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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167641
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】端末、基地局及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20221027BHJP
   H04W 72/02 20090101ALI20221027BHJP
【FI】
H04W72/04 136
H04W72/04 132
H04W72/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073578
(22)【出願日】2021-04-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100142918
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 貴志
(72)【発明者】
【氏名】前本 大輝
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 治彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067CC02
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ12
5K067JJ13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】BWPを切り替える際のシグナリングオーバーヘッドを削減することを可能とする端末、基地局及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線通信システムにおいて、端末10は、基地局から、端末10向けに設定される通信用DLBWP及び通信用ULBWPの設定を含むRRCメッセージを受信する受信部101と、上りリンクのスケジューリングを要求する場合において、アクティブであるULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されていない場合、アクティブであるULBWPを、通信用ULBWPに切り替える制御部103と、アクティブであるULBWPで、スケジューリングリクエストを基地局に送信する送信部102と、を有する。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から、特定端末向けに設定される、通信用DLBWP及び通信用ULBWPの設定を含むRRCメッセージを受信する受信部と、
上りリンクのスケジューリングを要求する場合において、アクティブであるULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されていない場合、アクティブであるULBWPを、前記通信用ULBWPに切り替える制御部と、
アクティブであるULBWPで、スケジューリングリクエストを前記基地局に送信する送信部と、
を有する端末。
【請求項2】
前記制御部は、アクティブであるULBWPが初期BWPであり、かつ、前記初期ULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されていない場合、アクティブであるULBWPを、前記通信用ULBWPに切り替え、
前記送信部は、アクティブであるULBWPが、前記通信用ULBWPに切り替えられた後、前記通信用ULBWPに設定される端末個別の上り制御チャネルリソースを用いて、前記スケジューリングリクエストを前記基地局に送信する、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記制御部は、アクティブであるULBWPを前記通信用ULBWPに切り替えることに加えて、アクティブであるDLBWPを、前記通信用DLBWPに切り替える、
請求項2に記載の端末。
【請求項4】
前記送信部は、アクティブであるULBWPが初期BWPであり、かつ、前記初期BWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されている場合、前記初期BWPに設定される端末個別の上り制御チャネルリソースを用いて、前記スケジューリングリクエストを前記基地局に送信し、
前記制御部は、前記スケジューリングリクエストが送信された後、アクティブであるULBWPを、前記通信用ULBWPに切り替える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記スケジューリングリクエストが送信された後、アクティブであるDLBWPを、前記通信用DLBWPに切り替える、
請求項4に記載の端末。
【請求項6】
前記通信用DLBWPには、SSBが設定される帯域が含まれない、
請求項1~5のいずれか一項に記載の端末。
【請求項7】
端末から、端末能力を示す情報を受信する受信部と、
前記端末が特定端末であることが前記情報で示される場合、通信用DLBWP(Band Width Part)及び通信用ULBWPの設定を含むRRCメッセージを前記端末に送信する送信部と、
を有し、
前記受信部は、初期ULBWPに前記端末向けの端末個別の上り制御チャネルリソースを設定していない場合、前記端末から、前記通信用ULBWPに設定される前記端末個別の上り制御チャネルリソースで送信されるスケジューリングリクエストを受信し、前記初期ULBWPに前記端末個別の上り制御チャネルリソースを設定している場合、前記端末から、前記初期ULBWPに設定される前記端末個別の上り制御チャネルリソースで送信されるスケジューリングリクエストを受信する、
基地局。
【請求項8】
基地局から、特定端末向けに設定される、通信用DLBWP及び通信用ULBWPの設定を含むRRCメッセージを受信するステップと、
上りリンクのスケジューリングを要求する場合において、アクティブであるULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されていない場合、アクティブであるULBWPを、前記通信用ULBWPに切り替えるステップと、
アクティブであるULBWPで、スケジューリングリクエストを前記基地局に送信するステップと、
を含む、端末が行う通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末、基地局及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化団体であるThird Generation Partnership Project(3GPP)では、第3.9世代の無線アクセス技術(Radio Access Technology:RAT)であるLong Term Evolution(LTE)、第4世代のRATであるLTE-Advancedの後継として、第5世代(Fifth Generation:5G)のRATであるNew Radio(NR)のリリース15が仕様化されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS 38.300 V15.11.0 (2020-09)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、3GPPでは、NRを用いて無線アクセスを行うIoT向けの新たな端末を想定した機能の検討が開始されている。当該新たな端末は、RedCap端末と呼ばれ、NRでサポートされている広い帯域を全て利用するのではなく、例えば20MHzや50MHzなど、ある程度狭い帯域幅で通信を行う前提である。
【0005】
ここで、NRでは、下りリンクにおける一部の周波数に、SSB(Synchronization Signal Block)と呼ばれる、同期信号及び報知情報を送信するための無線リソースが設定されており、端末10は、セルの受信品質等の測定を、SSBを測定することで行う。また、NRでは、セル全体の帯域幅の全部又は一部を端末に割り当てることを可能とする、BWP(BandWidth Part)と呼ばれる仕組みが規定されている。なお、SSBは、SS/PBCHブロック(Synchronization Signal/Physical Broadcast Channel Block)とも呼ばれる。
【0006】
同期処理や報知情報の受信及びセルの品質測定等を考慮すると、RedCap端末に設定するBWPは、SSBを含む帯域であることが望ましいが、RedCap端末に設定されるBWPがSSBを含む帯域に集中すると、当該帯域が混雑することになる。そのため、RedCap端末を複数のBWPで動作させることが検討されている。しかしながら、複数のBWPで動作させるために、基地局から端末に対してBWPの切替を指示するシグナリングを送信することになるため、シグナリングオーバーヘッドが大きいという問題がある。
【0007】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであり、BWPを切り替える際のシグナリングオーバーヘッドを削減することを可能とする端末、基地局及び無線通信方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る端末は、基地局から、特定端末向けに設定される、通信用DLBWP及び通信用ULBWPの設定を含むRRCメッセージを受信する受信部と、上りリンクのスケジューリングを要求する場合において、アクティブであるULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されていない場合、アクティブであるULBWPを、前記通信用ULBWPに切り替える制御部と、アクティブであるULBWPで、スケジューリングリクエストを前記基地局に送信する送信部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、BWPを切り替える際のシグナリングオーバーヘッドを削減することを可能とする端末、基地局及び無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの概要の一例を示す図である。
図2】BWPの設定例を示す図である。
図3】BWPスイッチング処理を説明するための図である。
図4】初期BWPを設定するために用いられるSIB1の情報要素を説明するための図である。
図5】RRCメッセージにおけるBWP設定に関する情報要素を説明するための図である。
図6】BWP設定方法に関する2つのオプションを説明するための図である。
図7】BWPスイッチングの動作を説明するためのシーケンス図である。
図8】本実施形態における課題の一例を説明するための図である。
図9】初期BWP及び通信用BWPが設定された場合のBWP切替処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図10】スケジューリングリクエストを送信する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11】ランダムアクセス手順を実行する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12】通信用BWPを設定するRRCメッセージの一例を示す図である。
図13】TS38.321の仕様変更例を示す。
図14】初期BWPに端末個別の設定がされない場合のBWP切替処理の一例を示すシーケンスである。
図15】BWP指示子の定義例を示す図である。
図16】無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図17】端末の機能構成の一例を示す図である。
図18】基地局の機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
<システム概要>
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの概要の一例を示す図である。図1に示すように、無線通信システム1は、端末10と、基地局20と、コアネットワーク30と、を含んでもよい。なお、図1に示す端末10、基地局20の数は例示にすぎず、図示する数に限られない。
【0013】
無線通信システム1の無線アクセス技術(Radio Access Technology:RAT)としては、例えば、NRが想定されるが、これに限られず、例えば、第6世代以降のRAT等、種々のRATを利用できる。
【0014】
端末10は、例えば、スマートフォンや、パーソナルコンピュータ、車載端末、車載装置、静止装置、テレマティクス制御ユニット(Telematics control unit:TCU)等、所定の端末又は装置である。端末10は、ユーザ装置(User Equipment:UE)、移動局(Mobile Station:MS)、端末(User Terminal)、無線装置(Radio apparatus)、加入者端末、アクセス端末等と呼ばれてもよい。端末10は、移動型であってもよいし、固定型であってもよい。端末10は、RATとして、例えば、NRを用いて通信可能に構成される。
【0015】
基地局20は、一以上のセルCを形成し、当該セルCを用いて端末10と通信する。セルCは、サービングセル、キャリア、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)等と相互に言い換えられてもよい。例えば、基地局20は、一つのプライマリセルと一以上のセカンダリセルを端末10に対して設定し、通信してもよい(キャリアアグリゲーションとも称される)。すなわち、一以上のセルCは、プライマリセルを少なくとも含み、セカンダリセルを含んでもよい。
【0016】
基地局20は、gNodeB(gNB)、en-gNB、Next Generation‐Radio Access Network(NG-RAN)ノード、低電力ノード(low-power node)、Central Unit(CU)、Distributed Unit(DU)、gNB-DU、Remote Radio Head(RRH)、Integrated Access and Backhaul/Backhauling(IAB)ノード等と呼ばれてもよい。基地局20は、一つのノードに限られず、複数のノード(例えば、DU等の下位ノードとCU等の上位ノードの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0017】
コアネットワーク30は、例えば、NRに対応したコアネットワーク(5G Core Network:5GC)であるが、これに限られない。コアネットワーク30上の装置(以下、「コアネットワーク装置」ともいう)は、端末10のページング、位置登録等のモビリティ管理(mobility management)を行う。コアネットワーク装置は、所定のインタフェース(例えば、S1又はNGインタフェース)を介して基地局20に接続されてもよい。
【0018】
コアネットワーク装置は、例えば、Cプレーンの情報(例えば、アクセス及び移動管理等に関する情報)を管理するAccess and Mobility Management Function(AMF)、Uプレーンの情報(例えば、ユーザデータ)の伝送制御を行うUser Plane Function(UPF)の少なくとも一つ等を含んでもよい。
【0019】
無線通信システム1において、端末10は、基地局20からの下り(downlink:DL)信号の受信及び/又は上り信号(uplink:UL)の送信を行う。端末10には、一以上のキャリアが設定(configure)されてもよい。各キャリアの帯域幅は、例えば、5MHz~400MHzである。一つのキャリアには、一つ又は複数の帯域幅部分(Bandwidth Part:BWP)が設定されてもよい。一つのBWPは、キャリアの少なくとも一部の帯域幅を有する。すなわち、端末10に設定される一以上のセルCのそれぞれにおいて、一つ又は複数のBWPが設定されてもよい。例えば、端末10に対して、一つのセルCにおいて最大4つまでのBWP(後述するDLBWP及びULBWPのそれぞれ)が設定されてもよい。
【0020】
一つのBWPには、一以上の制御リソースセット(Control Resource Set:CORESET)が設定されてもよい。CORESETは、下り制御チャネル(例えば、物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH))用の時間領域及び周波数領域のリソースである。例えば、CORESETは、所定数のシンボル(例えば、1~3シンボル)及び所定数のリソースブロック(Resource Block:RB)(例えば、6n(n≧1)RB)で構成される。なお、下り制御チャネルは、PDCCHに限られず、下り制御情報(Downlink Control Channel:DCI)の伝送に用いられるチャネルであれば、名称は問わない。
【0021】
ここで、DCIの送信に対して、一以上のフォーマットが規定されてもよい。DCIの送信に対して規定されるフォーマットを、DCIフォーマットと称する。例えば、物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)のスケジューリングに用いられるDCIフォーマット(下りリンクアサインメント、DCIフォーマット1_x(x=0、1、2等)等とも称される)が規定されてもよい。また、例えば、物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)のスケジューリングに用いられるDCIフォーマット(上りリンクグラント、DCIフォーマット0_x(x=0、1、2等)等とも称される)が規定されてもよい。
【0022】
なお、PDSCH及びPUSCHは、ユーザデータ及び/又は物理レイヤよりも上位のレイヤの制御情報(例えば、Medium Access Control Element(MAC CE)、Radio Resource Control(RRC)メッセージ等)の伝送に用いられる物理チャネルであれば、名称は問わない。他のチャネルについても、同様の機能を有するチャネルであれば、名称は問わない。端末10は、下りリンクアサインメントに基づいてPDSCHでの受信を制御する。また、端末10は、上りリンクグラントに基づいてPUSCHでの送信を制御する。ここで、トランスポートチャネルとして、下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)及び上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)が規定されてもよい。例えば、下りユーザデータ(DL-SCHデータとも称する)はDL-SCHにマップされてもよい。また、上りユーザデータは(UL-SCHデータとも称する)はUL-SCHにマップされてもよい。また、DL-SCHはPDSCHにマップされ、UL-SCHはPUSCHにマップされてもよい。
【0023】
また、端末10は、基地局20からの同期信号(例えば、プライマリ同期信号(Primary Synchronization Signal:PSS)及び/又はセカンダリ同期信号(Secondary Synchronization Signal:PSS))を検出して、セルCにおける時間及び周波数の同期を取得する。同期信号、報知チャネル(例えば、物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel:PBCH))及び報知チャネルの復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DMRS)を含むブロックは、同期信号ブロック(Synchronization Signal and PBCH Block:SSB)、SS/PBCHブロック等とも呼ばれる。SSBは、所定周期で設けられる。
【0024】
NRは、LTEとは異なり、セル固有の参照信号が送信されていない。そのため、端末10は、基地局20から指定されたSMTC(SSB-based measurement timing configuration)に従って、所定周期で送信されるSSBを用いて、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)及び/又はSINR(Signal to Noise and Interference Ratio)等を測定する。SSを用いて測定されたRSRP、RSRQ及びSINRは、それぞれ、SS-RSRP、SS-RSRQ及びSS-SINRとも呼ばれる。端末10は、SSBを測定した結果を、基地局20に報告する。
【0025】
<BWP>
以下、BWPについてより詳細に説明する。BWPは、端末10が基地局20との間で信号の送受信を行うために用いる帯域幅であり、連続するリソースブロックのサブセットとして定義される。図2は、BWPの設定例を示す図である。図2に示すように、BWPは、端末10ごとに、異なる周波数位置及び帯域幅に設定することができる。また、BWPは、下りリンク及び上りリンクで別個に設定することができる。本実施形態において、「BWP」は、下りリンクのBWP及び/又は上りリンクのBWPを含む。また、以下の説明では、下りリンクのBWP及び上りリンクのBWPを、それぞれ「DLBWP(Downlink BWP)」及び「ULBWP(Uplink BWP)と記載する。例えば、基地局20は、端末10に対して複数のBWPを設定した場合、当該複数のBWPの中で1つのBWPがアクティブ化してもよい。端末10は、アクティブ化された1つのBWPにおける帯域内で、無線信号の送受信(通信)を行う。
【0026】
端末10が、アクティブ化されたBWPにおいて又はアクティブ化されたBWPに対して実行する動作について説明する。例えば、端末10は、BWPがアクティブ化された場合、当該BWPにおいて、上り共有チャネル(UL-SCH)での送信、RACH(Random Access Channel)でのランダムアクセスプリアンブル送信(ただし、BWPにPRACH機会(PRACH occasions)が設定されている場合)、PDCCHのモニタ、PUCCHでの送信(ただしPUCCHリソースが設定されている場合)、SRS(Sounding Reference Signal)送信(SRSが設定されている場合)及び/又は下り共有チャネル(DL-SCH)での受信を行う。また、端末10は、BWPがアクティブ化された場合、当該BWPに対するCSI(Channel State Information)報告を行ってもよい。ここで、PRACH機会とは、端末10がランダムアクセスプリアンブルを送信可能なリソース(例えば、時間及び/又は周波数リソース)であってもよい。また、例えば、設定可能なBWPの最大帯域幅及び最大BWP数は、端末10の能力に依存する。以下、端末10が上り及び下り通信を行うとは、アクティブ化されたBWPにおいて又はアクティブ化されたBWPに対して、端末10が上り及び下り通信を行う動作の少なくとも1つを含んでもよい。すなわち、端末10が上り及び下り通信に用いるBWP(「通信用BWP」とも称する)とは、端末10によって当該動作の少なくとも1つが実行されるBWP(アクティブ化されたBWP)を含んでもよい。
【0027】
また、主に端末10がセルに初期アクセスする際に用いられるBWPは、初期BWP(Initial BWP)と呼ばれる。初期BWPの周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスは、システム情報(SIB1(System Information Block 1))により端末10に通知される。すなわち、基地局20は、初期BWPに関する情報(周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックス)をSIB1に含めて報知し、端末10は、当該初期BWPに関する情報に基づいて、初期BWPを特定してもよい。ここで、初期BWPは、マスターインフォメーションブロック(Master Information Block:MIB)に含まれる情報によって端末10に与えられてもよい。つまり、初期BWPは、セルにアクセスする全ての端末に設定される。BWPは、BWP-IDで一意に識別され、初期BWPのBWP-IDは「0」である。基地局20は、初期BWP以外の周波数位置及び帯域幅にBWPを追加(設定)する際、当該BWPのBWP-IDを1から順に連続したIDsで設定する。以下の説明において、BWP#nは、BWP-IDがnであるBWPを意味する。BWP#0は、初期BWPと同義である(すなわち、BWP#0は、初期BWPに対して規定されるBWP-IDであってもよい)。
【0028】
図3は、BWPスイッチング処理を説明するための図である。BWPスイッチングとは、サービングセルにおいて、非アクティブBWP(inactive BWP)をアクティブ化(activate)することと、アクティブBWP(active BWP)を非アクティブ化(deactivate)することを同時に行うことを意味する。言い換えると、アクティブBWPを切り替えることを意味する。図3の例では、端末10に、BWP#0~BWP#2の3つのBWPが設定されており、時間の経過によりアクティブBWPが切り替わる様子が示されている。時刻t1~t2の間はBWP#1がアクティブであり、時刻t3~t4の間はBWP#2がアクティブであり、それ以外の時刻ではBWP#0がアクティブである。
【0029】
BWPスイッチング(BWP Switching)は、基地局20からの指示を受けた場合、タイマが満了した場合、及び、ランダムアクセス(Random Access:RA)を行う場合のいずれかをトリガとして実行される。当該タイマは、bwp-InactivityTimerとも呼ばれる。基地局20からの指示を受けた場合とは、具体的には、アクティブにするBWPを指定する情報を含むRRCメッセージ又はPDCCH(つまりDCI)を基地局20から受信した場合である。
【0030】
図4は、初期BWPを設定するために用いられるSIB1の情報要素を説明するための図である。なお、図4は、本実施形態を説明するために必要な情報要素を示しており、SIB1には、図4に図示しない情報要素も含まれる。DownlinkConfigCommonSIBには、初期DLBWP及び初期ULBWPに関するセル固有の設定を行う「BWP-DownlinkCommon」と「BWP-UplinkCommon」とが含まれる。BWP-DownlinkCommonには、初期DLBWPの周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔(Subcarrier Spacing)及びサイクリックプレフィクス等を設定する「BWP」と、初期DLBWPにおけるPDCCH及びPDSCHに関するセル固有パラメータの設定を行う「PDCCH-ConfigCommon」及び「PDSCH-ConfigCommon」が含まれる。例えば、PDCCH-ConfigCommonには、CORESET#0の設定(controlResourceSetZero)やサーチスペース#0に関する設定(SearchSpaceZero)等が含まれる。
【0031】
BWP-UplinkCommonには、初期ULBWPの周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及びサイクリックプレフィクス等を設定する「BWP」と、PRACH機会などのランダムアクセスチャネルに関するセル固有パラメータの設定を行う「RACH-ConfigCommon」と、初期ULBWPにおけるPUCCH及びPUSCHに関するセル固有パラメータの設定を行う「PUCCH-ConfigCommon」及び「PUSCH-ConfigCommon」とが含まれる。
【0032】
図5は、RRCメッセージにおけるBWP設定に関する情報要素を説明するための図である。なお、図5は、本実施形態を説明するために必要な情報要素を示しており、RRCメッセージには、図5に図示しない情報要素も含まれる。図5では、RRC再設定メッセージ(RRCReconfiguration)を例に説明するが、図5に示す情報要素の一部は、他のRRCメッセージ(例えばRRCセットアップ(RRC Setup))にも含めることができる。
【0033】
RRC再設定メッセージは、全端末10共通の設定を行うSIB1とは異なり、個々の端末10に対して端末個別(UE specific)のRRCコネクションの設定を変更する際に用いられる。RRC再設定メッセージは、サービングセルにおけるセル固有パラメータの設定を行う「ServingCellConfigCommon」と、サービングセルにおける端末個別パラメータの設定を行う「ServingCellConfig」とを含む。「ServingCellConfigCommon」には、図4に示すSIB1と同様、初期DLBWP及び初期ULBWPに関するセル固有の設定を行う「BWP-DownlinkCommon」と「BWP-UplinkCommon」とが含まれる。なお、「ServingCellConfigCommon」における「BWP-DownlinkCommon」と「BWP-UplinkCommon」の設定値は、SIB1における「BWP-DownlinkCommon」と「BWP-UplinkCommon」の設定値と一致している。
【0034】
「ServingCellConfig」には、初期DLBWPに対して設定される端末個別の設定を行う「BWP-DownlinkDedicated」及び初期ULBWPに対して設定される端末個別の設定を行う「BWP-UplinkDedicated」が含まれる。「BWP-DownlinkDedicated」は、CORESETやサーチスペース等など、端末個別PDCCHパラメータの設定を行う「PDCCH-Config」と、端末個別PDSCHパラメータの設定を行う「PDSCH-Config」とを含む。また、「BWP-UplinkDedicated」は、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)等のUCI(Uplink Control Information)を送信するために用いられるPUCCHリソースなど、端末個別PUCCHパラメータの設定を行う「PUCCH-Config」と、端末個別PUSCHパラメータの設定を行う「PUSCH-Config」とを含む。スケジューリングリクエストを送信するために用いられるPUCCHリソースなどの設定を、スケジューリングリクエスト設定(SR configuration)とも称する。例えば、スケジューリングリクエスト設定には、スケジューリングリクエストを送信するために用いられるPUCCHリソース、周期、オフセットの値などが含まれてもよい。端末10は、スケジューリングリクエスト設定に基づいて、スケジューリングリクエストを送信してもよい。
【0035】
また、「ServingCellConfig」には、初期BWP以外にBWP(例えばBWP#1やBWP#2など)を追加する際に用いられる「BWP-Downlink」及び「BWP-Uplink」が含まれる。「BWP-Downlink」には、設定するDLBWPごとに、BWP-ID、BWPの周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及びサイクリックプレフィクス等の設定、PDCCH及びPDSCHに関するセル固有パラメータの設定を行う「BWP-DownlinkCommon」、CORESETやサーチスペース等などの端末個別PDCCH/PDSCHパラメータの設定を行う「BWP-DownlinkDedicated」を含む。「BWP-Uplink」には、設定するULBWPごとに、BWP-ID、BWPの周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及びサイクリックプレフィクス等の設定、PUCCH及びPUSCHに関するセル固有パラメータの設定を行う「BWP-UplinkCommon」、CORESETやサーチスペース等などの端末個別PDCCH/PDSCHパラメータの設定を行う「BWP-UplinkDedicated」を含む。
【0036】
また、「ServingCellConfig」には、端末10がRRC再設定を実行する際にアクティブ化されるDLBWPのBWP-IDを示す「firstActiveDownlinkBWP-id」と、端末10がRRC再設定を実行する際にアクティブ化されるULBWPのBWP-IDを示す「firstActiveUplinkBWP-id」とが含まれる。なお、RRCメッセージに「firstActiveDownlinkBWP-id」及び「firstActiveUplinkBWP-id」が含まれていない場合、当該RRCメッセージによるBWPの切り替え(スイッチング)は行われない。
【0037】
図6は、BWP設定方法に関する2つのオプションを説明するための図である。オプション1(Option#1)は、BWP#0に対してSIB1で通知されるセル固有の設定以外の設定を行わず、端末個別PUCCHパラメータ等の端末個別の設定をBWP#1~BWP#4に設定する方法である。図5で説明したように、「ServingCellConfig」には、初期BWPに対し端末個別のリソース設定を行う「BWP-DownlinkDedicated」が用意されているが、端末個別のリソース設定を、当該「BWP-DownlinkDedicated」を利用せずに、「downlinkBWP-ToAddModList」における「BWP-Downlink」及び「BWP-Uplink」を利用して設定した場合、オプション1の状態になる。
【0038】
リリース16の3GPP仕様では、ある1つのサービングセルに対して1つまたは複数のBWPs(DLBWP及びULBWPのそれぞれ)が設定され、1つのサービングセルに設定されるBWP(DLBWP及びULBWPのそれぞれ)の最大数は4つであることが規定されている。また、例えば、オプション1として、端末10は、BWP#0を、RRCメッセージで設定されたBWPとはみなさないことが規定されている。従って、オプション1では、基地局20は、RRCメッセージにより、端末10に対し、BWP#1~BWP#4の4つのBWPを設定することができる。
【0039】
ここで、オプション1の場合、BWP#0に対して、端末個別のパラメータは設定されず、セル固有のパラメータのみが設定されてもよい。つまり、BWP#0では、端末10は限られた処理しか行うことができない。例えば、端末個別の設定が存在しないBWP#0では、DCIフォーマット1_0のみしか使用することができないが、DCIフォーマット1_0は、BWPスイッチングをサポートしていない。従って、端末10のBWPをBWP#0から他のBWPに切り替える場合、RRCメッセージを用いてBWPを切り替える必要がある。
【0040】
一方、オプション2(Option#2)は、BWP#0に対し、SIB1で通知されるセル固有の設定に加えて、端末個別PUCCHパラメータ等の端末個別の設定も行う方法である。図5で説明したように、「ServingCellConfig」には、初期BWPに対し端末個別のリソース設定を行う「BWP-DownlinkDedicated」が用意されているが、端末個別のリソース設定を、「BWP-DownlinkDedicated」を利用して設定した場合、オプション2の状態になる。オプション2では、端末10は、BWP#0を、RRCメッセージで設定されたBWPとみなすことが仕様で規定されている。従って、オプション2では、基地局20は、RRCメッセージにより、端末10に対し、BWP#0~BWP#3のBWPを設定することができる。
【0041】
図7は、BWPスイッチングの動作を説明するためのシーケンス図である。図7を用いて、ランダムアクセスによるBWPスイッチング、RRCメッセージによるBWPスイッチング、PDCCHによるBWPスイッチング及びタイマ満了によるBWPスイッチングの4つの切り替えパターンを具体的に説明する。
【0042】
(ランダムアクセスによるBWPスイッチング)
ステップS100で、端末10は、ランダムアクセス手順がトリガされるイベントが生じたことを検出する。ステップS101で、端末10は、現在のアクティブULBWPにPRACH機会が設定されていない場合、初期ULBWPをアクティブに切り替える。更に、ランダムアクセス手順を行うサービングセルがスペシャルセルである場合、初期DLBWPをアクティブに切り替える。もし、現在のアクティブULBWPにPRACH機会が設定されている場合、端末10は、ULBWPの切り替えは行わない。ステップS102で、端末10は、アクティブULBWP及びアクティブDLBWPにて、基地局20との間でランダムアクセス(Random Access:RA)手順を実行する。
【0043】
(RRCメッセージによるBWPスイッチング)
ステップS110で、端末10は、「firstActiveDownlinkBWP-id」及び/又は「firstActiveUplinkBWP-id」を含むRRC再設定メッセージを基地局20から受信する。ステップS111で、端末10は、「firstActiveDownlinkBWP-id」及び/又は「firstActiveUplinkBWP-id」で指定されたBWP-IDを有するBWPをアクティブに切り替える。
【0044】
(PDCCHによるBWPスイッチング)
ステップS120で、端末10は、下りリンク又は上りリンクのリソース割り当てを行うDCIを、PDCCHで受信する。ステップS121で、端末10は、DCIにBWP指示子(Bandwidth part indicatorとも称される)が存在する場合、BWP指示子で指定されたBWP-IDのBWPをアクティブに切り替える。ステップS122で、端末10は、タイマ(bwp-InactivityTimerとも称される。)のカウントを開始する。当該タイマの長さは、「ServingCellConfig」により端末10に設定される。リリース16の3GPP仕様では、2ms(ミリ秒)から最大2560msまでの間で設定可能である。なお、端末10は、タイマ満了前に下りリンク又は上りリンクのリソース割り当てを行うDCIを受信すると、当該DCIにBWP指示子が含まれているか否かに関わらず、タイマのカウントを再度開始(restart)する。
【0045】
ここで、リリース16の3GPP仕様では、BWPスイッチングに対応しているDCI(つまりBWP指示子を含めることが可能なDCI)は、DCIフォーマット0_1、DCIフォーマット0_2、DCIフォーマット1_1及びDCIフォーマット1_2であり、DCIフォーマット0_0及びDCIフォーマット1_0にはBWP指示子を含めることができない。BWP指示子のビット長(ビット数とも称する)は、端末10に設定されているBWP#0以外のBWP数に基づいて、0、1及び2ビットのいずれかに決定される。例えば、端末10に設定されているDLBWPの数に基づいて、下りリンクアサインメント(DCIフォーマット1_1及び/又はDCIフォーマット1_2)に含まれるBWP指示子のビット長が決定されてもよい。また、端末10に設定されているULBWPの数に基づいて、上りリンクグラント(DCIフォーマット0_1及び/又はDCIフォーマット0_2)に含まれるBWP指示子のビット長が決定されてもよい。
【0046】
(タイマ満了によるBWPスイッチング)
ステップS130で、端末10は、タイマが満了したか否かを判定する。タイマが満了すると(S130-YES)、初期DLBWPをアクティブに切り替える。タイマ満了前にDCIでリソース割当てが行われるとタイマのカウントが再度開始されることから、タイマが満了するのは、タイマで設定された期間の間、通信が行われなかった(通信のためのリソース割り当てが行われなかった)場合に相当する。例えば、タイマで設定された期間の間、データ送受信を行わなかった場合、なお、「ServingCellConfig」にてデフォルトDLBWP-ID(DefaultDownlinkBWP-Id)が設定されている場合、端末10は、初期DLBWPに代えて、デフォルトDLBWP-IDで指定されるDLBWPをアクティブに切り替える(S131)。タイマが満了していない場合(S130-NO)、端末10は、BWPの切り替えを行わない。
【0047】
<RedCap端末>
NRのリリース17では、リリース15又は16で導入された高速大容量(enhanced Mobile Broadband:eMBB)、超高信頼低遅延(Ultra-reliable and Low Latency Communications:URLLC)向けの端末よりも低い性能や価格帯を想定した端末向けの機能をサポートすることが検討されている。当該端末は、低減能力(Reduced capability:RedCap)端末、デバイス等とも呼ばれ、例えば、産業用無線センサ(industrial wireless sensor)、監視カメラ(video serveilance)、ウエアラブルデバイス(wearable device)等に利用されてもよい。
【0048】
RedCap端末は、省電力・広域通信(Low Power Wide Area:LPWA)向けの端末よりも高い性能を想定しており、RedCap端末が利用するキャリアは、例えば、20MHz、50MHz又は100MHz等の帯域幅であってもよい。なお、LPWAには、例えば、カテゴリ1、LTE方式のRATで動作するLong Term Evolution for Machine-type-communication(LTE-M)及びNarrow Band IoT(NB-IoT)等がある。カテゴリ1の最大帯域幅は20MHzであり、LTE-Mの最大帯域幅は1.4MHz(6RB)であり、NB-IoTの最大帯域幅は180kHz(1RB)である。このように、RedCap端末は、eMBB、URLLC向けと、LPWA向けとの間のミドルレンジの端末として使用されてもよい。
【0049】
図8は、本実施形態における課題の一例を説明するための図である。例えば、RedCap端末によってサポートされる最大端末帯域幅(maximum UE bandwidth)は、狭い(例えば、Frequency Range 1(例えば、6GHz以下の周波数帯域)に対して20MHz、Frequency Range 2(例えば、6GHzよりも高い周波数帯域)に対して100MHz)ことが想定されているが、RedCap端末をSSBが含まれるBWPに集中して設定すると、当該BWPが混雑することになる。そのため、RedCap端末を、キャリアの帯域幅全体に分散させて通信させることが検討されている。
【0050】
しかしながら、このような通信を実現しようとする場合、BWPの切り替えを行う度に、基地局20から端末10に対してBWPの切替を指示するシグナリングを送信することになるため、シグナリングオーバーヘッドが大きいという問題がある(第1の課題)。
【0051】
また、図6で説明したように、例えば、オプション1の設定方法を利用した場合(すなわち、初期BWPに、端末個別のパラメータが設定されない場合)などにおいて、RRCメッセージを用いてBWPの切り替えを行わなければならず、BWPスイッチングを行う際のシグナリングオーバーヘッドが大きいという問題がある(第2の課題)。
【0052】
本実施形態では、第1の課題を解決するため、基地局20から端末10に対してBWPの切替指示を行う回数を抑制する仕組みを導入する。具体的には、端末10に対し、初期BWP以外のBWPであって、端末10が上り及び下り通信に用いるBWPとして1つのBWP(通信用BWP)が設定されてもよい。例えば、端末10が、UL-SCHやDL-SCHのデータ送受信を行う場合、基地局20から明示的な指示が無くても、初期BWPと通信用BWPとを切り替え可能とする。これにより、シグナリングオーバーヘッドを削減することが可能になる。また、第2の課題を解決するため、初期BWPに、端末個別の設定がされない場合(オプション1の場合)であっても、基地局20から端末10に対して、PDCCHによるBWPスイッチングを利用可能にする。
【0053】
<初期BWP及び通信用BWPが設定された場合のBWP切替処理>
以下、第1の課題を解決するための処理手順について具体的に説明する。図9は、初期BWP及び通信用BWPが設定された場合のBWP切替処理の一例を説明するためのシーケンス図である。以下の説明において、端末10は、RedCap端末である前提とするが、本実施形態がこれに限定されるものではない。また、端末10は、これまでに説明した処理手順(例えば図7で説明したBWP切替処理など)も実行可能であるものとする。また、通信用BWPには、SSBが設定される帯域が含まれていないことを想定しているが、SSBが含まれる場合にも適用することができる。すなわち、通信用BWPは、SSBリソースが含まれるBWPであってもよい。また、通信用BWPは、SSBリソースが含まれないBWPであってもよい。
【0054】
ステップS200で、端末10は、基地局20に対して端末能力情報(UE Capability)を通知する。例えば、端末10は、自身がRedCap端末であることを示す情報を、端末能力情報に含めて基地局20に送信する。なお、端末10は、初期アクセス時にSIB1を受信することで、初期BWPの設定を取得しているものとする。ステップS201で、基地局20は、端末能力情報を参照することで端末10がRedCap端末であることを認識し、端末10に通信用BWPを設定するための情報を含むRRCメッセージを送信する。当該RRCメッセージは、例えば、RRC再設定メッセージであってもよい。
【0055】
ステップS210で、端末10において、UL-SCHで送信されるデータが生じたとする。また、アクティブBWPは、初期ULBWP及び初期DLBWPであるとする。
【0056】
ここで、端末10は、スケジューリングリクエストを送信する場合(例えば、RRCコネクテッド状態である場合)において、初期BWPに対して端末個別のPUCCHパラメータが設定されていない場合はステップS211に進む。また、端末10は、スケジューリングリクエストを送信する場合において、初期BWPに対して端末個別のPUCCHパラメータが設定されてる場合はステップS220の処理手順に進む。
【0057】
ここで、例えば、端末10は、「0:negative(例えば、UL-SCHのリソースを要求しないことを示す)」又は「1:positive((例えば、UL-SCHのリソースを要求することを示す))の値にセットされたスケジュールリクエストを送信してもよい。本実施形態において、上りリソースの割り当てを要求するとは、初期送信に対するUL-SCHのリソースを要求することを含んでもよい。すなわち、スケジューリングリクエストは、初期送信に対するUL-SCHのリソースを要求するために用いられてもよい。また、端末10は、ランダムアクセス手順を実行する場合(例えば、RRCアイドル又はRRCインアクティブ状態である場合)において、通信用BWPにPRACH機会が設定されている場合、ステップS230の処理手順に進む。また、この場合において、端末10は、通信用BWPにPRACH機会が設定されていない場合、ステップS240の処理手順に進む。
【0058】
ステップS211で、端末10は、アクティブULBWPを、初期ULBWPから通信用ULBWPに切り替える。ステップS212で、端末10は、通信用ULBWPに設定されている、スケジューリングリクエストを送信するための端末個別のPUCCHリソースを用いてスケジューリングリクエストを基地局20に送信する。ステップS213で、端末10は、アクティブDLBWPを、初期DLBWPから通信用DLBWPに切り替えて、通信用DLBWPでPDCCHをモニタする。端末10は、ステップS250の処理手順に進む。ここで、端末10は、ステップS212で、初期ULBWP及び初期DLBWPのそれぞれを、通信用ULBWP及び通信用DLBWPに切り替えてもよい。すなわち、端末10は、ステップS212で、初期ULBWP及び初期DLBWPのそれぞれを、通信用ULBWP及び通信用DLBWPに同時に切り替えてもよい。
【0059】
ステップS220で、端末10は、初期BWPに設定されている、スケジューリングリクエストを送信するための端末個別のPUCCHリソースを用いて、スケジューリングリクエストを基地局20に送信する。ステップS221で、端末10は、アクティブDLBWPを、初期DLBWPから通信用DLBWPに切り替えて、通信用DLBWPでPDCCHをモニタする。端末10は、ステップS250の処理手順に進む。ここで、ステップS221で、端末10は、初期DLBWPでPDCCHをモニタし、BWP指示子を含むPDCCHで、通信用DLBWPをアクティブにすることを指示されることで、アクティブDLBWPを、初期DLBWPから通信用DLBWPに切り替えてもよい。
【0060】
ステップS230で、端末10は、通信用ULBWPにPRACH機会が設定されている場合、アクティブULBWP及びアクティブDLBWPを、それぞれ、初期ULBWP及び初期DLBWPから通信用ULBWP及び通信用DLBWPに切り替える。すなわち、端末10は、アクティブULBWP及びアクティブDLBWPとして、通信用ULBWP及び通信用DLBWPをセットしてもよい。ステップS231で、端末10は、アクティブ化された通信用ULBWPのPRACH機会にて、ランダムアクセスプリアンブルを基地局20に送信する。ランダムアクセス手順完了後、端末10は、上りリソースの割り当てを基地局20に要求する。例えば、端末10は、通信用ULBWPにおいてスケジューリングリクエストを送信する。基地局20に端末10は、ステップS250の処理手順に進む。
【0061】
ステップS240で、端末10は、アクティブ化された初期ULBWPのPRACH機会にて、ランダムアクセスプリアンブルを基地局20に送信し、基地局20との間でランダムアクセス手順を実行する。ランダムアクセス手順完了後、端末10は、上りリソースの割り当てを基地局20に要求する。ステップS241で、端末10は、アクティブULBWP及びアクティブDLBWPを、それぞれ、初期ULBWP及び初期DLBWPから通信用ULBWP及び通信用DLBWPに切り替える。すなわち、端末10は、アクティブULBWP及びアクティブDLBWPとして、通信用ULBWP及び通信用DLBWPをセットしてもよい。例えば、端末10は、ステップS240で、初期ULBWPにおいてスケジューリングリクエストを送信してもよい。また、端末10は、ステップS241で、通信用ULBWPにおいてスケジューリングリクエストを送信してもよい。
【0062】
ステップS250で、基地局20は、PUSCHのスケジューリングに用いられるDCI(上りリンクグラント)を、通信用DLBWPのPDCCHで送信する。ステップS251で、端末10は、ステップS250で受信したDCIのBWP指示子で、通信用ULBWPをアクティブにすることを指示された場合、通信用ULBWPをアクティブに切り替える。なお、ステップS251の処理手順は、初期BWPに個別PUCCH設定がされている場合(つまりステップS220及びS221の場合)に実行されてもよい。なお、ステップS251の処理手順におけるULBWPの切り替えは、端末10は、初期DLBWPでPDCCHをモニタした場合に実行されてもよい。例えば、端末10は、ステップS220の後、ステップS221より前に、初期DLBWPでPDCCHをモニタし、BWP指示子を含むPDCCHで、通信用ULBWPをアクティブにすることを指示されることで、アクティブULBWPを、初期ULBWPから通信用ULBWPに切り替えてもよい。また、端末10は、ステップS221の処理手順の後、基地局20からの指示でULBWPを切り替えるのではなく、自ら通信用ULBWPをアクティブに切り替えるようにしてもよい。基地局20は、DCIにBWP指示子を含める必要がなくなることから、シグナリングオーバーヘッドを削減することが可能になる。
【0063】
ステップS252で、端末10は、PUSCHのスケジューリングに用いられるDCIをPDCCHで受信した際に、タイマのカウントを開始する(図7のステップS122の処理手順に対応)。ステップS253で、端末10は、スケジュールされたPUSCHでUL-SCHのデータを送信する。端末10は、タイマ満了前にPUSCH又はPDSCHのスケジューリングに用いられるDCIをPDCCHで受信した場合、タイマのカウントを再度開始する。
【0064】
ステップS260で、端末10は、アクティブBWPに関連するタイマが満了した場合、アクティブBWPを、通信用BWPから初期BWPに切り替える(図7のステップS130及びステップS131に対応)。すなわち、端末10は、アクティブBWPとして、初期BWPをセットしてもよい。ステップS261で、端末10は、例えばステップS201によるRRCメッセージ等を用いて基地局20から設定された、測定設定(Measurement Config)に基づいて、初期BWPに存在するSSBを利用してセルの受信品質(SS-RSRPやSS-RSRQ等)を測定する。
【0065】
以上説明した処理手順において、ステップS211~ステップS213の処理手順は、図6に示すOption2の場合にも適用可能である。すなわち、端末10は、初期UPBWPに端末個別PUCCHパラメータが設定されている場合であっても、ステップS211~ステップS213の処理手順を実行することとしてもよい。また、ステップS230~ステップS241の処理手順は、UL-SCHのデータを送信する場合に限定されず、ランダムアクセス手順を起動する場合全般に適用可能である。
【0066】
図10は、スケジューリングリクエストを送信する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。端末10は、通信用DLBWP及び通信用ULBWPの両方が設定されておりスケジューリングリクエストを送信する際、以下に示す処理手順を実行する。
【0067】
ステップS300で、端末10は、通信用ULBWPがアクティブであるか否かを判定する。通信用ULBWPがアクティブである場合はステップS301の処理手順に進み、初期ULBWPがアクティブである場合はステップS302の処理手順に進む。ステップS301で、端末10は、アクティブULBWP(つまり通信用ULBWP)で、スケジューリングリクエストをトリガ及び送信する。
【0068】
ステップS302で、端末10は、初期ULBWPに、スケジューリングリクエストを送信するための端末個別PUCCHパラメータが設定されているか否かを判定する。スケジューリングリクエストを送信するための端末個別PUCCHパラメータが設定されている場合はステップS303の処理手順に進み、スケジューリングリクエストを送信するための端末個別PUCCHパラメータが設定されていない場合はステップS304の処理手順に進む。ステップS303で、端末10は、アクティブULBWP(つまり初期ULBWP)でスケジューリングリクエストをトリガ及び送信する。ステップS304で、端末10は、通信用ULBWP及び通信用DLBWPをアクティブに切り替える。ステップS305で、端末10は、アクティブULBWP(つまり通信用ULBWP)で、スケジューリングリクエストをトリガ及び送信する。
【0069】
ステップS306で、端末10は、通信用DLBWPがアクティブであるか否かを判定する。通信用DLBWPがアクティブである場合は処理を終了し、初期DLBWPがアクティブである場合(すなわち、通信用DLBWPがアクティブでない場合を含む)はステップS307の処理手順に進む。ステップS307で、端末10は、通信用DLBWPをアクティブに切り替える。端末10は、アクティブ化された通信用DLBWP及び/又はアクティブ化された通信用ULBWPにおいて通信を実行してもよい。
【0070】
すなわち、例えば、端末10は、スケジューリングリクエストがトリガされた場合において、スケジューリングリクエストを送信するためのPUCCHリソース(スケジューリングリクエスト設定でもよい)が初期ULBWPに設定されているならば、初期ULBWPにおいてスケジューリングリクエストを送信してもよい。また、端末10は、スケジューリングリクエストがトリガされた場合において、スケジューリングリクエストを送信するためのPUCCHリソース(スケジューリングリクエスト設定でもよい)が初期ULBWPに設定されていないならば、ULBWPを通信用ULBWPにアクティブULBWPとして切り替え、アクティブULBWP(すなわち、通信用ULBWP)においてスケジューリングリクエストを送信してもよい。また、端末10は、スケジューリングリクエストがトリガされた場合において、スケジューリングリクエストを送信するためのPUCCHリソース(スケジューリングリクエスト設定でもよい)が通信用ULBWPに設定されているならば、ULBWPを通信用ULBWPにアクティブULBWPとして切り替え、アクティブULBWP(すなわち、通信用ULBWP)においてスケジューリングリクエストを送信してもよい。すなわち、端末10は、スケジューリングリクエストがトリガされた場合に、ULBWPを通信用ULBWPにアクティブULBWPとして切り替えてもよい。ここで、端末10は、通信用ULBWPをアクティブULBWPとして切り替える場合に、通信用DLBWPをアクティブDLBWPとして切り替えてもよい。すなわち、端末10は、通信用ULBWP及び通信DLBWPのそれぞれを、アクティブULBWP及びアクティブDLBWPとして同時に切り替えてもよい。
【0071】
以上説明した図10において、端末10は、ステップS303の処理手順の後で、アクティブULBWPを、初期BWPから通信用ULBWPに自ら切り替えるようにしてもよい。これにより、例えば図9のステップS251の処理手順を省略することができ、シグナリングのオーバーヘッドを削減することが可能になる。
【0072】
図11は、ランダムアクセス手順を実行する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS400で、端末10は、通信用ULBWPにPRACH機会が設定されているか否かを判定する。通信用ULBWPにPRACH機会が設定されている場合はステップS401の処理手順に進み、通信用ULBWPにPRACH機会が設定されていない場合はステップS405の処理手順に進む。
【0073】
ステップS401で、端末10は、通信用ULBWP及び通信用DLBWPがアクティブであるか否かを判定する。通信用ULBWP及び通信用DLBWPのいずれもアクティブである場合はステップS402に進み、通信用ULBWP及び通信用DLBWPの少なくとも一方がアクティブではない場合はステップS403に進む。ステップS402で、端末10は、通信用ULBWP及び通信用DLBWPでランダムアクセス手順を実行する。ステップS403で、端末10は、通信用ULBWP及び通信用DLBWPのうちアクティブではないBWPをアクティブに切り替える。
【0074】
ステップS404で、端末10は、通信用ULBWP及び通信用DLBWPの両方がアクティブに切り替わった後、通信用ULBWP及び通信用DLBWPでランダムアクセス手順を実行する。ステップS405で、端末10は、初期ULBWP及び初期DLBWPでランダムアクセス手順を実行する。ステップS406で、端末10は、初期ULBWP及び初期DLBWPでランダムアクセス手順を実行した後、通信用ULBWP及び通信用DLBWPをアクティブに切り替える。
【0075】
<通信用BWPの設定方法>
通信用BWPの設定方法の一例について説明する。通信用BWPは、例えば、communitateBWPと称されてもよい。基地局20は、図9のステップS201の処理手順で送信するRRCメッセージに、通信用BWPのBWP-IDを示す情報を含めて送信することによって、端末10に通信用BWPを設定してもよい。当該情報は、例えば、communicateUplinkBWP-id及びcommunicateDownlinkBWP-idと称されてもよい。すなわち、基地局20は、BWP-IDを設定するための情報が含まれるRRCメッセージを送信し、端末10は、当該情報を用いて設定されたBWP-IDに対応するBWPを通信用BWPとみなしてもよい。例えば、基地局20は、DLBWPに対応するBWP-IDを設定するための情報(例えば、communicateDownlinkBWP-idとも称する)が含まれるRRCメッセージを送信し、端末10は、当該DLBWPに対応するBWP-IDを設定するための情報を用いて設定されたBWP-IDに対応するDLBWPを通信用DLBWPとみなしてもよい。例えば、端末10は、RRC(再)設定を実行(例えば、当該DLBWPに対応するBWP-IDを設定するための情報が含まれるRRCメッセージの受信に基づくRRC(再)設定を実行)する際に、当該BWP-IDのDLBWPをアクティブ化してもよい。また、基地局20は、ULBWPに対応するBWP-IDを設定するための情報(例えば、communicateUplinkBWP-idとも称する)が含まれるRRCメッセージを送信し、端末10は、当該ULBWPに対応するBWP-IDを設定するための情報を用いて設定されたBWP-IDに対応するULBWPを通信用ULBWPとみなしてもよい。例えば、端末10は、RRC(再)設定を実行(例えば、当該ULBWPに対応するBWP-IDを設定するための情報が含まれるRRCメッセージの受信に基づくRRC(再)設定を実行)する際に、当該BWP-IDのULBWPをアクティブ化してもよい。ここで、通信用DLBWP及び/又は通信用ULBWPのそれぞれに対応するBWP-IDとして、「0」以外の値(すなわち、初期DLBWP及び/又は初期ULBWPに対応するBWP-ID以外の値)が設定されてもよい。
【0076】
図12は、通信用BWPを設定するために用いられるRRCメッセージに含まれる情報要素の一例を示す図である。図12に示すように、RRC再設定メッセージの「ServingCellConfig」内に、通信用BWPのBWP-IDを示す「communicateUplinkBWP-id」及び「communicateDownlinkBWP-id」が規定されてもよい。例えば、基地局20は、端末10のUE Capabilityに基づいて、端末10がRedCap端末であると判定した場合、RRCメッセージの「BWP-Downlink」に、1又は複数のDLBWPに関する情報(例えば、BWP-ID、周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプレフィクス)を設定すると共に、「communicateDownlinkBWP-id」を用いて通信用DLBWPとして設定するDLBWPのBWP-IDを指定することによって、1つの通信用DLBWPを端末10に設定する。同様に、基地局20は、RRCメッセージの「BWP-Uplink」に、1又は複数のULBWPに関する情報(例えば、BWP-ID、周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプレフィクス)を設定すると共に、「communicateUplinkBWP-id」を用いて通信用ULBWPとして設定するULBWPのBWP-IDを指定することによって、1つの通信用ULBWPを端末10に設定する。
【0077】
以上の説明において、基地局20は、複数のBWP(例えばBWP#1~#3など)を端末10に設定し、かつ、通信用BWPに対応するBWP-IDを設定するすることで、通信用BWPを任意に変更することが可能である。例えば、通信用BWPをBWP#1からBWP#3に変更するといったことも可能になる。ここで、通信用DLBWP及び/又は通信用ULBWPのそれぞれに対応するBWP-IDの値は、事前に規定された値であってもよい。例えば、通信用DLBWPに対応するBWP-IDの値は「1」であってもよい。また、通信用ULBWPに対応するBWP-IDの値は「1」であってもよい。すなわち、通信用DLBWP及び/又は通信用ULBWPのそれぞれに対応するBWP-IDの値は、仕様書などによって事前に規定され、基地局20と端末10との間で既知の値であってもよい。例えば、基地局20は、1つ又は複数のDLBWPに関する情報(例えば、BWP-ID、周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプレフィクス)を設定し、端末10は、「1(すなわち、事前に規定された値)」がセットされたBWP-IDを伴うDLBWPを通信用DLBWPとみなしてもよい。また、基地局20は、1つ又は複数のULBWPに関する情報(例えば、BWP-ID、周波数位置、帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプレフィクス)を設定し、端末10は、「1(すなわち、事前に規定された値)」がセットされたBWP-IDを伴うULBWPを通信用DLBWPとみなしてもよい。このように、通信用BWPの指定を可能とすることで、RedCap端末におけるBWPの設定を柔軟に行うことが可能になる。
【0078】
なお、本実施形態では、「firstActiveDownlinkBWP-id」を用いて通信用DLBWPのBWP-IDが示され、「firstActiveUplinkBWP-id」を用いて通信用ULBWPのBWP-IDが示されてもよい。例えば、この場合、基地局20は、端末10のUE Capabilityに基づいて、端末10がRedCap端末であると判定した場合、RRCメッセージの「BWP-Downlink」を用いて1又は複数のDLBWPに関する情報を設定すると共に、「firstActiveDownlinkBWP-id」を用いて通信用DLBWPとして設定するDLBWPのBWP-IDを指定することによって、1つの通信用DLBWPを端末10に設定する。同様に、基地局20は、RRCメッセージの「BWP-Uplink」を用いて1又は複数のULBWPに関する情報を設定すると共に、「firstActiveUplinkBWP-id」を用いて通信用ULBWPとして設定するULBWPのBWP-IDを指定することによって、1つの通信用ULBWPを端末10に設定する。
【0079】
なお、この場合において、端末10は、図9のステップS201の処理手順において、自身がRedCap端末であるか否かを判定し、自身がRedCap端末である場合、「firstActiveDownlinkBWP-id」及び「firstActiveUplinkBWP-id」で指定されたBWP-IDに対応するBWPを、通信用BWPとしてみなしてもよい。これにより、RRCメッセージに含まれる「firstActiveDownlinkBWP-id」及び/又は「firstActiveUplinkBWP-id」を用いて、RedCap端末に通信用BWPを設定することが可能になる。
【0080】
また、RedCap端末に対してある1つのサービングセルに対して1つまたは複数のBWPsが設定され、1つのサービングセルに設定されるBWP(DLBWP及びULBWPのそれぞれ)の最大数は1であることが規定されてもよい。ここで、RedCap端末に対して設定されるBWP(DLBWP及びULBWPのそれぞれ)の最大数は、初期DLBWP及び初期ULBWP以外のBWP(DLBWP及びULBWPのそれぞれ)の数であってもよい。基地局20は、端末10のUE Capabilityに基づいて、端末10がRedCap端末であると判定した場合、RRCメッセージの「BWP-Downlink」にDLBWP#1に関する情報のみを設定すると共に、「communicateDownlinkBWP-id」又は「firstActiveDownlinkBWP-id」を1に設定することで、通信用DLBWPを端末10に設定してもよい。同様に、基地局20は、RRCメッセージの「BWP-Uplink」にULBWP#1に関する情報のみを設定すると共に、「communicateUplinkBWP-id」又は「firstActiveUplinkBWP-id」を1に設定することで、通信用ULBWPを端末10に設定してもよい。これにより、RedCap端末については、RRCメッセージにより設定されるBWP数が1つに制限されるため、RRCメッセージのデータ量を削減することが可能になる。
【0081】
ここで、基地局20は、通信用BWPのBWP-IDを設定するための情報と共に、通信用BWPを特定するための情報(「generic parameter」とも称する)をRRCメッセージに含めて送信し、端末10は、当該BWP-IDを設定するための情報及び当該通信用BWPを特定するための情報に基づいて、通信用BWPを決定してもよい。ここで、通信用BWPを特定するための情報は、通信用BWPの周波数位置及び/または帯域幅を設定するための情報を含んでもよい。また、通信用BWPを特定するための情報は、通信用BWPのサブキャリア間隔を設定するための情報を含んでもよい。また、通信用BWPを特定するための情報は、通信用BWPで用いられるサイクリックプレフィクスを設定するための情報を含んでもよい。例えば、端末10は、RRC(再)設定の実行(例えば、当該BWP-IDを設定するための情報及び当該通信用BWPを特定するための情報が含まれるRRCメッセージの受信に基づくRRC(再)設定の実行)の際に、通信用BWPをアクティブ化してもよい。ここで、例えば、基地局20は、通信用BWPの複数の周波数位置(すなわち、周波数領域における複数の位置)を設定するための情報をRRCメッセージに含めて送信し、さらに、当該複数の周波数位置のうちの1つの周波数位置を指示するための情報(例えば、BWP指示子)をDCIフォーマット(下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラント)に含めて送信してもよい。すなわち、端末10は、当該複数の周波数位置を設定するための情報、及び、当該複数の周波数位置のうちの1つの周波数位置を指示するための情報に基づいて、通信用BWPを決定してもよい。当該複数の周波数位置のうちの1つの周波数位置を指示するための情報については、下記のBWP指示子の定義で詳細を説明する。
【0082】
ここで、基地局20は、端末10に対して設定する通信用BWPの帯域幅を、端末10における最大端末帯域幅を超えないように設定してもよい。また、基地局20は、端末10に対して設定する通信用BWPの帯域幅を、SIB1に含まれる情報を用いて設定した初期BWPの帯域幅を超えないように設定してもよい。また、端末10は、通信用BWPの帯域幅として、端末10における最大端末帯域幅を用いてもよい。例えば、基地局20によって通信用BWPの帯域幅を設定するための情報は送信されず、通信用BWPの帯域幅は端末10における最大端末帯域幅と同一であることが規定されてもよい。また、基地局20は、端末10に対して設定する通信用BWPの帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスを、SIB1に含まれる情報を用いて設定した初期BWPの帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスと同一に設定してもよい。また、端末10は、通信用BWPの帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスとして、SIB1に含まれる情報を用いて設定された初期BWPの帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスを用いてもよい。例えば、基地局20によって通信用BWPの帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスを設定するための情報は送信されず、通信用BWPの帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスのそれぞれは、初期BWPの帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスのそれぞれと同一であることが規定されてもよい。
【0083】
すなわち、端末10に対して設定される複数のBWPのそれぞれに対して設定(又は規定)される帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスは、同一であってもよい。ここで、DLBWPとULBWPに対して設定される帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスは異なっていてもよい。すなわち、端末10は、帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスが同一に設定された複数の複数のDLBWPに対して、BWPの切り替え処理を実行してもよい。また、端末10は、帯域幅、サブキャリア間隔及び/又はサイクリックプリフィックスが同一に設定された複数の複数のULBWPに対して、BWPの切り替え処理を実行してもよい。
【0084】
なお、通信用BWPを設定するRRCメッセージにおいて、初期BWPの設定は、図6に示すOption1に従ってもよいし、Option2に従ってもよい。
【0085】
図13は、TS38.321の仕様変更例を示す。図13の例は、図10において、スケジューリングリクエストを送信するためのPUCCHリソースが設定されているアクティブBWPを用いて、スケジューリングリクエストを送信する処理に対応する。
【0086】
以上説明した処理手順によれば、端末10は、例えばスケジューリングリクエストを送信する際に、アクティブにするBWPを自ら切り替えるようにした。これにより、初期BWPと通信用BWPを切り替る際に、基地局20からの指示が必要になる契機が減少すれることから、シグナリングオーバーヘッドを削減することが可能になる。また、通信用BWPにPRACH機会が設定されている場合、端末10は、自らBWPを切り替えて、通信用BWPでランダムアクセス手順を実行するようにした。これにより、シグナリングオーバーヘッドの削減に加えて、ランダムアクセス処理が初期BWP内のSSBに集中することを抑制することが可能になる。
【0087】
<初期BWPに端末個別の設定がされない場合のBWP切替処理>
以下、第2の課題を解決するための処理手順について具体的に説明する。図14は、初期BWPに端末個別の設定がされない場合のBWP切替処理の一例を示すシーケンスである。以下の説明において、端末10は、RedCap端末である前提とするが、本実施形態がこれに限定されるものではない。また、端末10は、これまでに説明した処理手順(例えば図7で説明したBWP切替処理など)も実行可能であるものとする。
【0088】
ステップS500で、端末10は、基地局20に対して端末能力情報(UE Capability)を通知する。このとき、端末10は、自身がRedCap端末であることを示す情報を、端末能力情報に含めて基地局20に送信する。なお、端末10は、初期アクセス時にSIB1を参照することで、初期BWPの設定を行っているものとする。
【0089】
ステップS501で、基地局20は、端末能力情報を参照することで端末10がRedCap端末であることを認識し、端末10に通信用BWPを設定するためのRRCメッセージを送信する。当該RRCメッセージは、例えば、RRC再設定メッセージであってもよい。このとき基地局20は、RRCメッセージの「ServingCellConfig」において、「BWP-DownlinkDedicated」を利用せずに、「downlinkBWP-ToAddModList」における「BWP-Downlink」及び「BWP-Uplink」を用いてDLBWP及びULBWPを設定することで、端末10用の個別リソースを設定(つまり、図6のOption1に従ってBWP設定)する。
【0090】
ステップS510で、基地局20は、端末10のBWPを切り替える際、切り替えるBWPを指定するBWP指示子を含むDCIを、PDCCHで端末10に送信する。ここで、端末10のアクティブBWPが初期BWPである場合、基地局20は、BWP指示子を含むDCIフォーマット1_0のDCIを端末10に送信するようにしてもよい。このような処理を実現するため、DCIフォーマット1_0にBWP指示子を追加するように3GPP仕様が変更されてもよい。同様に、基地局20は、BWP指示子を含むDCIフォーマット0_0のDCIを端末10に送信するようにしてもよい。このような処理を実現するため、DCIフォーマット0_0にBWP指示子を追加するように3GPP仕様が変更されてもよい。
【0091】
また、基地局20は、端末10のアクティブBWPが初期BWPである場合、BWP指示子を含むDCIフォーマット1_1又はDCIフォーマット1_2のDCIを端末10に送信するようにしてもよい。このような処理を実現するため、初期BWPにセル固有リソースの設定しか存在しない場合であっても、DCIフォーマット1_1又はDCIフォーマット1_2のDCI送信を可能とするように3GPP仕様が変更されてもよい。
【0092】
若しくは、3GPP仕様に、BWP指示子を含むRedCap端末向けの新たなDCIフォーマット(例えばDCIフォーマット0_3、DCIフォーマット1_3)が規定されてもよい。基地局20は、端末10のアクティブBWPが初期BWPである場合、BWP指示子を含む新たなDCIフォーマットのDCIを端末10に送信するようにしてもよい。
【0093】
ステップS511で、端末10は、BWP指示子で指定されたBWPをアクティブに切り替える。ステップS512で、端末10は、PDCCHを受信した際に、タイマのカウントを開始する。また、端末10は、タイマ満了前にPDCCHを受信した場合、タイマのカウントを再度開始する。ステップS521で、端末10は、タイマが満了した場合、初期BWP又はデフォルトBWPをアクティブに切り替える。なお、ステップS240の処理手順は、図7のステップS130及びS131の処理手順に対応する。
【0094】
<BWP指示子の定義>
図15は、BWP指示子の定義例を示す図である。ここで、本実施形態においてBWP指示子という名称は単なる一例であり、下記のような動作を規定するような情報であれば、その名称は問わない。上述したように、例えば、端末10は、BWP指示子がDCIフォーマット(下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラント)に含まれ、アクティブBWPとは異なるBWPが指示された場合、BWP指示子によって指示されたBWPに、アクティブBWPをセットしてもよい。図15のAは、BWP指示子の値が0にセットされた場合、初期DLBWP及び/又は初期ULBWPが指示されることを示している。また、BWP指示子の値が1にセットされた場合、RRCメッセージを用いて設定されたDLBWP(すなわち、上述した通信用DLBWPを含む)及び/又はULBWP(すなわち、上述した通信用ULBWPを含む)が指示されることを示している。例えば、図15のAに示す定義は、基地局20が、「ServingCellConfig」内の「BWP-Downlink」及び「BWP-Uplink」で1つのDLBWP(つまりDLBWP#1)及び1つのULBWP(つまりULBWP#1)を端末10に設定した場合に適用することができる。なお、図15のAは、基地局20が、「ServingCellConfig」内に、通信用BWPのBWP-IDを示す「communicateUplinkBWP-id」及び「communicateDownlinkBWP-id」を設定することで、端末10に1つの通信用BWPを設定した場合に適用することも可能である。すなわち、この場合において、DCIフォーマットに含まれるBWP指示子の値が1にセットされた場合、通信用BWPが指示されることを示している。
【0095】
図15のBは、BWP指示子の値が0にセットされた場合、初期DLBWP及び/又は初期ULBWPが指示されることを示している。また、BWP指示子の値が1にセットされた場合、DLBWP#1及び/又はULBWP#1が指示されることを示している。図15のBに示す定義は、基地局20が、「ServingCellConfig」内の「BWP-Downlink」及び「BWP-Uplink」で、1以上のDLBWP及びULBWPを端末10に設定した場合に適用することができる。
【0096】
図15のCは、BWP指示子の値が0にセットされた場合、初期DLBWP及び/又は初期ULBWPが指示されることを示している。また、BWP指示子の値が1にセットされた場合、「firstActiveDownlinkBWP-id」及び「firstActiveUplinkBWP-id」を用いて設定されたBWPが指示されることを示している。
【0097】
ここで、BWP指示子は、BWP-ID及び/又はBWPの周波数位置(周波数領域における位置)を指示するために用いられてもよい。例えば、BWP指示子は、設定されたBWPの複数の周波数位置のうちの1つの周波数位置を指示するために用いられてもよい。上述したように、例えば、基地局20は、通信用BWPの複数の周波数位置を設定するための情報をRRCメッセージに含めて送信してもよい。また、基地局20は、当該複数の周波数位置のうちの1つの周波数位置を指示するための情報(例えば、BWP指示子)をDCIフォーマット(下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラント)に含めて送信してもよい。
【0098】
例えば、基地局20は、ある1つのDLBWP(通信用DLBWP)に対する複数の周波数位置として、第1の周波数位置DLBWP-P1、第2の周波数位置DLBWP-P2、第3の周波数位置DLBWP-P3を設定してもよい。また、基地局20は、当該複数の周波数位置(DLBWP-P1、DLBWP-P2、及びDLBWP-P3)のうちの1つの周波数位置を指示するための情報(例えば、BWP指示子)をDCI(下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラント)に含めて送信してもよい。例えば、DCIに2ビットの情報が設定される場合において、「01」によってDLBWP-P1が指示され、「10」によってDLBWP-P2が指示され、「11」によってDLBWP-P3が指示されてもよい。ここで、DCIに2ビットの情報が設定される場合において、「00」によって初期DLBWPが指示されてもよい。すなわち、ある1つのDLBWP(通信用DLBWP)の周波数位置を決定するために、下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラントに含まれる情報が用いられてもよい。
【0099】
また、基地局20は、ある1つのULBWP(通信用ULBWP)に対する複数の周波数位置として、第1の周波数位置ULBWP-P1、第2の周波数位置ULBWP-P2、第3の周波数位置ULBWP-P3を設定してもよい。また、基地局20は、当該複数の周波数位置(ULBWP-P1、ULBWP-P2、及びULBWP-P3)のうちの1つの周波数位置を指示するための情報(例えば、BWP指示子)をDCI(下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラント)に含めて送信してもよい。例えば、DCIに2ビットの情報が設定される場合において、「01」によってULBWP-P1が指示され、「10」によってULBWP-P2が指示され、「11」によってULBWP-P3が指示されてもよい。ここで、DCIに2ビットの情報が設定される場合において、「00」によって初期ULBWPが指示されてもよい。すなわち、ある1つのULBWP(通信用ULBWP)の周波数位置を決定するために、下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラントに含まれる情報が用いられてもよい。
【0100】
ここで、基地局20は、ある1つのDLBWP(通信用DLBWP)に対する複数の周波数位置及びある1つのULBWP(通信用ULBWP)に対する複数の周波数位置を設定し、DCI(下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラント)に含まれる情報(例えば、BWP指示子)を用いて、DLBWPの1つの周波数位置及びULBWPの1つの周波数位置を指示してもよい。すなわち、ある1つのDLBWP(通信用DLBWP)の周波数位置及びある1つのULBWP(通信用DLBWP)の周波数位置が同時に切り替わってもよい。ここで、DLBWP-P1はULBWP-P1に対応してもよい(例えば、ペアとして規定又は設定されてもよい)。同様に、DLBWP-P2はULBWP-P2に対応し、DLBWP-P3はULBWP-P3に対応してもよい。例えば、ある1つのDLBWPの周波数位置のインデックスとある1つのULBWPの周波数位置のインデックスが、同一の値の場合には、当該ある1つのDLBWPの周波数位置と当該ある1つのULBWPの周波数位置は対応してもよい。例えば、DCIに2ビットの情報が設定される場合において、「01」によってDLBWP-P1及びULBWP-P1が指示され、「10」によってDLBWP-P2及びULBWP-P2が指示され、「11」によってDLBWP-P3及びULBWP-P3が指示されてもよい。すなわち、端末10は、当該情報にセットされる値に基づいて、同一のインデックスを伴うDLBWPの周波数位置とULBWPの周波数位置を同時に切り替えてもよい。ここで、DCIに2ビットの情報が設定される場合において、「00」によって初期DLBWP及び初期ULBWPが指示されてもよい。すなわち、ある1つのDLBWP(通信用DLBWP)の周波数位置及びある1つのULBWP(通信用ULBWP)の周波数位置を決定するために、下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラントに含まれる情報が用いられてもよい。
【0101】
ここで、BWP-ID及び/又はBWPの周波数位置を指示するために用いられる情報(例えば、BWP指示子)のビット長(ビット数とも称する)は、ある1つのDLBWP(通信用DLBWP)に対して設定された周波数位置の数及び/又はある1つのULBWP(通信用DLBWP)に対して設定された周波数位置の数に基づいて決定されてもよい。例えば、下りリンクアサインメントに含まれる当該情報のビット長は、ある1つのDLBWP(通信用DLBWP)に対して設定された周波数位置の数に基づいて決定されてもよい。また、上りリンクグラントに含まれる当該情報のビット長は、ある1つのULBWP(通信用DLBWP)に対して設定された周波数位置の数に基づいて決定されてもよい。また、下りリンクアサインメント及び/又は上りリンクグラントに含まれる当該情報のビット長は、ある1つのDLBWP(通信用DLBWP)に対して設定された周波数位置の数とある1つのULBWP(通信用DLBWP)に対して設定された周波数位置の数のうちの、大きい方の数に基づいて決定されてもよい。
【0102】
以上の説明において、下りリンクリソースの割り当てを行うDCI又は上りリンクリソースの割り当てを行うDCIに図15に示すBWP指示子が含まれる場合、端末10は、DLBWP及びULBWPの両方を、指定されたBWPに切り替えるようにしてもよい。例えば、下りリンクのリソース割り当てを行うDCIにBWP指示子が含まれる場合、端末10は、DLBWPとULBWPの両方を切り替えるようにしてもよい。同様に、上りリンクのリソース割り当てを行うDCIにBWP指示子が含まれる場合、端末10は、DLBWPとULBWPの両方を切り替えるようにしてもよい。
【0103】
また、下りリンクリソースの割り当てを行うDCIに図15に示すBWP指示子が含まれる場合、端末10は、DLBWPを切り替えるようにしてもよい。また、上りリンクリソースの割り当てを行うDCIに図15に示すBWP指示子が含まれる場合、端末10は、ULBWPを切り替えるようにしてもよい。また、1つのDCIに、DLBWPを指定するBWP指示子と、ULBWPを指定するBWP指示子との両方が含まれることとしてもよい。また、基地局20は、DCIにBWP指示子が含まれるか否かを示す情報を、RRCメッセージ又はSIBで端末10に設定するようにしてもよい。
【0104】
DCIフォーマット0_0、DCIフォーマット0_1、DCIフォーマット0_2、DCIフォーマット1_0、DCIフォーマット1_1、DCIフォーマット1_2及びRedCap端末向けの新たなDCIフォーマット(例えばDCIフォーマット0_3、DCIフォーマット1_3)において1ビットのBWP指示子が設定される場合、図15に示す定義が適用されることとしてもよい。これらのDCIフォーマットにおいて、端末10は、端末10に初期BWP以外のBWPが設定された場合に、BWP指示子が1ビット存在すると認識するようにしてもよい。RedCap端末向けの新たなDCIフォーマット(例えばDCIフォーマット0_3、DCIフォーマット1_3)では、BWP指示子は1ビットに固定されていてもよい。
【0105】
以上説明した処理手順によれば、初期BWPに、端末個別の設定がなされてない場合であっても、PDCCHによるBWPスイッチングを利用可能にした。これにより、RRCメッセージを用いることなくBWPの切り替えが可能になることから、シグナリングオーバーヘッドを削減することが可能になる。
【0106】
<ハードウェア構成>
図16は、無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。無線通信システム1内の各装置(例えば、端末10、基地局20、コアネットワーク30など)は、プロセッサ11、記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信装置13、各種の入力操作を受け付ける入力装置や各種情報の出力を行う入出力装置14を含む。
【0107】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、無線通信システム1内の各装置を制御する。プロセッサ11は、プログラムを記憶装置12から読み出して実行することで、本実施形態で説明する各種の処理を実行してもよい。無線通信システム1内の各装置は、1又は複数のプロセッサ11により構成されていてもよい。また、当該各装置は、コンピュータと呼ばれてもよい。
【0108】
記憶装置12は、例えば、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等のストレージから構成される。記憶装置12は、プロセッサ11による処理の実行に必要な各種情報(例えば、プロセッサ11によって実行されるプログラム等)を記憶してもよい。
【0109】
通信装置13は、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行う装置であり、例えば、ネットワークカード、通信モジュール、チップ、アンテナ等を含んでもよい。また、通信装置13には、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んでいてもよい。
【0110】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナから送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナから受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をパケットに変換する処理、及び、パケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0111】
入出力装置14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等の入力装置と、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等の出力装置とを含む。
【0112】
以上説明したハードウェア構成は一例に過ぎない。無線通信システム1内の各装置は、図12に記載したハードウェアの一部が省略されていてもよいし、図12に記載されていないハードウェアを備えていてもよい。また、図12に示すハードウェアが1又は複数のチップにより構成されていてもよい。
【0113】
<機能構成>
(端末)
図17は、端末10の機能構成の一例を示す図である。端末10は、受信部101と、送信部102と、制御部103とを含む。受信部101と送信部102とが実現する機能の全部又は一部は、通信装置13を用いて実現することができる。また、受信部101と送信部102とが実現する機能の全部又は一部と、制御部103とは、プロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0114】
以下の説明において、RedCap端末は、特定端末の一例である。PUCCHは、上り制御チャネルの一例である。PUCCHパラメータ及び/又はPDCCHパラメータは、制御チャネルリソースの設定の一例である。PDCCHは、物理下り制御チャネルの一例である。DCIは、物理下り制御チャネルの信号の一例である。UE Capabilityは、端末能力の一例である。CommunicateDownlinkBWP-id又はfirstActiveDownlinkBWP-idは、通信用DLBWPの設定の一例である。CommunicateUplinkBWP-id又はfirstActiveUplinkBWP-idは、通信用ULBWPの設定の一例である。
【0115】
受信部101は、下り信号を受信する。また、受信部101は、下り信号を介して伝送された情報及び/又はデータを受信してもよい。ここで、「受信する」とは、例えば、無線信号の受信、デマッピング、復調、復号、モニタリング、測定の少なくとも一つ等の受信に関する処理を行うことを含んでもよい。また、受信部101は、基地局20から、特定端末向けに設定される、通信用DLBWP(Downlink BandWidth Part)及び通信用ULBWP(Uplink BandWidth Part)の設定を含むRRCメッセージを受信する。また、受信部101は、基地局20から、初期BWPに対する端末個別の制御チャネルリソースの設定を含まず、かつ、特定端末向けに設定される、通信用BWPの設定を含むRRCメッセージを受信する。当該RRCメッセージは、例えば、RRC再設定メッセージ、RRC再開メッセージ(RRCResume)、又は、RRCセットアップメッセージ等であってもよい。
【0116】
送信部102は、上り信号を送信する。また、送信部102は、上り信号を介して伝送される情報及び/又はデータを送信してもよい。ここで、「送信する」とは、例えば、符号化、変調、マッピング、無線信号の送信の少なくとも一つ等の送信に関する処理を行うことを含んでもよい。また、送信部102は、アクティブであるULBWPで、スケジューリングリクエストを基地局20に送信する。より具体的には、送信部102は、スケジューリングリクエストが制御部103でトリガされた場合、当該スケジューリングリクエストを無線信号で送信する。また、送信部102は、アクティブであるULBWPが、通信用ULBWPに切り替えられた後、通信用ULBWPに設定される端末個別の上り制御チャネルリソースを用いて、スケジューリングリクエストを基地局20に送信するようにしてもよい。
【0117】
また、送信部102は、アクティブであるULBWPが初期ULBWPであり、かつ、初期ULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されている場合、初期ULBWPに設定される端末個別の上り制御チャネルリソースを用いて、スケジューリングリクエストを基地局20に送信するようにしてもよい。また、送信部102は、通信用ULBWPにPRACH機会が設定されている場合、通信用ULBWP及び通信用DLBWPでランダムアクセス手順を実行するようにしてもよい。
【0118】
制御部103は、SIB及びRRCメッセージで通知されたBWPを端末10に設定する処理、設定されたBWPをアクティブにする処理、アクティブにするBWPを切り替える処理を行う。また、制御部103は、上りデータを送信するためのリソースの割り当て(上りリンクのスケジューリング)を基地局20に要求することを検出した場合、送信部102に対してスケジューリングリクエストの送信をトリガする。
【0119】
また、制御部103は、上りデータを送信するためのリソースの割り当てを基地局20に要求する場合において、アクティブであるULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されていない場合、アクティブであるULBWPを、通信用ULBWPに切り替える。また、制御部103は、アクティブであるULBWPが初期ULBWPであり、かつ、初期ULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースが設定されていない場合、アクティブであるULBWPを、通信用ULBWPに切り替えるようにしてもよい。また、制御部103は、アクティブであるULBWPを通信用ULBWPに切り替えることに加えて、アクティブであるDLBWPを、通信用DLBWPに切り替えるようにしてもよい。
【0120】
また、制御部103は、スケジューリングリクエストが送信された後、アクティブであるULBWPを、通信用ULBWPに切り替えるようにしてもよい。例えば、制御部103は、初期ULBWPで、スケジューリングリクエストが送信された後(若しくはトリガした後)、アクティブであるULBWPを、通信用ULBWPに切り替えるようにしてもよい。
【0121】
また、制御部103は、スケジューリングリクエストが送信された後(若しくはスケジューリングリクエストの送信をトリガした後)、アクティブであるDLBWPを、前記通信用DLBWPに切り替えるようにしてもよい。また、制御部103は、送信部102でスケジューリングリクエストがアクティブであるULBWPで送信された後(若しくはアクティブであるULBWPでのスケジューリングリクエストの送信をトリガした後)、アクティブであるDLBWPが通信用DLBWPではない場合に、通信用DLBWPをアクティブに切り替えるようにしてもよい。
【0122】
また、制御部103は、初期BWP及び通信用BWPのいずれかを指定する物理下り制御チャネルの信号に基づいて、アクティブであるBWPとして、初期BWP及び通信用BWPの切り替えを行う。また、制御部103は、初期BWPを指定する物理下り制御チャネルの信号に基づいて、初期ULBWP及び初期DLBWPを、アクティブであるBWPとして切り替えるようにしてもよい、また、制御部103は、初期ULBWPを指定する物理下り制御チャネルの信号に基づいて、初期ULBWPを、アクティブであるBWPとして切り替えるようにしてもよい。また、制御部103は、初期DLBWPを指定する物理下り制御チャネルの信号に基づいて、初期DLBWPを、アクティブであるBWPとして切り替えるようにしてもよい。
【0123】
また、制御部103は、ランダムアクセス手順をトリガする場合で、かつ、通信用ULBWPにPRACH機会が設定されている場合、アクティブBWPを、初期BWPから通信用BWPに切り替えるようにしてもよい。
【0124】
(基地局)
図18は、基地局20の機能構成の一例を示す図である。基地局20は、受信部201と、送信部202と、制御部203とを含む。受信部201と送信部202とが実現する機能の全部又は一部は、通信装置13を用いて実現することができる。また、受信部201と送信部202とが実現する機能の全部又は一部と、制御部103とは、プロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0125】
受信部201は、上り信号を受信する。また、受信部201は、上記上り信号を介して伝送された情報及び/又はデータを受信してもよい。また、受信部101は、端末10から、端末10の端末能力を示す情報を受信する。また、受信部101は、初期ULBWPに端末10向けの端末個別の上り制御チャネルリソースを設定していない場合、端末10から、通信用ULBWPに設定される端末個別の上り制御チャネルリソースで送信されるスケジューリングリクエストを受信し、初期ULBWPに端末個別の上り制御チャネルリソースを設定している場合、端末10から、初期ULBWPに設定される端末個別の上り制御チャネルリソースで送信されるスケジューリングリクエストを受信するようにしてもよい。
【0126】
送信部202は、下り信号を送信する。また、送信部202は、上記下り信号を介して伝送される情報及び/又はデータを送信してもよい。また、送信部202は、端末10が特定端末であることが端末10の端末能力を示す情報で示される場合、通信用DLBWP及び通信用ULBWPの設定を含むRRCメッセージを端末10に送信するようにしてもよい。当該RRCメッセージは、例えば、RRC再設定メッセージ、RRC再開メッセージ、又は、RRCセットアップメッセージ等であってもよい。
【0127】
また、送信部202は、端末10が特定端末であることが端末10の端末能力を示す情報で示される場合、初期BWPに対する個別の制御チャネルリソースの設定を含まず、かつ、特定端末向けに設定される、通信用BWPの設定を含むRRCメッセージを端末10に送信するようにしてもよい。また、送信部102は、初期BWP及び通信用BWPのいずれかを指定する物理下り制御チャネルの信号を、端末に送信するようにしてもよい。
【0128】
制御部203は、端末10に対する上りリソース及び下りリソースの割り当て等を行う。例えば、制御部203は、端末10からスケジューリングリクエストを受信した場合に、端末10に対し、上りデータを送信するためのリソースの割り当て(上りリンクのスケジューリング)を行う。
【0129】
<補足>
端末個別PUCCHパラメータは、端末個別PUCCHリソースに置き換えてもよい。信号、情報、シグナリング及びメッセージの名称は相互に読み替えてもよい。
【0130】
上記実施形態における各種の信号、情報、パラメータは、どのようなレイヤで送信されてもよい。すなわち、上記各種の信号、情報、パラメータは、上位レイヤ(例えば、NASレイヤ、RRCレイヤ、MACレイヤ等)、下位レイヤ(例えば、物理レイヤ)等のどのレイヤの信号、情報、パラメータに置き換えられてもよい。また、所定情報の通知は明示的に行うものに限られず、黙示的に(例えば、情報を通知しないことや他の情報を用いることによって)行われてもよい。
【0131】
また、上記実施形態における各種の信号、情報、パラメータ、メッセージ、シグナリング、IE(Information Element)、チャネル、時間単位及び周波数単位の名称は、例示にすぎず、他の名称に置き換えられてもよい。例えば、スロットは、所定数のシンボルを有する時間単位であれば、どのような名称であってもよい。また、RBは、所定数のサブキャリアを有する周波数単位であれば、どのような名称であってもよい。また、上記実施形態における各種の信号、情報、パラメータ、メッセージ、シグナリング、IEの用語は相互に置き換えられてもよい。例えば、RRCメッセージは、RRCシグナリングと称されてもよい。
【0132】
また、上記実施形態における端末10の用途(例えば、RedCap、IoT向け等)は、例示するものに限られず、同様の機能を有する限り、どのような用途(例えば、eMBB、URLLC、Device-to-Device(D2D)、Vehicle-to-Everything(V2X)等)で利用されてもよい。
【0133】
また、各種情報の形式は、上記実施形態に限られず、ビット表現(0又は1)、真偽値(Boolean:true又はfalse)、整数値、文字等適宜変更されてもよい。また、上記実施形態における単数、複数は相互に変更されてもよい。
【0134】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0135】
1…無線通信システム、10…端末、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信装置、14…入出力装置、20…基地局、30…コアネットワーク、101…受信部、102…送信部、103…制御部、201…受信部、202…送信部、203…制御部
図1
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図18