(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167657
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】袋入り花茶の製造方法および袋入りバラ茶
(51)【国際特許分類】
A23L 2/38 20210101AFI20221027BHJP
【FI】
A23L2/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073595
(22)【出願日】2021-04-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 道の駅 阿蘇(熊本県阿蘇市黒川1440-1)に対して販売(令和2年7月1日) 阿蘇綺麗株式会社のホームページ(https://asokirei.com/products/、https://asokirei.com/products/detail_5_10001.html、https://asokirei.com/products/detail_5_10002.html、https://asokirei.com/products/detail_5_10003.html、https://asokirei.com/products/detail_5_10006.html、https://asokirei.com/landing/organic_rose_tea/)にて販売(令和2年7月1日~令和3年4月23日) ASOMO 熊本阿蘇の逸品ネットショップのホームページ(https://aso-asomo.com/?mode=grp&gid=837766、https://aso-asomo.com/?pid=155580073)にて販売(令和2年7月1日~令和3年4月23日) 株式会社マキコミ(福岡県久留米市東町36-8 ステーションプラザ久留米ビル2F)に対して販売(令和3年3月1日)
(71)【出願人】
【識別番号】521178105
【氏名又は名称】阿蘇綺麗株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100142701
【弁理士】
【氏名又は名称】吉永 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】小松丸 昌子
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LE06
4B117LG24
4B117LK06
4B117LL02
4B117LP17
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】加熱によって香りが飛んでしまいやすい花であっても、花本来の香りを十分に残すことのできる袋入り花茶の製造方法を提供する。また、バラ本来の香りを楽しめる袋入りバラ茶を提供する。
【解決手段】生花を95質量%以上含む素材を包装袋に入れて、真空包装する第1工程と、真空包装された前記素材を加圧下で加熱処理する第2工程とを有する、袋入り花茶の製造方法。また、生バラを95質量%以上含む素材が真空包装された袋入りバラ茶であり、前記生バラが、前記生バラから滲み出した水分により湿潤した状態で真空包装されている、袋入りバラ茶。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生花を95質量%以上含む素材を包装袋に入れて、真空包装する第1工程と、
真空包装された前記素材を加圧下で加熱処理する第2工程とを有する、袋入り花茶の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程において、70~78℃で15~30分間、加熱処理する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記生花が、バラである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記素材が、甘味料を含む、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記素材が、前記生花と前記甘味料とからなる、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記甘味料が、ステビアである、請求項4または5に記載の製造方法。
【請求項7】
生バラを95質量%以上含む素材が真空包装された袋入りバラ茶であり、
前記生バラが、前記生バラから滲み出した水分により湿潤した状態で真空包装されている、袋入りバラ茶。
【請求項8】
前記素材が甘味料を含み、前記甘味料が滲みこんだ前記生バラが真空包装されている、請求項7に記載の袋入りバラ茶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋入り花茶の製造方法に関するものである。また、本発明は、袋入りバラ茶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
桜茶や工芸茶のように、味や香りだけでなく、茶葉にお湯を注ぐことで花を開かせるなど見た目でも楽しませる花加工品が知られている。例えば、特許文献1には、花茶用の乾燥花が開示されており、その製造方法として、無農薬又は減農薬栽培された萼付きの花を採取し、虫に対して忌避作用のあるハーブを混合して虫を追い払うための虫忌避処理工程と、虫が通り抜けられる網目のメッシュ製容器に入れ、外部から空気圧を噴射して、虫を吹き飛ばすための虫除去工程と、循環型乾燥装置内に収納し、送風により汚れを吹き飛ばす、送風工程と、55℃~65℃の低温乾燥処理で2時間~4時間、乾燥させる、乾燥処理工程と、90℃~100℃で30分~60分、殺菌処理するための殺菌工程とを備えたことを特徴とする花茶用の乾燥花の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、花の種類によっては、花を加熱乾燥させるときに花本来の香りが飛んでしまい、花茶としたときに十分な香りを残すことが難しいという問題があった。例えば、バラは加熱乾燥によって香りが飛びやすく、従来の製造方法では、バラ本来の香りを残すことが困難であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、加熱によって香りが飛んでしまいやすい花であっても、花本来の香りを十分に残すことのできる袋入り花茶の製造方法を提供することである。また、バラ本来の香りを楽しめる袋入りバラ茶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 生花を95質量%以上含む素材を包装袋に入れて、真空包装する第1工程と、真空包装された前記素材を加圧下で加熱処理する第2工程とを有する、袋入り花茶の製造方法。
<2> 前記第2工程において、70~78℃で15~30分間、加熱処理する、前記<1>に記載の製造方法。
<3> 前記生花が、バラである、前記<1>または<2>に記載の製造方法。
<4> 前記素材が、甘味料を含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5> 前記素材が、前記生花と前記甘味料とからなる、前記<4>に記載の製造方法。
<6> 前記甘味料が、ステビアである、前記<4>または<5>に記載の製造方法。
<7> 生バラを95質量%以上含む素材が真空包装された袋入りバラ茶であり、前記生バラが、前記生バラから滲み出した水分により湿潤した状態で真空包装されている、袋入りバラ茶。
<8> 前記素材が甘味料を含み、前記甘味料が滲みこんだ前記生バラが真空包装されている、前記<7>に記載の袋入りバラ茶。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加熱によって香りが飛んでしまいやすい花であっても、花本来の香りを十分に残すことのできる袋入り花茶の製造方法が提供される。また、バラ本来の香りを楽しめる袋入りバラ茶が提供される。得られた袋入り花茶や袋入りバラ茶は、液体を注いで、香り成分や風味成分を抽出し飲用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明の製造方法で得られる袋入り花茶の模式図である。(A)は、生花を1つ含む袋入り花茶であり、(B)は、生花を2つ(複数)含む袋入り花茶である。
【
図3】本発明の製造方法で得られる袋入りバラ茶の写真である。
【
図4】本発明の製造方法で得られた袋入りバラ茶を袋から取出し、コップに入れ、お湯を注いだときの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
【0011】
<本発明の袋入り生花茶の製造方法>
本発明は、生花を95質量%以上含む素材を包装袋に入れて真空包装する第1工程と、真空包装された前記素材を加圧下で加熱処理する第2工程とを有する、袋入り花茶の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と記載する場合がある。)に関するものである(
図1参照)。
【0012】
生花を真空包装して加圧下で加熱処理することで、花本来の香りが飛ぶことを抑制でき、十分に花本来の香りを残した状態で食品とすることができる。また、包装袋に入れずに加熱乾燥する方法では、生花の内部まで熱が通らず殺菌が不十分となり、時間の経過とともに生花からガスが発生したり、腐敗したりするおそれがあるため、高温にする必要があり、花の色抜けが生じやすかった。本発明の製造方法のように、包装袋に入れて加圧下で加熱処理(特に、70~78℃で15~30分加熱処理)することで、生花の内部にまで効率的に、しっかり熱を伝え、殺菌を十分に行いつつ、花の色抜けも抑制できる。そのため、第2工程後に包装袋に入った状態のままで保管しても、長時間ガスが発生せず、安定した品質を保つことができ、花の色抜けも抑えられた商品とできる(
図2、
図3参照)。
【0013】
このような製造方法とすることで、香りが飛びやすく、香りも楽しむ花茶などの加工品とすることが困難であった種類の花も用いることができる。得られた袋入り花茶は、お湯やお酒などの液体を注ぎ、生花から香りや味成分を抽出して、飲用することができ(
図4参照)、飲用時に、見た目、香り、および風味を楽しむことができる。
【0014】
[第1工程]
第1工程は、生花を95質量%以上含む素材を包装袋に入れて、真空包装する工程である。
【0015】
(生花)
生花の種類は食することが可能な安全なものであれば特に限定されず、例えば、バラ、サクラ、キク、タンポポ、ジャスミンなどを用いることができる。これらの生花は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、品質が高く、健康志向が高まっていることからも、有機JAS認定の生花が好ましい。
また、花(特にバラ)は、香りが強いために熟した満開に近い9分咲や9.5分咲のものが好ましい。従来、花全体を用いて加工を行う場合には、花の形が崩れにくい7~8分咲きの花を使用することが一般的であった。本発明の製造方法では、満開に近い状態の花を用いても、花の形が崩れにくく、花の形を保ちながら加工することができ、より花の香りや甘味を感じる商品とすることができる。
【0016】
中でも、生花はバラが好ましい。バラは、加熱することで香りが飛びやすく、従来の製造方法では香りを十分に残すことが難しかった。本発明の製造方法では、真空包装して加圧下で加熱処理することで、バラのように香りの飛びやすい花であっても、花本来の香りを残した食品とでき、香りによる癒し効果も期待できる。花全体を用いて加工した場合にも形が崩れにくいため、見た目と香りの両方を楽しむことのできる花茶とできる。
【0017】
なお、素材として用いる生花は、花びらを用いてもよいが、複数の花びらとガクがついた花全体が、お湯やお酒などを注いだときに花が開くのを楽しむことができるため好ましい。
【0018】
生花は、生花の大きさなどに応じて、所定の量となるように生花の数は適宜調整することができる。大きな花全体を用いる場合は、包装袋に入れる生花の数は1個とできるし、小さな花全体や花びらを用いる場合は、複数個を包装袋に入れてもよい。例えば、包装袋に入れる生花の数は1~5個や、1~3個、1~2個などとすることができる。
【0019】
素材は、包装袋に入れて真空包装される生花などの袋入り花茶の原料である。素材中の生花の割合は、95質量%以上である。素材中の生花の割合をこのように高くすることで、第2工程の加熱処理時に花の形が崩れにくく、花の形を保ちながら花の内部まで熱をしっかり通して殺菌することができ、花本来の香りがしっかり感じられる食品とできる。また、甘味料による味付けなども効果的に行える。素材中の生花の割合は、96質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。その上限は特に限定はなく、99.9質量%以下や、99.8質量%以下、99.7質量%以下など任意である。
【0020】
(甘味料)
素材は、甘味料を含むことが好ましく、生花と甘味料とからなることがより好ましい。花によっては苦みや渋みがあるものもあるため、甘味料と組み合わせることで、より摂取しやすい風味となる。本発明の製造方法では、生花から水が滲みだし、湿潤状態となるため、甘味料が溶解した液体に生花を漬け込むなどせずに、粉状の甘味料をそのまま用いても味付けすることができ、生花と甘味料の割合を調節することで味を調整しやすい。また、甘味料を生花と一緒に包装袋に入れて加圧下で加熱処理することで、生花に効率的に味付けができる。有機JAS認定の花と天然甘味料を用いれば、品質のよい花茶とすることができ、健康志向が高まっている現在において商品価値を高めることができる。
【0021】
甘味料としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルチトール、オリゴ糖などの糖質系甘味料;サッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料;ステビア、甘草、羅漢果などの天然甘味料などが挙げられる。安全性や低カロリーであることから、甘味料は、天然甘味料が好ましい。天然甘味料は、ステビア、甘草、羅漢果などの天然の植物の葉や茎、根等の粉末や、天然の植物から成分を抽出した抽出物、酵素処理や化学処理をした処理物を用いることができる。低カロリーで甘みも強いことから、好適な天然甘味料のひとつは、ステビアである。具体的には、ステビアの葉や茎、根などを粉末化したステビア末、ステビアから成分を抽出したステビア抽出物、ステビア抽出物を化学処理や酵素処理したステビア処理物等を用いることが好ましい。
【0022】
上記の通り、本発明の製造方法における好適な生花はバラである。素材は、生バラと甘味料とからなることが好ましく、生バラと天然甘味料とからなることがより好ましく、生バラとステビアとからなることがさらに好ましい。このような組み合わせとすることで、バラの香りを楽しめ、より摂取しやすいものにできる。
【0023】
素材中の甘味料の割合は、5質量%以下であり、4質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。また、生花に対して甘味料が0.1質量%以上や、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上など下限を設定してもよい。
【0024】
例えば、包装袋1袋に対して、生花を15~30g、甘味料を0.05~0.5gとしたり、生花を20~25g、甘味料を0.1~0.3gとしたりすることができる。
【0025】
素材は、さらにその他の成分を含んでもよく、例えば、酸化防止剤や食物繊維を含んでよい。酸化防止剤としては、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどが挙げられる。食物繊維としては、難消化性デキストリン、ペクチン、グルコマンナン、グアーガム、アルギン酸、セルロース、寒天、キチンなどが挙げられる。
【0026】
(真空包装)
第1工程では、素材を包装袋に詰めて、包装袋の内部の空気を排除して、真空包装を行う。包装袋は、生花を含む素材を収容して密封でき、第2工程において加熱処理できる耐熱性を有する袋であればよく、一般的なレトルト食品に用いられる物を利用できる。
【0027】
[第2工程]
第2工程は、第1工程において真空包装された素材を加圧下で加熱処理する工程である。加熱処理は、一般的なレトルト処理に用いられる加圧加熱装置を利用して行うことができ、加圧下で行われる。圧力は0.11~0.5MPaや、0.15~0.4MPa、0.2~0.3MPaであり、加熱温度や加熱時間に応じて適宜調整される。
【0028】
(加熱温度)
加熱処理時の加熱温度は、生花の量や加熱時間等を考慮して適宜決定されるものであるが、加熱温度が高すぎると、花の色が抜けやすくなる。また、加熱温度が低すぎると、殺菌が不十分になりやすく、長時間加熱処理する必要がある。そのため、加熱温度65℃以上で行うことが好ましく、70℃以上がより好ましい。また、加熱温度は80℃以下が好ましく、78℃以下がより好ましく、75℃以下がさらに好ましい。
【0029】
(加熱時間)
また、加熱時間は、生花の量や加熱時間等を考慮して適宜決定されるものであるが、加熱時間が長すぎると、花の色が抜けやすくなる。また、加熱時間が短すぎると殺菌が不十分になりやすい。そのため、10分以上が好ましく、15分以上がより好ましい。その上限は、60分以下であり、30分以下がより好ましい。
【0030】
中でも、70~78℃で15~30分加熱処理することが好ましく、70~75℃で15~30分加熱処理することがより好ましい。
【0031】
本発明の製造方法は、第2工程の後にさらに他の工程を行ってもよいが、第2工程の加熱処理後に、そのまま袋入り花茶とすることが好ましい。第2工程の加熱処理したものを、そのまま袋入り花茶とすることで、塩漬け等の溶液で処理する方法と異なり、後工程を必須とせず、本発明の製造方法は、簡単に袋入り花茶を製造できる。製造された袋入り花茶は、袋から花茶(加工花)を取り出して、コップ等の容器に入れ、容器にお湯やお酒などを注ぎ、その香り成分や風味成分を抽出し、飲用するものとすることができる。また、花そのものも食することができる。
【0032】
例えば、本発明の製造方法により、生バラを95質量%以上含む素材が真空包装された袋入りバラ茶であり、前記生バラが、前記生バラから滲み出した水分により湿潤した状態で真空包装されている、袋入りバラ茶を得ることができる。本発明の製造方法を利用することで、香りが飛びやすいバラであってもバラの香りを十分に残すことができ、癒し効果が期待できる。生バラと甘味料とを含む素材(特に、生バラと甘味料とからなる素材)を用いて、前記生バラから滲み出した水分により湿潤した状態で、甘味料が滲みこんだ生バラが真空包装されている袋入りバラ茶(
図2、
図3参照)とすれば、バラの香りを十分に楽しみつつ、見た目にも美しく、苦みなどの風味も抑えられて、より摂取しやすいものとなる。
【実施例0033】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
<実施例1>
[素材]
・赤バラの花(有機JAS認定,クリムゾングローリー,ガク付きの花全体,9.5分咲のもの):約20g
・ステビア末(有機JAS認定,葉を乾燥し、粉砕し、微粒子化したもの(粉状)):約0.2g
【0035】
[実施例1-1](バラ茶の製造)
素材の赤バラの花とステビア末を真空袋(レトルト用無地スタンディング袋)に入れて、真空袋内の空気を脱気し、真空袋の口をシールし、真空包装した。次いで、パナソニック株式会社製小型高温高圧調理機に素材の赤バラとステビア末を詰めた真空袋を入れて、80℃15分の条件で加熱処理し、袋入りバラ茶を得た。
【0036】
得られたバラ茶を細菌検査したところ、十分に殺菌できていることが確認された。また、バラ茶にお湯を注いだのち30秒ほど置いて飲用した。花が開いている様子も観察でき、風味も良好であった。
【0037】
[実施例1-2、実施例1-3]
加熱処理条件を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1-1と同様にして、袋入りバラ茶を製造した。
図3は、実施例1-3によって得られた袋入りバラ茶の写真である。
【0038】
<比較例1>
実施例1と同じ赤バラの花を用い、包装袋にいれずに、赤バラの花をそのまま、熱風乾燥機で65℃30分乾燥処理した。処理後のバラからはバラ特有の香りはほとんど感じられず、全体的に色が濃くなっていた。また、処理後のバラの花を包装袋に密封して保存したところ、時間の経過とともにガスが発生し、安定して保存することができなかった。
【0039】
<評価1>
実施例1-1~実施例1-3で得られたバラ茶の「香り」と「色」について、4名のパネリストにより官能評価を行った。
【0040】
[香りの評価(1)]
袋からバラ茶を取出し、コップに入れ、100mLのお湯を注いだ(
図4参照)。このときの香りについて、4名のパネリストにより官能評価を行った。未処理のバラの香りの点数を「4」とし、実施例1-3の香りの点数を「3」とし、比較例1の香りの点数を「1」として、以下の評価基準で評価した。総合評価は、パネリスト4名の平均点とし、平均点が3以上の場合を「〇」、平均点が2以上3未満の場合を「△」、平均点が1以上2未満の場合を「×」とし、表1に結果を示した。
(評価基準)
4:バラの香りをしっかり感じられる(未処理のバラと同等である)。
3:バラの香りをしっかり感じられるが、未処理のバラの香りに比べると弱い(実施例1-3と同等である)。
2:バラの香りを感じられる(実施例1-3に比べると香りが弱い)。
1:バラの香りをほとんど感じられない(比較例1と同等またはそれ以下である)。
【0041】
[色の評価(1)]
袋からバラ茶を取出し、花の色について、4名のパネリストにより官能評価を行った。未処理のバラの色の点数を「4」とし、実施例1-3の色の点数を「3」とし、比較例1の色の点数を「1」として、以下の評価基準で評価をした。総合評価は、パネリスト4名の平均点とし、平均点が3以上の場合を「〇」、平均点が2以上3未満の場合を「△」、平均点が1以上2未満の場合を「×」とし、表1に結果を示した。
(評価基準)
4:未処理のバラと同等である。
3:未処理のバラの色に比べると、色が若干濃くまたは薄くなっている(実施例1-3と同等である)。
2:未処理のバラの色に比べると、色が濃くまたは薄くなっている(実施例1-3に比べると色の変化が大きいが、比較例1に比べて色の変化は小さい)。
1:バラの色が全体的に濃くなっている、または薄くなっている(比較例1と同等またはそれ以下である)。
【0042】
【0043】
<実施例2>
実施例1の赤バラの代わりに、黄バラ(有機JAS認定,ゴールデンボーダー,ガク付きの花全体,9.5分咲のもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表2に示す加熱条件で処理を行い、袋入りバラ茶を製造した。
【0044】
<比較例2>
比較例1の赤バラの代わりに、黄バラ(有機JAS認定,ゴールデンボーダー,ガク付きの花全体,9.5分咲のもの)を用いた以外は、比較例1と同様にして袋入りバラ茶を製造した。
【0045】
<評価2>
実施例2-1~実施例2-3で得られたバラ茶の「香り」と「色」について、4名のパネリストにより官能評価を行った。実施例1-3の代わりに実施例2-3の香りおよび色の点数を「3」とし、比較例1の代わりに比較例2の香りおよび色の点数を「1」とした以外は、<評価1>と同様の評価基準で評価した。表2に結果を示した。
【0046】
【0047】
<実施例3>
実施例1の赤バラの代わりに、白バラ(有機JAS認定,ナエマ,ガク付きの花全体,9.5分咲のもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表3に示す加熱条件で処理を行い、袋入りバラ茶を製造した。
【0048】
<比較例3>
比較例1の赤バラの代わりに白バラ(有機JAS認定,ナエマ,ガク付きの花全体,9.5分咲のもの)を用いた以外は、比較例1と同様にして袋入りバラ茶を製造した。
【0049】
<評価3>
実施例3-1~実施例3-3で得られたバラ茶の「香り」と「色」について、4名のパネリストにより官能評価を行った。実施例1-3の代わりに実施例3-3の香りおよび色の点数を「3」とし、比較例1の代わりに比較例3の香りおよび色の点数を「1」とした以外は、<評価1>と同様の評価基準で評価した。表3に結果を示した。
【0050】
【0051】
<実施例4>
ステビア末を用いずに、赤バラの花のみを真空袋(レトルト用無地スタンディング袋)に入れた以外は、実施例1-1と同様にして袋入りバラ茶を製造した。得られたバラ茶の「香り」と「色」は、実施例1-1のステビア末を用いた場合と同等であった。また、バラ茶およびバラを食し、実施例1-1と比較したところ、4名のパネリストとも実施例1-1のバラ茶の方が、甘味を感じ食しやすいという評価であった。