(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167583
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】伸縮装置
(51)【国際特許分類】
B25J 18/06 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B25J18/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073464
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】306024148
【氏名又は名称】公立大学法人秋田県立大学
(71)【出願人】
【識別番号】000155609
【氏名又は名称】KYB-YS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敬
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 達也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 キリロ
(72)【発明者】
【氏名】関野 晃聖
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】荒川 拓也
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CU02
3C707CU07
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT07
3C707HT23
3C707HT33
(57)【要約】
【課題】テープの巻きほぐれを防止することができる伸縮装置を提供すること。
【解決手段】伸縮装置100は、弾性を有するテープ1と、テープ1の巻き取りとテープ1の繰り出しを行うテープ駆動装置10と、を備え、テープ駆動装置10は、テープ1がロール状に巻き付けられるリール6と、リール6へのテープ1の巻き取りとリール6からのテープ1の繰り出しを行うためのモータ11と、一端側が拘束され他端側が移動自由な自由端34であり、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1の外周面に沿って設けられ、テープ1をリール6に対して押し付けるベルト30と、ベルト30の自由端34の位置を調節することにより、ベルト30のテンションを調整するテンション調整機構40と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有するテープと、
前記テープの巻き取りと前記テープの繰り出しを行うテープ駆動装置と、を備え、
前記テープ駆動装置は、
前記テープがロール状に巻き付けられるリールと、
前記リールへの前記テープの巻き取りと前記リールからの前記テープの繰り出しを行うための動力源と、
一端側が拘束され他端側が移動自由な自由端であり、前記リールにロール状に巻き付けられた前記テープの外周面に沿って設けられ、前記テープを前記リールに対して押し付けるバンド部材と、
前記バンド部材の前記自由端の位置を調節することにより、前記バンド部材のテンションを調整するテンション調整手段と、を有する
ことを特徴とする伸縮装置。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮装置であって、
前記テンション調整手段は、前記リールによる前記テープの巻き取り量に応じて前記バンド部材のテンションを調整することを特徴とする伸縮装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の伸縮装置であって、
前記テンション調整手段は、
前記バンド部材の前記自由端側に設けられる受け部と、
前記受け部に接触し、前記バンド部材の前記自由端の位置を決めるカムと、
前記リールの回転に同期して前記カムを回転させ、前記カムと前記受け部の接触を維持させるカム駆動機構と、を有する
ことを特徴とする伸縮装置。
【請求項4】
請求項3に記載の伸縮装置であって、
前記カムのカム形状は、前記リールによる前記テープの巻き取り量に応じて前記バンド部材のテンションが略一定となるように設定されていることを特徴とする伸縮装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の伸縮装置であって、
前記テープ駆動装置は、
前記リール及び前記動力源を収容し、前記テープの出入口が設けられたハウジングと、
前記リールを支持する支持体と、
前記ハウジングに設けられ、前記支持体の移動を案内するガイド部と、をさらに備え、
前記支持体は、前記リールの回転に伴って前記ガイド部に案内されて前記ハウジングに対して移動することを特徴とする伸縮装置。
【請求項6】
請求項5に記載の伸縮装置であって、
前記バンド部材は、前記リールにロール状に巻き付けられた前記テープの外周面に沿って設けられた湾曲部と、前記リールから直線状に延びる前記テープを案内する直線部と、を有し、
前記ハウジングには、前記バンド部材の前記直線部に沿うバンドガイドが取り付けられ、
前記バンド部材の前記湾曲部の端部は、前記バンドガイドに拘束されることを特徴とする伸縮装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の伸縮装置であって、
前記テープは、帯状であって長手方向に垂直な断面が円弧状に形成され、前記バンド部材のテンションにより前記断面が略矩形状に変形されて前記リールにロール状に巻き付けられることを特徴とする伸縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高い伸縮比を有すると共に十分な強度を有する伸縮装置として、特許文献1には、バネ鋼板からなるテープと、テープの巻き取りと繰り出しを行う繰出装置と、を備えるマニピュレータ機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の伸縮装置では、テープはリールにロール状に巻き付けられ、リールを回転させることによってテープの巻き取りと繰り出しが行われる。テープはばね性を有する金属製や合成樹脂製であって弾性力を有するため、リールにテープがロール状に巻き付けられた状態において、テープ同士が接触した状態に維持されずにテープ間に隙間ができる「巻きほぐれ」が生じ易い。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、テープの巻きほぐれを防止することができる伸縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る伸縮装置は、弾性を有するテープと、テープの巻き取りとテープの繰り出しを行うテープ駆動装置と、を備え、テープ駆動装置は、テープがロール状に巻き付けられるリールと、リールへのテープの巻き取りとリールからのテープの繰り出しを行うための動力源と、一端側が拘束され他端側が移動自由な自由端であり、リールにロール状に巻き付けられたテープの外周面に沿って設けられ、テープをリールに対して押し付けるバンド部材と、バンド部材の自由端の位置を調節することにより、バンド部材のテンションを調整するテンション調整手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
この発明では、テープをリールに対して押し付けるバンド部材のテンションがテンション調整手段によって調整されるため、テープの巻きほぐれを防止することができる。
【0008】
また、本発明は、テンション調整手段はリールによるテープの巻き取り量に応じてバンド部材のテンションを調整することを特徴とする。
【0009】
この発明では、テープの巻き取り量に応じてバンド部材のテンションが調整されるため、テープの巻きほぐれを防止することができる。
【0010】
また、本発明は、テンション調整手段は、バンド部材の自由端側に設けられる受け部と、受け部に接触し、バンド部材の自由端の位置を決めるカムと、リールの回転に同期してカムを回転させ、カムと受け部の接触を維持させるカム駆動機構と、を有することを特徴とする。
【0011】
この発明では、リールの回転に同期してカムが回転してカムと受け部の接触が維持されるため、テープの巻き取り量に応じてバンド部材のテンションが調整される。よって、テープの巻きほぐれを防止することができる。
【0012】
また、本発明は、カムのカム形状はリールによるテープの巻き取り量に応じてバンド部材のテンションが略一定となるように設定されていることを特徴とする。
【0013】
この発明では、テープの巻き取り量に応じてバンド部材のテンションが略一定となるようにカム形状が設定されているため、テープの巻きほぐれを防止することができる。
【0014】
また、本発明は、テープ駆動装置は、リール及び動力源を収容し、テープの出入口が設けられたハウジングと、リールを支持する支持体と、ハウジングに設けられ、支持体の移動を案内するガイド部と、をさらに備え、支持体は、リールの回転に伴ってガイド部に案内されてハウジングに対して移動することを特徴とする。
【0015】
この発明では、リールの回転に伴ってリールに巻き付けられたロール状のテープの直径が増減したとしても、リールを支持する支持体がガイド部に案内されてハウジングに対して移動するため、リールによるテープの巻き取りと繰り出しが安定して行われる。
【0016】
また、本発明は、バンド部材は、リールにロール状に巻き付けられたテープの外周面に沿って設けられた湾曲部と、リールから直線状に延びるテープを案内する直線部と、を有し、ハウジングには、バンド部材の直線部に沿うバンドガイドが取り付けられ、バンド部材の湾曲部の端部は、バンドガイドに拘束されることを特徴とする。
【0017】
この発明では、バンド部材の湾曲部の端部がバンドガイドに拘束されているため、テンション調整手段によってバンド部材の自由端の位置を調節することにより、バンド部材のテンションを調整することができる。
【0018】
また、本発明は、テープは、帯状であって長手方向に垂直な断面が円弧状に形成され、バンド部材のテンションにより断面が略矩形状に変形されてリールにロール状に巻き付けられることを特徴とする。
【0019】
この発明では、バンド部材は、テープの巻きほぐれを防止する機能の他に、テープを断面略矩形状に変形させる機能も有するため、部品点数が削減され構造の簡素化が図られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、テープの巻きほぐれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る伸縮装置の模式図であり、伸縮部が最伸長した状態を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係る伸縮装置の模式図であり、伸縮部が最収縮した状態を示す。
【
図3】テープの断面図であって、テープの長手方向に垂直な断面を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る伸縮装置のテープ駆動装置の平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る伸縮装置のテープ駆動装置の側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る伸縮装置のテープ駆動装置の底面図である。
【
図8】ベルト及びテンション調整機構の模式図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る伸縮装置の変形例を示す模式図である。
【
図10A】本発明の実施形態に係る伸縮装置の変形例を示す模式図であって、伸縮部の先端部分の斜視図である。
【
図10B】本発明の実施形態に係る伸縮装置の変形例を示す模式図であって、伸縮部の先端部分の斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る伸縮装置の変形例を示す模式図であって、2つ伸縮装置を連結した形態を示す概略斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る伸縮装置の変形例を示す模式図であって、ベルトガイド近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る伸縮装置100について説明する。
【0023】
まず、主に
図1及び
図2を参照して、伸縮装置100の全体構成について説明する。
図1は、テープ1が伸長した状態の伸縮装置100の模式図であり、
図2は、テープ1が収縮した状態の伸縮装置100の模式図である。
【0024】
伸縮装置100は、テープ1を伸縮させて駆動対象物101を動かしたり、テープ1で物を支持したりするものである。
【0025】
図1に示すように、伸縮装置100は、弾性を有するテープ1と、テープ1の巻き取りとテープ1の繰り出しを行うテープ駆動装置10と、を備える。テープ駆動装置10は、テープ1がロール状に巻き付けられるリール6と、リール6へのテープ1の巻き取りとリール6からのテープ1の繰り出しを行うための動力源としてのモータ11と、リール6及びモータ11を収容するハウジング20と、有する。
【0026】
モータ11はサーボモータであり、回転角度検出器と負荷検出器が内蔵されている。モータ11の回転は、伝達機構12により減速されてリール6に伝達される。伝達機構12は、モータ11に回転シャフト13を介して連結された主動歯車14と、リール6に回転シャフト15を介して連結され、主動歯車に噛み合う従動歯車16と、を有する。モータ11の駆動により伝達機構12を介してリール6が回転することによって、リール6へのテープ1の巻き取りとリール6からのテープ1の繰り出しが行われる。具体的には、モータ11が正転駆動することによってリール6からテープ1が繰り出され、モータ11が逆転駆動することによってリール6にテープ1が巻き取られる。ハウジング20には、テープ1の出入口であるテープガイド21が設けられる。テープガイド21には、テープ1が摺動自在に挿通し、テープ1の出入りを案内するガイドスリットが形成される。
【0027】
テープ1は、弾性を有する材料にて形成され、本実施形態では、ばね鋼にて形成される。テープ1は、ばね鋼に限らず、適度なばね性と剛性を有する材料で形成されればよく、合成樹脂や、合成樹脂に繊維(炭素繊維、ガラス繊維)や金属を組み合せた複合材料にて形成してもよい。
【0028】
テープ1は帯状であって、外力が作用していない状態では、長手方向に直線状に形成される。
図3に示すように、テープ1の幅方向の断面(長手方向に垂直な断面)は円弧状に湾曲して形成され、凸面1aと凹面1bを有する。テープ1は、断面円弧状であるため、長手方向からの外力に対しては高い剛性を示し、容易に折れ曲がることはない。一方、長手方向に垂直な方向からの外力に対しては折れ曲がり、外力が除去されると元の直線状に弾性復帰する。
【0029】
リール6にロール状に巻き付けられているテープ1は、凸面1aが外側となる方向に曲げられて巻き付けられている。これは、断面円弧状であるテープ1は、凸面1aが外側となる方向には比較的容易に曲がる一方、凹面1bが外側となる方向に曲がるには大きな力が必要になるためである。
【0030】
テープ駆動装置10は、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1をリール6に対して押し付けるバンド部材としてのベルト30と、ベルト30のテンションを調整するテンション調整手段としてのテンション調整機構40と、をさらに有する。ベルト30とテンション調整機構40は、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1の巻きほぐれを防止するためのものである。ベルト30及びテンション調整機構40については、後に詳細に説明する。
【0031】
伸縮装置100は、テープ1を180度折り返す折返装置50をさらに備える。テープ1は、1本の連続したテープからなり、テープ駆動装置10から繰り出された後、折返装置50にて180度折り返され、末端がテープ駆動装置10のハウジング20に固定される。このように、テープ1は、折返部2と固定端3とを有する。テープ1は、折返部2では、リール6への巻き付けと同様に、テープ1の凸面1aが外側となる方向に曲げられる。したがって、折返装置50においてテープ1はスムーズに送られる。
【0032】
テープ駆動装置10からテープ1が繰り出されると、テープ1の繰り出し量に応じて、テープ1の折返部2は固定端3から離れる方向(
図1中上方向)へ移動する。一方、テープ駆動装置10がテープ1を巻き取ると、テープ1の巻き取り量に応じて、テープ1の折返部2は固定端3に近づく方向(
図1中下方向)へ移動する。このように、テープ1は、折返部2が自由端として機能し、テープ駆動装置10の駆動に伴って折返部2と固定端3の間の長さが変化する。つまり、テープ1におけるテープガイド21から折返部2を経由して固定端3にわたる部分が、テープ駆動装置10の駆動に伴って伸縮する伸縮部4として機能する。駆動対象物101は折返装置50のケース51に取り付けられるため、伸縮部4を伸縮させることによって、駆動対象物101を動かすことができる。
【0033】
伸縮部4は、先端部に形成されテープ1が180度折り返された折返部2と、テープ1の末端が固定された固定端3とを有するため、2本のテープ1が重なった二重に形成される。したがって、例えば、テープ駆動装置10からテープ1が1m繰り出されると、駆動対象物101は
図1中0.5m上方向へ移動し、テープ駆動装置10がテープ1を1m巻き取ると、駆動対象物101は
図1中0.5m下方向へ移動する。伸縮部4はテープ1が二重に形成されるため、長手方向の剛性が増し、重量のある駆動対象物101を支持して駆動することが可能となる。
【0034】
伸縮部4には、長手方向に間隔を空けて配置され、2本のテープ1を束ねる結束板8が複数設けられる。2本のテープ1は、
図4に示すように、互いの凹面1bが対向するように結束板8によって束ねられる。結束板8には、テープ1の外形形状と相似形状であってテープ1の外形形状よりも僅かに大きい円弧状の2つのガイドスリット8aが形成される。テープ1は、ガイドスリット8aを摺動自在に挿通し、伸縮部4の伸縮時にはガイドスリット8aに案内されて送られる。ガイドスリット8aに沿ってテープ1がスムーズに移動できるように、ガイドスリット8aの内周面にテープ1を案内するベアリングを設けてもよい。
【0035】
図1に示すように、隣り合う結束板8は、紐9によって互いに連結されており、隣り合う結束板8を連結する紐9の長さによって隣り合う結束板8の間隔が設定される。折返装置50に一番近い結束板8(
図1中最上方の結束板8)は、紐9によって、折返装置50のケース51に取り付けられる。また、テープ駆動装置10に一番近い結束板8(
図1中最下方の結束板8)は、紐9によって、ハウジング20に取り付けられる。このように、紐9は、折返装置50とハウジング20にわたって取り付けられ、複数の結束板8を支持する。紐9が全体にわたって張った状態が、伸縮部4の最伸長状態となる(
図1に示す状態)。紐9に代わりロープやワイヤを用いてもよい。
【0036】
伸縮部4のテープ1は、複数の結束板8によって支持されていることにより、外力に対して折れ曲がることが防止されている。テープ1の伸縮部4に過大な外力が作用して伸縮部4がある部分で折れ曲がったとしても、外力が除去されるとテープ1の弾性力によって元の直線状に復帰する。隣り合う結束板8の間隔は、伸縮部4の基端部である固定端3から先端部である折返部2に向かって徐々に大きくなるように配置される。これは、伸縮部4には、基端側ほど大きな負荷が作用するためである。結束板8の数及び隣り合う結束板8の間隔は、伸縮部4の長さ、駆動対象物101の重量、伸縮装置100の用途、及びテープ1の剛性等を考慮して設定される。
【0037】
折返装置50は、ケース51と、ケース51に回転自在に設けられテープ1の走行方向を180度変更する方向変更ローラ52と、方向変更ローラ52に対してテープ1を押し付ける複数のガイドローラ53と、ケース51に設けられケース51内へのテープ1の出入りを案内するテープガイド54と、を有する。
【0038】
テープガイド54には、テープ1が摺動自在に挿通し、テープ1を案内する円弧状の2つのガイドスリットが形成される。2つのガイドスリットの形状は、
図4に示す結束板8に形成された2つのガイドスリット8aと同じ形状である。
【0039】
テープガイド54からケース51内に進入したテープ1は、テープガイド54から方向変更ローラ52にかけて徐々に断面円弧状から断面矩形状に変形して略平らな状態で方向変更ローラ52の外周面に沿って送られる。そして、方向変更ローラ52からテープガイド54にかけて徐々に断面矩形状から断面円弧状に変形する。このように、テープ1は方向変更ローラ52によってスムーズに走行方向が変更される。テープ1におけるテープガイド54と方向変更ローラ52との間の部分は、断面形状が徐々に変化する形状遷移区間となる。この形状遷移区間におけるテープ1は、他の部分と比較して剛性が低いため、折れ曲がり易い。したがって、形状遷移区間におけるテープ1の折れ曲がりを防止するために、形状遷移区間にテープ1の走行を案内するガイドローラ55を設けることが好ましい。
【0040】
次に、主に
図5~
図8を参照して、テープ駆動装置10について詳しく説明する。テープ駆動装置10の部品であるリール6、モータ11、伝達機構12、ベルト30、及びテンション調整機構40は、直方体状のハウジング20内に収容される。
図5はテープ駆動装置10の平面図であり、
図6はテープ駆動装置10の側面図であり、
図7はテープ駆動装置10の底面図であり、
図8はベルト30及びテンション調整機構40の模式図である。なお、
図5~7では、ハウジング20の内部が見えるように、ハウジング20の一部の面を開放した状態を示している。
【0041】
図5に示すように、リール6と従動歯車16を連結する回転シャフト15は、互いに平行な一対の支持板70,71にわたって回転自在に支持される。また、同様に、モータ11と主動歯車14を連結する回転シャフト13は、一対の支持板70,71にわたって回転自在に支持される。なお、
図6では、一対の支持板70,71のうち支持板70の図示を省略している。
【0042】
回転シャフト13は、モータ11の回転軸であって支持板70に回転自在に支持されるモータシャフト13aと、主動歯車14の回転軸であって支持板71に回転自在に支持される歯車シャフト13bと、に分割されている。モータシャフト13aと歯車シャフト13bは、磁気タイプの非接触カップリングによって連結される。本実施形態では、非接触カップリングは、高い伝達トルクを有するネオジム磁石17a,17bである。モータシャフト13aの端部に取り付けられたネオジム磁石17aと、歯車シャフト13bの端部に取り付けられたネオジム磁石17bとの間には隙間が存在する。その隙間にテフロン(登録商標)シート等の隔壁材を配置することにより、モータ11が配置される空間を水密構造にすることが可能となる。このような構成にすれば、伸縮装置100を水没させた状態で使用することが可能となる。
【0043】
ハウジング20にはテープガイド21が設けられ、テープ1はテープガイド21を通じてハウジング20に対して出入りする。テープ1の端部は、リール6の外周面に取り付けられ、モータ11の駆動によるリール6の回転に伴い、リール6へのテープ1の巻き取りとリール6からのテープ1の繰り出しが行われる。なお、
図6では、テープ1がリール6に取り付けられていない状態を示している。
【0044】
上述したように、テープ1は大きな弾性力を有するため、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1には、
図8に白色矢印で示すように、径方向に拡がって元の形状である直線状に戻ろうとする力が発生する。そのため、テープ1がリール6にロール状に巻き付けられた状態において、テープ1同士が接触した状態に維持されずにテープ1間に隙間ができる「巻きほぐれ」が生じ易い。このテープ1の巻きほぐれの対策として、テープ駆動装置10は、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1をリール6に対して押し付けるベルト30と、ベルト30のテンションを調整するテンション調整機構40と、を有する。
【0045】
図6及び
図8に示すように、ベルト30は、ローラ31と、ローラ31を回転自在に支持するローラ支持部32とからなるピースを複数有し、複数のピースが互いに回転自在に連結されることによって構成された湾曲可能なローラ付きベルトである。ベルト30は、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1の外周面に沿って設けられた湾曲部30Aと、リール6から直線状に延びるテープ1を案内する直線部30Bと、を有する。ベルト30の湾曲部30Aは、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1の外周面に沿って折れ曲がるように設けられ、テープ1の外周面を囲む。ベルト30のテンションは湾曲部30Aのローラ31を通じてテープ1に付与される。したがって、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1の外周面にベルト30によってテンションが付与された状態であっても、テープ1は回転自在な複数のローラ31に案内されるため、リール6へのテープ1の巻き取りとリール6からのテープ1の繰り出しがスムーズに行われる。
【0046】
ハウジング20には、ベルト30の直線部30Bに沿うベルトガイド22が取り付けられる。ベルト30の一端側である湾曲部30Aの端部は、ベルトガイド22に固定されて拘束される。また、ベルト30の他端側である直線部30Bの端部は、移動自由な自由端34である。ベルト30の端部はベルトガイド22に拘束されているため、テンション調整機構40によってベルト30の自由端34の位置を調節することにより、ベルト30のテンションを調整することができる。
【0047】
ここで、リール6がテープ1を巻き取ると、リール6に巻き付けられたロール状のテープ1の直径D(
図8参照)は増加する。以下では、リール6に巻き付けられたロール状のテープ1を、「ロール状テープ1」と称する。リール6が1回転してテープ1を1巻分巻き取ると、テープ1の厚さをTとすると、ロール状テープ1の直径Dは2Tだけ増加する。一方、リール6がテープ1を繰り出すと、ロール状テープ1の直径Dは減少する。リール6が1回転してテープ1を1巻分繰り出すと、ロール状テープ1の直径は2Tだけ減少する。リール6がテープ1を巻き取りロール状テープ1の直径Dが増加する過程で、ベルト30の湾曲部30Aの内径が変わらなければ、ベルト30のテンションが過度に大きくなってしまう。一方、リール6がテープ1を繰り出しロール状テープ1の直径Dが減少する過程で、ベルト30の湾曲部30Aの内径が変わらなければ、ベルト30のテンションが過度に小さくなってしまい、巻きほぐれが生じてしまう。このように、リール6によるテープ1の巻き取りと繰り出しに伴って、リール6によるテープ1の巻き取り量が変化し、ロール状テープ1の直径Dが変化するため、それに応じてベルト30の湾曲部30Aの内径を変化させてベルト30のテンションを調整する必要がある。テンション調整機構40は、リール6によるテープ1の巻き取り量に応じて、ベルト30の自由端34の位置を調節することにより、湾曲部30Aの内径を変化させてベルト30のテンションを調整するものである。具体的には、テンション調整機構40は、リール6によるテープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションが略一定となるように調整する。
【0048】
以下では、主に、
図6~
図8を参照して、テンション調整機構40について詳細に説明する。テンション調整機構40は、ベルト30の自由端34側に設けられる受け部としてのカムフォロワ41と、カムフォロワ41に接触し、ベルト30の自由端34の位置を決めるカム42と、リール6の回転に同期してカム42を回転させ、カム42とカムフォロワ41の接触を維持させるカム駆動機構80と、を有する。
【0049】
カムフォロワ41は、治具44を介してベルト30の直線部30Bの端部に取り付けられる。カムフォロワ41は、円柱状のローラであり、回転軸45を中心に回転自在に設けられる。
【0050】
カム42は、回転軸46を中心に回転自在に設けられる。回転軸46は、支持板70に固定されたカム支持板72(
図6参照)に支持される。カム42におけるカムフォロワ41に接触するカム形状は、リール6によるテープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションが略一定となるように設定されている。なお、
図7では、カム支持板72の図示を省略している。
【0051】
カム駆動機構80は、カム42と一体に形成されたウォームホイール81と、ウォームホイール81に噛み合うウォームギア82と、ウォームギア82の回転シャフト83に取り付けられた歯車84と、リール6の回転シャフト15に取り付けられ、歯車84と噛み合う歯車85(
図5参照)と、を有する。リール6の回転は、歯車85、歯車84、ウォームギア82、ウォームホイール81を通じてカム42に伝達される。このように、カム駆動機構80の作用により、カム42はリール6の回転に同期して回転する。
【0052】
リール6が回転してテープ1を巻き取り、ロール状テープ1の直径Dが増加すると、ベルト30の自由端34がリール6に近づく方向(
図8中左方向)に移動する。これに同期して、カム42も回転し(
図7において反時計方向に回転)、カム42とカムフォロワ41の接触が維持される。カム42のカム形状は、リール6によるテープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションが略一定となるように設定されているため、ベルト30のテンションが過度に大きくなることはない。
【0053】
一方、リール6が回転してテープ1を繰り出し、ロール状テープ1の直径Dが減少すると、ベルト30の自由端34がリール6から遠ざかる方向(
図8中右方向)に移動するように、リール6の回転に同期してカム42も回転し(
図7において時計方向に回転)、カム42とカムフォロワ41の接触が維持される。カム42のカム形状は、リール6によるテープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションが略一定となるように設定されているため、ベルト30のテンションが過度に小さくなることはない。
【0054】
このように、カム42の作用により、ベルト30には常に略一定のテンションが付与されるため、リール6に巻き付けられたテープ1の巻きほぐれが防止される。
【0055】
図7は、リール6からテープ1が繰り出され、伸縮部4が最も伸長した最伸長状態(
図1に示す状態)に対応し、ベルト30の自由端34がリール6から最大限まで遠ざかり、カム42が時計方向に最大限まで回転した状態を示している。
図7の状態から、リール6がテープ1を巻き取ると、ベルト30の自由端34は
図7中左方向へ移動すると共にカム42は反時計方向に回転し、伸縮部4が最収縮状態(
図2に示す状態)になると、カム42は
図7に示す状態から約180度回転する。
【0056】
ベルト30は、以上で説明したように、リール6に巻き付けられたテープ1の巻きほぐれを防止する機能の他に、リール6に巻き付けられるテープ1を断面円弧状から断面矩形状に変形させてリール6に巻き付ける機能も有する。リール6に巻き取られるテープ1は、ベルト30のテンションにより断面矩形状の略平らな状態でリール6に巻き取られるため、リール6に安定してロール状に巻き付けられる。このように、ベルト30のテンションは、テープ1の巻きほぐれを防止すると共に、テープ1を断面矩形状に変形させるように作用し、ベルト30は2つの機能を有するため、部品点数が削減され構造の簡素化が図られる。
【0057】
テープ駆動装置10では、リール6によるテープ1の巻き取り量に応じたロール状テープ1の直径Dの変化に伴って、リール6等がハウジング20に対して移動する構成となっている。以下では、この点について説明する。
【0058】
上述したように、ベルト30の一端側である湾曲部30Aの端部は、ベルトガイド22に固定されて拘束される。具体的には、
図6及び
図8に示すように、ベルト30の複数のローラ31のうち端部に設けられるローラ31aが、ベルトガイド22の先端部に設けられる回転軸23に回転自在に取り付けられる。つまり、ベルト30の端部のローラ31aは、ベルトガイド22に拘束され移動不能となっている。
【0059】
図6に示すように、リール6にテープ1が巻き付けられていない状態では、リール6の外周面とベルト30のローラ31aとは接触している。ベルト30のローラ31aはベルトガイド22に拘束されているため、リール6はテープ1を巻き取るのに伴い移動可能な構成となっている。具体的には、リール6は、テープ1を巻き取るのに伴い、ベルトガイド22に拘束されたベルト30のローラ31aから反力を受けて、ローラ31aから離れる方向へと移動する。また、リール6は、テープ1を繰り出すのに伴い、ローラ31aに近づく方向へと移動する。以下に詳しく説明する。
【0060】
上述したように、リール6と従動歯車16の回転シャフト15は、一対の支持板70,71にわたって支持されており、モータ11と主動歯車14の回転シャフト13も、一対の支持板70,71にわたって支持されている。また、カム駆動機構80におけるウォームギア82と歯車84の回転シャフト83(
図7参照)も、一対の支持板70,71にわたって支持されている。また、カム42及びウォームホイール81は、回転軸46を介して支持板70に固定されたカム支持板72(
図6参照)に支持されている。
【0061】
図5及び
図7に示すように、一対の支持板70,71は、双方の間に設けられる一対のスライド板73,74によって固定される。支持板70,71、カム支持板72、及びスライド板73,74は、リール6、モータ11、伝達機構12、カム42、及びテンション調整機構40を支持する支持体としてのフレーム75を構成する。
【0062】
このように、リール6、モータ11、伝達機構12、カム42、及びテンション調整機構40はフレーム75に支持され一体となってハウジング20に対して移動可能である。一方、ハウジング20に固定されたベルトガイド22に、ローラ31aが拘束されたベルト30は、ハウジング20に対して移動不能である。
【0063】
図6に示すように、ハウジング20の内面には、フレーム75の移動を案内するガイド部25,26が設けられる。ガイド部25,26は、ベルトガイド22に対して傾斜して設けられる。フレーム75のうち一対のスライド板73,74は、それぞれガイド部25,26に沿って設けられ、ガイド部25,26に沿ってスライド移動する。以下に、ガイド部25,26の傾斜について説明する。
【0064】
図6及び
図8に示すように、テープ1は、ベルトガイド22とベルト30の直線部30Bとの間に沿ってリール6の外周面に導かれる。リール6によるテープ1の巻き取りと繰り出しに伴い、ベルトガイド22とベルト30の直線部30Bとの間のテープ1の直線部が常にロール状テープ1の接線方向に延びるようにリール6が移動できるように、ガイド部25,26はベルトガイド22に対して傾斜して設けられる。
【0065】
リール6がテープ1を巻き取りロール状テープ1の直径Dが増加すると、リール6は、ベルトガイド22に拘束されたベルト30のローラ31aから反力を受ける。これにより、リール6等を支持するフレーム75は、リール6がローラ31aから離れる方向へ(
図6及び
図8中、黒色矢印Aで示す方向へ)、ガイド部25,26に案内されてハウジング20に対して移動する。一方、リール6がテープ1を繰り出しロール状テープ1の直径Dが減少すると、テンション調整機構40から付与されるベルト30のテンションにより、リール6等を支持するフレーム75は、リール6がローラ31aに近づく方向へ(
図6及び
図8中、黒色矢印Bで示す方向へ)、ガイド部25,26に案内されてハウジング20に対して移動する。フレーム75は、一対の支持板70,71と一対のスライド板73,74を有する枠状に形成され剛性が高いため、ガイド部25,26に沿って安定してスライドする。
【0066】
以上のように、リール6の回転に伴ってロール状テープ1の直径Dが増減したとしても、リール6等を支持するフレーム75がガイド部25,26に案内されてハウジング20に対して移動するため、リール6によるテープ1の巻き取りと繰り出しが安定して行われる。
【0067】
カム42はフレーム75に支持されており、フレーム75と一緒に移動するのに対して、カムフォロワ41はベルト30に支持されており、フレーム75と一緒に移動しない。したがって、リール6の回転に伴って、カム42とカムフォロワ41は相対変位する。
図6及び
図8に示すように、カム42とカムフォロワ41が相対変位しても、カム42とカムフォロワ41が安定した接触状態を維持するために、カムフォロワ41はフレーム75の移動方向と略平行に設けられる。これにより、フレーム75の移動によりカム42が移動したとしても、カム42とカムフォロワ41が接触する向きは変化せずに維持される。
【0068】
また、カムフォロワ41を支持する治具44には、カムフォロワ41に対するカム42の変位を制限する一対の規制板44aが設けられる。一対の規制板44aにより、カム42とカムフォロワ41の接触が維持される。
【0069】
以上のように構成される伸縮装置100の動作について、主に
図1及び
図2を参照して説明する。
【0070】
モータ11が正転駆動してリール6が回転すると、リール6からテープ1が繰り出される。これにより、伸縮部4が伸長し(
図1中上方向へ伸長)、折返装置50に取り付けられた駆動対象物101は
図1中上方向へ移動する。伸縮部4の最大伸長状態(
図1に示す状態)では、紐9が全体にわたって張った状態となる。
【0071】
一方、モータ11が逆転駆動してリール6が回転すると、リール6にテープ1が巻き取られる。これにより、伸縮部4が収縮し(
図1中下方向へ収縮)、折返装置50に取り付けられた駆動対象物101は
図1中下方向へ移動する。伸縮部4は、折返装置50のケース51とテープ駆動装置10のハウジング20との間で隣り合う結束板8が互いに接触する最収縮状態(
図2に示す状態)まで収縮する。伸縮部4の最収縮状態では、紐9は緩んだ状態となる(
図2では紐9の図示を省略)。なお、
図1及び
図2では、テープ駆動装置10が折返装置50の下方に配置される場合について示したが、伸縮装置100の向きに制限はなく、テープ駆動装置10を折返装置50の上方に配置してもよい。
【0072】
リール6からテープ1が繰り出される途中又はリール6にテープ1が巻き取られる途中で、モータ11が停止すると、リール6は停止した状態に維持され、駆動対象物101は伸縮部4によって保持される。モータ11に内蔵された回転角度検出器の検出結果に基づいて、伸縮部4の伸縮量(ストローク)が制御される。また、モータ11に内蔵された負荷検出器によってテープ1に作用する負荷が検出され、その検出結果に基づいてテープ1に作用する過負荷やテープ1の折れ曲がりが判定される。
【0073】
リール6によるテープ1の巻き取り量に応じて、テンション調整機構40はベルト30のテンションが略一定となるように調整する。これにより、リール6に巻き付けられたテープ1の巻きほぐれが防止される。また、リール6の回転に伴って、リール6等を支持するフレーム75はガイド部25,26に案内されてハウジング20に対して移動する。これにより、リール6によるテープ1の巻き取りと繰り出しが安定して行われる。
【0074】
伸縮装置100の用途としては、天窓の開閉装置、ドアの開閉装置、車両のリアハッチを開閉するステーとして用いることができる。また、
図9に示すように、駆動対象物101に代えて、開閉動作が可能なハンド102等のアタッチメントを折返装置50に取り付け、伸縮装置100をマニピュレータとして用いることができる。
【0075】
また、ベルト等を介してテープ駆動装置10を身体に取り付け、折返装置50を床面や椅子の座面に当てて使用することにより、伸縮装置100を立ち上がり支援や立ち姿勢保持のための電動松葉杖として用いることができる。さらに、ベルト等を介して複数のテープ駆動装置10を身体に取り付けると共に、折返装置50にモータで駆動可能な車輪を取り付けることにより、伸縮装置100を歩行支援用として用いることができる。このように、伸縮装置100は、生活支援用としても用いることができる。
【0076】
伸縮装置100は、伸縮部4の最収縮状態(
図2に示す状態)ではコンパクトでありながら伸縮部4のストロークが長く、高い伸縮比を有すると共に、テープ1で構成される伸縮部4の剛性が高いため、種々の用途に利用することができる。
【0077】
以下に、上記実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、以下の変形例と上記実施形態の構成とを組み合わせたり、以下の変形例同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0078】
(1)上記実施形態では、テープ1の幅方向の断面形状が円弧状である形態について説明した。しかし、テープ1の断面形状は円弧状に限定されず、矩形等であってもよい。
【0079】
(2)上記実施形態では、テープ1が折返部2と固定端3を有する形態について説明した。これに代わり、テープ1を折り返さずに、テープ1の先端部に駆動対象物101を取り付けるようにしてもよい。この形態では、伸縮部4を複数本のテープ1で構成してもよい。具体的には、1つのテープ駆動装置10から重ね合わされた複数本のテープ1を同時に繰り出すようにしてもよい。また、複数のテープ駆動装置10からそれぞれ繰り出されたテープ1を束ねるようにしてもよい。
【0080】
(3)上記実施形態では、伸縮部4を180度折り返された1本のテープ1で構成する形態について説明した。
図10A及び
図10Bに示すように、180度折り返された2本のテープ1Aとテープ1Bを90度ずらして配置し、伸縮部4の断面が略円筒状となるようにしてもよい。これにより、伸縮部4の剛性をさらに高めることができる。
図10Aは、伸縮部4の先端部分の斜視図であって、折返装置50を用いずにテープ1A,1Bを折り返す形態を示し、
図10Bは、伸縮部4の先端部分の斜視図であって、折返装置50を用いてテープ1A,1Bを折り返す形態を示している。
図10Bに示す形態は、
図1及び
図2に示す形態と同様に、折返装置50の内部に、テープ1A及びテープ1Bのそれぞれに対して、方向変更ローラ52A,52B、ガイドローラ53A,53B、及びガイドローラ55A,55Bが設けられる。なお、
図10Bでは、折返装置50の内部構成が見えるように、折返装置50の一部の面を省略している。
【0081】
180度折り返された2本のテープ1Aとテープ1Bを90度ずらして配置するには、例えば、
図11に示すように、2つの伸縮装置100(100A,100B)を90度ずらして連結する。具体的には、伸縮装置100A,100Bのテープ駆動装置10A,10Bのハウジング20A,20Bを90度ずらして結合する。伸縮装置100Aのテープ駆動装置10Aから繰り出されるテープ1Aは、折返装置50で折り返され、末端3Aがテープ駆動装置10Aのハウジング20Aに固定される。一方、伸縮装置100Bのテープ駆動装置10Bから繰り出されるテープ1Bは、テープ駆動装置10Aのハウジング20Aの内部を通過し、折返装置50で折り返され、末端3Bがハウジング20Aに固定される。テープ駆動装置10Bから繰り出されるテープ1Bは、ハウジング20A内においては
図5に示す支持板70に沿って延在し、ハウジング20Aの内部を通過する。
【0082】
図10A,
図10B,及び
図11に示すように、2本のテープ1A,1Bを用いる場合には、2本のテープ1A,1Bの伸縮速度を異なるように制御すれば、伸縮部4の先端部において2本のテープ1A,1Bの間で張力を発生させることができる。この張力は、例えば、ハンド102(
図9参照)の握力に利用したり、折返装置50に取り付けられる車輪のブレーキ力に利用したりすることができる。
【0083】
(4)上記実施形態では、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1をリール6に対して押し付けるバンド部材がベルト30である形態について説明した。しかし、バンド部材としては、テープ1をリール6に対して押し付けることができればよく、ベルト30に代えて、例えばチェーンでもよい。
【0084】
(5)上記実施形態では、テンション調整機構40は、カムフォロワ41とカム42を有する形態について説明した。しかし、テンション調整機構40は、この形態に限定されず、ベルト30の自由端34の位置を調節することにより、ベルト30のテンションを調整できる構成であればよく、例えば、リール6の回転に同期して、モータによりベルト30の自由端34の位置を調節する形態でもよい。
【0085】
(6)上記実施形態では、モータ11がサーボモータであって、回転角度検出器と負荷検出器が内蔵される形態について説明した。これに代わり、ハウジング20のテープガイド21や折返装置50のテープガイド54に、テープ1の繰り出し量と巻き取り量を検出して伸縮部4の伸縮量(ストローク)を検出するストロークセンサを設けるようにしてもよい。また、テープ1の固定端3とハウジング20との間に、テープ1に作用する負荷を検出する負荷検出器を設けるようにしてもよい。
【0086】
(7)
図12に示すように、ベルトガイド22の両側部に、テープ1の直線部とベルト30の直線部30Bを収納するための壁部22aを設けてもよい。これにより、テープ1の直線部とベルト30の直線部30Bがベルトガイド22に沿って安定して移動することができる。また、ベルトガイド22の底面に、テープ1の直線部の移動を案内する回転自在なローラ22bを設けてもよい。
【0087】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0088】
伸縮装置100は、弾性を有するテープ1と、テープ1の巻き取りとテープ1の繰り出しを行うテープ駆動装置10と、を備え、テープ駆動装置10は、テープ1がロール状に巻き付けられるリール6と、リール6へのテープ1の巻き取りとリール6からのテープ1の繰り出しを行うためのモータ11(動力源)と、一端側が拘束され他端側が移動自由な自由端34であり、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1の外周面に沿って設けられ、テープ1をリール6に対して押し付けるベルト30(バンド部材)と、ベルト30の自由端34の位置を調節することにより、ベルト30のテンションを調整するテンション調整機構40(テンション調整手段)と、を有する。
【0089】
この構成では、テープ1をリール6に対して押し付けるベルト30のテンションがテンション調整機構40によって調整されるため、テープ1の巻きほぐれを防止することができる。
【0090】
また、テンション調整機構40は、リール6によるテープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションを調整する。
【0091】
この構成では、テープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションが調整されるため、テープ1の巻きほぐれを防止することができる。
【0092】
また、テンション調整機構40は、ベルト30の自由端34側に設けられるカムフォロワ41(受け部)と、カムフォロワ41に接触し、ベルト30の自由端34の位置を決めるカム42と、リール6の回転に同期してカム42を回転させ、カム42とカムフォロワ41の接触を維持させるカム駆動機構80と、を有する。
【0093】
この構成では、リール6の回転に同期してカム42が回転してカム42とカムフォロワ41の接触が維持されるため、テープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションが調整される。よって、テープ1の巻きほぐれを防止することができる。
【0094】
また、カム42のカム形状は、リール6によるテープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションが略一定となるように設定されている。
【0095】
この構成では、テープ1の巻き取り量に応じてベルト30のテンションが略一定となるようにカム形状が設定されているため、テープ1の巻きほぐれを防止することができる。
【0096】
また、テープ駆動装置10は、リール6及びモータ11を収容し、テープ1の出入口が設けられたハウジング20と、リール6を支持するフレーム75(支持体)と、ハウジング20に設けられ、フレーム75の移動を案内するガイド部25,26と、をさらに備え、フレーム75は、リール6の回転に伴ってガイド部25,26に案内されてハウジング20に対して移動する。
【0097】
この構成では、リール6の回転に伴ってリール6に巻き付けられたロール状のテープ1の直径Dが増減したとしても、リール6を支持するフレーム75がガイド部25,26に案内されてハウジング20に対して移動するため、リール6によるテープ1の巻き取りと繰り出しが安定して行われる。
【0098】
また、ベルト30は、リール6にロール状に巻き付けられたテープ1の外周面に沿って設けられた湾曲部30Aと、リール6から直線状に延びるテープ1を案内する直線部30Bと、を有し、ハウジング20には、ベルト30の直線部30Bに沿うベルトガイド22(バンドガイド)が取り付けられ、ベルト30の湾曲部30Aの端部は、ベルトガイド22に拘束される。
【0099】
この構成では、ベルト30の湾曲部30Aの端部がベルトガイド22に拘束されているため、テンション調整機構40によってベルト30の自由端34の位置を調節することにより、ベルト30のテンションを調整することができる。
【0100】
また、テープ1は、帯状であって長手方向に垂直な断面が円弧状に形成され、ベルト30のテンションにより断面が略矩形状に変形されてリール6にロール状に巻き付けられる。
【0101】
この構成は、ベルト30は、テープ1の巻きほぐれを防止する機能の他に、テープ1を断面略矩形状に変形させる機能も有するため、部品点数が削減され構造の簡素化が図られる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0103】
100・・・伸縮装置、1・・・テープ、2・・・折返部、3・・・固定端、4・・・伸縮部、6・・・リール、8・・・結束板、10・・・テープ駆動装置、11・・・モータ(動力源)、12・・・伝達機構、14・・・主動歯車、16・・・従動歯車、20・・・ハウジング、22・・・ベルトガイド(バンドガイド)、25,26・・・ガイド部、30・・・ベルト(バンド部材)、30A・・・湾曲部、30B・・・直線部、31・・・ローラ、34・・・ベルトの自由端、40・・・テンション調整機構(テンション調整手段)、41・・・カムフォロワ(受け部)、42・・・カム、50・・・折返装置、70,71・・・支持板、73,74・・・スライド板、75・・・フレーム(支持体)、80・・・カム駆動機構、81・・・ウォームホイール、82・・・ウォームギア、101・・・駆動対象物