(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167621
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】仮設橋ユニット
(51)【国際特許分類】
E01D 15/12 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
E01D15/12
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073543
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】308012141
【氏名又は名称】株式会社タイセン工業
(74)【代理人】
【識別番号】100178951
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和家
(72)【発明者】
【氏名】太田良 千裕
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059BB17
(57)【要約】
【課題】人や車両の通行等、災害時等の仮設橋として必要十分な荷重に耐えることが可能であって、人力作業での架設に適する工夫がなされた仮設橋ユニットを提供する。
【解決手段】橋軸方向に延在すると共に橋軸直交方向に所定の間隔をあけて配置される複数の主桁構造体2と、複数の主桁構造体2を橋軸直交方向に連結する繋材6と、を備え、主桁構造体2は、大引21と、橋軸方向の両端に配置され上端に大引受33が設けられた一対の支柱3と、一対の支柱3,3間に配置され上端に大引受43が設けられた1又は複数の連結材4と、支柱3と連結材4との間又は連結材4,4間に架け渡される複数の梁枠材5と、を有し、梁枠材5は、上下方向に間隔をあけて配置された複数の横材52,53と、横材52,53どうしを連結する連結材55,561,562とが一体化されてフレーム状に構成されたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋軸方向に延在すると共に橋軸方向と直交する橋軸直交方向に所定の間隔をあけて配置される複数の主桁構造体と、該複数の主桁構造体を橋軸直交方向に連結する繋材と、を備える仮設橋ユニットにおいて、
前記主桁構造体は、橋軸方向に延在する大引と、橋軸方向の両端に配置され上端に該大引を受ける大引受が設けられた一対の支柱と、該一対の支柱間に配置され上端に該大引を受ける大引受が設けられた1又は複数の連結材と、該支柱と該連結材との間又は該連結材間に架け渡される複数の梁枠材と、を有し、
前記梁枠材は、上下方向に間隔をあけて配置された複数の横材と、該横材どうしを連結する連結材とが一体化されてフレーム状に構成されたものであることを特徴とする仮設橋ユニット。
【請求項2】
前記梁枠材は、前記大引を受ける大引受を有するものであることを特徴とする請求項1記載の仮設橋ユニット。
【請求項3】
前記支柱と前記連結材それぞれは、被係合部を有するものであり、
前記梁枠材は、前記横材の両端部それぞれに係合部を有するものであり、
前記支柱又は前記連結材と、前記梁枠材とは、係合された前記被係合部と前記係合部とに楔材を嵌め込むことで固定されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の仮設橋ユニット。
【請求項4】
前記連結材と前記梁枠材のうちの少なくとも一方は、支持脚が取り付けられる下側突出部を有するものであることを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の仮設橋ユニット。
【請求項5】
前記繋材は、上下方向に間隔をあけて配置された複数の横材と、該横材どうしを連結する連結材とが一体化されてフレーム状に構成されたものであることを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1項に記載の仮設橋ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力作業で架設が可能であって、特に災害などの緊急時において好適に用いることができる仮設橋ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震や河川の氾濫、土石流などによる橋梁の倒壊や流出が多発しており、そのような緊急時においては、物資の搬送や人の移動が急務とされ、迅速に橋を架設する必要がある。しかしながら、橋の架設には、通常、池や川の端または溝や開口部の縁に土台を造り、土台に平行に配列した複数の形鋼を渡して架橋していくなど、短期間で架設することが難しい場合が多い。そこで、短期間での架設が可能な仮設橋ユニットが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
特許文献1記載の仮設橋ユニットは、下部が連結ピンで結合された複数の橋節と、各橋節の上部に配設された油圧ジャッキを有しており、この油圧ジャッキによって各橋節の上部を押し広げた後にスペーサを挿入するものである。これらの構成により、上方に凸となるようなキャンバを設けることによって、重量物の走行により大きな垂直たわみが発生しても、通過性の低下を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の仮設橋ユニットは、車両の通過性等を向上できるものの、油圧ジャッキを有しているため重量が重くなり、人力での作業に適さないおそれがある。特に、山奥や災害時等には、重機が入ることが困難な場合があり、人力作業で架設が可能な仮設橋ユニットが望まれている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、人や車両の通行等、災害時等の仮設橋として必要十分な荷重に耐えることが可能であって、人力作業での架設に適する工夫がなされた仮設橋ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の仮設橋ユニットは、橋軸方向に延在すると共に橋軸方向と直交する橋軸直交方向に所定の間隔をあけて配置される複数の主桁構造体と、該複数の主桁構造体を橋軸直交方向に連結する繋材と、を備える仮設橋ユニットにおいて、
前記主桁構造体は、橋軸方向に延在する大引と、橋軸方向の両端に配置され上端に該大引を受ける大引受が設けられた一対の支柱と、該一対の支柱間に配置され上端に該大引を受ける大引受が設けられた1又は複数の連結材と、該支柱と該連結材との間又は該連結材間に架け渡される複数の梁枠材と、を有し、
前記梁枠材は、上下方向に間隔をあけて配置された複数の横材と、該横材どうしを連結する連結材とが一体化されてフレーム状に構成されたものであることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記仮設橋ユニットは、橋軸直交方向に延在し、前記大引上に設置される複数の根太と、該根太上に設置される床パネルを備えるものであってもよい。また、前記主桁構造体及び前記繋材は、一般構造用炭素鋼管(STK鋼管)や、一般構造用圧延鋼材(SS材)を用いて構成するとよい。
【0009】
本発明の仮設橋ユニットによれば、前記主桁構造体が、前記複数の横材と、該横材どうしを連結する連結材とが一体化されてフレーム状に構成された前記梁枠材を有している。これにより、前記主桁構造体のねじり剛性等が向上し、災害時等の仮設橋に必要な耐荷重を確保した上で、各部材の軽量化を図ることができる。この結果、人力作業での組立や架設が可能となる。
【0010】
また、本発明の仮設橋ユニットにおいて、前記梁枠材は、前記大引を受ける大引受を有するものであってもよい。
【0011】
この態様を採用することで、前記梁枠材によっても前記大引を支持することができる。
【0012】
さらに、本発明の仮設橋ユニットにおいて、前記支柱と前記連結材それぞれは、被係合部を有するものであり、
前記梁枠材は、前記横材の両端部それぞれに係合部を有するものであり、
前記支柱又は前記連結材と、前記梁枠材とは、係合された前記被係合部と前記係合部とに楔材を嵌め込むことで固定されるものであることが好ましい。
【0013】
この態様を採用すれば、前記支柱又は前記連結材と、前記梁枠材との固定が容易になり、作業性を向上させることができる。
【0014】
またさらに、本発明の仮設橋ユニットにおいて、前記連結材と前記梁枠材のうちの少なくとも一方は、支持脚が取り付けられる下側突出部を有するものであってもよい。
【0015】
この態様を採用すれば、川の深さや川底の状況等が、前記支持脚を設置することが可能な場合には、前記下側突出部に該支持脚を取り付け、前記仮設橋ユニットの耐荷重性能を向上させることもできる。
【0016】
さらにまた、本発明の仮設橋ユニットにおいて、前記繋材は、上下方向に間隔をあけて配置された複数の横材と、該横材どうしを連結する連結材とが一体化されてフレーム状に構成されたものであってもよい。
【0017】
ここで、前記繋材は、前記梁枠材と同様の構成のものであってもよい。
【0018】
この態様を採用すれば、前記主桁構造体の横倒れを、より抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、人や車両の通行等、災害時等の仮設橋として必要十分な荷重に耐えることが可能であって、人力作業での架設に適する工夫がなされた仮設橋ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の仮設橋ユニットを川の両岸に架設した状態を示す図である。
【
図2】(a)は、
図1に示す仮設橋ユニットにおける、二点鎖線の四角で囲んだA部を拡大して示す図である。(b)は、(a)に示す連結材の平面図(上から見た図)である。(c)は、(a)に示すブラケットを拡大して示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す仮設橋ユニットにおける、二点鎖線の四角で囲んだB部を拡大して示す図である。
【
図4】
図1に示す仮設橋ユニットを、橋軸方向から見た図である。
【
図5】第2実施形態の仮設橋ユニットを橋軸方向から見た図であり、第1実施形態の仮設橋ユニットにおける
図4に対応する図である。
【
図6】本発明の仮設橋ユニットの、架設方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明の仮設橋ユニット10を川の両岸G,Gに架設した状態を示す図である。この
図1では、左右方向が仮設橋ユニット10の橋軸方向となり、紙面と直交する方向が、橋軸方向に直交する橋軸直交方向となる。
【0023】
図1に示すように、仮設橋ユニット10は、橋軸方向に延在する主桁構造体2を備えている。この主桁構造体2は、詳しくは後述するように、橋軸直交方向に所定の間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)配置されている(
図4参照)。
【0024】
主桁構造体2は、橋軸方向に延在する大引21と、橋軸方向の両端に配置され大引21を受ける大引受33が上端に設けられた一対の支柱3,3と、一対の支柱3,3間に配置され大引21を受ける大引受43が上端に設けられた複数(本実施形態では5つ)の連結材4と、支柱3と連結材4との間又は連結材4,4間に架け渡される複数(本実施形態では6つ)の梁枠材5と、を有している。また、本実施形態では、梁枠材5にも大引受57が設けられ、これら大引受33,43,57によって大引21が支持されている。大引21は、鋼材からなる角パイプで構成され、本実施形態では、人力作業での作業性を考慮し、支柱3と連結材4との間又は連結材4,4間の長さを有する複数(図では6本)の大引21を用いている。
【0025】
大引21上には、橋軸方向に所定の間隔をあけて、橋軸直交方向に延在した根太81が配置され、これらの根太81上には、金属製や木製、或いはFRP(繊維強化プラスチック)製等の床パネル82が設置されている。床パネル82は、橋軸方向に長い平面視長方形状の板材821と、根太81の側面に接触し、ズレを防ぐ角柱状の位置決め部材822とを有している(
図2(a)、
図3参照)。なお、床パネル82としては、本出願人が出願した特願2019-173202に記載されている床パネルを採用してもよい。この床パネルは、平面視長方形状の板材と、根太と同じ高さ寸法を有し板材の長手方向と直交する方向に延在する状態で板材の裏面に固定された複数の水平補強材とを有し、この水平補強材は、根太に沿った姿勢で大引に載置されるものである。
【0026】
また、
図1に示すように、岸Gには、ブロック等で構成された階段状のステップ91が支柱3に隣接して設けられている。なお、ステップ91に代えて、
図1において一点鎖線の四角で囲んで示すスロープ92を採用してもよい。このスロープ92は、本出願人が出願した特開2019-190091号に記載されているスロープ形成装置を好適に用いることができる。このスロープ92は、ベース部材921と、ベース部材921の一端側に軸支されるとともにスロープを構成する傾斜部材922と、ベース部材921の他端側および傾斜部材922の他端側それぞれに連結し、傾斜部材922の他端側を支持することによって勾配を確定する勾配確定部材923と、を有するものである。
【0027】
なお、
図1において二点鎖線で示すように、岸Gを掘り下げて一段低い設置部G1を形成し、この設置部G1に、支柱3を設置してもよい。また、池の水深や池底の状況によっては、
図1において一点鎖線で示す支持脚3’を梁枠材5や連結材4の下端に取り付けてもよい。この支持脚3’は、大引受33を除いた支柱3と同様の構成を有するものを採用することができる。
【0028】
図2(a)は、
図1に示す仮設橋ユニット10における、二点鎖線の四角で囲んだA部を拡大して示す図である。この
図2(a)は、連結材4と梁枠材5の固定構造、及びそれぞれの構成を説明するための図である。なお、図面を簡略化するため、両外側の大引21や梁枠材5等は省略している。
図2(b)は、同図(a)に示す連結材4の平面図(上から見た図)である。なお、
図2(b)では、大引受43は省略している。
【0029】
図2(a)及び同図(b)に示すように、連結材4は、丸パイプ状の連結材本体41と、連結材本体41の上端部分に設けられ連結材本体41よりも小径な接続部411と、接続部411に取り付けられた大引受43と、連結材本体41から、平面視において十字状に設けられた4つ1組の被係合部42が上下方向に一定の間隔をあけて一対設けられている。
図2(b)に示すように、被係合部42は、平面視コ字状に屈曲されて、平面視90度間隔で連結材本体41に固着されたものであり、梁枠材5のブラケット54が横方向から係合し、楔材Wが上方から嵌め込まれて固定される。また、
図1を用いて前述したように、連結材本体41の下端部分412は、支持脚3’が取り付け可能な部位であり、本発明における下側突出部の一例に相当する。なお、連結材本体41は、例えばSTK鋼管からなるものであり、本実施形態では、600mmほどの長さのものである。
【0030】
図2(a)に示すように、梁枠材5は丸パイプからなる縦材51を中央部に有しており、この縦材51を中心として左右対称の構成となっている。このため、左側の構成について説明し、右側の構成については左側の構成と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0031】
縦材51には、上下方向に間隔をあけて配置された、丸パイプからなる二つの横材52,53の一端が溶接されて連結されている。上側の横材52と下側の横材53には、丸パイプからなる鉛直連結材55と、板材からなる、第1傾斜連結材561及び第2傾斜連結材562が溶接により固定されて渡設されている。
【0032】
鉛直連結材55は、横材52,53間の外寄りに鉛直姿勢で備えられている。また、第1傾斜連結材561は、その下端が縦材51の近傍に溶接によって固定され、上端部が鉛直連結材55の近傍に溶接によって固定されることで、傾斜した姿勢で設けられている。第2傾斜連結材562は、その下端部が鉛直連結材55の近傍に溶接によって固定され、上端部が上側の横材52の端部部分に溶接によって固定されることで、傾斜した姿勢で設けられている。
【0033】
このように梁枠材5は、鉛直連結材55、第1傾斜連結材561及び第2傾斜連結材562が横材52,53どうしを連結しており、縦材51、横材52,52,53,53、鉛直連結材55,55、第1傾斜連結材561,561及び第2傾斜連結材562,562が一体化されてフレーム状に構成されている。
【0034】
縦材51の上端部分には、連結材4の接続部411と同様に、小径な接続部511が設けられており、この接続部511に大引受57が取り付けられている。また、
図1を用いて前述したように、縦材51の下端部分512は、支持脚3’が取り付け可能な部位であり、本発明における下側突出部の一例に相当する。
【0035】
横材52,53の両端には、本発明の係合部に相当するブラケット54がそれぞれ設けられている。
図2(c)は、同図(a)に示すブラケット54を拡大して示す斜視図である。
【0036】
図2(c)に示すように、ブラケット54は、略コの字状のものであり、垂直部542、上側水平部541及び下側水平部543を有している。なお、上側水平部541の先端部分には、下側に垂下した垂下部5411が形成されている。また、上側水平部541には、垂直部542の上端部分にかけて開口541aが形成されており、下側水平部543には、垂直部542の下端部分にかけて開口543aが形成されている。開口541aと開口543aとは、互いに対向して形成されている。
【0037】
梁枠材5は、例えば、ブラケット54がSS材で構成され、それ以外の部材がSTK鋼管等で構成されている。また、本実施形態では、人力での作業を考慮し、橋軸方向の長さが1500mm程度の梁枠材5を用いているが、橋軸方向の長さは、人力での作業に支障を生じない範囲で適宜設定することができ、橋軸方向の長さが、1200mm程度の梁枠材5や、900m程度の梁枠材5を用いることも可能である。
【0038】
図2(a)に示すように、梁枠材5は、横材52,52,53,53の両端にそれぞれ設けられたブラケット54が、連結材4の被係合部42に係合し、楔材Wを嵌め込むことによって、梁枠材5と連結材4とが固定されている。具体的には、楔材Wが、ブラケット54の開口541a,543aと、被係合部42に嵌め込まれて固定されている。
【0039】
図3は、
図1に示す仮設橋ユニット10における、二点鎖線の四角で囲んだB部を拡大して示す図である。この
図3は、支柱3の構成と、支柱3と梁枠材5の固定構造を説明するための図である。
【0040】
図3に示すように、支柱3は、連結材4と同じく、パイプ状の支柱本体31と、支柱本体31の上端部分に設けられ支柱本体31よりも小径な接続部311と、接続部311に取り付けられた大引受33と、支柱本体31から、平面視において十字状に設けられた4つ1組の被係合部32が設けられている。さらに、支柱本体31の下端部分312にジャッキ34が取り付けられ、高さ調整可能に岸Gに設置されている。
【0041】
また、梁枠材5と連結材4との固定と同じく、横材52,53の端部にそれぞれ設けられたブラケット54が、支柱3の被係合部32に係合し、楔材Wを嵌め込むことによって、梁枠材5と支柱3とが固定されている。
【0042】
図4は、
図1に示す仮設橋ユニット10を、橋軸方向から見た図である。すなわち、紙面と直行する方向が橋軸方向になる。
【0043】
図4に示すように、主桁構造体2が、橋軸直交方向に所定の間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)配置され、これら主桁構造体2が、繋材6によって連結されている。繋材6は、橋軸直交方向に延在する、例えばSTK鋼管からなる繋材本体61と、繋材本体61の両端部にそれぞれ設けられた、例えばSS材からなるブラケット62とを有している。このブラケット62は、
図2及び
図3に示す、梁枠材5のブラケット54と同一構成のものである。そして、ブラケット62が、支柱3の被係合部32に係合し、楔材Wを嵌め込むことによって、繋材6と支柱3とが固定されている。
【0044】
なお、図示は省略するが、複数の主桁構造体2における、橋軸直交方向に隣り合う連結材4どうしについても同様に、繋材6によって連結されている。また、特に限定されるものではないが、本実施形態では、橋軸直交方向の長さが900mmの繋材6を用いているが、仮設橋ユニット10の幅寸法(橋軸直交方向の長さ)や、複数の主桁構造体2における橋軸直交方向の間隔に応じて、橋軸直交方向の長さが異なる繋材6を採用すればよい。例えば、橋軸直交方向の長さが、1500mmや1200mm、或いは750mmや600mmの繋材6を採用することができる。
【0045】
なお、橋軸直交方向の外側に位置するそれぞれの主桁構造体2には、支柱3の被係合部32と連結材4の被係合部42(
図2参照)それぞれに手摺支柱83が取り付けられており、これらの手摺支柱83に、橋軸方向に延在する手摺(不図示)が取り付けられている。なお、
図1~
図3においては、図面を簡略化するため、手摺支柱83と手摺りは省略している。
【0046】
本実施形態の仮設橋ユニット10によれば、主桁構造体2が、横材52,53と、横材52,53どうしを連結する、鉛直連結材55、第1傾斜連結材561及び第2傾斜連結材562とが一体化されてフレーム状に構成された梁枠材5を有している。これにより、主桁構造体2のねじり剛性等が向上し、災害時等の仮設橋に必要な耐荷重を確保した上で、各部材の軽量化を図ることができる。この結果、人力作業での組立や架設が十分に可能となる。さらに、支柱3と梁枠材5、連結材と梁枠材5、及び主桁構造体2と繋材6とを、被係合部32,42にブラケット54,62を係合させて楔材Wを嵌め込むことで固定することができ、容易に組み立てることができる。またさらに、仮設橋ユニット10を使用しない場合には、各部材にばらすことで保管スペースも抑えることができる。
【0047】
次に、
図1~
図4に示す第1実施形態の仮設橋ユニット10の他の実施形態について説明する。以下に説明する他の実施形態においては、
図1~
図4に示す第1実施形態との相違点を中心に説明し、
図1~
図4に示す第1実施形態における構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0048】
図5は、第2実施形態の仮設橋ユニット11を橋軸方向から見た図であり、第1実施形態の仮設橋ユニット10における
図4に対応する図である。
【0049】
図5に示すように、本実施形態の仮設橋ユニット11では、繋材として、
図2に示す梁枠材5と同様の構成を有する、第2梁枠材7を採用している。第2梁枠材7は、縦材71と、横材72,73と、鉛直連結材74と、傾斜連結材75とが、一体化されてフレーム状に構成されたものである。横材72,73の端部には、ブラケット77が溶接により固定されている。また、縦材71の下端部分にはジャッキ76が設けられ、縦材71の上端部分には、大引受78が取り付けられている。なお、図示は省略するが、複数の主桁構造体2における、橋軸直交方向に隣り合う連結材4どうしについては、ジャッキ76を省略した第2梁枠材7、又は
図5に示す繋材6によって連結されている。
【0050】
本実施形態によれば、横材72,73と、横材72,73どうしを連結する、鉛直連結材74及び傾斜連結材75とが一体化されてフレーム状に構成された第2梁枠材7によって、主桁構造体2を連結するため、主桁構造体2の横倒れ等を、より抑えることができる。さらに、仮設橋ユニット11の橋軸方向の両端側部分は、第2梁枠材7によっても根太81及び床パネル82が支持され、耐荷重性能を向上させることもできる。
【0051】
図6は、本発明の仮設橋ユニット10の、架設方法の一例を説明するための図である。
【0052】
図6(a)に示すように、地上において仮設橋ユニット10を組み立て、さらに、この仮設橋ユニット10と同じ構成のカウンターウエイト用仮設橋ユニット10’を組み立てて、仮設橋ユニット10に連設する。具体的には、支柱3と梁枠材5、連結材と梁枠材5、及び主桁構造体2と繋材6とを、被係合部32,42にブラケット54,62を係合させて楔材Wを嵌め込み固定することで組み立てればよい。また、図示は省略するが、支柱3部分は、台車等に乗せておく。
【0053】
次いで、
図6(b)において矢印で示すように、連結した仮設橋ユニット10及びカウンターウエイト用仮設橋ユニット10’を移動させ、仮設橋ユニット10を両岸G,Gに設置する。なお、大引21、根太81及び床パネル82は、
図6(b)に示す位置に移動させた後に設置するようにしてもよく、この場合には、カウンターウエイト用仮設橋ユニット10’においても、大引21、根太81及び床パネル82は不要になる。
【0054】
そして、カウンターウエイト用仮設橋ユニット10’を除去した後、
図6(c)に示すように、ステップ91等を設置すればよい。
【0055】
本発明の仮設橋ユニット10,11によれば、人や車両の通行等、災害時等の仮設橋として必要十分な荷重に耐えることが可能であって、人力作業での架設に適する工夫がなされた仮設橋ユニットを提供することが可能となる。
【0056】
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、前述した実施形態では、鋼材からなる角パイプで構成された大引21を採用しているが、角パイプと、角パイプに沿って延在する補強パイプと、角パイプと補強パイプとを連結する複数の連結板とを備えた大引を採用してもよい。また、前述した実施形態では、川の両岸G,Gに仮設橋ユニット10,11を架設した例を説明したが、仮設橋ユニット10,11は、川に限らず、地震等の災害で地盤沈下した場所(穴や溝)等に架設してもよい。
【0057】
なお、以上説明した各実施形態の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10,11 仮設橋ユニット
2 主桁構造体
21 大引
3 支柱
31 支柱本体
32 被係合部
4 連結材
41 連結材本体
42 被係合部
5 梁枠材
51 縦材
52,53 横材
54 ブラケット(係合部)
55 鉛直連結材
561 第1傾斜連結材
562 第2傾斜連結材
6 繋材
7 第2梁枠材
81 根太
82 床パネル
91 ステップ
G 岸
W 楔材