(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167509
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】床下収納庫
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20221027BHJP
E04F 15/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
E04F19/08 103K
E04F19/08 103C
E04F15/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073339
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】395010358
【氏名又は名称】株式会社三富工業
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】田中 米一
(72)【発明者】
【氏名】山島 由希雄
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA51
2E220CA27
(57)【要約】
【課題】自動昇降機能を備えた床下収納庫において、最上位置および最下位置で穏やかに停止させる。
【解決手段】物品を収納する収納箱3と、収納箱3を昇降させる昇降機構(ベルト21、ベルト用ローラー23、シャフト22)と、昇降機構による昇降速度を制御する制御部11と、床下空間を形成する外箱4と、弾性ピン41と、弾性ピン41の付勢状態を検知するセンサ12を設ける。弾性ピン41は、外箱4の内側面に設けられ、弾性ピン41の頭部31aが外箱4の内側方向に突出するように付勢されている。制御部11は、弾性ピン41の収納箱3に対する付勢状態に基づいて、収納箱3の昇降速度を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下空間に物品を収容するための床下収納庫であって、
物品を収納する収納箱と、前記収納箱を昇降させる昇降機構と、前記昇降機構による昇降速度を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記床下空間に対する前記収納箱の鉛直位置に基づいて前記昇降速度を調整することを特徴とする床下収納庫。
【請求項2】
前記収納箱に向けて付勢される弾性部材を備え、
前記制御手段は、前記弾性部材の付勢状態に基づいて前記昇降速度を調整する請求項1に記載の床下収納庫。
【請求項3】
前記昇降機構が、前記収納箱を支持するベルトと、前記ベルトを巻き取るシャフトと、前記ベルトを懸架するベルト用ローラと、を含み、
前記制御手段は、前記シャフトの巻き取り速度を調整することにより前記昇降速度を調整する請求項1~3のいずれか一項に記載の床下収納庫。
【請求項4】
蓋を備え、
前記収容箱に、該収納箱の昇降に伴って前記蓋の裏面を滑動する滑動ローラを設けた請求項1~4のいずれか一項に記載の床下収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下に物品を収納できる床下収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床下の空間を活用して物品を収納できる床下収納庫の技術が知られている。例えば、特許文献1には、収納箱を昇降させるベルト式昇降機構を備えた床下収納庫の発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のベルト式昇降機構によれば、収納箱が最上位置または最下位置に到達した途端、突然に昇降を停止させるため、収納箱や収納された物品に負担がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、収納箱が最上位置または最下位置に到達する手前で昇降速度を緩め、穏やかに収納部を停止できる床下収納庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の床下収納庫は、床下空間に物品を収容するための床下収納庫であって、物品を収納する収納箱と、収納箱を昇降させる昇降機構と、昇降機構による昇降速度を制御する制御手段と、を備え、制御手段が、床下空間に対する収納箱の鉛直位置に基づいて昇降速度を調整することを特徴とする。
【0007】
このとき、収納箱に向けて付勢される弾性部材を備え、制御手段は、弾性部材の付勢状態に基づいて昇降速度を調整することもできる。
【0008】
また、昇降機構が、収納箱を支持するベルトと、ベルトを巻き取るシャフトと、ベルトを懸架するベルト用ローラと、を含み、制御手段は、シャフトの巻き取り速度を調整するように構成することもできる。
【0009】
蓋を備え、収容箱に該収納箱の昇降に伴って蓋の裏面を滑動する滑動ローラを設けることとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の床下収納庫によれば、昇降機構による昇降速度を制御する制御手段を備え、制御部は、収納箱の鉛直位置に基づいて前記昇降速度を調整するため、収納箱が最上位置または最下位置に到達する手前で昇降速度を緩めて、穏やかに収納箱を停止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示す床下収納庫の斜視図である。
【
図4】収納箱を上昇させる場合の、シャフト回転速度の推移を示すタイムチャートである。
【
図5】収納箱を下降させる場合の、シャフト回転速度の推移を示すタイムチャートである。
【
図7】収納箱の上部に取り付けられたローラーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を床下収納庫に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,2に示す床下収納庫1は、観音開きにより開閉する蓋5と、物品を収納する収納箱3と、収納箱3を昇降させる昇降機構2(ベルト21、ベルト用ローラー23、シャフト22)と、昇降機構2による昇降速度を制御する制御部11と、床下空間を形成する外箱4と、弾性ピン41と、弾性ピン41の付勢状態を検知するセンサ12を備える。弾性ピン41は、円筒状のケースに収容され、バネなどの弾性体によりケースから突出する向きに付勢されている。弾性ピン41は、外箱4の内側面に設けられ、弾性ピン41の頭部411が外箱4の内側方向に突出するように付勢されている。
【0013】
昇降機構2は、収納箱3を支持するベルト21と、ベルト21を外周面に巻き付かせて巻き取るシャフト22と、ベルト21を懸架するベルト用ローラー23を備える。ここで、ベルト21は、環状に接続されたエンドレスベルトが用いられている。昇降機構2は、収納箱3を鉛直位置P1および鉛直位置P2の間で昇降させる(
図4,5参照)。このとき、鉛直位置P1とは、収納箱3が床下から取り出された状態の収納箱3の底面3aの鉛直位置であり、鉛直位置P2’とは、収納箱3が床下空間に完全に収容された状態の底面3aの鉛直位置である。
【0014】
シャフト22にはベルト21を挟持するスリット22aが形成されている。シャフト22が正回転すると、ベルト21がシャフトに巻き取られてエンドレスベルト21が短くなり、収納箱3が上昇する。反対に、シャフト22が逆回転すると、シャフト22に巻き取られていたベルト21が解かれてエンドレスベルト21が長くなり、収納箱3が下降する。
【0015】
図3に示すように、弾性ピン41は、鉛直位置P1’および鉛直位置P2’に各二対ずつ、計8個(41a~41h)配置されている。このとき、鉛直位置P1’とは、収納箱3の底面3aが通過したときに収納箱3の上昇速度の減速を開始するために適した鉛直位置であり、鉛直位置P2’とは、収納箱3の底面3aが通過したときに収納箱3の下降速度の減速を開始するために適した鉛直位置である。なお、弾性ピン41を、鉛直位置P1,P2に一対ずつ計4個となるように配置することも可能である。
【0016】
センサ12は、弾性ピン41の収納箱3への付勢状態を検知している。例えば、センサ12は、弾性ピン41の頭部411が収納箱3の表面から受ける抗力を測定することによって付勢状態を検知する。以下の説明では、付勢状態について、弾性ピン41が収納箱3により押し戻されている状態を「ON」とし、弾性ピン41が収納箱3により押し戻されていない状態を「OFF」状態とする。
【0017】
図4に示すように、収納箱3が上昇中である場合、制御部11は、鉛直位置P1’の弾性ピン41a~41dの付勢状態がOFFとなった時(
図4(c))にシャフト22の回転速度を徐々に低下させ、鉛直位置P1で速度ゼロとなるように調整する。一方、
図5に示すように、収納箱3が下降中である場合、制御部11は、鉛直位置P2’の弾性ピン41e~41hの付勢状態がONとなった時(
図5(c))にシャフト22の回転速度を徐々に低下させ、鉛直位置P2で速度ゼロとなるように調整する。
【0018】
図6に示すように、蓋5と床51は、ヒンジ6を介して接続されている。ヒンジ6は、床51に支持される支持部材61と、蓋5に取り付けられる可動部材62から構成される。支持部材61は、側面視において弧を描く支持側弧状部61aと、床51に沿って配置される水平部61bを備え、水平部61bには、ヒンジ軸61cが設けられている。また、可動部材62は、支持側弧状部61aの外周面に沿う可動側弧状部62aと、ヒンジ軸61に沿う軸受部62cを備える。ヒンジ6をこのような構成に設けたため、支持部材61に対して可動部材62をヒンジ軸61と並行にスライドさせて、蓋5を床51に容易に取り付けることができる。
【0019】
図7に示すように、収納箱3のコーナー部3bには、収納箱3の昇降に伴って蓋5の裏面を滑動する滑動ローラー31が設けられている。滑動ローラー31を設けたことにより、収納箱3と蓋5の間の摩擦を低減し、スムーズに収納箱3を昇降することができる。
【0020】
続いて、床下収納庫1を昇降する動作について
図4,5に基づいて説明する。
図4に示すように、リモコン7の上昇ボタン71を押下すると、制御部11はシャフト22を正回転させ、ベルト21はシャフト22に巻き取られて、収納箱3が上昇する。収納箱3の底面3aが鉛直位置P1’を通過すると(
図4(c))、弾性ピン41a~41dの付勢状態がOFFとなり、センサ12は弾性ピン41a~41dの付勢状態がOFFとなったことを検知し、制御部11は、シャフト22の回転速度を徐々に低下させる。そして、制御部11は、収納箱3の底面3aが鉛直位置P1に到達したときに回転速度がゼロとなるように制御する。
【0021】
一方、
図5に示すように、リモコン7の下降ボタン72を押下すると、制御部11はシャフト22を逆回転させ、ベルト21はシャフト22から解かれて、収納箱3が下降する。収納箱3の底面3aが鉛直位置P2’を通過すると(
図5(c))、弾性ピン41e~41hの付勢状態がONとなり、センサ12は弾性ピン41e~41hの付勢状態がONとなったことを検知し、制御部11は、シャフト22の回転速度を徐々に低下させる。そして、制御部11は、収納箱3の底面aが鉛直位置P2に到達したときに回転速度がゼロとなるように制御する。
【0022】
したがって、この実施例の床下収納庫1によれば、外箱4に弾性ピン41を配置し、弾性ピン41の収納箱3に対する付勢状態に基づいて昇降速度を調整することとしたため、収納箱3は、最上位置または最下位置に減速しつつ近づき、穏やかに停止することができる。また、外箱4に昇降機構2や弾性ピン41を搭載したため、床下への設置作業を手軽に行うことができる。
【0023】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。例えば、収納箱3および弾性ピン41に金属等の導電性部材を採用し、収納箱3に弾性ピン41の頭部411を介して微弱な電流を流し、センサ12により通電状態を検出して、通電がある場合にON状態とし、通電がない場合にOFF状態としてもよい。また、外箱4をコーナー材により補強したり、リモコン7にキースイッチを設け、子供のいたずらを防止したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 床下収納庫
2 昇降機構
3 収納箱(a:底面、b:コーナー部)
4 外箱
5 蓋
6 ヒンジ
7 リモコン
11 制御部
12 センサ
21 ベルト
22 シャフト(a:スリット)
23 ベルト用ローラ
31 滑動ローラー
41 弾性ピン(a:頭部)
51 床
61 支持部材(a:支持側弧状部、b:水平部、c:ヒンジ軸)
62 可動部材(a:可動側弧状部、c:軸受部)
71 上昇ボタン
72 下降ボタン
P 鉛直位置