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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167535
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】遮蔽装置用のコードウェイト
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/36 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
E06B9/36 Z
E06B9/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073383
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】岡村 正
(57)【要約】
【課題】無端状の操作コードの非意図的な外れを抑制し、意匠性に優れた遮蔽装置用のコードウェイトを提供する。
【解決手段】本発明のコードウェイト10は、遮蔽装置の遮蔽材を開閉操作するために垂下された無端状の操作コードに対し荷重を付加するためのコードウェイトとして構成され、操作コード5を掛装するプーリー13と、プーリー13を回転可能に軸支して操作コード5に対し荷重を付加するコードウェイト本体(11,12,14)と、を備える。当該コードウェイト本体の前後の側壁のうち少なくとも一方の側壁には、プーリー13を挿抜可能とする開口部10Aが形成される。当該コードウェイト本体の上端には、操作コード5を挿通可能なスリット10Cが開口部10Aと連なって形成される。プーリー13は、操作コード5を掛装した状態のまま開口部10Aから挿抜可能とし、且つ上下方向からは挿抜不能に当該コードウェイト本体内に軸支される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽装置の遮蔽材を開閉操作するために垂下された無端状の操作コードに対し荷重を付加するためのコードウェイトであって、
当該無端状の操作コードを掛装するプーリーと、
前記プーリーを回転可能に軸支して当該無端状の操作コードに対し荷重を付加するコードウェイト本体と、を備え、
前記コードウェイト本体の前後の側壁のうち少なくとも一方の側壁には、前記プーリーを挿抜可能とする開口部が形成され、
前記コードウェイト本体の上端には、当該無端状の操作コードを挿通可能なスリットが前記開口部と連なって形成され、
前記プーリーは、当該無端状の操作コードを掛装した状態のまま前記開口部から挿抜可能とし、且つ前記コードウェイト本体の上下方向からは挿抜不能に前記コードウェイト本体内に軸支されていることを特徴とする、遮蔽装置用のコードウェイト。
【請求項2】
前記コードウェイト本体の下端には、当該無端状の操作コードをその垂下量の調整のために挟持可能とする切欠挟持部がスリット状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置用のコードウェイト。
【請求項3】
前記コードウェイト本体は、前記プーリーを軸支した状態で掛装される当該無端状の操作コードの相対移動を案内する経路にスロープ部を有し、前記スロープ部は、当該無端状の操作コードの相対移動の摩擦を低減して案内するよう全曲面形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置用のコードウェイト。
【請求項4】
前記コードウェイト本体に対し、前記プーリーを挿抜可能とする開口部を含む上部を除く前記コードウェイト本体の下部を保護するように着脱可能に取着するカバーを備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の遮蔽装置用のコードウェイト。
【請求項5】
前記カバーは、衝撃緩和可能とする軟質材料で構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の遮蔽装置用のコードウェイト。
【請求項6】
前記カバーの下端には、当該無端状の操作コードをその垂下量の調整のために挟持可能とする第2の切欠挟持部がスリット状に形成されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の遮蔽装置用のコードウェイト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉する遮蔽装置における当該無端状の操作コードの弛みを抑制するための遮蔽装置用のコードウェイトに関する。
【背景技術】
【0002】
遮蔽材を開閉する遮蔽装置には、例えば縦型ブラインド、横型ブラインド、ローマンシェード、プリーツスクリーン、ロールスクリーン等がある。
【0003】
このような遮蔽装置の一種として、無端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉するものがあり、典型的には、縦型ブラインドが知られている。
【0004】
縦型ブラインドは、ハンガーレール内に多数のランナーが移動可能に支持され、各ランナーには吊下軸を介してそれぞれスラットが吊下支持される。そして、無端状の操作コードを用いる操作装置の操作により、各スラットをハンガーレールに沿って移送し、或いは各スラットを同位相で回動して、室内への採光量を調節可能としている。ここで、各スラットの回動操作には、操作コードを用いる代わりに、ハンガーレールに沿って各ランナーにチルト軸を挿通し、チルト操作棒の回転操作に基づいて当該チルト軸の回転させるギア機構を当該操作装置内に設けることで構成する形態もある。
【0005】
ところで、縦型ブラインド等の遮蔽装置における遮蔽材の開閉に用いる無端状の操作コードに対し、着脱可能に吊下するコードウェイトを着脱可能に吊下し、当該操作コードの弛みを抑制するものが開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57-106891号公報
【特許文献2】特許第5713928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1,2には、縦型ブラインド等の遮蔽装置における遮蔽材の開閉に用いる無端状の操作コードに対し、着脱可能に吊下するコードウェイトを着脱可能に吊下し、当該操作コードの弛みを抑制するものが開示されている。
【0008】
まず、特許文献1には、無端状の操作コードに対し着脱可能に吊下するコードウェイトについて、プーリーとケースとで構成し、無端状の操作コードを掛装した当該プーリーを当該ケースに対して上方から着脱可能に軸支させる構成が開示されている。しかしながら、この構造のコードウェイトを使用すると、コードウェイトに強い力がかかった場合、意図せずにコードウェイトが操作コードから外れるおそれがある。
【0009】
また、特許文献2には、無端状の操作コードに対し着脱可能に吊下するコードウェイトについて、そのコードウェイトの下端から突出して設けられているフック部により操作コードを係止して束ねることができる構成が開示されている。しかしながら、この構造のコードウェイトでは、そのフック部が、コードウェイトの下端から突出して形成されるものとなっているため、意匠性の点で改善の余地がある。
【0010】
本発明の目的は、上述の問題を鑑みて、無端状の操作コードの非意図的な外れを抑制し、意匠性に優れた遮蔽装置用のコードウェイトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による遮蔽装置用のコードウェイトは、遮蔽装置の遮蔽材を開閉操作するために垂下された無端状の操作コードに対し荷重を付加するためのコードウェイトであって、当該無端状の操作コードを掛装するプーリーと、前記プーリーを回転可能に軸支して当該無端状の操作コードに対し荷重を付加するコードウェイト本体と、を備え、前記コードウェイト本体の前後の側壁のうち少なくとも一方の側壁には、前記プーリーを挿抜可能とする開口部が形成され、前記コードウェイト本体の上端には、当該無端状の操作コードを挿通可能なスリットが前記開口部と連なって形成され、前記プーリーは、当該無端状の操作コードを掛装した状態のまま前記開口部から挿抜可能とし、且つ前記コードウェイト本体の上下方向からは挿抜不能に前記コードウェイト本体内に軸支されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による遮蔽装置用のコードウェイトにおいて、前記コードウェイト本体の下端には、当該無端状の操作コードをその垂下量の調整のために挟持可能とする切欠挟持部がスリット状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による遮蔽装置用のコードウェイトにおいて、前記コードウェイト本体は、前記プーリーを軸支した状態で掛装される当該無端状の操作コードの相対移動を案内する経路にスロープ部を有し、前記スロープ部は、当該無端状の操作コードの相対移動の摩擦を低減して案内するよう全曲面形状を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明による遮蔽装置用のコードウェイトにおいて、前記コードウェイト本体に対し、前記プーリーを挿抜可能とする開口部を含む上部を除く前記コードウェイト本体の下部を保護するように着脱可能に取着するカバーを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による遮蔽装置用のコードウェイトにおいて、前記カバーは、衝撃緩和可能とする軟質材料で構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による遮蔽装置用のコードウェイトにおいて、前記カバーの下端には、当該無端状の操作コードをその垂下量の調整のために挟持可能とする第2の切欠挟持部がスリット状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無端状の操作コードの非意図的な外れを抑制し、意匠性に優れた遮蔽装置用のコードウェイトを構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による一実施形態の遮蔽装置として典型的な縦型ブラインドの概略構成を示す正面図である。
図2】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置用の一実施例のコードウェイトの概略構成を示す斜視図、背面図、及び側面図である。
図3】本発明による一実施形態の遮蔽装置用の一実施例のコードウェイトにおけるコードウェイト本体とカバーの概略構成を示す分解斜視図である。
図4】本発明による一実施形態の遮蔽装置用の一実施例のコードウェイトにおけるコードウェイト本体の概略構成を示す分解斜視図である。
図5】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置用の一実施例のコードウェイトの組み付け法を示す斜視図、及び部分的な断面側面図である。
図6】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置用の一実施例のコードウェイトの作用を説明するための遮蔽装置の側面図である。
図7】(a)は本発明による一実施形態の遮蔽装置用の一実施例のコードウェイトの作用を説明するための断面側面図であり、(b)はその比較例を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の遮蔽装置1として典型的な縦型ブラインドを例に、一実施例のコードウェイト10を説明する。尚、本願明細書中、図1に示す縦型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示前方向を縦型ブラインドの室内側(又は前側)、及び、図示後方向を縦型ブラインドの室外側(又は後側)と定義して説明する。
【0020】
(縦型ブラインドの構成)
まず、図面を参照して、本発明による一実施形態の遮蔽装置1として典型的な縦型ブラインドについて説明する。図1は、本発明による一実施形態の遮蔽装置1として典型的な縦型ブラインドの概略構成を示す正面図である。尚、本発明に係るコードウェイト10の構成を除き、縦型ブラインド自体の構成については従来技法と同様であり、簡潔に説明する。
【0021】
図1に示す遮蔽装置1として構成される縦型ブラインドは、ハンガーレール2から多数枚のスラット3が吊下支持され、各スラット3はハンガーレール2内に移動可能に支持されるランナー(図示略)から吊下支持される。
【0022】
より具体的には、各スラット3の上端側中央に、吊下支持用の掛合穴3aが設けられる。この掛合穴3aに、ランナーフック9の下端部に形成されているフック部を掛装させることで、スラット3が吊下支持される。このランナーフック9は、スラット3を回動可能に吊下支持する吊下軸として構成され、各ランナー(図示略)に設けられる。
【0023】
尚、本例の各スラット3は生地で構成され、各スラット3の上端側にはスラットハンガー8が袋縫いされて取着されており、各ランナー(図示略)に設けられるランナーフック9は、そのスラットハンガー8とともに各スラット3の上端側中央を吊下している。
【0024】
各ランナー(図示略)は図示しないスペーサーで連結され、各ランナーにおける移動方向先頭に位置する先頭ランナーがハンガーレール2の一端側へ移送されると、後続のランナーが当該スペーサーを介して等間隔を隔てて順次引き出されて、スラット3がハンガーレール2の一端側へ引き出される。また、当該先頭ランナーがハンガーレール2の他端側へ移送されると、後続のランナーが当該先頭ランナーにより順次ハンガーレール2の他端側へ押し戻されて、スラット3がハンガーレール2の他端側へ畳み込まれる。
【0025】
本例では、各スラット3の下端部にはバランスウェイト7が吊下支持され、各バランスウェイト7はボトムコード7aで連結されて、風等によるスラット3のバタつきを防止するようになっている。
【0026】
また、各ランナー(図示略)には、チルト軸(図示略)が軸方向に相対移動可能に係合挿通され、このチルト軸の両端はハンガーレール2の両端にて回転可能に支持されている。そして、ハンガーレール2の一端に設けられる操作装置4からチルトグリップ6aを有するチルト操作棒6が吊下され、チルト操作棒6の上端は、操作装置4内のギア機構(図示略)に連結されている。当該チルト軸は、チルト操作棒6の回転操作によって当該ギア機構を介して回転され、このチルト軸の回転に伴って各ランナーのランナーフック9が回転され、各ランナーに吊下支持されるスラット3が回動されるようになっている。
【0027】
また、ハンガーレール2内の両端側に移送プーリー(図示略)が配設され、移送コード(図示略)が当該移送プーリーに掛装されてハンガーレール2内を周回可能に配設され、当該移送コードは当該先頭ランナーに取着されている。そして、操作装置4から無端状の操作コード5(本例では、紐状の操作コード)が垂下され、この無端状の操作コード5の操作により、操作装置4内に設けられる連動機構(図示略)を介して、ハンガーレール2内の一端側の当該移送プーリーが回転するようになっており、これにより当該移送コードがハンガーレール2内を周回し、各スラット3がハンガーレール2に沿って移送されるようになっている。
【0028】
従って、操作コード5を操作して当該先頭ランナーを移動させれば、その先頭ランナーに追随して後続のランナーが順次引き出され、或いは後続のランナーが当該先頭ランナーにより順次押し戻される。このような無端状の操作コード5の操作により各スラット3をハンガーレール2に沿って移送し、或いはチルト操作棒6の操作により各スラット3を同位相で回動して、室内への採光量を調節可能としている。
【0029】
ところで、無端状の操作コード5には、着脱可能なコードウェイト10が取着されており、その操作コード5の弛みを抑制するようになっている。本発明は、このコードウェイト10の構造に関するものであり、無端状の操作コード5を用いて遮蔽材を開閉する遮蔽装置であれば、図1に示すような縦型ブラインドに適用することに限定する必要はない。
以下、本発明に係る一実施例のコードウェイト10について、詳細に説明する。
【0030】
(コードウェイト)
図2(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置1用の一実施例のコードウェイト10の概略構成を示す斜視図、背面図、及び側面図である。また、図3は、一実施例のコードウェイト10におけるコードウェイト本体とカバー15の概略構成を示す分解斜視図である。そして、図4は、一実施例のコードウェイト10におけるコードウェイト本体の概略構成を示す分解斜視図である。
【0031】
本実施例のコードウェイト10は、遮蔽装置1の遮蔽材を開閉操作するために垂下された無端状の操作コード5に対し荷重を付加し、その操作コード5の弛みを抑制する装置として構成される。
【0032】
まず、図2に示すように、本実施例のコードウェイト10は、無端状の操作コード5を掛装するプーリー13と、プーリー13を回転可能に軸支して当該無端状の操作コード5に対し荷重を付加するコードウェイト本体として構成されるウェイトケース11,12及び錘部材14と、カバー15と、を備える。
【0033】
ウェイトケース11,12は、図4に示すように、本例では2枚の板状の錘部材14を収容して互いに嵌合するようになっており、これにより、略四角箱状の当該コードウェイト本体を構成している。カバー15は、図3に示すように、互いに嵌合したウェイトケース11,12の下方からウェイトケース11,12の上部10Uを除く下部10Lを保護するように嵌合可能とし、ウェイトケース11,12に対し着脱可能となっている。
【0034】
図2に示すように、略四角箱状の当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の前側の側壁には、プーリー13を挿抜可能とする開口部10Aが形成され、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の上端には、当該無端状の操作コード5を挿通可能なスリット10Cが開口部10Aと連なって形成されている。尚、開口部10Aは、ウェイトケース11,12の前後の側壁の双方に開口部10Aを設けてもよく、ウェイトケース11,12の前後の側壁のうち少なくとも一方の側壁に開口部10Aを設けた形態とすることができる。
【0035】
より具体的には、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の各々の上端側には、図4に示すように、プーリー13の軸方向幅の間隔を形成する板片11c,12cがそれぞれ設けられ、これにより図2に示すスリット10Cを形成している。また、各板片11c,12cにはプーリー13の軸部13aを導入するように穿設した開口溝11a,12aがそれぞれ設けられ、これにより図2に示す開口部10Aが形成される。
【0036】
また、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の各々には、開口部10Aから挿入するプーリー13について、図4に示すように、それぞれプーリー13の軸部13aを軸支するための軸受部11f,12fまで案内するための案内溝11b,12bが形成され、これによりプーリー13の挿抜を案内するための図2に示す挿抜案内部10Bを構成している。この挿抜案内部10Bは、前後方向に延在する案内溝11b,12bによって形成されるため、プーリー13が当該コードウェイト本体の上下方向からの力で抜けることが無いようになっている。尚、挿抜案内部10Bは、必ずしも前後方向でなく、上下・前後方向で斜めに延在するものとしてもよいが、本例では確実にプーリー13が当該コードウェイト本体の上下方向からの力で抜けることが無いように、前後方向に延在する案内溝11b,12bによって形成している。また、案内溝11b及び軸受部11f間、及び案内溝12b及び軸受部12f間には、図4に示すような突起部が形成されており、プーリー13の軸部13aは、軸受部11f,12fから着脱可能であるが、意図的に離脱させない限りは安定して軸支されるようになっている。
【0037】
そして、スリット10Cは、当該無端状の操作コード5を挿通可能な幅であって、プーリー13を当該コードウェイト本体(ウェイトケース11,12)の上下方向からは着脱不能とする幅を有する。
【0038】
このようにして、プーリー13は、当該無端状の操作コード5を掛装した状態のまま開口部10Aから挿抜可能とし、且つ当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の上端からは挿抜不能(即ち、上下方向からは挿抜不能)にコードウェイト本体内に軸支されている。
【0039】
また、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の各々には、図4に示すように、それぞれプーリー13を軸支した状態で掛装される当該無端状の操作コード5の相対移動を案内する経路11g,12gが形成され、この経路11g,12gに対して、コード出口近傍でよりスリット10Cを開口させる全曲面形状の前側スロープ部11d,12dと、後側スロープ部11e,12eが形成されている。この図4に示す前側スロープ部11d,12dが図2に示す前側スロープ部10Dを構成し、図4に示す後側スロープ部11e,12eが図2に示す後側スロープ部10Eを構成している。このスロープ部(前側スロープ部10D及び後側スロープ部10E)は、当該無端状の操作コード5の相対移動の摩擦を低減して案内するよう全曲面形状を有している。尚、本例の前側スロープ部10Dと後側スロープ部10Eは、前側スロープ部10Dの上方に挿抜案内部10Bが設けられているため、互いに異なる全曲面形状を有しているが(後述する図5参照)、同形状となるように構成した形態としてもよい。
【0040】
そして、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の下端には、当該無端状の操作コード5をその垂下量の調整のために挟持可能とする切欠挟持部10Fがスリット状に形成されている。
【0041】
図2に示す切欠挟持部10Fは、図4に示すように、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の各下端における板片11j,12jと、各板片11j,12j上の複数個所にそれぞれ設けられる突起部11k,12kからなり、これによりスリット状となり、当該無端状の操作コード5をその垂下量の調整のために挟持可能としている。特に、図2(c)にから理解されるように、切欠挟持部10Fは、ウェイトケース11,12の各下端から突出することなくスリット状に形成しているため、意匠性の優れたものとなっている。
【0042】
図4に示すように、ウェイトケース11,12は、本例では2枚の四角板状の錘部材14をそれぞれの収容部11h,12hに収容した状態で互いに嵌合するようになっている。より具体的には、錘部材14の丸孔14aを挿通するウェイトケース11に形成される円筒部11iとウェイトケース12に形成される円柱部12iとが係合し、ウェイトケース11に形成される丸凹部11mとウェイトケース12に形成される丸凸部12mとが係合し、ウェイトケース11に形成される凹壁部11nとウェイトケース12に形成される凸壁部12nとが係合し、ウェイトケース11の凹壁部11n上に形成される爪部11pがウェイトケース12の凸壁部12n内側に傾斜形成される嵌合案内部12qに案内されながら開口した嵌合受部12pに嵌合されることにより、略四角箱状の当該コードウェイト本体を構成している。
【0043】
このように、本実施例のウェイトケース11,12内には、本例では四角板状の錘部材14がガタツキなく係合して2枚収容されている。この錘部材14は、適用する遮蔽装置1によってはその設置を省略し、ウェイトケース11,12の自重のみで操作コード5の弛みを抑制することや、1枚の錘部材14のみを収容するなど、荷重調節することができるようになっている。尚、錘部材14の厚みを調節して3枚以上の錘部材14を収容可能としてもよい。
【0044】
カバー15は、図3に示すように、互いに嵌合したウェイトケース11,12の下方からウェイトケース11,12における開口部10A、挿抜案内部10B、スリット10C、及びスロープ部(前側スロープ部10D及び後側スロープ部10E)を構成する上部10Uを除く下部10Lをほぼ覆うようにして保護し嵌合可能となっている。具体的には、ウェイトケース11,12の左右側となる外側壁にそれぞれ形成される爪部12rに対し、カバー15の対応する左右両側の外側壁にそれぞれ形成される開口受部15bが嵌合し、カバー15がウェイトケース11,12の下部10Lをほぼ覆うようにして保護し着脱可能に取着できるようになっている。尚、カバー15の下端には、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の各下端における切欠挟持部10Fを露出する下端開口部15aが設けられている。
【0045】
このように、カバー15は、ウェイトケース11,12における開口部10A、挿抜案内部10B、スリット10C、スロープ部(前側スロープ部10D及び後側スロープ部10E)、及び切欠挟持部10Fの機能の観点からは必ずしも設ける必要はないが、本例では、これらの機能を維持しながら、ウェイトケース11,12の嵌合部分を隠して意匠性を向上させるものとなっている(図2参照)。
【0046】
また、カバー15は、衝撃緩和可能とする軟質材料で構成することが好ましい。
【0047】
また、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の各下端における切欠挟持部10Fを設ける代わりに、或いは当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の各下端における切欠挟持部10Fを設けることに加えて、カバー15の下端の下端開口部15aにおいて、当該無端状の操作コード5をその垂下量の調整のために挟持可能とする第2の切欠挟持部をスリット状に形成してもよい。
【0048】
(作用)
図5(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置1用の一実施例のコードウェイト10の組み付け法を示す斜視図、及び部分的な断面側面図である。図5に示すように、プーリー13は、当該無端状の操作コード5を掛装した状態のまま開口部10Aから挿抜可能である。そして、プーリー13は、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の上端からは挿抜不能(即ち、上下方向からは挿抜不能)になっている。
【0049】
そして、図6(a),(b)には、本発明による一実施形態の遮蔽装置1用の一実施例のコードウェイト10の作用を説明するための側面図を示している。まず、図6(a)に示すように、本実施例のコードウェイト10によれば、スリット10Cを介して当該無端状の操作コード5を吊下した状態で、意図せずにコードウェイト10に強い力がかかった場合でも(図示白抜き矢印)、コードウェイト10が操作コード5から外れるおそれがなくなり、使い勝手のよいものとなる。
【0050】
また、図6(b)に示すように、本実施例のコードウェイト10によれば、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11,12の下端にスリット状の切欠挟持部10Fが形成されているので、スリット10Cを介して当該無端状の操作コード5を吊下した状態で、更に、切欠挟持部10Fを利用して当該無端状の操作コード5をその垂下量の調整のために挟持させることができる。そして、切欠挟持部10Fは、ウェイトケース11,12の各下端から突出することなくスリット状に形成しているため、意匠性の優れたものとなる。
【0051】
また、図7(a)には、本発明による一実施形態の遮蔽装置1用の一実施例のコードウェイト10の作用を説明するための断面側面図を示しており、図10(b)はその比較例を示している。
【0052】
まず、図7(a)に示すように、本実施例のコードウェイト10によれば、ウェイトケース11を基に説明するが、当該コードウェイト本体を構成するウェイトケース11には、プーリー13を軸支した状態で掛装される当該無端状の操作コード5の相対移動を案内する経路11gが形成され、この経路11gに対して、よりスリット10Cを開口させるようにして摩擦を低減して案内するよう全曲面形状の前側スロープ部10D及び後側スロープ部10Eを構成するものとなっている。このため、本実施例のコードウェイト10によれば、図7(a‐1)に示すスリット10Cを介して当該無端状の操作コード5を吊下した状態から、操作コード5を引いたとしても、前側スロープ部10Dが形成されているため経路11gで案内される操作コード5に対して低摩擦となり、図7(a‐2)に示すような位置にコードウェイト10が持ち上がることはなく、仮に持ち上がるほど強く操作コード5を引いたとしても、コードウェイト10が自重で下方に下がり、図7(a‐1)に示す定常状態に自動復帰する。
【0053】
一方、図7(b)に示す比較例のコードウェイト100では、説明の便宜上、同様な構成要素には同一の参照番号を付してウェイトケース11を基に説明するが、プーリー13を軸支した状態で掛装される当該無端状の操作コード5の相対移動を案内する経路11gが形成されているものの、この経路11gに対して、図7(a)に示すような前側スロープ部10D及び後側スロープ部10Eが形成されておらず、経路11gが略V字状となっている。このため、比較例のコードウェイト100では、図7(b‐1)に示すスリット10Cを介して当該無端状の操作コード5を吊下した状態から、操作コード5を引くと、経路11gのコード出口のエッジ部分で高摩擦となり、図7(b‐2)に示すように、コードウェイト10が持ち上がってしまうことがあり、コードウェイト10が自重で下方に下がりにくく、図7(b‐1)に示す定常状態に戻すのに手間がかかり、使い勝手が悪いものとなる。
【0054】
従って、本発明に係るコードウェイト10によれば、無端状の操作コード5の非意図的な外れを抑制することができ、意匠性に優れたものとなっており、使い勝手も大幅に向上したものとなる。
【0055】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施例では、遮蔽装置1として縦型ブラインドを例に説明したが、横型ブラインド、ローマンシェード、プリーツスクリーン、ロールスクリーン等、無端状の操作コード5を用いて遮蔽材を開閉するものであれば、その操作コード5に対し吊下するコードウェイト10として利用できる。また、上述した実施例では、紐状の操作コード5に対し吊下するコードウェイト10を例に説明したが、ボールチェーンで構成した操作コードに対し吊下するようにプーリー形状を構成したコードウェイト10としてもよい。従って、本発明に係る遮蔽装置用のコードウェイト10は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、無端状の操作コードの非意図的な外れを抑制し、意匠性に優れた遮蔽装置用のコードウェイトを構成できるので、無端状の操作コードを用いる遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 遮蔽装置
2 ハンガーレール
3 スラット
4 操作装置
5 操作コード
10 コードウェイト
11 ウェイトケース
12 ウェイトケース
13 プーリー
14 錘部材
15 カバー
10A 開口部
10B 挿抜案内部
10C スリット
10D 前側スロープ部
10E 後側スロープ部
10F 切欠挟持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7