、利用者が車両1を利用するために携帯端末2を所持して動いているのか、それとも利用者が車両1を利用する意図がなく、単に携帯端末2が置かれている状態であるのかを判定できる。
【0016】
高周波数送信機21は、要求信号SHF、応答信号SR及び操作信号SOを送信する。
低周波数受信機22は、LF信号SLFを受信する。
操作スイッチ23は、利用者による車両1の装備の操作を受け付けるスイッチである。操作スイッチ23が利用者によって操作されると、コントローラ24は、車両1の装備を操作するための操作信号SOを高周波数送信機21に送信させる。
コントローラ24は、要求信号SHF、応答信号SR及び操作信号SOの送信制御を行う電子制御ユニットである。
コントローラ24は、プロセッサ25と、記憶装置26等の周辺部品とを含む。プロセッサ25は、例えばCPUやMPUであってよい。
【0017】
記憶装置26は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置26は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。以下に説明するコントローラ24の機能は、例えばプロセッサ25が、記憶装置26に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ24を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。
例えば、コントローラ24は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ24はFPGA等のPLDを有していてもよい。
コントローラ24による処理は後述する。
【0018】
次に、コントローラ14及び24による処理を説明する。
図2(a)は、車載装置10の状態遷移図の一例である。コントローラ14による制御が始まると、まずコントローラ14は、車載装置10の動作状態を作動状態ST11に遷移させる。
作動状態ST11では、コントローラ14は、低周波数送信機12にLF信号S
LFを間欠的に送信させる。
LF信号S
LFの通信可能範囲内に携帯端末2が存在し、LF信号S
LFに応答して携帯端末2から送信された応答信号S
Rを高周波数受信機11が受信すると、コントローラ14は、応答信号S
Rに含まれる識別情報が、予め記憶装置16に記憶されている識別情報と一致するか否かを判定する。応答信号S
Rに含まれる識別情報が記憶装置16に記憶されている識別情報と一致すると、携帯端末2が認証される。
【0019】
携帯端末2が認証されると、コントローラ14は、利用者による車両1の装備の操作を許可する。例えば、操作スイッチ13によるロック装置17や、イグニションスイッチ18の操作を許可する。また、利用者が操作スイッチ23を操作することにより携帯端末2から送信された操作信号SOを高周波数受信機11が受信すると、操作信号SOに応じて車両1の装備を操作する。
一方で、携帯端末2が認証されない場合には、コントローラ14は、利用者による車両1の装備の操作を禁止する。
【0020】
さらに作動状態ST11では、コントローラ14は、高周波数受信機11が要求信号SHFを受信していない状態の継続時間を計時する。
所定時間Tが経過する前に高周波数受信機11が要求信号SHFを受信すると、コントローラ14は、車載装置10の動作状態を作動状態ST11に維持する。
要求信号SHFを受信していない状態が所定時間T以上継続すると、コントローラ14は、車載装置10の動作状態を節電状態ST12に遷移させる。イグニションスイッチ18がオンに切り替わった場合も、車載装置10の動作状態を節電状態ST12に遷移させる。
【0021】
節電状態ST12では、コントローラ14は、低周波数送信機12によるLF信号SLFの間欠的な送信を停止させる。これにより、LF信号SLFを送信するための電力消費を抑制できる。
また、コントローラ14は、高周波数受信機11が要求信号SHFを受信しているか否かを監視する。要求信号SHFを受信しない場合には、コントローラ14は、車載装置10の動作状態を節電状態ST12に維持する。要求信号SHFを受信した場合には、車載装置10の動作状態を作動状態ST11に遷移させる。
【0022】
このように車載装置10が動作する場合、利用者が車両を利用する意図がなくても、携帯端末2から送信された要求信号SHFが車載装置10に届けば、車載装置10がLF信号SLFを送信することにより、LF信号SLF送信のための電力を消費してしまう。
例えば、上記特許文献1のように、あらかじめ車両側から高周波信号を送信して携帯機を探索して、携帯機が見つかったときにLF信号を送信させる構成を採用しても、高周波信号の送信のための電力を消費してしまう。また、高周波信号が携帯機に届けば、利用者が車両を利用する意図がなくても、LF信号SLF送信のための電力を消費してしまう。
【0023】
そこで、実施形態の携帯端末2は、運動検出センサ20によって携帯端末2が運動しているか否か判定し、携帯端末2が運動していると判定した場合には要求信号S
HFを送信することにより、車両1にLF信号S
LFを送信することを要求する。
図2(b)は携帯端末2の状態遷移図の一例である。コントローラ24による制御が始まると、まずコントローラ24は、携帯端末2の動作状態を作動状態ST21に遷移させる。
作動状態ST21では、コントローラ24は、高周波数送信機21に要求信号S
HFを間欠的に送信させる。
【0024】
要求信号SHFの通信可能範囲内に車載装置10が存在すると、要求信号SHFに応答して車載装置10がLF信号SLFを送信する。
そして、携帯端末2がLF信号SLFの通信可能範囲内に位置し、低周波数受信機22がLF信号SLFを受信すると、コントローラ24は、高周波数送信機21に応答信号SRを送信させる。
また、利用者によって操作スイッチ23が操作されると、コントローラ24は、高周波数送信機21に操作信号SOを送信させる。
【0025】
さらに、作動状態ST21では、コントローラ24は、運動検出センサ20により携帯端末2の運動を監視する。運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出している場合(すなわち携帯端末2が運動していることを検出している場合)には、コントローラ24は、携帯端末2の動作状態を作動状態ST21に維持する。
運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出していない場合(すなわち携帯端末2が運動していないことを検出している場合)には、コントローラ24は、携帯端末2の動作状態を節電状態ST22に遷移させる。
【0026】
節電状態ST22では、コントローラ24は、高周波数送信機21による要求信号SHFの間欠的な送信を停止させる。
これにより、運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検知していない状態、すなわち利用者が車両1を利用するために携帯端末2を所持して動いていない状態(例えば、単に携帯端末2が置かれている等)において、要求信号SHFを送信するための携帯端末2の電力消費を抑制できる。さらに、要求信号SHFに応答してLF信号SLFを送信する車載装置10の電力消費を抑制できる。
このため、利用者が車両1を利用する意図がないときの、携帯端末2と車載装置10との間の無線通信による電力消費を抑制できる。
【0027】
節電状態ST22では、コントローラ24は、運動検出センサ20により携帯端末2の運動を監視する。
運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出していない場合(すなわち携帯端末2が運動していないことを検出している場合)には、コントローラ24は、携帯端末2の動作状態を節電状態ST22に維持する。
運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出した場合(すなわち携帯端末2が運動していることを検出した場合)には、コントローラ24は、携帯端末2の動作状態を作動状態ST21に遷移させる。これにより、要求信号SHFの送信が再開される。
【0028】
次に、
図3(a)~
図3(e)を参照して、車載装置10及び携帯端末2の動作例を説明する。破線A1は要求信号S
HFの通信可能範囲を示し、破線A2はLF信号S
LFの通信可能範囲を示している。
図3(a)の状態では、利用者U1は携帯端末2を所持して通信可能範囲A1の外で動いている。このため運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出し、携帯端末2は作動状態ST21になる。この結果、携帯端末2からは要求信号S
HFが送信される。しかしながら、要求信号S
HFが車載装置10に到達しないため、車載装置10は節電状態ST12になりLF信号S
LFの送信を停止する。
すなわち、携帯端末2が運動していても携帯端末2が車載装置10から離れている場合には、車載装置10はLF信号S
LFの送信を停止する。
【0029】
また、利用者U1が携帯端末2を所持しておらず、通信可能範囲A1の外に置かれている場合には、運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出しないため、携帯端末2は節電状態ST22になる。したがって要求信号S
HFが送信されず、
図3(a)と同様に車載装置10はLF信号S
LFの送信を停止する。
図3(b)の状態では、利用者U1が携帯端末2を所持して車載装置10に近づき、通信可能範囲A1内かつ通信可能範囲A2の外側にいる。
この場合、運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出し、携帯端末2は作動状態ST21になる。この結果、携帯端末2からは要求信号S
HFが送信され、車載装置10に到達する。車載装置10は、要求信号S
HFの受信により作動状態ST11になる。このようにして、要求信号S
HFを受信しない状態から要求信号S
HFを受信する状態に変化したこと、すなわち携帯端末2が車載装置10に近づいていることが検出されると、車載装置10はLF信号S
LFを送信する。
しかしながら、携帯端末2がLF信号S
LFの通信可能範囲A2の外側に位置しているため、携帯端末2がLF信号S
LFを受信しない。このため、応答信号S
Rは送信されず携帯端末2は認証されない。したがって、まだ車両1の装備の操作はできない。
【0030】
図3(c)の状態では、利用者U1が携帯端末2を所持しておらず、通信可能範囲A1内に携帯端末2が置かれている。このため、運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出せず携帯端末2は節電状態ST22になる。すると要求信号S
HFが送信されないため、要求信号S
HFを受信していない状態が所定時間T以上継続すると、車載装置10は節電状態ST12に遷移してLF信号S
LFの送信を停止する。
図3(d)の状態では、利用者U1が携帯端末2を所持しておらず、通信可能範囲A2内に携帯端末2が置かれている。この場合も
図3(c)と同様である。
【0031】
図3(e)の状態では、利用者U1が携帯端末2を所持してさらに車載装置10に近づき、通信可能範囲A2内にいる。
この場合、運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出し、携帯端末2は作動状態ST21になる。この結果、携帯端末2からは要求信号S
HFが送信され、車載装置10に到達する。車載装置10のコントローラ14は、要求信号S
HFを受信すると作動状態ST11になりLF信号S
LFを送信する。
携帯端末2は通信可能範囲A2内に位置しているため、携帯端末2はLF信号S
LFを受信する。この結果、携帯端末2は応答信号S
Rを送信して、車載装置10に認証される。これにより車両1の装備の操作が可能になる。
【0032】
なお、
図3(e)の状態において、携帯端末2と車載装置10の間が利用者U1によって遮蔽されて要求信号S
HFが車載装置10に到達しなくなると、一時的にLF信号S
LFが送信しなくなることがありうる。
しかしながら、利用者U1が車両1を利用する意図を有している場合には、利用者U1の体が動くので、利用者U1と車両1と携帯端末2の位置関係が変化することにより、要求信号S
HFが車載装置10に到達しない状態はすぐに解消される。
【0033】
図4は、車載装置10と携帯端末2の動作の一例のシーケンス図である。
ステップS1において運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出する。ここでは、利用者U1は携帯端末2を所持して要求信号S
HFの通信可能範囲A1の外で動いている場合を想定する。
このため、ステップS2において携帯端末2は要求信号S
HFを送信するが、要求信号S
HFが車載装置10に到達せずに車載装置10はLF信号S
LFの送信を停止する。
【0034】
次に、利用者U1は携帯端末2を通信可能範囲A1内かつLF信号SLFの通信可能範囲A2の外に置いた場合を想定する。ステップS3において運動検出センサ20が携帯端末2の運動を検出しなくなる。したがって、携帯端末2は要求信号SHFを送信せず、車載装置10もLF信号SLFの送信を停止する。
次に、利用者U1が携帯端末2を所持して、通信可能範囲A1内かつLF信号SLFの通信可能範囲A2の外で動いている場合を想定する。ステップS4において運動検出センサ20は携帯端末2の運動を検出する。
このため、ステップS5において携帯端末2は要求信号SHFを送信する。携帯端末2が通信可能範囲A1内にあるため、要求信号SHFは車載装置10に到達する。
【0035】
したがってステップS6において車載装置10はLF信号SLFを送信する。しかし、携帯端末2が通信可能範囲A2の外に位置しているためLF信号SLFは携帯端末2に到達しない。このため、応答信号SRは送信されず携帯端末2は認証されない。したがって、まだ車両1の装備の操作はできない。
【0036】
次に、利用者U1が携帯端末2を所持して、LF信号SLFの通信可能範囲内A2まで近づいた場合を想定する。ステップS7において運動検出センサ20は携帯端末2の運動を検出する。ステップS8において携帯端末2は要求信号SHFを送信する。
携帯端末2が通信可能範囲A1内にあるため、要求信号SHFは車載装置10に到達し、ステップS9において車載装置10はLF信号SLFを送信する。
携帯端末2が通信可能範囲A2内にあるため、LF信号SLFは携帯端末2に到達する。このため、ステップS10において携帯端末2は応答信号SRを送信する。この結果、携帯端末2が認証され、車両1の装備の操作が可能になる。
【0037】
(変形例)
なお、上記の説明では、携帯端末2は、車両1の施錠及び解錠や、イグニションスイッチを操作するリモートコントロール端末(例えば、KEYFOB等)であったが、携帯端末2はこのようなリモートコントロール端末に限定されない。
例えば携帯端末2は、車両1の車載装置10と情報の授受が可能な可搬の端末装置(スマートフォン、PDA:Personal Digital Assistantなどの機器)であってもよい。この場合、例えば携帯端末2は、要求信号SHF、応答信号SR、操作信号SOとしてBluetooth(登録商標)規格に準拠した信号を送信してもよい。また、車載装置10は、LF信号SLFとしてUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信)信号を送信してもよい。
【0038】
また、例えば携帯端末2として、上記のKEYFOB等のリモートコントロール端末とスマートフォン等の可搬型端末装置とを組み合わせて使用してもよい。この場合、例えば可搬型端末装置は、要求信号SHFとしてBluetooth(登録商標)規格に準拠した信号を送信し、車載装置10は、周波数が約125kHz程度の長波帯のLF信号SLFを送信し、リモートコントロール端末は、応答信号SR、操作信号SOとして無線周波数(RF)信号を送信してもよい。
【0039】
(実施形態の効果)
(1)車両通信システム100は、携帯端末2と、車載装置10とを備える。携帯端末2は、携帯端末2の運動を検出する運動検出センサ20と、運動検出センサ20が前記携帯端末の運動を検出した場合に、第1周波数の要求信号SHFを送信する高周波数送信機21を備える。車載装置10は、携帯端末2から送信された要求信号SHFを受信する高周波数受信機11と、高周波数受信機11が要求信号SHFを受信した場合に、第1周波数よりも低い第2周波数のLF信号SLFを送信する低周波数送信機12と、を備える。
【0040】
これにより、利用者が車両1を利用する意図がない場合には、携帯端末2からの要求信号SHFの送信と、車載装置10からのLF信号SLFの送信を抑制できる。この結果、携帯端末2と車載装置10との間の無線通信による電力消費を低減できる。
また、車両1に対する利用者の位置、及び利用者が車両1を利用する意図に即してLF信号SLFの送信を開始することで、精度の高いLF信号SLFの送信停止制御が可能になる。
【0041】
(2)車載装置10は、携帯端末2が車載装置10に近づいているか否かを判定し、携帯端末2が車載装置10に近づいていると判定するとLF信号SLFを送信する。これにより、携帯端末2が車載装置10から離れている場合にはLF信号SLFの送信を停止するため、LF信号SLFを送信するための電力消費を低減できる。
【0042】
(3)車載装置10は、携帯端末2が運動していても携帯端末2が車載装置10から離れている場合には、LF信号SLFの送信を停止する。これにより、携帯端末2が運動しており携帯端末2から要求信号SHFが送信されていても、携帯端末2が車載装置10から離れている場合にはLF信号SLFの送信を停止するため、LF信号SLFを送信するための電力消費を低減できる。
【符号の説明】
【0043】
100…車両通信システム、1…車両、2…携帯端末、10…車載装置、11…高周波数受信機、12…低周波数送信機、13、23…操作スイッチ、14、24…コントローラ、15、25…プロセッサ、16、26…記憶装置、17…ロック装置、18…イグニションスイッチ、20…運動検出センサ、21…高周波数送信機、22…低周波数受信機