(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167493
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】2種のポリグリセリル脂肪酸エステルとヒアルロン酸とを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20221027BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20221027BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221027BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221027BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20221027BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61K8/37
A61Q19/02
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q1/00
A61K8/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021073311
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】新美 類
(72)【発明者】
【氏名】飯間 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸宜
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC532
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD352
4C083BB11
4C083CC05
4C083DD01
4C083DD33
4C083EE07
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】組成物がヒアルロン酸成分と、2つのクラスのポリグリセリル脂肪酸エステルとの組合せを含む場合であっても、透明又はやや半透明である組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、いくつかの特定の条件で、(a)少なくとも1種の任意選択の油、(b)11.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、(c)11.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、(d)少なくとも1種のヒアルロン酸成分、(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオール、及び(f)水を含む、組成物であって、組成物が連続相と分散相とを含み、分散相が、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下のサイズを有する、組成物に関する。本発明による組成物は、50NTU以下、好ましくは30NTU以下、より好ましくは10NTU以下の濁度を有しうる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の任意選択の油、
(b)11.0超、好ましくは12.0超、より好ましくは13.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(c)11.0未満、好ましくは10.0未満、より好ましくは9.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(d)ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分、
(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオール、並びに
(f)水
を含む、組成物であって、
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量が、組成物の総量に対して0.01質量%~5質量%であり、
((a)油の量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.3未満であり、
((c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比が、0.01超~0.2未満であり、
((e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.1超~5未満であり、
組成物が連続相と分散相とを含み、分散相が、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下のサイズを有する、
組成物。
【請求項2】
(a)油が極性油から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中の(a)油の量が、組成物の総質量に対して、0.7質量%未満、好ましくは0.6質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~4個のグリセロール単位、好ましくは3又は4個のグリセロール単位、より好ましくは4個のグリセロール単位を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分が、12個以下の炭素原子、好ましくは11個以下の炭素原子、より好ましくは10個以下の炭素原子を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~4質量%、より好ましくは1質量%~3質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~4個のグリセロール単位、好ましくは2又は3個のグリセロール単位、より好ましくは2個のグリセロール単位を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分が、14個以上の炭素原子、好ましくは16個以上の炭素原子、より好ましくは18個以上の炭素原子を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~0.5質量%、好ましくは0.01質量%~0.4質量%、より好ましくは0.1質量%~0.3質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(d)ヒアルロン酸成分が、ヒアルロン酸、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、カチオン性ヒアルロン酸、これらの塩、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の(d)ヒアルロン酸成分の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~4質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(e)5個以上の炭素原子を有するポリオールが、5個以上の炭素原子を有するジオール、好ましくはC5~C10ジオール、より好ましくはペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の(e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~7質量%、好ましくは0.1質量%~6質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲内である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(a)油を含み、O/W型エマルションの形態である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質を処置するための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2種の異なるタイプのポリグリセリル脂肪酸エステルを含む組成物、好ましくは化粧用又は皮膚科学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型(O/W型)又は油中水型(W/O型)エマルションは、化粧品及び皮膚科学の分野で、特に乳液、クリーム、トニック、美容液又は化粧水等の化粧料の調製用として、周知である。
【0003】
特に、O/W型ナノ又はマイクロエマルション等の微細エマルションは、その透明又はやや半透明の外観のために、化粧料において特に関心を引いている。
【0004】
一方、ポリグリセリル脂肪酸エステルを含む組成物は、化粧品及び皮膚科学の分野で公知である。ポリグリセリル脂肪酸エステルは、界面活性剤として機能することができ、そのため、典型的には、エマルション、例えば水中油型(O/W型)又は油中水型(W/O型)エマルションを調製するために使用されうる。ポリグリセリル脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン系界面活性剤と比較して、低い環境負荷等の環境上の理由のために好ましい。
【0005】
国際公開第2020/110716号パンフレットには、透明又はやや半透明の外観を有する、2種のポリグリセリル脂肪酸エステルを含む、ナノ又はマイクロエマルションの形態の組成物が開示されている。
【0006】
一方、ヒアルロン酸ナトリウム等のヒアルロン酸成分は、加湿効果を提供することが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2020/110716号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Walter NollのChemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献3】Satoshi Tomomasaら、Oil Chemistry、37巻、11号(1988)、48~53頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、国際公開第2020/110716号パンフレットに開示されているもの等、2つのクラスのポリグリセリル脂肪酸エステルを含む組成物は、透明又はやや半透明にならない傾向があるため、ヒアルロン酸成分を含むことは困難であることがわかった。
【0010】
本発明の目的は、組成物がヒアルロン酸成分と、2つのクラスのポリグリセリル脂肪酸エステルとの組合せを含む場合であっても、透明又はやや半透明である組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種の任意選択の油、
(b)11.0超、好ましくは12.0超、より好ましくは13.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(c)11.0未満、好ましくは10.0未満、より好ましくは9.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(d)ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分、
(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオール、並びに
(f)水
を含む、組成物であって、
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量が、組成物の総量に対して0.01質量%~5質量%であり、
((a)油の量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.3未満であり、
((c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比が、0.01超~0.2未満であり、
((e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.1超~5未満であり、
組成物が連続相と分散相とを含み、分散相が、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下のサイズを有する、
組成物によって達成することができる。
【0012】
(a)油は極性油から選択することができる。
【0013】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.7質量%未満、好ましくは0.6質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満であってもよい。
【0014】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~4個のグリセロール単位、好ましくは3又は4個のグリセロール単位、より好ましくは4個のグリセロール単位を含んでもよい。
【0015】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、12個以下の炭素原子、好ましくは11個以下の炭素原子、より好ましくは10個以下の炭素原子を含んでもよい。
【0016】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~4質量%、より好ましくは1質量%~3質量%であってもよい。
【0017】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~4個のグリセロール単位、好ましくは2又は3個のグリセロール単位、より好ましくは2個のグリセロール単位を含んでもよい。
【0018】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、14個以上の炭素原子、好ましくは16個以上の炭素原子、より好ましくは18個以上の炭素原子を含んでもよい。
【0019】
本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~0.5質量%、好ましくは0.01質量%~0.4質量%、より好ましくは0.1質量%~0.3質量%であってもよい。
【0020】
(d)ヒアルロン酸成分は、ヒアルロン酸、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、カチオン性ヒアルロン酸、これらの塩、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0021】
本発明による組成物中の(d)ヒアルロン酸成分の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~4質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%であってもよい。
【0022】
(e)5個以上の炭素原子を有するポリオールは、5個以上の炭素原子を有するジオール、好ましくはC5~C10ジオール、より好ましくはペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0023】
本発明による組成物中の(e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~7質量%、好ましくは0.1質量%~6質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲内であってもよい。
【0024】
本発明はまた、ケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
鋭意検討の結果、本発明者らは、組成物がヒアルロン酸又はその塩と、2つのクラスのポリグリセリル脂肪酸エステルとの組合せを含む場合であっても、透明又はやや半透明である組成物を提供できることを発見した。
【0026】
したがって、本発明の一態様は、
(a)少なくとも1種の任意選択の油、
(b)11.0超、好ましくは12.0超、より好ましくは13.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(c)11.0未満、好ましくは10.0未満、より好ましくは9.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(d)ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分、
(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオール、並びに
(f)水
を含む、組成物であって、
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量が、組成物の総量に対して0.01質量%~5質量%であり、
((a)油の量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.3未満であり、
((c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比が、0.01超~0.2未満であり、
((e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.1超~5未満であり、
組成物が連続相と分散相とを含み、分散相が、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下のサイズを有する、
組成物である。
【0027】
本発明による組成物は、小さいサイズの分散相を有するため、透明又はやや半透明であることができる。本発明による組成物は、50NTU以下、好ましくは30NTU以下、より好ましくは10NTU以下の濁度を有してうる。
【0028】
本発明による組成物は、油を含む場合、ヒアルロン酸又はその塩を含むにもかかわらず、ナノ又はマイクロエマルションの形態であることができる。
【0029】
本発明による組成物に使用される界面活性剤系は、
より高いHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
より低いHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと
の組合せを特徴としうる。
【0030】
第1のポリグリセリル脂肪酸エステルのより高いHLB値は、より高いHLB数値範囲に属することができ、
第2のポリグリセリル脂肪酸エステルのより低いHLB値は、より低いHLB数値範囲に属することができ、
且つ、
より高いHLB数値範囲と、より低いHLB数値範囲とは、互いに重複しない。
【0031】
本発明による組成物は、べたつきがより少ないものであることができ、そのため、べたついた手触りを減少させることができる。そのため、本発明による組成物は、優れた使用感、特に、組成物の塗布後に優れた皮膚の感触をもたらすことができる。
【0032】
「べたつく」という用語は、ここでは、皮膚に粘着感をもたらす特性を意味する。
【0033】
本発明による組成物は、ホモジナイザーが必要とするような、多量のエネルギーを用いることなく調製することができる。したがって、本発明による組成物は、組成物の成分同士を穏やかに撹拌すること等、少量のエネルギーを使用することによって調製することができる。そのため、本発明による組成物は、その調製手法を考慮すると環境に優しいことがある。
【0034】
以下に、本発明による組成物を、より詳細に説明する。
【0035】
[油]
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油を含んでもよい。2種以上の油が使用される場合、これらは同じであっても、異なってもよい。
【0036】
ここでは、「油」とは、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)において、液体又はペースト(非固体)の形態である脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品において一般に使用されるものを、単独で、又はそれらの組合せで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0037】
(a)油は、非極性油、例えば炭化水素油若しくはシリコーン油等、極性油、例えば植物若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0038】
(a)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪族アルコールからなる群から選択することができる。
【0039】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0040】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0041】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0042】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液体エステルであり、これらのエステルの炭素原子の総数は10以上である。
【0043】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合には、本発明のエステルが誘導されるアルコールと酸との中から、少なくとも1つは分枝状である。
【0044】
一酸と一価アルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0045】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ、若しくはペンタヒドロキシアルコールとのエステルを使用することもできる。
【0046】
とりわけ、以下を挙げることができる:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール。
【0047】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有せず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することを想起されたい。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であってもよい。
【0048】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにこれらの誘導体、とりわけメチル誘導体等のアルキル誘導体、例としてはメチルグルコースが含まれる。
【0049】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状で飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選ぶことができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0050】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0051】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけ、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0052】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0053】
挙げることができる例は、Amerchol社により名称Glucate(登録商標) DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0054】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0055】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0056】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等、環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0057】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1個のアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
【0058】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用できる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、構造中に、炭化水素系基を介して結合している1個又は複数の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0059】
オルガノポリシロキサンは、Walter NollのChemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Pressにおいて、更に詳細に定義されている。オルガノポリシロキサンは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0060】
揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選ばれ、更により詳細には、以下から選ばれる。
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む、環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標) 7207で販売されている、又はRhodia社により名称Silbione(登録商標) 70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標) 7158で販売されている、Rhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109等の、次式の、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマーを挙げることもできる。
【0061】
【0062】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物を挙げることもできる:並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃において5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて公表された記事にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445附属書Cに従って、25℃において測定される。
【0063】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用してもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中では、主としてトリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0064】
これらのポリジアルキルシロキサンの中でも、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60000mm2/sの粘度を有するDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズのある特定の油(SF 96、SF 18)。
【0065】
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0066】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0067】
フェニルシリコーン油は、次式:
【0068】
【0069】
[式中、
R1~R10は、互いに独立して、飽和又は不飽和で、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル、又はブチル基であり、
m、n、p、及びqは、互いに独立して、両端を含めて0~900、好ましくは両端を含めて0~500、より好ましくは両端を含めて0~100の整数であり、
ただし、n+m+qの和は0以外である]
のフェニルシリコーンから選ぶことができる。
【0070】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製Silbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標) 70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油であるDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- General Electric社製のSFシリーズのある特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0071】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記式中、R1~R10はメチルであり、p、q、及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0072】
有機変性液体シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。したがって、信越化学工業株式会社により提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社製の油であるSilwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0073】
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる:並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0074】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、及びナフタレン類等、水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0075】
脂肪族アルコールにおける「脂肪族」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むことを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
【0076】
脂肪族アルコールは、構造R-OH[式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和で、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる]を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選ばれうる。Rは、少なくとも1個のヒドロキシル基によって置換されていても、されていなくてもよい。
【0077】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0078】
脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0079】
したがって、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0080】
「飽和脂肪族アルコール」という用語は、ここでは、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪族アルコールが、好ましく使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪族アルコールが、より好ましく使用されうる。分枝状C16~C20脂肪族アルコールが、更により好ましく使用されうる。
【0081】
飽和脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)と、ベヘニルアルコールとを、飽和脂肪族アルコールとして使用することができる。
【0082】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中に使用される脂肪族アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0083】
(a)油が、600g/mol未満の分子量を有する油から選ばれることもまた好ましい。
【0084】
好ましくは、(a)油は、600g/mol未満等の低分子量を有し、炭化水素短鎖(C1~C12)を有するエステル油(例えば、ラウロイルサルコシンイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル及びパルミチン酸エチルヘキシル)、シリコーン油(例えば、シクロヘキサシロキサン等の揮発性シリコーン)、炭化水素油(例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン及びスクアラン)、分枝状及び/又は不飽和の脂肪族アルコール(C12~C30)タイプの油、例えばオクチルドデカノール及びオレイルアルコール、並びにジカプリリルエーテル等のエーテル油の中から選ばれる。
【0085】
(a)油は、極性油、好ましくはエステル油、より好ましくはミリスチン酸イソプロピルから、及び非極性油、好ましくはエーテル油、より好ましくはジカプリリルエーテルから選ぶことができる。
【0086】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0087】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.7質量%未満、好ましくは0.6質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満であってもよい。
【0088】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~0.7質量%未満、好ましくは0.01質量%~0.6質量%未満、より好ましくは0.1質量%~0.5質量%未満であってもよい。
【0089】
[第1のポリグリセリル脂肪酸エステル]
本発明による組成物は、(b)11.0超、好ましくは12.0超、より好ましくは13.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルを含む。単一のタイプの(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルを組み合わせて使用してもよい。
【0090】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤として機能することができる。
【0091】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、11.0超~17.0、好ましくは12.0超~16.0、より好ましくは13.0超~15.0のHLB値を有してもよい。
【0092】
HLB(「親水性-親油性バランス」)という用語は、当業者には周知であり、分子中の親水性部位と親油性部位との間の比を表す。
【0093】
2種以上の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、HLB値は、全ての(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の加重平均によって決定される。
【0094】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、飽和又は不飽和脂肪酸のモノ、ジ、トリ及びそれを超えるエステルから選ぶことができる。
【0095】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~4個のグリセロール単位、好ましくは3又は4個のグリセロール単位、より好ましくは4個のグリセロール単位を含むことが好ましい。
【0096】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、12個以下の炭素原子、好ましくは11個以下の炭素原子、より好ましくは10個以下の炭素原子を含んでもよい。(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、4個以上の炭素原子、好ましくは6個以上の炭素原子、より好ましくは8個以上の炭素原子を含んでもよい。(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、4~12個の炭素原子、好ましくは6~11個、より好ましくは8~10個の炭素原子を有してもよい。
【0097】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよく、カプリル酸、カプリン酸、及びラウリン酸から選択することができる。
【0098】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG3(HLB:約14)、カプリル酸PG4(HLB:14)、ラウリン酸PG4(HLB:約14)、カプリン酸PG4(HLB:14)、ミリスチン酸PG5(HLB:15.4)、ステアリン酸PG5(HLB:15)、カプリル酸PG6(HLB:14.6)、カプリン酸PG6(HLB:13.1)、ラウリン酸PG6(HLB:14.1)、ラウリン酸PG10(HLB:15.2)、ミリスチン酸PG10(HLB:14.9)、ステアリン酸PG10(HLB:14.1)、イソステアリン酸PG10(HLB:13.7)、オレイン酸PG10(HLB:13.0)、ヤシ脂肪酸PG10(HLB:16)、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0099】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG3(HLB:約14)、カプリル酸PG4(HLB:14)、ラウリン酸PG4(HLB:約14)、カプリン酸PG4(HLB:14)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合もある。
【0100】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0101】
一方、本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下であってもよい。
【0102】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~4質量%、より好ましくは1質量%~3質量%の範囲内であってもよい。
【0103】
[第2のポリグリセリル脂肪酸エステル]
本発明による組成物は、(c)11.0未満、好ましくは10.0未満、より好ましくは9.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを含む。単一のタイプの(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを組み合わせて使用してもよい。
【0104】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤として機能することができる。
【0105】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、5.0~11.0未満、好ましくは6.0~10.0未満、より好ましくは7.0~9.0未満のHLB値を有してもよい。
【0106】
2種以上の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、HLB値は、全ての(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の加重平均によって決定される。
【0107】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、飽和又は不飽和脂肪酸のモノ、ジ、トリ及びそれを超えるエステルから選ぶことができる。
【0108】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~4個のグリセロール単位、好ましくは2又は3個のグリセロール単位、より好ましくは2個のグリセロール単位を含むことが好ましい。
【0109】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、14個以上の炭素原子、好ましくは16個以上の炭素原子、より好ましくは18個以上の炭素原子を含んでもよい。(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、30個以下の炭素原子、好ましくは24個以下の炭素原子、より好ましくは20個以下の炭素原子を含んでもよい。(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、14~30個、好ましくは16~24個、より好ましくは18~20個の炭素原子を有してもよい。
【0110】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよく、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、及びオレイン酸から選択することができる。
【0111】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、ステアリン酸PG2(HLB:5.0)、ジステアリン酸PG2(HLB:4)、イソステアリン酸PG2(HLB:8)、ジイソステアリン酸PG2(HLB:3.2)、トリイソステアリン酸PG2(HLB:3)、セスキイソステアリン酸PG2(HLB:約4)、オレイン酸PG2(HLB:8)、セスキオレイン酸PG2(HLB:5.3)、ジステアリン酸PG3(HLB:5)、ジイソステアリン酸PG3(HLB:5)、ジヤシ脂肪酸PG3(HLB:7)、ヘキサステアリン酸PG5(HLB:4.0)、トリオレイン酸PG5(HLB:7.0)、ペンタオレイン酸PG10(HLB:6.4)、セスキカプリル酸PG2(HLB:約8)、カプリン酸PG2(HLB:9.5)、ラウリン酸PG2(HLB:8.5)、ミリスチン酸PG2(HLB:10)、イソパルミチン酸PG2(HLB:9)、オレイン酸PG4(HLB:10)、ステアリン酸PG4(HLB:9)、イソステアリン酸PG4(HLB:8.2)、ジステアリン酸PG6(HLB:8)、ジステアリン酸PG10(HLB:約9)、トリステアリン酸PG10(HLB:8)、ジイソステアリン酸PG10(HLB:10)、トリイソステアリン酸PG10(HLB:8)、トリヤシ脂肪酸PG10(HLB:9)、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0112】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、ステアリン酸PG2(HLB:5.0)、ジステアリン酸PG2(HLB:4)、イソステアリン酸PG2(HLB:8)、ジイソステアリン酸PG2(HLB:3.2)、トリイソステアリン酸PG2(HLB:3)、セスキイソステアリン酸PG2(HLB:約4)、オレイン酸PG2(HLB:8)、セスキオレイン酸PG2(HLB:5.3)、ジステアリン酸PG3(HLB:5)、ジイソステアリン酸PG3(HLB:5)、ジヤシ脂肪酸PG3(HLB:7)、セスキカプリル酸PG2(HLB:約8)、カプリン酸PG2(HLB:9.5)、ラウリン酸PG2(HLB:8.5)、ミリスチン酸PG2(HLB:10)、イソパルミチン酸PG2(HLB:9)、オレイン酸PG4(HLB:10)、ステアリン酸PG4(HLB:9)、イソステアリン酸PG4(HLB:8.2)、及びこれらの混合物からなる群から選択することが好ましい場合もある。
【0113】
本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0114】
一方、本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以下、好ましくは0.4質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下であってもよい。
【0115】
本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~0.5質量%、好ましくは0.01質量%~0.4質量%、より好ましくは0.1質量%~0.3質量%の範囲内であってもよい。
【0116】
[ヒアルロン酸成分]
本発明による組成物は、(d)ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分を含む。単一のタイプのヒアルロン酸成分を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのヒアルロン酸成分を組み合わせて使用してもよい。
【0117】
ヒアルロン酸は、皮膚内で見出される優勢なグルコサミノグリカンである。したがって、線維芽細胞は、コラーゲン、コラーゲン以外のマトリックスグリコタンパク質(フィブロネクチン、ラミニン)、プロテオグリカン、及びエラスチンを優勢に合成する。ケラチン合成細胞としては、硫酸化グリコサミノグリカン及びヒアルロン酸を優勢に合成する。ヒアルロン酸はまた、ヒアルロナンとも呼ばれる。
【0118】
ヒアルロン酸は、表皮内及び真皮内に遊離状態において存在し、皮膚の膨満状態を左右する。この多糖は、実際、その質量の最大1000倍に相当する大きな体積の水を保持することができる。この意味で、ヒアルロン酸は、組織内に結合されている水の量を増やすことにおいて、並びに皮膚の機械的性質及びしわ形成においても、重要な役割を果たす。
【0119】
ヒアルロン酸は、次の化学式によって表すことができる。
【0120】
【0121】
本発明の文脈では、「ヒアルロン酸」という用語は特に、次式のヒアルロン酸の基本単位を包含する。
【0122】
【0123】
これは、二糖ダイマー、すなわちD-グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンとを含む、ヒアルロン酸の最小画分である
【0124】
ヒアルロン酸誘導体は、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、カチオン性ヒアルロン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0125】
カチオン性ヒアルロン酸は、少なくとも1個のカチオン性部分を含む。カチオン性部分は、-N+(CH3)3等のトリアルキルアンモニウム基であってもよい。カチオン性部分は、少なくとも1個のヒドロキシル基を含んでもよい。カチオン性基の例としては、-CH2-CH(OH)-CH2-N+(CH3)3が挙げられる。
【0126】
カチオン性ヒアルロン酸の例としては、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウムが挙げられる。
【0127】
ヒアルロン酸塩又はヒアルロン酸誘導体塩として、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0128】
ヒアルロン酸成分の分子量は限定されない。ヒアルロン酸成分の分子量は、5kDa以上、好ましくは20kDa以上、より好ましくは100kDa以上であってもよい。ヒアルロン酸成分の分子量は、20MDa以下、好ましくは10MDa以下、より好ましくは2,000kDa以下であってもよい。したがって、ヒアルロン酸成分の分子量は、5kDa~20MDa、好ましくは20kDa~10MDa、より好ましくは100kDa~2,000kDaであってもよい。
【0129】
説明において別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味しうる。
【0130】
ヒアルロン酸成分は、特に、Hyactive社により商品名CPN(MW:10~150kDa)で、Soliance社により商品名Cristalhyal(MW:1~1.4MDa)で、Bioland社により名称Nutra HA(MW:820 000Da)で、Bioland社により名称Nutra AF(MW:69 000Da)で、Bioland社により名称Oligo HA(MW:6100Da)で供給されているヒアルロン酸であってもよい。
【0131】
単一の分子量を有する単一のヒアルロン酸成分、又は異なる分子量を有する2種以上のヒアルロン酸成分の組合せを使用することができる。
【0132】
本発明による組成物中の(d)ヒアルロン酸成分の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0133】
本発明による組成物中の(d)ヒアルロン酸成分の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下であってもよい。
【0134】
したがって、本発明による組成物中の(d)ヒアルロン酸成分の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~4質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲内であってもよい。
【0135】
[5個以上の炭素原子を有するポリオール]
本発明による組成物は、(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオールを含む。単一のタイプのこのようなポリオールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのこのようなポリオールを組み合わせて使用してもよい。
【0136】
5個以上の炭素原子を有するポリオールは、5個以上の炭素原子を有するジオール、好ましくはC5~C10ジオール、より好ましくはペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0137】
ペンチレングリコールには、その異性体を包含する。したがって、ペンチレングリコールは、1,2-ペンチレングリコール、1,3-ペンチレングリコール、1,4-ペンチレングリコール、1,5-ペンチレングリコール、2,3-ペンチレングリコール、及び2,4-ペンチレングリコールでありうる。1,2-ペンチレングリコールが好ましい場合もある。
【0138】
ヘキシレングリコールには、その異性体を包含する。したがって、ヘキシレングリコールは、1,2-ヘキシレングリコール、1,3-ヘキシレングリコール、1,4-ヘキシレングリコール、1,5-ヘキシレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、2,3-ヘキシレングリコール、2,4-ヘキシレングリコール、2,5-ヘキシレングリコール、及び2-メチル-2,4-ペンタンジオールでありうる。2-メチル-2,4-ペンタンジオールが好ましい場合もある。
【0139】
本発明による組成物中の(e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0140】
一方、本発明による組成物中の(e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量は、組成物の総質量に対して、7質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0141】
したがって、本発明による組成物中の(e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~7質量%、好ましくは0.1質量%~6質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲内であってもよい。
【0142】
[水]
本発明による組成物は、(f)水を含む。
【0143】
本発明による組成物中の(f)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってもよい。
【0144】
一方、本発明による組成物中の(f)水の量は、組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってもよい。
【0145】
本発明による組成物中の(f)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%の範囲内であってもよい。
【0146】
[量的要件]
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.02質量%~4.5質量%、より好ましくは1質量%~4質量%である。
【0147】
本発明による組成物中の((a)油の量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比は、0.3未満、好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満である。
【0148】
本発明による組成物は、いかなる(a)油も含まなくてもよい。この場合、(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとがミセルを形成することもあり、ミセルは、本発明による組成物中で分散相を形成することができ、(a)油を含まない。
【0149】
本発明による組成物は、(a)油も含んでもよい。この場合、(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとがミセルを形成することもあり、ミセルは、本発明による組成物中で分散相を形成することができ、(a)油を含む。(a)油を含むミセルは、「油」滴として考えることができる。
【0150】
本発明による組成物中の((c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比は、0.01超~0.2未満、好ましくは0.02超~0.19未満、より好ましくは0.03超~0.18未満である。
【0151】
本発明による組成物中の((e)5個以上の炭素原子を有するポリオールの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比は、0.1超~5未満、好ましくは0.15超~4.5未満、より好ましくは0.2超~4.0未満である。
【0152】
[更なるポリオール]
本発明の組成物は、(e)5個以上の炭素原子を有するポリオール以外に、少なくとも1種の更なるポリオールを含んでもよい。単一のタイプのこのような更なるポリオールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのこのような更なるポリオールを組み合わせて使用してもよい。
【0153】
「ポリオール」という用語は、ここでは、2個以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖又はその誘導体を包含しない。糖の誘導体としては、糖の1個又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、及び1個又は複数のそれらのヒドロキシ基中の水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基、又はカルボニル基等の少なくとも1個の置換基で置き換えられている糖又は糖アルコールが挙げられる。
【0154】
ポリオールは、C2~C4ポリオール、好ましくは、少なくとも2個のヒドロキシ基、好ましくは2~5個のヒドロキシ基を含むC2~C4ポリオールであってもよい。
【0155】
ポリオールは、天然ポリオールであっても、合成ポリオールであってもよい。ポリオールは、直鎖状、分枝状、又は環状の分子構造を有しうる。
【0156】
ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択することができる。ポリオールは、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコールからなる群から選択することができる。
【0157】
本発明による組成物中の更なるポリオールの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0158】
本発明による組成物中の更なるポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%であってもよい。
【0159】
本発明による組成物は、ブチレングリコールを含まないことが好ましい場合もある。
【0160】
[他の成分]
本発明による組成物は、室温(25℃)で液体の形態である、1種又は複数の一価アルコール、例えば1~6個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状一価アルコール等、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ペンタノール、及びヘキサノールを含有してもよい。
【0161】
本発明による組成物中の一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0162】
一方、本発明による組成物中の一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0163】
したがって、本発明による組成物中の一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲内であってもよい。
【0164】
本発明による組成物はまた、上に説明した成分を除く、化粧用及び皮膚科学的組成物において従来使用される様々なアジュバント、例えば増粘剤、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び両性又は双性イオン性ポリマー、アニオン性、更なる非イオン性、カチオン性、及び両性界面活性剤、酸化防止剤、着色剤、キレート剤、金属イオン封鎖剤、香料、分散剤、コンディショニング剤、皮膜形成剤、保存剤、共保存剤、並びにこれらの混合物を含んでもよい。
【0165】
一実施形態では、本発明による組成物は、5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステル、例えばラウリン酸PG5を含まない。「含まない」という用語は、ここでは、本発明による組成物が、限られた量の、5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルを含有してもよいことを意味する。しかしながら、5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更により好ましくは0.01質量%未満であるように限定されることが好ましい。本発明による組成物は、5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルを含まないことが最も好ましい。
【0166】
別の実施形態では、本発明による組成物は、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤を含まない。「含まない」という用語は、ここでは、本発明による組成物が、限られた量のポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤を含有してもよいことを意味する。しかしながら、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更により好ましくは0.01質量%未満であるように限定されることが好ましい。本発明による組成物は、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤を含まないことが最も好ましい。
【0167】
(調製)
本発明による組成物は、上に説明した必須成分、及び必要な場合、上に説明した任意選択の成分を混合することによって、調製することができる。
【0168】
上記の必須成分及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を、上記の必須成分及び任意選択の成分を混合して、本発明による組成物を調製するために使用することができる。
【0169】
本発明による組成物は、ホモジナイザーが必要とするような、多量のエネルギーを用いることなく調製することができる。したがって、本発明による組成物は、組成物の成分同士を穏やかに撹拌すること等、少量のエネルギーを使用することによって調製することができる。そのため、本発明による組成物は、その調製手法を考慮すると環境に優しい。
【0170】
[形態]
本発明による組成物は連続相と分散相とを含む。分散相は連続相中に分散している。したがって、分散相は粒子の形態であってもよい。
【0171】
連続相は(f)水を含むことができる。分散相は、少なくとも、(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとを含むことができる。分散相は、組成物が(a)油を含む場合、(a)油も含むことができる。分散相が(a)油を含む場合、分散相は油滴として認識されうる。分散相が(a)油を含まない場合、分散相は、(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとを含み、2種のポリグリセリル脂肪酸エステルはミセルを形成しうる。
【0172】
分散相のサイズは、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。サイズは、体積基準の平均サイズとして測定することができる。サイズは、動的光散乱によって、例えば、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて、測定することができる。分散相の最小サイズは限定されないが、1nm以上、5nm以上、又は10nm以上であってもよい。
【0173】
本発明による組成物は、組成物が(a)を含む場合、ナノ又はマイクロエマルションの形態であってもよい。
【0174】
「マイクロエマルション」は、2通りに、すなわち、広義及び狭義に定義されうる。換言すると、マイクロエマルションが、油性成分、水性成分及び界面活性剤の3成分を有する3成分系を含有する、熱力学的に安定な等方性単一液相のことを指す1つの事例(「狭義のマイクロエマルション」)があり、熱力学的に不安定な典型的エマルション系の中で、マイクロエマルションが更に、粒径がより小さいために透明又はやや半透明の外観を呈するようなエマルションを含む、2つ目の事例(「広義のマイクロエマルション」)がある(Satoshi Tomomasaら、Oil Chemistry、37巻、11号(1988)、48~53頁)。本明細書において使用される「マイクロエマルション」とは、「狭義のマイクロエマルション」、すなわち、熱力学的に安定な等方性単一液相を指す。
【0175】
マイクロエマルションは、油がミセルによって可溶化されているO/W(水中油)型マイクロエマルション、水が逆ミセルによって可溶化されているW/O(油中水)型マイクロエマルション、又は界面活性剤分子の会合数が無限になり、その結果、水性相と油性相との両方が連続構造を有する両連続マイクロエマルションのいずれか1つの状態を指す。
【0176】
マイクロエマルションは、レーザー粒度分析によって測定して、100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは60nm以下の粒径を有する分散相を有しうる。
【0177】
「ナノエマルション」とは、ここでは、350nm未満のサイズを有する分散相を特徴とするエマルションを意味し、この分散相は、分散相/連続相界面において、ラメラタイプの液晶相を任意選択で形成しうる非イオン性界面活性剤(b)及び(c)のクラウンによって安定化されている。特定の乳白剤の非存在下では、ナノエマルションの透明性は分散相が小サイズであることから生じるが、この小サイズは、機械的エネルギーの使用によって得られる。
【0178】
ナノエマルションは、その構造によって、マイクロエマルションと区別することができる。具体的には、マイクロエマルションは、例えば、成分(b)と(c)とによって形成されて成分(a)で膨張したミセルから形成された、熱力学的に安定な分散体である。更に、マイクロエマルションは、調製するために実質的な機械的エネルギーを必要としない。
【0179】
ナノエマルションは、レーザー粒度分析によって測定して、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下の粒径を有する分散相を有してもよい。
【0180】
本発明による組成物は、連続水性相中に分散した油相を含む、O/W型エマルションの形態であることが好ましい。分散した油相は、水性相中で油滴であることができる。
【0181】
O/W型の構成又は構造は、水性相中に分散した油相からなるので、外側に水性相を有し、そのため、本発明による組成物がO/W型の構成又は構造を有する場合、水性相がもたらすことができる即時のみずみずしい感触に起因して、心地良い使用感をもたらすことができる。
【0182】
(a)油の粒径は、100nm以下、好ましくは75nm以下、より好ましくは50nm以下であってもよい。粒径は、動的光散乱法によって測定することができる。粒径測定は、例えば、大塚電子株式会社により市販されている、粒径分析装置ELSZ-2000シリーズによって実行することができる。
【0183】
粒径は、体積平均粒子直径又は数平均粒子直径、好ましくは体積平均粒子直径であってもよい。
【0184】
本発明による組成物は、透明又はやや半透明でありうる。
【0185】
透明度は、濁度を測定することによって測定されうる(例えば、濁度は、丸型セル(直径25mm及び高さ60mm)、並びに可視光(400から800nmの間、好ましくは400~500nm)を発することができるタングステンフィラメント電球を有する2100Q(Hach Company社により市販されている)を用いて測定することができる)。測定は、無希釈組成物において実行することができる。ブランクは、蒸留水を用いて決定されうる。
【0186】
本発明による組成物は、50NTU以下、好ましくは30NTU以下、より好ましくは10NTU以下の濁度を有しうる。
【0187】
[方法及び使用]
本発明による組成物は、化粧用又は皮膚科学的組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚等のケラチン物質のための化粧用組成物であることが好ましい。
【0188】
本発明による組成物は、ケラチン物質に塗布することによって、皮膚、毛髪、粘膜、爪、まつ毛、眉毛及び/又は頭皮等のケラチン物質を処置するための、美容方法等の非治療的方法に使用することができる。
【0189】
したがって、本発明はまた、ケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【0190】
本発明はまた、身体及び/若しくは顔の皮膚、並びに/又は粘膜、並びに/又は頭皮、並びに/又は毛髪、並びに/又は爪、並びに/又はまつ毛、並びに/又は眉毛のためのケア製品、洗浄製品、メイクアップ製品、メイクアップ除去製品等、化粧料としての、又は化粧料における本発明による組成物の使用に関しうる。
【0191】
言い換えれば、本発明による組成物は、それ自体、化粧料として使用することができる。或いは、本発明による組成物は、化粧料の一要素として使用することができる。例えば、本発明による組成物は、任意の他の要素に加えて、又は任意の他の要素と組み合わせて、化粧料を形成することができる。
【0192】
ケア製品は、ローション、クリーム、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、及び日焼け止め剤等でありうる。洗浄製品は、シャンプー、フェイスウォッシュ、及びハンドウォッシュ等でありうる。メイクアップ製品は、ファンデーション、マスカラ、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドウ、及びマニキュア液等でありうる。メイクアップ除去製品は、メイクアップクレンジング剤等でありうる。
【0193】
本発明による組成物が少なくとも1種のヒアルロン酸又はその塩を含むため、本発明による組成物は、好ましくは、皮膚等のケラチン物質を加湿するために使用されうる。
【0194】
本発明の別の態様は、
連続相と、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下のサイズを有する分散相とを含む組成物の製造のための、
(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオール
の使用であって、
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量が、組成物の総量に対して0.01質量%~5質量%であり、
((a)油の量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.3未満であり、
((c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比が、0.01超~0.2未満であり、
((e)ポリオールの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.1超~5未満である
という条件で、
組成物が、
(a)少なくとも1種の任意選択の油、
(b)11.0超、好ましくは12.0超、より好ましくは13.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(c)11.0未満、好ましくは10.0未満、より好ましくは9.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(d)ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分、並びに
(f)水
を含む、使用に関しうる。
【0195】
本発明の別の態様はまた、連続相と、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下のサイズを有する分散相とを含む組成物を調製するための方法であって、
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量が、組成物の総量に対して0.01質量%~5質量%であり、
((a)油の量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.3未満であり、
((c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比が、0.01超~0.2未満であり、
((e)ポリオールの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.1超~5未満である
という条件で、
(a)少なくとも1種の任意選択の油、
(b)11.0超、好ましくは12.0超、より好ましくは13.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(c)11.0未満、好ましくは10.0未満、より好ましくは9.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(d)ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分、
(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオール、並びに
(f)水
を混合する工程を含む、方法にも関しうる。
【0196】
混合する工程は、多量のエネルギーを使用するホモジナイザー等の特殊な機械的撹拌機を用いない、いわゆる低エネルギープロセスによって実行されることが好ましい。低エネルギープロセスは、成分(a)~(f)を単に穏やかに撹拌することによって実行することができる。
【0197】
本発明による使用及び方法における上記の組成物は、上記組成物が(a)油を含む場合、O/W型ナノ又はマイクロエマルションの形態であることが好ましい。
【0198】
本発明はまた、
(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオール
の使用であって、
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量が、組成物の総量に対して0.01質量%~5質量%であり、
((a)油の量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.3未満であり、
((c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比が、0.01超~0.2未満であり、
((e)ポリオールの量)/((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が、0.1超~5未満である
という条件で、
(a)少なくとも1種の油、
(b)11.0超、好ましくは12.0超、より好ましくは13.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(c)11.0未満、好ましくは10.0未満、より好ましくは9.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(d)ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分、並びに
(f)水
を含むO/W型エマルションにおける、
(a)油の油滴が、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下の粒径を有するようにするための、
使用にも関しうる。
【0199】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種の油、
(b)11.0超、好ましくは12.0超、より好ましくは13.0超のHLB値を有する、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(c)11.0未満、好ましくは10.0未満、より好ましくは9.0未満のHLB値を有する、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、
(d)ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸誘導体、ヒアルロン酸誘導体塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のヒアルロン酸成分、並びに
(f)水
を含むO/W型ナノ又はマイクロエマルション中の油滴を、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下の粒径を有するようにするための方法であって、
(e)5個以上の炭素原子を有する少なくとも1種のポリオールを
O/W型ナノ若しくはマイクロエマルションに加える工程、又はO/W型ナノ若しくはマイクロエマルション中に使用する工程を含む、方法にも関する。
【0200】
本発明による組成物についての成分(a)~(f)、及び任意選択の成分に関する上記の説明は、本発明による使用及び方法についての成分に適用することができる。本発明による組成物の調製及び形態に関する説明もまた、上記の使用及び方法において記載された組成物の調製及び形態に適用することができる。
【実施例0201】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0202】
(実施例1及び比較例1~3)
実施例1及び比較例1~3による、表1に示す以下の組成物を、表1に示す成分を混合することによって調製した。表1に示す成分の量の数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0203】
実施例1及び比較例1~3による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0204】
【0205】
[評価]
(濁度)
実施例1及び比較例2による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって、室温で測定した。
【0206】
結果を表1に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0207】
実施例1による組成物は、透明又はやや半透明であった。
【0208】
比較例1及び3による組成物の濁度は、組成物が明らかに不透明であった(透明でなかった、又はやや半透明でなかった)ため、測定しなかった。
【0209】
(液滴径)
実施例1及び比較例2による組成物中の分散相のサイズを、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0210】
比較例1及び3による組成物の分散相のサイズは、組成物が明らかに不透明であったため、測定しなかった。
【0211】
実施例1は、5個以上の炭素原子を有するポリオールを使用すると、組成物がヒアルロン酸又はその塩を含む場合であっても、透明な組成物を提供できることを示している。
【0212】
比較例1は、5個未満の炭素原子を有するポリオールを使用すると、組成物がヒアルロン酸又はその塩を含む場合には、透明な組成物を提供できないことを示している。
【0213】
比較例2は、国際公開第2020/110716号パンフレットに開示されている実施例1による配合物に相当する。
【0214】
比較例3は、国際公開第2020/110716号パンフレットに開示されている実施例1による配合物にヒアルロン酸又はその塩を加えると、透明な組成物を提供できないことを示している。
【0215】
(実施例2~5及び比較例4)
実施例2~5及び比較例4による、表2に示す以下の組成物を、表2に示す成分を混合することによって調製した。表2に示す成分の量の数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0216】
実施例2~5及び比較例4による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0217】
【0218】
[評価]
(濁度)
実施例2~5による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって、室温で測定した。
【0219】
結果を表2に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0220】
実施例2~5による組成物は、透明又はやや半透明であった。
【0221】
比較例4による組成物のNTU値は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0222】
(液滴径)
実施例2~5及び比較例4による組成物中の分散相のサイズを、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0223】
結果を表2に示す。
【0224】
比較例4による組成物中の分散相の液滴径は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0225】
実施例2~5は、組成物中の11.0超のHLB値を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、11.0未満のHLB値を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%にするべきであることを示している。
【0226】
比較例4は、組成物中の第1及び第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの総量が、組成物の総質量に対して5質量%超である場合、組成物を透明又はやや半透明にすることができないことを示している。
【0227】
(実施例6~7及び比較例5)
実施例6~7及び比較例5による、表3に示す以下の組成物を、表3に示す成分を混合することによって調製した。表3に示す成分の量の数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0228】
実施例6による組成物は、カプリン酸PG-4とオレイン酸PG-2によって形成されたミセルを含む組成物であった。
【0229】
実施例7及び比較例5による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0230】
【0231】
[評価]
(濁度)
実施例6~7による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって、室温で測定した。
【0232】
結果を表3に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0233】
実施例6及び7による組成物は、透明又はやや半透明であった。
【0234】
比較例5による組成物のNTU値は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0235】
(液滴径)
実施例6~7による組成物中の分散相のサイズを、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0236】
結果を表3に示す。
【0237】
実施例6による組成物の液滴径は、組成物中の、油を含まないミセルの平均サイズを意味する。
【0238】
実施例7による組成物の液滴径は、組成物中の、油を含むミセルとして考えることができる、油滴の平均サイズを意味する。
【0239】
比較例5による組成物中の分散相の液滴径は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0240】
実施例6~7は、組成物中の(油の量)/(11.0超のHLB値を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、11.0未満のHLB値を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比を、0.3未満にするべきであることを示している。
【0241】
比較例5は、組成物中の(油の量)/(11.0超のHLB値を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、11.0未満のHLB値を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が0.3以上である場合、組成物を透明又はやや半透明にすることができないことを示している。
【0242】
(実施例8~9及び比較例6~7)
実施例8~9及び比較例6~7による、表4に示す以下の組成物を、表4に示す成分を混合することによって調製した。表4に示す成分の量の数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0243】
実施例8~9及び比較例6~7による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0244】
【0245】
[評価]
(濁度)
実施例8~9による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって、室温で測定した。
【0246】
結果を表4に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0247】
実施例8及び9による組成物は、透明又はやや半透明であった。
【0248】
比較例6~7による組成物のNTU値は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0249】
(液滴径)
実施例8~9による組成物中の分散相のサイズを、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0250】
結果を表4に示す。
【0251】
比較例6~7による組成物中の分散相の液滴径は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0252】
実施例8~9は、組成物中の(11.0未満のHLB値を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/(11.0超のHLB値を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比を、0.01超~0.2未満にするべきであることを示している。
【0253】
比較例6~7は、組成物中の(11.0未満のHLB値を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)/(11.0超のHLB値を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量)の質量比が0.01以下又は0.2以上である場合、組成物を透明又はやや半透明にすることができないことを示している。
【0254】
(実施例10~11及び比較例8~9)
実施例10~11及び比較例8~9による、表5に示す以下の組成物を、表5に示す成分を混合することによって調製した。表5に示す成分の量の数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0255】
実施例10~11及び比較例8~9による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0256】
【0257】
[評価]
(濁度)
実施例10~11による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって、室温で測定した。
【0258】
結果を表5に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0259】
実施例10及び11による組成物は、透明又はやや半透明であった。
【0260】
比較例8~9による組成物のNTU値は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0261】
(液滴径)
実施例10~11による組成物中の分散相のサイズを、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0262】
結果を表5に示す。
【0263】
比較例8~9による組成物中の分散相の液滴径は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0264】
実施例10~11は、組成物中の(5個以上の炭素原子を有するポリオールの量)/(11.0超のHLB値を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、11.0未満のHLB値を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比を、0.1超~5未満にするべきであることを示している。
【0265】
比較例8~9は、組成物中の(5個以上の炭素原子を有するポリオールの量)/(11.0超のHLB値を有する第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、11.0未満のHLB値を有する第2のポリグリセリル脂肪酸エステルとの総量)の質量比が0.1以下又は5以上である場合、組成物を透明又はやや半透明にすることができないことを示している。
【0266】
(実施例12~15)
実施例12~15による、表6に示す以下の組成物を、表6に示す成分を混合することによって調製した。表6に示す成分の量の数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0267】
実施例12~15による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0268】
【0269】
[評価]
(濁度)
実施例12~15による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって、室温で測定した。
【0270】
結果を表6に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0271】
実施例12~14による組成物は、透明又はやや半透明であった。
【0272】
(液滴径)
実施例12~15による組成物中の分散相のサイズを、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0273】
結果を表6に示す。
【0274】
実施例12~15は、本発明による組成物が様々な量のヒアルロン酸又はその塩を含んでも、ヒアルロン酸の分子量を問わず、組成物を透明又はやや半透明にすることができることを示している。
【0275】
(実施例16~18及び比較例10)
実施例16~18及び比較例10による、表7に示す以下の組成物を、表7に示す成分を混合することによって調製した。表7に示す成分の量の数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0276】
実施例16~18及び比較例10による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0277】
【0278】
[評価]
(濁度)
実施例16~18による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって、室温で測定した。
【0279】
結果を表7に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0280】
実施例16~18による組成物は、透明又はやや半透明であった。
【0281】
比較例10による組成物のNTU値は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0282】
(液滴径)
実施例16~18による組成物中の分散相のサイズを、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0283】
結果を表7に示す。
【0284】
比較例10による組成物中の分散相の液滴径は、組成物が不透明であったため、試験しなかった。
【0285】
実施例16は、ポリグリセリル脂肪酸エステルのタイプが限定されないことを示している。
【0286】
実施例17は、5個以上の炭素原子を有するポリオールのタイプが限定されないことを示している。
【0287】
実施例18は、油のタイプが限定されないことを示している。
【0288】
比較例10は、5個未満の炭素原子を有するポリオールを組成物に使用する場合、組成物を透明又はやや半透明にすることができないことを示している。
【0289】
(実施例19~25)
実施例19~25による、表8に示す以下の組成物を、表8に示す成分を混合することによって調製した。表8に示す成分の量の数値は全て、原料の「質量%」に基づく。
【0290】
実施例19~25による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0291】
【0292】
[評価]
(濁度)
実施例19~25による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって、室温で測定した。
【0293】
結果を表8に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0294】
実施例19~25による組成物は、透明又はやや半透明であった。
【0295】
(液滴径)
実施例19~25による組成物中の分散相のサイズを、動的光散乱粒径分析装置ELSZ-2000(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0296】
結果を表8に示す。
【0297】
実施例19~25は、ヒアルロン酸又はその塩のタイプが限定されないことを示している。