(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167533
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】車両用表示システム、車両用表示方法、及び車両用表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20221027BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20221027BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G09G5/00 510A
G09G5/36 520D
G09G5/00 530H
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073380
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】神谷 玲朗
(72)【発明者】
【氏名】田口 清貴
(72)【発明者】
【氏名】上保 康彦
(72)【発明者】
【氏名】三村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】水野 俊範
【テーマコード(参考)】
3D020
5C182
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC03
3D020BD05
3D020BE03
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB25
5C182AB26
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC35
5C182AC43
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA14
5C182BA27
5C182BA29
5C182BA35
5C182BA47
5C182BA54
5C182BA56
5C182BA66
5C182BA75
5C182BB01
5C182BB04
5C182BB05
5C182BB12
5C182BC26
5C182CB12
5C182CB32
5C182CB52
5C182CB54
5C182CC22
(57)【要約】
【課題】 車両乗員に対し適切に情報を表示できるようにした車両用表示システム、表示方法及び表示プログラムを提供する。
【解決手段】表示処理部13は、非表示領域Rzを跨いで複数のディスプレイ2aに画像コンテンツを表示させるときに、画像コンテンツの中で複数のディスプレイ2aの表示画面に一部重複表示させる重複領域を含む表示領域を設定部13aにより設定する。表示処理部13は、画像コンテンツに文字記号情報又は画像認識文字記号情報による特定コンテンツを含むか否かを判定部13bにより判定する。表示処理部13は、判定部13bにより含むと判定された場合、特定コンテンツの幅に基づいて重複領域の重複幅を設定する。表示処理部13は、重複表示処理部13cにより各ディスプレイ2aの表示画面に重複領域の画像コンテンツを表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非表示領域を挟んで併設された複数のディスプレイ(2a;2,3)の表示画面に一体の画像コンテンツを表示する車両用表示システムであって、
前記非表示領域を跨いで前記複数のディスプレイの表示画面に前記画像コンテンツを表示させるときに、前記画像コンテンツの中で前記複数のディスプレイの表示画面に一部重複表示させる重複領域を含む表示領域(R1、R2)を設定する設定部(13a)と、
前記画像コンテンツに文字記号情報又は画像認識文字記号情報による特定コンテンツを含むか否かを判定する判定部(13b)と、
前記判定部により含むと判定された場合、前記特定コンテンツの幅に基づいて前記重複領域の重複幅を設定し前記複数のディスプレイの表示画面に前記重複領域の前記画像コンテンツを表示する重複表示処理部(13c)と、
を備える車両用表示システム。
【請求項2】
前記重複表示処理部は、前記特定コンテンツの幅が所定幅内であることを条件として前記重複領域の重複幅を前記特定コンテンツの幅に設定する請求項1記載の車両用表示システム。
【請求項3】
前記判定部が、前記画像コンテンツに複数の前記特定コンテンツを含むと判定した場合、前記重複表示処理部は、複数の前記特定コンテンツの中で一番幅が大きな前記特定コンテンツの幅を前記重複領域の重複幅として設定する請求項2記載の車両用表示システム。
【請求項4】
前記特定コンテンツは、文字記号情報に基づく文字記号コンテンツである請求項1記載の車両用表示システム。
【請求項5】
前記重複表示処理部は、前記特定コンテンツの幅が所定幅の上限値以上である場合、前記重複領域の重複幅を前記所定幅の前記上限値に設定し、前記所定幅の下限値以下である場合、前記重複領域の重複幅を前記所定幅の前記下限値に設定する請求項1記載の車両用表示システム。
【請求項6】
非表示領域を挟んで併設された複数のディスプレイ(2a;2,3)の表示画面に一体の画像コンテンツを表示する車両用表示方法であって、
前記非表示領域を跨いで前記複数のディスプレイの表示画面に前記画像コンテンツを表示させるときに、設定部(13a)により前記画像コンテンツの中で前記複数のディスプレイの表示画面に一部重複表示させる重複領域を含む表示領域(R1、R2)を設定する過程と、
判定部(13b)により前記重複領域に文字記号情報又は画像認識文字記号情報による特定コンテンツを含むか否かを判定する過程と、
前記判定部により含むと判定された場合、重複表示処理部(13c)により前記特定コンテンツの幅に基づいて前記重複領域の重複幅を設定し前記複数のディスプレイの表示画面に前記重複領域の前記画像コンテンツを表示する過程と、
を備える車両用表示方法。
【請求項7】
非表示領域を挟んで併設された複数のディスプレイ(2a;2,3)の表示画面に一体の画像コンテンツを表示する車両用表示プログラムであって、
前記非表示領域を跨いで前記複数のディスプレイの表示画面に前記画像コンテンツを表示させるときに、設定部(13a)により前記画像コンテンツの中で前記複数のディスプレイの表示画面に一部重複表示させる重複領域を含む表示領域(R1、R2)を設定する手順と、
判定部(13b)により前記重複領域に文字記号情報又は画像認識文字記号情報による特定コンテンツを含むか否かを判定する手順と、
前記判定部により含むと判定された場合、重複表示処理部(13c)により前記特定コンテンツの幅に基づいて前記重複領域の重複幅を設定し前記複数のディスプレイの表示画面に前記重複領域の前記画像コンテンツを表示する手順と、
を実行させる車両用表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示システム、車両用表示方法、及び車両用表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイでは、一度に多くの情報を閲覧可能にするため大型化することが求められている。他方、1つの大きな意匠を表示することも求められており、例えば特許文献1記載のように、1つの意匠を分割して2つの表示部を用いて表示させることが行われる。
【0003】
特許文献1記載によれば、人の視覚上で違和感をなくすため、表示部を備える2つの表示器を用いて1つの意匠を表示する際に、これらの表示器の間に設置された補助表示器により、それぞれの表示部で表示される映像同士の間を補完する映像を表示している。これにより、これらの表示器の間における意匠のつながりの連続性、すなわちシームレス感を確保するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のディスプレイを併設して一つの表示器として用いると、構造的な制約によりその複数のディスプレイの間に非表示領域が発生する。文字や図柄が非表示領域に分断されると、一目では文字や記号を理解できない。表示器の画面を見つめる時間が長くなり、画面に描画される文字や記号を想像する時間も長くなる。ドライバが車両を運転する場合、脇見時間が増えると共に運転から意識が逸れるため危険である。
【0006】
本発明は、車両乗員に対し適切に情報を提供できるようにした車両用表示システム、車両用表示方法、及び車両用表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、非表示領域を挟んで併設された複数のディスプレイの表示画面に一体の画像コンテンツを表示する車両用表示システムを対象としている。非表示領域を跨いで複数のディスプレイの表示画面に画像コンテンツを表示させるときに、設定部は画像コンテンツの中で複数のディスプレイの表示画面に一部重複表示させる重複領域を含む表示領域を設定する。判定部は、画像コンテンツに文字記号情報又は画像認識文字記号情報による特定コンテンツを含むか否かを判定する。重複表示処理部は、判定部により含むと判定された場合、特定コンテンツの幅に基づいて重複領域の重複幅を設定し複数のディスプレイの表示画面の双方に重複領域の画像コンテンツを表示する。
【0008】
すると、重複幅分の重複領域の画像コンテンツを複数のディスプレイの表示画面に表示できるため、車両乗員は重複表示された特定コンテンツを一目で理解できるようになり、車両乗員に対し適切に情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】第1実施形態におけるコックピットシステムの外観構成図
【
図1B】PtoPディスプレイの構成及び制御イメージを示す図のその1
【
図1C】PtoPディスプレイの構成及び制御イメージを示す図のその2
【
図2】車両用表示システムを概略的に示すブロック図
【
図3】ハードウェア、ソフトウェアを概略的に示す構成図
【
図6】隣接するディスプレイに表示する表示領域の重複幅の説明図
【
図12】第2実施形態における表示態様例を示す図のその6
【
図16】変形例についてハードウェア、ソフトウェアを概略的に示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、車両用表示システム1に係る幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に共通する部位には同一の符号を付して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1Aから
図10を参照しながら説明する。
図1A及び
図1Bに示すように、車両用表示システム1は、ピラートゥピラーディスプレイ2、及びセンタディスプレイ3など複数の表示器を備えるコックピットシステム4により構成される。ただし、表示器の数や設置状況あるいは構成は一例であり、これらに限定されない。以下、ピラートゥピラーディスプレイ2を、PtoPディスプレイ2と称す。
【0012】
図1A及び
図1Bに示すように、PtoPディスプレイ2は、複数のディスプレイ2aを隣り合わせて横長になるように構成されている。PtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等により構成され、車両の左ピラーと右ピラーとの間にかけてダッシュボードに設けられる大型ディスプレイである。PtoPディスプレイ2は、メータ画像、周辺カメラ23の撮像画像、静止画や動画のエンターテインメント画像、現在位置周辺の地図画像などの各種の画像コンテンツRをフルグラフィック表示で表示可能な構成となっている。
【0013】
センタディスプレイ3は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにより構成され、
図1Aに示すように、運転席と助手席との間で且つPtoPディスプレイ2の下部に設置されている。センタディスプレイ3は、ドライバや助手席の乗員の両者が視認しやすいセンタコンソール付近に設けられると共に各種のコンテンツを表示可能になっている。センタディスプレイ3の上には操作パネル21が構成されており、PtoPディスプレイ2に表示させるコンテンツの選択や空調操作、オーディオ操作、ナビゲーション機能の入力操作できるようになっている。
【0014】
PtoPディスプレイ2は、センタディスプレイ3に対し縦方向に併設して設置されている。縦方向に2画面併設して設置されていると、乗員が一度に視認可能な領域を増やすことができる。また、コックピットシステム4において、PtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aの表示画面は、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置するように設置されている。PtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aは、それぞれの外枠に黒帯状のフレーム2bを構成している。フレーム2bは、表示画面を囲うように設けられるため非表示領域Rz(
図6等参照)となる。
【0015】
また車両内には、
図1B及び
図2に示すように、多数のECU5が構成されており、車内ネットワーク25に接続されている。ECU5は、表示系のECU、周辺監視系のECU、走行制御系のECU、車両外部と通信接続するDCMを含む。DCMは、Data Communication Moduleの略である。走行制御系のECUは、周知の車両制御ECU、エンジン制御ECU、モータ制御ECU、ブレーキ制御ECU、ステアリング制御ECU及び統合制御ECU等である。走行制御系のECUには自動運転ECUが含まれる。自動運転ECUは、Autonomous Driving Electric Control Unitである。
【0016】
自動運転ECUは、自動制御信号を入力すると、運転アクチュエータを駆動することで対応した所定レベルの運転支援、自動運転を実行する。例えば、レベルIの運転支援では、障害物への衝突を避ける自動ブレーキ、先行車に追従して走行する追従走行、又は、両脇の車線からはみ出さないように制御するレーンはみ出し防止走行、を実行できる。レベルIIの自動運転では、レベルIの運転支援の組み合わせ、又は、特定条件下での自動運転、例えば高速道路で遅い車両が存在すれば自動で追い越したり、高速道路の分合流を自動で行ったりする自動運転モードを実行できる。なお、レベルIIの自動運転ではドライバによる自動運転時の監視義務がある。レベルIII以上の自動運転では、システムにより監視しながらシステムが全ての運転タスクを実行する。
【0017】
各ECU5は、プロセッサ、キャッシュメモリ、RAM、ROMなどの各種の記憶部6、I/O、これらを接続するバスを備えたマイクロコンピュータを主体として構成される。各ECU5は、車両内に設けられる他のECU5と通信制御部7及び車内ネットワーク25を通じて通信可能に接続されている。
【0018】
本実施形態では、
図1に示すように、複数の表示系のECU5により情報処理装置10としてのHCUを構成している。表示系のECU5は、その内部の物理リソースの処理能力を分担してディスプレイ2、3等に表示処理するもので、例えば
図1Cに例示したように、各ECU5がPtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aに対し個別に表示処理する。HCUは、Human Machine Interface Control Unitの略である。表示系のECU5の間も車内ネットワーク25を接続した形態を示しているが専用線により接続しても良い。前述した記憶部6は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体を示す。非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリなどにより実現される。
【0019】
図2に示すように、情報処理装置10は、制御装置11、演算装置12、記憶部6、表示処理部13、音声処理部14、各種装置からの入力又は出力を管理するI/O制御部15、他のECU5との間で通信管理する通信制御部7、アンテナ16aを接続して構成され無線LANやブルートゥース(登録商標)により他の携帯端末27と無線接続できるようにした無線制御部16を備える。ここでは、
図2に図示した、位置検出器19、車室内カメラ20、操作パネル21、乗員モニタ22、周辺カメラ23、及び距離検出センサ24など主要な構成要素の出力信号は、I/O制御部15を通じて情報処理装置10に信号入力する形態を説明するが、車内ネットワーク25を通じて、周辺監視系のECU、走行制御系のECUなどの他のECU5から入力されることもある。
【0020】
無線制御部16は、車両乗員が所持する携帯端末27との間で通信リンクする。情報処理装置10は、携帯端末27の着信を待機し、通話相手先から携帯端末27へ着信があり着信応答されると、携帯端末27を通じて通話相手先との間でスピーカ18及びマイク17を通じてハンズフリー通話を実行できる。また情報処理装置10は、マイク17を通じて入力された音声について音声認識できる。
【0021】
演算装置12は、制御装置11の制御に基づいて、記憶部6に記憶された画像、文章、文字、又は記号(以下、画像等と称する)のコンテンツについて、ディスプレイ2、3の表示画面に表示させる領域を演算し、画像等のコンテンツをディスプレイ2、3の表示画面の何れの領域に表示させるか、また、何れの領域に重ね合わせて表示させるか演算し、画像等のコンテンツを制御装置11に出力する。ここでいう記号とは、本来の意味の記号の他、交通標識などの標示をアイコンなどで表したコンテンツを総称したものであり、特にナビゲーション機能により各ディスプレイ2、3に標示される画像、文章、文字以外の情報を示している。
【0022】
表示処理部13は、制御装置11の制御に基づいて、ディスプレイ2、3の表示画面の中に画像等のコンテンツを表示処理する。各ディスプレイ2、3の表示画面には、表示レイヤ毎に画像等のコンテンツを重ね合わせて表示できる。
【0023】
音声処理部14は、制御装置11の制御に基づいて、マイク17から入力された受話音声を入力すると共に、スピーカ18から送話音声を出力する。音声処理部14は、文章、文字のコンテンツを制御装置11から入力すると、音声に変換してスピーカ18を通じて読み上げて出力する。
【0024】
位置検出器19は、図示しない周知のGPSなどのGNSS受信機、加速度センサやジャイロセンサなどの慣性センサを用いて高精度に位置を検出する。位置検出器19は、位置検出信号をI/O制御部15を通じて制御装置11に出力する。制御装置11の位置特定部11aは、地図データ入力器から入力される地図情報と位置検出器19の位置検出信号に基づいて車両の現在位置を高精度に逐次測位するADASロケータとしての機能を実現する。ADASはAdvanced Driver Assistance Systemsの略である。
【0025】
地図データ入力器は、不揮発性メモリなどにより構成され、リンクデータ、ノードデータなどの各種のデータを含む地図データが格納されている。リンクデータは、地図上の道路を構成するリンクを特定するリンク識別データ、リンクの長さを示すリンク長データ、リンクの方位を示すリンク方位データ、リンクの走行に要する時間を示すリンク走行時間データ、リンクの始点及び終点を構成するノードの座標を示すノード座標データ、道路の属性を示すリンク属性データなどの各種のデータを含んでいる。リンク属性データには県名や市名M1、国道や県道の情報を含むアイコンによる道記号M2、町名M4を記した文字記号情報が含まれている。
【0026】
ノードデータは、地図上に存在するノードを特定するノード識別データ、ノードの座標を示すノード座標データ、ノードの名称を示すノード名称データ、例えば交差点などのノードの種別を示すノード種別データ、ノードに接続するリンクを特定する接続リンクデータなどの各種のデータを含んでいる。また、前述の地図データには、公園などの施設名称M3などを文字コード等による識別情報で記した文字記号情報も紐づけられている。表示処理部13は、これらの地図データに基づいて任意の場所の地図の画像コンテンツRを生成できると共に、さらに前述の文字記号情報の一部又は全部を含むように画像コンテンツRを生成できる。なお、表示処理部13が、文字記号情報を表示する際の大きさ、縦幅、横幅の大小関係は、町名M4<施設名称M3<道記号M2<市名M1となるように定められている。
【0027】
ナビゲーション処理にて求められる車両位置は、緯度及び経度からなる座標系で表され、この座標系では、例えば、X軸が経度、Y軸が緯度を示す。なお、車両位置の測位は、例えば、自車両に搭載されている車速センサによるセンシング結果に基づき求められる走行距離の情報などに基づいて行うなど、自車両の位置を特定できる構成であれば、種々の構成を採用することができる。
【0028】
操作パネル21は、所定のディスプレイ、例えばセンタディスプレイ3の上に構成されたタッチパネルであり、I/O制御部15は、乗員による操作入力があると操作入力を受け付け、制御装置11に出力する。制御装置11は、操作パネル21の操作信号に基づいた制御を実行する。例えば、後述するナビアプリが実行されているときに、車両乗員により目的地が操作パネル21に入力されると、制御装置11は、表示処理部13により地図画面を表示しながら、自車両の現在位置から目的地まで案内するナビゲーション処理を実行できる。
【0029】
このとき、車両乗員は、例えば車両停車中に操作パネル21を操作すると地図の表示領域R1、R2(
図6参照)を移動指示したり、縮尺を変更指示したりできる。表示処理部13は、制御装置11を通じて指示を受け付けると画像コンテンツRの中の表示領域R1、R2を移動し、また表示領域R1、R2を拡大又は縮小することで地図の縮尺を変更する。これにより、自車両が存在する現在位置周辺や目的地周辺などの任意の領域に地図を表示設定できると共に、地図表示の縮尺も変更できる。
【0030】
乗員モニタ22は、車両内に搭乗した乗員の状態又は操作状態を検知する。乗員モニタ22は、例えばパワースイッチ、乗員状態モニタ、ターンスイッチ、自動制御スイッチなどを用いて構成され、各種の信号を制御装置11に出力する。また乗員モニタ22は、ドライバによりステアリングホイールが把持されているか又は操舵されているか否かを検出するステアリングセンサ、シートに着座しているか否かを検出する着座センサ、アクセルペダル又はブレーキペダルの踏込センサなども含んでいても良い。
【0031】
パワースイッチは、内燃機関又は電動モータを始動させるために車室内にてユーザによりオン操作されることで、当該操作に応じた信号を出力する。乗員状態モニタは、D席又はP席の乗員の状態を画像センサにより撮影することで当該乗員の状態を検知して撮像信号を出力するカメラを含んで構成される。ドライバの乗員状態モニタはDSMと称されている。DSMは、Driver Status Monitorの略である。乗員状態モニタは、ドライバの頭部に近赤外光を照射して撮影した撮像信号を取得し必要に応じて画像解析して制御装置11に出力する。乗員状態モニタは、特に運転支援中や自動運転中にドライバなどの乗員の状態を検知するために使用される。ターンスイッチは、車両の方向指示器を作動させるために車室内にて乗員によりオン操作されることで、当該操作に応じて右方又は左方にターンするターン信号を出力する。
【0032】
自動制御スイッチは、車両の走行状態に対する自動制御を指令するために、車室内にて乗員によりオン操作されることで、当該操作に応じた自動制御信号を出力する。制御装置11は、乗員モニタ22の信号により車両乗員の挙動、例えば視線が何れの方向を向いているかを判定でき、また、パワースイッチの操作状態、方向指示器の作動状態、車両の自動制御の指令情報などを入力できる。
【0033】
周辺カメラ23は、車両の前方を撮像するフロントカメラ、車両の後部を撮像するバックカメラ、車両の前側部や後側部を撮像するコーナカメラ、又は、車両の側部を撮像するサイドカメラ、電子ミラーなどによる周辺監視センサを構成し、これらはそれぞれフロントガイドモニタ、バックガイドモニタ、コーナービューモニタ、サイドガイドモニタ、及び電子ミラーの各撮像信号としてI/O制御部15を通じて制御装置11に出力され記憶部6に記憶される。通信制御部7は、CANやLINなどの車内ネットワーク25に接続されており、他のECU5との間でデータを通信制御する。
【0034】
また車両には障害物との距離を検出する距離検出センサ24が周辺監視センサとして設置されている。距離検出センサ24は、クリアランスソナー、LiDARやミリ波レーダなどにより構成され、車両前方、車両前側部、車両後側部、車両後方又は車両側部に近接する車両や人、動物、路上の落下物、ガードレール、縁石、樹木などを検知できる。また障害物への方位や障害物までの距離を検出できる。また、上記した周辺監視センサにより、自車両の周辺の道路に設けられている走行区画線、一時停止線、横断歩道、路上に表記された「止まれ」などの標示、交差点の境界に表示される停止線などの路面標示を検出できる。
【0035】
情報処理装置10のハードウェア、ソフトウェア構成例を
図3に示している。各ECU5、5aにはそれぞれSoC30、31が搭載され、この搭載されたSoC30、31には前述したマイクロコンピュータが組込まれている。ECU5のSoC30、31に組み込まれたマイクロコンピュータは、予めインストールされた汎用OS32、例えばLinuxOS(Linuxは登録商標)上で各種の複数のアプリケーション33(以下、アプリ33と略す)が動作するように構成されている。SoCはSystem On Chipの略である。
【0036】
アプリ33は、画像処理アプリ34やナビアプリその他のアプリを含む。画像処理アプリ34の描画要求に応じてSoC30に組み込まれたプロセッサが、PtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aの表示画面に描画処理する。
【0037】
他方、ECU5aはメータ描画用途で設けられているため符号5aを付している。ECU5aのSoC31に組み込まれたマイクロコンピュータには、汎用OS32よりもリアルタイム性能高く処理できるリアルタイムOS35が組み込まれており、リアルタイムOS35上でメータアプリ36を動作させるように構成されている。以下の説明では、画像処理アプリ34やメータアプリ36などのアプリ33を主体として説明することがあることに留意する。
【0038】
メータアプリ36は、車両の速度や回転数あるいは警告などをユーザに報知するもので、PtoPディスプレイ2の特定の表示エリアにメータの画像コンテンツRを描画する。例えば、メータアプリ36は、速度計や回転数計、シフトレンジポジション状態、又は、警告灯などの画像コンテンツRを描画する。速度計は、車両の速度の変化を示すためにリアルタイムで表示を更新する必要がある速度画像を含む。同様に、回転数計も、回転数の変化を示すためにリアルタイムで表示を更新する必要があるためメータ画像に含まれる。
【0039】
また、メータアプリ36により描画されるコンテンツは、他のディスプレイ、ここではセンタディスプレイ3にも表示できる。メータアプリ36によって描画されるコンテンツは、他のアプリによって描画されるコンテンツよりも、相対的にリアルタイム性が要求される。
【0040】
アプリ33にはナビアプリが含まれている。ナビアプリは、前述したナビゲーション機能を実現するものであると共に、主にPtoPディスプレイ2又はセンタディスプレイ3に対し、地図や車両の現在位置などを含むナビゲーション画面などの画像コンテンツRを描画する。
【0041】
またアプリ33には画像合成アプリも含まれている。画像合成アプリは、表示器に表示する様々な画像コンテンツRの大きさや種類を特定し、画像コンテンツRの一部を1フレーム内に合成し、この合成された混在画像をPtoPディスプレイ2、又はセンタディスプレイ3に出力するアプリである。画像合成アプリは、コンポジッタとも称される画像合成部としての機能や、また画像出力部としての機能を実現する。
【0042】
各アプリ33、36のうち画像コンテンツRを描画するアプリには、画像コンテンツRを描画するための表示レイヤが割り当てられている。これらの表示レイヤは、記憶部6上に、必要となる画像コンテンツRを描画できる大きさで確保されている。
【0043】
また、PtoPディスプレイ2、センタディスプレイ3に表示される画像コンテンツRは、アニメーション動作可能になっている。ここで、アニメーション動作とは、コンテンツを示す画像の位置や大きさが徐々に変化したり、画像が回転したり、スワイプ操作にともなってユーザインターフェースが全体的に移動したり、画像が徐々にフェードインあるいはフェードアウトしたり、画像の色が変化したりするような表示態様である。
【0044】
制御装置11は、アプリ33を実行することで各種の処理を実行する。また表示処理部13もまた、各種のアプリ33を実行することで本願に係る設定部13a、判定部13b、及び重複表示処理部13cとしての機能を実現する。
【0045】
上記構成の作用、動作について、
図4以降の図面を参照しながら説明する。情報処理装置10は、表示処理部13によりPtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3に様々なコンテンツを表示させるが、このときPtoPディスプレイ2のあるディスプレイ2aの表示画面に単独のコンテンツを表示処理させたり、センタディスプレイ3の第2表示画面に単独のコンテンツを表示処理させたり、さらには、PtoPディスプレイ2のうち、横方向に隣接する複数のディスプレイ2aの表示画面に亘り一体の画像コンテンツRを表示させることがある。
【0046】
情報処理装置10が、隣接する複数のディスプレイ2aの表示画面に亘り一体の画像コンテンツRを表示させると、複数のディスプレイ2aの表示画面間に存在するフレーム2bにより視認性が悪化する。
図6に示す非表示領域Rz参照。このとき、複数のディスプレイ2aに亘り、連続的な画像又は文章を表示できず途切れた表示となってしまい、表示の連続性が保たれない。そこで情報処理装置10は、
図4に処理内容を示すように表示処理することで、車両乗員に違和感を抱かせないようにする。
【0047】
以下、情報処理装置10がナビアプリを起動し複数のディスプレイ2aに大型地図を表示する際の具体例を挙げて説明する。乗員によりパワースイッチが操作されると、制御装置11は、
図4のS1においてナビアプリを起動する。制御装置11は、
図4のS2において現在位置周辺の地図の画像コンテンツRを地図データ入力器から読み出して記憶部6のワークエリア上に用意、設定する。
【0048】
図5に示す画像コンテンツRを用意した場合について説明する。前述したように、地図データ入力器から記憶部6のワークエリアに読み出される地図データには文字記号情報が文字記号コンテンツとして含まれている。文字記号情報は、県名や市名M1、国道や県道の道記号M2、さらに公園などの施設名称M3などを文字コードなどの識別情報で記されている。
【0049】
表示処理部13は、
図4のS2において地図データに基づいて地図や文字記号情報を含む画像コンテンツRを生成する。また表示処理部13は、
図4のS3において、車両乗員による操作パネル21の操作情報(例えば表示位置及び縮尺)に基づいて表示領域R1、R2を設定する。表示領域R1、R2は、
図6に示すように、画像コンテンツRの中で一部重複する重複領域Raを一部含むように設定される。重複領域Raは、画像コンテンツRの中で隣接する複数のディスプレイ2aの各表示画面に一部重複表示させる領域を示している。重複領域Raの重複幅Wは、初期段階において所定のデフォルト値に設定されている。
【0050】
表示処理部13は、S4において、画像コンテンツRの中に特定コンテンツとして文字記号コンテンツを含むか否かを判定部13bにより判定する。画像コンテンツRの中に文字記号コンテンツを含まない場合、表示処理部13は、S4でNOと判定し、S5において重複領域Raの重複幅Wを保持する。ここではデフォルト値のまま保持される。
【0051】
そして表示処理部13は、S11においてそれぞれ重複領域Raを含むように表示領域R1、R2に画像分割し、当該表示領域R1、R2の画像を、隣接した複数のディスプレイ2aにそれぞれ出力する。すると、複数のディスプレイ2aの表示画面の双方に重複領域Raの画像コンテンツRを表示できる。このとき特に、表示処理部13は、非表示領域Rzを挟んで近接する領域に位置して重複領域Raの画像コンテンツRを双方のディスプレイ2aに表示する。このため、複数のディスプレイ2aに表示する画像の連続性を極力保つことができ、車両乗員の感じる違和感を軽減できる。
【0052】
他方、表示処理部13は、判定部13bにより文字記号コンテンツを含むと判定された場合、S6~S12において重複表示処理部13cにより文字記号コンテンツの幅に基づいて重複領域Raの重複幅Wを設定した上で、隣り合うディスプレイ2aの表示画面の双方に重複領域Raの画像コンテンツRを表示する。
【0053】
具体的には、まず表示処理部13は、S4において画像コンテンツRの中に文字記号コンテンツを含むと判定した場合、S6において文字又は記号の幅Mを判定し、この幅Mが下限値Wmin以上で且つ上限値Wmax以下の所定幅に収まっているか判定する。下限値Wminは、施設名称M3を表すための一文字の幅に対応して予め定められた幅である。下限値Wminは、例えば
図5に示す「青山公園」の各一文字(例えば「青」)の横幅に相当する幅に設定されている。上限値Wmaxは、国道などの道記号M2の幅に対応して予め定められた幅であり、例えば
図5に示す「(国道)23(号線)」を含むアイコンの横幅に相当する幅に設定されている。
【0054】
表示処理部13は、重複表示処理部13cにより幅Mが所定幅内であると判定されたことを条件として、S8において重複領域Raの重複幅Wを文字記号コンテンツの幅Mに設定する。そして、表示処理部13は、S11において、一部重複領域Raを含んで画像分割した表示領域R1、R2の画像コンテンツRを、隣接した複数のディスプレイ2aにそれぞれ出力する。
【0055】
他方、表示処理部13は、重複表示処理部13cにより幅Mが所定幅の上限値Wmax以上であると判定された場合にはS9にてYESと判定し、S10において重複領域Raの重複幅Wを上限値Wmaxに設定し、S11において画像分割して各ディスプレイ2aに出力する。また表示処理部13は、重複表示処理部13cにより幅Mが所定幅の下限値Wmin以下であると判定された場合にはS9にてNOと判定し、S12において重複領域Raの重複幅Wを下限値Wminに設定し、S11において画像分割して各ディスプレイ2aに出力する。すると、重複領域Raの重複幅Wを所定幅Wmin≦W≦Wmaxに抑えることができ、際限なく重複幅Wを変更しなくなる。
【0056】
図7から
図10には具体例を挙げている。
図7には、文字記号情報として町名M4のみを含む画像コンテンツRを表示する表示画面を例示している。また
図8には、町名M4及び施設名称M3を含む画像コンテンツRを表示する表示画面を例示している。また、
図9には、町名M4、施設名称M3及び道記号M2を含む画像コンテンツRを表示する表示画面を例示している。
図10には、町名M4、施設名称M3、道記号M2、及び市名M1を含む画像コンテンツRを表示する表示画面を例示している。
【0057】
前述したように、上限値Wmaxが道記号M2の横幅に対応して予め定められており、下限値Wminが施設名称M3の一文字の横幅に対応して予め定められている。このため、表示処理部13が、
図7に示すように、文字記号情報として町名M4のみを含む画像コンテンツRの一部を各ディスプレイ2aに表示する際には、町名M4の一文字の幅Mが下限値Wminを下回っているため、重複幅Wを下限値Wminに設定した重複領域Raを含む表示領域R1、R2の画像コンテンツRを各ディスプレイ2aに表示する。
【0058】
また表示処理部13が、
図8に示すように町名M4及び施設名称M3を含む画像コンテンツRを各ディスプレイ2aに表示する際には、町名M4及び施設名称M3の中で幅の一番大きな施設名称M3の「青山公園」の一文字の横幅に重複幅Wを設定した上で、重複領域Raを含む表示領域R1、R2の画像コンテンツRを各ディスプレイ2aに表示する。また表示処理部13が、
図9に示すように町名M4、施設名称M3及び道記号M2を含む画像コンテンツRを各ディスプレイ2aに表示する際には、町名M4、施設名称M3及び道記号M2の中で幅の一番大きな道記号M2の横幅に重複幅Wを設定した上で、重複領域Raを含む表示領域R1、R2の画像コンテンツRを各ディスプレイ2aに表示する。
【0059】
また、表示処理部13が、
図10に示すように、市名M1を含む画像コンテンツRを各ディスプレイ2aに表示する際には、市名M1の一文字の幅Mが上限値Wmaxを上回っているため、重複幅Wを上限値Wmaxに設定した上で、重複領域Raを含む表示領域R1、R2の画像コンテンツRを各ディスプレイ2aに表示する。
【0060】
なお
図7~
図10には発明内容を理解しやすくするように、重複領域Raの中に文字記号コンテンツの少なくとも一部を含む形態を示しているが、本実施形態において、重複幅Wを設定するための文字記号コンテンツは、車両用表示システム1が取り扱う画像コンテンツRの中に存在する文字や記号の全てを対象としている。表示処理部13は、画像コンテンツRの中に存在する文字記号コンテンツの大きさに合わせて重複幅Wを変更できる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、判定部13bにより画像コンテンツRに文字記号情報による文字記号コンテンツを含むか否かを判定し、判定部13bにより含むと判定された場合、重複表示処理部13cにより文字記号コンテンツの幅に基づいて重複領域Raの重複幅Wを設定し、隣り合う複数のディスプレイ2aの表示画面の双方に重複領域Raの画像コンテンツRを表示するようにした。すると、重複幅W分の重複領域Raの画像コンテンツRを複数のディスプレイ2aの表示画面の双方に表示できるため、車両の乗員は重複表示された文字記号コンテンツを一目で理解できる。これにより、車両乗員に対し適切に情報を提供できる。
【0062】
また画像コンテンツRに含まれる文字や記号の幅Mが所定幅内である場合、その文字記号コンテンツのサイズに合わせて重複幅Wを変更できるため、例えば文字記号コンテンツの各一文字をその中心部分で分断(カット)して表示しなくなる。分断された文字や記号をディスプレイ2aに表示することがなくなり、車両乗員は、文字や記号を一つずつ一目で理解できる。また一文字の文字サイズ、又は、記号の外枠に対応した記号サイズに応じて重複幅Wを変更できるため、例えば二つ以上の文字記号コンテンツを無駄に重複表示させることもなくなる。これにより、乗員の違和感を軽減でき、車両乗員に対し適切に情報を提供できる。
【0063】
また画像コンテンツRに含まれる文字や記号の幅Mが所定幅を超えるときにも重複幅Wに上限値Wmax、下限値Wminを設けて設定しているため、際限なく重複幅Wを調整することもなくなる。これにより、乗員の違和感を軽減でき、乗員に対し適切に情報を提供できる。
【0064】
また同一の重複領域Raの画像コンテンツRを、隣り合うディスプレイ2aの表示画面に描画しているため、同色の画像コンテンツRを各ディスプレイ2aに描画できる。これにより、重複領域Raに含まれる画像コンテンツRを乗員に意識付けることもできる。
【0065】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図11から
図16を参照しながら説明する。第2実施形態では、周辺カメラ23により撮像された標識M5を含む画像コンテンツRを、隣接する複数のディスプレイ2aに表示させる際の処理を説明する。
図11に示す画像コンテンツRは、標識M5が時間経過に伴って近づくように撮像される動画コンテンツである。処理内容は前述実施形態で説明した
図4及びその説明と概ね同一であり、以下では
図4のステップ番号を示しながら説明を行う。
【0066】
図12から
図15には、時間経過に伴い変化する画像コンテンツRと、隣り合うディスプレイ2aの表示画面の変化を示している。
図12に示すように、標識M5までの距離が遠く、画像コンテンツRの中に標識M5が小さく映り込んでいる場合には、画像コンテンツRの中でも標識M5の大きさも比較的小さくなる。このため、表示処理部13は、
図4のS4において画像コンテンツRの中に特定コンテンツとなる標識M5を認識しない、又は、S9において標識M5を認識しても幅Mが下限値Wminより短いと判定する。このため、表示処理部13は、重複幅Wをデフォルト値に保持、又は、下限値Wminに設定した上で、画像分割して、各ディスプレイ2aに出力、表示する。
図4のS1~S5→S11、又は、S1~S4→S6→S7→S9→S12→S11参照。
【0067】
また
図13、
図14に示すように、標識M5が徐々に近づくにしたがって、撮像画像の画像コンテンツRの中に標識M5が徐々に大きく映り込む。すると、表示処理部13は、S4において標識M5を画像認識することで文字又は記号を含む特定コンテンツ(画像認識文字記号情報相当)と判定し、重複幅Wを標識M5の幅Mに設定した上で、画像分割し、各ディスプレイ2aに出力、表示する。
図4のS1~S4→S6~S8→S11参照。このとき、撮像画像に映り込む標識M5の大きさが徐々に大きくなると、これに伴い、重複幅Wも徐々に大きくなる。
【0068】
また
図15に示すように、周辺カメラ23に標識M5が接近すると、撮像画像の画像コンテンツRの中に標識M5が大きく映り込む。すると表示処理部13が、標識M5を画像認識したとしても標識M5の幅が上限値Wmaxを超えているため、重複幅Wを上限値Wmaxに設定した上で、画像分割し、各ディスプレイ2aに出力、表示する。
図4のS1~S4→S6→S7→S9~S11参照。すなわち、
図12から
図15に示したように、周辺カメラ23に標識M5が徐々に近づく場合、重複幅Wは徐々に大きくなるもののある上限値Wmaxまで標識M5の幅Mが大きくなると、重複幅Wは上限値Wmaxで一定となる。
【0069】
本実施形態に示したように、周辺カメラ23により撮像された画像を画像認識し、画像認識された撮像画像に含まれる文字や記号による画像認識文字記号を特定コンテンツとして扱った場合でも、前述実施形態と同様に、隣り合うディスプレイ2aの双方に重複領域Raの画像コンテンツRを表示できる。このため、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0070】
(他の実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
第1実施形態では、画像コンテンツRに文字記号情報M1…M4(例えば、町名M4、施設名称M3、道記号M2、又は市名M1)、第2実施形態では画像コンテンツRに文字記号情報M5(例えば、標識M5)が含まれる場合、表示領域R1及びR2に対し重複領域Raを常に表示していたが、必ずしも重複領域Raを常に表示しなくてもよい。
【0071】
例えば、表示処理部13が、画像コンテンツRの中で非表示領域Rzと重なる位置に文字記号情報M1…M4又はM5が含まれるか否かを判断し、画像コンテンツRの中で非表示領域Rzと重なる位置に文字記号情報M1…M4又はM5が含まれると判断した場合には、表示領域R1又はR2の何れか一方に重複領域Raを表示するようにしても良い。
また前述同様に、表示処理部13が、画像コンテンツRの中で非表示領域Rzと重なる位置に文字記号情報M1…M4又はM5が含まれると判断した場合には、重複領域Raの幅を中央などで分割した領域をそれぞれ表示領域R1及びR2として設定することで重複領域Raを分割表示しても良い。これにより、不要な重複表示を抑制でき、乗員に対してより分かりやすく表示できる。
【0072】
また、上記のように、表示処理部13が、非表示領域Rzと重なる位置に文字記号情報M1~M5が含まれるか否かを判断し、重複領域Raを表示するか否かを決定する場合、重複領域Raに上限値Wmaxを超えた幅を持つ文字記号情報M1(例えば、
図10の市名M1)のみが含まれる場合、重複領域Raの重複表示を行わなくても良い。これは、非表示領域Rzの幅に対して文字記号情報M1の幅が十分に大きいため、重複領域Raによる重複表示せずとも、乗員が文字記号情報M1の示す情報を十分に理解できるためである。これにより、不要な重複表示を抑制でき、乗員に対してより分かりやすく表示できる。
【0073】
重複幅Wと比較するための文字等の幅Mは、文字や記号の1文字又は1つの幅でなく一体の名称コンテンツの幅としても良い。例えば、前述実施形態では、
図7に例示した内容の場合、町名M4の「池端1」のうち「池」の字の一文字の幅Mを比較対象とした形態を例示したが、「池端1」の町名自体を比較対象の幅Mとしても良い。同様に、
図8に例示した内容の場合、施設名称M3の「青山公園」のうち「山」の字の一文字の幅Mを比較対象とした形態を例示したが、「青山公園」の施設名称自体を比較対象の幅Mとしても良い。道記号M2や市名M1なども同様である。
【0074】
前述実施形態では、横方向に併設した複数のディスプレイ2aに表示させる際に横並びのディスプレイ2aに重複表示させる重複幅Wを設定する実施形態を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図1Aに示したように、縦方向に併設した複数のディスプレイ2、3の間は離間しているため非表示領域が存在する。このため、これらのディスプレイ2、3の表示画面に重複表示させる場合に重複幅Wを設定するようにしても良い。
【0075】
第2実施形態では、画像コンテンツRの中で大きさが徐々に変化する標識M5を特定コンテンツとして扱った形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、乗員による操作パネル21の操作に基づいて地図画面の縮尺を変更したときに、表示処理部13が文字サイズを変更した画像コンテンツRを生成して各ディスプレイ2aに表示することがあるが、このような場合にも適用できる。このときも、重複領域Raの重複幅Wを変更することで、前述実施形態と同様の効果を得られる。
【0076】
前述実施形態では、複数のECU5により表示系のECU5を構成した形態を示したが、表示系のECU5を1つのECU5によりHCUとして構成しても良い。このときのハードウェア、ソフトウェア構成例を
図16に示している。各ECU5にはそれぞれSoC230が搭載され、この搭載されたSoC230にはマイクロコンピュータが組込まれている。ECU5のSoC230に組み込まれたマイクロコンピュータは、ハイパーバイザ231上に汎用OS32及びリアルタイムOS35が構成されている。汎用OS32上には各種の複数のアプリ33が動作するように構成されている。またリアルタイムOS35は、汎用OS32よりもリアルタイム性能高く処理できる。リアルタイムOS35上でメータアプリ36を動作させるように構成されている。このような構成を採用した場合であっても前述実施形態と同様の構成、作用効果を奏する。
【0077】
本開示に記載の制御装置11、表示処理部13による手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御装置11、表示処理部13及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御装置11、表示処理部13及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0078】
本発明は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本発明は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0079】
図面中、2はPtoPディスプレイ、2aはディスプレイ、2bはフレーム(非表示領域)、13は表示処理部、13aは設定部、13bは判定部、13cは重複表示処理部、R1、R2は表示領域、Raは重複領域、Rzは非表示領域、を示す。