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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167655
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】シートカッター
(51)【国際特許分類】
   B26B 3/08 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B26B3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073593
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】521178091
【氏名又は名称】株式会社作インダストリー
(71)【出願人】
【識別番号】520142376
【氏名又は名称】株式会社JTR
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】小坂 直司
(72)【発明者】
【氏名】石田 大樹
【テーマコード(参考)】
3C061
【Fターム(参考)】
3C061AA26
3C061BA31
3C061EE24
(57)【要約】
【課題】カッターの刃先が円弧状の軌跡とならないように工夫して、カット対象を端から端まで確実にカットできるようにする。
【解決手段】カット対象の厚さに応じた突出量でカッター50の刃先をシートカッター100本体から突出させた状態で、カット対象のカット開始位置に前記刃先を差し込み、シートカッター100本体を、カッター50の面方向に沿ってスライドさせることによってカット対象をカットするシートカッター100において、シートカッター100本体のスライド方向に対して直交してカット対象に向けて直線移動するスライダー40と、スライダー40が収容されるスライダー受け部30と、スライダー受け部30に対して回動させることによってスライダー40を移動させるハンドル10と、を備え、前記刃先がシートカッター100本体の端面に沿って移動する態様で、カッター50がスライダー40に装着されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カット対象の厚さに応じた突出量でカッターの刃先をシートカッター本体から突出させ、前記カット対象のカット開始位置に前記刃先が差し込まれた状態で、前記シートカッター本体を前記カッターの面方向に沿ってスライドさせることによって前記カット対象をカットするシートカッターにおいて、
前記シートカッター本体のスライド方向に対して直交して前記カット対象に向けて直線移動するスライダーと、
前記スライダーが収容されるスライダー受け部と、
前記スライダー受け部に対して回動させることによって前記スライダーを移動させるハンドルと、
を備え、
前記刃先がシートカッター本体の端面に沿って移動する態様で、前記カッターが前記スライダーに装着されている、シートカッター。
【請求項2】
さらに、前記突出量を規定する規定部を備える、請求項1記載のシートカッター。
【請求項3】
さらに、前記カット対象の端面を受けるバーと、前記カッターの刃先から前記バーの側面までの位置を調整する調整部と、を備えるアタッチメントを備える、請求項1記載のシートカッター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートカッターに関し、特に、床材、壁材などのシート状のものをカットするシートカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の床敷物を壁面に沿って切断する床敷物切断具は切り始めと切り終わりに切れない部分があり、切り残った部分をフリーハンドで切るのは手間がかかる上、きれいに仕上げにくかったという課題を解決する床敷物カッターが開示されている。この床敷物カッターは、床敷物切断具の刃を出す両端部分のガイドに曲面を持たせ隙間を設け、本体を傾け隙間より刃を出しガイド曲面を壁面に沿わせて床敷物の上を滑らせ、切り終わり部分も、傾け直して逆の端部の刃を出して滑らせることで、端から端まで床敷物を切断できる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-39894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された床敷物カッターは、以下に説明するように、端から端まで確実に床敷物を切断することは困難である。すなわち、特許文献1に開示された床敷物カッターは、刃を出すために本体を傾けると(回動させると)、刃先の軌道がその回動軸を中心とした円弧状となる。つまり、本体の両端部に装着されたカッターの刃先は、本体を傾ける前(回動前)の位置よりも本体を傾けた後(回動後)位置が、必ず本体内側となる構造である。
【0005】
この状態で、床敷物を切り始めようとすると、カッターの刃先の位置は、不可避的に本体側面床敷物の端面とはならない。したがって、この状態で床敷物カッターを床敷物の上で滑らせても、切り始めの位置から当該端面までは切り残ってしまう。このことは、床敷物の厚みが増せば増すほど顕著となる。
【0006】
そこで、本発明は、カッターの刃先が円弧状の軌跡とならないように工夫して、カット対象を端から端まで確実にカットできるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
カット対象の厚さに応じた突出量でカッターの刃先をシートカッター本体から突出させた状態で、前記カット対象のカット開始位置に前記刃先を差し込み、前記シートカッター本体を、前記カッターの面方向に沿ってスライドさせることによって前記カット対象をカットするシートカッターにおいて、
前記シートカッター本体のスライド方向に対して直交して前記カット対象に向けて直線移動するスライダーと、
前記スライダーが収容されるスライダー受け部と、
前記スライダー受け部に対して回動させることによって前記スライダーを移動させるハンドルと、
を備え、
前記刃先がシートカッター本体の端面に沿って移動する態様で、前記カッターが前記スライダーに装着されている。
【0008】
さらに、前記突出量を規定する規定部を備えるとよい。
【0009】
さらに、前記カット対象の端面を受けるバーと、前記カッターの刃先から前記バーの側面までの位置を調整する調整部と、を備えるアタッチメントを備えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1のシートカッター100の左上前方斜視図及び左下前方斜視図である。
図2】本発明の実施形態1のシートカッター100の正面図及び左側面である。
図3】本発明の実施形態1のシートカッター100の平面図及び底面図である。
図4】本発明の実施形態1のシートカッター100の一部の分解右上前方斜視図及び分解右上後方斜視図である。
図5】本発明の実施形態1のシートカッター100の一部の分解正面図及び分解右側面図である。
図6】本発明の実施形態2のシートカッター200の左上前方斜視図及び左側面図である。
図7】本発明の実施形態2のシートカッター200の左上後方斜視図及び使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0011】
10 ハンドル
12 押下部
14 ネジ
20 ハンドル受け部
22 軸部
23 貫通孔
24 回動規定部
26 ナット
28 座金
30 スライダー受け部
32 収容部
34 ストッパー
36 凹部
38 貫通孔
40 スライダー
42 平行ピン
46 ばね
50 カッター
52 ネジ
56 位置決めピン
60 ベース蓋
62 アジャスター
64 ネジ
70 ベース
71 開口部
72 側面
74 底面
76 丸溝
78 ネジ穴
80 目盛り台
82 リブ
84 ローレットネジ
85 孔
86 パーカー鋲
87 指示針
88 位置合わせバー
89 位置合わせストッパー
90 アタッチメントベース
92 ピンチ板
94 ソール部
100,200 シートカッター
300A,300B タイルカーペット
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のシートカッター100について説明する。なお、本明細書における上・下・左・右などの方向性を示す表記は、典型的な使用時を想定した相対的なものである点に留意されたい。
【0013】
<実施形態1>
図1図3は、本発明の実施形態1のシートカッター100の外観図である。図1(a)にはシートカッター100の左上前方斜視図を示し、図1(b)にはシートカッター100の左下前方斜視図を示し、図2(a)にはシートカッター100の正面図を示し、図2(b)にはシートカッター100の左側面を示し、図3(a)にはシートカッター100の平面図を示し、図3(b)にはシートカッター100の底面図を示している。
【0014】
図4図5は、本発明の実施形態1のシートカッター100の一部の分解図である。図4(a)にはシートカッター100の一部の分解右上前方斜視図を示し、図4(b)にはシートカッター100の一部の分解右上後方斜視図を示し、図5(a)にはシートカッター100の一部の分解正面図を示し、図5(b)にはシートカッター100の一部の分解右側面図を示している。
【0015】
まず、図1(a)及び図1(b)を参照されたい。シートカッター100は、外観上、以下説明する、ハンドル10と、ハンドル受け部20と、スライダー受け部30と、スライダー40と、カッター50と、ベース蓋60と、ベース70と、に大別される。これらのうち、ベース蓋60及びベース70を除いたものが、図4及び図5に示されている。
【0016】
(概要の説明)
本実施形態のシートカッター100の概要について説明する。まず、シートカッター100の用途としては、例えば、オフィスなどの床に敷き詰められるタイルカーペット、壁に貼付される壁材をカットすることが挙げられる。
【0017】
タイルカーペットを例にすると、多くのタイルカーペットは、例えば50cmの大きさをしているが、オフィスの床の縦横長は必ずしも50cmのn倍とはなっていないので、オフィスの床全面にタイルカーペットを敷き詰めようとした場合には、通常、端に位置するタイルカーペットはカットする必要がある。
【0018】
具体例を挙げると、オフィスの床面が、仮に、10.3m四方であった場合に、その一角から連続的に50cmの大きさのタイルカーペットを隙間なくX方向及びY方向に行列状に敷き詰めていくとすると、例えば1行20列目のタイルカーペットと近傍の壁との間にはX方向に30cm分の隙間が生じる。
【0019】
この場合、50cmの大きさのタイルカーペットを30cm×50cmの大きさとなるようにカットして、21列目として敷くことになろうが、そのような場合に、タイルカーペットを好適にカットできるものが、本実施形態のシートカッター100である。
【0020】
本実施形態のシートカッター100は、この例のように、残りの隙間が30cmである場合にも、21列目のタイルカーペットを、一旦、それまでと同様に、20列目のタイルカーペットに隣接して隙間なく配置する。このとき、21列目のタイルカーペットは、30cm弱は床面に接するが、壁近傍から上向きに立ち上がり、残りの約20cmは壁に接することになる。
【0021】
この際、図2(b)を見るとわかりやすいが、側面72と底面74との境界と、床と壁との境界とを位置合わせさせ、図2(a)を見るとわかりやすいが、この状態でハンドル10を把持して軸部22を中心に回動させると、カッター50の刃先が側面72と底面74との境界に位置する開口部71から突出する。
【0022】
したがって、カッター50の刃先をタイルカーペットの厚さ分だけシートカッター100本体から突出させ、すなわち、カッター50の刃先をカット対象に応じた突出量として、タイルカーペットのカット開始位置にカッター50の刃先が差し込まれた状態で、シートカッター100本体をカッター50の面方向に沿ってスライドさせると、21列目のタイルカーペットを30cm×50cmの大きさにカットすることができる。
【0023】
(構成の説明)
つぎに、主として図4(a)及び図4(b)を参照しながら、まずは、シートカッター100の主要部分の構成について説明する。
【0024】
ハンドル10は、ユーザが把持する部分である。このため、ハンドル10は、それ自体を滑りにくい素材で構成するか、滑りにくい素材の樹脂などで表面を覆うとよい。ハンドル10は、略コ字状をしているが、形状はこれに限定されるものではなく、略U字状としてもよい。
【0025】
ハンドル受け部20は、ハンドル10が取り付けられる部分である。この例では、略コ字状のハンドル10の両端部がハンドル受け部20の上面の両端部にそれぞれ取り付けられる。
【0026】
ハンドル10及びハンドル受け部20の両端部には、それらを連結するネジ14が螺合されるネジ穴が形成されている。ネジ14は、図5(a)において側面視でL字状に見える押下部12に形成されている貫通孔に通されてから、それらのネジ穴に螺合され、これによってハンドル10がハンドル受け部20に連結される。
【0027】
ハンドル受け部20の上面の中央部には、タップが切られた鉛直方向に延びる2つのネジ穴が形成されており、それらには2つのローレットネジなどで構成される回動規定部24が螺合される。回動規定部24は、スライダー受け部30に対するハンドル10の回動量を規定するものであり、ひいては、カッター50の刃先の突出量を規定するものである。
【0028】
回動規定部24の下端は、図2(a)に示す例では中空に位置していることが見て取れるが、ハンドル10をスライダー受け部30に対して図2(a)における時計回りに回動させると、右側の回動規定部24は回動規定部24の下端は、スライダー受け部30の上面の中央部に接触し、それ以上の回動ができなくなる。これが回動規定部24によってハンドル10の回動量を規定する原理である。
【0029】
つぎに、ハンドル10の回動中心となる軸部22は、例えばボルトを用いている。軸部22は、ハンドル受け部20の前面から後面に向けて形成された貫通孔23と、スライダー受け部30の前面から後面に向けて形成された貫通孔38とを位置合わせさせた状態で、これらに前方から後方に向けて通し、座金28を介してナット26に連結される。したがって、ハンドル受け部20に連結されたハンドル10とスライダー受け部30とが相対的に回動可能となる。
【0030】
また、スライダー受け部30の前方両側には、一対のスライダー40が収容される一対の収容部32が形成されている。なお、各収容部32には、装着後のスライダー40の上方向可動限界を規定するとともに、スライダー40が収容部32から離脱することを防止するイモネジなどのストッパー34が螺合される凹部36が形成されている。
【0031】
一対のスライダー40の一方は、軸部22を中心としたハンドル10の回動によって押下され、下方にスライドされる。具体的には、ハンドル10を回動させると、それに伴ってハンドル受け部20に連結された側面視でL字状の押下部12が、スライダー40の上面を押下する。
【0032】
図4(b)を見るとわかりやすいが、各スライダー40には、鉛直方向に形成された例えば3つの貫通孔がある。各貫通孔には3本の平行ピン42が圧入される。これらの平行ピン42は、主として、ハンドル10の回動方向の動きを、スライダー40の鉛直方向の動きに変換することに寄与する。
【0033】
図4(a)を見るとわかりやすいが、全ての平行ピン42の下端は、スライダー40が押下されると、スライダー受け部30の収容部32の底面に形成されている凹部に挿入される。これらの凹部の深さは、上記貫通孔に圧入された平行ピン42の下端が、底面に接しない程度の深さを有している。
【0034】
中央の平行ピン42は、押下されたスライダー40をもとの位置に戻すためのばね46に通される。両側の平行ピン42は、スライダー40のスライド方向を規定するものである。なお、ばね46の取付位置は、中央の平行ピン42に代えて又はこれとともに、両側の平行ピン42としてもよい。
【0035】
もっとも、一対のスライダー40の両側面と、収容部32における当該両側面に対する対抗面とには、スライダー40のスライド方向に沿って延びる凹凸状の案内部が形成されている。したがって、両側の平行ピン42を設けることは必須ではない。換言すると、両側の平行ピン42を設けるならば、当該案内部を形成することは必須ではない。本実施形態では、スライダー40のスライド方向をより確実に規定できるようにするために、当該案内部と平行ピン42との双方を用いている。
【0036】
また、スライダー40の前面の両側には、一対のカッター50が装着される。図4(a)を見るとわかりやすいが、各カッター50には例えば4つの貫通孔が形成されている。スライダー40には、これらの貫通孔のうち例えば3つに対応する位置に凹部を形成する。それらの凹部のうち、最も外側に位置する各凹部にはネジ52を螺合可能にタップが切られている。
【0037】
スライダー40に形成された残りの2つの凹部にも、カッター50のイモネジなどの位置決めピン56を螺合可能にタップが切られている。カッター50は、中央にある2つの貫通孔を位置決めピン56に通し、その後に、ネジ52によってスライダー40に装着される。
【0038】
ここで、各カッター50の各刃先は、図5(a)を見るとわかりやすいが、スライダー受け部30の底面よりも下側、かつ、スライダー受け部30の左右端よりも外側に位置する。より詳細にいうと、各カッター50の各刃先の位置は、ベース70の左右端と同一面上であり、したがってスライダー40が鉛直方向に移動すると、当該各刃先もベース70の左右端と同一面上で上下動する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のシートカッター100によれば、カッター50の刃先は、特許文献1のように円弧状の軌跡とならずに線状となり、しかも、カッター50は、ベース70の左右端の位置で下降するため、カット対象を端から端まで確実にカットすることができる。
【0040】
スライダー受け部30は、図5(b)に示すように、側面視で三角形状をしており、その斜面部分とベース蓋60とが対向配置され、図3(b)に示すように、長丸溝76に位置する例えば合計6つのネジによってこれらは連結される。ベース蓋60には、ベース70の底面74の全面とカット対象とを直接接触させずに、底面74とカット対象面との角度を調整可能なアジャスター62が装着されている。
【0041】
アジャスター62は、未使用時には、図2(b)に示すように、ベース蓋60に対して上側が凸となる態様でベース蓋60にネジ64によってネジ止めしておき、使用時には、ネジ64を一旦外して、底面74に対して図3(b)に示す中央のネジ穴78付近で下側が凸となる態様でネジ64によって再度ネジ止めする。
【0042】
ベース70は、図2(b)に示すように、側面視で相互に直交する、小面積の側面72と大面積の底面74とが一体的に配置された略J字状をしている。シートカッター100をタイルカーペットのカットに使用する際には、側面72はタイルカーペットのうち壁に対向する部分に接し、底面74はタイルカーペットのうち床に対向する部分に接する。
【0043】
ベース70の底面74は、既述のように、ベース蓋60とともにスライダー受け部30に接続される例えば合計6つのネジを受ける長丸溝76が形成されている。また、底面74には、アジャスター62用に中央下側に形成された既述のネジ穴78のほかに、以下説明する実施形態2のシートカッター200を実現するための周辺のネジ穴78を有する。
【0044】
<実施形態2>
図6図7は、本発明の実施形態2のシートカッター200の外観図である。図6(a)には図1(a)に相当するシートカッター200の左上前方斜視図を示し、図6(b)には図2(b)に相当するシートカッター200の左側面図を示し、図7(a)にはシートカッター200の左上後方斜視図を示し、図7(b)にはシートカッター200の使用例を示している。
【0045】
(概要の説明)
本実施形態のシートカッター200の概要について説明する。シートカッター200の用途も、実施形態1のシートカッター100と同様であり、例えば、オフィスなどの床に敷き詰められるタイルカーペットをカットすることが挙げられる。
【0046】
実施形態1では、20列目のタイルカーペットと近傍の壁との間に30cm分の隙間が生じる場合のシートカッター100の使用例を説明したが、本実施形態のシートカッター200は、この隙間が例えば10cm以下というように、相対的に小さい面積でタイルカーペットをカットしたい場合に好適に用いることができる。
【0047】
シートカッター200は、既述のシートカッター100に加えて、目盛り台80と、アタッチメントベース90と、を備える。シートカッター200は、カット対象を目盛り台80とアタッチメントベース90との隙間に差し込んだ状態で、実施形態1の場合と同じ要領でカット対象をカットする。
【0048】
シートカッター200には、2つの使用例がある。第1の使用例は、例えば既述の例に即していうと、上記の隙間が例えば5cmというように、相対的に小さい面積でタイルカーペットをカットしたい場合には、後述するようにカット量を5cmに設定し、図7(b)に示すように、20列目のタイルカーペット300Aの側面に鉤型のソール部96を係止して、カット対象となる21列目のタイルカーペット300Bを目盛り台80とアタッチメントベース90との隙間に差し込んだ状態で、実施形態1の場合と同じ要領でカット対象をカットするというものである。
【0049】
第2の使用例は、平たくいうと、タイルカーペット300Aとは無関係に、つまり、鉤型のソール部96を用いることなく、タイルカーペット300Bをカットするというものである。この場合には、典型的にはタイルカーペット300Aやその近傍の床や壁から離れた位置で、カット対象となる21列目のタイルカーペット300Bを目盛り台80とアタッチメントベース90との隙間に差し込んだ状態で、実施形態1の場合と同じ要領でカット対象をカットするというものである。
【0050】
(構成の説明)
目盛り台80は、ベース70の底面74に対して周辺のネジ穴78を通じてネジを通じて着脱可能に構成している。目盛り台80は、概形が側面視で水平面と斜面とによって構成されるレ字状をしており、カット対象のカット量を調整するための部材が、当該水平面に設けられている。
【0051】
目盛り台80には、その強度を担保するリブ82が当該水平面と当該斜面とに亘って形成されている。リブ82の近傍であって当該水平面には、前方から後方に延びる長孔85が形成されている。長孔85の上側には指示針87が、長孔85の下側には位置合わせバー88が位置し、これらは長孔85の上下に亘って位置するパーカー鋲86によって相互に連結される。パーカー鋲86は、長孔85内を、前後に移動可能なように目盛り台80との間には若干の隙間がある。
【0052】
位置合わせバー88は、長孔85の延在方向に直交して延在していて、目盛り台80とアタッチメントベース90との間に差し込まれるカット対象の端面を受けるものである。位置合わせバー88は、図7(a)に示す位置合わせストッパー89によって位置決めされる。また、図6(a)には図示していないが、長孔85に隣接して、カッター50の刃先からの長さを示す目盛りが振ってある。
【0053】
このため、カット対象のカット量が決定した場合には、位置合わせストッパー89を一旦緩めて、指示針87の矢先位置を、当該カット量に対応する目盛りの位置まで移動させて、それから位置合わせストッパー89を再度締めて、位置合わせバー88の位置を固定し、カット対象をカットすればよい。
【0054】
目盛り台80とアタッチメントベース90とは、ピンチ板92を介して、例えばローレットネジ84によって連結される。ピンチ板92は、位置合わせバー88とともに、目盛り台80とアタッチメントベース90との距離を規定するスペーサとして機能する。また、目盛り台80とアタッチメントベース90とは公差調整可能なように、相互に2mm~3mm程度前後にスライド可能とされ、これらを所望の位置にした状態でローレットネジ84を締めて固定できるようにしている。また、アタッチメントベース90の底面には、載置面にその底面全体が接することになるソール部94とその先端部分が接することになる鉤型のソール部96とが形成されている。
【0055】
以上説明したように、本発明の各実施形態のシートカッター100,200は、カッター50の刃先を突出させるためのハンドル10の回動運動を、カッター50が装着されたスライダー40及びスライダー受け部によって直線運動に変換するので、当該刃先の軌跡は円弧状とはならずに、シートカッター100,200本体の端面に沿った直線状となるので、カット対象を端から端まで確実にカットできるようになる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7