(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167479
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】垂直軸風力発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20221027BHJP
F03D 80/70 20160101ALI20221027BHJP
【FI】
F03D13/20
F03D80/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073284
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】521177681
【氏名又は名称】株式会社レジンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】夏池 信宜
(72)【発明者】
【氏名】夏池 弘一
(72)【発明者】
【氏名】毛呂 俊夫
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA16
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB31
3H178BB37
3H178CC22
3H178DD08Z
3H178DD50Z
(57)【要約】
【課題】大型の垂直軸風車を採用した場合でも、強風、弱風を問わず、風車が安定して回転可能であり、以て、優れた発電性能を発揮し得る垂直軸風力発電装置を提供すること。
【解決手段】垂直軸風車の回転中心に位置する回転体ヘッドに接続された、垂直下方に延びる回転軸によって、発電機を回転させ、発電する垂直軸風力発電装置において、回転体ヘッドを、ラジアル軸受及び第一の外部台座上に配設されたスラスト軸受によって固定支柱に対して回転自在に支承すると共に、浮力発生用の液体及びフロートを収容する浮力室を第一の外部台座より下方に配設し、第一の外部台座とフロートとを外部連結部材によって接続することによって、フロートに作用する浮力により外部連結部材及び第一の外部台座を介して垂直軸風車を浮上支持するよう、構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸風車の回転中心に位置する回転体ヘッドに接続された、垂直下方に延びる回転軸によって、発電機を回転させ、発電する垂直軸風力発電装置において、
前記回転体ヘッドが、下端部が架台に固定された長手中空部材より構成され、且つ、その内部の空所に前記回転軸が回転可能な状態で内挿されている固定支柱に対して、i)ラジアル軸受によって直接的に又は他の部材を介して間接的に回転自在に支承されていると共に、ii)該回転体ヘッドと該固定支柱の上端との間に配置された、水平方向中心部に前記回転軸が回転可能な状態で挿通される空所を有する第一の外部台座上に配設されたスラスト軸受によって、回転自在に支承されており、
前記固定支柱の前記第一の外部台座より下方に、浮力発生用の液体及びフロートを収容する浮力室が配設され、且つ該第一の外部台座とフロートとが、前記固定支柱より径方向外方にて該固定支柱より離隔して位置する外部連結部材によって連結せしめられており、
前記浮力室内にて前記フロートに作用する浮力によって、前記外部連結部材及び前記第一の外部台座を介して前記垂直軸風車を浮上支持するように構成されている、
ことを特徴とする垂直軸風力発電装置。
【請求項2】
前記第一の外部台座と前記フロートとの間に第二の外部台座が配設されており、該第一の外部台座と第二の外部台座とが前記外部連結部材によって連結せしめられている一方、該第二の外部台座と前記フロートとの間には、付勢方向が垂直方向となるようにスプリングが配設されており、該スプリングによって該第二の外部台座とフロートとが連結せしめられている請求項1に記載の垂直軸風力発電装置。
【請求項3】
前記固定支柱内の空所において、その下端部から垂直上方に向かって延びる、該固定支柱より高さが低いインナー支柱が配設されていると共に、該空所における前記第一の外部台座より垂直下方の部位には、該第一の外部台座と連結する内部台座が配設されており、該内部台座と前記インナー支柱の上端との間に、付勢方向が垂直方向となるようにスプリングが配設されている請求項1に記載の垂直軸風力発電装置。
【請求項4】
垂直方向のエネルギーを吸収する緩衝装置が、前記スプリングと平行に配設されている請求項2又は請求項3に記載の垂直軸風力発電装置。
【請求項5】
前記固定支柱の上端部側において、金属製円筒が該固定支柱と一体となるように配設されており、該金属製円筒に対して、前記回転体ヘッドが、前記ラジアル軸受によって回転自在に支承されている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の垂直軸風力発電装置。
【請求項6】
前記固定支柱を構成する長手中空部材が、長手方向に延びる空所を内部に有する四角柱部材である請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の垂直軸風力発電装置。
【請求項7】
前記垂直軸風車が、複数のブレードの各々が一以上のアームを介して前記回転体ヘッドに支持されて、構成されている請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の垂直軸風力発電装置。
【請求項8】
前記固定支柱が繊維強化プラスチック材料にて形成されている請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の垂直軸風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直軸風力発電装置に係り、特に、発電効率向上のために大型化したものであってもビル屋上等への設置に好適な風力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光や風力等の再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、また日本国内で生産可能なものであるところから、わが国のエネルギー安全保障に寄与できる、有望且つ重要な低炭素の国産エネルギー源である。そのような再生可能エネルギーのうち、特に風のエネルギーを電気エネルギーに変換する風力発電については、1)陸上、洋上を問わず、発電が可能なエネルギー源であること、2)経済性を確保できる可能性のあるエネルギー源であること、3)エネルギー変換効率が良いこと、4)夜間も稼働可能であること、等の利点が指摘されている。
【0003】
ここで、風力発電に用いられる風車は、回転軸が風向と平行に(地面に対して水平に)配置される水平軸風車と、回転軸が風向に対して垂直に(地面に対して垂直に)配置される垂直軸風車とに大別される。風力発電においては、大型化が容易であること等を理由に、従来より水平軸風車(特にプロペラ式風車)が広く採用されているが、水平軸風車の良好な回転を確保するためには、風車の回転面を風に正対させる必要がある。このため、水平軸風車を用いた発電装置においては、一般的に、風車の回転面を風向に追尾させるための方向制御機構が設けられている。これに対して、垂直軸風車においては、上記の如き方向制御機構は不要であることから、水平軸風車と比較して、構造の簡素化を図ることが出来、それに伴うコスト低下等の利点を享受することが可能である。
【0004】
しかしながら、垂直軸風車を用いた発電装置(以下、垂直軸風力発電装置という)において、発電効率を向上せしめるべく風車を大型化すると、様々な問題を惹起する恐れがある。例えば、垂直軸風車の大型化によってその重量も必然的に増加するところ、風車における垂直方向に延びる回転軸をスラスト軸受にて支承する構造を採用している垂直軸風力発電装置にあっては、スラスト荷重増大に伴う軸受に対する負荷(予圧荷重を含む)の増大によって、軸受に対する回転軸の静止摩擦トルクも増大し、発電効率が低下すると共に、微風状態における発電能力が著しく低下する恐れがある。また、風車の大型化によって、風車を含む垂直軸風力発電装置全体の共振周波数が低下するところから、高速気流域での使用が制限されたり、更にビル屋上等への設置に際して、風車の回転によって生ずる振動が建屋に伝達する等の設計構造上の欠陥の原因となる恐れがある。加えて、大型化された風車は、その組み立て単位(部品)も必然的に大きなものとなるところ、例えば発電装置の設置場所が、搬入経路が制限されるビル屋上等である場合、組立てユニットの大きさを搬入可能な程度にまで小型化する必要があり、かかる小型化によって、発電装置の設置コストを悪化させる恐れがある。
【0005】
このような状況下、特許文献1~特許文献4においては、垂直軸風力発電装置やこれに関連する技術等が開示されている。
【0006】
先ず、特許文献1(実用新案登録第3188414号公報)には、垂直起立状態の垂直主軸14の上端側に、風車用垂直翼型のブレードが円形分離配置されている(換言すれば、風車36を備えている)一方、その下端側には垂直主軸受浮ドック7が連結配置されており、かかる垂直主軸受浮ドック7は、液体40が収容された浮遊用水槽2内に挿入せしめられており、液体40が浮遊用水槽2に作用する浮力によって、垂直主軸受浮ドック7を介して、垂直主軸14を浮上状態で回転可能に軸支する構造を備えた、浮揚型発電機が開示されている。しかしながら、同特許文献に開示の浮揚型発電機にあっては、垂直主軸受浮ドック7、垂直主軸14及び風車36が、垂直方向の下端側から順に一体的に構成されているところから、それら一体物の回転モーメントが極めて大きくなることは避けられず、それ故に、風車36は、浮揚状態で支承されているとはいえ、低風速域では十分に回転することが出来ず、風速変化に対しても十分に反応しないことが予想される。また、同特許文献の
図1に明示の浮揚型発電機において、垂直主軸受浮ドック7が挿入される浮遊用水槽2は、基礎部にピットのような形態で設けられ、且つ垂直主軸14は建屋によって回転自在に支承されているのであって、このような構成は全体として極めて大きな設備となり、ビル屋上等の狭小な場所への設置は非常に困難である。
【0007】
また、特許文献2(特開2003-301837号公報)の
図7には、風力発電機の風車に適した回転体として、水平に回転する回転主体(3)を支持する垂直主軸(2)の下端部に、軸受と接するフロート(2i)が配設され、このフロート(2i)の位置する軸受部内には、フロート(2i)を浮上させる液体からなる流体下軸受(5g)が配設されてなる回転体(1)が、明らかにされている。かかる回転体(1)において、回転主体(3)及び垂直主軸(2)の荷重は、スラスト方向についてはフロート(2i)によって回転支承され、ラジアル方向については軸受(5a)、(5b)によって支承されている。このような構成の回転体(1)において、発電効率の向上を目的として、回転主体(3)の風受羽根(4)の大型化を図ると、垂直主軸(2)についても、径方向及び長さ方向の何れにおいても長大化が必要となり、この長大化に伴うスラスト荷重の増加に対応させるべく、フロート(2i)のサイズも大型化が必要となる。フロート(2i)の大型化に応じて、それを収容する軸受部(5)の外形寸法も大きくせざるを得ないという問題が生じる。また、軸受(5a)、(5b)についても大型化が必要となるところ、大型の軸受を採用し、それら大型の軸受に対して、ラジアル方向の安定的な支承を目的として一定の予圧荷重を作用させると、静止摩擦トルクが増大し、微風状態では回転主体(3)が十分に回転しない恐れがある。
【0008】
さらに、特許文献3(特開2011-43171号公報)に開示の回転体浮上軸支構造は、垂直起立状態のポール102内に、浮力発生用の液体を収納した浮力室131が設けられ、かかる浮力室131の液体内にはフロート135が配設されており、このフロート135は、その上部において、連結部材116を介して回転体111の中心回転部112に接続されている一方、その下部においては垂直軸136に接続されており、更にポール102と中心回転部112との間には、ラジアル方向に鋼球124が配置されて、構成されている。しかしながら、同特許文献に開示の回転体浮上軸支構造において、ブレード115の回転半径を大きくして風車の大型化を図ると、ブレード115、中心回転部112及び連結部材116の何れも大型化に伴って重量が増加し、フロート135に作用するスラスト荷重も大きくなる。これに対応するためには、フロート135の体積を増大させると共に、その増大したフロート135を内部に収容するために、ポール102の外径も大きくせざるを得ないところ、かかるポール102の外径を大きくすることは、風車のソリディティ(風車が回転した時にできる円の面積に対する、実際にブレード(羽根)がある部分の割合)を悪化させ、発電性能が低下する恐れがある。
【0009】
さらにまた、特許文献4(特開昭58-74877号公報)には、環状の水槽19内に水を張り、ここに所定形状の浮体20で浮力を得るようにしてある環状浮体21を浮かせ、環状浮体21の上部には、ブレードに相当する硬帆7を等間隔に配設し、風向と回転角度によって硬帆7の角度を変化させながら、風力によって環状浮体21を回転させる構造を備える風車装置が明らかにされているが、かかる風車の設置に際しては、設置場所に環状の水槽19を配設する必要があり、大きな設置スペースが必要になるという欠点がある。また、そこに開示の風車装置には、硬帆7の回転角度調整用の駆動装置が必要であり、装置が複雑化するという問題も内在しているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3188414号公報
【特許文献2】特開2003-301837号公報
【特許文献3】特開2011-43171号公報
【特許文献4】特開昭58-74877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、大型の垂直軸風車を採用した場合でも、強風、弱風を問わず、風車が安定して回転可能であり、以て、優れた発電性能を発揮し得る垂直軸風力発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであり、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されるものではなく、明細書全体の記載から把握され得る発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0013】
(1) 垂直軸風車の回転中心に位置する回転体ヘッドに接続された、垂直下方に延びる 回転軸によって、発電機を回転させ、発電する垂直軸風力発電装置において、
前記回転体ヘッドが、下端部が架台に固定された長手中空部材より構成され、且 つ、その内部の空所に前記回転軸が回転可能な状態で内挿されている固定支柱に対 して、i)ラジアル軸受によって直接的に又は他の部材を介して間接的に回転自在 に支承されていると共に、ii)該回転体ヘッドと該固定支柱の上端との間に配置さ れた、水平方向中心部に前記回転軸が回転可能な状態で挿通される空所を有する第 一の外部台座上に配設されたスラスト軸受によって、回転自在に支承されており、
前記固定支柱の前記第一の外部台座より下方に、浮力発生用の液体及びフロート を収容する浮力室が配設され、且つ該第一の外部台座とフロートとが、前記固定支 柱より径方向外方にて該固定支柱より離隔して位置する外部連結部材によって連結 せしめられており、
前記浮力室内にて前記フロートに作用する浮力によって、前記外部連結部材及び 前記第一の外部台座を介して前記垂直軸風車を浮上支持するように構成されている 、
ことを特徴とする垂直軸風力発電装置。
(2) 前記第一の外部台座と前記フロートとの間に第二の外部台座が配設されており、 該第一の外部台座と第二の外部台座とが前記外部連結部材によって連結せしめられ ている一方、該第二の外部台座と前記フロートとの間には、付勢方向が垂直方向と なるようにスプリングが配設されており、該スプリングによって該第二の外部台座 とフロートとが連結せしめられている前記態様(1)に記載の垂直軸風力発電装置 。
(3) 前記固定支柱内の空所において、その下端部から垂直上方に向かって延びる、該 固定支柱より高さが低いインナー支柱が配設されていると共に、該空所における前 記第一の外部台座より垂直下方の部位には、該第一の外部台座と連結する内部台座 が配設されており、該内部台座と前記インナー支柱の上端との間に、付勢方向が垂 直方向となるようにスプリングが配設されている前記態様(1)に記載の垂直軸風 力発電装置。
(4) 垂直方向のエネルギーを吸収する緩衝装置が、前記スプリングと平行に配設され ている前記態様(2)又は前記態様(3)に記載の垂直軸風力発電装置。
(5) 前記固定支柱の上端部側において、金属製円筒が該固定支柱と一体となるように 配設されており、該金属製円筒に対して、前記回転体ヘッドが、前記ラジアル軸受 によって回転自在に支承されている前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1 つに記載の垂直軸風力発電装置。
(6) 前記固定支柱を構成する長手中空部材が、長手方向に延びる空所を内部に有する 四角柱部材である前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載の垂直軸 風力発電装置。
(7) 前記垂直軸風車が、複数のブレードの各々が一以上のアームを介して前記回転体 ヘッドに支持されて、構成されている前記態様(1)乃至前記態様(6)の何れか 1つに記載の垂直軸風力発電装置。
(8) 前記固定支柱が繊維強化プラスチック材料にて形成されている前記態様(1)乃 至前記態様(7)の何れか1つに記載の垂直軸風力発電装置。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明に従う垂直軸風力発電装置にあっては、垂直軸風車が回転していない状態にある場合、かかる垂直軸風車は、浮力室内にてフロートに作用する浮力によって浮上支持される一方、風力を受けて垂直軸風車が回転状態にある場合、風車の回転によって生ずる垂直方向(回転軸のスラスト方向)の外力(振動)は、浮力室内にてフロートが適宜、上下に移動せしめられることによって、吸収されることとなる。このため、本発明の垂直軸風力発電装置は、弱風、強風を問わず、風車が安定して回転可能であり、以て、優れた発電性能を発揮し得るものとなっているのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に従う垂直軸風力発電装置の、第一の実施形態を示す縦断面説明図である。
【
図2】
図1の垂直軸風力発電装置におけるA-A断面説明図である。
【
図3】
図1の垂直軸風力発電装置におけるB-B断面の部分拡大説明図である。
【
図4】
図1の垂直軸発電装置における回転体ヘッド近傍を部分的に拡大して示す縦断面説明図である。
【
図5】本発明に従う垂直軸風力発電装置の、第二の実施形態を示す縦断面説明図である。
【
図6】
図5の垂直軸風力発電装置における回転体ヘッド近傍を部分的に拡大して示す縦断面説明図である。
【
図7】(a)は、
図5の垂直軸風力発電装置におけるC-C断面の部分拡大説明図であり、(b)は、
図5の垂直軸風力発電装置における第一の台座と内部台座との接続(連結)状態を示す縦断面説明図である。
【
図8】本発明に従う垂直軸風力発電装置の、第三の実施形態を示す縦断面説明図である。
【
図9】
図8の垂直軸風力発電装置における回転体ヘッド近傍を部分的に拡大して示す縦断面説明図である。
【
図10】本発明に従う垂直軸風力発電装置の、第四の実施形態を示す縦断面説明図である。
【
図11】本発明に従う垂直軸風力発電装置の、第五の実施形態を示す縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を適宜に参酌しながら、本発明を詳細に説明する。なお、本願に添付の図面においては、図面を見易いものとして本発明の理解を容易ならしめるべく、視認される部材等の断面であってもハッチング処理が省略されている箇所があることについて、理解されるべきである。
【0017】
図1~
図4には、本発明に従う垂直軸風力発電装置の代表的な実施形態の一つが示されている。具体的に、
図1は、本発明に従う垂直軸風力発電装置10の縦断面説明図であり、
図2は、
図1のA-A断面説明図であり、
図3は、
図1のB-B断面の部分拡大説明図であり、
図4は、
図1に示される垂直軸風力発電装置10における、回転体ヘッド近傍を部分的に拡大して示す縦断面説明図である。
【0018】
それら
図1~
図4より明らかなように、垂直軸風力発電装置10は、垂直軸風車12を備えている。垂直軸風車12は、受風羽根としての4つ(4枚)のブレード14と、ブレード14の各々を支持する上部支持アーム16a、水平支持アーム16b及び下部支持アーム16cと、回転体ヘッド18と、隣接するブレード14間を接続する上部テンションバー20a及び下部テンションバー20bと、回転軸22より構成されている。
【0019】
回転体ヘッド18は、その垂直方向(
図1における上下方向)の長さ(高さ)がブレード14の垂直方向の長さより短くされているところから、一方の端部がブレード14に接続された上部支持アーム16aは、垂直方向斜め下方に傾斜した状態で、また、一方の端部がブレード14に接続された下部支持アーム16cは、垂直方向斜め情報に傾斜した状態で、各々、ピンジョイント24によって回転体ヘッド18に接続されている。換言すれば、一方の端部がブレード14に接続された上部支持アーム16a、水平支持アーム16b及び下部支持アーム16cは、それらの他方の端部が回転体ヘッド18に集約され、そこにおいてピンジョイント24にて接続されている(特に
図4を参照)。
【0020】
なお、従来の垂直軸風車は、上述した垂直軸風力発電装置10にて採用されているものとは異なり、地面に対して水平方向に延びるアームのみにてブレードを支持する構造のものが多いが、そのような構造を有する垂直軸風車は、風車の回転部を支持する固定支柱を長く(垂直方向に高く)せざるを得ないという問題を内在している。従来は、長い固定支柱の採用によって風車のソリディティを悪化させていたが、上述の如く、支持アームの端部を集約して回転体ヘッドに接続せしめた垂直軸風車を採用することにより、固定支柱の高さを低く抑えることが出来、これによって風車内の空気抵抗も有利に低減されるところから、風車のソリディティが改善し、発電効率の向上が効果的に図られることとなる。また、垂直軸風車において、回転による外力は回転体ヘッドに集中するところ、固定支柱の長さ(高さ)が短く(低く)抑えられていると、機械剛性を有利に確保できるという利点もある。
【0021】
また、そのような構成に係る垂直軸風車12の回転体ヘッド18における水平方向中心には、回転軸22が垂直下方に延びるように配設されており、かかる回転軸22によって、垂直軸風車12の回転が基礎26の上部に配置された発電機28に伝達され、発電機28が駆動することによって発電することとなる。なお、回転軸22による発電機28への回転伝達機構や、発電機28における発電機構については、従来より公知の各機構が採用可能であることから、詳細な説明は省略する。
【0022】
垂直軸風力発電装置10の基礎26上には、ブラケット30によって固定支柱32が固設せしめられている。この固定支柱32は、断面が四角形を呈し且つ長手方向に延びる空所をその内部に有する、繊維強化プラスチック製の四角柱部材より構成されている。このように、垂直軸風車を支持する固定支柱として、繊維強化プラスチックからなる部材を用いることにより、金属製部材と比較して、a)軽量であることから、垂直軸風力発電装置を設置する際の部材運搬の負担が軽減される、b)成形加工が容易である、c)繊維強化プラスチック製の固定支柱にあっては、比強度が高く、マトリックス積層構造による振動吸収効果が高いために、自然乱流に伴う風圧変化によって誘発される水平方向の振動エネルギーが有利に吸収され、以て、垂直軸風車の円滑な回転が効果的に確保され得る、等の利点を享受することが出来る。また、内部に所定の空所を有する四角柱部材を固定支柱として用いることにより、固定支柱における十分な剛性を確保することが可能である。
【0023】
なお、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂及び補強繊維としては、従来より公知のマトリックス樹脂や補強繊維であれば、特に限定されることなく、本発明においては使用可能である。垂直軸風力発電装置は、雨風に晒される場所に設置されることが一般的であるところから、例えば、耐熱性及び耐酸性に優れたイソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂をマトリックス樹脂として使用し、これに、補強繊維としてのガラス繊維を配合してなる繊維強化プラスチックが、有利に使用することが出来る。
【0024】
固定支柱32における垂直方向の下端側においては、回転軸22を回転可能な状態で内挿するための空所が形成されてなるインナー支柱34が、固定支柱32に一体的に内蔵せしめられている一方、固定支柱32における垂直方向の上端側には、金属製円筒36が、その上端が固定支柱32の上端より突出した状態で、固定支柱32及びインナー支柱34に対して位置固定に配設されている。金属製円筒36の上底面及び下底面の中心には、回転軸22を貫通させるための孔が設けられており、垂直軸風車12の回転体ヘッド18に配設されている回転軸22は、金属製円筒36を貫通し、インナー支柱34の空所内に内挿された状態で、発電機28に接続されている。
【0025】
一方、ブラケット30における、固定支柱32に接する起立部より水平方向外方に延出している水平部上には、浮力室38が設置されており、かかる浮力室38内には、浮力発生用液体40及びフロート42が、浮力発生用液体40にフロート42を臨ませた状態で収容されている。このフロート42の上部には、固定支柱32の4つの側面に平行に4つの油圧ダンパ44が、そのピストンロッドの上端がフロート42の上底面の貫通孔より突き出た状態で配設されている。なお、油圧ダンパ44の各々は、内部ピストンにオリフィス(小径孔)が設けられており、緩やかな上下動には何らの抵抗も示さないが、一定の速度を超えた上下動が加えられると、オリフィスの絞り効果によってダンパ効果(制振効果)を発揮するように構成されている。
【0026】
以下、本発明の尤も特徴的な技術構成である、垂直軸風力発電装置10における垂直軸風車12の支承構造について、詳述する。特に
図1及び
図4より明らかなように、先ず、垂直軸風車12の回転体ヘッド18は、固定支柱32より上方に突出している金属製円筒36の上端部において、回転体ヘッド18の内面と金属製円筒36の外面との間に配設された上部ラジアルベアリング46a及び下部ラジアルベアリング46bによって、金属製円筒36及びこれと一体とされている固定支柱32に対して、回転自在に、且つ、上下方向の移動可能に支承されている。
【0027】
回転体ヘッド18と固定支柱32の上端との間には、中央部に金属製円筒36を貫通せしめるための貫通孔が設けられている第一の外部台座48が水平に配設されており、この第一の外部台座48上に配置されたスラストベアリング50によって、回転体ヘッド18は、第一の外部台座48に対して回転自在に支承されている(
図4を参照)。また、第一の外部台座48と浮力室38との間には、中央部に固定支柱32を貫通せしめるための貫通孔が設けられている第二の外部台座52が、第一の外部台座48と平行に配設されている。そして、第一の外部台座48と第二の外部台座52とが、合計8本の外部連結棒54によって連結されている(
図4を参照)一方、第二の外部台座52の下面と浮力室38内のフロート42の上端との間には、4つのスプリング56が、その付勢方向が垂直方向となるように配設されていると共に、4つの油圧ダンパ44の各ピストンロッドの先端が第二の外部台座52の下面に接続されているのである。
【0028】
なお、本実施形態において、スラストベアリング50に作用する予圧量は垂直軸風車12の自重とし、それ以外の位置予圧は与えていない。また、上部ラジアルベアリング46a、下部ラジアルベアリング46bにおいて、それらベアリングの各々の外輪は回転体ヘッド18内に圧入されている一方、それらの内輪は金属製円筒36の外縁と嵌合せしめられているが、その公差は隙間ばめとされており、上部ラジアルベアリング46a及び下部ラジアルベアリング46bの、金属製円筒36に対する上下方向への移動が可能とされている。更に、複数の部材を介して回転体ヘッド18と連結しているフロート42は、垂直軸風車12が無回転の状態にある場合は、浮力室38の底面に接しないよう、換言すれば、浮力発生用液体40内にてフロート42が浮いた状態となるように、スプリング56等にて調整されている。
【0029】
そして、上述の如き本発明に従う垂直軸風力発電装置10にあっては、垂直軸風車12が回転していない状態にある場合、垂直軸風車12は、浮力室38内にてフロート42に作用する浮力によって浮上支持される一方、風力を受けて垂直軸風車12が回転状態にある場合、風車の回転によって生ずる垂直方向(回転軸のスラスト方向)の外力(振動)は、スプリング36の伸縮、油圧ダンパ44の緩衝作用、及び、浮力室38内におけるフロート42の上下動によって、効果的に吸収されることとなる。このため、本発明の垂直軸風力発電装置10は、弱風、強風を問わず、風車が安定して回転可能であり、以て、優れた発電性能を発揮し得るものとなっているのである。
【0030】
一般に、垂直軸風車は、プロペラ式風車等の水平軸風車と比較して、回転する風車部が立体的な構造となることは避けられない。3次元的な構造を有する風車においては、部材の製造誤差やそれら部材の組立て誤差に起因する、機械的な回転中心と風車の重心との不一致等の位置ズレが生じる。このような位置ズレは、風車の回転に伴う遠心力作用と相俟って、水平方向及び垂直方向に大きな振動を誘発させる。このような問題を、従来は更なる剛性の付与等によって解決しようとした結果、垂直軸風車の重量増加や大型化、高コスト化、発電の非効率化等を招来し、また重量増加は機械共振点を大きく低下させる等の別の問題をも生じており、従来の観点に基づく垂直軸風車の大型化は、設計上の限界に到達していると考えられる。現在、垂直軸風車を備えた発電装置(垂直軸風力発電装置)は、発電出力が凡そ20kWクラスレベルのものが、実用的な限界とされている。
【0031】
また、垂直軸風車は、その特性上、風車が一回転する間に大きなトルク変動が生じる。このようにトルク変動が大きいことも、振動が発生する要因の一つである。風車が水平方向や垂直方向に振動すると、その振動エネルギーによって風力エネルギーが消耗され、風車の回転数が著しく低下し、その結果、発電能力が低下する。このため、従来の垂直軸風力発電装置にあっては、運用上、低出力発電に止めておかれたり、強風下では発電が停止される等の対応が為されている。
【0032】
このような状況の下、本発明の垂直軸風力発電装置は完成されたのである。即ち、本発明においては、部材の製造誤差やそれら部材の組立て誤差等に起因して風車の回転と共に生じる振動のうち、特に垂直軸風車の垂直軸(回転軸)方向におけるものについては、風車を、風車の回転軸とは異なる連結部材で接続(連結)されたフロートで支持することによって、垂直方向への移動を可能なものとし、振動エネルギーを、浮力室に収容された浮力発生用液体の液面変動によって吸収、減衰させるものである。このため、本発明に従う垂直軸風力発電装置においては、受風面積を大きくするために立体的部分を大型化した垂直軸風車を採用した場合でも、振動の発生は有利に抑制されるところから、安定した風車の高速回転が確保され、強風下においても安定した発電が可能となっているのである。
【0033】
また、垂直方向の振動がフロートによって有利に吸収、減衰されるため、ビルの屋上等の、特に垂直方向の振動についての設置条件が厳しい場所においても、本発明の垂直軸風力発電装置は設置可能であり、これにより、再生エネルギーの消費を拡大させることが出来る。加えて、発電装置を電力消費地の近くに設置することが可能であり、発電容量が小型クラスの装置であっても、地産地消型の再生エネルギーを効率よく供給することが出来る。
【0034】
さらに、本発明においては、スラスト軸受(スラストベアリング50)とラジアル軸受(上部ラジアルベアリング46a、下部ラジアルベアリング46b)とが分離され、別個に配置されており、それら軸受に対しては、それらの配置位置からして、定位置予圧を与える必要がない。このように、スラスト軸受(スラストベアリング50)及びラジアル軸受(上部ラジアルベアリング46a、下部ラジアルベアリング46b)に定位置予圧を与えないことにより、摩擦トルクを極めて少なくすることが出来、始動回転トルクを極めて小さいものとすることが出来るところから、本発明に従う垂直軸風力発電装置においては、微風状態でも垂直軸風車が効率良く回転し、発電が可能なものとなっているのである。加えて、上記軸受に定位置予圧を与えないことは、稼働中(回転中)の風車の軸受け負荷の許容力を増大させ、軸受の高寿命化を図ることが出来ると共に、軸受の回転に伴う温度上昇も有利に抑制することが出来、装置の保守点検の負担を軽減することが出来る等の利点も、享受することが出来る。
【0035】
なお、本発明の第一の実施形態に係る垂直軸風力発電装置10において、第一の外部台座48と第二の外部台座52とは、固定支柱32の一の側面から離隔して垂直方向に延びる、かかる一の側面につき2本の外部連結棒54(固定支柱32の外形は四角柱であるため、合計8本の外部連結棒54)によって連結せしめられているところ(
図3を参照)、それら外部連結棒54は、固定支柱32の側面に配設されたガイド58の貫通孔に挿通された状態で、第一の外部台座48と第二の外部台座52とを連結している。なお、ガイド58における貫通孔は、外部連結棒54が挿通されている状態において、かかる外部連結棒54の垂直方向への移動を可能とするクリアランスが形成されるような大きさとされている。このようなガイド58を採用することによって、第一の外部台座48及び第二の外部台座52の回転が有利に抑制されることとなる。
【0036】
また、第一の外部台座48には、ブレーキシリンダ60が配設されている。かかるブレーキシリンダ60におけるロッド先端のブレーキシュー62と、第一の外部台座48上に位置固定に配設されたリング状のブレーキプレート66、及び、回転体ヘッド18の下部に固定され、回転体ヘッド18と一体的に回転する断面L字状のブレーキディスク64との接触によって、回転体ヘッド18の過剰な回転が抑制可能とされている。
【0037】
以上、本発明に従う垂直軸風力発電装置の代表的な実施形態の一つについて、詳述してきたが、本発明が、上述の如き構成に係る垂直軸風力発電装置に限定されるものでないことは、言うまでもないところであり、例えば、
図5~
図11に示される如き構成を採用することも可能である。なお、
図5~
図11に示される垂直軸風力発電装置の各々において、先に詳述した垂直軸風力発電装置のものと同一の構成及び機能を有する部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略するものとする。
【0038】
図5~
図7は、本発明の第二の実施形態に係る垂直軸風力発電装置を示す説明図であるところ、
図5は垂直軸風力発電装置80の縦断面説明図であり、
図6は、垂直軸風力発電装置80における回転体ヘッド18の近傍を、部分的に拡大して示す縦断面説明図であり、
図7(a)は、
図5のC-C断面の部分拡大説明図であり、同(b)は、垂直軸風力発電装置80における、第一の外部台座と内部台座との接続(連結)状態を示す縦断面説明図である。
【0039】
垂直軸風力発電装置80において、固定支柱32は、ブラケット30によって基礎26上に固設せしめられている。かかる固定支柱32の垂直方向上端側においては、金属製円筒36が、その外周面が固定支柱32の内周面と当接した状態で、且つ、金属製円筒36の上端が固定支柱32の上端より突出した状態で、固定支柱32に対して公知の手法に従って位置固定に配設せしめられている。その一方、垂直方向下端側においては、回転軸22を回転可能な状態で内挿するための空所を有するインナー支柱82が、固定支柱32に一体的に内蔵せしめられており、かかるインナー支柱82の上端と金属製円筒36の下端との間には、後述する内部台座84及びスプリング86を内装するための空所が形成されている。
【0040】
内部台座84は、固定支柱32内の空所における水平断面と略同じ大きさを呈する、板状の四角形部材にて構成されており、その水平方向の中央部には、回転軸22を挿通せしめるための貫通孔が形成されている。ここで、固定支柱32内の空所は、水平断面が四角形を呈する長手棒状(換言すれば、四角柱状)を呈しており、そのような空所内に、金属製円筒36は、当接した状態で配設せしめられているところから、かかる空所における4つの角部の各々の近傍には、固定支柱32と金属製円筒36との間に垂直方向に延びる4つの空間が形成されている(
図7(a)を参照)。そして、かかる空間に内部連結棒88を挿通し、その上端を第一の外部台座48に接続せしめ、その下端を内部台座84に接続せしめていることにより、内部台座84は、第一の外部台座48と一体的な上下動が可能とされているのである(
図7(a)、同(b)を参照)。
【0041】
また、固定支柱32内における、インナー支柱82と内部台座84との間には、スプリング86が、その付勢方向が垂直方向となるように配設せしめられていると共に、2つの油圧ダンパ44が、回転軸22を取り囲むように、且つ等間隔に配設されており、それらの各ピストンロッドの先端は内部台座84に接続されている。
【0042】
さらに、第一の外部台座48とフロート42とは、8本の外部連結棒90にて連結せしめられている。具体的に、外部連結棒90の上端が第一の外部台座48の下面に接続されている一方、外部連結棒90の下端は、フロート42におけるフロート支持体42aの上端に接続されている。
【0043】
そして、上述の如き構成を備えた垂直軸風力発電装置80において、風車の回転によって生ずる垂直方向(回転軸のスラスト方向)の外力(振動)は、1)外部連結棒90にて接続されているフロート42の上下動と、2)固定支柱32内に配設されたスプリング86の伸縮、並びに、同所に配設された油圧ダンパ44の緩衝作用とによって、効果的に吸収されるのである。このような垂直軸風力発電装置80においては、スプリング86及び油圧ダンパ44が外部に露出していないことから、日光の照射や風雨等の外部環境に起因する部材の劣化を、有利に低減することが可能である。
【0044】
図8及び
図9は、本発明の第三の実施形態に係る垂直軸風力発電装置を示す説明図である。具体的に、
図8は垂直軸風力発電装置100の縦断面説明図であり、
図9は、垂直軸風力発電装置100における回転体ヘッド近傍を、部分的に拡大して示す縦断面説明図である。
【0045】
垂直軸風力発電装置100は垂直軸風車102を備えているところ、かかる垂直軸風車102は、4つ(4枚)のブレード14と、ブレード14の各々を支持する上部支持アーム16a、水平支持アーム16b及び下部支持アーム16cと、回転体ヘッドたる支持アームハブ104と、隣接するブレード14間を接続する上部テンションバー20a及び下部テンションバー20bと、回転主軸106より構成されている。
【0046】
回転体ヘッドとしての支持アームハブ104は、その垂直方向(
図8における上下方向)の長さ(高さ)がブレード14の垂直方向の長さより短くされているところから、一方の端部がブレード14に接続された上部支持アーム16aは、垂直方向斜め下方に傾斜した状態で、また、一方の端部がブレード14に接続された下部支持アーム16cは、垂直方向斜め上方に傾斜した状態で、各々、ピンジョイント24によって支持アームハブ104に接続されている。換言すれば、一方の端部がブレード14に接続された上部支持アーム16a、水平支持アーム16b及び下部支持アーム16cは、それらの他方の端部が支持アームハブ104に集約され、そこにおいてピンジョイント24にて接続されている。
【0047】
また、垂直軸風車102の支持アームハブ104における水平方向中心には、回転主軸106が垂直下方に延びるように配設されており、更にかかる回転主軸106の垂直下方においては、回転伝達軸108が接続されており、それら回転主軸106及び回転伝達軸108によって、垂直軸風車102の回転が基礎26の上部に配置された発電機28に伝達され、発電機28が駆動することによって発電するように構成されている。
【0048】
さらに、固定支柱32の上端には、回転主軸106のためのスリーブ110が内挿せしめられており、このスリーブ110の内面には、上部ラジアルベアリング112a及び下部ラジアルベアリング112bが配設されている。
【0049】
そして、それらラジアルベアリング112a、112bによって、回転主軸106(支持アームハブ104)は、固定支柱32に対して、回転自在に、且つ、上下方向に移動可能に支承されているのである。
【0050】
一方、本発明においては、
図10に示されている垂直軸風力発電装置120の如く、1)スラスト方向の支承構造として、垂直軸風力発電装置80にて採用されている、固定支柱32の内部にスプリング86及び油圧ダンパ44を配置せしめる構造を採用すると共に、2)垂直軸風力発電装置100における垂直軸風車102及びその支承構造を採用することも、可能である。
【0051】
さらに、
図11に示されている垂直軸風力発電装置130の如く、固定支柱32の外周上に固定リング132を配設し、かかる固定リング132の外周上において、クロスローラー軸受134を介してアウターリング136を係合させ、そしてこのアウターリング136に、ブレード138を支持する支持アーム140を接続せしめて、本発明の垂直軸風力発電装置を構成することも可能である。このような構成を採用することによって、風力によるブレード138の変形が有利に抑制され、ブレード138が効率良く風力を受けることが可能ならしめられるところから、発電効率が有利に向上することとなる。
【0052】
加えて、上述した垂直軸風力発電装置は、何れも、ブレード(垂直翼)を用いたものであるが、本発明においては、垂直軸風車の範疇に含まれるものであれば、本発明の効果を阻害するものでない限り、特に制限されることなく、従来より公知の構成に係る垂直軸風車を採用することが可能である。
【0053】
また、本発明の垂直軸風力発電装置を構成する部材について、例えば、垂直軸風車のブレードや浮力室の外壁等も、上述した繊維強化プラスチックにて構成することも可能である。
【0054】
その他、一々、列挙はしないが、本発明には、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【符号の説明】
【0055】
10 垂直軸風力発電装置 12 垂直軸風車
18 回転体ヘッド 22 回転軸
28 発電機 32 固定支柱
34 インナー支柱 36 金属製円筒
38 浮力室 42 フロート
44 油圧ダンパ 46 ラジアルベアリング
48 第一の外部台座 50 スラストベアリング
52 第二の外部台座 54 外部連結棒
56 スプリング 58 ガイド
60 ブレーキシリンダ 80 垂直軸風力発電装置
82 インナー支柱 84 内部台座
86 スプリング 88 内部連結棒
90 外部連結棒 100 垂直軸風力発電装置
102 垂直軸風車 104 支持アームハブ
106 回転主軸 108 回転伝達軸
100 スリーブ 112 ラジアルベアリング
120 垂直軸風力発電装置 130 垂直軸風力発電装置
132 固定リング 134 クロスローラー軸受
136 アウターリング 138 ブレード