(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167609
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】磁石体の位置・方位検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20221027BHJP
H01L 43/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G01R33/02 L
G01R33/02 D
H01L43/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073521
(22)【出願日】2021-04-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】713000630
【氏名又は名称】マグネデザイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】本蔵 義信
(72)【発明者】
【氏名】本蔵 晋平
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AD44
2G017BA05
2G017BA15
2G017CB02
2G017CB18
5F092AA03
5F092AA20
5F092AB01
5F092AC30
5F092EA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、GSRセンサを使用した磁界ベクトルセンサグリッドを開発し、微小磁石体の位置と方位を検出することを可能にするすることである。
【解決手段】10nT以下の検出力を有する磁界ベクトルセンサと磁界ベクトルセンサグリッドを開発し、磁石体が発する磁界を計測し、ガウスニュートン法を基礎にした計算方法に、入力データの誤差と数を適切に選択して入力することによって、磁石体の位置と方位を高い精度で検出する装置から構成される。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石体、磁界ベクトルセンサ、磁界センサグリッド、センサグリッドデータ処理回路および位置方位演算装置からなる磁石体の位置・方位検出装置において、
前記磁石体は、直径は0.3~2mm、長さは1~15mmの大きさで、前記磁石体の磁気モーメントは1×10-10~500×10-10Wbmとし、
前記磁界ベクトルセンサは、前記磁石体から発する磁界ベクトルを計測するもので、磁界ベクトルセンサ素子と電子回路と演算回路とからなり、
前記磁界ベクトルセンサ素子は、底辺は0.6mm~6mm、高さは0.3mm~3mmからなり、20度~45度の傾斜角度θを有する四角錐台または八角錐台の台座の4つの斜面に4つのGSR素子を4回対称、かつ鏡像対称に貼り付けてなり、
前記電子回路は、前記4つのGSR素子の出力電圧を、磁界検出力は0.1~10nTにて100Hz~10KHzの測定サンプリング速度で、4つの磁界測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2に変換する機能を有し、
前記演算回路は、
Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、
Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、
Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx+Hy1+Hy)、
なる計算式で磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を算出し、
前記磁界ベクトルセンサグリッドは、平面板に前記磁界ベクトルセンサを5~15mmの間隔で少なくとも25個配置してなり、
前記センサグリッドデータ処理回路は、前記磁界センサグリッドにより計測した磁界測定データを高速で処理して、位置方位演算装置に転送し、
前記位置方位演算装置は、そのセンサグリッドデータから磁石体の位置X、Y、Zと方位Θ、Φをガウスニュートン法で計算し、位置精度0.5mm以下、方位精度1度以下、位置方位測定速度は1Hzから50Hzで計算して、その計算値を表示装置に出力することを特徴とする磁石体の位置・方位検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記センサグリッドデータ処理回路および前記位置方位演算装置は、磁石体( )の位置と方位を、前記磁界センサグリッドの中心を原点にして、グリッド面をXY平面、XY平面に垂直軸をZ軸としたXYZ座標系を指定して、磁界ベクトルmH(→)ijの絶対値が最大となる測定点を中心にすくなくとも9個の測定点における測定値を使って、
前記磁石体( )の位置を(X,Y,Z)とし、方位をZ軸に対する回転角をΦとし、X軸に対する回転角をΘとして、X、Y、Z、ΘおよびΦを、ガウスニュートン法に従って、以下のステップで
(1)前記磁界センサグリッドの位置(i,j)における磁界ベクトルmH(→)ijを計測し、
(2)前記磁石体( )が、位置(X,Y,Z)および方位(θ、φ)にあるとして、前記磁界センサグリッドの位置(i,j)につくる磁界ベクトルtH(→)ijの理論値を計算し、
(3)測定誤差を、eij=tH(→)ij(X,Y,Z、θ、φ)-mH(→)ijにより計算し、
(4)誤差の平方和を、Eij=Σeij
2により計算し、
(5)誤差の平方和を最小とするX、Y、Z、Θ、Φを算出し、
かつ、反復プロセスを含まない方法で計算して、位置精度0.5mm以下、方位精度1度以下、位置測定速度は1Hz~50Hzで位置・方位を測定することを特徴とする磁石体の位置・方位検出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記磁界ベクトルmH(→)ijの測定値の最大となる絶対値Sがセンサの検出力Nに対して、S/N比が500以下の場合において、
(1)前記磁界ベクトルmH(→)ijの絶対値が最大となる前記磁界センサグリッド位置(i,j)を計算上の原点として、
(2)それを中心に前記磁界ベクトルmH(→)ijの絶対値Sに対してセンサの検出力Nに対して、S/N比が25以上となる測定点を少なくとも9個、最大で49個を抽出し、
(3)抽出した測定点における測定磁界ベクトルの測定値と理論値の誤差から算出した誤差の平方和を最小にするX、Y、Z、Θ、Φをガウスニュートン法に従って、算出することを特徴とする磁石体の位置・方位検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小物体の先端に微小磁石を設けて、微小物体の位置と方位を高精度かつリアルタイムに計測する検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、内視鏡やカテーテルなどの先端部の検出体の位置と方位の計測、デンタル分野では、歯牙や顎堤の移動、治療用ハンドピースの移動距離など、ミニ部品の位置、移動および方位と回転量を正確に計測するニーズが高まっている。
検出体に磁界ベクトルセンサを取り付けて外部から磁界を加えて、磁界ベクトルセンサで外部磁界を測定して位置を計算するシステムや、検出体に磁石を取り付けて位置を計測するシステムが開発されている。
【0003】
検出体に磁石を設けて位置と方位を検出する方法は、簡便であるが、磁石体を小さくすると精度が低下する。磁石体としては直径0.3~2mm程度の小さなものしか使用できないので、しかも外部で磁石体が発する微小磁界を感度よく計測する磁界ベクトルセンサが必要である。磁界ベクトルセンサを高密度に配置した磁界ベクトルセンサグリッドと位置・方位計算プログラム技術が必要であるが、現状では位置決め精度が1~5mmと市場が要求する0.5mm以下の精度と比べると大幅に劣るものしか開発されていない。また既存開発品の位置方位測定速度は1Hzより小さく、大幅な改善が求められている。
【0004】
特許文献1に磁石式の位置・方位算出システムが開示されている。これは、4.8×10―9Wbm程度の磁気モーメントを有するNdFeB磁石(サイズは0.8mm×2.5mmの3個の磁石)を、1nT程度の磁界検出力を有するFGセンサなどからなる3軸の磁界センサを使って、磁石体の位置を4mm程度の精度で計測を可能にしたものである。カテーテル先端が求められている位置精度0.5mm以下に比べると大幅に性能が劣るものである。
【0005】
この主な原因は、3軸の磁界センサの測定値の位置の相互のずれに起因すると考えられる。本特許文献1には、正確には記載されていないが
図2に記載されている磁界センサの径を3mmから5mmと仮定するとおよそ各磁界センサが測定する位置は、1.5mmから2.5mm程度相互にずれることになり、これが位置精度を大幅に損なう原因になっていると考えられる。
またこの発明は、磁界ベクトルセンサを使用していないため、ガウスニュートン法に従って計算することができないため、磁場勾配を活用した反復プロセスを行って、測定値と理論値の誤差を最小限にするX、Y、Z、θ、φを求めているが、反復プロセスのために計算速度が遅く、リアルタイム性に難点があると思われる。実際本特許文献1には位置測定速度が記載されていない。
【0006】
3軸の磁界センサとしては、特許文献2にMIセンサを使ったタイプとして愛知製鋼(株)の電子コンパスが記載されている。これは3個の素子を組み立てたもので、X軸、Y軸、Z軸方向の磁界の測定位置が1mm程度喰い違っており、ピンポイントで所定の位置の磁界ベクトルを測定できないものである。また磁界検出力は200nTと劣るものである。したがってこの電子コンパスを特許文献1の発明に応用しても、磁石体の位置精度の改善は期待できない。位置精度の向上のためには、磁界測定には3軸の磁界センサに代えて、3次元の磁界センサを使ってピンポイントに磁界ベクトルを測定できる磁界ベクトルセンサを利用することが重要である。
【0007】
磁界ベクトルセンサとしては、特許文献3にホールセンサを使った磁界測定器として旭化成(株)の電子コンパスが記載されている。4個のホール素子と1個のパーマロイ集磁体を組み合わせたもので、センサ素子の間隔は1mm程度でピンポイントの所定の位置での磁界ベクトルの測定が可能であり、サイズは2mmでセンサ間隔を高密度に配置したセンサグリッドを製作することは可能であるが、磁界検出能が10mG(=1000nT)程度しかなくて、微小磁界が計測できないという問題がある。
【0008】
また、磁界ベクトルセンサとしては、特許文献4にGMRセンサを使った集積磁力計が記載されている。これはサイズが2mm×2mmと小さく、検出力は500nT程度で、しかもHx、HyとHzの測定精度が異なるという問題があり、特にHx、Hyの測定精度は800nT程度まで低下してしまう。その結果、微小磁界が計測できないという問題がある。
【0009】
また、磁界ベクトルセンサとしては、非特許文献1にFGセンサを使ったMTI社のnTメータが記載されている。検出力は1nTレベルであるが、サイズが30mmの立方体の6面に素子を貼り付けたものである。そのためにセンサ素子の間隔は30mm程度もあり、ミニ磁石が作る大きな勾配の磁界ベクトルを測定した場合、磁場勾配を測定することになり、特定の位置で磁界測定をピンポイントで測定することはできない。またセンサ間隔を高密度に配置したセンサグリッドを製作することはできないという欠点もあり、本製品を特許文献1の発明に応用しても、磁石体の位置精度の改善は期待できない。
【0010】
一方、特許文献6にはGSRセンサ(特許文献5)を使ったマグネデザイン(株)の電子コンパスが記載されている。4個のGSR素子と一対のパーマロイ集磁体を組み合わせたものである。GSR素子の間隔は0.5mm程度で、ピンポイントの所定の位置の磁界ベクトルの測定が可能で、しかも、磁界検出能が0.5mG(=50nT)程度とホールセンサやMIセンサよりは優れている。しかし。求められている磁界検出力10nT以下と比較すると不十分である。本製品を特許文献1の発明に応用すると、磁石体の位置精度の改善は期待できるが、1.5mm程度が限界と思われる。反復プロセス法である以上、位置測定速度は1Hz未満にならざるを得ないと考えられる。
【0011】
検出体に設置した小さな磁石の位置方位を精度良くかつ高速に測定するためには、小型で高い磁界検出力を有する磁界ベクトルセンサの開発が必要である。具体的には、微小磁界10nT以下の検出能で、6mm×6mm×3mm以下の微小空間内でピンポイントの所定の位置の磁界ベクトルを測定でき、かつHx、Hy、Hzの測定値の精度が同じである磁界ベクトルセンサの開発が求められている。
【0012】
磁石体の位置と方位の計算アルゴリズムについて、磁界ベクトルセンサグリッドを使って磁石体の位置と方位を同時に求める方法として、ガウスニュートン法が広く知られている。非特許文献2に誤差関数を定義して、誤差関数を最小にする座標成分X,Y,Zの三成分を求める方法、つまりが記載されている。 ただし、θとφの求め方は記載されておらず、誤算関数から座標成分X、Y、Zの三成分および方位θ、φを求める方法は記載されていない。
なお、非特許文献2に記載されている磁界ベクトルセンサは、厳密には3軸センサの測定位置の間には1.8mmのずれがあり、それを無視して磁界ベクトルセンサとみなして計算をしており、測定位置の誤差は5.5mmと大きく、実用できるレベルのものではない。
【0013】
理論的には、位置と方位の計算精度は、磁石の強さと磁界ベクトルセンサの検出力および磁石体とセンサグリッドの距離などに左右される。また磁界ベクトルセンサグリッドの密度と数およびエリア面積、センサグリッドの組み立て精度にも左右される。さらに計算に使用するデータの取得・選択方法および計算プログラムのアルゴリズムとデータ処理の仕方にも左右される。これら周知技術を基礎に、磁石体の位置方位計算の精度向上が追及されている。
【0014】
しかし従来の発明は、いずれも実際には各軸の測定位置が1mmから2mm程度ずれがある磁界ベクトルセンサを利用しているか、検出力が100nTレベルと非常に低いものを使用しているため、位置精度は3mm~5mm程度に過ぎない。本発明者は、使用する優れた検出力を持ち、ピンポイントの位置の磁界ベクトルを測定できる磁界ベクトルセンサを使用することが大前提になることに気が付き、まず初めに高性能な磁界ベクトルセンサの開発を目指すことにした。
微小磁石(ミニ磁石)のサイズは直径が0.3~2mm、長さが1~15mm、磁石体の磁気モーメントを1×10-10~500×10-10Wbmと非常に小さく、磁界ベクトルセンサグリッドのエリア面積は一辺が40~200mmの正方形と十分な広さとして、さらに磁石体と磁界ベクトルセンサグリッドの距離を20~100mmと十分な距離を確保するという条件において、高性能な磁界ベクトルセンサとガウスニュートン法を用いて磁石体の位置精度を従来の5mm程度から0.5mm以下と改善し、かつ、1度以下の方位精度および1Hzから50Hzも測定速さの実現を可能とする磁石体の位置・方位検出システムを発明することを目指すことにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特表2001-524012号公報
【特許文献2】特許第3781056号公報
【特許文献3】特開2004-61380号公報
【特許文献4】特表2013-518273号公報
【特許文献5】特許第6506466号公報
【特許文献6】特許第6021239号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】(株)エムティアイ社 ホームページ 製品情報FGS3-1000
【非特許文献2】永岡隆、内山明彦著:立石科学技術振興財団助成研究成果集:15号 52-55ページ(2006年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
すでに開発されている磁石体の位置方位計算システムに関する原理的技術を前提に、
本発明は、微小な磁石体の位置方位精度と測定速さを大幅に改善することを目指したものである。
【0018】
そのための技術開発課題は、第1の課題は、検出力が0.1nTから10nTの磁界ベクトルセンサの開発である。小型で微小磁界を検出することができる磁界センサとしてGSRセンサが開発されており、本発明はGSRセンサを使って、ピンポイントの測定位置の磁界(Hx、Hy、Hz)を、Hx、Hy、Hzの測定誤差を同じとすることができる磁界ベクトルセンサの構造を考案することである。
【0019】
第2の課題は、適切にデザインされた磁界ベクトルセンサグリッドの設計である。センサグリッドの密度が増えるほど位置・方位計算の精度は向上するが、磁石体から離れた点の測定精度は著しく低下し、そのような測定点の測定値を含めると逆に位置・方位計算の精度は低下する。またセンサの数が増えるほど電子回路の制御速度および位置方位の計算速度が低下するので、センサグリッドの大きさと密度の最適化を図る必要がある。
【0020】
第3の課題は、ガウスニュートン法を基礎にして、精度よくかつリアルタイム性に優れた磁石体の位置と方位を計算する計算プログラムの考案である。磁界ベクトルセンサグリッドで、磁石体が発する磁界ベクトルを各測定点で磁界ベクトルとして測定した場合、反復プロセスを必要とせず、測定値と理論値のずれを誤差として、それらを加算した関数として誤差関数を定義して、その最小値からX、Y、Zおよびθ、φを計算する方法は、ガウスニュートン法として広く知られている。
理論的には、計算に使用する測定値が多いほど、計算精度は高くなる。しかし、本発明においては、磁石体が小さく、磁石体が発する磁界は微弱であるため、磁石体の位置から測定位置が離れるほど、測定値に対する誤差が増大する。そのような測定値を計算に含めると逆に計算精度が低下することになる。本発明では、グリッドのエリア面積とセンサ密度を工夫した上で、誤差の小さな測定値のみを取捨選択して、計算精度を確保することに努めることにした。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、磁石体、磁界ベクトルセンサ、磁界ベクトルセンサグリッド、センサグリッドデータ処理回路および位置方位計算プログラムとそれを内蔵した位置方位演算装置とからなっている。そこで、本発明者は、まず第1の課題である高い検出力を有する磁界ベクトルセンサを開発に取り組んだ。
【0022】
本発明者は、GSRセンサに着目して、磁界検出力は10nT以下で、サイズは6mm×6mm×高さ3mm以下の超小型で磁界検出力の優れた磁界ベクトルセンサを開発に成功した。
【0023】
GSRセンサについては、特許文献5に詳細に記載されている。GSRセンサは、
図1に示すように、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回した周回コイルで形成した検出用コイルとワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用電極2個の電極を接続する配線で構成されるGSR素子とその磁性ワイヤにGHzの周波数を持つパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界Hに変換する電子回路とからなる超高感度マイクロ磁界センサである。
【0024】
GSRセンサの検出力は磁性ワイヤの長さに比例して向上する。本発明者は、10nT以下の微小磁界を微小空間範囲で測定するために、長さが0.4~3mmで、幅が0.2~0.4mmの小型のGSR素子を製作し、使用することにした。
【0025】
電子回路は、
図2に示すGSRセンサの電子回路を採用し、特定用途用集積回路(以下、ASICという。)を作製して、本発明に用いた。その結果、GSRセンサの検出能は0.1~10nTの範囲にあった。
【0026】
磁界ベクトルセンサ素子は、
図3および
図4に示すように、四角錐台の4つの斜面に、GSR素子を4回対称かつ鏡面対称に貼り付けたものである。サイズは、上面の四角形の一辺の長さはGSR素子の幅に相当し、0.2~0.4mmである。底辺は、GSR素子の長さの2cosθ倍+上面の四角形の一辺の長さに相当し、最小0.6mmから最大6mmである。台座の高さは、GSR素子の長さのsinθ倍である。傾斜角度θは、20度から45度とした。
【0027】
このGSR素子を、傾斜角θを持つ四角錐台の斜面に4個を4回対称で鏡像(ミラー)対称に貼り付けて、磁界ベクトルセンサ素子を作製した。4個の素子の出力電圧は
図5に示す電子回路によって処理され、それら4個素子の磁界測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2となり、それらの測定値を使って、Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、センサHz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx+Hy1+Hy)を計算して、測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)を求めることができる。
【0028】
傾斜角θが35.2度(tanθ=1/√2、sinθ=1/√3、cosθ=√2/√3)の時、Hx=√6/4(Hx1-Hx2)、Hy=√6/4(Hx1-Hx2)、Hz=√3/4(Hx1+Hx+Hy1+Hy)となる。この時、Hx、Hy、Hzの測定誤差σx、σy、σzがすべて同じ、つまりσx=σy=σz=0.86σとなるので、最も推奨されるべき角度である。実用的にはσzがσx(=σy)に比べて、25%程度の差を許容できるとすると、θは20度から45度程度となる。水平面方向の磁界精度を重視する場合には、35.2度から20度程度へと少し小さくし、垂直方向の磁界の精度を重視する場合は、35.2度から45度へと少し大きくすることができる。
【0029】
磁界ベクトルセンサの組み立ては、
図6に示すように、4個のGSR素子を組付けた磁界センサ素子をセンサ基板に設置し、磁界センサ素子の電極とセンサ基板の電極とを接合配線する。
さらに、ASICと4個のGSR素子を組付けた磁界センサ素子およびそれらを載せるセンサ基板の3部品を組み立てた。
電子回路をASICとして、そのASICの表面配線図を
図7に示す。またセンサ基板の表面配線図を
図8に示す。
配線は、各素子の4つの電極と基板表面上の16個の素子電極とを導線で接続する。センサ基板上の16個のASIC素子電極とASIC側の素子電極とをハンダ接合する。さらに、ASIC側の外部接続電極とセンサ基板表面側の外部接続電極とをハンダ接合する。
【0030】
素子台座の底辺がASICよりも十分大きい場合、つまり底辺が2mm以上の場合には、底辺側の中央部を中空として、そこにASICを取り付け、両者をセンサ基板上に設置した。底辺が2mm以下の場合は、四角錐台形状の磁界センサ素子の底面に直接ASIC裏面を貼り付けることにした。
【0031】
図9に、磁界センサ素子とASICとセンサ基板を組み合わせた磁界ベクトルセンサの組み立て図を示す。センサ基板には、表面側には16個の素子電極と16個のASICの素子電極および複数個の外部接続電極を設け、表面側の外部接続電極はスルーホールを介して裏面側の対応する外部接続電極に接続する配線構造を有している。
これにより素子で検知した外部磁界をASICで信号処理して、磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を求め、それをセンサ基板裏面側の外部接続電極から取り出すことができる。
【0032】
GSR素子とASICとの結合は、GSR素子を特設ASIC表面に形成し、4個のGSRセンサを四角錐台の斜面に4個を4回対称でミラー対称に貼り付けて、磁界ベクトルセンサ素子を作製して使用してもよい。
【0033】
本発明において、GSR素子を単体で斜面に設置して、コイル電圧をASICまで配線した場合、コイル電圧が低下したり、外部ノイズを感じする場合がある。このような場合、GSR素子を集積回路ASICの上に直接形成して、GSRセンサ(on-ASICタイプのGSRと呼称する。)とし、それを四角錐体の斜面に張り付けて磁界ベクトルセンサとしてもよい。なお、on-ASICタイプのGSRセンサについては、本発明者が特開2019-191016により開示している。
【0034】
第2の課題である磁界ベクトルセンサグリッドの設計については、エリア面積は、測定部位を考慮して、40mmから200mmの正方形とする必要がある。測定部位によっては、長方形とすることもできる。これを前提に、設計において最も精度を左右する設計因子は、磁界ベクトルセンサグリッドの磁界ベクトルセンサ間隔の影響である。センサグリッド基板上に磁界ベクトルセンサを5~15mmの間隔にて少なくとも25個配置することにした。
【0035】
そこで、磁界ベクトルセンサグリッドの磁界ベクトルセンサ間隔の影響について後述する位置方位計算プログラムを使って調査した結果、
図13(a)に示すように、磁界ベクトルセンサ間隔が1/2倍と小さくなると4倍程度の位置精度の改善が見られた。方位精度は、
図13(b)に示すように、磁界ベクトルセンサ間隔が1/2倍と小さくなると2倍程度の方位精度の改善が見られた。なお調査条件は、磁界ベクトルセンサの検出力は1nT、磁気モーメントは50×10
-10Wbm、磁界ベクトルセンサグリッドと磁石体との距離は40mmである。
【0036】
しかし、磁界ベクトルセンサの検出力は、磁界ベクトルセンサのサイズが小さくなるほど低下するので、磁界ベクトルセンサ間隔と磁界ベクトルセンサのサイズとはトレードオフの関係にあり、この関係を考慮して、本発明では、0.5mm以下の位置精度と1度以下の方位精度を得るために磁界ベクトルセンサ間隔は2mm以上、10mm以下とした。現状のGSRセンサの性能を前提にするとその間隔は好ましくは4~8mmである。
【0037】
磁気モーメント、センサの検出力、グリッドの画素サイズの組み合わせは、基本的には0.5mm以下の位置精度を得るために適当な組み合わせで使用される。あるいは0.5mmよりも厳しい要求値0.1mm以下の仕様の場合、その組み合わせをより最適化する必要がある。逆にやや大きな位置精度、例えば1mm以下の仕様の場合にも本発明は使用可能である。
【0038】
上記磁界ベクトルセンサを使って磁界ベクトルセンサグリッドを作製した。磁界ベクトルセンサグリッドの基板は、一辺が40mm~200mmの正方形にて作製した。なお、本発明の磁界ベクトルセンサグリッド基板はこのサイズや形状に限定されるものではない。磁界ベクトルセンサグリッドの磁界ベクトルセンサの間隔は2~10mmとした。磁界ベクトルセンサグリッドのエリア面積が小さい場合、少なくとも25個以上の磁界ベクトルセンサを配置することによって、位置と方位を十分な精度で求めることが可能となる。
【0039】
磁界ベクトルセンサグリッド基板は、
図10に示すように、列ごとにマルチプレクサMUXと連結し、次の全データが最終MUXと連結し、外部の信号処理回路に転送される。電源配線は、図示していないが、電源配線VDDとグランド配線GNDとが各センサに連結して、センサグリッド稼働時にはすべての磁界ベクトルセンサに電源が供給できるようにしている。
磁界ベクトルセンサグリッドの組み立て精度については、極力小さくすることが求められて、10μm以下が望ましい。
【0040】
第3の課題である磁界ベクトルセンサグリッドを使った位置と方位の計算原理については、ガウスニュートン法が知られている。非特許文献2では、ガウスニュートン法に従って、所定の位置で所定の向きに向いた磁石から発する磁界を各磁界ベクトルセンサ位置における磁界理論値と磁界実測地の差をεij誤差として、誤差関数Eij=Σ(εij)2を作成し、それを磁石の位置X、Y、Zおよび磁石の向きθとφで偏微分して、連立方程式を求め、誤差関数が最小値を取る値を計算して、磁石の測定位置X、Y、Zおよび磁石の向きθ、Φを計算して求めることが知られている。
【0041】
しかし、これまで、高い磁界検出力を有するFGセンサなどを使用した3軸磁界センサは、サイズが30mmと大きく、センサ相互間の位置ずれも1mmから3mmと大きいことから、磁界ベクトルを精度よく測定できなかったために位置精度は4mm程度が限界であった。また既存の磁界ベクトルセンサとしては、ホールセンサタイプやGSRセンサタイプがあるが、検出力(=センサのσ誤差)が50nTから1000nTと低く、位置の計算精度が低いという問題であった。つまり、サイズと検出力はトレードオフの関係にあり、既存磁界ベクトルセンサを使用する限り限界があった。
本発明では、磁界ベクトルセンサの検出力を市販品の100倍以上、あるいはサイズを1/10以下にすることで緻密なセンサ密度を有する磁界ベクトルセンサグリッドを製作し、それを使用することを前提に、位置と方位を同時に求める計算プログラム(
図11)を作成した。
【0042】
ガウスニュートン法に基づく位置と方位を同時に求める計算プログラムは次の通りである。
磁界ベクトルセンサグリッドの中心を原点にして、グリッド面をXY平面、XY平面に垂直軸をZ軸としたXYZ座標系を指定して、磁石体( )の位置を(X,Y,Z)とし、Z軸に対する回転角をφとし、X軸に対する回転角をθとして、さらに3次元磁界センサはグリッド上の原点を中心に、横方向に-iから+i、縦方向に-jから+jの位置(i,j)にi×j個の数配置されている。ここでセンサの間隔はX軸方向、Y軸方向ともに距離dとする。これらの磁界ベクトルセンサの測定値3×i×j個の測定値を使って、磁石体( )の位置X、Y、Zと方位θとΦを計算するものである。
【0043】
(1)先ずステップ101にて、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して磁界測定値
mH(→)
ijを求める。
(2)ステップ102にて、磁石体 の直下の最も近い、つまり
mH(→)
ij絶対値が最も大きい磁界センサの位置(a,b)番目をグリッドの計算上の計算上の原点(0,0,0)として計算上のグリッド座標系O-xyzを指定し、この座標系で改めてセンサグリッド位置番号(i,j)を決める。ここで、
m
ij 絶対値の最大値Sが、S/N比500以上であることを確認する。また計算上の原点として、それを中心に磁界ベクトル
mH(→)
ijの絶対値Sに対してセンサの測定誤差の値Nの割合S/Nが、25以上となる測定点を少なくとも9個、最大で49個存在することを確認する。
なお、磁界ベクトル
mH(→)
ijの絶対値Sが、S/N比が25以下の測定点については、測定誤差が大きくなるので、計算には加えないものとする。計算上の原点から離れるほど、
m
ij 絶対値は距離の3乗に比例するので、距離が4倍離れた点では、
m
ij 絶対値は60倍程度小さくなって、計算上の原点でS/N比が500あっても、8程度と低下するので、計算には含まないものとする。つまり精度の高い測定値だけを使って、計算データは少なくとも9個、最大で49個を入力して、計算を実行することにした。
(3)次に、ステップ103にて、磁石体( )がセンサグリッドの(i,j)番目のセンサ位置であるP
ijに作る磁界の理論値
tH(→)
ijを式(1)から求める。ここでまた磁石体の傾きをZ軸に対する回転角をφ、X軸に対する回転角をθとする。
【数1】
ここで、磁石体( )と位置P
ijまでの距離ベクトルを
ijとする。
ijは、位置x,y,zと方位角θ、φの関数となる。
(4)次に、ステップ104にて、磁界理論値と磁界測定値との差を測定誤差ε
ijとして、求める。
e
ij=
tH(→)
ij-
mH(→)
ij
(5)次に、ステップ105にて、ステップ103により求めた測定誤差ε
ijの誤差関数E
ijを誤差の平方和として求める。
E
ij=Σe
ij
2
(6)次に、ステップ106にて、ガウスニュートン法で、ステップ104により求めた誤差平方和が最小となるx、y、z、θ、φを、以下の連立方程式を使って求める。
∂E
ij/∂x=0、∂E
ij/∂y=0、∂E
ij/∂z=0、∂E
ij/∂φ=0、
∂E
ij/∂θ=0
(7)次いでステップ107にて、計算上の座標系O―xyのxとyの値を使って、センサグリッド座標系O―XYの値XとYをステップ106にて求める。同時にZ、Θ=θ、Φ=φも求める。
X=x+d×a、Y=y+d×b、Z=z、Θ=θ、Φ=φ
【0044】
上記計算プログラムを使って位置計算をして、磁気モーメントと位置精度との関係を調査した。位置X、Y、Zの位置精度は、磁石体の高さに依存するが、言い換えれば磁石体とセンサグリッド面との距離に依存する。本実験は、高さを40mmと固定し、磁石体をX、Y、Z方向に±10mmの移動を繰り返して、もとの位置に戻るたびに位置測定を繰り返して、そのばらつきを測定した。
調査条件は、磁界センサグリッドのエリア(196mm×196mm)に磁界ベクトルセンサの間隔は6mm、磁界ベクトルセンサの数は17個×17個、磁石体と磁界センサグリッドとの距離は40mm、磁界ベクトルセンサの磁界検出力は0.1nT、1nTおよび10nTとし、磁石の磁気モーメントの影響を調査した。
その結果、
図12(a)に示すように、磁気モーメントが増加するほど位置精度は向上した。磁気モーメントが、4倍になると精度が4倍、9倍になると9倍、100倍になると100倍改善するようであった。
【0045】
同様に、上記計算プログラムを使って方位を計算して、磁気モーメントと方位精度との関係を調査した。方位θ、φの方位精度は、X方向の水平向きを基準に、XY面上で±10度のθ回転を繰り返して、またXZ面に沿って±10度のφ回転を繰り返して、もとの方位に戻るたびに方位測定を繰り返して、そのばらつきを測定した。
調査条件は、上記の位置精度を求めた条件と同じとした。
その結果、
図12(b)に示すように、磁気モーメントが増加するほど方位精度は向上した。
なお、Y方向の位置精度および方位精度に及ぼす磁気モーメントの影響と磁界センサ間隔の影響についても同様の結果が得られた。
【0046】
また、磁界ベクトルセンサの検出力を10nTから0.1nTへと100倍増加させると、位置精度は100倍程度改善し、方位精度は100倍程度増加していた。本発明では、0.5mm以下の位置精度と1度以下の方位精度を得るために、磁石体の磁気モーメントを1×10-10~500×10-10Wbmおよび磁界センサの検出力を10nT以下とすることにした。
【0047】
本発明は、磁石体のサイズを直径0.3~2mm、長さを3~15mmと可能な限り小さく、つまり磁石体の磁気モーメントを1×10-10~500×10-10Wbmと小さくし、磁界ベクトルセンサグリッドに用いた磁界ベクトルセンサの検出力を0.1~10nTとし、磁界ベクトルセンサグリッドの磁界ベクトルセンサ間隔を5~15mmとして、磁石体が発する磁界を磁界ベクトルセンサグリッドで測定し、それらの全測定データの内S/N比が25以上の測定点のみを使って、ガウスニュートン法に基づく位置と方位計算プログラムで計算して、センサグリッドデータ処理回路で処理することを特徴とするものである。これによって、磁石体の位置と方位を、位置精度は0.5mm以下で、方位は1度以下で求めることができる磁石体の位置・方位検出装置の提供が可能となる。
【発明の効果】
【0048】
本発明により、カテーテルや胃カメラなどの生体内ナビゲーションシステム、デンタル治療のハンドピースの精密な制御、顎堤や歯牙の精密な動きの把握が可能となり、治療レベルの大幅な向上が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図3】実施例に係る四角錐台形状からなる磁界センサ素子の平面図である。
【
図4】実施例に係る四角錐台形状からなる磁界センサ素子のA1-A2線の断面図である。
【
図5】実施例に係る磁界ベクトルセンサ用の電子回路図である。
【
図6】実施例に係る磁界センサ素子とセンサ基板との電極配線図である。
【
図8】実施例に係るセンサ基板の表面配線図である。
【
図9】実施例に係る磁界ベクトルセンサの組み立て図である。
【
図10】実施例に係る磁界ベクトルセンサグリッドと配線図である。
【
図11】計算プログラムのフローチャート図を示す。
【
図12】(a)は位置精度に及ぼす磁石の磁気モーメントの影響を示し、(b)は方位精度に及ぼす磁気モーメントの影響を示す図である。
【
図13】a)は位置精度に及ぼす磁界ベクトルセンサの間隔の影響を示し、(b)は方位精度に及ぼす磁界ベクトルセンサの間隔の影響を示す図である。
【
図14】実施例に係るon-ASICタイプのGSRセンサを用いる磁界センサ素子の平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明の磁石体の位置・方位検出装置は、磁石体、磁界ベクトルセンサ、磁界センサグリッド、センサグリッドデータ処理回路および位置方位演算装置からなる。
磁石体としては、サイズは、直径は0.3~2mm、長さは1~15mmで、磁石体の磁気モーメントを1×10
-10~500×10
-10Wbmとし、
磁界ベクトルセンサは、磁界センサ素子3に4個のGSRセンサ素子35を
図3および
図4に示すように、四角錐台の4つの傾斜角度37を有する斜面に、4回対称かつ鏡面対称に貼り付けたものである。
【0051】
GSR素子は、特許文献5に詳細に記載されているので引用する。以下に、要旨を説明する。
図1に示すように、基板11の上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤ12とそれに巻回した周回コイルで形成した検出用コイル13とワイヤ通電用の電極(15)2個とコイル電圧検出用電極(18)2個の電極を接続する配線で構成されている。
【0052】
GSRセンサは、GSR素子の磁性ワイヤにGHzの周波数を持つパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界Hに変換する電子回路とからなる超高感度マイクロ磁界センサで、GSRセンサの検出力は磁性ワイヤの長さに比例して向上する。そこで、本発明者は、10nT以下の微小磁界を微小空間範囲で測定するために、長さ0.4~3mmで、幅が0.2~0.4mmの小型のGSR素子を設計した。
電子回路は、
図2に示すGSRセンサの電子回路2を採用し、特定用途用集積回路(以下、ASICという。)を作製して、本発明に用いた。
【0053】
磁界ベクトルセンサ素子3は、このGSR素子35を、傾斜角(37)θを持つ四角錐台の台座30の斜面に4個を4回対称でミラー対称に貼り付けたものである。サイズは、上面31の四角形の一辺の長さはGSR素子の幅に相当し、0.2~0.4mmである。底辺32は、GSR素子の長さの2cosθ倍+上面の四角形の一辺の長さに相当し、最小0.6mmから最大6mmである。台座の高さは、GSR素子35の長さのsinθ倍である。傾斜角度θは、20度から45度とした。
【0054】
磁界ベクトルセンサ4は、
図6に示すように、4個のGSR素子35を組付けた磁界センサ素子3をセンサ基板40に載置し、磁界センサ素子3の電極41(61)とセンサ基板のASIC電極とを接合配線し、さらに、ASICと4個のGSR素子を組付けた磁界センサ素子3およびそれらを載せるセンサ基板40の3部品を組み立てて製作した。
【0055】
電子回路をASICとして、そのASICの表面配線図を
図7に示す。またセンサ基板の表面配線図を
図8に示す。
配線は、各素子の4つの電極と基板表面上の16個の素子電極とを導線で接続する。センサ基板上の16個のASIC素子電極とASIC側の素子電極とをハンダ接合する。さらに、ASIC側の外部接続電極とセンサ基板表面側の外部接続電極とをハンダ接合する。
【0056】
台座30の底辺32がASICよりも十分大きい場合、つまり底辺32が2mm以上の場合には、底辺側の中央部を中空38として、そこにASICを取り付け、両者をセンサ基板上に設置した。底辺が2mm以下の場合は、四角錐台形状の磁界センサ素子の底面に直接ASIC裏面を貼り付けることにした。
【0057】
図9に、磁界センサ素子3とASIC40Aとセンサ基板40を組み合わせた磁界ベクトルセンサ4Aの組み立て図(断面図)を示す。センサ基板40には、表面側には16個の素子電極41と16個のASICの素子電極および複数個の外部接続電極を設け、表面側の外部接続電極はスルーホール44を介して裏面側の対応する外部接続電極に接続する配線構造を有している。
これにより磁界センサ素子3で検知した外部磁界をASIC40Aで信号処理して、磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を求め、それをセンサ基板裏面側の外部接続電極から取り出すことができる。
【0058】
磁界ベクトルは、4個のGSR素子の出力電圧は
図5に示す電子回路によって処理され、それら4個のGSR素子の磁界測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2となり、それらの測定値を使って、Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、センサHz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx+Hy1+Hy)を計算して、測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)を求めることができる。
【0059】
傾斜角度θが35.2度(tanθ=1/√2、sinθ=1/√3、cosθ=√2/√3)の時、Hx=√6/4(Hx1-Hx2)、Hy=√6/4(Hx1-Hx2)、Hz=√3/4(Hx1+Hx+Hy1+Hy)となる。この時、Hx、Hy、Hzの測定誤差σx、σy、σzがすべて同じ、つまりσx=σy=σz=0.86σとなるので、最も推奨されるべき角度である。実用的にはσzがσx(=σy)に比べて、25%程度の差を許容できるとすると、傾斜角度θは20度から45度程度となる。水平面方向の磁界精度を重視する場合には、35.2度から20度程度へと少し小さくし、垂直方向の磁界の精度を重視する場合は、35.2度から45度へと少し大きくすることができる。
【0060】
磁界ベクトルセンサの性能は、ピンポイントの位置における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)が測定できて、しかもHx、Hy、Hzの測定感度および測定σノイズは同一で、その磁界検出力は0.1nTから10nT以下で、そのセンサの形状は四角錐体状で、そのサイズは底辺が2mmから6mm、高さが3mm以下で、超小型で磁界検出力に優れている。
【0061】
本発明において、GSR素子を単体で斜面に設置して、コイル電圧をASICまで配線した場合、コイル電圧が低下したり、外部ノイズを感じする場合がある。このような場合、GSR素子を集積回路ASICの上に直接形成して、GSRセンサ(on-ASICタイプのGSRセンサと呼称する。)とし、それを四角錐体の斜面に張り付けて磁界ベクトルセンサとしてもよい。
【0062】
磁石体から発する磁界を計測する磁界ベクトルセンサグリッドは、磁界ベクトルセンサを磁界ベクトルセンサ基板の平面上に5~15mmの磁界ベクトルセンサ間隔にて少なくとも25個の配置からなり、磁界ベクトルセンサグリッドにより計測した測定データを処理するセンサグリッドデータ処理回路およびそのセンサグリッドデータから位置と方位を算出する位置方位演算装置とからなる。
【0063】
センサグリッドデータ処理回路および位置方位演算装置は、磁石体( )の位置と方位を、前記磁界センサグリッドの中心を原点にして、グリッド面をXY平面、XY平面に垂直軸をZ軸としたXYZ座標系を指定して、前記磁石体( )の位置を(X,Y,Z)とし、Z軸に対する回転角をφとし、X軸に対する回転角をθとして、X、Y、Zおよびθ、φをガウスニュートン法に基づいて計算するものである。
【0064】
以下、詳細に説明する。
<磁石体>
磁石体の磁石のサイズは、直径は0.3~2mm、長さは1~15mmで、磁石体の磁気モーメントは1×10-10~1000×10-10Wbmとする。磁石体は小さいほど好ましいが、小さいと磁気モーメントが小さくなって発生する磁界が弱くなり、位置決め精度が低下することから上記のサイズとする。
【0065】
<磁界ベクトルセンサ>
磁界ベクトルセンサグリッド8の1つの画素となる磁界ベクトルセンサ4について説明する。
磁界ベクトルセンサ4は、
図9の組み立て図、
図3および
図4の磁界センサ素子3に示すように、センサ基板40上に台座30と台座30の4つの斜面に配置されたGSR素子35とからなる磁界センサ素子40Gが搭載され、ASIC40Aおよび電極・配線から構成される。
この磁界ベクトルセンサ4は、3次元磁界ベクトルを測定できて、磁界検出力が0.1~10nTである。
【0066】
GSR素子の構造は、
図1に示す。
GSR素子のサイズは、長さは0.4~3mmで、幅は0.2~0.4mmとする。
【0067】
電子回路は、
図2に示すGSRセンサの電子回路2を採用し、集積回路(ASIC)を作製した。2個の検波タイミング調整回路25a、25b使用し、サンプルホールド回路では2個のコンデンサ28a、28bと2個の電子スイッチ27a、27bを使用している。なお、本発明の目的に合致する限りでは、本発明はこの組み合わせにこだわるものではない。
【0068】
磁界センサ素子40G(3)は、
図3および
図4に示すように、傾斜角度θ(傾斜角度37)=35.2度(tanθ=0.5、sinθ=1/√3、cosθ=2/√5)を持つ四角錐台の斜面(台座30)に、上記GSR素子(1、35)の4個を4回対称に貼り付けたものである。
【0069】
4個のGSR素子は、
図8に示す電子回路2Aに連結され、4個のGSR素子(70X1、70X2、70Y1、70Y2)の出力Hx1、Hx2、Hy1、Hy2は信号処理回路で処理された後、演算回路でHx、Hy、Hzに変換された後に、データ通信回路から出力される。
【0070】
磁界ベクトルセンサの配線組み立ては、まず、
図6および
図9に示すように、磁界センサ素子40Gとセンサ基板40がワイヤ連結される。ASIC表面配線
図5は、
図7に示すように、素子電極51と出力電極52とからなっている。
センサ基板40には、
図5に示すように、表面側には16個の素子電極61と16個のASICの素子電極62および複数個の外部接続電極を設け、表面側の外部接続電極はスルーホールを介して裏面側の対応する外部接続電極に接続する配線構造を有している。
ASIC40Aをセンサ基板40の表面に接合するが、その際ASIC40Aの出力電極とセンサ基板40のASIC用出力電極52を連結し、ASICの出力電極52とセンサ基板の出力電極63とを連結することによって、磁界センサの配線がすべて連結し、センサ基板40のスルーホール44を介してセンサ基板裏面にある出力電極46につながることになる(
図7、
図8)。
【0071】
組み立てした磁界センサ4Aは、
図9に示すように、ASIC40Aと4個のGSR素子40Gを組付けた磁界センサ素子およびそれらを載せるセンサ基板40の3部品の構造からなっている。ASICの配置位置については、
図3および
図4に示すように、台座30の底辺32がASIC40Aよりも十分大きい場合、つまり底辺が2mm以上の場合には、底辺側の中央部を中空38として、そこにASIC40Aを取り付け、両者をセンサ基板40上に設置した。底辺が2mm以下の場合は、四角錐台形状の磁界センサ素子の底面36に直接ASIC裏面を貼り付けることにした。
【0072】
磁界センサ4は、磁界センサ素子40Gで検知した外部磁界をASIC40Aで信号処理して、磁界測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を求め、それを演算処理回路で、Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx+Hy1+Hy)を計算して、測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)を求め、それをセンサ基板裏面側の外部接続電極から取り出すことができる。
なお、3次元磁界ベクトルセンサとしては、磁界検出力は、0.1~10nTを有する限り、その構成、種類にこだわるものではない。
【0073】
<磁界ベクトルセンサグリッド>
次に、磁界ベクトルセンサ4を磁界ベクトルセンサリッドにした場合、画素は磁界ベクトルセンサの大きさは最小0.6mmから最大6mmであるが、配線の幅を考慮すると画素の大きさは、最小2mmから最大10mmとなる。
【0074】
センサグリッド基板85は、
図10に示すように、列ごとにマルチプレクサMUX82と連結し、次に全データが最終MUX83と連結し、外部の信号処理回路に転送される。電源配線は、電源配線VDDとグランド配線GNDとが各センサに行配線を使って連結している。
【0075】
<センサデータグリッド処理回路および位置と方位を算出する位置方位演算装置>
センサグリッドデータ処理回路および位置方位演算装置は、磁界センサグリッドの中心を原点にして、グリッド面をXY平面、XY平面に垂直軸をZ軸としたXYZ座標系を指定して、前記磁石体( )の位置を(X,Y,Z)とし、Z軸に対する回転角をΦとし、X軸に対する回転角をΘとして、さらに3次元磁界センサはグリッド上の原点を中心に、横方向に-iから+i、縦方向に-jから+jの位置(i,j)にi×j個の数配置されている。ここでセンサの間隔はX軸方向、Y軸方向ともに距離dとする。これらの磁界ベクトルセンサの測定値3×i×j個の測定値を使って、磁石体( )の位置X、Y、Zと方位Θ、Φを計算するものである。
図11は、センサデータグリッド処理およびそのセンサグリッドから位置と方位を算出する計算プログラムのフローチャートである。以下、詳細に説明する。
【0076】
計算プログラムは次の通りである。
(1)先ず、ステップ101にて、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して磁界測定値
mH(→)
ijを求める。
(2)ステップ102にて磁石体 の直下の最も近い、つまり
mH(→)
ij絶対値が最も大きい磁界センサの位置(a,b)番目をグリッドの計算上の計算上の原点(0、0、0)として計算上のグリッド座標系O-xyzを指定し、この座標系で改めてセンサグリッド位置番号(i,j)を決める。ここで、
m
ij 絶対値の最大値Sが、S/N比500以上であることを確認する。計算上の原点として、それを中心に磁界ベクトル
mH(→)
ijの絶対値Sに対してセンサの測定誤差の値Nの割合S/Nが、25以上となる測定点を少なくとも9個存在することを確認する。入力データとしては、S/N比の大きな順に最大で49個を使用する。S/N比が25以下の測定点については、測定誤差が大きくなるので、計算には加えないものとする。
(3) 磁界ベクトル
mH(→)
ijの絶対値が最大となる前記磁界センサグリッド位置(i,j)を
(4)次に、ステップ103にて、磁石体( )がセンサグリッドの(i,j)番目のセンサ位置であるP
ijに作る磁界の理論値
tH(→)
ijを式(1)から求める。
【数2】
ここで、磁石体( )と位置P
ijまでの距離ベクトルを
ijとする。また磁石の傾きをZ軸に対する回転角をφ、X軸に対する回転角をθとする
(5)次に、ステップ104にて、磁界理論値と磁界測定値との差を測定誤差ε
ijとして、求める。
e
ij=
tH(→)
ij-
mH(→)
ij
(6)次に、ステップ105にて、ステップ103により求めた測定誤差ε
ijの誤差関数E
ijを誤差の平方和として求める。
E
ij=Σe
ij
2
(7)次に、ステップ106にて、ガウスニュートン法で、ステップ104により求めた誤差平方和が最小となるx、y、z、θ、φを、以下の連立方程式を使って求める。
∂E
ij/∂x=0、∂E
ij/∂y=0、∂E
ij/∂z=0、∂E
ij/∂φ=0、∂E
ij/∂θ=0
(7)次いで、ステップ107にて、計算上の座標系O―xyのxとyの値を使って、センサグリッド座標系O―XYの値XとYをステップ106にて求める。同時にZ、Θ=θ、Φ=φも求める。
X=x+d×a、Y=y+d×b、Z=z、Θ=θ、Φ=φ
なお、本発明は、誤差平方和から最適値を計算する仕方は、上記連立方程式の計算方法にこだわるものではない。
【実施例0077】
本発明の実施例1について説明する。
磁石体の磁石のサイズは、直径は0.5mm、長さは5mmのステンレス磁石で、磁石体の磁気モーメントは5×10-9Wbmである。
なお、ステンレス磁石は直径1.0mmの18Cr-8Ni系オーステナイト系ステンレス鋼を伸線加工して、冷間加工度は75%にて直径0.5mmとした。これにより85%のマルテンサイト量を得た後、3000Oeの磁界を棒状の軸方向に印加して、長さ5mmを着磁して磁石とした。
【0078】
使用したGSRセンサは、
図1に示す構造のGSRセンサ素子1でそのサイズは長さ2mmで、幅0.2mmとした。電子回路は、
図2に示すGSRセンサの電子回路2を集積回路(ASIC)にしたもので、磁界検出力を0.5nTである。
【0079】
磁界センサ素子3は、上記GSR素子1を、傾斜角度θが35.2度(tanθ=1/√2、sinθ=1/√3、cosθ=√2/√3)を持つ四角錐台の台座30の斜面に、
図3および
図4に示すように4個を4回対称かつ鏡面対称に貼り付けたものである。底辺の長さは、4mmとし、台座の高さは、2.4mmとした。
【0080】
4個のGSR素子(70X1、70X2、70Y1、70Y2)は、
図5に示す電子回路2Aに連結され、4個の素子の出力Hx1、Hx2、Hy1、Hy2は信号処理回路72で処理された後、演算回路75で、Hx、Hy、Hzに変換された後に、データ通信回路76から出力される。
【0081】
磁界センサの配線組み立ては、まず、
図6に示すように、磁界センサ素子とセンサ基板40がワイヤ連結される。ASIC表面配線図は、
図7に示すように、素子電極51と出力電極52とからなっている。センサ基板40には、
図8に示すように、表面側には16個の素子電極61と16個のASICの素子電極62および複数個の外部接続電極を設け、表面側の外部接続電極はスルーホールを介して裏面側の対応する外部接続電極に接続する配線構造を有している。
ASICをセンサ基板の表面に接合するが、その際ASICの出力電極とセンサ基板のASIC用出力電極を連結し、ASICの出力電極とセンサ基板の出力電極とを連結することによって、磁界センサの配線がすべて連結し、センサ基板のスルーホールを介してセンサ基板裏面にある出力電極につながることになる。
【0082】
組み立てした磁界ベクトルセンサ4Aは、
図9に示すように、ASIC40Aと4個のGSR素子を組付けた磁界センサ素子(3)およびそれらを載せるセンサ基板40の3部品の構造からなっている。ASIC40Aは、素子台座40Gの底面(36)の中空部(38)に配置した。
【0083】
上記磁界ベクトルセンサは、GSR素子で検知した外部磁界をASICで信号処理して、磁界測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を求め、それを演算処理回路にてHx、Hy、Hzを傾斜角度θが35.2度であるので、Hx=√3/4(Hx1-Hx2)、Hy=√3/4(Hx1-Hx2)、Hz=√6/4(Hx1+Hx+Hy1+Hy)の計算式で求める。この時、Hx、Hy、Hzの測定誤差σx、σy、σzがすべて同じ、つまりσx=σy=σz=0.86σとなる。しかも使用した磁界センサの検出力よりも14%程度改善することができた。
【0084】
磁界ベクトルセンサグリッドは、磁界ベクトルセンサの台座の底辺は4mmであるので、配線の幅を考慮して、画素の大きさは5mmとした。つまり磁界ベクトルセンサの間隔は5mmとした。
【0085】
センサグリッド基板85は、
図10に示すように、列ごとにマルチプレクサMUX82と連結し、次に全データが最終MUX83と連結し、外部の信号処理回路に転送される。電源配線系統は図示していないが、磁界ベクトルセンサグリッド稼働には、すべての磁界ベクトルセンサに電源供給するようにしている。
【0086】
磁石体位置と方位の計算プログラムは、
図11に示すフローチャートにより、磁石体の測定位置X、Y、Zおよび磁石体の向きΘ、Φを計算して求めるというもので、外部のコンピュータを使って、計算する。
【0087】
これにより、磁石体の位置と方位を、20Hzの位置方位測定速度で、位置精度は0.3mm以下、方位の精度は0.7度以下で、求めることができる。
【0088】
本発明の実施例2は、on-ASICタイプのGSRセンサ91を用いた磁界ベクトルセンサからなり、
図14を用いて説明する。
はじめに、磁石体、磁界ベクトルセンサ、電子回路、磁界ベクトルセンサグリッドおよびHx、Hy、Hzを算出する計算式は、実施例1に準拠した構成からなる。
on-ASICタイプのGSRセンサ91は、GSR素子912をASIC911表面に直接形成し、4つのGSRセンサ91を
図14に示すように四角錐台の台座の長方形902の斜面に設置したものである。
【0089】
GSRセンサ91のサイズは、長さ2.5mm、幅1.0mm、磁界ベクトルセンサのサイズは底辺が6mm、高さは1.5mm、その磁界検出力は0.1nTで、実施例1に使用したGSRセンサより5倍程度優れたものである。
実施例2の位置・方位の精度は、位置精度が0.06mm、方位精度が0.2度で、位置測定速度は20Hzであった。
本発明により、内視鏡やカテーテルなどの先端部の位置と方位の計測、デンタル分野では、歯牙や顎堤の移動、治療用ハンドピースの移動距離など、ミニ部品の位置、移動および方位と回転量を正確に計測することが可能となり、広く応用されるものと期待される。