(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167591
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/09 20060101AFI20221027BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20221027BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20221027BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H05K1/09 C
H05K3/00 N
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H05K3/46 S
H01L23/12 F
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073482
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 恵介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康平
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351AA03
4E351BB01
4E351BB33
4E351CC06
4E351CC07
4E351DD04
4E351DD12
4E351DD19
4E351DD20
4E351GG09
4E351GG20
5E316AA15
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC05
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5E316CC09
5E316CC13
5E316CC31
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5E316CC33
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5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH07
5E316HH33
5E316JJ02
5E316JJ03
(57)【要約】
【課題】外部の部品との信頼性の高い接続が可能な配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板の製造方法は、導体パッド12p1、12p2を含む導体層120上に絶縁層110を形成することと、絶縁層110に、導体パッド12p1を露出させる第1開口110a及び導体パッド12p2を露出させる第2開口110bを形成することと、絶縁層110上に第1開口110a及び第2開口110bを覆う被覆層Fを設けることと、第1開口110a上の被覆層Fに第3開口Foを形成することと、第3開口Foに露出する第1導体パッド12p1の表面に第1導体層120の材料と異なる材料を用いて保護膜PFを形成することと、被覆層Fを除去することと、第2導体パッド12p2上に導体ポストを形成することと、を含む。導体ポストは、第1導体層120を構成する材料と同じ材料を用いて形成される。
【選択図】
図4H
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体パッド及び第2導体パッドを含む第1導体層を形成することと、
前記第1導体層上に第1樹脂絶縁層を形成することと、
前記第1樹脂絶縁層に、前記第1導体パッドを露出させる第1開口及び前記第2導体パッドを露出させる第2開口を形成することと、
前記第1樹脂絶縁層上に前記第1開口及び前記第2開口を覆う被覆層を設けることと、
前記第1開口上の前記被覆層に第3開口を形成することと、
前記第3開口に露出する前記第1導体パッドの表面に前記第1導体層の材料と異なる材料を用いて保護膜を形成することと、
前記被覆層を除去することと、
前記第2導体パッド上に導体ポストを形成することと、
を含む、配線基板の製造方法であって、
前記導体ポストは、前記第1導体層を構成する材料と同じ材料を用いて形成される。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第3開口は、前記被覆層の前記第1導体パッドと反対側からのレーザー光の照射によって形成される。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1導体層及び前記導体ポストは銅を含む材料で形成される。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1導体層は銅を含む材料で形成され、前記保護膜はニッケル、パラジウム、及び金を含む材料で形成される。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第3開口の径は、前記第1開口の径よりも小さく形成される。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記導体ポストを形成することは、前記導体ポストの表面にニッケル及び錫を含む層を形成することを含んでいる。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、
前記配線基板の厚さ方向における前記第1導体層の前記第1樹脂絶縁層と反対側に第2導体層を形成することと、
前記第2導体層を被覆する第2樹脂絶縁層を形成することと、
前記第2樹脂絶縁層に前記第2導体層を露出させる第4開口を形成することと、
前記第1導体パッドへの前記保護膜の形成と共に、前記第4開口に露出する前記第2導体層の表面に前記保護膜と同じ材料を用いて保護膜を形成することと、
をさらに含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メタルポストを備える基板が開示されている。メタルポストはソルダーレジスト層に形成される開放部内に露呈する接続パッド上に形成されており、開放部を充填している。メタルポストは基板が備える接続パッドの全てに形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている基板では、接続パッドすべての上にメタルポストが形成される。基板の接続パッドが形成されている面に、形状の異なる複数の電子部品を搭載することが困難な場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態である配線基板の製造方法は、第1導体パッド及び第2導体パッドを含む第1導体層を形成することと、前記第1導体層上に第1樹脂絶縁層を形成することと、前記第1樹脂絶縁層に、前記第1導体パッドを露出させる第1開口及び前記第2導体パッドを露出させる第2開口を形成することと、前記第1樹脂絶縁層上に前記第1開口及び前記第2開口を覆う被覆層を設けることと、前記第1開口上の前記被覆層に第3開口を形成することと、前記第3開口に露出する前記第1導体パッドの表面に前記第1導体層の材料と異なる材料を用いて保護膜を形成することと、前記被覆層を除去することと、前記第2導体パッド上に導体ポストを形成することと、を含んでいる。前記導体ポストは、前記第1導体層を構成する材料と同じ材料を用いて形成される。
【0006】
本発明の実施形態によれば、保護膜に被覆される導体パッドと、保護膜を介さずに導体パッド上に直接形成される導体ポストとを同一の部品実装面に有する配線基板が提供され得る。形状の異なる複数の電子部品を同一の面において信頼性高く接続することが可能な配線基板が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態の方法により製造される配線基板の一例を示す断面図。
【
図3】本発明の実施形態の方法により製造される配線基板の他の例を示す断面図。
【
図4A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図4B】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図4C】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図4D】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図4E】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図4F】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図4G】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図4H】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す部分拡大図。
【
図4I】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図4J】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す部分拡大図。
【
図4K】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態である配線基板の製造方法により製造される配線基板が図面を参照しながら説明される。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、本発明の特徴が理解され易いように描かれている。
図1には、実施形態の製造方法によって製造される配線基板の一例として、配線基板1の断面図が示されている。
【0009】
図1に示される例の配線基板1は、絶縁層(コア絶縁層)101と、コア絶縁層101の両面に形成された導体層(コア導体層)102を含むコア基板100を有している。コア基板100の両面上には、それぞれ、絶縁層及び導体層が交互に積層されている。図示の例では、コア基板100の一方の面F1上には、絶縁層11及び導体層12、120が積層された第1ビルドアップ部10が形成されている。また、コア基板100の他方の面F2上には、絶縁層21及び導体層22、220が積層された第2ビルドアップ部20が形成されている。
【0010】
第1ビルドアップ部10上には、ソルダーレジスト層110が形成されている。第2ビルドアップ部20上には、ソルダーレジスト層210が形成されている。ソルダーレジスト層110には開口110a、110bが形成され、開口110a、110b内には第1ビルドアップ部10における最も外側の導体層120が有する導体パッド12p1、12p2が露出している。ソルダーレジスト層210には開口210aが形成され、開口210a内には第2ビルドアップ部20における最も外側の導体層220が有する導体パッド22pが露出している。
【0011】
配線基板1における、第1ビルドアップ部10の最外の導体層120が有する複数の導体パッド12p1、12p2のうち、導体パッド12p2の上には導体ポスト14pが形成されている。導体ポスト14pは、導体パッド12p2をその内部に露出させる開口110bを充填して配線基板1の最外の面の一部を構成する。実施形態の製造方法により製造される配線基板においては、詳しくは
図2を参照して後述されるように、その上に導体ポスト14pが形成されずに配線基板1の最表面に露出する導体パッド12p1の上面には保護膜PFが形成される。また、その上に導体ポスト14pが形成される導体パッド12p2の上面には保護膜PFは形成されず、導体ポスト14pは導体パッド12p2上に直接形成されている。
【0012】
実施形態の配線基板の製造方法、及び製造される配線基板の説明においては、配線基板1における第1ビルドアップ部10の最も外側の導体層120は第1導体層120とも称される。第1導体層120を被覆するソルダーレジスト層110は第1樹脂絶縁層110とも称される。また、配線基板1における第2ビルドアップ部20における最も外側の導体層220は、第2導体層220とも称され、第2導体層220を被覆するソルダーレジスト層210は第2樹脂絶縁層210とも称される。第1導体層120に含まれる複数の導体パッド12p1、12p2のうち、配線基板1の表面に露出している導体パッド12p1は第1導体パッド12p1とも称され、第1導体パッド12p1を露出させる開口110aは第1開口110aとも称される。その上に導体ポスト14pが形成されている導体パッド12p2は、第2導体パッド12p2とも称され、導体ポスト14pで充填される開口110bは、第2開口110bとも称される。第2導体層220に含まれる導体パッド22pを露出させる第2樹脂絶縁層210の開口210aは、第4開口210aとも称される。
【0013】
なお、配線基板1及び配線基板1の製造方法の説明においては、コア絶縁層101から遠い側を、「上」、「上側」、「外側」、又は「外」と称し、コア絶縁層101に近い側を、「下」、「下側」、「内側」、又は「内」と称する。また、各絶縁層及び導体層において、コア基板100と反対側を向く表面は「上面」とも称され、コア基板100側を向く表面は「下面」とも称される。従って、実施形態の製造方法によって製造される配線基板の説明では、第1導体層120の、第1樹脂絶縁層110の第1及び第2開口110a、110bから露出する面は、第1及び第2導体パッド12p1、12p2の上面とも称され、導体ポスト14pの第1導体層120と反対側の面は、導体ポスト14pの上面とも称される。第2導体層220の、第2樹脂絶縁層210の第4開口210aから露出する面は、導体パッド22pの上面とも称される。
【0014】
図示される例において、導体パッド12p1、12p2、ソルダーレジスト層110、及び導体ポスト14pそれぞれの露出面によって構成される、配線基板1の最も外側の表面は、第1面Faと称される。配線基板1における、第1面Faと反対側の、ソルダーレジスト層210及び導体パッド22pそれぞれの露出面によって構成される最も外側の表面は、第2面Fbと称される。すなわち、配線基板1は、配線基板1の厚さ方向と直交する方向に広がる2つの表面として第1面Fa、及び第1面Faの反対面である第2面Fbを有している。
【0015】
配線基板1が有する各導体層102、12、120、22、220は、任意の導体パターンを有するようにパターニングされている。図示の例では、第1導体層120において、第1面Faに露出する第1導体パッド12p1は、配線基板1の使用時において配線基板1に実装され得る部品が有する接続用の端子と電気的及び機械的に接続し得るパターンに形成されている。また、第1導体層120において、第2導体パッド12p2は、配線基板1の使用時において配線基板1に実装され得る部品の接続端子と、導体バンプ14pを介して接続可能なパターンに形成されている。
【0016】
すなわち、第1面Faを構成する導体パッド12p1及び導体ポスト14p、は外部の部品が配線基板1に搭載される際の接続部として使用され、配線基板1の第1面Faは複数の部品が搭載され得る部品実装面であり得る。導体ポスト14p及び導体パッド12p1には、例えば、はんだなどの接合材(図示せず)を介して外部の部品の電極が電気的及び機械的に接続され得る。外部の部品として、例えばベアチップ半導体などの電子部品が部品実装面に実装され得る。配線基板1の使用時において、第1導体パッド12p1に接続され得る部品と、第2導体パッド12p2に接続される部品とは、異なり得る。
【0017】
図1に示される例の配線基板1における、第1面Faに対して反対側の面である第2面Fbは、例えば任意の電気機器のマザーボードなどの外部要素に配線基板1が実装される場合に、外部要素に接続される接続面であり得る。また、第2面Fbは、第1面Faと同様に、半導体集積回路装置のような電子部品が実装される部品実装面であってもよい。第2面Fbを構成する導体パッド22pは、これらに限定されない任意の基板、電気部品、又は機構部品などと接続され得る。第2面Fbを構成する導体パッド22pの上面には、第1面Faを構成する第1導体パッド12p1の上面に形成される保護膜PFと同様の保護膜PFが形成され得る。
【0018】
コア基板100の絶縁層101には、コア基板100における一方の面F1を構成する導体層102と他方の面F2を構成する導体層102とを接続するスルーホール導体103が形成されている。絶縁層11、21のそれぞれには、絶縁層11、21それぞれを挟む導体層同士を接続するビア導体13、23が形成されている。図示の例では、スルーホール導体103は、一方の面F1及び他方の面F2の両側からコア基板100の厚さにおける中央部分に向かって縮径するテーパー形状を有し、各ビア導体13、23は、配線基板の外側から内側に向かって縮径するテーパー形状を有している。スルーホール導体103は長さ方向(コア基板100の厚さ方向)において径の大きさが略同一に形成されてもよく、あるいは、片方の面から他方の面に向って(例えば、一方の面F1から他方の面F2に向って)縮径するテーパー形状を有してもよい。
【0019】
導体層102、12、120、22、220、ビア導体13、23、スルーホール導体103、及び導体ポスト14pは、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成され、例えば、銅箔などの金属箔、及び/又は、めっき若しくはスパッタリングなどで形成される金属膜によって構成される。導体層102、12、120、22、220、ビア導体13、23、スルーホール導体103、及び導体ポスト14pは、
図1では単層構造で示されているが、2つ以上の金属層を有する多層構造を有し得る。例えば、絶縁層101の表面上に形成されている導体層102は、金属箔、金属膜(例えば無電解めっき膜)、及びめっき膜(例えば電解めっき膜)を含む3層構造を有し得る。また、導体層12、120、22、220、ビア導体13、23、スルーホール導体103、並びに導体ポスト14pは、例えば、金属膜及び電解めっき膜を含む2層構造を有し得る。
【0020】
絶縁層101、11、21は、それぞれ、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成される。各絶縁層は、ガラス繊維などの補強材(芯材)及び/又はシリカ、アルミナなどの無機フィラーを含んでいてもよい。ソルダーレジスト層110、210は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いて形成され得る。
【0021】
図2には、
図1において一点鎖線で囲まれる、第1導体パッド12p1、第2導体パッド12p2、及び導体ポスト14pを含む領域IIを拡大した拡大図が示されている。なお、図示される拡大図においては、導体層12、120が金属膜12a及び電解めっき膜12bの2層を含む例が示されている。配線基板1の第1導体層120における、第1導体パッド12p1の上面には保護膜PFが形成されている。保護膜PFは、第1導体パッド12p1を構成する材料(例えば銅)とは異なる材料(例えば、ニッケル、パラジウム、金、錫など)を用いて形成されている。
【0022】
保護膜PFとしては、無電解めっき法により形成される多層構造の膜が例示される。図示される例では、保護膜PFは、下地層pf1、中間層pf2、及び表面層pf3の3層構造を有しており、第1導体層120が銅を含んでいる場合には、例えば、下地層pf1はニッケルを含み、中間層pf2はパラジウムを含み、表面層pf3は金を含む。なお、この保護膜PFは配線基板1の第1面Faを構成する第1導体パッド12p1に加えて、第2面Fbを構成する導体パッド22p(
図1参照)の表面にも形成され得る。
【0023】
一方、その上に導体ポスト14pが形成される第2導体パッド12p2の上面には、保護膜PFは形成されない。第2導体パッド12p2の上面には、直接、導体ポスト14p(具体的には導体ポスト14pを構成する金属膜14pa)が形成される。図示される例では、導体ポスト14pは金属膜14pa及び電解めっき膜14pbの2層構造で構成されており、導体ポスト14pを構成する金属膜14pa及び電解めっき膜14pbは、第2導体パッド12p2と同じ材料(例えば銅)を含んでいる。
【0024】
実施形態の製造方法により製造される配線基板では、第1導体層120を構成する第1導体パッド12p1及び第2導体パッド12p2のうち、配線基板1の表面に露出する第1導体パッド12p1の上面は、保護膜PFで被覆される。保護膜PFは第1導体パッド12p1を構成する材料と異種の材料で構成される。また、第2導体パッド12p2の上面には保護膜PFは形成されず、第2導体パッド12p2を構成する材料と同種の材料で構成される導体ポスト14pが、第2導体パッド12p2上に直接形成される。この構成により、部品実装面である第1面Faには、異なる形状の(具体的には、接続端子の形態の異なる)複数の部品が良好な品質で接続される場合がある。
【0025】
具体的には、外部の部品が接続され得る第1導体パッド12p1の表面は保護膜PFにより被覆されることで、表面の腐食や酸化が抑制され得る。また、第2導体パッド12p2と導体ポスト14pとの接合は、同種の材料が接合されることに因り比較的高い強度で実現され得る。従って、保護膜PFにより表面状態が良好な第1導体パッド12p1と外部の部品との接続が良好に実現され得ると同時に、導体ポスト14pと第2導体パッド12p2との比較的強度の高い接合により、導体ポスト14pを介した、第2導体パッド12p2と部品との接続が信頼性高く実現され得る。
【0026】
図示されるように、導体ポスト14pの上面には、めっき層PLが形成され得る。めっき層PLにより、導体ポスト14pと外部の部品の接続端子との間に介在し得る接続部材(例えばはんだ)と導体ポスト14pとの濡れ性が向上することがある。図示されるめっき層PLは下層pl1及び上層pl2の2層構造を有しており、導体ポスト14pが銅を含む場合、例えば、下層pl1はニッケルを含み、上層pl2は錫を含み得る。
【0027】
上述の
図1及び
図2を参照した説明では、第1面Fa及び第2面Fbのうち第1面Faのみに導体ポスト14pが形成される配線基板1の例が説明されたが、導体ポストは第1面Fa及び第2面Fbの両方において形成されてもよい。第1面Fa及び第2面Fbの両方において導体ポスト14pが形成される例が、
図3に配線基板1aとして示される。配線基板1aにおける第1面Faには、第1導体パッド12p1、及び第2導体パッド12p2上に形成された導体ポスト14pが露出している。配線基板1aにおける第2面Fbには、第3導体パッド22p1、及び第4導体パッド22p2上に形成された導体ポスト24pが露出している。
【0028】
図示される配線基板1aでは、上述された配線基板1と同様に、第1導体パッド12p1上には保護膜PFが形成され、第2導体パッド12p2の上面(すなわち第2導体パッド12p2と導体ポスト14pの界面)には保護膜PFは形成されない。第3導体パッド22p1には第1導体パッド12p1の表面に形成される保護膜PFと同じ材料及び構造の保護膜PFが形成され、その上に導体ポスト24pが形成される第4導体パッド22p2には保護膜PFは形成されない。このように、配線基板1aの両面(第1面Fa及び第2面Fb)において導体パッド12p1、22p1及び導体ポスト14p、24pが露出している構成により、配線基板1aの両面において複数の電子部品を信頼性高く実装することが可能になる場合がある。
【0029】
図4A~
図4Kを参照して、
図1に示される配線基板1が製造される場合を例に、実施形態の配線基板の製造方法が説明される。先ず、
図4Aに示されるように、コア基板100が用意される。コア基板100の用意では、例えば、コア絶縁層101を含む両面銅張積層板が用意される。そしてサブトラクティブ法などによって所定の導体パターンを含む導体層102を絶縁層101の両面に形成すると共に、スルーホール導体103を絶縁層101内に形成することによってコア基板100が用意される。
【0030】
次いで、
図4Bに示されるように、コア基板100の一方の面F1上に絶縁層11が形成され、その絶縁層11上に導体層12が積層される。コア基板100の他方の面F2上には絶縁層21が形成され、その絶縁層21上に導体層22が積層される。例えば各絶縁層11、21は、フィルム状の絶縁性樹脂を、コア基板100上に熱圧着することによって形成される。導体層12、22は、絶縁層11、21に例えばレーザー光によって形成され得る開口13a、23aを充填するビア導体13、23と同時に、セミアディティブ法などの任意の導体パターンの形成方法を用いて形成される。
【0031】
続いて、
図4Cに示されるように、コア基板100の一方の面F1及び他方の面F2の外側には、上述の絶縁層11及び導体層12の積層と同様の方法で、さらに絶縁層及び導体層の積層が繰り返され、第1ビルドアップ部10及び第2ビルドアップ部20が形成される。第1ビルドアップ部10における最も外側の第1導体層120は、第1導体パッド12p1及び第2導体パッド12p2を含むパターンに形成される。第2ビルドアップ部20における最も外側の第2導体層220は、導体パッド22pを含むパターンに形成される。
【0032】
次いで、
図4Dに示されるように、第1ビルドアップ部10の最外の導体層である第1導体層120の上面を被覆する第1樹脂絶縁層(ソルダーレジスト層)110が形成される。併せて、第2ビルドアップ部20の最外の導体層である第2導体層220の上面を被覆する第2樹脂絶縁層(ソルダーレジスト層)210が形成される。例えば、スプレーコーティング、カーテンコーティング、又はフィルム貼り付けなどによって、感光性を有するエポキシ樹脂膜が第1及び第2導体層120、220上に形成される。露光及び現像により、第1樹脂絶縁層110には第1開口110a及び第2開口110bが形成され、第2樹脂絶縁層には第4開口210aが形成される。第1樹脂絶縁層110の第1開口110aには第1導体パッド12p1が露出し、第2開口110bには第2導体パッド12p2が露出する。第2樹脂絶縁層210の第4開口210aからは導体パッド22pが露出する。
【0033】
次いで、
図4Eに示されるように、第1樹脂絶縁層(ソルダーレジスト層)110上に被覆層Fが形成される。被覆層Fによって第1開口110a及び第2開口110bが閉塞される。被覆層Fは、続く第1導体層120の表面へ選択的にめっき膜を形成する工程において、第2導体パッド12p2をめっき液からマスキングする。被覆層Fは、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)を含む樹脂フィルムであり得る。
【0034】
次いで、
図4Fに示されるように、被覆層Fに、第1開口110aに連通する第3開口Foが形成され、第1導体パッド12p1が露出する。
【0035】
第3開口Foは、被覆層Fの第3開口Foが形成されるべき箇所に対応した位置に、例えば炭酸ガスレーザー又はYAGレーザーなどのレーザー光を、被覆層Fの上側から照射することで形成され得る。例えば、レーザー光は平面視において開口110aと重なる領域の内側に照射され、被覆層Fに形成される第3開口Foは、図示されるように、その径が開口110aの径よりも小さい。これにより、レーザー光による第1樹脂絶縁層110の損傷が回避され得る。なお、第3開口Foを有する被覆層Fの形成は、上述の樹脂フィルムの配置及びレーザー光による穿孔に限定されず、第1樹脂絶縁層110上への感光性ドライフィルムの形成、及び、露光並びに現像による開口Foの形成が実施されてもよい。
【0036】
次いで、
図4Gに示されるように、第3開口Fo及び第1開口110aから露出する第1導体パッド12p1の表面に保護膜PFが形成される。併せて、第2面Fbの第4開口210aから露出する導体パッド22pの表面に保護膜PFが形成される。保護膜PFは、例えば無電解めっきによって形成され、第1及び第2導体層120、220を構成する材料(例えば銅)とは異なる材料(例えば、ニッケル、パラジウム、金など)を用いて形成される。保護膜PFを形成する工程において、第2導体パッド12p2をその内側に露呈させる第2開口110bは被覆層Fによって閉塞されている。従って、第2導体パッド12p2は保護膜PFを形成する工程において、めっき液とは遮断され、よって、第2導体パッド12p2の表面には保護膜PFは形成されない。すなわち、第1導体層120が有する複数の第1及び第2導体パッド12p1、12p2のうち、第1導体パッド12p1のみに選択的に保護膜PFが形成される。
【0037】
図4Gに示される、実施形態の製造方法における保護膜PFを形成する工程が、
図4Gの領域Hの拡大図である
図4Hを参照して詳述される。
図4Hに示されるように、第1導体パッド12p1の表面に、下地層pf1、中間層pf2、及び表面層pf3の3層から構成される保護膜PFが形成される例が説明される。
【0038】
先ず、被覆層Fの第3開口Foから露出する、例えば、銅を含む第1導体パッド12p1の上面の脱脂及び酸化膜除去の処理が行われた後に、下地層pf1として、例えば無電解ニッケルめっき層が形成される。例えば、ニッケル化合物及びヒドラジンなどを含む無電解ニッケルめっき液が用いられ、無電解ニッケルめっき層が第1導体パッド12p1の表面に形成される。続いて、下地層pf1の表面に、中間層pf2として無電解パラジウムめっき層が形成される。例えば、パラジウム化合物及び次亜リン酸化合物などを含む還元型無電解パラジウムめっき液を使用して、無電解パラジウムめっき層が形成される。続いて、中間層pf2上に、表面層pf3として、例えば無電解金めっき層が形成される。例えば、金化合物及びヘキサメチレンテトラミンなどを含む還元型無電解金メッキ液を使用して、無電解金メッキ層が形成される。下地層pf1、中間層pf2、表面層pf3夫々の層厚は、めっき液の濃度、温度、浸漬時間などによって調整され得る。
【0039】
第1導体パッド12p1への保護膜PFの形成後、被覆層Fが第1樹脂絶縁層110から除去される。
図4Iに示されるように、被覆層Fの除去により、第2導体パッド12p2が第2開口110bから露出し、第1導体層120に含まれるすべての導体パッド12p1、12p2は露出した状態となる。
【0040】
次いで、被覆層Fの除去によって露出する第2導体パッド12p2上に導体ポスト14pが形成される。
図4Jには、導体ポスト14pを形成する工程における、第2導体パッド12p2近傍の拡大図が示されている。導体ポスト14pの形成には、例えばセミアディティブ法が用いられ得る。図示されるように、第1導体層120を構成する材料と同じ材料(例えば銅)を含む金属膜14paが、第1樹脂絶縁層110の上面及び開口110a、110bの内面に形成される。金属膜14paは、例えば、無電解めっき又はスパッタリングによって形成され得る。
【0041】
続いてめっきレジストPRが金属膜14pa上に形成され、露光及び現像によって導体ポスト14pが形成されるべき位置に対応して、第2開口110bに連通して第2導体ポスト12p2を露出させる開口PRoが形成される。続いて、金属膜14paをシード層とする電解めっきにより電解めっき膜14pbが形成される。電解めっき膜14pbの上面にはめっき層PLが形成され得る。めっき層PLは、例えば、図示されるように下層pl1と上層pl2の2層構造とされ、下層pl1は例えば電解ニッケルめっきによって形成され、上層pl2は例えば電解錫めっきによって形成される。
【0042】
電解めっき膜14pb及びめっき層PLの形成後、めっきレジストPRが除去され、めっきレジストPRの除去によって露出する金属膜14paが強塩基溶液を使用するクイックエッチングにより除去される。これにより、
図4Kに示されるように、第1面Faに、表面に保護膜PFが形成された第1導体パッド12p1、及び、第2導体パッド12p2上に形成された導体ポスト14pが露出する配線基板1の形成が完了する。
【0043】
配線基板1の製造方法では、第1導体層120に含まれる複数の導体パッド12p1、12p2のうち、一部の導体パッド12p1の上面は保護膜PFで保護される。一方、第2導体パッド12p2上には、第2導体パッド12p2に含まれる材料と同じ材料を用いて、導体ポスト14pが直接形成される。第2導体パッド12p2と導体ポスト14pとは強固に接合され得る。従って、先述したような、部品実装面である第1面Faに複数の部品を信頼性高く実装し得る配線基板1が提供され得る。なお、導体パッド12p1、22pへの保護膜PFの形成後、導体ポスト14pを形成する工程中、第2導体層220が露出する第2面Fbは、例えばPETなどの適切な保護板により適切に保護され得る。
【0044】
実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。本実施形態の製造方法では、少なくとも、第1樹脂絶縁層110の開口110a、110bから露出する複数の導体パッド12p1、12p2のうち、被覆層Fの開口Foから露出する導体パッド12p1の表面にのみ選択的に保護膜PFが形成され、導体ポスト14pが導体パッド12p2上に直接形成されればよい。従って、実施形態の製造方法によって製造される配線基板は、コア基板100の両面に第1及び第2ビルドアップ部10、20が形成される態様に限定されず、コア基板100の形成、及び、第2ビルドアップ部20の形成は省略されてよい。
【0045】
例えば、導体ポスト14pを形成する方法は、金属膜14paの形成及び金属膜14paをシード層とした電解めっきに限られず、無電解めっきにより導体ポスト14pが形成される場合がある。先に説明された製造方法の条件や順序などは適宜変更され得る。現に製造される配線基板の構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてよい。例えば、
図3に示される配線基板1aが製造される場合には、第2導体層220に含まれる第4導体パッド22p2は、第2導体パッド12p2と同様に、第2樹脂絶縁層210上に形成される被覆層によりマスクされ得る。被覆層に形成される開口から露出する第3導体パッド22p1の表面にのみ選択的に保護膜PFが形成され、第4導体パッド22p2上に保護膜PFを介さずに導体ポスト24pが形成され得る。
【符号の説明】
【0046】
1、1a 配線基板
11、21、101 絶縁層
12、22、102 導体層
12p1 導体パッド(第1導体パッド)
12p2 導体パッド(第2導体パッド)
22p 導体パッド
14p 導体ポスト
110 ソルダーレジスト層(第1樹脂絶縁層)
210 ソルダーレジスト層(第2樹脂絶縁層)
110a 開口(第1開口)
110b 開口(第2開口)
210a 開口(第4開口)
120 導体層(第1導体層)
220 導体層(第2導体層)
F 被覆層
Fo 開口(第3開口)
PF 保護膜
PL めっき膜