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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016761
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】落橋防止ブロック
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/04 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
E01D19/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119676
(22)【出願日】2020-07-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売による公開/販売日:令和2年2月18日 販売した場所:ショーボンド建設株式会社(住所:神奈川県海老名市今里1044)
(71)【出願人】
【識別番号】000229128
【氏名又は名称】ベルテクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】宇山 真幸
(72)【発明者】
【氏名】有田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】田中 義人
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA03
2D059AA05
2D059GG29
2D059GG40
(57)【要約】
【課題】設置数を増加したり、大型化することなく、上部構造物の一部に係止して、下部構造物に支承された上部構造物の脱落を防止できる落橋防止ブロックを提供することを目的とする。
【解決手段】橋台2に取付けられ、橋台2に支承された係止ビーム31に係止して、上部構造3の脱落を防止する落橋防止ブロック10を、橋台2における橋台前面21の上方に沿って固定される固定部11と、固定部11から、橋軸方向Lに延出された延出部12と、延出部12から上部構造3に向かって突出し、上部構造3に係止する係止突出部13とを有するとともに、鉤型形状に形成し、固定部11、延出部12、及び係止突出部13が、高強度繊維補強モルタル及び高強度繊維補強モルタルに混入された湾曲鋼補強繊維により一体的に構成した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造物に取付けられ、前記下部構造物に支承された上部構造物の一部に係止して、前記上部構造物の脱落を防止する落橋防止ブロックであり、
前記下部構造物における上方側面に沿って固定される固定部と、
前記固定部から、橋軸方向に延出された延出部と、
前記延出部から前記上部構造物に向かって突出し、前記上部構造物に係止する係止突出部とを有するとともに、鉤型形状に形成され、
前記固定部、前記延出部、及び前記係止突出部が、
セメント系材料及び該セメント系材料に混入された繊維補強材により一体的に構成された
落橋防止ブロック。
【請求項2】
前記繊維補強材は、
前記係止突出部に前記上部構造物からの外力が作用した際における、前記延出部及び前記係止突出部で構成する角部の引張領域の配置量が、他の部分の配置量より多い
請求項1に記載の落橋防止ブロック。
【請求項3】
前記繊維補強材は、
角部を構成する前記延出部及び前記係止突出部における側部の配置量が、他の部分の配置量より多い
請求項1または請求項2に記載の落橋防止ブロック。
【請求項4】
前記繊維補強材は、鋼繊維補強材で構成された
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載の落橋防止ブロック。
【請求項5】
前記鋼繊維補強材は、湾曲鋼繊維補強材で構成された
請求項4に記載の落橋防止ブロック。
【請求項6】
前記セメント系材料は、モルタルで構成された
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載の落橋防止ブロック。
【請求項7】
前記セメント系材料は、鉄筋が配筋されていない
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載の落橋防止ブロック。
【請求項8】
前記セメント系材料は、外力に対する強度が十分でない箇所にのみ補強鉄筋が配筋された
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載の落橋防止ブロック。
【請求項9】
前記固定部と前記延出部とで構成する角部を跨いで、前記固定部と前記延出部と連結する補強リブ部が設けられた
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載の落橋防止ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下部構造物に取付けられ、下部構造物に支承された上部構造物の一部に係止して、前記上部構造物の脱落を防止する落橋防止ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道橋や道路橋などの橋梁において、橋脚などの下部構造物に支承された上部構造物が地震動等によって、下部構造物から上記部構造物が脱落することを防止する落橋防止手段として様々なものが用いられている。
そのひとつとして、特許文献1には、下部構造物に取付けられ、下部構造物に支承された上部構造物の一部に係止して、前記上部構造物の脱落を防止する落橋防止ブロックの取付方法が開示されている。
【0003】
このような落橋防止ブロックは、内部に鉄筋が配筋されたプレキャストコンクリート製であることが一般的である。なお、地震動等の外力によって下部構造物に支承された上部構造物が許容された移動量を超えて脱落することを係止して防止するため、落橋防止ブロックは大きな強度・耐力が必要となる。そのため、プレキャスト製である落橋防止ブロックの部材厚を厚く設定する必要があり、落橋防止ブロックが大型化したり、落橋防止ブロックの設置数を増加する傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-133324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、設置数を増加したり、大型化することなく、上部構造物の一部に係止して、下部構造物に支承された前記上部構造物の脱落を防止できる落橋防止ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、下部構造物に取付けられ、前記下部構造物に支承された上部構造物の一部に係止して、前記上部構造物の脱落を防止する落橋防止ブロックであり、前記下部構造物における上方側面に沿って固定される固定部と、前記固定部から、橋軸方向に延出された延出部と、前記延出部から前記上部構造物に向かって突出し、前記上部構造物に係止する係止突出部とを有するとともに、鉤型形状に形成され、前記固定部、前記延出部、及び前記係止突出部が、セメント系材料及び該セメント系材料に混入された繊維補強材により一体的に構成されたことを特徴とする。
【0007】
上記セメント系材料は、主として粗骨材、細骨材及びセメントで構成したコンクリート、主として細骨材及びセメントで構成したモルタル等が含まれる。したがって、繊維補強材が混入されたセメント系材料は、繊維補強モルタルや繊維補強コンクリート等が含まれる。
上記繊維補強材は、鋼繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリプロピレンなどの合成繊維等が含まれる。
【0008】
この発明により、コンパクトに構成しても、繊維補強材を含まないセメント系材料(以下において普通セメント系材料という)で構成した落橋防止ブロックに比べて、落橋防止ブロックの機械的強度が向上する。そのため、設置数を増加することなく、上部構造物の一部に係止して、下部構造物に支承された前記上部構造物の脱落を防止するのに十分な強度・耐力を確保することができる。
【0009】
詳述すると、繊維補強材を前記セメント系材料に混入することで、前記普通セメント系材料に比べて靭性を向上することができる。そのため、落橋防止ブロックのせん断補強効果及び変性性能が向上し、ひび割れ発生強度(曲げ許容応力度)、つまり前記落橋防止ブロックの機械的強度が前記普通セメント系材料より向上する。
【0010】
よって、上部構造物の一部に係止して、下部構造物に支承された前記上部構造物の脱落を防止するのに要する強度・耐力を有する前記落橋防止ブロックは前記普通セメント系材料で構成した前記落橋防止ブロックよりコンパクトに構成することができる。
【0011】
この発明の態様として、前記繊維補強材は、前記係止突出部に前記上部構造物からの外力が作用した際における、前記延出部及び前記係止突出部で構成する角部の引張領域の配置量が、他の部分の配置量より多くてもよい。
この発明により、前記落橋防止ブロックをよりコンパクトに構成することができる。
【0012】
詳述すると、前記下部構造物に支承された前記上部構造物の脱落を防止するため、前記上部構造物に一部が係止する前記係止突出部に前記上部構造物からの外力が作用すると、前記延出部及び前記係止突出部で構成する角部に大きな曲げや剪断の力が作用する。しかしながら、前記セメント系材料は引っ張りに対する耐力が低い。
【0013】
そこで、前記角部における引張領域に、他の部分に比べて多くの前記繊維補強材を配置することでより、前記角部における引張領域のせん断補強効果及び変性性能が向上し、機械的強度を向上することができる。よって、よりコンパクトな前記落橋防止ブロックであっても前記上部構造物の脱落を防止するのに要する強度・耐力を有することができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記繊維補強材は、角部を構成する前記延出部及び前記係止突出部における側部の配置量が、他の部分の配置量より多くてもよい。
上記側部とは、前記固定部、前記延出部及び前記係止突出部とを有する前記落橋防止ブロックにおける幅方向、つまり下部構造物に取り付けた状態における前記落橋防止ブロックの橋軸直角方向における両側方の部分を指し、その他の部分は幅方向における中央部分を指す。
【0015】
この発明により、前記角部の変性性能を向上し、前記落橋防止ブロックの機械的強度をさらに向上することができる。
詳述すると、前記普通セメント系材料において大きな外力が前記上部構造物から係止突出部に作用すると、前記角部における側部からひび割れが生じることとなる。これに対し、前記繊維補強材を含有する前記セメント系材料で構成されているため、前記落橋防止ブロックでひび割れを分散させることができる。よって、角部における変形性能が向上するとともに、ひび割れの拡大を防止し、前記落橋防止ブロックの機械的強度を向上することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記繊維補強材は、鋼繊維補強材で構成されてもよい。
この発明により、前記繊維補強材が混入された前記セメント系材料における効果に加え、耐衝撃性、耐疲労性、耐熱性、及び耐久性を向上することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記鋼繊維補強材は、湾曲鋼繊維補強材で構成されてもよい。
上記湾曲鋼繊維補強材は、所定長さで繊維状である金属繊維を湾曲形成した補強材を指す。
【0018】
この発明により、構成材料を練り混ぜて前記セメント系材料を構成する際に、湾曲鋼繊維補強材同士が絡みにくく、分散性が良好であるとともに、所定の混入量で前記セメント系材料に混入することができる。よって、所望の箇所に湾曲鋼繊維補強材に配置しやすくなる。そのため、ひび割れの拡大に抵抗できる所定強度の前記落橋防止ブロックを構成することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記セメント系材料は、モルタルで構成されてもよい。
この発明により、コンクリートで構成した前記落橋防止ブロックよりも、セメントの配合率が高くなり、引っ張りに対する強度の高い前記落橋防止ブロックを構成することができる。
【0020】
なお、上記モルタルは、例えば、普通セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材及び化学混和剤を含む粉体と水とを練り混ぜて構成した高強度モルタルや、無収縮モルタル、普通モルタル等が含まれる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記セメント系材料は、鉄筋が配筋されていなくてもよい。
この発明により、所定強度の前記落橋防止ブロックを前記下部構造物に取り付けて、前記上部構造物の落橋を確実に防止することができる。
【0022】
詳述すると、前記下部構造物からの前記上部構造物の落橋を防止するためには、地震動等によって許容範囲を超えて移動する前記上部構造物の一部に係止して、許容範囲を超える移動を制限することとなる。そのためには、鉄筋コンクリート製の前記落橋防止ブロックの場合、多数の鉄筋を密な状態で内部に配筋することとなる。このような前記落橋防止ブロックを前記下部構造物の所定箇所に取り付けて一体化するためには、前記下部構造物と前記落橋防止ブロックとを締結することが一般的に多い。
【0023】
しかしながら、前記下部構造物に対して前記落橋防止ブロックを締結するためのボルト穴を、前記落橋防止ブロックにおいて、内部に密な状態で配筋された多数の鉄筋に干渉しない箇所に設けることは非常に困難であった。
【0024】
これに対し、鉄筋が配筋されていない無筋の前記セメント系材料で構成した前記落橋防止ブロックの場合、内部の鉄筋に干渉することがないため、所定位置に容易にボルト穴を設けることができる。したがって、所定強度の前記落橋防止ブロックを容易に前記下部構造物に取り付けて、前記上部構造物の落橋を確実に防止することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記セメント系材料は、外力に対する強度が十分でない箇所にのみ補強鉄筋が配筋されてもよい。
前記外力は、前記落橋防止ブロックに作用する曲げ方向の力、せん断力、及び圧縮力のいちいずれか又はそれらの合力である。
【0026】
また、外力に対する強度が十分でない箇所は、外力に対して前記落橋防止ブロックの耐力が低い箇所、あるいは外力に対して前記落橋防止ブロックの耐力は満足するものの、十分な安全率が確保できない箇所などをいう。
【0027】
この発明により、外力に対する強度が十分でない箇所にのみ補強鉄筋が配筋されるため、セメント系材料に含有する繊維補強材と協働して、外力に抗することができる耐力を得ることができる。したがって、普通コンクリートに鉄筋を配筋する場合に比べて、配筋数を軽減できたり、配筋ピッチを拡げたりすることができる。よって、所定強度の前記落橋防止ブロックを容易に前記下部構造物に取り付けて、前記上部構造物の落橋を確実に防止することができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記固定部と前記延出部とで構成する角部を跨いで、前記固定部と前記延出部と連結する補強リブ部が設けられてもよい。
この発明により、さらに高強度の前記落橋防止ブロックを構成することができる。
【0029】
詳述すると、前記係止突出部に入力された前記上部構造物からの外力は前記固定部と前記延出部とに伝達される。そのため、前記固定部と前記延出部とで構成する角部も変形しようとする。
【0030】
これに対し、前記角部を跨いで前記固定部と前記延出部と連結する補強リブ部を設けることで前記角部の剛性を向上することができる。そのため、より高剛性の前記落橋防止ブロックを構成することができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明により、設置数を増加したり、大型化することなく、上部構造物の一部に係止して、下部構造物に支承された前記上部構造物の脱落を防止できる落橋防止ブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】橋脚の横断面図。
図2】落橋防止ブロックが取り付けられた橋脚の取付け箇所の拡大説明図。
図3】落橋防止ブロックの斜視図。
図4】落橋防止ブロックによる上部構造物の落橋を防止する防止メカニズムについて説明する図。
図5】落橋防止ブロックにおける切断面の湾曲鋼補強繊維の配置確認結果についての説明図。
図6】落橋防止ブロックにおける切断面の湾曲鋼補強繊維の配置確認結果についての説明図。
図7】補強鉄筋を局所的に配筋した落橋防止ブロックの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は橋脚1の横断面図を示し、図2は落橋防止ブロック10が取り付けられた橋脚1の取付け箇所の拡大説明図を示している。また、図3は落橋防止ブロック10の斜視図を示し、図4は落橋防止ブロック10による上部構造3の落橋を防止する防止メカニズムについて説明する図を示している。図5は落橋防止ブロック10における切断面Aの湾曲鋼補強繊維の配置確認結果についての説明図を示し、図6は落橋防止ブロック10における切断面Bの湾曲鋼補強繊維の配置確認結果についての説明図を示している。
【0034】
図1は橋脚1において落橋防止ブロック10が取り付けられた箇所近傍の横断面図を示し、図2(a)は図1におけるA-A矢視断面図を示し、図2(b)は図1における落橋防止ブロック10の取付け箇所の拡大図を示している。
【0035】
本発明の落橋防止ブロック10は、橋脚1における橋台2に取付けられ、橋台2に支承された上部構造3の係止ビーム31に係止して、支承する橋台2から上部構造3が脱落することを防止するためのブロックである。
【0036】
橋脚1は、橋台2を含む下部構造物と、下部構造物に支承された上部構造3とで構成している。なお、橋脚1の延長方向を橋軸方向Lとし、上部構造3の幅方向を橋軸直角方向Wとし、上下方向を上下方向Hとしている。
【0037】
上部構造3を支承する下部構造物は、橋台2や橋脚などがあり、橋軸方向Lに所定間隔を隔てて複数配置している。なお、本実施形態では、橋台2に落橋防止ブロック10を取り付けて上部構造3の脱落を防止する構造について説明するが、橋脚に落橋防止ブロック10を取り付けて上部構造3の脱落を防止してもよい。
【0038】
橋台2は、上部構造3と同程度の橋軸直角方向Wの長さを有し、地盤Gに設置されている。
橋台2の橋台前面21側の上部を凹ませて橋座部22を設け、橋座部22における上面である橋座面22aに沓23を配置している。
【0039】
沓23は、周知な構造であるため詳細な説明を省略するが、橋台2に対して上部構造3が、地震動などの外力によって、少なくとも橋軸方向Lに移動可能に支承する構造である。
上部構造3の橋軸方向Lの端部は、橋台2の橋座部22に配置され、橋台前面21の橋座面22aに配置された沓23に支承されている。なお、上部構造3の反対側の端部も、橋台か橋脚である下部構造物に設けられた沓23に支承されている。なお、上部構造3の底面には、橋軸直角方向Wに延びる係止ビーム31が下方に突出するように、固定ボルト32によって固定されている。
【0040】
このように、沓23を介して橋台2に支承された上部構造3の脱落を防止する落橋防止ブロック10は、固定部11、延出部12、上部構造3の係止ビーム31に係止する係止突出部13、及び補強リブ部14を有している。
固定部11は、橋台2の橋台前面21に沿って固定される所定厚みの略直方体状に構成されている。なお、固定部11には、幅方向(橋台2への取付状態において橋軸直角方向W)の側面と後述する補強リブ部14との間に、橋台2へ落橋防止ブロック10を取り付けるための取付ボルト15が挿通するための挿通穴111を設けている
【0041】
延出部12は、固定部11の端部から、橋軸方向Lに延出されるように構成するとともに、固定部11と略同程度の厚みを有する略直方体状に構成されている。
係止突出部13は、延出部12の端部から上部構造3に向かって上方に突出するように構成するとともに、固定部11と略同程度の厚みを有する略直方体状に構成されている。なお、係止突出部13の延出部12からの突出量は、固定部11からの延出部12の突出量より小さく設定されている。このように構成した固定部11、延出部12及び係止突出部13は鉤型形状を構成している。
【0042】
補強リブ部14は、固定部11と延出部12とで構成する角部10aを跨いで、固定部11と延出部12と連結するように構成され、固定部11や延出部12より厚みが薄い略直方体状に構成されている。なお、延出部12と係止突出部13とで構成する角部を角部10bとする。
【0043】
このように構成された落橋防止ブロック10は、図2に示すように、橋台2の橋台前面21における上方に取り付けられる。
詳述すると、図2(a)に示すように、落橋防止ブロック10は長手方向が橋軸直角方向W及び上下方向Hに向くように、橋台前面21に対して固定部11が沿うように取り付けられる。このとき、挿通穴111を貫通し、橋台2に挿入固定された取付ボルト15によって固定される。
【0044】
このように取り付けられた落橋防止ブロック10は、延出部12が橋軸直角方向W及び橋軸方向Lに沿う向きとなる。したがって、係止突出部13が橋軸直角方向W及び上下方向Hに沿う向きとなる。そして、延出部12の上面は、上下方向Hにおいて橋座面22aよりわずかに低い位置となる。したがって、係止突出部13が橋座面22aより上方に突出する態様となる。
また、落橋防止ブロック10は、図2(b)に示すように橋軸直角方向Wに並設されるとともに、図1に示すように、橋台前面21において橋軸直角方向Wの複数箇所に設けられる。
【0045】
そして、橋座面22aにより上方に突出する係止突出部13の橋台2側に、上部構造3の係止ビーム31が、間隔を隔てて配置される。なお、係止突出部13において係止ビーム31と対向する側の面に緩衝材16が設けられている。
【0046】
このように取り付けられた落橋防止ブロック10は、図4において矢印で示すように、橋台2から離間する方向に上部構造3が移動すると、係止ビーム31と係止突出部13とが当接する。さらに上部構造3が矢印方向に移動しようとすると、係止ビーム31が係止突出部13に当接しているため、上部構造3のさらなる移動を規制し、橋台2からの上部構造3の脱落を防止することができる。
【0047】
なお、このように、上部構造3の矢印方向の移動を係止ビーム31に係止して規制する落橋防止ブロック10は、取付ボルト15によって、固定部11が橋台2に固定されている。そのため、係止突出部13が矢印方向に倒れる向きの変形が生じ、係止ビーム31に係止する係止突出部13が固定された延出部12は、先端側が下方に向かってたわむような変形が生じる。つまり、角部10bで内角側が開く方向の変形が生じ、角部10aで内角側が狭まる方向の変形が生じる。なお、角部10aの変形と角部10bの変形では、内角側を跨ぐ態様で補強リブ部14が設けられた角部10aの変形の方が、角部10bの変形より小さくなる。
【0048】
固定部11、延出部12、係止突出部13及び補強リブ部14で構成され、上述の態様で橋台2に固定される落橋防止ブロック10は、湾曲鋼補強繊維が配合された無筋モルタルで一体構成されている。
具体的には、落橋防止ブロック10は、無筋の高強度繊維補強モルタルで構成している。高強度繊維補強モルタルは、結合粉体と、結合粉体に対してする重量比10~12%の水を含有するフレッシュモルタルを硬化させて構成している。
【0049】
結合粉体は、普通セメントを30~40重量%と、ポゾラン質微粉末を10~15重量%と、粒径0.1~1.0mmの細骨材を45~55重量%と、化学混和剤を0.55~0.65重量%とを含んでいる。
【0050】
また、高強度繊維補強モルタルは、上記フレッシュモルタルに対して、直径が0.15~0.3mmで引張強度が2000~3500N/mmである金属繊維を用いて湾曲形成された湾曲鋼補強繊維を、結合粉体に対して1.5~2.0%の体積比で混入している。
【0051】
湾曲鋼補強繊維は、両端を結ぶ直線長さが10~20mmに設定され、直線に対する湾曲鋼補強繊維の最大深さが0.5~1.5mmに設定されている。なお、湾曲鋼補強繊維は、鋼繊維製の撚り線を10~20mmの長さに切断するとともに、撚りをばらして形成している。
【0052】
なお、本実施形態では、繊維径が0.2(mm)、繊維長が15(mm)の湾曲鋼補強繊維の含有率が1.75(vol.%)となるように構成している。具体的には、単位水量:238kg/mの水に対して2166kg/mの結合粉体と、137kg/mの湾曲鋼補強繊維とを練り混ぜて落橋防止ブロック10を構成している。
【0053】
落橋防止ブロック10では、上述のような含有率が配合された湾曲鋼補強繊維は、所定箇所が他の部分より多く配置されている。
詳述すると、上述のように、落橋防止ブロック10において、上部構造3からの外力が作用して変形する変形箇所のうち大きく変形する箇所などに、他の部分に比べて多くの湾曲鋼補強繊維を配置している。
【0054】
具体的には、上部構造3からの外力によって大きく変形する角部10bにおける引張り方向に変形する領域(以下において引張領域という)、つまり角部10bの外角側の領域に他の部分に比べて多くの湾曲鋼補強繊維を配置している。
【0055】
さらに詳しくは、角部10aの引張領域における幅方向の側部側(取付状態における橋軸直角方向Wの側部側)の領域(以下において側部領域)に他の部分に比べて多くの湾曲鋼補強繊維を配置している。
【0056】
なお、図5及び図6に、角部10bにおける湾曲鋼補強繊維の配置本数を確認した結果を示している。具体的には、図3に示すように、角部10bを構成する延出部12及び係止突出部13おける切断面A及び切断面Bに露出する湾曲鋼補強繊維の本数を確認した結果を図5及び図6に示している。
【0057】
係止突出部13において角部10bから延出部12の長手方向に沿う切断面を切断面Aとし、延出部12において角部10bから固定部11の長手方向に沿う切断面を切断面Bとして、それぞれの切断面(A,B)の確認写真を図5、6に示している。
【0058】
なお、図5(a)に示す切断面Aにおいて下側が角部10aとなる。したがって、切断面Aにおいて上下方向の下側で四角状に囲む領域が引張領域となり、上側が圧縮領域となる。また、図5(a)において、左右方向に長い切断面Aにおいて長手方向を3分割して、左側領域、中央領域及び右側領域とした。
【0059】
確認した結果、左側領域(図5(b)と図5(e))、中央領域(図5(c)と図5(f))及び右側領域(図5(d)と図5(g))では、それぞれ圧縮領域(上側)より引張領域(下側)に湾曲鋼補強繊維が多く配置されていることを確認した。
【0060】
また、引張領域(図5(e)~図5(g))では、中央領域(図5(f))より左側領域(図5(e))及び右側領域(図5(g))に湾曲鋼補強繊維が多く配置されていることを確認した。
具体的には、圧縮領域よりも引張領域のそれぞれがおよそ50%程度配置量が多く、中央領域よりも側部領域(左側領域及び右側領域)はそれぞれ5%程度配置量が多いことを確認した。
【0061】
なお、図6(a)に示す切断面Bにおいて下側が角部10bとなる。したがって、切断面Bにおいて上下方向の下側で四角状に囲む領域が引張領域となり、上側が圧縮領域となる。また、図6(a)において、左右方向に長い切断面Bにおいて長手方向を3分割して、左側領域、中央領域及び右側領域とした。
【0062】
確認した結果、左側領域(図6(b)と図6(e))、中央領域(図6(c)と図6(f))及び右側領域(図6(d)と図6(g))では、それぞれ圧縮領域(上側)より引張領域(下側)に湾曲鋼補強繊維が多く配置されていることを確認した。
【0063】
また、引張領域(図6(e)~図6(g))では、中央領域(図6(f))より左側領域(図6(e))及び右側領域(図6(g))に湾曲鋼補強繊維が多く配置されていることを確認した。
具体的には、圧縮領域よりも引張領域のそれぞれがおよそ35%程度配置量が多く、中央領域よりも側部領域(左側領域及び右側領域)はそれぞれ15%程度配置量が多いことを確認した。
【0064】
上述のように、落橋防止ブロック10は、橋台2に取付けられ、橋台2に支承された係止ビーム31に係止して、上部構造3の脱落を防止する。落橋防止ブロック10は、固定部11と、延出部12と、係止突出部13とを有し、鉤型形状に形成されている。
【0065】
固定部11は橋台2における橋台前面21の上方に沿って固定され、延出部12は固定部11から橋軸方向Lに延出されている。係止突出部13は、延出部12から上部構造3に向かって突出し、上部構造3に係止する。
【0066】
固定部11、延出部12、及び係止突出部13が、無筋モルタル及び無筋モルタルに混入された湾曲鋼補強繊維により一体的に構成されている。そのため、コンパクトに構成しても、湾曲鋼補強繊維を含まない普通セメント系材料で構成した落橋防止ブロックに比べて、落橋防止ブロック10の機械的強度が向上する。よって、落橋防止ブロック10は、設置数を増加させなくても、係止ビーム31に係止して、橋台2に支承された上部構造3の脱落を防止するのに十分な強度・耐力を確保することができる。
【0067】
詳述すると、湾曲鋼補強繊維を無筋モルタルに混入することで、普通セメント系材料に比べて靭性を向上することができる。そのため、せん断補強効果及び変性性能が向上し、ひび割れ発生強度(曲げ許容応力度)、つまり落橋防止ブロック10の機械的強度が普通セメント系材料で構成した落橋防止ブロックより向上する。
【0068】
よって、係止ビーム31に係止して、橋台2に支承された上部構造3の脱落を防止するのに要する強度・耐力を有する落橋防止ブロック10は普通セメント系材料で構成した落橋防止ブロックよりコンパクトに構成することができる。
【0069】
また、湾曲鋼補強繊維は、係止突出部13に上部構造3からの外力が作用した際における、延出部12及び係止突出部13で構成する角部10bの引張領域の配置量が、落橋防止ブロック10における他の部分の配置量より多いため、落橋防止ブロック10をよりコンパクトに構成することができる。
【0070】
詳述すると、橋台2に支承された上部構造3の脱落を防止するため、上部構造3の係止ビーム31に係止する係止突出部13に上部構造3からの外力が作用すると、延出部12及び係止突出部13で構成する角部10bに大きな曲げや剪断の力が作用する。しかしながら、無筋モルタルは引っ張りに対する耐力が低い。
【0071】
そこで、角部10bにおける引張領域に、他の部分に比べて多くの湾曲鋼補強繊維を配置することでより、角部10bにおける引張領域のせん断補強効果及び変性性能が向上し、落橋防止ブロック10の機械的強度を向上することができる。よって、よりコンパクトな落橋防止ブロック10であっても上部構造3の脱落を防止するのに要する強度・耐力を有することができる。
【0072】
また、湾曲鋼補強繊維は、角部10bを構成する延出部12及び係止突出部13における側部の配置量が、他の部分の配置量より多いため、角部10bの変性性能を向上し、落橋防止ブロック10の機械的強度をさらに向上することができる。
【0073】
詳述すると、普通セメント系材料において大きな外力が上部構造3から係止突出部13に作用すると、角部10bにおける側部からひび割れが生じることとなるが、湾曲鋼補強繊維を含有する無筋モルタルで構成されているため、落橋防止ブロック10でひび割れを分散させることができる。よって、角部10bにおける変形性能が向上するとともに、ひび割れの拡大を防止し、落橋防止ブロック10の機械的強度を向上することができる。
【0074】
また、湾曲鋼補強繊維は、鋼繊維であるため、湾曲鋼補強繊維が混入された無筋モルタルにおける効果に加え、耐衝撃性、耐疲労性、耐熱性、及び耐久性を向上することができる。
【0075】
また、湾曲鋼補強繊維は、構成材料を練り混ぜて無筋モルタルを構成する際に、湾曲鋼補強繊維同士が絡みにくく、分散性が良好であるとともに、所定の混入量で無筋モルタルに混入することができる。よって、所望の箇所に湾曲鋼補強繊維に配置しやすくなる。そのため、ひび割れの拡大に抵抗できる所定強度の落橋防止ブロック10を構成することができる。
【0076】
また、無筋モルタルで構成された落橋防止ブロック10は、コンクリートで構成した落橋防止ブロックよりも、セメントの配合率が高くなり、引っ張りに対する強度の高い落橋防止ブロック10を構成することができる。
また、無筋モルタルは、鉄筋が配筋されていないため、所定強度の落橋防止ブロック10を橋台2に取り付けて、上部構造3の落橋を確実に防止することができる。
【0077】
詳述すると、橋台2からの上部構造3の落橋を防止するためには、地震動等によって許容範囲を超えて移動する係止ビーム31に係止して、許容範囲を超える移動を制限することとなる。そのためには、鉄筋コンクリート製の落橋防止ブロック10の場合、多数の鉄筋を密な状態で内部に配筋することとなる。このような落橋防止ブロック10を橋台2の所定箇所に取り付けて一体化するためには、橋台2と落橋防止ブロック10とを締結することが一般的に多い。
【0078】
しかしながら、落橋防止ブロック10に挿通穴111を設けているものの、橋台2への取付においてずれが生じて落橋防止ブロック10に橋台2に対して落橋防止ブロック10を締結するためのボルト穴を別途設けることが想定されるが、内部に密な状態で鉄筋が配筋された落橋防止ブロックにおいて、多数の鉄筋に干渉しない箇所にボルト穴を設けることは非常に困難であった。
【0079】
これに対し、鉄筋が配筋されていない無筋モルタルで構成した落橋防止ブロック10の場合、内部の鉄筋に干渉することがないため、所定位置に容易にボルト穴を設けることができる。したがって、所定強度の落橋防止ブロック10を容易に橋台2に取り付けて、上部構造3の落橋を確実に防止することができる。
【0080】
また、固定部11と延出部12とで構成する角部10bを跨いで、固定部11と延出部12と連結する補強リブ部14が設けられているため、さらに高強度の落橋防止ブロック10を構成することができる。
詳述すると、係止突出部13に入力された上部構造3からの外力は固定部11と延出部12とに伝達される。そのため、固定部11と延出部12とで構成する角部10bも変形しようとする。
【0081】
これに対し、角部10bを跨いで固定部11と延出部12と連結する補強リブ部14を設けることで角部10bの剛性を向上することができる。そのため、より高剛性の落橋防止ブロック10を構成することができる。
【0082】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の下部構造物は橋台2に対応し、
以下同様に、
上部構造物の一部は係止ビーム31に対応し、
上部構造物は上部構造3に対応し、
落橋防止ブロックは落橋防止ブロック10に対応し、
上方側面は橋台前面21の上方に対応し、
固定部は固定部11に対応し、
橋軸方向は橋軸方向Lに対応し、
延出部は延出部12に対応し、
係止突出部は係止突出部13に対応し、
セメント系材料は無筋モルタルに対応し、
繊維補強材は湾曲鋼補強繊維に対応し、
角部は角部10bに対応し、
補強リブ部は補強リブ部14に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができ
【0083】
例えば、繊維補強材として、湾曲鋼補強繊維の他、炭素繊維、アラミド繊維、ポリプロピレンなどの合成繊維等が用いられてもよい。
落橋防止ブロック10の係止突出部13に作用する外力によっては、補強リブ部14を備えなくてもよいし、内部に鉄筋を配筋してもよい。なお、落橋防止ブロック10の内部に鉄筋を配置しても、普通セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材及び化学混和剤を含む粉体と水とを練り混ぜて構成した高強度モルタルで落橋防止ブロック10を構成しているため、鉄筋コンクリート製の落橋防止ブロックにおける鉄筋に比べて粗な状態で配筋することができる。
【0084】
また、落橋防止ブロック10の係止突出部13に作用する外力によっては、落橋防止ブロック10は上述の高強度モルタル以外に、無収縮モルタル、普通モルタル等で構成してもよい。
さらには、落橋防止ブロック10の固定部11に挿通穴111を設けず、現地合わせでボルト孔を設けるようにしてもよい。
【0085】
さらにまた、上述の説明では角部10bにおいて、圧縮領域よりも引張領域に湾曲鋼補強繊維を多く配置するとともに、引張領域においても幅方向の中央よりも側部に湾曲鋼補強繊維を多く配置したが、落橋防止ブロック10に外力が作用した際に角部10bより変形の少ない角部10aにおいても同様に、圧縮領域よりも引張領域に湾曲鋼補強繊維を多く配置したり、幅方向の中央よりも側部に湾曲鋼補強繊維を多く配置してもよい。
【0086】
さらには、図7に示すように、落橋防止ブロック10において、外力に対する強度が十分でない箇所に対して局所的に補強鉄筋40(40a乃至40f)を配置してもよい。
具体的には、外力Pに対する曲げ方向の耐力を向上するために補強鉄筋40aを配置した落橋防止ブロック10の断面図による説明図である図7(a)に示すように、落橋防止ブロック10における延出部12と係止突出部13との角部を跨いで補強鉄筋40aを配置してもよい。
なお、図7(a)左図は図7(a)右図のB-B矢視断面図である図7(a)に示すように、図7(a)右図は図7(a)左図のC-C矢視断面図である。
【0087】
補強鉄筋40aは、図7(a)左図に示すように、係止突出部13の上面と、延出部12及び係止突出部13の角部を跨いで、係止突出部13の側面と延出部12の上面とに沿う形状であり、所定厚みのかぶりを設けて配置している。また、補強鉄筋40aは、図7(a)右図に示すように、落橋防止ブロック10の幅方向に所定間隔を隔てて複数本配置している。
上述のように形成された複数本の補強鉄筋40aを上記位置に配筋することで、湾曲鋼補強繊維と協働して、延出部12と係止突出部13との角部の曲げ方向の耐力を向上することができる。
【0088】
外力Pに対する曲げ方向の耐力を向上するために補強鉄筋40bを配置した落橋防止ブロック10の断面図による説明図である図7(b)に示すように、落橋防止ブロック10における固定部11と延出部12との角部を跨いで補強鉄筋40bを配置してもよい。
なお、図7(b)左図は図7(b)右図のD-D矢視断面図であり、図7(b)右図は図7(b)左図のE-E矢視断面図である。
【0089】
補強鉄筋40bは、図7(b)左図に示すように、延出部12の上面と、固定部11及び延出部12の角部を跨いで、固定部11の側面とに沿う形状であり、所定厚みのかぶりを設けて配置している。また、補強鉄筋40bは、図7(b)右図に示すように、落橋防止ブロック10の幅方向に所定間隔を隔てて複数本配置している。
上述のように形成された複数本の補強鉄筋40bを上記位置に配筋することで、湾曲鋼補強繊維と協働して、延出部12と係止突出部13との角部の曲げ方向の耐力を向上することができる。
【0090】
外力Pに対するせん断方向の耐力を向上するために補強鉄筋40cを配置した落橋防止ブロック10の断面図による説明図である図7(c)に示すように、落橋防止ブロック10における延出部12と係止突出部13との角部を跨いで斜め方向に補強鉄筋40cを配置してもよい。
なお、図7(c)左図は図7(c)右図のF-F矢視断面図であり、図7(c)右図は図7(c)左図のG-G矢視断面図である。
【0091】
補強鉄筋40cは、図7(c)左図に示すように、延出部12及び係止突出部13の角部を斜め方向に跨ぐように、配置された直線状である。また、補強鉄筋40cは、図7(c)右図に示すように、落橋防止ブロック10の幅方向に所定間隔を隔てて複数本配置している。
上述のように形成された複数本の補強鉄筋40cを上記位置に配筋することで、湾曲鋼補強繊維と協働して、係止突出部13のせん断方向の耐力を向上することができる。
【0092】
外力Pに対するせん断方向の耐力を向上するために補強鉄筋40dを配置した落橋防止ブロック10の断面図による説明図である図7(d)に示すように、延出部12において所定間隔を隔てて補強鉄筋40dを複数配置している。
なお、図7(d)左図は図7(d)右図のH-H矢視断面図であり、図7(d)右図は図7(d)左図のI-I矢視断面図である。
【0093】
補強鉄筋40dは、図7(d)右図に示すように、矩形状に形成され、延出部12の延びる方向に所定間隔を隔てて複数配置している。また、補強鉄筋40dは、図7(d)右図に示すように、落橋防止ブロック10の幅方向の両側にそれぞれ配置している。
上述のように形成された複数本の補強鉄筋40dを上記位置に配筋することで、湾曲鋼補強繊維と協働して、延出部12のせん断方向の耐力を向上することができる。
【0094】
外力Pに対するせん断方向の耐力を向上するために補強鉄筋40eを配置した落橋防止ブロック10の断面図による説明図である図7(e)に示すように、係止突出部13において所定間隔を隔てて補強鉄筋40eを複数配置している。
なお、図7(e)左図は図7(e)右図のJ-J矢視断面図であり、図7(e)右図は図7(e)左図のK-K矢視断面図である。
【0095】
補強鉄筋40eは、図7(e)右図に示すように、補強鉄筋40dと同様に矩形状に形成され、係止突出部13の延びる方向に所定間隔を隔てて複数配置している。また、補強鉄筋40eは、図7(e)右図に示すように、落橋防止ブロック10の幅方向の両側にそれぞれ配置している。
上述のように形成された複数本の補強鉄筋40eを上記位置に配筋することで、湾曲鋼補強繊維と協働して、係止突出部13のせん断方向の耐力を向上することができる。
【0096】
外力Pに対する引張方向の耐力を向上するために補強鉄筋40fを配置した落橋防止ブロック10の断面図による説明図である図7(f)に示すように、落橋防止ブロック10における固定部11と係止突出部13との角部を跨いで補強鉄筋40fを配置してもよい。
なお、図7(f)左図は図7(f)右図のL-L矢視断面図である図7(f)に示すように、図7(f)右図は図7(f)左図のM-M矢視断面図である。
【0097】
補強鉄筋40fは、図7(f)左図に示すように、固定部11及び延出部12の角部の内角側と外角側とを跨いで沿う形状であり、所定厚みのかぶりを設けて配置している。また、補強鉄筋40fは、図7(f)右図に示すように、落橋防止ブロック10の幅方向に所定間隔を隔てて複数本配置している。
上述のように形成された複数本の補強鉄筋40fを上記位置に配筋することで、湾曲鋼補強繊維と協働して、固定部11や延出部12の引張方向の耐力を向上することができる。
【0098】
上述したように、落橋防止ブロック10は、外力に対する強度が十分でない箇所にのみ補強鉄筋40(40a乃至40f)が配筋されているため、無筋モルタルに含有する繊維補強材と協働して、外力に抗することができる耐力を得ることができる。したがって、普通コンクリートに鉄筋を配筋する場合に比べて、配筋数を軽減できたり、配筋ピッチを拡げたりすることができる。よって、所定強度の落橋防止ブロック10を容易に橋台2に取り付けて、上部構造3の落橋を確実に防止することができる。
なお、落橋防止ブロック10において補強鉄筋40を配筋する外力に対する強度が十分でない箇所は、構造解析等によって算出すればよい。
【符号の説明】
【0099】
2…橋台
3…上部構造
10…落橋防止ブロック
10b…角部
11…固定部
21…橋台前面
12…延出部
13…係止突出部
14…補強リブ部
31…係止ビーム
L…橋軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7