(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167494
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/84 20060101AFI20221027BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20221027BHJP
E06B 9/82 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
E06B9/84 C
E06B9/17 U
E06B9/82 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073315
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000222325
【氏名又は名称】東洋シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101948
【弁理士】
【氏名又は名称】柳澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】納谷 伸悟
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CB05
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】障害物を検知した際に、迅速にシャッターカーテンの下降動作を停止させることができ、またワイヤへの負荷を低減したシャッター装置を提供する。
【解決手段】固定座板22と可動座板23を有する座板内にワイヤ31を送通し、ワイヤ31の一端は上部のブレーキ部17と連繋している。固定座板22には押曲部を有する上部押曲部材24が、可動座板23には押曲部を有する下部押曲部材25が、それぞれ設けられている。障害物を存在すると可動座板23が固定座板22に対して相対的に上昇し、下部押曲部材25の押曲部がワイヤ31を上方へ押し曲げ、また上部押曲部材24の押曲部がワイヤ31を下方へ押し曲げる。この複数回のワイヤ31の押し曲げによりワイヤ31が引き込まれ、連繋するブレーキ部17がブレーキを掛けてシャッターカーテン11の動作を停止させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の左右端に設けられたレールの間をシャッターカーテンが上下動するシャッター装置であって、前記シャッターカーテン下部に設けられ前記シャッターカーテンに固定して設けられた固定座板及び前記固定座板に対して上下動可能な可動座板を有する座板と、前記可動座板が前記固定座板に対して相対的に上昇することによって障害物を検知する障害物検知手段と、開口上部に設けられ前記シャッターカーテンを停止させるブレーキ手段と、前記座板内を一端側から開口幅方向に他端側へ挿通され一端が前記ブレーキ手段と連繋されたワイヤを有し、前記障害物検知手段は、前記固定座板と前記可動座板内にあり、前記固定座板に設けられ前記ワイヤと対向して押曲部が設けられた上部押曲手段と、前記可動座板に設けられ前記ワイヤと対向して押曲部が設けられた下部押曲手段を有し、障害物が前記可動座板に当接し、前記固定座板に対して前記可動座板が相対的に上昇した際に前記上部押曲手段と前記下部押曲手段の押曲部が前記ワイヤを押し曲げて複数回変形させることにより、前記ブレーキ手段がシャッターの下降を停止させることを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
前記ワイヤの他端は、レール内で床面あるいはレール下端部近傍に係止されることを特徴とする請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記ワイヤの他端は、前記ワイヤを所定の力で巻き取り可能な回転体に締結されることを特徴とする請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項4】
前記ワイヤは、障害物が前記可動座板に当接し、前記固定座板に対して前記可動座板が相対的に上昇した際に3カ所以上で変形することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシャッター装置。
【請求項5】
前記上部押曲手段または前記下部押曲手段の少なくともいずれか一方は、他方の相対的な移動により回動し、前記ワイヤを押し曲げて変形させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシャッター装置。
【請求項6】
前記上部押曲手段及び前記下部押曲手段のワイヤに接する面は曲面であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のシャッター装置。
【請求項7】
前記障害物検知手段は、前記座板に複数組設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシャッター装置。
【請求項8】
前記上部押曲手段の端部には、前記ワイヤの挿通位置を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンの下降中に座板が障害物を検知した際に下降動作を停止するシャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物などには開口を閉鎖するための装置の一つとしてシャッター装置が設置されている。一般的なシャッター装置では、開口の両端にレールを設けておき、このレールの間をシャッターカーテンが上下動することにより、開口の開閉を行う。例えば開口を閉鎖する場合にはシャッターカーテンを下降させることになるが、シャッターカーテンの直下に人が存在している場合、そのままシャッターカーテンを下降させると挟まれ事故につながりかねない。もちろん、人以外でも、物品の破損やシャッター側の破損につながる場合もある。そのため、シャッターカーテンの直下に人を含む障害物が存在している場合、その障害物を検知した時点でシャッターカーテンの下降を停止させる機構が設けられている。
【0003】
例えば特許文献1では、座板に設けられたリールからワイヤを上部のブレーキと連結し、シャッターカーテンの下降とともにワイヤをリールから繰り出してゆく。障害物を検知した際には、リールの回転を止めることでワイヤの繰り出しを停止し、これによりブレーキを掛けている。また、例えば特許文献2では、リールを上部に配置し、リールから引き出されたワイヤが座板を通って上部のブレーキと連結されており、シャッターカーテンの下降とともにワイヤをリールから繰り出してゆく。障害物を検知した際には、座板に設けられている可動部材の突起でワイヤを挟むことでワイヤの移動を停止させ、これによりブレーキを掛けている。
【0004】
リールを用いない構成としては、特許文献3では、一方のレールの中に通されたローラチェーンの一部を座板内に引き込んで、シャッターカーテンを上下動させる際にはスプロケットホイールを回転させてローラチェーンを案内している。障害物を検知した際には、スプロケットホイールの回転を止めてローラチェーンの移動を停止させ、これによりブレーキを掛けている。また特許文献4では、床面とブレーキとをワイヤで結ぶとともに一部を座板へ通し、障害物を検知した際に係止駒でワイヤを係止してブレーキを掛けている。
【0005】
一般的なシャッター装置のブレーキ構造は、ブレーキ本体から突出するブレーキレバーを一方に傾けることでブレーキを解放し、ブレーキレバーをブレーキ位置に戻すことでブレーキが掛かる仕組みになっている。そのため、ブレーキを解放した状態からブレーキを掛けた状態にするためには、ブレーキレバーをブレーキ位置に戻すだけのストロークが必要になる。
【0006】
上述のような従来のシャッターカーテンの動作を停止させる機構では、ワイヤやチェーンなどの移動を止めてもシャッターカーテンの下降は続き、所定のストロークの分だけシャッターカーテンが下降してからブレーキが掛かることになる。障害物を検知してシャッターカーテンが停止するまでの距離や時間は短いことが望まれるのは当然であり、迅速にシャッターカーテンの動作を停止することができる技術が求められている。
【0007】
また、障害物を検知した際にワイヤを挟み込んで移動を停止させる構成では、シャッターが床面に到達した全閉状態でも、ワイヤを挟んだ状態で停止していることになり、ワイヤに過度の負担がかかる。さらに、ワイヤやリールなどを急速に停止させるためにワイヤや他の動作部品に負荷がかかり、劣化しやすいという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-013647号公報
【特許文献2】特開2010-043475号公報
【特許文献3】特開2010-106524号公報
【特許文献4】特開2008-223459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、障害物を検知した際に、従来の構成に比べて迅速にシャッターカーテンの動作を停止させることができ、またワイヤへの負荷を低減したシャッター装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に記載の発明は、開口部の左右端に設けられたレールの間をシャッターカーテンが上下動するシャッター装置であって、前記シャッターカーテン下部に設けられ前記シャッターカーテンに固定して設けられた固定座板及び前記固定座板に対して上下動可能な可動座板を有する座板と、前記可動座板が前記固定座板に対して相対的に上昇することによって障害物を検知する障害物検知手段と、開口上部に設けられ前記シャッターカーテンを停止させるブレーキ手段と、前記座板内を一端側から開口幅方向に他端側へ挿通され一端が前記ブレーキ手段と連繋されたワイヤを有し、前記障害物検知手段は、前記固定座板と前記可動座板内にあり、前記固定座板に設けられ前記ワイヤと対向して押曲部が設けられた上部押曲手段と、前記可動座板に設けられ前記ワイヤと対向して押曲部が設けられた下部押曲手段を有し、障害物が前記可動座板に当接し、前記固定座板に対して前記可動座板が相対的に上昇した際に前記上部押曲手段と前記下部押曲手段の押曲部が前記ワイヤを押し曲げて複数回変形させることにより、前記ブレーキ手段がシャッターの下降を停止させることを特徴とするシャッター装置である。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明において、前記ワイヤの他端は、レール内で床面あるいはレール下端部近傍に係止されることを特徴とするシャッター装置である。
【0012】
本願請求項3に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明において、前記ワイヤの他端は、前記ワイヤを所定の力で巻き取り可能な回転体に締結されることを特徴とするシャッター装置である。
【0013】
本願請求項4に記載の発明は、本願請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明における前記ワイヤは、障害物が前記可動座板に当接し、前記固定座板に対して前記可動座板が相対的に上昇した際に3カ所以上で変形することを特徴とするシャッター装置である。
【0014】
本願請求項5に記載の発明は、本願請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発明における前記上部押曲手段または前記下部押曲手段の少なくともいずれか一方は、他方の相対的な移動により回動し、前記ワイヤを押し曲げて変形させることを特徴とするシャッター装置である。
【0015】
本願請求項6に記載の発明は、本願請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発明における前記上部押曲手段及び前記下部押曲手段のワイヤに接する面は曲面であることを特徴とするシャッター装置である。
【0016】
本願請求項7に記載の発明は、本願請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発明における前記障害物検知手段は、前記座板に複数組設けられていることを特徴とするシャッター装置である。
【0017】
本願請求項8に記載の発明は、本願請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の発明における前記上部押曲手段の端部には、前記ワイヤの挿通位置を規制する規制手段が設けられていることを特徴とするシャッター装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、障害物を検知した際に、ワイヤを押し曲げて複数回変形させることによりワイヤの引っ張りストロークを稼ぎ、ブレーキ手段を動作させてシャッターの下降を停止させる。これにより、従来のワイヤを挟持したり、ワイヤのリールの回転を規制する構成に比べて迅速にシャッターカーテンの下降動作を停止させることができるという効果がある。また、必ずしもワイヤを挟持したり、ワイヤのリールの回転を急停止させる必要がないので、ワイヤなどに対する負荷を低減させることができる。このような効果は、ワイヤの他端がレール内で床面あるいはレール下端部近傍に係止された構成においても、回転体を用いる構成においても、得ることができる。
【0019】
障害物を検知した際のワイヤは、3カ所以上で変形することによって、ブレーキ手段を動作させるのに十分なストロークを得ることができ、迅速にブレーキを掛けることができる。
【0020】
上部押曲手段または下部押曲手段の少なくともいずれか一方は、他方の相対的な移動により回動し、ワイヤを押し曲げて変形させるように構成することができ、これによって固定した押曲部を用いる場合に比べて、より迅速にワイヤの押し曲げ変形を実現してシャッターカーテンの動作を停止させることができる。
【0021】
障害物を検知した際に上部押曲手段及び下部押曲手段がワイヤに接する面を曲面にすることによって、ワイヤへのダメージをさらに低減することができる。
【0022】
また、障害物検知手段を座板に複数組設けることによって、障害物が存在している位置によらずに、確実に障害物を検知してシャッターカーテンの動作を停止することができる。
【0023】
さらに、上部押曲手段の端部に、ワイヤの挿通位置を規制する規制手段を設けることによって、ワイヤのたるみやシャッターの下降動作時の振動によるワイヤの揺動を規制し、障害物を検知した際に確実にワイヤを押し曲げることができ、シャッターカーテンの動作を確実に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】座板の構成の一例を示す断面図(通常時)である。
【
図3】座板の構成の一例を示す断面図(障害物検知時)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の実施の一形態を示す概略図である。図中、11はシャッターカーテン、12-1,2はレール、13は収容部、14はまぐさ部材、15はシャッタードラム、16は開閉機、17はブレーキ部、18は自動閉鎖装置、19はブレーキレバー、21は座板、22は固定座板、23は可動座板、24は上部押曲部材、25は下部押曲部材、26,27はガイドローラ、31はワイヤである。
図1に示す例では、シャッターカーテン11を半分ほど閉じた状態を示している。
【0026】
開口部の左右端にはレール12-1,12-2が設けられており、シャッターカーテン11の左右端部がこのレール12-1,12-2に挿入され、レール12-1,12-2の間をシャッターカーテン11が上下動できるように構成されている。また、開口部の上部は、まぐさ部材14で区切られた収容部13が設けられている。収容部13には、内部にシャッタードラム15が配置されてシャッターカーテン11が係止されており、シャッタードラム15を回動させることによりシャッターカーテン11を巻き取って開口部を開放する。また、シャッタードラム15を逆に回動させ、あるいはシャッターカーテン11の自重により、シャッタードラム15に巻き取っていたシャッターカーテン11を降ろし、開口部を閉鎖する。
【0027】
この例では、開口部上部の収容部13に開閉機16が設けられており、シャッタードラム15を回動させることができる。少なくともシャッターカーテン11をシャッタードラム15に巻き上げる際には、開閉機16の動力により行うことができる。開閉機16にはブレーキ部17が連結されており、開閉機16の動力軸に対してブレーキを掛け、シャッターカーテン11の動作を停止させることができる。例えばシャッターカーテン11の上げ下ろしの際にはブレーキを解放し、少なくともシャッターカーテン11を巻き上げて開口部を開放している状態ではブレーキを掛けた状態を維持しておく。また、シャッターカーテン11の下降時に障害物を検出した際にはブレーキを掛けてシャッターカーテン11の下降動作を停止させる。
【0028】
この例におけるブレーキ部17にはブレーキレバー19、自動閉鎖装置18及び図示しないブレーキ本体が設けられている。ブレーキレバー19は開閉機16に連結されている図示しないブレーキ本体を動作させるものであり、ブレーキレバー19を傾けることでブレーキを解放し、ブレーキ位置に戻すことでブレーキを掛けることができる。自動閉鎖装置18は、火災などが発生して火報信号が入力されたり、手動で閉鎖の操作が行われた場合などにおいては、ブレーキレバー19を傾けてブレーキを解放するように制御する。このブレーキの解放により、シャッターカーテン11を自重により下降させて開口部を閉鎖することができる。また、シャッターカーテン11が下降している際に障害物を検出した場合には、ブレーキを掛けるように制御する。一例としては、ブレーキレバー19をブレーキ位置に戻してブレーキ本体がブレーキを掛けるように構成することができる。
【0029】
なお、ブレーキ部17は自動閉鎖装置18を有しなくてもよいし、自動閉鎖装置18以外の構成をさらに含み、種々のブレーキ制御を行ってもよい。また、後述するようにワイヤ31により障害物の存在がブレーキ部17に伝えられるが、途中に連携手段を有する構成であってもよい。
【0030】
シャッターカーテン11の下部には座板21が設けられている。座板21は、シャッターカーテン11に固定して設けられた固定座板22と、固定座板22に対して上下動可能な可動座板23とを有している。例えば、可動座板23は固定座板22に係合して垂下している。
【0031】
この座板21内を一端側から開口幅方向に他端側へワイヤ31が挿通されている。ワイヤ31の一端は、ガイドローラ26からレール12-1内を上方へ引き回されて、ブレーキ部17と連繋されている。
図1に示す例では、ワイヤ31はブレーキ部17の自動閉鎖装置18に連繋されており、ワイヤ31が引っ張られることにより障害物の存在がブレーキ部17に対して通知される。なお、このワイヤ31には、通常のシャッター動作時において不用意にブレーキが掛からないように、ブレーキレバー19がブレーキ位置に戻らない程度の所定のテンションを掛けておいた方が障害物検知時に迅速に停止させることができる。
【0032】
なお、この例ではワイヤ31をガイドレール12-1内に挿通させているが、例えば座板21のレール12-1近傍など、座板21の途中から上部のブレーキ部17まで引き回してもよい。
【0033】
この例では、ワイヤ31の他端は、ガイドローラ27からレール12-2内を下方へ挿通され、床面あるいはレール12-2の下端部近傍に係止されている。係止の際には、ワイヤ31にブレーキレバー19がブレーキ位置に戻らない程度の所定のテンションが掛かるように引っ張りばね等を介して係止してもよい。
【0034】
このようにワイヤ31を、一端を上部のブレーキ部17に連繋させ、座板21内を挿通させ、他端を床面あるいはレール12-2の下端部近傍に係止した構成では、座板21から上部のブレーキ部17との連繋部までの長さ(図中H)と、座板21から下部の係止部までの長さ(図中L)の和(H+L)は、シャッターカーテン11の上下動に関係なく一定である。もちろん、座板21内を挿通しているワイヤ31の長さも一定である。従って、この
図1に示した例におけるワイヤ31の長さは、シャッターカーテン11の上下動にかかわらず一定の長さでよく、シャッター装置の設置の際に当該シャッター装置に適合した長さで決めておけばよい。シャッターカーテン11を降ろす際には、ワイヤ31は座板21内をレール12-2側からレール12-1側へ移動する。また、シャッターカーテン11を上げる際には、ワイヤ31は座板21内をレール12-1側からレール12-2側へ移動することになる。
【0035】
図1に示す例ではワイヤ31の他端を床面あるいはレール12-2の下端部近傍に係止した構成を示しているが、これに限らず、収容部13または座板21にワイヤ31を所定の力で巻き取り可能な回転体を設け、この回転体にワイヤ31の他端を締結して、所定の力で巻き取っておくように構成してもよい。
【0036】
座板21の固定座板22と可動座板23内には、1または複数の障害物検知手段が設けられている。シャッターカーテン11の下降の際に障害物が存在していると、可動座板23が障害物に当接して先に下降を停止する。可動座板23が停止した後も固定座板22は下降を続け、これにより可動座板23が固定座板22に対して相対的に上昇して、固定座板22と可動座板23との距離が縮まる。この可動座板23が固定座板22に対して相対的に上昇することにより、障害物検知手段は障害物の存在を検知する。
【0037】
この例では障害物検知手段として、上部押曲部材24が固定座板22に設けられ、また下部押曲部材25が可動座板23に設けられている。この上部押曲部材24と下部押曲部材25の間にワイヤ31が挿通されるようにしている。
図1に示す例では上部押曲部材24と下部押曲部材25による障害物検知手段が2組設けられているが、障害物検知手段は1組あるいは3組以上であってもよい。
【0038】
図2、
図3は、座板の構成の一例を示す断面図である。図中、41は規制部、42,44は凸部、43,45は凹部、51は障害物である。
図2(A)、
図3(A)は座板21の延在方向の断面図、
図2(B)、
図3(B)は座板21の内外方向の断面図である。
図2では、障害物などを検知していない通常状態を示し、
図3では障害物51を検知した状態を示している。
【0039】
上述のように障害物検知手段として、固定座板22には上部押曲部材24が、また可動座板23には下部押曲部材25が、それぞれ設けられている。そして、上部押曲部材24と下部押曲部材25との間にワイヤ31が挿通されている。上部押曲部材24の端部には、ワイヤ31の挿通位置を規制する規制部41が設けられているとよい。この規制部41を設けることによって、ワイヤ41のたるみやシャッターカーテン11の下降動作時の振動によるワイヤの揺動を規制し、後述する障害物51を検知した際の凸部42,44によるワイヤ31の押し曲げを確実に行い、シャッターカーテン11の動作を確実に停止させるようにすることができる。
【0040】
図2、
図3に示した例では、ワイヤ31が挿通する上部押曲部材24と下部押曲部材25のワイヤ31と対向する面には、波形の曲面で複数の凹凸が形成されている。これらの凹凸は、上部押曲部材24の凸部42が下部押曲部材25の凹部45に、また下部押曲部材25の凸部44が上部押曲部材24の凹部43にそれぞれ対応するように設けられている。この上部押曲部材24の凸部42及び下部押曲部材25の凸部44は、障害物を検知した際にワイヤ31を押し曲げる押曲部として機能する。なお、上部押曲部材24及び下部押曲部材25の材質は任意であるが、例えば樹脂などで形成すると、後述のようにワイヤ31と当接、押圧した際に、ワイヤ31へのダメージを軽減することができる。
【0041】
通常の状態では、座板21が
図2に示した状態でシャッターカーテン11の上げ下ろしを行うことになる。座板21が
図2に示した状態でシャッターカーテン11を下降させてゆき、障害物51が存在すると、障害物51に座板21の可動座板23が当接した時点で可動座板23は停止する。しかしシャッターカーテン11及び固定座板22はそのまま下降を続ける。すると、可動座板23は固定座板22に対して相対的に上昇することになり、固定座板22と可動座板23との間隔は縮まってゆくことになる。そうすると、可動座板23に設けられている下部押曲部材25の凸部44がワイヤ31に当接し、さらに上方へ押圧してワイヤ31を押し上げる。これによりワイヤ31は凸部44により押し曲げられることになる。
【0042】
下部押曲部材25により押し上げられたワイヤ31は、上部押曲部材24の凸部42にも当接し、さらに下方へ押圧され、この上部押曲部材24の凸部42によっても押し曲げられることになる。このようにして、ワイヤ31は、下部押曲部材25の複数の凸部44により上部押曲部材24の凹部43へと押圧されて押し曲げられ、また、上部押曲部材24の複数の凸部42により下部押曲部材25の凹部45へと押圧されて押し曲げられ、これらにより複数回にわたり変形させられる。この状態を
図3に示している。下部押曲部材25の凸部44による押し曲げを上矢印で、上部押曲部材24の凸部42による押し曲げを下矢印で、それぞれ示している。
【0043】
なお、最終的にワイヤ31が上部押曲部材24と下部押曲部材25の対向面によって挟持された状態になってもよいし、挟持されなくても、ワイヤ31が複数回変形されればよい。
【0044】
このようにワイヤ31が押し曲げられて変形するには、変形した分だけワイヤ31の長さを要する。そのため、変形により長さを必要とした分だけワイヤ31は引き込まれることになる。このワイヤ31の引き込みによってブレーキ部17に対して障害物51の検知を知らせる。ワイヤ31の引き込み量が所定の引張ストローク以上になると、ワイヤ31にはブレーキレバー19をブレーキ位置に戻す力以上のテンションが加わる。これによって、ブレーキレバー19はブレーキ位置に戻り、ブレーキ本体がシャッターカーテン11の下降動作に対してブレーキを掛け、下降動作を停止させる。なお、この例におけるブレーキ部17は自動閉鎖装置18を有しており、ワイヤ31の引っ張り力は自動閉鎖装置18に伝えられる。そして、自動閉鎖装置18によりブレーキレバー19が操作されてブレーキレバー19がブレーキ位置に戻り、シャッターカーテン11の下降が停止することになる。このようにして、障害物51が可動座板23に当接するとブレーキが掛かって、シャッターカーテン11の下降を停止させることができ、未然に事故などを防止することができる。
【0045】
図1に示す例ではワイヤ31の他端を床面あるいはレール12-2の下端部近傍に係止した構成を示していることから、ワイヤ31の引き込みは主にブレーキ部17と連繋された側から生じることになる。例えばワイヤ31の他端を回転体に締結してワイヤ31を巻き取っておく構成においては、ワイヤ31の引き込みは両側から生じる。この場合も、障害物51を検知した際のブレーキ部17と連繋された側のワイヤ31の引き込み量が所定の引張ストローク以上になるようにしておけば、上述のようにしてシャッターカーテン11の下降動作に対してブレーキを掛けることができる。
【0046】
従来技術としても述べたが、従来は、障害物を検知した際に迅速にブレーキを掛ける手段として、ワイヤやチェーンなどを迅速に停止させることが行われている。このような従来の構成では、障害物を検知してワイヤやチェーン、リールなどを停止させても、ブレーキが掛かるまでのストロークの分だけシャッターカーテンは下降している。また、ワイヤやチェーン、あるいはリールの動きを急激に停止させることから、ワイヤやチェーンを含む動作部分の劣化が激しい。
【0047】
これに対して本発明では、押曲部となる凸部によりワイヤ31を押し曲げて変形させ、ワイヤ31を引き込むので、ブレーキが掛かるまでのストローク分の下降を待つことなく、ストローク分の引き込みを行って迅速にブレーキを掛けることができる。さらに、複数回の変形を行っているので、引き込む長さを長く取ることができる。
【0048】
また本発明では、ワイヤ31を変形させているだけなので、従来のワイヤやチェーンの動きを急激に停止させる構成に比べてワイヤ31や各部へのダメージは小さい。特に
図2,
図3に示した例では、上部押曲部材24と下部押曲部材25に設けられている押曲部となる凸部42,44は曲面で形成されている。この凸部42,44はワイヤ31に当接して押し曲げる面であることから、この面が曲面であることによりワイヤ31を押し曲げて変形させる際には、ワイヤ31が凸部42,44と線で接触することになり、ワイヤ31へのダメージをさらに和らげている。さらには、シャッターが床面に到達した全閉状態でも、ワイヤ31を押し曲げているだけであるので、従来のワイヤを挟持する構成に比べてワイヤ31にかかる負荷は小さい。
【0049】
このように、障害物51が可動座板23に当接し、固定座板22に対して可動座板23が相対的に上昇することにより、上部押曲部材24と下部押曲部材25に設けられている押曲部となる凸部42,44によりワイヤ31は押し曲げられて変形する。
図2,
図3に示した例では下部押曲部材25の凸部44による上方向の押し曲げと、上部押曲部材24の凸部42による下方向の押し曲げとが繰り返され、
図3中の矢印で示した5回の押し曲げが行われている。このようなワイヤ31の押し曲げによる変形は、3カ所以上で行われるように構成するとよい。例えば上、下、上の3カ所あるいは下、上、下の3カ所での変形を少なくとも行うと、方向が異なる押し曲げ変形によってワイヤ31を引き込む長さを迅速に、また十分に確保することができる。もちろん、凹凸の高さを大きくしてワイヤ31の変形量を大きくしたり、押し曲げ変形の回数を多くすれば、引き込む長さをさらに長くすることができる。
【0050】
なお、ワイヤ31と上部押曲部材24に設けられている凸部42の頂点との距離や、ワイヤ31と下部押曲部材25に設けられている凸部44の頂点との距離が短いほど、可動座板23に障害物51が当接した際の可動座板23の変動を敏感にワイヤ31の押し曲げ変形に伝えることができる。
【0051】
また上述したが、上部押曲部材24と下部押曲部材25を1組として、座板21に複数組設けておくことができる。
図1に示した例では、上部押曲部材24と下部押曲部材25を2組設けた例を示している。複数組設けておくと、障害物51の位置によらず、安定した障害物検知を行うことができる。また複数組の上部押曲部材24と下部押曲部材25によりワイヤ31が押し曲げられる回数も多くなり、より迅速にワイヤ31を引き込んでブレーキ部17を動作させてシャッターカーテン11を停止させることができる。
【0052】
上述の例では、障害物検知手段となる上部押曲部材24と下部押曲部材25のワイヤ31と対向する面に波形の曲面を形成し、その凸部42,44を押曲部とするとともに、凸部42,44に対応した形状の凹部43,45を設けた。しかし、上述のように凸部42,44がワイヤ31を押し曲げられれば、ワイヤ31を挟持する必要は無いので、凹部43,45は凸部42,44の面に対応した面を有する必要は無い。従って、上述の例に限らず、凸部42,44を押曲部として曲面で形成し、凹部43,45については凸部42,44がワイヤ31を押し曲げるスペースが確保されていればよい。
【0053】
さらに、凸部42,44の形状についても、ワイヤ31に当接、押圧してワイヤ31を押し曲げることができれば種々の形状であってよい。例えば馬の鞍形の面(双曲放物面)にしてワイヤ31の位置ズレがあっても確実に押し曲げられるようにしてもよい。例えば三角形状の突起や四角形状の突起などでも、ワイヤ31を押し曲げて引き込む動作には支障なく使用することができる。しかし、これらの形状のように角部が存在する形状、面であると、角部にワイヤ31が当接し、押し曲げられた際にワイヤ31に過度の力がかかり、また摩擦による劣化が想定される。そのため、凸部42,44の面は曲面であることが望ましく、ワイヤ31に当接して押し曲げる際のワイヤ31へのダメージを軽減することができる。
【0054】
図4は、座板の構成の第2の例を示す断面図である。図中、61は支持部、62は棹部、63はローラ部、64は棹当部である。
図4(A)は通常の状態を示し、
図4(B)は障害物を検知した際の状態を示している。上述の例では上部押曲部材24及び下部押曲部材25に可動部がないが、この第2の例では上部押曲部材24に可動部を設けた例を示している。
【0055】
この例における上部押曲部材24は、支持部61、棹部62、ローラ部63を含む構成を2組設けた例を示している。支持部61は固定座板22に固定されており、先端に規制部41が設けられている。また、支持部61には棹部62の中間部が回動自在に係止されている。棹部62の一端にはローラ部63が設けられている。なお、棹部62の他端部は下部押曲部材25に設けられている棹当部64が当接する。そのため、棹部62の他端部はワイヤ31の送通位置を除けるように形成されている。
【0056】
ローラ部63は、上述した例における凸部42と同様に、障害物を検知した際にワイヤ31に当接して押し曲げる。なお、このローラ部63は必ずしも回転する必要はなく、単に凸部42と同様であってよいが、ワイヤ31に当接して押し曲げる際に、このローラ部63が回転することによりワイヤ31へのダメージをより低減することができる。また、このローラ部63によりワイヤ31をガイドするように構成してもよい。この場合、規制部41を設けずに構成してもよい。
【0057】
可動座板23に設けられている下部押曲部材25には、凸部44とともに両端に棹当部64が設けられている。棹当部64は、障害物を検知した際に上部押曲部材24の棹部62の他端側に当接して棹部62を回動させる。なお、棹当部64はワイヤ31の送通位置を除け、上部押曲部材24の棹部62の他端側に当接できる位置に設けられている。
【0058】
通常の状態では、ワイヤ31が規制部41またはローラ部63あるいはその両方により、シャッターカーテン11の上げ下ろしに従って移動するワイヤ31をガイドしている。また、下部押曲部材25はワイヤ31に当接していない。
【0059】
障害物51が存在すると、障害物51に座板21の可動座板23が当接して、可動座板23は固定座板22に対して相対的に上昇する。すると、可動座板23に設けられている下部押曲部材25の凸部44がワイヤ31に当接し、さらに上方へ押圧してワイヤ31を押し上げる。これによりワイヤ31は凸部44により押し曲げられることになる。それとともに、下部押曲部材25の棹当部64はワイヤ31を除けて相対的に上昇し、上部押曲部材24の棹部62の他端側を押す。これにより棹部62は回動し、一端側に設けられているローラ部63が相対的に下降してワイヤ31を押し曲げる。この状態を
図4(B)に示している。
【0060】
このようにして、障害物51を検知した際には、ワイヤ31は、下部押曲部材25の凸部44による上方向への押し曲げと、上部押曲部材24の2つのローラ部63による下方向への押し曲げが行われ、この例では計3回の押し曲げが行われる。また、上方向への押し曲げと下方向への押し曲げがほぼ並行して行われることから、より素早くワイヤ31を引き込み、より迅速にブレーキを掛けることができる。
【0061】
さらに、この例では上部押曲部材24の側からのワイヤ31の押し下げが、通常時のワイヤ31の送通位置よりも下方へ押し下げることができる。これにより、可動座板23の相対的な上昇距離が短くても、ワイヤ31を引き込む長さを十分に確保することができる。あるいは、可動座板23の相対的な上昇ストロークを短くしてコンパクトな障害物検知手段を提供することができる。
【0062】
なお、この例では下部押曲部材25に凸部44を1つ設けた例を示しているが、もちろん、2以上を設けてもよい。また、上部押曲部材24として支持部61、棹部62、ローラ部63を含む構成を3組以上設けてもよい。その場合、対応する棹当部64を下部押曲部材25に設けておけばよい。
【0063】
図5は、座板の構成の第3の例を示す断面図である。図中、71は支持部、72は棹部、73はローラ部、74は付勢部である。
図5(A)は通常の状態を示し、
図5(B)は障害物を検知した際の状態を示している。この例は、上述した第2の例における可動部を下部押曲部材25に設けた例を示している。またこの例では、第2の例で設けていた棹当部64を設けない例を示している。
【0064】
この例における下部押曲部材25は、支持部71、棹部72、ローラ部73、付勢部74を含む構成を2組設けた例を示している。支持部71は可動座板23に固定されている。支持部71には棹部72の中間部が回動自在に係止されている。棹部72の一端にはローラ部73が設けられている。なお、棹部72の他端部は付勢部74によって可動座板23へと引っ張られている。これにより棹部72の一端に設けられているローラ部73は上方へ付勢されている。付勢部74としては、引っ張りバネなどにより構成すればよい。この付勢部74は、ローラ部73がワイヤ31を押し曲げた際にワイヤ31に過度の力が加わらないようにもしている。
【0065】
この例におけるローラ部73も、上述した例における凸部44と同様に、障害物を検知した際にワイヤ31に当接して押し曲げる。このローラ部73は必ずしも回転する必要はなく、単に凸部44と同様であってよいが、ワイヤ31に当接して押し曲げる際に、このローラ部73が回転することによりワイヤ31へのダメージをより低減することができる。また、上部押曲部材24の規制部41とともに、このローラ部73によりワイヤ31をガイドするように構成してもよい。また、規制部41を設けずにローラ部73によりワイヤ31をガイドしてもよい。
【0066】
固定座板22に設けられている上部押曲部材24は、ほぼ
図2、
図3に示した例と同様であり、ワイヤ31と対向する面には、波形の曲面で凹凸が形成されている。この例では1つの凸部42と2つの凹部43が形成されている。この凹部43は下部押曲部材25のローラ部73に対応して設けられており、ローラ部73の動作域を確保している。
【0067】
通常の状態では、上部押曲部材24の規制部41または下部押曲部材25のローラ部73あるいはその両方により、シャッターカーテン11の上げ下ろしに従って移動するワイヤ31をガイドしている。
【0068】
障害物51が存在すると、障害物51に座板21の可動座板23が当接して、可動座板23は固定座板22に対して相対的に上昇する。すると、可動座板23に設けられている下部押曲部材25のローラ部73がワイヤ31を上方へ押し上げる。このとき、ローラ部73はワイヤ31により下方向に力を受ける。しかし、棹部72の他端側で付勢部74によって下方に付勢されており、これによって棹部72の一端側に設けられているローラ部73は上方に付勢され、ワイヤ31から受ける力に抗ってワイヤ31を上方へ押し曲げる。
【0069】
それとともに、下部押曲部材25のローラ部73により押し上げられたワイヤ31は、上部押曲部材24の凸部42にも当接して下方へ押圧され、この上部押曲部材24の凸部42によっても押し曲げられることになる。この状態を
図5(B)に示している。
【0070】
このようにして、障害物51を検知した際には、ワイヤ31は、下部押曲部材25の2つのローラ部73による上方向への押し曲げと、上部押曲部材24の凸部42による下方向への押し曲げが行われ、この例では計3回の押し曲げが行われる。このようなワイヤ31の押し曲げによってワイヤ31を引き込み、迅速にブレーキを掛けることができる。
【0071】
なお、この例では上部押曲部材24に凸部42を1つ設けた例を示しているが、もちろん、2以上を設けてもよい。下部押曲部材25についても、支持部71、棹部72、ローラ部73、付勢部74を含む構成を3組以上設けてもよい。さらに、上部押曲部材24に設けた凹部43は、上述のように下部押曲部材25のローラ部73の動作域を確保できればよい。
【0072】
図6は、座板の構成の第4の例を示す断面図である。
図6(A)は通常の状態を示し、
図6(B)は障害物を検知した際の状態を示している。この例では、上部押曲部材24と下部押曲部材25の両方にローラを設けた例を示している。またこの例では、ローラにより規制部を代替している例を示している。
【0073】
この例における上部押曲部材24は、支持部61とローラ部63を含む構成を3組、下部押曲部材25は、支持部71、ローラ部73を含む構成を2組設けた例を示している。上部押曲部材24の支持部61は固定座板22に固定されており、先端にローラ部63が設けられている。また、下部押曲部材25の支持部71は可動座板23に固定されており、先端にローラ部73が設けられている。
【0074】
この例におけるローラ部63,73も、上述した例における凸部44と同様に、障害物を検知した際にワイヤ31に当接して押し曲げる。ローラ部63,73は回転する必要はなく、単に凸部44と同様であってよいが、ワイヤ31をガイドする際にワイヤ31のダメージを低減し、スムースなワイヤ31の移動を行う為に、ローラ部63,73が回転することが望ましい。また、ワイヤ31をガイドするために、ローラ部63,73のワイヤ31と対向する面は凹部を有しているとよい。
【0075】
通常の状態では、上部押曲部材24の複数のローラ部63と下部押曲部材25の複数のローラ部73の間にワイヤ31が送通されており、シャッターカーテン11の上げ下ろしに従って移動するワイヤ31をガイドしている。
【0076】
障害物51が存在すると、障害物51に座板21の可動座板23が当接して、可動座板23は固定座板22に対して相対的に上昇する。すると、可動座板23に設けられている下部押曲部材25のローラ部73がワイヤ31を上方へ押し上げる。この2つのローラ部73により押し上げられたワイヤ31は、上部押曲部材24の中央のローラ部63により押し下げられる。この状態を
図6(B)に示している。
【0077】
このようにして、障害物51を検知した際には、ワイヤ31は、下部押曲部材25の2つのローラ部73による上方向への押し曲げと、上部押曲部材24の中央のローラ部63による下方向への押し曲げが行われ、この例では計3回の押し曲げが行われる。このようなワイヤ31の押し曲げによってワイヤ31を引き込み、迅速にブレーキを掛けることができる。
【0078】
なお、この例における上部押曲部材24の左右のローラ部63は、下部押曲部材25のローラ部73により押し上げられたワイヤ31の左右端が屈曲しないようにガイドしており、ワイヤ31へのダメージを低減している。
【0079】
この例では上部押曲部材24にローラ部63を3つ、下部押曲部材25にローラ部73を2つ設けた例を示しているが、もちろん、これ以上の数のローラ部を設けてもよいことは言うまでもない。また、ローラ部63,73は支持部61,71に軸支されているほか、ばね等の弾性材を介して設け、ワイヤ31とローラ部63,73との当接時のショックを緩和し、またワイヤ31を押し曲げる際の力を調節するように構成してもよい。
【0080】
以上、固定座板22に設ける上部押曲部材24及び可動座板23に設ける下部押曲部材25の例をいくつか示した。本発明はこれらの例に限られるものではなく、可動座板23の固定座板22に対する相対的な上昇によって、送通されているワイヤ31を押し曲げて引き込む構成であれば、様々な構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
11…シャッターカーテン、12-1,2…レール、13…収容部、14…まぐさ部材、15…シャッタードラム、16…開閉機、17…ブレーキ部、18…自動閉鎖装置、19…ブレーキレバー、21…座板、22…固定座板、23…可動座板、24…上部押曲部材、25…下部押曲部材、26,27…ガイドローラ、31…ワイヤ、41…規制部、42,44…凸部、43,45…凹部、51…障害物、61…支持部、62…棹部、63…ローラ部、64…棹当部、71…支持部、72…棹部、73…ローラ部、74…付勢部。