(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167632
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板の製造方法、およびアクティブマトリクス基板を用いたタッチセンサ付き液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20221027BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20221027BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20221027BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20221027BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221027BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20221027BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G02F1/1368
G02F1/1333
G06F3/041 660
G06F3/044 124
H01L29/78 618B
H01L29/78 612B
G09F9/30 338
G09F9/00 366A
G09F9/30 339Z
G09F9/30 348A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073566
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】原 義仁
(72)【発明者】
【氏名】大東 徹
(72)【発明者】
【氏名】今井 元
(72)【発明者】
【氏名】上田 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】川崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】平田 義晴
【テーマコード(参考)】
2H189
2H192
5C094
5F110
5G435
【Fターム(参考)】
2H189LA04
2H189LA06
2H189LA08
2H189LA10
2H189LA28
2H189LA31
2H192AA24
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2H192CC55
2H192EA72
2H192FA35
2H192FA65
2H192FB02
2H192GB33
2H192JA33
5C094BA03
5C094BA14
5C094DB01
5C094DB10
5C094EA01
5C094EA04
5C094EA07
5C094EA10
5C094FA02
5C094FB12
5C094FB16
5F110AA14
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5F110NN03
5F110NN16
5F110NN27
5G435EE49
5G435HH12
5G435HH16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画素開口率の低下または補助容量の減少を抑制することが可能なアクティブマトリクス基板を提供する。
【解決手段】アクティブマトリクス基板は、酸化物半導体層を含む複数の薄膜トランジスタと、層間絶縁層と、層間絶縁層上に配置された複数の画素電極と、画素電極と層間絶縁層との間に配置され、タッチセンサ電極としても機能し得る共通電極と、層間絶縁層と共通電極との間に配置された第1誘電体層と、共通電極と画素電極との間に配置された第2誘電体層と、層間絶縁層と共通電極との間に配置され、かつ、第3導電膜から形成された複数のタッチ配線と、薄膜トランジスタのドレイン電極と、第3導電膜から形成された複数の画素コンタクト部は、層間絶縁層に形成された下部開口部内でドレイン電極に電気的に接続される接続電極と、第1誘電体層および第2誘電体層に形成された上部開口部内で接続電極に電気的に接続される画素電極とを有する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に支持された複数の薄膜トランジスタであって、各薄膜トランジスタは、第1導電膜から形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に配置された酸化物半導体層と、第2導電膜から形成されたソース電極およびドレイン電極と、を有し、前記ソース電極は前記酸化物半導体層の上面の一部に接し、前記ドレイン電極は前記酸化物半導体層の上面の他の一部に接する、複数の薄膜トランジスタと、
前記複数の薄膜トランジスタを覆う層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上に配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極と前記層間絶縁層との間に配置され、かつ、それぞれがタッチセンサ用の第1電極として機能し得る複数の共通電極部分を含む、共通電極と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第1誘電体膜から形成された第1誘電体層と、
前記共通電極と前記複数の画素電極との間に配置された第2誘電体層と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第3導電膜から形成されたタッチセンサ用の複数のタッチ配線と、
それぞれが、前記複数の画素電極の1つを、前記複数の薄膜トランジスタの対応する1つに電気的に接続する、複数の画素コンタクト部と、
を備え、
各画素コンタクト部は、
前記1つの薄膜トランジスタの前記ドレイン電極と、
前記ドレイン電極の一部を露出する下部開口部を有する前記層間絶縁層と、
前記下部開口部内で、前記ドレイン電極に電気的に接続される接続電極と、
前記接続電極の一部を露出する上部開口部を有する、前記第1誘電体層および前記第2誘電体層と、
前記上部開口部内で、前記接続電極に電気的に接続される前記1つの画素電極と、を有し、
前記接続電極は、前記第3導電膜から形成されている、アクティブマトリクス基板。
【請求項2】
前記層間絶縁層は、有機絶縁層と、前記有機絶縁層の前記基板側に位置する無機絶縁層とを含む積層構造を有する請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
前記接続電極は、前記層間絶縁層の上面の一部に接する第1部分と、前記下部開口部の側面に接する第2部分と、前記ドレイン電極の前記一部に接する第3部分と、を含む、請求項2に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
前記各画素コンタクト部において、前記接続電極は、前記下部開口部の側面全体を覆っており、前記第1誘電体層は、前記下部開口部の前記側面に接していない、請求項3に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
前記基板の法線方向から見たとき、前記共通電極は、前記各画素コンタクト部の前記接続電極のうち少なくとも前記第3部分上に位置する開口部を有し、かつ、前記共通電極は、前記接続電極の前記第1部分に少なくとも部分的に重なっている、請求項3または4に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
前記アクティブマトリクス基板は、複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域と、を有し、
前記各薄膜トランジスタおよび各画素電極は、前記表示領域に、前記複数の画素領域の1つに対応付けて配置されており、
前記非表示領域は、周辺回路を含む回路領域を含み、
前記回路領域は、
前記第1導電膜から形成された複数の第1配線と、
前記第2導電膜から形成された複数の第2配線と、
複数の配線重畳部であって、各配線重畳部では、前記複数の第1配線の1つおよび前記複数の第2配線の1つが、前記ゲート絶縁層を含む絶縁層を介して重なっている、複数の配線重畳部と、
互いに分離して配置された複数の第1開口部を含む前記層間絶縁層と、
前記第3導電膜から形成され、かつ、互いに分離して配置された複数の保護導電層と、
を含み、
前記層間絶縁層の各第1開口部は、前記複数の配線重畳部のうちの少なくとも1つの配線重畳部において前記1つの第2配線の一部を露出しており、
各保護導電層は、前記各第1開口部内で前記第2配線の前記一部に接する、請求項2から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項7】
前記各保護導電層は、前記層間絶縁層の上面の一部に接する第1導電部と、前記各第1開口部の側面に接する第2導電部と、前記第2配線の前記一部に接する第3導電部と、を含む、請求項6に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項8】
前記アクティブマトリクス基板は、複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域と、を有し、
前記各薄膜トランジスタおよび各画素電極は、前記表示領域に、前記複数の画素領域の1つに対応付けて配置されており、
前記非表示領域は、少なくとも1つの溝領域を含み、各溝領域は、前記基板の法線方向から見たとき、第1方向に延びる第1溝部を含み、前記第1溝部は、
前記ゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の一部を露出する溝を有する前記層間絶縁層であって、前記溝は、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる、前記層間絶縁層と、
前記第1誘電体膜から形成され、かつ、前記溝内で、前記ゲート絶縁層に直接接する絶縁層であって、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる絶縁層と、
前記層間絶縁層の上面および前記溝の側面の少なくとも一部を覆う前記第1誘電体層と、を有し、
前記絶縁層は、前記基板の法線方向から見たとき、互いに対向して前記第1方向に延びる2つの縁部分を有し、前記2つの縁部分は、それぞれ、前記層間絶縁層と前記ゲート絶縁層との間に位置している、請求項2から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項9】
前記第1溝部は、前記層間絶縁層と前記ゲート絶縁層との間において、前記絶縁層の側面に接して前記第1方向に延びる少なくとも1つの酸化物半導体部をさらに有する、請求項8に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項10】
前記アクティブマトリクス基板は、複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域と、を有し、
前記各薄膜トランジスタおよび各画素電極は、前記表示領域に、前記複数の画素領域の1つに対応付けて配置されており、
前記非表示領域は、
それぞれが、前記第1導電膜から形成された第1接続配線と、前記第2導電膜から形成された第2接続配線とを電気的に接続する複数のソース-ゲート接続部と、
前記第1導電膜から形成された複数のゲートバスラインと、
それぞれが、前記複数のゲートバスラインの1つと、前記共通電極と同じ第1透明導電膜から形成された第1透明接続電極とを電気的に接続する複数のゲート端子部と、
をさらに備え、
各ソース-ゲート接続部では、前記第2接続配線は、前記ゲート絶縁層に形成された開口部内で、前記第1接続配線の一部に直接接し、
各ゲート端子部では、前記第1透明接続電極は、前記ゲート絶縁層および前記第1誘電体層に形成された開口部内で、前記1つのゲートバスラインの一部に直接接する、請求項2から7のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項11】
前記第3導電膜は、透明導電膜と、前記透明導電膜上に配置された金属膜とを含む積層膜である、請求項1から10のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項12】
複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域とを有し、各画素領域に対応付けて配置された薄膜トランジスタおよび画素電極と、複数のタッチセンサ用のタッチ配線とを備えたアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
(A)前記基板上に、第1導電膜から、複数のゲートバスラインと、前記各画素領域における前記薄膜トランジスタのゲート電極とを含む第1メタル層を形成する第1メタル層形成工程と、
(B)前記第1メタル層を覆うゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
(C)前記各画素領域において、酸化物半導体膜から、前記ゲート絶縁層上に位置する酸化物半導体層を形成する半導体層形成工程と、
(D)前記工程(C)の後に、第2導電膜から、複数のソースバスラインと、前記各画素電極における前記薄膜トランジスタのソース電極およびドレイン電極とを含む第2メタル層を形成する第2メタル層形成工程と、
(E)前記第2メタル層を覆う層間絶縁層を形成する工程であって、前記層間絶縁層は、無機絶縁層と、前記無機絶縁層上に配置された有機絶縁層とを含む積層構造を有し、前記層間絶縁層は、前記各画素領域において、前記薄膜トランジスタの前記ドレイン電極の一部を露出する下部開口部を有する、工程と、
(F)前記層間絶縁層上に、第3導電膜から、前記複数のタッチ配線と、それぞれが、前記各画素領域において前記下部開口部内で前記ドレイン電極の前記一部に接する複数の接続電極とを含む第3メタル層を形成する第3メタル層形成工程と、
(G)第1誘電体膜から、前記第3メタル層を覆う第1誘電体層を形成する工程であって、前記第1誘電体層は各タッチ配線の一部を露出するタッチコンタクト用開口部を有する、第1誘電体層形成工程と、
(H)前記第1誘電体層上に、第1透明導電膜から共通電極を形成する工程であって、前記共通電極は、それぞれがタッチセンサ用の第1電極として機能し得る複数の共通電極部分を含み、各共通電極部分は前記タッチコンタクト用開口部内で前記複数のタッチ配線のいずれかに接続される、共通電極形成工程と、
(I)前記共通電極および前記複数の接続電極を覆う第2誘電体層を形成する第2誘電体層形成工程と、
(J)前記各画素領域において、前記第1誘電体層および前記第2誘電体層に、前記接続電極の一部を露出する上部開口部を形成する工程と、
(K)前記各画素領域において、前記第2誘電体層上、および、前記上部開口部内に、前記上部開口部内で前記接続電極に接する画素電極を形成する画素電極形成工程と、
を包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項13】
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域に配置された複数の配線重畳部を備え、
各配線重畳部では、前記第1導電膜から形成された第1配線の1つと、前記第2導電膜から形成された第2配線の1つとが前記ゲート絶縁層を介して重なっており、
前記工程(E)は、前記無機絶縁層および前記有機絶縁層に、前記複数の配線重畳部のうち少なくとも1つの配線重畳部において前記1つの第2配線の一部を露出する第1開口部を形成する工程を含み、
前記工程(F)は、前記第3導電膜から、互いに分離した複数の保護導電層を形成する工程を含み、各保護導電層は、前記第1開口部内および前記有機絶縁層の上面の一部上に配置され、前記第1開口部内で前記1つの第2配線の前記一部に接する、請求項12に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項14】
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域に配置された少なくとも1つの溝領域を備え、前記各溝領域は、第1方向に延びる第1溝部を含み、
前記工程(C)は、前記第1溝部が形成される領域に、前記酸化物半導体膜から、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる酸化物半導体エッチストップ層を形成する工程を含み、
前記工程(E)は、前記第1溝部が形成される領域に、前記有機絶縁層および前記無機絶縁層に、前記酸化物半導体エッチストップ層の一部を露出する溝を形成する工程を含み、前記溝は、前記基板の法線方向から見たときに前記第1方向に延びており、
前記工程(F)は、前記第3導電膜をエッチングするとともに、前記酸化物半導体エッチストップ層の少なくとも前記一部をエッチングする工程を含み、これにより、前記第1溝部が形成される領域において、前記溝の内部に、前記ゲート絶縁層の一部を露出させ、
前記工程(G)は、前記第1誘電体膜から、前記第1溝部が形成される領域において、前記ゲート絶縁層の前記一部に接する絶縁層を形成する工程を含み、前記絶縁層の縁部分は、前記層間絶縁層および前記ゲート絶縁層の間に位置する、請求項12または13に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項15】
前記工程(F)において、前記基板の法線方向から見たとき、前記酸化物半導体エッチストップ層のうち前記有機絶縁層に重なる部分の少なくとも一部を除去せずに残すように、前記酸化物半導体エッチストップ層のエッチングを行う、請求項14に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項16】
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域において、
前記第1導電膜から形成された複数のゲートバスラインと、
それぞれが、前記複数のゲートバスラインの1つと、前記第1透明導電膜から形成された下部透明電極とを電気的に接続する複数のゲート端子部と、
をさらに備え、
前記工程(F)は、各ゲート端子部となる領域において、前記ゲート絶縁層および前記第1誘電体膜に、前記1つのゲートバスラインの一部を露出する開口部を形成する工程を含む、請求項12から15のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項17】
前記ゲート絶縁層のパターニング工程をさらに含み、前記ゲート絶縁層のパターニング工程は、
前記工程(D)の前に行われる前記ゲート絶縁層の第1のエッチングと、
前記工程(F)において、前記第1誘電体膜のエッチングと同じレジストマスクを用いて行われる前記ゲート絶縁層の第2のエッチングと、
を包含する、請求項12から15のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項18】
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域において、
それぞれが、前記第1導電膜から形成された第1接続配線と、前記第2導電膜から形成された第2接続配線とを電気的に接続する複数のソース-ゲート接続部と、
前記第1導電膜から形成された複数のゲートバスラインと、
それぞれが、前記複数のゲートバスラインの1つと、前記第1透明導電膜から形成された下部透明電極とを電気的に接続する複数のゲート端子部と、
をさらに備え、
前記第1のエッチングは、各ソース-ゲート接続部となる領域において、前記ゲート絶縁層に、前記第1接続配線の一部を露出する開口部を形成する工程を含み、
前記第2のエッチングは、各ゲート端子部となる領域において、前記ゲート絶縁層および前記第1誘電体膜に、前記1つのゲートバスラインの一部を露出する開口部を形成する工程を含む、請求項17に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項19】
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域に配置された複数の配線重畳部および複数の溝領域を備え、
各配線重畳部では、前記第1導電膜から形成された第1配線の1つと、前記第2導電膜から形成された第2配線の1つとが前記ゲート絶縁層を介して重なっており、
各溝領域では、前記有機絶縁層は、前記基板の法線方向から見たとき、所定の方向に延びる溝を有し、
前記工程(E)は、前記無機絶縁層および前記有機絶縁層を、互いに異なるフォトマスクを用いたフォトリソ工程によってパターニングする工程であって、前記有機絶縁層に、前記各配線重畳部に位置し、前記無機絶縁層を露出する第1開口部と、前記各溝領域に位置し、前記無機絶縁層を露出する前記溝とを形成する工程を含み、
前記工程(G)において、前記第1誘電体層は、前記各配線重畳領域および前記各溝領域を覆っており、前記各配線重畳部において、前記第1開口部内で前記無機絶縁層に接し、かつ、前記各溝領域において前記溝内で前記無機絶縁層に接する、請求項12に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項20】
基板と、
前記基板に支持された複数の薄膜トランジスタであって、各薄膜トランジスタは、第1導電膜から形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に配置された酸化物半導体層と、第2導電膜から形成されたソース電極と、を有し、前記ソース電極は前記酸化物半導体層の上面の一部に接する、複数の薄膜トランジスタと、
前記複数の薄膜トランジスタを覆う層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上に配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極と前記層間絶縁層との間に配置され、かつ、それぞれがタッチセンサ用の第1電極として機能し得る複数の共通電極部分を含む、共通電極と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第1誘電体膜から形成された第1誘電体層と、
前記共通電極と前記複数の画素電極との間に配置された第2誘電体層と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第3導電膜から形成されたタッチセンサ用の複数のタッチ配線と、
それぞれが、前記複数の画素電極の1つを、前記複数の薄膜トランジスタの対応する1つに電気的に接続する、複数の画素コンタクト部と、
を備え、
各画素コンタクト部は、
前記1つの薄膜トランジスタの前記酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の一部を露出する下部開口部を有する前記層間絶縁層と、
前記下部開口部内で、前記酸化物半導体層の前記一部に接する接続電極と、
前記接続電極の一部を露出する上部開口部を有する、前記第1誘電体層および前記第2誘電体層と、
前記上部開口部内で、前記接続電極に電気的に接続される前記1つの画素電極と、を有し、
前記接続電極は、前記第3導電膜から形成されている、アクティブマトリクス基板。
【請求項21】
複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域と、を有しするアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板に支持され、かつ、それぞれが活性層として酸化物半導体層を含む複数の薄膜トランジスタと、
前記複数の薄膜トランジスタを覆う層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上に配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極と前記層間絶縁層との間に配置された共通電極と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第1誘電体膜から形成された第1誘電体層と、
前記共通電極と前記複数の画素電極との間に配置された第2誘電体層と、を備え、
前記各薄膜トランジスタおよび各画素電極は、前記表示領域に、前記複数の画素領域の1つに対応付けて配置されており、
前記非表示領域は、少なくとも1つの溝領域を含み、各溝領域は、前記基板の法線方向から見たとき、第1方向に延びる第1溝部を含み、前記第1溝部は、
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に延設された前記層間絶縁層であって、前記第1絶縁層の一部を露出する溝を有し、前記溝は、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる、前記層間絶縁層と、
前記第1誘電体膜から形成され、かつ、前記溝内で、前記第1絶縁層に直接接する第2絶縁層であって、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる第2絶縁層と、
前記層間絶縁層の上面および前記溝の側面の少なくとも一部を覆う前記第1誘電体層と、を有し、
前記第2絶縁層は、前記基板の法線方向から見たとき、互いに対向して前記第1方向に延びる2つの縁部分を有し、前記2つの縁部分は、それぞれ、前記層間絶縁層と前記第1絶縁層との間に位置しており、
前記第1溝部は、前記層間絶縁層と前記第1絶縁層との間において、前記第2絶縁層の側面に接して前記第1方向に延びる少なくとも1つの酸化物半導体部をさらに有する、アクティブマトリクス基板。
【請求項22】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項1から11、20および21のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項23】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項12から19のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項24】
請求項1から11、20および21のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように配置された対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に設けられた液晶層と
を備える、タッチセンサ付き液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板の製造方法、およびアクティブマトリクス基板を用いたタッチセンサ付き液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス基板を備える表示装置では、画素毎に、画素電極およびスイッチング素子が設けられている。スイッチング素子として、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、「TFT」)が用いられる。各画素において、画素TFTは画素電極に電気的に接続される。TFTの活性層の材料として、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わって、酸化物半導体を用いることも提案されている。なお、本明細書においては、表示装置の画素に対応するアクティブマトリクス基板の部分を「画素領域」または「画素」、各画素にスイッチング素子として設けられるTFTを「画素TFT」、各画素において画素TFTと画素電極とを電気的に接続する接続部を「画素コンタクト部」と呼ぶ。
【0003】
アクティブマトリクス型の表示装置の動作モードとして、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの横方向電界方式のモードが採用されることがある。横方向電界方式では、アクティブマトリクス基板に一対の電極(画素電極および共通電極)を設けて、液晶分子に基板面に平行な方向(横方向)に電界を印加する。各画素の画素電極の少なくとも一部は、誘電体層を介して共通電極に重なるように配置される。画素電極と共通電極との重なる部分には容量が形成される。この容量は、表示装置における補助容量(以下、「透明補助容量」と呼ぶ)としての機能を有し得る。
【0004】
横方向電界方式の表示装置に適用されるアクティブマトリクス基板では、画素電極は共通電極の基板側に誘電体層を介して配置されてもよい(以下、「コモン上層構造」と呼ぶ。)。あるいは、画素電極の基板側に誘電体層を介して共通電極が配置されてもよい(以下、「コモン下層構造」と呼ぶ)。コモン下層構造を有するアクティブマトリクス基板は、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
一方、近年、タッチセンサを備えた表示装置が、スマートフォン、タブレット型携帯端末等に広く利用されている。タッチセンサには、抵抗膜式、静電容量式、光学式など、種々の方式のものが知られている。静電容量式のタッチセンサでは、物体(例えば指)の接触または接近による静電容量の変化を電気的に検出することで、タッチ状態か否かを判別する。静電容量方式のタッチセンサには、タッチセンサ用の電極と物体(例えば指)との間に生じる静電容量の変化を検知する自己容量方式と、タッチセンサ用の一対の電極(トランスミッタ電極とレシーバ電極)を用いて電界を発生させ、電極間の電界変化を検出する相互容量方式とがある。
【0006】
横方向電界方式の表示装置にタッチセンサ機能を内蔵する場合には、アクティブマトリクス基板に設けられた共通電極を複数のセグメントに分割し、各セグメントをタッチセンサ用の電極(以下、「センサ電極」)として機能させることが可能である。各タッチセンサ電極は、それぞれ、対応するタッチ配線(タッチセンサの駆動用または検出用)に電気的に接続される。タッチセンサ機能を備えた横方向電界方式の表示装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-109347号公報
【特許文献2】国際公開第2016/136271号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、アクティブマトリクス基板は、各画素において、画素電極と画素TFTのドレイン電極とを電気的に接続する画素コンタクト部を有する。コモン下層構造を有するアクティブマトリクス基板では、例えば、画素コンタクト部において、共通電極よりも上層に位置する画素電極を、共通電極よりも下層に位置するドレイン電極に接続させる。このような画素コンタクト部を形成する際に、ドレイン電極の一部をコンタクトホール内に露出させた状態で、共通電極となる透明導電膜の形成およびエッチングを行うと、透明導電膜のエッチング液(例えばシュウ酸)によってドレイン電極の露出表面がダメージを受ける場合がある。
【0009】
ドレイン電極のダメージを抑制するために、例えば特許文献1は、画素コンタクト部において、共通電極と同じ透明導電膜から、ドレイン電極の露出表面を覆う導電層(「透明接続層」と呼ぶ)を形成することを開示している。画素電極は、透明接続層を介して、画素TFTのドレイン電極に接続される。しかしながら、このような構造を有する画素コンタクト部では、共通電極と透明接続層とは同層に、かつ、十分な間隔を空けて形成されるため、画素コンタクト部に要する面積が増加し、画素開口率が低下するおそれがある。また、画素電極および共通電極を利用した透明補助容量が小さくなる場合がある。詳細は後述する。
【0010】
本発明の一実施形態は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、画素コンタクト部に起因する画素開口率の低下または補助容量の減少を抑制することが可能なアクティブマトリクス基板およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、以下の項目に記載のアクティブマトリクス基板および液晶表示装置を開示している。
【0012】
[項目1]
基板と、
前記基板に支持された複数の薄膜トランジスタであって、各薄膜トランジスタは、第1導電膜から形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に配置された酸化物半導体層と、第2導電膜から形成されたソース電極およびドレイン電極と、を有し、前記ソース電極は前記酸化物半導体層の上面の一部に接し、前記ドレイン電極は前記酸化物半導体層の上面の他の一部に接する、複数の薄膜トランジスタと、
前記複数の薄膜トランジスタを覆う層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上に配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極と前記層間絶縁層との間に配置され、かつ、それぞれがタッチセンサ用の第1電極として機能し得る複数の共通電極部分を含む、共通電極と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第1誘電体膜から形成された第1誘電体層と、
前記共通電極と前記複数の画素電極との間に配置された第2誘電体層と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第3導電膜から形成されたタッチセンサ用の複数のタッチ配線と、
それぞれが、前記複数の画素電極の1つを、前記複数の薄膜トランジスタの対応する1つに電気的に接続する、複数の画素コンタクト部と、
を備え、
各画素コンタクト部は、
前記1つの薄膜トランジスタの前記ドレイン電極と、
前記ドレイン電極の一部を露出する下部開口部を有する前記層間絶縁層と、
前記下部開口部内で、前記ドレイン電極に電気的に接続される接続電極と、
前記接続電極の一部を露出する上部開口部を有する、前記第1誘電体層および前記第2誘電体層と、
前記上部開口部内で、前記接続電極に電気的に接続される前記1つの画素電極と、を有し、
前記接続電極は、前記第3導電膜から形成されている、アクティブマトリクス基板。
【0013】
[項目2]
前記層間絶縁層は、有機絶縁層と、前記有機絶縁層の前記基板側に位置する無機絶縁層とを含む積層構造を有する項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
【0014】
[項目3]
前記接続電極は、前記層間絶縁層の上面の一部に接する第1部分と、前記下部開口部の側面に接する第2部分と、前記ドレイン電極の前記一部に接する第3部分と、を含む、項目2に記載のアクティブマトリクス基板。
【0015】
[項目4]
前記各画素コンタクト部において、前記接続電極は、前記下部開口部の側面全体を覆っており、前記第1誘電体層は、前記下部開口部の前記側面に接していない、項目3に記載のアクティブマトリクス基板。
【0016】
[項目5]
前記基板の法線方向から見たとき、前記共通電極は、前記各画素コンタクト部の前記接続電極のうち少なくとも前記第3部分上に位置する開口部を有し、かつ、前記共通電極は、前記接続電極の前記第1部分に少なくとも部分的に重なっている、項目3または4に記載のアクティブマトリクス基板。
【0017】
[項目6]
前記アクティブマトリクス基板は、複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域と、を有し、
前記各薄膜トランジスタおよび各画素電極は、前記表示領域に、前記複数の画素領域の1つに対応付けて配置されており、
前記非表示領域は、周辺回路を含む回路領域を含み、
前記回路領域は、
前記第1導電膜から形成された複数の第1配線と、
前記第2導電膜から形成された複数の第2配線と、
複数の配線重畳部であって、各配線重畳部では、前記複数の第1配線の1つおよび前記複数の第2配線の1つが、前記ゲート絶縁層を含む絶縁層を介して重なっている、複数の配線重畳部と、
互いに分離して配置された複数の第1開口部を含む前記層間絶縁層と、
前記第3導電膜から形成され、かつ、互いに分離して配置された複数の保護導電層と、
を含み、
前記層間絶縁層の各第1開口部は、前記複数の配線重畳部のうちの少なくとも1つの配線重畳部において前記1つの第2配線の一部を露出しており、
各保護導電層は、前記各第1開口部内で前記第2配線の前記一部に接する、項目2から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0018】
[項目7]
前記各保護導電層は、前記層間絶縁層の上面の一部に接する第1導電部と、前記各第1開口部の側面に接する第2導電部と、前記第2配線の前記一部に接する第3導電部と、を含む、項目6に記載のアクティブマトリクス基板。
【0019】
[項目8]
前記アクティブマトリクス基板は、複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域と、を有し、
前記各薄膜トランジスタおよび各画素電極は、前記表示領域に、前記複数の画素領域の1つに対応付けて配置されており、
前記非表示領域は、少なくとも1つの溝領域を含み、各溝領域は、前記基板の法線方向から見たとき、第1方向に延びる第1溝部を含み、前記第1溝部は、
前記ゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の一部を露出する溝を有する前記層間絶縁層であって、前記溝は、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる、前記層間絶縁層と、
前記第1誘電体膜から形成され、かつ、前記溝内で、前記ゲート絶縁層に直接接する絶縁層であって、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる絶縁層と、
前記層間絶縁層の上面および前記溝の側面の少なくとも一部を覆う前記第1誘電体層と、を有し、
前記絶縁層は、前記基板の法線方向から見たとき、互いに対向して前記第1方向に延びる2つの縁部分を有し、前記2つの縁部分は、それぞれ、前記層間絶縁層と前記ゲート絶縁層との間に位置している、項目2から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0020】
[項目9]
前記第1溝部は、前記層間絶縁層と前記ゲート絶縁層との間において、前記絶縁層の側面に接して前記第1方向に延びる少なくとも1つの酸化物半導体部をさらに有する、項目8に記載のアクティブマトリクス基板。
【0021】
[項目10]
前記アクティブマトリクス基板は、複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域と、を有し、
前記各薄膜トランジスタおよび各画素電極は、前記表示領域に、前記複数の画素領域の1つに対応付けて配置されており、
前記非表示領域は、
それぞれが、前記第1導電膜から形成された第1接続配線と、前記第2導電膜から形成された第2接続配線とを電気的に接続する複数のソース-ゲート接続部と、
前記第1導電膜から形成された複数のゲートバスラインと、
それぞれが、前記複数のゲートバスラインの1つと、前記共通電極と同じ第1透明導電膜から形成された第1透明接続電極とを電気的に接続する複数のゲート端子部と、
をさらに備え、
各ソース-ゲート接続部では、前記第2接続配線は、前記ゲート絶縁層に形成された開口部内で、前記第1接続配線の一部に直接接し、
各ゲート端子部では、前記第1透明接続電極は、前記ゲート絶縁層および前記第1誘電体層に形成された開口部内で、前記1つのゲートバスラインの一部に直接接する、項目2から7のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0022】
[項目11]
前記第3導電膜は、透明導電膜と、前記透明導電膜上に配置された金属膜とを含む積層膜である、項目1から10のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0023】
[項目12]
複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域とを有し、各画素領域に対応付けて配置された薄膜トランジスタおよび画素電極と、複数のタッチセンサ用のタッチ配線とを備えたアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
(A)前記基板上に、第1導電膜から、複数のゲートバスラインと、前記各画素領域における前記薄膜トランジスタのゲート電極とを含む第1メタル層を形成する第1メタル層形成工程と、
(B)前記第1メタル層を覆うゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
(C)前記各画素領域において、酸化物半導体膜から、前記ゲート絶縁層上に位置する酸化物半導体層を形成する半導体層形成工程と、
(D)前記工程(C)の後に、第2導電膜から、複数のソースバスラインと、前記各画素電極における前記薄膜トランジスタのソース電極およびドレイン電極とを含む第2メタル層を形成する第2メタル層形成工程と、
(E)前記第2メタル層を覆う層間絶縁層を形成する工程であって、前記層間絶縁層は、無機絶縁層と、前記無機絶縁層上に配置された有機絶縁層とを含む積層構造を有し、前記層間絶縁層は、前記各画素領域において、前記薄膜トランジスタの前記ドレイン電極の一部を露出する下部開口部を有する、工程と、
(F)前記層間絶縁層上に、第3導電膜から、前記複数のタッチ配線と、それぞれが、前記各画素領域において前記下部開口部内で前記ドレイン電極の前記一部に接する複数の接続電極とを含む第3メタル層を形成する第3メタル層形成工程と、
(G)第1誘電体膜から、前記第3メタル層を覆う第1誘電体層を形成する工程であって、前記第1誘電体層は各タッチ配線の一部を露出するタッチコンタクト用開口部を有する、第1誘電体層形成工程と、
(H)前記第1誘電体層上に、第1透明導電膜から共通電極を形成する工程であって、前記共通電極は、それぞれがタッチセンサ用の第1電極として機能し得る複数の共通電極部分を含み、各共通電極部分は前記タッチコンタクト用開口部内で前記複数のタッチ配線のいずれかに接続される、共通電極形成工程と、
(I)前記共通電極および前記複数の接続電極を覆う第2誘電体層を形成する第2誘電体層形成工程と、
(J)前記各画素領域において、前記第1誘電体層および前記第2誘電体層に、前記接続電極の一部を露出する上部開口部を形成する工程と、
(K)前記各画素領域において、前記第2誘電体層上、および、前記上部開口部内に、前記上部開口部内で前記接続電極に接する画素電極を形成する画素電極形成工程と、
を包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【0024】
[項目13]
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域に配置された複数の配線重畳部を備え、
各配線重畳部では、前記第1導電膜から形成された第1配線の1つと、前記第2導電膜から形成された第2配線の1つとが前記ゲート絶縁層を介して重なっており、
前記工程(E)は、前記無機絶縁層および前記有機絶縁層に、前記複数の配線重畳部のうち少なくとも1つの配線重畳部において前記1つの第2配線の一部を露出する第1開口部を形成する工程を含み、
前記工程(F)は、前記第3導電膜から、互いに分離した複数の保護導電層を形成する工程を含み、各保護導電層は、前記第1開口部内および前記有機絶縁層の上面の一部上に配置され、前記第1開口部内で前記1つの第2配線の前記一部に接する、項目12に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0025】
[項目14]
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域に配置された少なくとも1つの溝領域を備え、前記各溝領域は、第1方向に延びる第1溝部を含み、
前記工程(C)は、前記第1溝部が形成される領域に、前記酸化物半導体膜から、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる酸化物半導体エッチストップ層を形成する工程を含み、
前記工程(E)は、前記第1溝部が形成される領域に、前記有機絶縁層および前記無機絶縁層に、前記酸化物半導体エッチストップ層の一部を露出する溝を形成する工程を含み、前記溝は、前記基板の法線方向から見たときに前記第1方向に延びており、
前記工程(F)は、前記第3導電膜をエッチングするとともに、前記酸化物半導体エッチストップ層の少なくとも前記一部をエッチングする工程を含み、これにより、前記第1溝部が形成される領域において、前記溝の内部に、前記ゲート絶縁層の一部を露出させ、
前記工程(G)は、前記第1誘電体膜から、前記第1溝部が形成される領域において、前記ゲート絶縁層の前記一部に接する絶縁層を形成する工程を含み、前記絶縁層の縁部分は、前記層間絶縁層および前記ゲート絶縁層の間に位置する、項目12または13に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0026】
[項目15]
前記工程(F)において、前記基板の法線方向から見たとき、前記酸化物半導体エッチストップ層のうち前記有機絶縁層に重なる部分の少なくとも一部を除去せずに残すように、前記酸化物半導体エッチストップ層のエッチングを行う、項目14に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0027】
[項目16]
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域において、
前記第1導電膜から形成された複数のゲートバスラインと、
それぞれが、前記複数のゲートバスラインの1つと、前記第1透明導電膜から形成された下部透明電極とを電気的に接続する複数のゲート端子部と、
をさらに備え、
前記工程(F)は、各ゲート端子部となる領域において、前記ゲート絶縁層および前記第1誘電体膜に、前記1つのゲートバスラインの一部を露出する開口部を形成する工程を含む、項目12から15のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0028】
[項目17]
前記ゲート絶縁層のパターニング工程をさらに含み、前記ゲート絶縁層のパターニング工程は、
前記工程(D)の前に行われる前記ゲート絶縁層の第1のエッチングと、
前記工程(F)において、前記第1誘電体膜のエッチングと同じレジストマスクを用いて行われる前記ゲート絶縁層の第2のエッチングと、
を包含する、項目12から15のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0029】
[項目18]
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域において、
それぞれが、前記第1導電膜から形成された第1接続配線と、前記第2導電膜から形成された第2接続配線とを電気的に接続する複数のソース-ゲート接続部と、
前記第1導電膜から形成された複数のゲートバスラインと、
それぞれが、前記複数のゲートバスラインの1つと、前記第1透明導電膜から形成された下部透明電極とを電気的に接続する複数のゲート端子部と、
をさらに備え、
前記第1のエッチングは、各ソース-ゲート接続部となる領域において、前記ゲート絶縁層に、前記第1接続配線の一部を露出する開口部を形成する工程を含み、
前記第2のエッチングは、各ゲート端子部となる領域において、前記ゲート絶縁層および前記第1誘電体膜に、前記1つのゲートバスラインの一部を露出する開口部を形成する工程を含む、項目17に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0030】
[項目19]
前記アクティブマトリクス基板は、前記非表示領域に配置された複数の配線重畳部および複数の溝領域を備え、
各配線重畳部では、前記第1導電膜から形成された第1配線の1つと、前記第2導電膜から形成された第2配線の1つとが前記ゲート絶縁層を介して重なっており、
各溝領域では、前記有機絶縁層は、前記基板の法線方向から見たとき、所定の方向に延びる溝を有し、
前記工程(E)は、前記無機絶縁層および前記有機絶縁層を、互いに異なるフォトマスクを用いたフォトリソ工程によってパターニングする工程であって、前記有機絶縁層に、前記各配線重畳部に位置し、前記無機絶縁層を露出する第1開口部と、前記各溝領域に位置し、前記無機絶縁層を露出する前記溝とを形成する工程を含み、
前記工程(G)において、前記第1誘電体層は、前記各配線重畳領域および前記各溝領域を覆っており、前記各配線重畳部において、前記第1開口部内で前記無機絶縁層に接し、かつ、前記各溝領域において前記溝内で前記無機絶縁層に接する、項目12に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0031】
[項目20]
基板と、
前記基板に支持された複数の薄膜トランジスタであって、各薄膜トランジスタは、第1導電膜から形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に配置された酸化物半導体層と、第2導電膜から形成されたソース電極と、を有し、前記ソース電極は前記酸化物半導体層の上面の一部に接する、複数の薄膜トランジスタと、
前記複数の薄膜トランジスタを覆う層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上に配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極と前記層間絶縁層との間に配置され、かつ、それぞれがタッチセンサ用の第1電極として機能し得る複数の共通電極部分を含む、共通電極と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第1誘電体膜から形成された第1誘電体層と、
前記共通電極と前記複数の画素電極との間に配置された第2誘電体層と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第3導電膜から形成されたタッチセンサ用の複数のタッチ配線と、
それぞれが、前記複数の画素電極の1つを、前記複数の薄膜トランジスタの対応する1つに電気的に接続する、複数の画素コンタクト部と、
を備え、
各画素コンタクト部は、
前記1つの薄膜トランジスタの前記酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の一部を露出する下部開口部を有する前記層間絶縁層と、
前記下部開口部内で、前記酸化物半導体層の前記一部に接する接続電極と、
前記接続電極の一部を露出する上部開口部を有する、前記第1誘電体層および前記第2誘電体層と、
前記上部開口部内で、前記接続電極に電気的に接続される前記1つの画素電極と、を有し、
前記接続電極は、前記第3導電膜から形成されている、アクティブマトリクス基板。
【0032】
[項目21]
複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域と、を有しするアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板に支持され、かつ、それぞれが活性層として酸化物半導体層を含む複数の薄膜トランジスタと、
前記複数の薄膜トランジスタを覆う層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上に配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極と前記層間絶縁層との間に配置された共通電極と、
前記層間絶縁層と前記共通電極との間に配置され、かつ、第1誘電体膜から形成された第1誘電体層と、
前記共通電極と前記複数の画素電極との間に配置された第2誘電体層と、を備え、
前記各薄膜トランジスタおよび各画素電極は、前記表示領域に、前記複数の画素領域の1つに対応付けて配置されており、
前記非表示領域は、少なくとも1つの溝領域を含み、各溝領域は、前記基板の法線方向から見たとき、第1方向に延びる第1溝部を含み、前記第1溝部は、
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に延設された前記層間絶縁層であって、前記第1絶縁層の一部を露出する溝を有し、前記溝は、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる、前記層間絶縁層と、
前記第1誘電体膜から形成され、かつ、前記溝内で、前記第1絶縁層に直接接する第2絶縁層であって、前記基板の法線方向から見たとき、前記第1方向に延びる第2絶縁層と、
前記層間絶縁層の上面および前記溝の側面の少なくとも一部を覆う前記第1誘電体層と、を有し、
前記第2絶縁層は、前記基板の法線方向から見たとき、互いに対向して前記第1方向に延びる2つの縁部分を有し、前記2つの縁部分は、それぞれ、前記層間絶縁層と前記第1絶縁層との間に位置しており、
前記第1溝部は、前記層間絶縁層と前記第1絶縁層との間において、前記第2絶縁層の側面に接して前記第1方向に延びる少なくとも1つの酸化物半導体部をさらに有する、アクティブマトリクス基板。
【0033】
[項目22]
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目1から11、20および21のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0034】
[項目23]
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目12から19のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【0035】
[項目24]
項目1から11、20および21のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように配置された対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に設けられた液晶層と
を備える、タッチセンサ付き液晶表示装置。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施形態によると、画素コンタクト部に起因する画素開口率の低下または補助容量の減少を抑制することが可能なアクティブマトリクス基板が提供される。また、そのようなアクティブマトリクス基板を簡便に製造し得る製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1A】第1の実施形態のアクティブマトリクス基板101の模式的な平面図である。
【
図1B】アクティブマトリクス基板101におけるタッチセンサ電極およびタッチ配線の配置関係を例示する模式的な平面図である。
【
図2A】アクティブマトリクス基板101の表示領域の一部を示す平面図である。
【
図2B】
図2Aに示すIIb-IIb’線における断面図であり、アクティブマトリクス基板101の画素領域の一部を示す。
【
図2C】
図2Aに示すIIc-IIc’線における断面図であり、アクティブマトリクス基板101の画素領域の一部を示す。
【
図2D】アクティブマトリクス基板101の画素領域の他の例を示す断面図である。
【
図2E】アクティブマトリクス基板101におけるゲート端子部GT1を例示する断面図である。
【
図2F】アクティブマトリクス基板101におけるソース-ゲート接続部SG1を例示する断面図である。
【
図3A】アクティブマトリクス基板101における配線重畳領域A1を例示する平面図である。
【
図3B】
図3Aに示す配線重畳領域A1のIIIb-IIIb’線における断面図である。
【
図4A】アクティブマトリクス基板101における溝領域B1の一部を例示する平面図である。
【
図4B】
図4Aに示す1つの溝領域B1のIVb-IV’線における断面図である。
【
図5】アクティブマトリクス基板101を用いたタッチパネル1000の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図6A】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6B】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6C】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6D】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6E】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6F】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6G】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6H】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6I】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図6J】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図7】アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8A】変形例1のアクティブマトリクス基板におけるソース-ゲート接続部SG2を例示する断面図である。
【
図8B】変形例1のアクティブマトリクス基板における他のソース-ゲート接続部SG3を例示する断面図である。
【
図9A】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図9B】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図9C】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図9D】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図9E】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図9F】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図9G】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図9H】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図9I】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図10】アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】変形例2のアクティブマトリクス基板におけるゲート端子部GT2を例示する断面図である。
【
図12A】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12B】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12C】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12D】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12E】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12F】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12G】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12H】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12I】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図12J】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図13】アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図14A】変形例3のアクティブマトリクス基板におけるゲート端子部GT3を例示する断面図である。
【
図14B】変形例3のアクティブマトリクス基板における配線重畳領域A2を例示する断面図である。
【
図14C】変形例3のアクティブマトリクス基板における溝領域B2を例示する断面図である。
【
図15A】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15B】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15C】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15D】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15E】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15F】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15G】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15H】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15I】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15J】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図15K】アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【
図16】アクティブマトリクス基板104の製造方法を示すフローチャートである。
【
図17】変形例4のアクティブマトリクス基板における画素領域の一部を示す断面図である。
【
図18A】従来の画素コンタクト部の形成方法の一例を示す断面工程図である。
【
図18B】従来の画素コンタクト部の形成方法の一例を示す断面工程図である。
【
図18C】従来の画素コンタクト部の形成方法の一例を示す断面工程図である。
【
図18D】従来の画素コンタクト部の形成方法の一例を示す断面工程図である。
【
図19】比較例のタッチパネル900の一部を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
上述したように、コモン下層構造を有するアクティブマトリクス基板では、画素電極と画素TFTのドレイン電極との間に、共通電極と同じ透明導電膜から形成された透明接続層を介在させた画素コンタクト構造が設けられることがある。透明接続層を設けることで、画素コンタクト部の製造プロセスに起因するドレイン電極のダメージを低減できる。以下、図面を参照しながら説明する。
【0039】
図18A~
図18Dは、それぞれ、従来の画素コンタクト部の形成方法の一例を示す断面工程図である。
【0040】
まず、
図18Aに示すように、画素TFT90と、画素TFT90を覆う絶縁層92を形成する。次いで、画素コンタクト部を形成する領域において、絶縁層92に、画素TFT90のドレイン電極(例えばCu電極)DEの一部を露出するコンタクトホール92pを形成する。この後、
図18Bに示すように、第1透明導電膜を形成し、パターニングすることで、絶縁層92上に共通電極CEを形成するとともに、コンタクトホール92p内でドレイン電極DEに接する透明接続層96を形成する。続いて、
図18Cに示すように、共通電極CEを覆う誘電体層94を形成し、誘電体層94に透明接続層96の一部を露出する開口部94pを設ける。この後、
図18Dに示すように、開口部94p内で透明接続層96に接するように画素電極PEを形成する。
【0041】
上記方法では、
図18Bに示す第1透明導電膜(例えばインジウム-錫酸化物(ITO))のパターニング工程において、ドレイン電極DEは第1透明導電膜で覆われているので、エッチング液(例えばシュウ酸)に接触しない。このため、エッチング液によるドレイン電極DEへのダメージを低減できる。
【0042】
しかしながら、共通電極CEと透明接続層96とが同層に形成される(同じ第1透明導電膜を用いて形成される)ことから、共通電極CEと透明接続層96とを電気的に分離するため、十分な間隔(
図18Bでは距離d)を空けて形成する必要がある。これにより、共通電極CEの面積が小さくなるので、共通電極CE、画素電極PEおよび誘電体層94で構成される透明補助容量Cpが減少する場合がある。さらに、画素コンタクト部に要する面積が増加するので、画素開口率(画素領域のうち表示に寄与する領域の面積率)が低下するおそれがある。
【0043】
これに対し、本開示の一実施形態では、コモン下層構造のアクティブマトリクス基板において、共通電極の基板側に、タッチ配線用の誘電体層を介してタッチ配線を設け、タッチ配線と同じ導電膜を利用して、ドレイン電極へのダメージを低減することが可能である。具体的には、画素コンタクト部において、タッチ配線と同じ導電膜を用いて、ドレイン電極DEのうちコンタクトホール内に露出した部分を覆う接続電極を形成する。画素電極は、接続電極を介してドレイン電極に電気的に接続される。本実施形態によると、接続電極を形成することで、その後の共通電極のパターニング工程において、エッチング液等に起因してドレイン電極の表面がダメージを受けることを抑制できる。また、共通電極とは別層に接続電極を形成することから、共通電極の面積を小さくしたり、画素コンタクト部に要する面積を増加させなくてもよいので、透明補助容量の減少や画素開口率の低下を抑制できる。
【0044】
さらに、共通電極の基板側に、タッチ配線用の誘電体層(第1誘電体層)を介してタッチ配線を設け、共通電極の上方に、別の誘電体層(第2誘電体層)を介して画素電極を設けることで、タッチ配線と共通電極との間に位置する第1誘電体層の厚さと、共通電極と画素電極との間に位置する第2誘電体層の厚さとを独立して設定できる。従って、共通電極、第2誘電体層および画素電極を含む透明補助容量を確保しつつ、タッチ配線、第1誘電体層および共通電極を含むタッチ配線容量を小さくできる。これにより、表示性能とセンシング性能とを両立することが可能になる。詳細は後述する。
【0045】
なお、特許文献2の
図14には、コモン下層構造のアクティブマトリクス基板にタッチ配線を設ける構成が開示されているが、画素コンタクト部の具体的な構成については、何も記載されていない。
【0046】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板、および、タッチセンサ付き表示装置(タッチパネル)をより具体的に説明する。以下の図面において、実質的に同じ機能を有する構成要素は、共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。
【0047】
[アクティブマトリクス基板の全体構造]
まず、図面を参照しながら、本実施形態のアクティブマトリクス基板101の概略を説明する。アクティブマトリクス基板101は、例えば、横電界モード(例えばFFS(Fringe Field Switching)モード)の液晶表示パネルを用いたインセル型タッチパネルに使用され得る。タッチパネルは、例えば、相互容量方式または自己容量方式のタッチセンサを有してもよい。
【0048】
図1Aは、第1の実施形態のアクティブマトリクス基板101の模式的な平面図であり、
図1Bは、アクティブマトリクス基板101におけるタッチセンサ電極およびタッチ配線の配置関係を例示する模式的な平面図である。
【0049】
アクティブマトリクス基板101は、表示領域DRと、表示領域DRの周辺に位置する非表示領域(周辺領域)FRとを有する。
【0050】
図1Aに示すように、表示領域DRは、行方向に略平行に延設された複数のゲートバスラインGLと、列方向に略平行に延設された複数のソースバスラインSLと、行方向および列方向に2次元に配列された複数の画素領域PIXとを含む。列方向は、行方向と交差する方向であり、行方向と直交していてもよい。「画素領域PIX」は、表示装置の各画素に対応する領域である。この例では、各画素領域PIXは、ゲートバスラインGLおよびソースバスラインSLによって画定されている。
【0051】
各画素領域PIXは、TFT(画素TFT)30と、画素電極PEとを有している。TFT30のゲート電極は、対応するゲートバスラインGLに電気的に接続されている。TFT30のソース電極は、対応するソースバスラインSLに電気的に接続されている。ドレイン電極は、画素コンタクト部において、対応する画素電極PEに電気的に接続されている。
【0052】
アクティブマトリクス基板101には、また、共通電極CEが設けられる。ここでは、共通電極CEは、複数のセグメントTX1、TX2・・・TX(n)(nは2以上の整数)に分割されている。各セグメントTX1、TX2は、タッチセンサ電極として機能する。
図1Aに示す例では、各タッチセンサ電極TX1、TX2(以下、「タッチセンサ電極TX」と総称することがある)は、複数の画素領域PIXに対応して設けられている。
【0053】
図1Bに示すように、アクティブマトリクス基板101は、複数のタッチ配線TLを有している。各タッチセンサ電極TXは、対応するタッチ配線TLに電気的に接続されている。タッチセンサ電極TXとタッチ配線TLとの接続部TCを「タッチ配線コンタクト部」と呼ぶ。
【0054】
タッチ配線TLは、非表示領域FRに設けられたタッチ駆動部に接続されている。タッチ駆動部は、例えば、複数のタッチセンサ電極TXを共通電極CEとして機能させる表示モードと、タッチセンサ電極TXとして機能させるタッチ検出モードとを時分割で切り替えるように構成されている。タッチ駆動部は、例えば、表示モードにおいて、タッチ配線を介してタッチセンサ電極TX(共通電極CE)に共通信号を印加する。一方、タッチ検出モードにおいては、タッチ駆動部は、タッチ配線TLを介して、タッチセンサ電極TXにタッチ駆動信号を印加する。
【0055】
基板1の法線方向から見たとき、複数のタッチ配線TLは、例えば列方向(ソースバスラインSLと同じ方向)に延びていてもよい。一部のタッチ配線TLは、対応するタッチセンサ電極TXまで、他の1つまたは複数のタッチセンサ電極TXを横切って延びている。図示するように、複数のタッチセンサ電極TXの1つであるタッチセンサ電極TX1に着目すると、基板の法線方向から見たとき、タッチセンサ電極TX1に信号を供給する第1タッチ配線TL1がタッチ配線コンタクト部TCまで延びており、他のタッチセンサ電極に信号を供給するための第2タッチ配線TL2が、タッチセンサ電極TX1を横切るように延びている。後述するように、第2タッチ配線TL2とタッチセンサ電極TX1とは、絶縁層(誘電体層)を介して重なっており、タッチ配線容量を形成する。なお、
図1Bに例示したように、タッチセンサ電極TXの位置によっては、基板の法線方向から見たとき、そのタッチセンサ電極TXを横切って延びるように2以上のタッチ配線TLが配置されている場合もあるし、そのタッチセンサ電極TXを横切るようなタッチ配線が配置されていない場合もある。
【0056】
なお、図示しないが、アクティブマトリクス基板101の非表示領域FRには、タッチ駆動部の他に、TFT30にゲートバスラインGLを介して走査信号を供給するゲートドライバ、TFT30にソースバスラインSLを介して画素信号を供給するソースドライバなどの駆動回路を含む周辺回路が設けられる。これらの駆動回路は、例えばアクティブマトリクス基板101に実装されてもよいし、一体的(モノリシック)に形成されていてもよい。非表示領域FRに、一部または全部の駆動回路を含む半導体チップが搭載されていてもよい。
【0057】
非表示領域FRには、また、ソース端子部、ゲート端子部、ソース-ゲート接続部などが設けられる。ソース-ゲート接続部は、ソースバスラインと同じメタル層内に形成された配線と、ゲートバスラインと同じメタル層内に形成された配線とを電気的に接続する接続部である。
【0058】
上記では、タッチパネルが自己容量方式のタッチセンサを備える例を説明したが、代わりに、相互容量方式のタッチセンサを備えていてもよい。この場合、液晶層を挟んでアクティブマトリクス基板101に対向して配置される対向基板に、タッチセンサ用の他の電極が設けられてもよい。例えば、タッチセンサ電極TXが一方向(例えば行方向)に延び、対向基板に設けられたタッチセンサ用の電極が他の方向(例えば列方向)に延びており、これらの電極の交差する部分(タッチ検出単位)の容量の変化を検出してもよい。相互容量方式および自己容量方式のタッチセンサの具体的な構造、駆動方法などは、例えば特開2018-5484号公報、国際出願第2018/092758号、国際出願第2017/126603号、特開2016-126336号公報、特開2009-244958号公報などに記載されており、公知であるので、詳細な説明を省略する。参考のために、特開2018-5484号公報、国際出願第2018/092758号、国際出願第2017/126603号、特開2016-126336号公報、特開2009-244958号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0059】
なお、本明細書では、アクティブマトリクス基板101に形成されたタッチセンサが自己容量方式であっても、相互容量方式であっても、アクティブマトリクス基板101側に配置されたタッチセンサ用の電極を、単に「タッチセンサ電極TX」と呼び、タッチセンサ電極TXに電気的に接続されたタッチセンサ用の配線を「タッチ配線」と呼ぶ。
【0060】
[アクティブマトリクス基板101の画素領域PIXの構造]
次いで、図面を参照して、アクティブマトリクス基板101の画素領域PIXの構造を説明する。
【0061】
図2Aは、アクティブマトリクス基板101の表示領域DRの一部を示す拡大平面図である。
図2Bおよび
図2Cは、それぞれ、
図2Aに示すIIb-IIb’線およびIIc-IIc’に沿った断面図である。
【0062】
アクティブマトリクス基板101の表示領域DRは、行方向に延びるゲートバスラインGLと、列方向に延びるソースバスラインSLと、行方向および列方向にマトリクス状に配列された複数の画素領域PIXとを有している。
【0063】
各画素領域PIXは、基板1に支持されたTFT30と、画素電極PEと、共通電極CEとを備える。各TFT30は、複数の画素領域PIXのそれぞれに対応付けて配置されていればよく、TFT30の一部が、対応する画素領域PIXの外側に配置されていてもよい。
【0064】
図2Aには、複数の画素領域のうち、行方向に隣接する3つの画素領域PIXa、PIXb、PIXcを示す。この例では、画素領域PIXaに対応付けてTFT30aが配置され、画素領域PIXbに対応付けて30bが配置されている。
【0065】
本明細書では、ゲートバスラインGLと同じ導電膜(第1導電膜)を用いて形成された電極・配線を含む層M1を「第1メタル層」、ソースバスラインSLと同じ導電膜(第2導電膜)を用いて形成された電極・配線を含む層M2を「第2メタル層」と呼ぶ。また、タッチ配線TLと同じ導電膜(第3導電膜)を用いて形成された電極・配線を含む層M3を「第3メタル層」と呼ぶ。さらに、共通電極CEと同じ導電膜(第1透明導電膜)用いて形成された電極・配線を含む層T1を「第1透明導電層」、画素電極PEと同じ導電膜(第1透明導電膜)用いて形成された電極・配線を含む層T2を「第2透明導電層」と呼ぶ。図面において、各構成要素の参照符号の後に、括弧書きで、メタル層または透明導電層を示す符号を付すことがある。例えば、第1メタル層M1内に形成されている電極または配線には、その参照符号の後に「(M1)」と付すことがある。
【0066】
TFT30は、ゲート電極GEと、酸化物半導体層7と、酸化物半導体層7とゲート電極GEとの間に配置されたゲート絶縁層5と、酸化物半導体層7に電気的に接続されたソース電極SEおよびドレイン電極DEとを備える。ゲート電極GEは、酸化物半導体層7の少なくとも一部にゲート絶縁層5を介して重なっている。
【0067】
この例では、TFT30は、ボトムゲート型の酸化物半導体TFTである。ゲート電極GEは、酸化物半導体層7と基板1との間に配置されている。ゲート絶縁層5はゲート電極GEを覆っている。酸化物半導体層7は、ゲート絶縁層5上に、ゲート絶縁層5を介してゲート電極GEに重なるように配置されている。
【0068】
酸化物半導体層7は、ソースコンタクト領域7sと、ドレインコンタクト領域7dと、チャネル領域7cとを含む。ソースコンタクト領域7sはソース電極SEに電気的に接続され、ドレインコンタクト領域7dはドレイン電極DEに天気的に接続されている。ソース電極SEは、ソースコンタクト領域7sに直接接し、ドレイン電極DEは、ドレインコンタクト領域7dに直接接していてもよい。酸化物半導体層7のうち、ソースコンタクト領域7sとドレインコンタクト領域)との間に位置し、かつ、ゲート電極GEと重なっている領域7cが「チャネル領域」となる。
【0069】
ゲート電極GEは、対応するゲートバスラインGLに電気的に接続され、ソース電極SEは対応するソースバスラインSLに電気的に接続されている。ドレイン電極DEは、画素コンタクト部PCにおいて、対応する画素電極PEに電気的に接続されている。
【0070】
ゲート電極GEはゲートバスラインGLと同一の層(第1メタル層)内に形成されていてもよい。ゲート電極GEは、対応するゲートバスラインGLの一部であってもよい。ソース電極SEおよびドレイン電極DEはソースバスラインSLと同一の層(第2メタル層)内に形成されていてもよい。ソース電極SEは、対応するソースバスラインSLの一部であってもよい。
【0071】
TFT30は、層間絶縁層13で覆われている。層間絶縁層13は、有機絶縁層12を含んでもよい。有機絶縁層12は、平坦化膜として機能し得る厚さ(例えば1μm以上)を有していてもよい。この例では、層間絶縁層13は、無機絶縁層(パッシベーション膜)11と、無機絶縁層11上に配置された有機絶縁層12との積層構造を有している。
【0072】
層間絶縁層13上には、複数のタッチ配線TLが設けられている。複数のタッチ配線TLは、第1タッチ配線TL1および第2タッチ配線TL2を含む。各タッチ配線TLは、例えば、複数のソースバスラインSLのうちの1つのソースバスラインSLに、層間絶縁層13を介して配置されてもよい。基板1の法線方向から見たとき、タッチ配線TLは、ソースバスラインSLの上を、そのソースバスラインSLに沿って(すなわち列方向に)延びていてもよい。
【0073】
層間絶縁層13上には、タッチ配線TLを含む第3メタル層M3を覆うように第1誘電体層17が配置されている。第1誘電体層17上には、共通電極CEが設けられている。共通電極CEは、各画素領域PIXにおいて、画素コンタクト部PCが形成される領域に開口部15pを有する。共通電極CEは、ソースバスラインSLに沿って延びる複数の開口部15xをさらに有してもよい。共通電極CEは、例えばソースバスラインSLに沿って延びるスリット(不図示)によって、それぞれがタッチセンサ電極TXとして機能する複数のセグメントに分割されている。各タッチセンサ電極TXは、例えば、2以上の画素領域PIXに対応付けられていてもよい。
【0074】
各タッチセンサ電極TXは、タッチ配線コンタクト部TCにおいて、第1誘電体層17に形成された開口部17p内で、対応する1以上のタッチ配線TLに電気的に接続されている。タッチ配線コンタクト部TCは、ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの交差部の上に配置されていてもよい。また、1つのタッチセンサ電極TXに対して、少なくとも1つのタッチ配線コンタクト部TCが設けられていればよく、2以上のタッチ配線コンタクト部TCが設けられてもよい。
【0075】
図2Aに示す例では、画素領域PIXa、PIXb、PIXcを含む複数の画素領域に、1つのタッチセンサ電極TX1が配置されている。基板1の法線方向から見たとき、第1タッチ配線TX1は、例えば、画素領域PIXbおよび画素領域PIXcの間に位置するソースバスラインSLに重なって延び、第2タッチ配線TL2は、画素領域PIXaおよび画素領域PIXbの間に位置するソースバスラインSLに重なって延びていてもよい。第1タッチ配線TL1は、タッチ配線コンタクト部TCにおいて、タッチセンサ電極TX1に電気的に接続されている。一方、第2タッチ配線TL2は、図示するタッチセンサ電極TX1には接続されていない。基板1の法線方向から見たとき、タッチセンサ電極TX1を横切って延び、不図示の他のタッチセンサ電極に接続される。
【0076】
図2Cに示すように、第2タッチ配線TL2の少なくとも一部は、基板1の法線方向から見たとき、画素電極PEに重ならず、かつ、タッチセンサ電極TX1と重なっている。第2タッチ配線TL2とタッチセンサ電極TX1とが重なる部分には、第2タッチ配線TL2、タッチセンサ電極TX1、およびその間に位置する第1誘電体層17によってタッチ配線容量Ctが形成される。
【0077】
共通電極CE(タッチセンサ電極TX)は、第2誘電体層18で覆われている。画素電極PEは、第2誘電体層18上に画素領域PIXごとに配置されている。各画素電極PEは、少なくともスリットまたは切欠き部を有している。
【0078】
画素電極PEは、各画素領域PIXにおいて、第2誘電体層18上に、第2誘電体層18を介して共通電極CEに部分的に重なるように配置されている。各画素電極PEは、後述する画素コンタクト部PCにおいて、TFT30のドレイン電極DEに電気的に接続されている。画素電極PEと共通電極CEとが重なる部分には、共通電極CE、画素電極PE、およびこれらの電極の間に位置する第2誘電体層18によって、補助容量(透明補助容量)Cpが形成されている。
【0079】
<画素コンタクト部PC>
図2Aおよび
図2Bに示すように、各画素領域PIXには、TFT30のドレイン電極DEと画素電極PEとを電気的に接続するための画素コンタクト部PCが配置されている。本実施形態では、画素電極PEは、タッチ配線TLと同じ第3導電膜を用いて(つまり第3メタル層M3内に)形成された接続電極TEを介して、ドレイン電極DEに接続されている。
【0080】
各画素コンタクト部PCは、TFT30のドレイン電極DEと、ドレイン電極DE上に延設された層間絶縁層13と、第3メタル層M3内に形成された接続電極TEと、接続電極TE上に延設された第1誘電体層17および第2誘電体層18と、画素電極PEとを有する。層間絶縁層13は、ドレイン電極DEの一部を露出する下部開口部p1を有している。接続電極TEは、下部開口部p1内でドレイン電極DEに電気的に接続される。接続電極TEは、下部開口部p1内で、ドレイン電極DEの露出部分に直接接していてもよい。第1誘電体層17および第2誘電体層18は、接続電極TEの一部を露出する上部開口部p2を有する。画素電極PEは、上部開口部p2内で、接続電極TEに電気的に接続されている。画素電極PEは、上部開口部p2内で、接続電極TEの露出部分に直接接していてもよい。
図2Aに例示するように、基板1の法線方向から見たとき、上部開口部p2は、下部開口部p1と交差していてもよい(つまり、上部開口部p2は、下部開口部p1を横切って延びていてもよい)。
【0081】
本実施形態では、タッチ配線TLを含む第3メタル層M3は、共通電極CEよりも基板1側に配置されている。このため、第3メタル層M3を利用して、画素コンタクト部PCを形成できる。具体的には、画素コンタクト部PCを形成する際に、ドレイン電極DEが接続電極TEで覆われた状態で、第1透明導電膜のパターニングが行われ、共通電極CEが形成される。このため、共通電極CEを形成するための第1透明導電膜のパターニング工程において、エッチング液(例えばシュウ酸)がドレイン電極DEに接触することによるドレイン電極DEのダメージを抑制できる。
【0082】
接続電極TEは、層間絶縁層13の上面の一部に接する第1部分t1と、下部開口部p1の側面に接する第2部分t2と、ドレイン電極DEの露出部分に接する第3部分t3とを含んでもよい。これにより、ドレイン電極DEのうち下部開口部p1によって露出した露出部分を、より効果的に保護することができる。特に、層間絶縁層13が有機絶縁層12を含む場合、接続電極TEは、ドレイン電極DEの露出部分を覆うだけではなく、有機絶縁層12の側面も覆うことが好ましい。これにより、エッチング液がドレイン電極DEに染み込むことを、さらに効果的に抑制できる。また、有機絶縁層12に含まれる水分によるドレイン電極DEの腐食を抑制できる。下部開口部p1の側面は、無機絶縁層11の側面および有機絶縁層12の側面を含む。図示するように、接続電極TEの第2部分t2は、下部開口部p1の側面全体を覆っていてもよい。この場合、第1誘電体層17は、下部開口部p1の側面に接しなくてもよい。
【0083】
また、以下に説明するように、本実施形態によると、コモン下層構造を有する従来のアクティブマトリクス基板よりも、画素開口率を向上でき、および/または、補助容量Cpを高めることができる。
【0084】
図18A~
図18Dを参照して前述した従来の画素コンタクト部では、透明接続層は、共通電極CEと同層に形成される。このため、透明接続層は、共通電極CEの開口部内に、共通電極CEから十分に離して形成される必要があった。
【0085】
これに対し、本実施形態では、接続電極TEは、共通電極CEとは別層に形成され、かつ、接続電極TEと共通電極CEとの間に絶縁層である第1誘電体層17が介在している。このため、基板1の法線方向から見たとき、接続電極TEと共通電極CEとを間隔を空けなくても、接続電極TEと共通電極CEとを電気的に分離できる。従って、接続電極TEと共通電極CEとの基板1に平行な面内における距離d1を、従来の距離d(
図18B)よりも小さくできるので、画素コンタクト部に起因する画素開口率の低下および補助容量Cpの減少を抑制できる。あるいは、基板1の法線方向から見たとき、接続電極TEと共通電極CEとは部分的に重なっていてもよい。接続電極TEと共通電極CEとを、第1誘電体層17を介して部分的に重なるように配置することで、画素開口率をさらに向上できる。また、補助容量Cpをさらに大きくできる。例えば、
図2Dに示すように、各画素コンタクト部PCにおいて、共通電極CEは、接続電極TEの第1部分t1に少なくとも部分的に重なっていてもよい。共通電極CEの開口部15pは、接続電極TEのうち少なくとも第3部分t3上に位置していればよい。
【0086】
[アクティブマトリクス基板101の非表示領域FRの構造]
次いで、アクティブマトリクス基板101の非表示領域FRの構造を説明する。
【0087】
非表示領域FRには、複数のゲート端子部および複数のソース-ゲート接続部が設けられている。各ゲート端子部は、対応するゲートバスラインGLを外部配線に接続する。各ソース-ゲート接続部は、第2メタル層内に形成された配線(第2接続配線と呼ぶことがある)と、第1メタル層内に形成された配線(第1接続配線と呼ぶことがある)とのつなぎ換え部である。例えば、各ソースバスラインSLとソース端子部との間に、ソースバスラインSLを第1メタル層内の接続配線に接続するソース-ゲート接続部が形成されていてもよい。その場合、第1メタル層内の接続配線が、ソース端子部において外部配線と接続される。つまり、ソース端子部の構造は、ゲート端子部の構造と略同じになる。
【0088】
<ゲート端子部およびS―G接続部>
図2Eは、ゲート端子部GT1を例示する断面図である。各ゲート端子部GT1は、ゲートバスラインGLと、ゲートバスラインGL上に延設されたゲート絶縁層5および第1誘電体層17と、第1透明導電層T1内に形成された下部透明電極15tと、下部透明電極15t上に延設された第2誘電体層18と、第2透明導電層T2内に形成された上部透明電極19tとを有する。
【0089】
ゲート絶縁層5および第1誘電体層17は、ゲートバスラインGLの一部を露出する開口部q1を有している。開口部q1は、ゲート絶縁層5の側面および第1誘電体層17の側面は互いに接合していてもよい。このような構成は、同じレジストマスクを用いてゲート絶縁層5および第1誘電体層17を同時にエッチングすることで得られる。
【0090】
下部透明電極15tは、第1誘電体層17上および開口部q1内に配置され、開口部q1内でゲートバスラインGLの露出部分に接続されている。第2誘電体層18は、下部透明電極15tの一部を露出する開口部18qを有する。上部透明電極19tは、第2誘電体層18上および開口部18q内に配置され、開口部18q内で下部透明電極15tの露出部分に接続されている。
【0091】
図2Fは、ソース-ゲート接続部SG1を例示する断面図である。各ソース-ゲート接続部SG1は、第1メタル層M1内に形成された第1接続配線3sgと、第1接続配線3sg上に延設されたゲート絶縁層5と、第2メタル層M2内に形成された第2接続配線8sgとを有する。ゲート絶縁層5は、第1接続配線3sgの一部を露出する開口部5rを有している。第2接続配線8sgは、ゲート絶縁層5上および開口部5r内に配置され、開口部5r内で第1接続配線3sgの露出部分に接続されている。この例では、第2接続配線8sgは、第1接続配線3sgの露出部分に直接接している。ソース-ゲート接続部SG1は、無機絶縁層11、有機絶縁層12、第1誘電体層17および第2誘電体層18で覆われていてもよい。
【0092】
ソース-ゲート接続部SG1は、第1メタル層M1内の第1接続配線と第2メタル層M2内の第2接続配線とが直接接する構造を有しているので、低いコンタクト抵抗を実現できる。また、ソース-ゲート接続部SG1は、複数の絶縁層(層間絶縁層、第1誘電体層および第2誘電体層)で覆われているので、シール剤の外側に設けられた場合でも、外部の水分などに起因するメタル層の腐食は生じにくい。従って、後述する変形例1のように、ソース-ゲート接続部の位置(シール材の内側と外側)によって、接続部の構造を作り分ける必要がない点で有利である。
【0093】
本実施形態のアクティブマトリクス基板101は、同一基板1上に、
図2Eに示すゲート端子部GT1および
図2Fに示すソース-ゲート接続部SG1を有する。このような構成は、アクティブマトリクス基板101を製造するプロセスにおいて、ゲート絶縁層5を2段階でパターニングすることで得られる。
【0094】
ゲート端子部GT1では、ゲートバスラインGL上に、第2導電膜(第2メタル層M2)や第3導電膜(第3メタル層M3)を含まない。このような端子構造を得るためには、ゲート端子部GT1の形成領域においては、ゲートバスラインGLをゲート絶縁層5で覆った状態で、第2メタル層M2および第3メタル層M3を形成することが好ましい。これにより、ゲートバスラインGLがダメージを受けないように保護しつつ、第2メタル層M2および第3メタル層M3のパターニングが行われる。第2メタル層M2および第3メタル層M3の形成後に、ゲート絶縁層5を第1誘電体層17と同時にエッチングしてもよい。一方、ソース-ゲート接続部SG1の形成領域においては、第2メタル層M2内の第2接続配線8sgを、直接第1接続配線3sgに接続するために、第2メタル層M2の形成前に、ゲート絶縁層5に開口部5rを形成する。このように、ゲート絶縁層5は、ソース-ゲート接続部SG1の形成領域では第2メタル層M2の形成前にエッチングされ(第1のエッチング)、ゲート端子部GT1の形成領域では、第3メタル層M3の形成後にエッチングされる(第2のエッチング)。具体的な製造方法は後述する。
【0095】
<配線重畳領域>
非表示領域FRには、モノリシックに形成された周辺回路(例えば、ゲートドライバ)を含む回路領域を含む。周辺回路は、第1メタル層M1に形成された(すなわち第1導電膜から形成された)複数の第1配線と、第2メタル層M2に形成された(すなわち第2導電膜から形成された)複数の第2配線と、複数の配線重畳部とを含み得る。各配線重畳部は、第1配線の1つと、第2配線の1つとが絶縁層を介して重なる部分であり、第1配線および第2配線の交差部や、第2配線が絶縁層を介して第1配線に重なって延びる部分などを含む。
【0096】
配線重畳部では、通電に伴って電界が生じるため、水分の影響で金属イオンが生じると、金属イオンが電界に引っ張られて移動する、いわゆるイオンマイグレーションが発生するおそれがある。そうすると、第1配線と第2配線との間で短絡が生じたり、回路の動作信頼性が低下する可能性がある。特に、周辺回路を覆うように有機絶縁膜が設けられていると、有機樹脂材料に含まれた水分の影響により、イオンマイグレーションが発生し易くなる。これに対し、本出願人による国際公開第2015/075972号は、有機絶縁膜のうち配線重畳部上に位置する部分に開口を設ける構成を提案している。これにより、交差部などの配線重畳部におけるイオンマイグレーションの発生を抑制することが可能になる。参考のため、国際公開第2015/075972号の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0097】
本実施形態のアクティブマトリクス基板では、有機絶縁膜を回路領域上に延設し、かつ、有機絶縁膜における配線重畳部上に位置する部分に開口部を設けてもよい。なお、有機絶縁膜に開口部を設けることで第2配線の一部が露出すると、第2配線の露出部分がその後のプロセス(第3メタル層M3、第1透明導電層T1、第2透明導電層T2の形成工程)でダメージを受けるおそれがある。本実施形態では、第3メタル層M3が共通電極よりも基板側に設けられることから、配線重畳部における第2配線の保護に使用され得る。例えば、第2配線のダメージを低減するために、第3メタル層M3内に、第2配線の露出部分を覆う保護導電層を設けてもよい。
【0098】
有機絶縁膜には、1つの配線重畳部に対して1つの開口部が配置されてもよい。あるいは、2以上の配線重畳部が近接して形成されている場合には、2以上の配線重畳部に対して1つの開口部が配置されてもよい。本明細書では、1つまたは2以上の配線重畳部と、配線重畳部上に配置された開口部を有する有機絶縁層と、開口部内に配置された保護導電層とを含む領域を「配線重畳領域」と呼ぶ。
【0099】
アクティブマトリクス基板の非表示領域は、互いに間隔を空けて配置された複数の配線重畳領域を含み得る。この場合、有機絶縁膜には、複数の配線重畳領域のそれぞれに対応付けられた複数の開口部が、互いに間隔を空けて形成される。第3メタル層M3には、複数の開口部のそれぞれに対応付けられた複数の保護導電層が、互いに間隔を空けて形成される。
【0100】
図3Aは、配線重畳領域A1を例示する平面図であり、
図3Bは、
図3Aに示すIIIb-IIIb’線における断面図である。ここでは、単一の配線重畳領域A1を例示する。
【0101】
配線重畳領域A1は、例えば、ゲート絶縁層5を介して第1配線3aと第2配線8aとが交差する1以上の配線重畳部(図示する例では、1つの交差部)を含む。基板1の法線方向から見たとき、第2配線8aのうち第1配線3aに重なる領域81を「第1領域」と呼ぶ。配線重畳領域A1は、配線重畳部上に開口部u1を有する層間絶縁層13と、第3メタル層M3内に形成された保護導電層21aとをさらに含む。
【0102】
層間絶縁層13の開口部u1は、第2配線8aの第1領域81を含む部分と、ゲート絶縁層5のうち第2配線8aの周辺に位置する部分51とを露出する。有機絶縁層12に、配線重畳部上に位置する開口部u1を形成することで、イオンマイグレーションの発生を抑制できる。
【0103】
保護導電層21aは、層間絶縁層13上および開口部u1内に配置されている。保護導電層21aは、開口部u1内で、第2配線8aの露出部分(第1領域81を含む)と、ゲート絶縁層5の露出部分51とを覆っている。保護導電層21aを設けることで、第2配線8aの露出部分が、第1透明導電層T1および第2透明導電層T2の形成時にダメージを受けることを抑制できる。保護導電層21aは、開口部u1の側面全体を覆っていてもよい。これにより、有機絶縁層12に含まれる水分による第2配線8aの腐食を抑制できる。この例では、保護導電層21aは、層間絶縁層13の上面の一部に接する第1導電部a1と、開口部u1の側面に接する第2導電部a2と、開口部u1の底面において、第2配線8aの露出部分およびゲート絶縁層5の露出部分51に接する第3導電部a3とを含む。保護導電層21aは、第1誘電体層17および第2誘電体層18で覆われていてもよい。
【0104】
図3Cは、非表示領域FRにモノリシックに設けられた駆動回路(ゲートドライバ)が配置された回路領域の一部を拡大して示す平面図である。
【0105】
ゲートドライバGDを含む回路領域は、複数の第1配線3aと、複数の第2配線8aと、複数の配線重畳領域A1とを含む。各配線重畳領域A1は、1以上の配線重畳部を含む。
【0106】
有機絶縁層12を含む層間絶縁層13は、ゲートドライバGDが形成された回路領域上に延設されており、ゲートドライバGDを構成する少なくとも1つのTFT(不図示)を覆っている。層間絶縁層13は、互いに分離して配置された複数の開口部u1を有している。各開口部u1は、対応する配線重畳領域A1において、1以上の配線重畳部に重なるように配置されている。図示するように、基板1の法線方向から見たとき、各開口部u1の内部に複数の配線重畳部(ここでは複数の交差部)が位置してもよい。つまり、複数の配線重畳部(あるいは複数の第1領域81)に対して1つの開口部u1が設けられてもよい。
【0107】
層間絶縁層13上には、第3メタル層M3内に形成され、かつ、互いに分離して配置された複数の保護導電層21aが配置されている。各保護導電層21aは、基板1の法線方向から見たとき、対応する1つの開口部u1に重なるように配置されている。各保護導電層21aは、対応する開口部u1の全体に重なるように配置されていてもよい。図示するように、基板1の法線方向から見たとき、1つの保護導電層21aが、複数の配線重畳部(あるいは複数の第1領域81)を覆っていてもよい。
【0108】
<溝領域>
本実施形態のアクティブマトリクス基板では、基板の周縁部において、有機絶縁層に少なくとも1つの開口溝(溝状に開口された部分、以下、単に「溝」と呼ぶ)が設けられていてもよい。有機絶縁層の各溝は、基板の法線方向から見たとき、表示領域全体および周辺回路を包囲するように延びていてもよい。本明細書では、有機絶縁層の溝を含む領域を「溝領域」と呼ぶ。有機絶縁層の溝は、有機絶縁層を介して、外部から表示領域や周辺回路までに水分が侵入することを防ぐために設けられている。また、アクティブマトリクス基板の上面(液晶層側)に配向膜を設ける場合には、配向膜が溝よりも外側に広がることが抑制する機能も有し得る。有機絶縁層に溝を設ける構成は、例えば本出願人による国際公開第2019/004051号に記載されている。参考のため、国際公開第2019/004051号の開示内容の全てを本願明細書に援用する。
【0109】
図4Aは、アクティブマトリクス基板101の周縁部に配置された3つの溝領域B1の一部を例示する平面図であり、
図4Bは、
図4Aに示すIVb-IV’線における断面図である。
【0110】
図4Aに示す例では、アクティブマトリクス基板の周縁部において、互いに略平行に延びる3つの溝領域B1が設けられている。
【0111】
各溝領域B1は、基板1の法線方向から見たとき、例えば、基板1の周縁部に、非表示領域の一部および表示領域を包囲するように延びていてもよい。各溝領域B1は、第1方向に沿って延びる第1溝部を含む。第1方向は、例えば基板1の縁部に沿った方向であってもよいし、画素領域PIXの列方向または行方向に概ね平行な方向であってもよい。
図4Aには、3つの溝領域B1における第1溝部の一部のみを示している。
【0112】
各溝領域B1の第1溝部は、ゲート絶縁層5と、ゲート絶縁層5の一部を露出する溝v1を有する層間絶縁層13と、第1誘電体膜から形成された絶縁層17bとを含む。
【0113】
溝v1は、基板1の法線方向から見たとき第1方向に延びている。この例では、溝v1の側面は、第1側面vs1と、第1側面vs1よりも基板1側に位置し、かつ、第1側面vs1よりも外側に位置する第2側面vs2と、第1側面vs1および第2側面vs2の間に位置する第3側面vs3とを含んでもよい。第3側面vs3は、基板1に略平行に延びている。
【0114】
絶縁層17bは、溝v1内に配置され、溝v1と同じ方向(第1方向)に延びている。絶縁層17bは、ゲート絶縁層5の露出部分を覆っている。絶縁層17bは、ゲート絶縁層5の露出部分に直接接していてもよい。絶縁層17bは、互いに対向して第1方向に延びる2つの縁部分17beを有し、これらの縁部分17beは、層間絶縁層13とゲート絶縁層5との間に位置する。縁部分17beは所定の幅を有する。つまり、絶縁層17bの一部は、溝v1の第3側面vs3とゲート絶縁層5との間に位置する。
【0115】
層間絶縁層13の上面および溝v1の第1側面vs1上には、第1誘電体層17が延設されていてもよい。第1誘電体層17と絶縁層17bとは、同じ誘電体膜から形成されており、繋がっていてもよい。第1誘電体層17および絶縁層17bは、第2誘電体層18で覆われていてもよい。
【0116】
このような溝v1および絶縁層17bは、例えば、ゲート絶縁層5の一部上に、酸化物半導体膜から形成されたエッチストップを形成し、溝v1を有する層間絶縁層13を設けた後、エッチストップを除去することで形成され得る。形成方法の詳細は後述する。この方法で形成した場合、エッチストップとして使用した酸化物半導体膜の一部(酸化物半導体部)7bが、残渣として、除去されずに残ることがある。酸化物半導体部7bは、層間絶縁層13とゲート絶縁層5との間において、絶縁層17bの側面に接して第1方向に延びていてもよい。酸化物半導体部7bは、溝v1の第2側面vs2に接していてもよい。
図4Bに示す例では、酸化物半導体部7bは、基板1の法線方向から見たとき、例えば、溝v1の両側に、溝v1と同じ方向(第1方向)に延びる線状である。なお、酸化物半導体部7bは、溝v1の片側のみに配置されてもよい。また、酸化物半導体部7bは、溝領域B1の少なくとも一部に形成されていてもよい。
【0117】
図示するように、溝領域B1の下方には、第1メタル層M1に形成され、かつ、溝v1と同じ方向の延びる第3配線3bが位置してもよい。第3配線3bは、特に限定しないが、例えば共通電極に共通信号/タッチ信号を供給する信号線、またはゲートドライバに各種信号を供給する信号線であってもよい。また、第2メタル層M2に形成されたソース信号線や共通信号線が、溝領域B1を横切って延びていてもよい。
【0118】
<タッチパネルの構成>
本実施形態のアクティブマトリクス基板は、インセル型のタッチパネルに用いられ得る。
【0119】
図5は、本実施形態のアクティブマトリクス基板101を用いたタッチパネル1000の一部を例示する模式的な断面図である。
【0120】
タッチパネル1000は、アクティブマトリクス基板101と、アクティブマトリクス基板101の観察者側に配置された対向基板201と、アクティブマトリクス基板101と対向基板201との間に設けられた液晶層LCとを備える。
【0121】
アクティブマトリクス基板101は、前述したように、画素領域毎に配置されたTFT(不図示)と、TFTを覆う層間絶縁層13上に配置されたタッチ配線TLと、タッチ配線TLを覆う第1誘電体層17と、第1誘電体層17上に配置された共通電極CEと、共通電極CEを覆う第2誘電体層18と、第2誘電体層18上に配置された画素電極PEとを含む。共通電極CEは、タッチセンサ電極TXとしても機能する。ここでは、1つのタッチセンサ電極TX1と、タッチセンサ電極TX1以外のタッチセンサ電極に電気的に接続される第2タッチ配線TL2とを含む断面を示している。アクティブマトリクス基板101の液晶層LC側には、画素電極PEを覆うように、第1配向膜AF1が形成されていてもよい。第1配向膜AF1は、液晶層LCに直接接していてもよい。
【0122】
図示するように、タッチセンサ電極TX1(共通電極CE)、第1誘電体層17および第2タッチ配線TL2によって、タッチ配線容量Ctが形成される。また、共通電極CE、第2誘電体層18および画素電極PEによって、透明補助容量Cpが形成される。
【0123】
対向基板201は、基板211と、カラーフィルタ層212とを備える。カラーフィルタ層212の液晶層LC側には、第2配向膜AF2が設けられている。図示していないが、相互容量方式のタッチセンサを用いる場合、アクティブマトリクス基板101側のタッチセンサ電極TXが駆動電極であれば、対向基板201にタッチセンサ電極の検出電極が設けられてもよい。
【0124】
前述したように、本実施形態によると、タッチ配線容量Ctおよび透明補助容量Cpにおける誘電体の厚さを、それぞれ独立して制御できるので、これらの容量を最適化できる。従って、センシング性能と表示性能とを両立することが可能になる。
【0125】
所望の表示性能(表示品位)を実現するためには、透明補助容量Cpを大きくする、つまり、第2誘電体層18の厚さを小さくすることが好ましい。一方、タッチ配線容量Ctにおける誘電体の厚さ(ここでは第1誘電体層17の厚さ)は、大きい方が好ましい。誘電体が薄くなると、タッチ配線容量Ctが大きくなり、第2タッチ配線TL2から出力される信号を劣化させるおそれがある。本実施形態によると、第2誘電体層18の厚さを所定の厚さに維持したまま、第1誘電体層17の厚さのみを増加させることで、高い透明補助容量Cpを確保しつつ、タッチ配線容量Ctを低減できる。従って、高い表示性能を確保しつつ、タッチ配線TLから出力される信号が、タッチ配線容量Ctに起因して劣化するのを抑制できる。
【0126】
第1誘電体層17および第2誘電体層18の厚さは特に限定しないが、いずれもSiN膜の場合、第1誘電体層17の厚さは例えば150nm以上500nm以下、第2誘電体層18の厚さは例えば90nm以上200nm以下であってもよい。第1誘電体層17は、第2誘電体層18よりも厚くでもよい。
【0127】
また、本実施形態によると、第2メタル層M2と共通電極との間に第3メタル層M3が配置されるので、第3メタル層を利用して、画素コンタクト部や配線重畳領域を形成する際に、第2メタル層M2に形成された電極を保護することが可能である。
【0128】
図19は、比較例のアクティブマトリクス基板301を用いたタッチパネル900の一部を示す模式的な断面図であり、タッチセンサ電極TX1および第2タッチ配線TL2を含む断面を示している。
図19において、
図3と同様の構成要素には同じ参照符号を付している。
【0129】
比較例のアクティブマトリクス基板301では、層間絶縁層13上に、タッチセンサ電極TX(共通電極CE)および第1誘電体層17が形成され、第1誘電体層17上に第2タッチ配線TL2が配置されている。第2タッチ配線TL2は第2誘電体層18で覆われており、第2誘電体層18上には画素電極PEが配置されている。
【0130】
比較例では、第2タッチ配線TL2、第1誘電体層17およびタッチセンサ電極TX1によってタッチ配線容量Ctを形成し、共通電極CE、第1誘電体層17、第2誘電体層18および画素電極PEによって透明補助容量Cpを形成している。比較例では、補助容量Cpを高めるために、第1誘電体層17および第2誘電体層18の合計厚さを小さくすると、タッチ配線容量Ctも高くなってしまう。このため、高い補助容量Cpを確保しつつ、タッチ配線容量Ctを低減することは難しい。
【0131】
また、比較例では、共通電極CEが形成された後で、タッチ配線を含む第3メタル層M3が形成されるので、第2メタル層M2内の電極・配線の保護のために第3メタル層Mを利用することができない。
【0132】
<アクティブマトリクス基板101の製造方法>
次に、
図6A~
図6Jおよび
図7を参照しながら、アクティブマトリクス基板101を例に、本実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する
図6A~
図6Jは、それぞれ、アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示す工程断面図である。これらの断面図は、TFTおよび画素コンタクト部が形成される画素領域PIX、配線重畳領域が形成される配線重畳部形成領域RA、ソース-ゲート接続部が形成されるソース-ゲート接続部形成領域RSG、溝領域が形成される溝形成領域RB、ゲート端子部が形成される端子部形成領域RT、有機絶縁層12が設けられておらず、かつ、第2メタル層M2に配線が形成される配線形成領域RCを示している。ここでは、アクティブマトリクス基板101の非表示領域FRの一部(図示する例では、端子部形成領域RTおよび配線形成領域RC)には有機絶縁層12が延設されていない。
【0133】
図7は、アクティブマトリクス基板101の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、この例では、10回のフォトリソ工程を行う(10枚のフォトマスクを用いる)。
【0134】
・第1メタル層M1の形成(
図6A)
図6Aに示すように、基板1上に第1メタル層M1を形成する。まず、例えばスパッタリング法で、基板1上に第1導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成する。次いで、公知のフォトリソ工程により、レジストマスクを形成し、第1導電膜のパターニング(例えばウェットエッチング)を行う。この後、レジストマスクを剥離する。このようにして、ゲートバスラインGL、ゲート電極GE、第1配線3a、第1接続配線3sg、第3配線3b、第4配線3cを含む第1メタル層を形成する。各配線の用途は特に問わない。
【0135】
基板1としては、透明で絶縁性を有する基板、例えばガラス基板、シリコン基板、耐熱性を有するプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。
【0136】
第1導電膜の材料は、特に限定されず、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。
【0137】
・ゲート絶縁層5および酸化物半導体層7の形成(
図6B)
次いで、
図6Bに示すように、第1メタル層M1を覆うように、ゲート絶縁層5(厚さ:例えば200nm以上600nm以下)を形成し、続いて、ゲート絶縁層5上に酸化物半導体層7を形成する。
【0138】
ゲート絶縁層5は例えばCVD法で形成される。ゲート絶縁層5としては、酸化珪素(SiOx)層、窒化珪素(SiNx)層、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)層等を適宜用いることができる。ゲート絶縁層5は単層であってもよいし、積層構造を有していてもよい。例えば、基板側(下層)に、基板1からの不純物等の拡散防止のために窒化珪素(SiNx)層、窒化酸化珪素層等を形成し、その上の層(上層)に、絶縁性を確保するために酸化珪素(SiO2)層、酸化窒化珪素層等を形成してもよい。ここでは、ゲート絶縁層5として、窒化珪素(SiNx)層(厚さ:50~600nm)を下層、酸化珪素(SiO2)層(厚さ:50~600nm)を上層とする積層膜を形成する。ゲート絶縁層5として(ゲート絶縁層5が積層構造を有する場合には、その最上層として)、酸化珪素膜などの酸化物膜を用いると、後で形成される酸化物半導体層のチャネル領域に生じた酸化欠損を酸化物膜によって低減できるので、チャネル領域の低抵抗化を抑制できる。
【0139】
酸化物半導体層7は、例えば次のようにして形成され得る。まず、ゲート絶縁層5の上に酸化物半導体膜(不図示)を形成する。この後、酸化物半導体膜のアニール処理を行ってもよい。酸化物半導体膜の厚さは、例えば15nm以上200nm以下であってもよい。酸化物半導体膜は、例えばスパッタ法で形成され得る。ここでは、酸化物半導体膜として、In、GaおよびZnを含むIn-Ga-Zn-O系半導体膜(厚さ:50nm)膜を形成する。続いて、公知のフォトリソ工程により酸化物半導体膜のパターニングを行う。これにより、画素領域PIXに、TFT30の活性層となる酸化物半導体層7を形成するとともに、溝形成領域RBに、酸化物半導体エッチストップ層7esを形成する。酸化物半導体エッチストップ層7esは、溝が形成される領域に沿って延びている。酸化物半導体エッチストップ層7esは、後の工程でエッチストップとして機能する。
【0140】
・ゲート絶縁層5の第1のエッチング(
図6C)
続いて、公知のフォトリソ工程により、ゲート絶縁層5のパターニングを行う。これにより、
図6Cに示すように、ソース-ゲート接続部形成領域RSGにおいて、第1接続配線3sgの一部を露出する開口部5rを形成する。この例では、端子部形成領域RTなどの他の領域では、第1メタル層M1内の配線をゲート絶縁層5で覆った状態とし、ゲート絶縁層5を除去しない。これにより、後の工程で、第1メタル層M1内の配線がダメージを受けることを抑制できる。
【0141】
・第2メタル層M2の形成(
図6D)
次に、
図6Dに示すように、第2メタル層M2を形成する。まず、スパッタリング法等により酸化物半導体層7上に第2導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成する。この後、公知のフォトリソ工程により第2導電膜をパターニングする。これにより、ソース電極SE、ドレイン電極DE、ソースバスラインSL、第2配線8a、第2接続配線8sg、第5配線8cを含む第2メタル層を得る。
【0142】
これにより、画素領域PIXには、TFT30が形成される。配線重畳部形成領域RAでは、配線重畳部(ここでは交差部)が形成される。第2配線8aは、基板1の法線方向から見たとき、第1配線3aに重なる第1領域81を有する。ソース-ゲート接続部形成領域RSGでは、第2接続配線8sgは、開口部5r内で第1接続配線3sgに直接接するように配置されることで、ソース-ゲート接続部SG1を得る。
【0143】
第2導電膜として、例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはタングステン(W)から選ばれた元素、またはこれらの元素を成分とする合金などを用いることができる。ソース用導電膜は、単層構造を有してもよいし、積層構造を有していてもよい。
【0144】
・層間絶縁層13の形成(
図6E)
第2メタル層M2を形成した後、CVD法等により、TFT30上に層間絶縁層13を形成する。本実施形態では、層間絶縁層13として、無機絶縁層(厚さ:例えば0.1μm以上1μm以下)11と有機絶縁層(厚さ:例えば1μm以上3μm以下)12とをこの順で形成する。
【0145】
無機絶縁層11として、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウムまたは酸化タンタルを単層又は積層させて形成することができる。
【0146】
次いで、無機絶縁層11上に、開口部12p、12uおよび溝12vを有する有機絶縁層12を形成する。有機絶縁層12は、例えばポジ型の感光性樹脂材料(例えばアクリル系樹脂材料)を無機絶縁層11上に付与した後、露光・現像およびベークを行うことにより形成され得る。開口部12pは、画素領域PIXにおいて、基板1の法線方向から見たとき、ドレイン電極DEに重なる位置に形成される。開口部12uは、配線重畳部形成領域RAにおいて、基板1の法線方向から見たとき、第2配線8aのうち第1領域81を含む部分とゲート絶縁層5の一部と重なる位置に形成される。溝v1は、溝形成領域RBにおいて、酸化物半導体エッチストップ層7esの一部と重なる位置に形成される。有機絶縁層12は、非表示領域FRのうち端子部形成領域RT、配線形成領域RCなどの領域には形成されなくてもよい。
【0147】
続いて、有機絶縁層12をマスクとして、無機絶縁層11のエッチング(ドライエッチング)を行う。これにより、画素領域PIXにおいて、ドレイン電極DEの一部を露出する下部開口部p1を得る。下部開口部p1は、有機絶縁層12の開口部12pと、無機絶縁層11の開口部11pとを含む。下部開口部p1の側面において、有機絶縁層12の側面と無機絶縁層11の側面とは整合していてもよい。
【0148】
配線重畳部形成領域RAにおいて、第2配線8aのうち第1領域81を含む部分とゲート絶縁層5の一部とを露出する開口部u1を得る。開口部u1は、有機絶縁層12の開口部12uと、無機絶縁層11の開口部11uとを含む。開口部u1の側面において、有機絶縁層12の側面と無機絶縁層11の側面とは整合していてもよい。また、このドライエッチング工程で、ゲート絶縁層5のうち開口部u1内に位置する部分の表面がオーバーエッチングされ、ゲート絶縁層5が薄膜化されることがある。
【0149】
溝形成領域RBにおいて、酸化物半導体エッチストップ層7esの一部を露出する溝v1を得る。溝v1は、有機絶縁層12の溝12vと、無機絶縁層11の溝11vとを含む。溝v1の側面において、有機絶縁層12の側面と無機絶縁層11の側面とは整合していてもよい。
【0150】
端子部形成領域RTおよび配線形成領域RCにおいては、無機絶縁層11が除去されることで、第5配線8cが露出する。
【0151】
本工程では、ゲート絶縁層5のうち有機絶縁層12、第2導電膜(第2メタル層M2)および酸化物半導体膜のいずれにも覆われていない領域の表層が、オーバーエッチングにより、エッチングされることがある。この結果、ゲート絶縁層5の上記領域は、他の領域よりも薄膜化され得る。ただし、溝形成領域RBでは、ゲート絶縁層5は酸化物半導体エッチストップ層7esで覆われているため、薄膜化されない。
【0152】
・第3メタル層M3の形成(
図6F)
次いで、第3メタル層M3を形成する。ここでは、層間絶縁層13上および下部開口部p1、u1、v1内、端子部形成領域RTおよび配線形成領域RCにおいてはゲート絶縁層5上および第5配線8c上に第3導電膜を形成する。この後、公知のフォトリソ工程により第3導電膜をパターニングする。ここでは、ウェットエッチングにより第3導電膜のパターニングを行う。これにより、画素領域PIXにおいては、タッチ配線TL、および、下部開口部p1内でドレイン電極DEに接する接続電極TEを得る。また、配線重畳部形成領域RAにおいては、開口部u1内で第2配線8aおよびゲート絶縁層5に接する保護導電層21aを得る。さらに、配線形成領域RCでは、第5配線8cを覆うように上部配線21cが形成され、これにより、上部配線21cおよび第5配線8cを含む積層配線が得られる。
【0153】
第3導電膜のパターニング工程では、溝形成領域RBにおいて、エッチストップとして用いた酸化物半導体エッチストップ層7esのうち溝v1によって露出された部分が少なくとも除去され、ゲート絶縁層5の一部が露出する。エッチングは面内方向にも進み、酸化物半導体エッチストップ層7esのうち層間絶縁層13とゲート絶縁層5との間に位置する部分もエッチングされ得る。図示するように、酸化物半導体エッチストップ層7esの両端部が除去されずに、酸化物半導体部7bとして残るような条件でエッチングを行ってもよい。あるいは、酸化物半導体エッチストップ層7esが完全に除去される条件でエッチングを行ってもよい。ただし、酸化物半導体部7bが形成されていると、酸化物半導体エッチストップ層7esを完全に除去する場合よりも、その上方に形成される第1誘電体層17および第2誘電体層18の表面粗さが大きくなり得るので、第2誘電体層18上に形成される配向膜(例えばポリイミド膜)が溝領域の外側に広がることをより効果的に抑制できる。
【0154】
第3導電膜として、第1導電膜または第2導電膜と同様の導電膜(厚さ:50~500nm)を用いることができる。例えば、スパッタリング法で、CuもしくはAlを主体とした、単層もしくは積層膜を形成してもよい。あるいは、第3導電膜として、例えば、透明導電膜(厚さ:例えば10nm以上50nm以下)と、透明導電膜上に配置された金属膜(厚さ:例えば100nm以上400nm以下)とを含む積層膜を用いる。透明導電膜として、後述する画素電極または共通電極と同様の膜を用いることができる。金属膜として、第1メタル層または第2メタル層と同様の金属膜を用いることができる。この例では、第3導電膜として、スパッタリング法で、インジウム-錫酸化物(ITO)膜を下層とし、Cu膜を上層とする積層膜を形成する。
【0155】
・第1誘電体層17の形成(
図6G)
次いで、
図6Gに示すように、第3メタル層M3を覆うように第1誘電体膜(厚さ:100nm以上500nm以下)を形成し、公知のフォトリソ工程でパターニングすることにより、第1誘電体層17を得る。ここでは、第1誘電体膜のパターニングには、ドライエッチングを用いる。これにより、画素領域PIXにおいては、タッチ配線TLの一部を露出する開口部17sを形成する。溝形成領域RBにおいては、溝v1内で、ゲート絶縁層5の露出部分に接する絶縁層17bを得る。絶縁層17bの両端にある縁部分17beは、基板1の法線方向から見たとき、層間絶縁層13に重なっていてもよい。つまり、縁部分17beは、層間絶縁層13とゲート絶縁層5との間に位置してもよい。また、端子部形成領域RTにおいては、第1誘電体膜上に形成されたレジストマスクを用いて、第1誘電体膜とともに、ゲート絶縁層5のエッチング(第2のエッチング)を行う。これにより、ゲートバスラインGLの一部を露出する開口部q1が形成される。開口部q1は、第1誘電体層17の開口部17qと、ゲート絶縁層5の開口部5qとを含む。開口部q1の側面において、第1誘電体層17とゲート絶縁層5とは整合していてもよい。
【0156】
第1誘電体層17は、例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、または、これらのうち少なくとも1つを含む積層膜であってもよい。ここでは、第1誘電体層17として、例えばCVD法で窒化珪素(SiNx)膜を形成する。第1誘電体層17の厚さは、前述したように、タッチ配線容量を考慮して設定される。
【0157】
・第1透明導電層T1の形成(
図6H)
続いて、
図6Hに示すように、第1誘電体層17上に、共通電極CEを含む第1透明導電層T1を形成する。まず、第1誘電体層17上および開口部17sおよび開口部q1内に、例えばスパッタリング法で、不図示の第1の透明導電膜(厚さ:20~300nm)を形成する。第1の透明導電膜として、インジウム-錫酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物、ZnO等の金属酸化物を用いることができる。
【0158】
この後、第1の透明導電膜のパターニングを行う。例えばシュウ酸系エッチング液を用いたウェットエッチングを行ってもよい。これにより、画素領域PIXに共通電極CEを得るとともに、端子部形成領域RTにおいて、開口部5r内でゲートバスラインGLに接する下部透明電極15tを得る。共通電極CEは、スリットによって、それぞれがタッチセンサ電極TXとして機能する複数のセグメントに分離されている。各タッチセンサ電極TXは、開口部17s内でタッチ配線TLに接続されている。また、共通電極CEは、画素コンタクト部が形成される領域に開口部15pを有する。
・第2誘電体層18の形成(
図6I)
次いで、
図6Iに示すように、共通電極CEを覆うように第2誘電体膜(厚さ:80nm以上250nm以下)を形成し、公知のフォトリソ工程でパターニングすることにより、第2誘電体層18を得る。ここでは、第2誘電体膜のパターニングには、ドライエッチングを用いる。これにより、画素領域PIXにおいては、第2誘電体層18および第1誘電体層17が同時にエッチングされ、接続電極TEの一部を露出する上部開口部p2が形成される。上部開口部p2は、第1誘電体層17の開口部17pと、第2誘電体層18の開口部18pとを含む。上部開口部p2の側面において、第1誘電体層17と第2誘電体層18とは整合していてもよい。また、端子部形成領域RTにおいて、下部透明電極15tの一部を露出する開口部18qが形成される。
【0159】
第2誘電体層18は、例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、または、これらのうち少なくとも1つを含む積層膜であってもよい。第2誘電体層18の材料は、第1誘電体層17の材料と同じであってもよい。ここでは、第2誘電体層18として、例えばCVD法で窒化珪素(SiNx)膜を形成する。
【0160】
・STEP8:画素電極PEの形成(
図6J)
続いて、第2誘電体層18上に、画素電極PEを含む第2透明導電層T2を形成する。まず、第2誘電体層18上および上部開口部p2および開口部18q内に、不図示の第2の透明導電膜(厚さ:20~300nm)を形成する。第2の透明導電膜の材料は、第2の透明導電膜の材料として例示した材料と同じ(例えばITO)であってもよい。
【0161】
この後、第2の透明導電膜のパターニングを行う。例えば、シュウ酸系エッチング液を用いて、第2の透明導電膜のウェットエッチングを行ってもよい。これにより、
図6Jに示すように、画素領域PIXに位置する画素電極PEと、端子部形成領域RTに位置する上部透明電極19tとを含む第2透明導電層T2を得る。
【0162】
画素電極PEは、上部開口部p2内で接続電極TEに接続される。画素電極PEには、画素領域PIXにおいて少なくとも1つのスリットまたは切欠き部が形成される。画素電極PEは、画素領域PIXごとに分離されている。各画素電極PEは、第1誘電体層17上および上部開口部p2内に形成され、上部開口部p2でドレイン電極DEに電気的に接続される。このようにして、画素コンタクト部PCを得る。また、端子部形成領域RTにおいて、上部透明電極19tは、開口部18q内で、下部透明電極15tに接続されることで、ゲート端子部GT1を得る。このようにして、アクティブマトリクス基板101が製造され得る。
【0163】
<変形例1>
本実施形態のアクティブマトリクス基板の変形例1を説明する。変形例1のアクティブマトリクス基板の製造方法は、ゲート絶縁層の第1のエッチング(第2メタル層M2を形成する前に行うゲート絶縁層のエッチング)を行わない点で、アクティブマトリクス基板101の製造方法(
図6A~
図6J)と異なる。本変形例では、ソース―ゲート接続部形成領域においても、ゲート絶縁層のエッチングを第3メタル層M3の形成後に行うので、変形例1におけるソース-ゲート接続部は、
図2Fに示したソース-ゲート接続部SG1と異なる構造を有する。
【0164】
図8Aおよび
図8Bは、それぞれ、変形例1のアクティブマトリクス基板におけるソース-ゲート接続部SG2、SG3を例示する断面図である。ソース-ゲート接続部SG2は、非表示領域において、例えば、シール材の外側に配置される。ソース-ゲート接続部SG3は、非表示領域において、例えば、シール材の内側に配置される。
【0165】
図8Aに示すソース-ゲート接続部SG2では、第1メタル層M1に形成された第1接続配線3sgと、第2メタル層M2に形成された第2接続配線8sgとは、第3メタル層M3に形成された電極21sgおよび第1透明導電層T1に形成された第1上部接続電極15sgを介して、電気的に接続されている。
【0166】
ソース-ゲート接続部SG2は、第1接続配線3sgと、第1接続配線3sg上に延設されたゲート絶縁層5と、ゲート絶縁層5上に配置された第2接続配線8sgと、第2接続配線8sg上に延設された層間絶縁層13と、電極21sgと、第1誘電体層17と、第1上部接続電極15sgとを備える。
【0167】
ゲート絶縁層5は、第1接続配線3sgの一部を露出する開口部5rを有する。層間絶縁層13は、第1接続配線3sgの露出部分、第2接続配線8sgの一部およびゲート絶縁層5の一部を露出する開口部13rを有する。図示するように、第2接続配線8sgの上面の一部および側面の一部が、開口部13r内に露出してもよい。
【0168】
電極21sgは、開口部13rにおいて、第2接続配線8sgの露出部分を覆うように配置されている。この例では、電極21sgは、層間絶縁層13上および開口部13r内に配置され、開口部13rの側面の一部、第2接続配線8sgの露出部分およびゲート絶縁層5の露出部分の一部を覆っている。開口部13rにおいて、電極21sgの端面21rsは、ゲート絶縁層5の開口部5rの側面に整合していてもよい。このような構成は、電極21sgをマスクとしてゲート絶縁層5をエッチングすることで得られる。
【0169】
第1誘電体層17は、第1接続配線3sgの露出部分と電極21sgの一部とを露出する開口部17rを有する。開口部17rの側面の一部17rsは、ゲート絶縁層5の開口部5rの一部に整合していてもよい。このような構成は、第1誘電体層17およびゲート絶縁層5を同時にエッチングすることで得られる。
【0170】
本明細書では、開口部17r、開口部5rおよび開口部13rから構成される1つのコンタクトホールCHsgを「SGコンタクトホール」と呼ぶ。SGコンタクトホールCHsg内には、第1接続配線3sgの一部および電極21sgの少なくとも一部が露出する。
【0171】
第1上部接続電極15sgは、第1誘電体層17上およびSGコンタクトホールCHsg内に配置され、SGコンタクトホールCHsg内において、第1接続配線3sgの露出部分および電極21sgの両方に接続されている。
【0172】
この例では、第1上部接続電極15sgは、第2誘電体層18で覆われている。従って、ソース-ゲート接続部SG2がシール材の外側に配置されていても、ソース-ゲート接続部SG2を構成するメタル層が、装置外部の水分などに起因して腐食することを抑制し得る。
【0173】
図8Bに示すソース-ゲート接続部SG3は、第2透明導電層T2に形成された第2上部接続電極19sgをさらに有する点で、ソース-ゲート接続部SG2と異なる。
【0174】
ソース-ゲート接続部SG3では、第2誘電体層18は、第1上部接続電極15sgの一部を露出する開口部18rを有している。第2上部接続電極19sgは、第2誘電体層18上および開口部18r内に配置され、開口部18r内で第1上部接続電極15sgに直接接している。
【0175】
ソース-ゲート接続部SG3では、第1上部接続電極15sgおよび第2上部接続電極19sgからなる積層構造の接続電極を設けることで、接続電極の抵抗を低くできる。従って、ソース-ゲート接続部SG2よりも、第1接続配線3sgと第2接続配線8sgとのコンタクト抵抗を低減することが可能である。
【0176】
本変形例では、シール材の外側には、より効果的に腐食を防止できるソース-ゲート接続部SG2を採用し、シール材の内側には、接続する配線間のコンタクト抵抗をより効果的に低減できるソース-ゲート接続部SG3を採用することが好ましい。
【0177】
<変形例1のアクティブマトリクス基板102の製造方法>
図9A~
図9Iは、それぞれ、アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。これらの断面図は、画素領域PIX、配線重畳部形成領域RA、ソース-ゲート接続部SG2が形成されるソース-ゲート接続部形成領域RSG2、ソース-ゲート接続部SG3が形成されるソース-ゲート接続部形成領域RSG3、溝形成領域RB、端子部形成領域RT、および配線形成領域RCを示す。
【0178】
図10は、アクティブマトリクス基板102の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、この例では、9回のフォトリソ工程を行う(9枚のフォトマスクを用いる)。前述したように、第2メタル層M2の形成前にゲート絶縁層のみをエッチングする工程(第1のエッチング)を行わないので、
図7に示したプロセスフローよりもフォトマスクを1枚減らすことができる。
【0179】
以下の説明では、各層の形成方法、材料、厚さなどについて、アクティブマトリクス基板101と同様の場合には適宜説明を省略する。
【0180】
・第1メタル層M1の形成(
図9A)
図9Aに示すように、
図6Aを参照しながら前述した工程と同様に、基板1上に第1メタル層M1を形成する。
【0181】
・ゲート絶縁層5および酸化物半導体層7の形成(
図9B)
続いて、第1メタル層M1を覆うようにゲート絶縁層5を形成し、続いて、ゲート絶縁層5上に、画素領域PIXに酸化物半導体層7を形成するとともに、溝形成領域RBに酸化物半導体エッチストップ層7esを形成する。
【0182】
・第2メタル層M2の形成(
図9C)
図9Cに示すように、ゲート絶縁層5上に第2導電膜を形成し、パターニングすることで、ソース電極SE、ドレイン電極DE、ソースバスラインSL、第2配線8a、第2接続配線8sgおよび第5配線8cを含む第2メタル層M2を得る。本工程は、ゲート絶縁層5をエッチングせずに、第2メタル層M2を形成する点、および、第2接続配線8sgは、ゲート絶縁層5を介して第1接続配線3sgと部分的に重なるように配置する点で、
図6Dを参照しながら前述した工程と異なる。
【0183】
・層間絶縁層13の形成(
図9D)
第2メタル層M2を形成した後、
図9Dに示すように、無機絶縁層11および有機絶縁層12を含む層間絶縁層13を形成する。
図6Eを参照しながら前述した方法と同様に、有機絶縁層12を露光・現像およびベークによりパターニングした後、有機絶縁層12をマスクとして無機絶縁層11のエッチングを行う。これにより、層間絶縁層13に、画素領域PIXに位置する下部開口部p1、配線重畳部形成領域RAに位置する開口部u1、ソース-ゲート接続部形成領域RSG2およびソース-ゲート接続部SG3のそれぞれに、第2接続配線8sgの一部とゲート絶縁層5の一部とを露出する開口部13r、および溝形成領域RBに位置する溝v1を形成する。端子部形成領域RTおよび配線形成領域RCには、層間絶縁層13を設けなくてもよい。
【0184】
本工程は、ソース-ゲート接続部SG2およびソース-ゲート接続部SG3に開口部13rを形成する点で、
図6Eに示す工程と異なる。各開口部13rは、第2接続配線8sgを露出し、かつ、基板1の法線方向から見たとき、第1接続配線3sgのうち第2接続配線8sgに重なっていない領域の一部に重なるように位置する。
【0185】
・第3メタル層M3の形成(
図9E)
次いで、
図9Eに示すように、第3導電膜を形成し、パターニングすることで、第3メタル層M3を形成する。第3メタル層M3は、画素領域PIXに位置するタッチ配線TLおよび接続電極TE、配線重畳部形成領域RAに位置する保護導電層21a、ソース-ゲート接続部SG2およびソース-ゲート接続部SG3にそれぞれ位置する電極21sg、および配線形成領域RCに位置する上部配線21cを含む。
【0186】
本工程は、ソース-ゲート接続部SG2およびソース-ゲート接続部SG3に電極21sgを形成する点で、
図6Fに示す工程と異なる。電極21sgは、第2接続配線8sgのうち開口部13r内に露出した部分全体を覆うように形成される。ここでは、電極21sgは、層間絶縁層13の上面、開口部13rの側面の一部、第2接続配線8sgのうち開口部13rに露出した部分に接する。図示するように、電極21sgは、さらに、ゲート絶縁層5の開口部13rに露出した部分の一部に接していてもよい。これにより、電極21sgは、第2接続配線8sgをより確実に保護できるので、後のプロセスにおいて、第2接続配線8sgが受けるダメージをより効果的に低減できる。
【0187】
・第1誘電体層17の形成(
図9F)
次いで、
図9Fに示すように、第3メタル層M3を覆うように第1誘電体膜を形成し、第1誘電体膜上に設けたレジストマスクを用いて、第1誘電体膜のパターニングを行い、第1誘電体層17および絶縁層17bを得る。第1誘電体膜のパターニングでは、同じレジストマスクを用いて、ゲート絶縁層5も同時にエッチングされ得る。これにより、画素領域PIXにおいて、第1誘電体層17に開口部17sが形成され、端子部形成領域RTにおいては、第1誘電体層17およびゲート絶縁層5に、ゲートバスラインGLの一部を露出する開口部q1が形成される。
【0188】
また、本変形例では、ソース-ゲート接続部形成領域RSG2およびソース-ゲート接続部SG3において、第1誘電体層17に開口部17rが形成されるとともに、ゲート絶縁層5に、第1接続配線3sgの一部を露出する開口部5rが形成される。このようにして、開口部5r、開口部13rおよび開口部17rによって、第1接続配線3sgの一部および電極21sgの一部を露出するSGコンタクトホールCHsgを構成する。ゲート絶縁層5は、上記レジストマスクおよび電極21sgをマスクとしてエッチングされてもよい。これにより、ゲート絶縁層5の開口部5rの側面の一部は、開口部17rの側面に一部に整合し、かつ、開口部5rの側面の他の一部は、電極21sgの端面に整合し得る。
【0189】
・第1透明導電層T1の形成(
図9G)
続いて、
図9Gに示すように、第1誘電体層17上に、画素領域PIXに位置する共通電極CE、ソース-ゲート接続部SG2およびソース-ゲート接続部SG3にそれぞれ位置する第1上部接続電極15sg、および端子部形成領域RTに位置する第1上部接続電極15sgを含む第1透明導電層T1を形成する。
【0190】
本工程は、ソース-ゲート接続部SG2およびソース-ゲート接続部SG3に第1上部接続電極15sgを形成する点で、
図6Hに示す工程と異なる。第1上部接続電極15sgは、第1誘電体層17上およびSGコンタクトホールCHsg内に配置され、SGコンタクトホールCHsg内で第1接続配線3sgおよび電極21sgに接するように形成される。基板1の法線方向から見たとき、第1上部接続電極15sgは、SGコンタクトホールCHsgの全体に重なっていてもよい。
【0191】
・第2誘電体層18の形成(
図9H)
次いで、
図9Hに示すように、共通電極CEを覆うように第2誘電体膜を形成し、パターニングすることにより、第2誘電体層18を得る。
図6Iに示す工程と同様に、画素領域PIXにおいては、第2誘電体層18および第1誘電体層17が同時にエッチングされて上部開口部p2が形成され、端子部形成領域RTにおいては、第2誘電体層18に開口部18qが形成される。本工程は、ソース-ゲート接続部SG3において、第2誘電体層18に、第1上部接続電極15sgの一部を露出する開口部18qが形成される点で、
図6Iに示す工程と異なる。
【0192】
・第2透明導電層T2の形成(
図9I)
続いて、
図9Iに示すように、第2の透明導電膜を形成し、パターニングすることで、画素領域PIXに位置する画素電極PEと、ソース-ゲート接続部形成領域RSG3に位置する第2上部接続電極19sgと、端子部形成領域RTに位置する上部透明電極19tとを含む第2透明導電層T2を得る。
【0193】
本工程は、第2の透明導電膜から第2上部接続電極19sgが形成される点で、
図6Jに示す工程と異なる。第2上部接続電極19sgは、例えば、第2誘電体層18上および開口部18r内に配置され、開口部18r内で、第1上部接続電極15sgに接するように配置される。このようにして、アクティブマトリクス基板102が製造され得る。
【0194】
<変形例2>
本実施形態のアクティブマトリクス基板の変形例2を説明する。変形例2のアクティブマトリクス基板の製造方法は、ゲート絶縁層の第2のエッチング(第3メタル層M3の形成後に、第1誘電体層と同時に行われるゲート絶縁層のエッチング)を行わない点で、アクティブマトリクス基板101の製造方法(
図6A~
図6J)と異なる。本変形例では、端子部形成領域においても、ゲート絶縁層のエッチングを第2メタル層M2の形成前に行う。このため、変形例2におけるゲート端子部は、
図2Eに示したゲート端子部GT1と異なる構造を有する。
【0195】
図11は、変形例2のアクティブマトリクス基板におけるゲート端子部GT2を例示する断面図である。
【0196】
図11に示すゲート端子部GT2では、ゲートバスラインGLと、第2透明導電層T2に形成された上部透明電極19tとを、第2メタル層M2に形成された電極8tおよび第3メタル層M3に形成された電極21tを介して電気的に接続されている。
【0197】
ゲート端子部GT2は、ゲートバスラインGLと、ゲートバスラインGL上に延設されたゲート絶縁層5と、電極8tと、電極21tと、電極21t上に延設された第1誘電体層17および第2誘電体層18と、上部透明電極19tとを有する。
【0198】
ゲート絶縁層5は、ゲートバスラインGLの一部を露出する開口部5qを有している。電極8tは、ゲート絶縁層5上および開口部5q内に配置され、開口部5q内でゲートバスラインGLに電気的に接続される。電極8tは、ゲートバスラインGLの露出部分に直接接していてもよい。電極21tは、電極8tに接するように配置される。電極21tは、電極8tの上面および側面を覆うように形成されてもよい。電極21tは、電極8tと、ゲート絶縁層5のうち電極8tの周辺に位置する部分とに接していてもよい。これにより、電極8tをより効果的に保護できる。なお、基板1の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層5のうち電極8tに重ならない領域は、電極8tのエッチング時にオーバーエッチングされ、薄膜化されることがある。この場合、電極21tを、ゲート絶縁層5のうち薄膜化された部分まで延設させることで、より効果的に電極8tの側面が保護される。
【0199】
第1誘電体層17および第2誘電体層18は、電極21t上に延設され、かつ、電極21tの一部を露出する開口部q2を有する。開口部q2は、第1誘電体層17の開口部17qおよび第2誘電体層18の開口部18qを含む。開口部q2の側面において、第1誘電体層17の側面および第2誘電体層18の側面は整合していてもよい。このような構成は、同じレジストマスクを用いて第1誘電体層17および第2誘電体層18を同時にエッチングすることで得られる。上部透明電極19tは、第2誘電体層18上および開口部q2内に配置され、開口部q2内で電極21tの露出部分に接続されている。
【0200】
本変形例では、低抵抗なゲート端子部GT2が形成され得る。ただし、第2メタル層M2および第3メタル層M3を利用しているため、
図2Eに示すゲート端子部GT1よりも厚さが大きくなる。
【0201】
<変形例2のアクティブマトリクス基板103の製造方法>
図12A~
図12Jは、それぞれ、アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。これらの断面図は、画素領域PIX、配線重畳部形成領域RA、ソース-ゲート接続部形成領域RSG、溝形成領域RB、端子部形成領域RT、および配線形成領域RCを示す。
【0202】
図13は、アクティブマトリクス基板103の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図13に示すように、この例では、10回のフォトリソ工程を行う(10枚のフォトマスクを用いる)。以下の説明では、各層の形成方法、材料、厚さなどについて、アクティブマトリクス基板101と同様の場合には適宜説明を省略する。
【0203】
・第1メタル層M1の形成(
図12A)
図8Aに示すように、
図6Aを参照しながら前述した工程と同様に、基板1上に第1メタル層M1を形成する。
【0204】
・ゲート絶縁層5および酸化物半導体層7の形成(
図12B)
続いて、第1メタル層M1を覆うようにゲート絶縁層5を形成し、続いて、ゲート絶縁層5上に、画素領域PIXに酸化物半導体層7を形成するとともに、溝形成領域RBに酸化物半導体エッチストップ層7esを形成する。
【0205】
・ゲート絶縁層5の第1のエッチング(
図12C)
続いて、公知のフォトリソ工程により、ゲート絶縁層5のパターニングを行う。これにより、
図12Cに示すように、ソース-ゲート接続部形成領域RSGにおいて、第1接続配線3sgの一部を露出する開口部5rを形成するとともに、端子部形成領域RTにおいて、ゲートバスラインGLの一部を露出する開口部5qを形成する。本工程は、ゲート絶縁層5に開口部5qを行う点で、
図6Cに示す工程と異なる。
【0206】
・第2メタル層M2の形成(
図12D)
図12Dに示すように、ゲート絶縁層5上に第2導電膜を形成し、パターニングすることで、ソース電極SE、ドレイン電極DE、ソースバスラインSL、第2配線8a、第2接続配線8sg、電極8tおよび第5配線8cを含む第2メタル層M2を得る。
【0207】
本工程は、端子部形成領域RTに電極8tを形成する点で、
図6Dを参照しながら前述した工程と異なる。電極8tは、ゲート絶縁層5上および開口部5q内に配置され、開口部5q内でゲートバスラインGLに接続される。つまり、ソース-ゲート接続部SG1と同様の構造を有し得る。
【0208】
・層間絶縁層13の形成(
図12E)
第2メタル層M2を形成した後、
図12Eに示すように、無機絶縁層11および有機絶縁層12を含む層間絶縁層13を形成する。層間絶縁層13は、下部開口部p1、開口部q1および溝v1を有する。層間絶縁層13の形成方法は、
図6Eを参照しながら前述した方法と同様であってもよい。なお、無機絶縁層11のエッチングの際に、ゲート絶縁層5のうち有機絶縁層12、第2メタル層M2および酸化物半導体エッチストップ層7esのいずれにも覆われていない部分に表面がオーバーエッチングされ、薄膜化されることがある。
【0209】
・第3メタル層M3の形成(
図12F)
次いで、
図12Fに示すように、第3導電膜を形成し、パターニングすることで、第3メタル層M3を形成する。第3メタル層M3は、画素領域PIXに位置するタッチ配線TLおよび接続電極TE、配線重畳部形成領域RAに位置する保護導電層21a、端子部形成領域RTに位置する電極21t、および配線形成領域RCに位置する上部配線21cを含む。
【0210】
本工程は、ゲート端子部GTに電極21tを形成する点で、
図6Fに示す工程と異なる。電極21tは、電極8tを覆うように配置される。電極21tは、電極8tの上面および側面と、ゲート絶縁層5のうち電極8tの周辺に位置する部分とに接していてもよい。前工程で、ゲート絶縁層5が部分的に薄膜化されていると、電極21tとゲート絶縁層5との界面は、電極8tとゲート絶縁層5との界面よりも深くなる(基板1側に位置する)。これにより、電極8tの側面をより効果的に電極21tで保護できる。
【0211】
・第1誘電体層17の形成(
図12G)
次いで、
図12Gに示すように、第1誘電体膜から、第3メタル層M3を覆う第1誘電体層17と、絶縁層17bとを得る。第1誘電体層17は、画素領域PIXにおいて、タッチ配線TLの一部を露出する開口部17sを有する。
【0212】
・第1透明導電層T1の形成(
図12H)
続いて、
図12Hに示すように、第1誘電体層17上に、画素領域PIXに位置する共通電極CEを含む第1透明導電層T1を形成する。
・第2誘電体層18の形成(
図12I)
次いで、
図12Iに示すように、共通電極CEを覆うように第2誘電体膜を形成し、パターニングすることにより、第2誘電体層18を得る。画素領域PIXにおいては、第2誘電体層18および第1誘電体層17が同時にエッチングされて上部開口部p2が形成される。また、端子部形成領域RTにおいては、第2誘電体層18および第1誘電体層17が同時にエッチングされて開口部q2が形成される。開口部q2は、電極21tの一部を露出するように配置される。
【0213】
・第2透明導電層T2の形成(
図12J)
続いて、
図12Jに示すように、第2の透明導電膜を形成し、パターニングすることで、画素領域PIXに位置する画素電極PEと、端子部形成領域RTに位置する上部透明電極19tとを含む第2透明導電層T2を得る。上部透明電極19tは、例えば、第2誘電体層18上および開口部q2内に配置され、開口部q2内で、電極21tに接するように配置される。このようにして、アクティブマトリクス基板103が製造され得る。
【0214】
<変形例3>
本実施形態のアクティブマトリクス基板の変形例3を説明する。変形例3のアクティブマトリクス基板の製造方法では、無機絶縁層を、有機絶縁層とは別のフォトリソ工程でパターニングする点で、変形例2の方法と異なる。これにより、例えば、非表示領域のうち有機絶縁層を設けない領域(例えばゲート端子部を形成する領域)にも、無機絶縁層を形成できる。また、第2メタル層M2を無機絶縁層で覆った状態で、有機絶縁層に開口部や溝を設けることが可能になる。このようなプロセスの違いから、変形例3のアクティブマトリクス基板のゲート端子部、配線重畳領域および溝領域は、以下のような構造を有し得る。
【0215】
図14Aは、変形例3のアクティブマトリクス基板におけるゲート端子部GT3を例示する断面図である。
【0216】
ゲート端子部GT3は、電極8tと電極21tとの間に無機絶縁層11が位置する点で、変形例2におけるゲート端子部GT2(
図10)と異なる。ゲート端子部GT3では、電極21tは、無機絶縁層11に形成された開口部11r内で電極8tに接している。
【0217】
図14Bは、変形例3のアクティブマトリクス基板における配線重畳領域A2を例示する断面図である。
【0218】
配線重畳領域A2は、ゲート絶縁層5を介して第1配線3aと第2配線8aとが交差する1以上の交差部(図示する例では、1つの交差部)を含む。配線重畳領域A2では、交差部は無機絶縁層11で覆われている。無機絶縁層11上には、無機絶縁層11の一部を露出する開口部12uを有する有機絶縁層12が形成されている。開口部12uは、基板1の法線方向から見たとき、第2配線8aの第1領域81(第2配線8aのうちゲート絶縁層5を介して第1配線3aに重なる領域)を含む部分と、ゲート絶縁層5のうち第2配線8aの周辺に位置する部分とに重なるように配置されている。有機絶縁層12上および開口部12u内には、第1誘電体層17および第2誘電体層18が延設されていてもよい。
【0219】
配線重畳領域A2では、有機絶縁層12に、配線重畳部上に位置する開口部u1を形成することで、配線重畳部におけるイオンマイグレーションの発生を抑制できる。また、第2配線8aは無機絶縁層11で覆われているので、共通電極のエッチング工程などの第2配線8aがダメージ受けることを抑制できる。
【0220】
このように、本変形例によると、配線重畳領域A2に第2配線8aを保護する保護導電層(例えば
図4B参照)を形成しなくてもよい。従って、配線重畳領域A2に要する面積を低減できるので、回路面積を低減できるメリットがある。
【0221】
図14Cは、変形例3のアクティブマトリクス基板における溝領域B2を例示する断面図である。
【0222】
溝領域B2では、ゲート絶縁層5上に延設された無機絶縁層11の上に、無機絶縁層11の一部を露出する溝12vを有する有機絶縁層12が配置されている。有機絶縁層12上および溝12v内には、第1誘電体層17および第2誘電体層18が形成されている。
【0223】
図示するように、溝領域B2の下方には、第1メタル層M1に形成された第3配線3b、および/または、第2メタル層M2に形成された配線8bが位置していてもよい。これらの配線は、溝12vに沿って延びていてもよいし、溝12vを横切って延びていてもよい。本変形例では、溝12vの下方に位置する配線は無機絶縁層11で覆われているので、これらの配線が、この後のプロセスで受けるダメージを低減できる。また、ゲート絶縁層5が薄膜化されないので、他の変形例やアクティブマトリクス基板101のように、エッチストップとして酸化物半導体層を設けなくてもよい。従って、溝領域B2に要する面積を低減できるので、非表示領域FRの面積を小さくできる。
【0224】
なお、本変形例における画素コンタクト部およびソース-ゲート接続部は、変形例2のアクティブマトリクス基板と同様の構造を有してもよい。ただし、本変形例では、画素コンタクト部において、下部開口部p1を構成する無機絶縁層11の開口部11pと有機絶縁層12の開口部12pとは、基板1の法線方向から見たとき、整合しなくてもよい。基板1の法線方向から見たとき、開口部12pと開口部11pとは部分的に重なっていればよく、例えば交差していてもよい(つまり、開口部12pは開口部11pを横切るように延びていてもよい)。
【0225】
図15A~
図15Kは、それぞれ、アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。これらの断面図は、画素領域PIX、配線重畳部形成領域RA、ソース-ゲート接続部形成領域RSG、溝形成領域RB、端子部形成領域RT、および配線形成領域RCを示す。
【0226】
図16は、アクティブマトリクス基板104の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図16に示すように、この例では、11回のフォトリソ工程を行う(11枚のフォトマスクを用いる)。前述したように、無機絶縁層11をパターニングするためのフォトリソ工程が追加されるので、変形例2よりも使用するフォトマスクの数が1枚増える。以下の説明では、各層の形成方法、材料、厚さなどについて、変形例2のアクティブマトリクス基板103と同様の場合には適宜説明を省略する。
【0227】
・第1メタル層M1、ゲート絶縁層5、酸化物半導体層7の形成(
図15A、
図15B)
図15Aに示すように、基板1上に第1メタル層M1を形成する。続いて、
図15Bに示すように、第1メタル層M1を覆うようにゲート絶縁層5を形成する。この後、ゲート絶縁層5上に酸化物半導体膜を形成し、パターニングすることで、画素領域PIXに酸化物半導体層7を形成する。本工程は、酸化物半導体膜のうち溝形成領域RBに位置する部分を除去する点で、
図12Bに示す変形例2の工程(溝形成領域RBに酸化物半導体エッチストップ層7esを形成)と異なる。
【0228】
・ゲート絶縁層5の第1のエッチング(
図15C)
続いて、公知のフォトリソ工程により、ゲート絶縁層5のパターニングを行う。これにより、
図15Cに示すように、ソース-ゲート接続部形成領域RSGにおいて開口部5rを形成するとともに、端子部形成領域RTに開口部5qを形成する。本工程は、
図11Cに示す工程と同様である。
【0229】
・第2メタル層M2の形成(
図15D)
図15Dに示すように、ゲート絶縁層5上に第2導電膜を形成し、パターニングすることで、ソース電極SE、ドレイン電極DE、ソースバスラインSL、第2配線8a、第2接続配線8sg、配線8b、電極8tおよび第5配線8cを含む第2メタル層M2を得る。
【0230】
・層間絶縁層13の形成(
図15E)
図15Eに示すように、第2メタル層M2を覆うように無機絶縁層11を形成した後、開口部12p’、12uおよび溝12vを有する有機絶縁層12を形成する。有機絶縁層12の形成方法は、
図6Eを参照しながら前述した方法と同様であってもよい。ただし、本変形例では、有機絶縁層12をマスクとして無機絶縁層11のパターニングを行わない。
【0231】
・無機絶縁層11のパターニング(
図15F)
この後、有機絶縁層12とは別のフォトマスクを用いたフォトリソ工程により、有機絶縁層12および無機絶縁層11上にレジストマスクを形成し、無機絶縁層11のパターニング(ここではドライエッチング)を行う。これにより、無機絶縁層11に、画素領域PIXに位置し、ドレイン電極DEの一部を露出する開口部11pと、端子部形成領域RTに位置し、電極8tの一部を露出する開口部11rとを形成する。
【0232】
開口部11rを形成する際に、有機絶縁層12の開口部12p’に交差するようにレジストマスクの開口を配置してもよい。この後、レジストマスクを用いてドライエッチングを行うことで、無機絶縁層11に開口部11pが形成されるとともに、有機絶縁層12のうちレジストマスクで規定される領域の上部のみがエッチングされ、有機絶縁層12の上面において十字型の周縁を有する開口部12pが得られる。このようにして、これにより、開口部11pおよび開口部12pを含むコンタクトホール(画素コンタクトホール)CHpを得る。
【0233】
・第3メタル層M3の形成(
図15G)
次いで、
図15Gに示すように、第3導電膜を形成し、パターニングすることで、第3メタル層M3を形成する。第3メタル層M3は、画素領域PIXに位置するタッチ配線TLおよび接続電極TE、および端子部形成領域RTに位置する電極21tを含む。
【0234】
接続電極TEは、画素コンタクトホールCHp内でドレイン電極DEに接続される。電極21tは、無機絶縁層11上および開口部11r内に配置され、開口部11r内でゲートバスラインGLに接続される。
【0235】
なお、本変形例では、配線形成領域RCにおいて、第5配線8cは無機絶縁層11で覆われているので、第5配線8cを保護するために第3導電膜を設けなくてもよい。
・第1誘電体層17、共通電極CE、第2誘電体層18および画素電極PEの形成(
図15H~
図15K)
この後、
図11G~
図11Jを参照して前述した工程と同様に、第1誘電体層17、共通電極CE、第2誘電体層18および画素電極PEを形成する。
【0236】
具体的には、
図15Hに示すように、第3メタル層M3を覆うように第1誘電体層17を得る。第1誘電体層17は、画素領域PIXにおいて、タッチ配線TLの一部を露出する開口部17sを有する。続いて、
図15Iに示すように、第1誘電体層17上に、画素領域PIXに位置する共通電極CEを含む第1透明導電層T1を形成する。次いで、
図15Jに示すように、共通電極CEを覆うように第2誘電体層18を得る。このとき、第2誘電体層18および第1誘電体層17を同時にエッチングすることで、画素領域PIXに上部開口部p2を形成し、端子部形成領域RTに開口部q2を形成する。続いて、
図15Kに示すように、画素領域PIXに位置する画素電極および端子部形成領域RTに位置する上部透明電極19tを含む第2透明導電層T2を形成する。このようにして、アクティブマトリクス基板104が製造され得る。
【0237】
<変形例4>
上述したように、画素TFTの酸化物半導体層のドレイン領域は、低抵抗な領域(導電体領域)である。このため、第2メタル層M2にドレイン電極を設けず、第3メタル層M3に形成された接続電極を直接ドレイン領域に接続してもよい。
【0238】
図17は、変形例4のアクティブマトリクス基板における画素領域の一部を示す断面図である。
【0239】
図示するように、画素TFT31は、第2メタル層M2内にドレイン電極を有していない。酸化物半導体層7のドレインコンタクト領域7dは、画素コンタクト部が形成される領域まで延びている。層間絶縁層13は、ドレインコンタクト領域7dの一部を露出する下部開口部p1を有する。接続電極TEは、層間絶縁層13上および下部開口部p1内に配置され、下部開口部p1内でドレインコンタクト領域7dに接続されている。接続電極TEはドレインコンタクト領域7dに直接接していてもよい。その他の構成は、
図2A等に例示した画素領域の構成と同様である。すなわち、接続電極TE上には、第1誘電体層17および第2誘電体層18が形成されている。第1誘電体層17および第2誘電体層18には、接続電極TEの一部を露出する上部開口部p2を有する。第2誘電体層18上および上部開口部p2内には画素電極PEが配置されている。画素電極PEは、上部開口部p2内で接続電極TEに接続されている。
【0240】
本変形例によると、第2メタル層M2内にドレイン電極を形成しなくてもよいので、ドレイン電極を形成する場合よりも、画素開口率を高めることができる。
【0241】
なお、本変形例のアクティブマトリクス基板は、酸化物半導体層の形状と、第2メタル層M2にドレイン電極を形成しない点以外は、上述したアクティブマトリクス基板101~104と同様の方法で製造され得る。
【0242】
<酸化物半導体>
本実施形態における各TFTの酸化物半導体層に含まれる酸化物半導体(金属酸化物、または酸化物材料ともいう。)は、非晶質酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0243】
酸化物半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。酸化物半導体層が積層構造を有する場合には、酸化物半導体層は、非晶質酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよい。あるいは、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、複数の非晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、2層のうちゲート電極側に位置する層(ボトムゲート構造なら下層、トップゲート構造なら上層)に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップは、ゲート電極と反対側に位置する層(ボトムゲート構造なら上層、トップゲート構造なら下層)に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップよりも小さくてもよい。ただし、これらの層のエネルギーギャップの差が比較的小さい場合には、ゲート電極側に位置する層の酸化物半導体のエネルギーギャップが、ゲート電極と反対側に位置する層の酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きくてもよい。
【0244】
非晶質酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-0073911号公報に記載されている。参考のために、特開2014-0073911号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0245】
酸化物半導体層は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、酸化物半導体層は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0246】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、非晶質でもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0247】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-0073911号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-2090627号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-2090627号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0248】
酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn2O3-SnO2-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層は、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体、In-W-Zn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0249】
本発明の実施形態は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置および無機エレクトロルミネセンス表示装置等の表示装置、イメージセンサー装置等の撮像装置、画像入力装置、指紋読み取り装置、半導体メモリ等の種々の電子装置に適用される。特に、高精細なタッチセンサ付き液晶表示装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0250】
1 基板
3a、3b、3c 第1メタル層内の配線
8a、8c 第2メタル層内の配線
3sg 第1接続配線
5 ゲート絶縁層
8sg 第2接続配線
5q、5r ゲート絶縁層に形成された開口部
7 酸化物半導体層
7es 酸化物半導体エッチストップ層
7b 酸化物半導体部
7c チャネル領域
7d ドレインコンタクト領域
7s ソースコンタクト領域
8b 配線
8t 電極
11 無機絶縁層
11p、11r、11u、11v 無機絶縁層に形成された開口部
11v 溝
12 有機絶縁層
12p、12p’、12u 有機絶縁層に形成された開口部
12v 溝
13 層間絶縁層
15p、15x 共通電極の開口部|
15sg 第1上部接続電極
15t 下部透明電極
17 第1誘電体層
17b 絶縁層
17be 縁部分
17p、17q、17r、17s 第1誘電体層に形成された開口部
18 第2誘電体層
18p、18q、18r 第2誘電体層に形成された開口部
19sg 第2上部接続電極|
19t 上部透明電極
21a 保護導電層
21c 上部配線
21sg、21t 電極
101、102、103、104 アクティブマトリクス基板
A1、A2 配線重畳領域
B1、B2 溝領域
CE 共通電極
CHp 画素コンタクトホール
CHsg SGコンタクトホール
Cp 透明補助容量
Ct タッチ配線容量
DE ドレイン電極
DR 表示領域
FR 非表示領域
GD ゲートドライバ
GE ゲート電極
GL ゲートバスライン
GT1、GT2、GT3 ゲート端子部
M1 第1メタル層
M2 第2メタル層
M3 第3メタル層
p1 下部開口部
p2 上部開口部
PC 画素コンタクト部
PE 画素電極
PIX、PIXa、PIXb、PIXc 画素領域
q1、q2、u1 開口部
SE ソース電極
SG1、SG2、SG3 ゲート接続部
SL ソースバスライン
T1 第1透明導電層
T2 第2透明導電層
TC タッチ配線コンタクト部
TE 接続電極
TL、TL1、TL2 タッチ配線
TX、TX1、TX2 タッチセンサ電極
v1 溝