(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167576
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ロールスクリーン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20221027BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
E06B9/58 A
E06B9/17 U
E06B9/17 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073449
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】阿坂 翼
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042CA03
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】スクリーンのガイドレールからの外れ抑制とその外れ復帰を容易化し、好適にはスクリーンの開閉に係る開度をより大きくとれるようにして、更にはスクリーンのほつれに対する耐性の高めるようしたロールスクリーンを提供する。
【解決手段】本発明のロールスクリーン1は、スクリーン2の外縁部を案内するガイドレール4を備えるように構成され、スクリーン2を巻き取り、或いは巻き戻すことによりスクリーン2を昇降可能とする巻取軸30と、スクリーン2の左右方向両側の外縁部をそれぞれ案内する一対のガイドレール4と、を備える。一対のガイドレール4の各々は、スクリーン2の下端部に設けられる錘部材(ウェイトバー20及びウェイトバーキャップ21)の前後方向の揺動を規制するよう、当該錘部材の端部の前後壁を挟み込む凹部46を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンの外縁部を案内するガイドレールを備えるロールスクリーンであって、
スクリーンを巻き取り、或いは巻き戻すことにより前記スクリーンを昇降可能とする巻取軸と、
前記スクリーンの左右方向両側の外縁部をそれぞれ案内する一対のガイドレールと、を備え、
前記一対のガイドレールの各々は、前記スクリーンの下端部に設けられる錘部材の前後方向の揺動を規制するよう、前記錘部材の端部の前後壁を挟み込む凹部を有することを特徴とするロールスクリーン。
【請求項2】
前記一対のガイドレールの各々に設けられる凹部は、前記錘部材の前後方向、且つ左右方向の揺動を規制する機能を有することを特徴とする、請求項1に記載のロールスクリーン。
【請求項3】
前記錘部材は、前記スクリーンの下端部に取着されるウェイトバーと、前記ウェイトバーの各端部を覆うようにそれぞれ設けられるウェイトバーキャップとを備え、前記凹部は、前記ウェイトバーキャップのキャップ本体の前後壁を挟み込むように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロールスクリーン。
【請求項4】
前記凹部は、正面視、或いは背面視で前記ウェイトバーキャップが隠れるように設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のロールスクリーン。
【請求項5】
前記一対のガイドレールの各々には、基端で収束し先端で放射状に拡がる長毛形状の部材として構成した一対のモヘアが設けられ、
前記一対のモヘアの各先端は、前記スクリーンの外縁部が対応するガイドレールから前後左右に外れる方向に働く力に対し常に反発力を発生させ外れにくくするように前記スクリーンに対して略垂直方向に対向配置して当接するように配設し、前記スクリーンの外縁部における所定の挟持領域を挟持するように設定されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のロールスクリーン。
【請求項6】
前記所定の挟持領域について余裕を持たせた余剰領域が前記スクリーンの外縁部に設定されていることを特徴とする、請求項5に記載のロールスクリーン。
【請求項7】
前記錘部材の端部には、前記一対のモヘアの各先端の当接に起因する前記スクリーンの外縁部におけるほつれを抑制するために、前記スクリーンの外縁部下端を保持するほつれ防止片が突出形成され、
前記ガイドレールは、前記スクリーンの昇降に伴う前記ほつれ防止片の移動を狭間隔に保持して案内する保持案内部を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のロールスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に固定されるガイドレールに沿ってスクリーンを昇降するように構成されたロールスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽材として機能するスクリーンの幅方向両端の外縁部を案内するガイドレールを備えるロールスクリーンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなロールスクリーンでは、巻取軸に巻取られた遮蔽材としてのスクリーンが引き出し操作によって下降し、また、巻取軸から引き出されたスクリーンが巻取操作によって上昇する。そして、一対のガイドレールがスクリーンの両側に立設されており、巻取軸から引き出されたスクリーンの外縁部が、これらガイドレールの内側に入り込んでいる。
【0004】
これにより、スクリーンが下降及び上昇するときに、スクリーンの外縁部がガイドレールに沿って動き、スクリーンが昇降方向に沿って案内される。
【0005】
特に、特許文献1に開示されるロールスクリーンは、そのスクリーンの両端の外縁部に抜け止め部を設けるとともにガイドレールには抜け止めレバーを設け、抜け止め部により抜け止めしながら、抜け止めレバーにより外縁部を挟持してその外れを抑制する態様でスクリーンを移動案内するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1には、スクリーンの幅方向両端の外縁部を案内するガイドレールを備えるロールスクリーンについて開示され、そのスクリーンの両端の外縁部に抜け止め部を設けるとともにガイドレールには抜け止めレバーを設け、抜け止め部により抜け止めしながら、抜け止めレバーにより外縁部を挟持してその外れを抑制する態様でスクリーンを移動案内するようになっている。
【0008】
しかしながら、特許文献1の技法では、抜け止めレバーがスクリーンの外れ抑制に重点をおく構造となっているため、スクリーンの外縁部がガイドレールから外れてしまった場合には、ガイドレールからスクリーンの外縁部をすべて引き抜いてスクリーンを昇降させた上で再度組み付け直すことで復帰させる必要があり、そのような復帰作業を軽減させる観点からは改善の余地がある。
【0009】
また、特許文献1の技法では、抜け止めレバーがその機能上の観点から小型化するのが困難であり、必然的にガイドレールも大型化することになり、窓枠等に設置する場合では、スクリーンの開閉に係る開度がより小さく制限され、意匠性の観点からも改善の余地がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、スクリーンのガイドレールからの外れ抑制とその外れ復帰を容易化し、好適にはスクリーンの開閉に係る開度をより大きくとれるようにして、更にはスクリーンのほつれに対する耐性の高めるようしたロールスクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のロールスクリーンは、スクリーンの外縁部を案内するガイドレールを備えるロールスクリーンであって、スクリーンを巻き取り、或いは巻き戻すことにより前記スクリーンを昇降可能とする巻取軸と、前記スクリーンの左右方向両側の外縁部をそれぞれ案内する一対のガイドレールと、を備え、前記一対のガイドレールの各々は、前記スクリーンの下端部に設けられる錘部材の前後方向の揺動を規制するよう、前記錘部材の端部の前後壁を挟み込む凹部を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のロールスクリーンにおいて、前記一対のガイドレールの各々に設けられる凹部は、前記錘部材の前後方向、且つ左右方向の揺動を規制する機能を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のロールスクリーンにおいて、前記錘部材は、前記スクリーンの下端部に取着されるウェイトバーと、前記ウェイトバーの各端部を覆うようにそれぞれ設けられるウェイトバーキャップとを備え、前記凹部は、前記ウェイトバーキャップのキャップ本体の前後壁を挟み込むように構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のロールスクリーンにおいて、前記凹部は、正面視、或いは背面視で前記ウェイトバーキャップが隠れるように設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のロールスクリーンにおいて、前記一対のガイドレールの各々には、基端で収束し先端で放射状に拡がる長毛形状の部材として構成した一対のモヘアが設けられ、前記一対のモヘアの各先端は、前記スクリーンの外縁部が対応するガイドレールから前後左右に外れる方向に働く力に対し常に反発力を発生させ外れにくくするように前記スクリーンに対して略垂直方向に対向配置して当接するように配設し、前記スクリーンの外縁部における所定の挟持領域を挟持するように設定されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のロールスクリーンにおいて、前記所定の挟持領域について余裕を持たせた余剰領域が前記スクリーンの外縁部に設定されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のロールスクリーンにおいて、前記錘部材の端部には、前記一対のモヘアの各先端の当接に起因する前記スクリーンの外縁部におけるほつれを抑制するために、前記スクリーンの外縁部下端を保持するほつれ防止片が突出形成され、前記ガイドレールは、前記スクリーンの昇降に伴う前記ほつれ防止片の移動を狭間隔に保持して案内する保持案内部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スクリーンのガイドレールからの外れ抑制とその外れ復帰を容易化させることができる。更に、本発明による好適な構成によれば、スクリーンの開閉に係る開度をより大きくとれるようになり、更にはスクリーンのほつれに対する耐性の高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による一実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。
【
図2】本発明による一実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す断面側面図である。
【
図3】本発明による一実施形態のロールスクリーンにおける部分的な概略構成を示す断面平面図である。
【
図4】(a),(b)は本発明による一実施形態のロールスクリーンにおける一実施例の錘部材の端部構成を説明する部分的な斜視図であり、(c)はその変形例を示す斜視図である。
【
図5】(a)は本発明による一実施形態のロールスクリーンにおける一実施例の錘部材の端部構成とガイドレールとの関係を説明する部分的な平面図であり、(b)はその比較例(従来技術)を示す部分的な平面図である。
【
図6】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態のロールスクリーンにおける外れ復帰に係る動作とその作用を説明するために概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態のロールスクリーン1を説明する。尚、本願明細書中、
図1に示すロールスクリーン1の正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向をロールスクリーン1の左側、及び、図示右方向をロールスクリーン1の右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、
図1に示すロールスクリーン1の正面図に対して、視認する側を前側(又は正面側)、その反対側を後側(又は背面側)とする。
【0021】
(全体構成)
図1は、本発明による一実施形態のロールスクリーン1の概略構成を示す正面図である。また、
図2は、本発明による一実施形態のロールスクリーン1の概略構成を示す断面側面図である。そして、
図3は、本発明による一実施形態のロールスクリーン1における部分的な概略構成を示す断面平面図である。
【0022】
図1乃至
図3に示すロールスクリーン1は、窓枠等の枠体(図示略)に組み付けられ、遮蔽材としてのスクリーン2と、遮蔽機構3と、左右のガイドレール4とを備え、スクリーン2の下端には、錘部材として機能するウェイトバー20が設けられている。尚、本例では、当該窓枠等の枠体の下枠体部分において、ロールスクリーン1の下端に下部フレーム7が配置されているが、この下部フレーム7についてはその設置を省略した形態とすることもできる。
【0023】
遮蔽機構3は、遮蔽材の開閉を作動させるための機構であり、本例では
図1及び
図2に示すように、遮蔽材として構成されるスクリーン2を巻き取り、或いは巻き戻す巻取軸30と、巻取軸30の左右両端をそれぞれ回転可能に支持する左右一対の支持部材33a及びその左右一対の支持部材33aを巻取軸30の背面側で支持する取付フレーム33と、ブラケット34を介して取付フレーム33を着脱可能に支持するとともに、当該窓枠等の枠体(図示略)の上枠体部分に対してネジ等により固定可能にする略L字板状(
図2参照)の支持フレーム35と、を備える。
【0024】
尚、本例では、遮蔽機構3における背面及び側面からの防塵性及び意匠性を高めるべく、板状のカバー材31,32が遮蔽機構3における背面及び側面にそれぞれ取着されている。更に、遮蔽機構3における前面及び側面からの防塵性及び意匠性を高めるべく、巻取軸30の前方及びガイドレール4の上部前方を覆う曲板状の前カバー9が遮蔽機構3における前面に取着され、尚且つ前カバー9の形状に合わせて巻取軸30の側方及びガイドレール4の上部側方を覆う側方カバー91が遮蔽機構3における側面に取着されている。そして、前カバー9の内側左右両端部近傍においてそれぞれ捩じれL字状の固定金具10が取付ネジ12を用いて取着されており、左右両側の各ガイドレール4の上部に固定される上キャップ6にもL字状の固定金具11が取付ネジ14を用いて取着されており、これらの固定金具10,11が取付ネジ13を用いて連結固定されている。このため、前カバー9は、左右両側の各ガイドレール4にしっかりと固定され、ばたつくことが無いようになっている。
【0025】
巻取軸30は、スクリーン2を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、スクリーン2及びウェイトバー20を昇降可能とし、これによりスクリーン2の開閉を可能としている。
【0026】
また、本例のロールスクリーン1は、ボールチェーン等の操作コード81を用いて巻取軸30の回転操作を行うことによりスクリーン2を昇降操作するための操作装置8(
図2において簡略図示)が設けられている。より具体的には、操作装置8は、操作コード81を掛装し、操作コード81の操作で回転する操作プーリー82、操作プーリー82の回転に一体となって回転する駆動ギア83、駆動ギヤ82と噛合して回転する中継ギア84、及び中継ギア84と噛合して回転する被動ギア85を有し、被動ギア85の回転が巻取軸30に伝達されることにより、操作コード81を用いて巻取軸30の回転操作を行うことができるようになっている。また、巻取軸30内には、図示を省略しているが、ウェイトバー20の自重降下を防止するブレーキ機構が設けられている。
【0027】
尚、ボールチェーン等の操作コードを用いて巻取軸30の回転操作を行う構成とする代わりに、手でウェイトバー20を掴持してスクリーン2を昇降操作するように構成してもよい。その場合の巻取軸30内には、ウェイトバー20の自重降下を防止するブレーキ機構の他、スクリーン2の巻き取り方向に巻取軸30を付勢するスプリングモータ、及びその掴持操作に係る負荷を定荷重化する定荷重装置を設ける構成とすることができる。ただし、本発明に関してはこれらの操作方法でスクリーン2の昇降操作を行うことに限定する必要はなく、種々の形態とすることができる。例えば、外部からの電気信号に基づいて巻取軸30の回転操作を行うことによりスクリーン2を昇降操作する形態としてもよい。
【0028】
左右のガイドレール4の各々は、それぞれ当該窓枠等の枠体(図示略)の左枠体部分及び右枠体部分に固定され、スクリーン2の左右のそれぞれ対応する外縁部を保持して、スクリーン2を昇降方向に案内する上下方向に長尺な部材である。本例では、左右のガイドレール4の各々は、それぞれガイドレール本体4Aとレールベース4Bとを有しており、左右のガイドレール4の各々におけるレールベース4Bは、それぞれ当該窓枠等の枠体(図示略)の左枠体部分及び右枠体部分に固定され、ガイドレール本体4Aは、対応するレールベース4Bに組み付けられる構造になっている(
図3参照)。ただし、レールベース4Bの利用を省略し、ガイドレール本体4Aを直接的に、当該窓枠等の枠体(図示略)の左枠体部分及び右枠体部分に固定する形態としてもよい。
【0029】
そして、各ガイドレール4の下端部及び上端部には、下キャップ5と上キャップ6が取り付けられている。下キャップ5は、ウェイトバー20とガイドレール4との間の隙間を遮光するための部材であり、当該窓枠等の枠体(図示略)の下枠体部分に固定される。上キャップ6は、遮蔽機構3から垂下するスクリーン2の外縁部を対応するガイドレール4に誘導するための部材であり、
図2に図示するような前側誘導壁61及び後側誘導壁62によって、スクリーン2の外縁部を対応するガイドレール4に誘導する誘導溝63を構成するものとなっている。また、本例では、上キャップ6の後側誘導壁62に、支持フレーム35とガイドレール4の配置関係を位置決めするための位置決め部位64(
図2参照)が形成されたものとなっている。
【0030】
そして、各ガイドレール4におけるガイドレール本体4Aは、図示するように、前側ガイド壁41と後側ガイド壁42を有し、これら前側ガイド壁41と後側ガイド壁42との間隙が、スクリーン2の左右方向一方の外縁部を狭持して案内するためのガイド通路45を形成している。
【0031】
ところで、スクリーン2の下端に設けられる本例の錘部材は、より具体的には、スクリーン2の下端部に取着されるウェイトバー20と、そのウェイトバー20の各端部を覆うようにそれぞれ設けられるウェイトバーキャップ21とを備えるように構成される。ウェイトバーキャップ21は、
図3に示すように、キャップ本体21aと、そのキャップ本体21aから突出形成される板状のほつれ防止片21b(詳細は後述)とを有するものとなっている。
【0032】
そして、左右の各ガイドレール本体4Aは、前側ガイド壁41と後側ガイド壁42との間のガイド通路45を形成する間隙に略F字断面状の保持案内部43が形成されている。前後一対の保持案内部43は、スクリーン2の左右方向一方の外縁部及びウェイトバーキャップ21におけるほつれ防止片21bを前後から狭み込み、スクリーン2の昇降に伴うほつれ防止片21bの移動を狭間隔に保持して案内するようになっている。
【0033】
また、左右の各ガイドレール本体4Aは、それぞれの当該略F字断面状の保持案内部43の基端側でスクリーン2の左右方向中央側へ突出するガイド壁44を形成している。このガイドレール本体4Aにおける保持案内部43及びガイド壁44は、錘部材の端部(本例ではキャップ本体21a)の前後壁を挟み込む凹部46を形成するものとなっている。これにより、この凹部46が、錘部材の前後方向の揺動を規制するように機能し、更には、錘部材の左右方向の揺動を規制するようにも機能する。錘部材としては、本例のようにウェイトバー20の各端部にウェイトバーキャップ21を設ける構成が好ましく、更にはウェイトバーキャップ21として低摩擦係数・低摩耗性の樹脂素材を採用するのが好ましい。即ち、凹部46がウェイトバーキャップ21を挟み込み前後左右の揺動を規制する配置とすることで、ウェイトバー20とガイドレール本体4Aとの接触を避けることができ、尚且つウェイトバー20の昇降時の異音防止とスムーズな昇降性能を維持できるようになる。また、凹部46は、正面視、或いは背面視でウェイトバーキャップ21が隠れるように設けられており、正面視、或いは背面視の意匠性を向上させることができる。
【0034】
また、
図3に示すように、左右の各ガイドレール本体4Aには、前側ガイド壁41と後側ガイド壁42との間のガイド通路45を形成する側に、その長手方向全長に亘って略Ω状とした対向配置の一対の抜け止め部材係止部47が設けられている。この抜け止め部材係止部47の各々には、抜け止め部材15が各ガイドレール本体4Aのほぼ全長に亘って固定される。本例の抜け止め部材15は、基端で収束し先端で放射状に拡がる長毛形状の部材として構成したモヘア15aを採用しており、モヘア15aの基端側には板状の係止片15bが設けられ、この係止片15bが抜け止め部材係止部47に係止されるようになっている。
【0035】
そして、各ガイドレール本体4Aにおける一対のモヘア15aの各先端は、スクリーン2の外縁部が前後左右に外れる方向に働く力に対し常に反発力を発生させ外れにくくするようにスクリーン2に対して略垂直方向に対向配置して当接するように配設した。特に、一対のモヘア15aの各先端は、スクリーン2の昇降動作で生じる定常時の変動量(異物による昇降弊害がなく、スクリーン2に不測の外力が加わっていない通常の昇降動作状態時の変動量)を基に、スクリーン2の外縁部における所定の挟持領域(図示“L1”の幅領域)を挟持するように設定されている。
【0036】
また、スクリーン2の外縁部において、スクリーン2の昇降動作で生じる定常時の変動量を基に設定した当該所定の挟持領域(図示“L1”の幅領域)について余裕を持たせた余剰領域(図示“L2”の幅領域)が、ガイドレール本体4A内に形成される前後一対の内側ガイド壁48の空間内で曲がり無く収まる長さに設定されている。この余剰領域(図示“L2”の幅領域)を設定することで、異物による昇降弊害や、スクリーン2に不測の外力が加わった場合でも、一対のモヘア15aの各先端による狭持により、スクリーン2の外縁部が前後左右に外れる方向に働く力に対し常に反発力を発生させ外れにくくするようにしている。つまり、一対のモヘア15aの各先端がスクリーン2の外縁部を狭持する寸法(生地飲み込み寸法)が浅いと昇降時に外れ易くなるため、その生地飲み込み寸法に余裕を持たせている。
【0037】
即ち、ガイドレール本体4Aにおける一対のモヘア15aの構成及びスクリーン2に対する配置関係を
図3に示すように構成することで、錘部材の前後左右方向の揺動を規制しない構成とするよりも、加えて、放射状に拡がるように構成せずに略平行線状のモヘアを構成するよりも、更に加えて、放射状に拡がるように一対のモヘア15aを構成する場合でもその一対のモヘア15aの各先端がスクリーン2の略垂直方向に対向配置させずにスクリーン2に対して斜めに対向配置させて当接する構成とするよりも、更に加えて、一対のモヘア15aの各先端がスクリーン2の外縁部全部を狭持する配置関係とするよりも、スクリーン2の外縁部が前後左右に外れる方向に働く力に対し常に反発力を発生させ外れにくくする動作を安定化させることができ、これによりスクリーン2のガイドレール本体4Aからの外れ抑制が働くだけでなく、仮に外れてしまった場合でも容易に復帰できるようになる。
【0038】
また、本例のように、放射状に拡がるように構成した一対のモヘア15aの各先端をスクリーン2の略垂直方向に対向配置して当接するように配設することで、ガイドレール本体4Aの左右方向長さをより短くできるので、スクリーン2の開閉に係る開度をより大きくとれるようになる。
【0039】
上述したように、ウェイトバーキャップ21は、
図3に示すように、キャップ本体21aから突出形成される板状のほつれ防止片21bを有するものとなっており、左右の各ガイドレール本体4Aは、前側ガイド壁41と後側ガイド壁42との間のガイド通路45を形成する間隙において、前後に一対の保持案内部43により、スクリーン2の左右方向一方の外縁部及びウェイトバーキャップ21におけるほつれ防止片21bを前後から狭み込み狭間隔に保持して案内するようになっている。
【0040】
本実施例のほつれ防止片21bについては、
図4(a),(b)に概略図示しており、
図4(c)はその変形例のほつれ防止片21bを示している。
図4(a),(b)は本発明による一実施形態のロールスクリーン1における一実施例の錘部材の端部構成(ウェイトバー20及びウェイトバーキャップ21)を説明する部分的な斜視図であり、
図4(c)はその変形例を示す斜視図である。
【0041】
まず、
図4(b)に示すように、ウェイトバー20の端部に設けられるウェイトバーキャップ21は、そのキャップ本体21aから突出形成される板状のほつれ防止片21bに、ウェイトバー20におけるスクリーン2の取着のために開口した生地開口部20aと連なってスリット211が設けられ、このスリット211にスクリーン2の外縁部下端が差し込まれて保持されている。尚、
図4(b)に示す本実施例では、ほつれ防止片21bの上下方向長さは、ウェイトバーキャップ2の上端から、ウェイトバー20に対するスクリーン2の下端取着位置に合わせた位置まで延在する長さとしているが、
図4(c)に示す変形例のように、ほつれ防止片21bの上下方向長さを、ウェイトバーキャップ2の上端から、ウェイトバー20に対するスクリーン2の下端取着位置に合わせた位置まで延在する長さとしてより強度を持たせるようにしてもよい。
【0042】
そして、ガイドレール本体4Aにおける一対のモヘア15aの構成及びスクリーン2に対する配置関係として、
図3にも示しているが、
図4(b)に示すように、スクリーン2の外縁部には、一対のモヘア15aの各先端によるスクリーン2の外縁部の定常時の挟持領域A1(図示“L1”の幅領域)、及び変動時の余剰領域A2(図示“L2”の幅領域)が設定されているが、その挟持領域A1の幅L1の半値以上を重複する長さ(図示“L3”の幅領域)まで、ほつれ防止片21bはキャップ本体21aから突出形成されている。
【0043】
このような配置関係で、キャップ本体21aからほつれ防止片21bを突出形成し、ほつれ防止片21bによりスクリーン2の外縁部下端を保持するように構成することで、ガイドレール本体4Aは、前後に一対の保持案内部43によりほつれ防止片21bを前後から狭み込んでいることから、スクリーン2の昇降に伴うほつれ防止片21bの移動を狭間隔に保持して案内するようになり、スクリーン2の外縁部の曲がりが抑制されることから、モヘア15a又はガイドレール本体4Aとスクリーン2との過剰な擦れが抑制される。このため、その擦れによるスクリーン2のほつれを抑制することができるようになり、尚且つ、ほつれ防止片21bの設置により、より一層、スクリーン2の各外縁部が対応するガイドレール本体4Aから外れにくくするとともに、スクリーン2の昇降をスムーズ化し、操作性を向上させることができる。
【0044】
図5(a)には、本発明による一実施形態のロールスクリーン1における一実施例の錘部材の端部構成とガイドレールとの関係を説明する部分的な平面図を示しており、
図5(b)にはその比較例(特許文献1に示される従来技術)を対比可能に示している。尚、
図5(b)において、
図5(a)と対比する同様な構成要素には、説明の便宜上、同一の参照番号を付している。
【0045】
まず、
図5(b)に示す比較例の構成においては、その詳細は省略するが(特許文献1参照)、ガイドレール4は、ガイドレール本体4Aとレールベース4Bとを有し、レールベース4Bは、当該窓枠等の枠体(図示略)の例えば右枠体部分に固定され、ガイドレール本体4Aは、そのレールベース4Bに組み付けられる構造になっている。ただし、
図5(b)に示す比較例の構成においては、上述した本発明に係る一実施形態の構成(
図5(a)の構成)と比較して、ガイドレール本体4Aの構造、抜け止め部材として抜け止めレバー15Pを用いる点、ウェイトバーキャップ21Pの構造、及び、ガイドレール本体4Aとウェイトバーキャップ21Pの配置関係が異なる。
【0046】
より具体的には、
図5(b)に示す比較例の構成におけるガイドレール本体4Aは、前側ガイド壁41Pと後側ガイド壁42Pのそれぞれに設けられる抜け止め部材として構成する抜け止めレバー15Pによりスクリーン2の外縁部を挟持するものになっており、その外れ抑制の効果が大きいものの、その構造上、ガイドレール本体4Aが、ウェイトバーキャップ21Pに対してウェイトバー20の前後方向の揺れを規制できず、ウェイトバー20の左右方向の揺れについても十分に規制することができない。このため、
図5(b)に示す比較例の構成においては、ガイドレール本体4A及び錘部材の全体としてのスクリーン2の外れ抑制効果には改善の余地があり、更には、スクリーン2の外縁部がガイドレール本体4Aから外れてしまった場合には、ガイドレールからスクリーンの外縁部をすべて引き抜いてスクリーンを昇降させた上で再度組み付け直すことで復帰させる必要があり、復帰作業の手間がかかる。また、
図5(b)に示す比較例の構造上、必然的にガイドレールも大型化することになり、窓枠等に設置する場合では、スクリーンの開閉に係る開度がより小さく制限され、意匠性の観点からも課題が残るものとなっている。
【0047】
一方、本発明に係る一実施形態のロールスクリーン1では、
図5(a)に示すように、ガイドレール4は、ガイドレール本体4Aとレールベース4Bとを有しており、レールベース4Bは、当該窓枠等の枠体(図示略)の例えば右枠体部分に固定され、ガイドレール本体4Aは、そのレールベース4Bに組み付けられる構造になっている点では同様である。ただし、本発明に係る一実施形態のロールスクリーン1では、上述したように、ガイドレール本体4Aは、前側ガイド壁41と後側ガイド壁42のそれぞれに形成される前後一対の保持案内部43により、スクリーン2の外縁部及びウェイトバーキャップ21におけるほつれ防止片21bを前後から狭み込み狭間隔に保持して案内するように構成され、スクリーン2の外縁部は抜け止め部材15として構成する前後一対のモヘア15aにより挟持される。また、上述したように、前後一対の保持案内部43と、各保持案内部43の基端側でスクリーン2の左右方向中央側へ突出するガイド壁44は、錘部材の端部(本例ではキャップ本体21a)の前後壁を挟み込む凹部46を形成するものとなっている。これにより、この凹部46が、ウェイトバー20の前後方向の揺動を規制するように機能し、更には、ウェイトバー20の左右方向の揺動を規制するようにも機能する。
【0048】
従って、
図5(a)に示す本発明に係る一実施形態のロールスクリーン1では、
図5(b)に示す構成の比較例よりも、錘部材の前後の揺れ、及び左右の揺れを小さくすることができ、スクリーン2のガイドレール本体4Aからの外れ抑制とその外れ復帰を容易化させることができる。
図6(a),(b)には、それぞれ本発明による一実施形態のロールスクリーン1における外れ復帰に係る動作とその作用を説明するための正面図を概略的に示している。
【0049】
本発明に係る一実施形態のロールスクリーン1では、ガイドレール本体4Aの凹部46が、ウェイトバー20の前後方向の揺動を規制するように機能し、更には、ウェイトバー20の左右方向の揺動を規制するようにも機能することから、スクリーン2のガイドレール本体4Aからの外れ抑制効果は大きく改善しているが、それでもなお
図6(a)に示すように、スクリーン2に不測の外力が加わってガイドレール本体4Aからスクリーン2の外縁部が外れてしまった場合も、
図6(b)に示すように、ガイドレール本体4Aの凹部46による機能として、操作コード81の昇降動作で、スクリーン2のガイドレール本体4Aからの外れを復帰させることができ、外れ復帰効果も大きく改善するようになる。
【0050】
そして、本発明に係る一実施形態のロールスクリーン1では、ガイドレール本体4Aにおける一対のモヘア15aの構成として放射状に拡がるように構成し、その一対のモヘア15aの各先端をスクリーン2の略垂直方向に対向配置して当接するように配設することで、ガイドレール本体4Aの左右方向長さをより短くできるので、スクリーン2の開閉に係る開度をより大きくとれるようになる。また、一対のモヘア15aの各先端は、スクリーン2の昇降動作で生じる定常時の変動量を基に、スクリーン2の外縁部の所定の挟持領域を挟持するように設定され、更には、当該所定の挟持領域について余裕を持たせた余剰領域がスクリーン2の外縁部に設定されているため、スクリーン2のガイドレール本体4Aからの外れ抑制及び外れ復帰の容易化にも寄与するようになる。
【0051】
ところで、本実施形態に係るロールスクリーン1のように、
図5(a)に示すような抜け止め部材15として
図3に示すような前後一対のモヘア15aにより構成すると、
図5(b)に示すような抜け止めレバー15Pを抜け止め部材とする構成よりも、スクリーン2を構成する生地によっては昇降動作中の擦れに起因して生地にほつれが生じることが懸念される。このため、本発明に係る錘部材では、キャップ本体21aからほつれ防止片21bを突出形成し、ほつれ防止片21bによりスクリーン2の外縁部下端を保持するように構成しており、ガイドレール本体4Aは、前後に一対の保持案内部43によりほつれ防止片21bを前後から狭み込むようにしている。これにより、ガイドレール本体4Aは、スクリーン2の昇降に伴うほつれ防止片21bの移動を狭間隔に保持して案内するようになり、スクリーン2の外縁部の曲がりが抑制されることから、モヘア15a又はガイドレール本体4Aとスクリーン2との過剰な擦れが抑制される。このため、その擦れによるスクリーン2のほつれを抑制することができるようになり、尚且つ、ほつれ防止片21bの設置により、より一層、スクリーン2の各外縁部が対応するガイドレール本体4Aから外れにくくするとともに、スクリーン2の昇降をスムーズ化し、操作性を向上させることができる。
【0052】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した各実施形態では、昇降操作に係る特定の遮蔽機構3を有するロールスクリーン1の例を説明したが、錘部材の手引き操作や、電動操作など、種々の昇降操作に適応させた機構を設ければよい。従って、本発明に係る遮蔽装置は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、枠体に固定されるガイドレールに沿ってスクリーンを昇降するように構成されたロールスクリーンについて、スクリーンのほつれに対する耐性の高い態様で、スクリーンのガイドレールからの外れ抑制とその外れ復帰を容易化させ、スクリーンの開閉に係る開度をより大きくとれるようにすることができるので、枠体に固定されるガイドレールに沿ってスクリーンを昇降するように構成されたロールスクリーンの用途に有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 ロールスクリーン
2 スクリーン
3 遮蔽機構
4 ガイドレール
4A ガイドレール本体
4B レールベース
5 下キャップ
6 上キャップ
7 下部フレーム
8 操作装置
9 前カバー
10,11 固定金具
15 抜け止め部材
15a モヘア
15b 係止片
20 錘部材(ウェイトバー)
21 錘部材(ウェイトバーキャップ)
21a キャップ本体
21b ほつれ防止片
41 前側ガイド壁
42 後側ガイド壁
43 保持案内部
44 ガイド壁
45 ガイド通路
46 凹部
47 抜け止め部材係止部
48 内側ガイド壁