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特開2022-167669折り畳みバリケードスタンド及び折り畳みバリケード
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167669
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】折り畳みバリケードスタンド及び折り畳みバリケード
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/00 20060101AFI20221027BHJP
   E01F 13/02 20060101ALI20221027BHJP
   E04H 17/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
E01F13/00 301
E01F13/02
E04H17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073620
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 正則
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 雄太
(72)【発明者】
【氏名】永谷 有弘
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌之
【テーマコード(参考)】
2D101
2E142
【Fターム(参考)】
2D101CA13
2D101DA04
2D101EA08
2D101FA13
2D101HA06
2E142AA01
2E142AA03
2E142BB00
2E142HH03
2E142HH13
2E142JJ01
2E142LL03
2E142LL04
2E142MM04
(57)【要約】
【課題】高さ調整、収納及び運搬が容易な折り畳みバリケードスタンド。
【解決手段】ベース部と、前記ベース部の上面部に折り畳み可能に設けられるとともに前記上面部で立設する状態まで回動することが可能な支柱と、を備え、前記支柱は、内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記ベース部に回動可能に連結される支柱下側部材と、前記支柱下側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成された支柱上側部材と、前記支柱下側部材の他端側に設けられ、前記支柱上側部材を任意の位置で固定可能な支柱ロック部材と、を備えることを特徴とする折り畳みバリケードスタンド。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部の上面部に折り畳み可能に設けられるとともに前記上面部で立設する状態まで回動することが可能な支柱と、
を備え、
前記支柱は、
内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記ベース部に回動可能に連結される支柱下側部材と、
前記支柱下側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成された支柱上側部材と、
前記支柱下側部材の他端側に設けられ、前記支柱上側部材を任意の位置で固定可能な支柱ロック部材と、
を備えることを特徴とする折り畳みバリケードスタンド。
【請求項2】
一方の端部が前記ベース部の上面部に連結されるともに他方の端部が前記支柱に連結され、かつ、前記支柱の回動に伴い伸縮可能かつ任意の長さで固定可能なステーをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の折り畳みバリケードスタンド。
【請求項3】
前記ステーは、
内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記ベース部又は支柱の一方に回動可能に連結される外側部材と、
前記外側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成され、かつ、一端が前記ベース部又は支柱の他方に回動可能に連結される内側部材と、
前記外側部材の他端側に設けられ、前記内側部材を任意の位置で固定可能なロック部材と、
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の折り畳みバリケードスタンド。
【請求項4】
前記支柱ロック部材は、
前記支柱下側部材の前記他端側の外周を覆うように装着される支柱カバー部材と、
前記支柱カバー部材の上方端部側の開口において内方に突設される係止フランジと、
を備え、
前記支柱上側部材の下方端部側面には、長手方向に沿ってガイド部材が装着され、
前記ガイド部材を含んだ前記支柱上側部材の幅は、前記係止フランジの辺縁間の幅を上回ることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の折り畳みバリケードスタンド。
【請求項5】
前記支柱下側部材の内側面には、内方に平行に突出する1対の突条であるとともに、間隔が前記ガイド部材の幅を収容可能な距離である規制レール部が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の折り畳みバリケードスタンド。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の折り畳みバリケードスタンドを複数台備えるとともに、
前記折り畳みバリケードスタンドの各々の支柱の間に掛け渡される侵入阻止材を備えることを特徴とする、折り畳みバリケード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み可能なバリケードスタンド及び折り畳み可能なバリケードに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、張設されるパーティションベルトの高さ調整を、支柱を構成する支柱部材の数を変えることで可能とするベルトパーティションスタンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-122315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のベルトパーティションスタンドは、連結する支柱部材の数を変えることでパーティションベルトの高さ調整を行っている。したがって、高さ調整の都度、支柱部材を取り外したり連結したりする必要があった。また、部品数が多いため収納及び運搬も容易でない。
【0005】
本開示の実施態様は、高さ調整、収納及び運搬が容易な折り畳みバリケードスタンド及び折り畳みバリケードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施態様の折り畳みバリケードスタンドは、ベース部と、前記ベース部の上面部に折り畳み可能に設けられるとともに前記上面部で立設する状態まで回動することが可能な支柱と、を備え、前記支柱は、内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記ベース部に回動可能に連結される支柱下側部材と、前記支柱下側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成された支柱上側部材と、前記支柱下側部材の他端側に設けられ、前記支柱上側部材を任意の位置で固定可能な支柱ロック部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記のように構成されることで、支柱がベース部に対して折り畳み可能なため、収納及び運搬が容易である。また、支柱を構成する支柱上側部材が支柱下側部材に対して任意の位置で固定可能なため、支柱の高さを自在に調整することが可能となる。
【0008】
また、上記折り畳みバリケードスタンドにおいては、一方の端部が前記ベース部の上面部に連結されるともに他方の端部が前記支柱に連結され、かつ、前記支柱の回動に伴い伸縮可能かつ任意の長さで固定可能なステーをさらに備えることを特徴とする。
【0009】
上記のように構成されることで、ベース部と支柱との間に設けられるステーが、支柱とベース部とのなす角度に応じて任意の位置で長さを固定可能であることにより、支柱をベース部に対して任意の角度で安定させることができる。これにより、ベース部の設置される地面が傾斜していても、支柱を鉛直方向へ固定されることが可能となっている。
【0010】
また、上記折り畳みバリケードスタンドにおいては、前記ステーは、内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記ベース部又は支柱の一方に回動可能に連結される外側部材と、前記外側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成され、かつ、一端が前記ベース部又は支柱の他方に回動可能に連結される内側部材と、前記外側部材の他端側に設けられ、前記内側部材を任意の位置で固定可能なロック部材と、を備えることが望ましい。
【0011】
上記のように構成されることで、ステーの両端は支柱の開き具合に応じて自在に回動しつつ、外側部材に対し出入り自在な内側部材を任意の位置でロック部材が固定することが可能となる。これにより、折り畳みバリケードスタンドの設置面の状況に応じて、支柱の位置をステーにより適切に固定することが可能となる。よって、支柱を、折り畳まれた状態からベース部に対して垂直に立てる状態までの任意の角度で固定できるので、たとえば傾斜面にベース部を設置するような場合であっても支柱を鉛直に立設させることも可能となる。
【0012】
また、上記折り畳みバリケードスタンドにおいては、前記支柱ロック部材は、前記支柱下側部材の前記他端側の外周を覆うように装着される支柱カバー部材と、前記支柱カバー部材の上方端部側の開口において内方に突設される係止フランジと、を備え、前記支柱上側部材の下方端部側面には、長手方向に沿ってガイド部材が装着され、前記ガイド部材を含んだ前記支柱上側部材の幅は、前記係止フランジの辺縁間の幅を上回ることが望ましい。
【0013】
上記のように構成されることで、支柱の長さを調整している間に、支柱上側部材が支柱下側部材が固定されていない状態で、支柱上側部材のガイド部材が係止フランジに当接することで、それ以上の支柱上側部材の延長を防止することが可能となる。
【0014】
さらに、上記折り畳みバリケードスタンドにおいては、前記支柱下側部材の内側面には、内方に平行に突出する1対の突条であるとともに、間隔が前記ガイド部材の幅を収容可能な距離である規制レール部が設けられていることが望ましい。
【0015】
上記のように構成されることで、規制レール部の間をガイド部材が摺動することになり、支柱上側部材の出し入れの際に支柱下側部材に対してガタつくことが軽減される。また、折り畳みバリケードスタンドが地面等に設置されている状態で、支柱下側部材と支柱上側部材との間でのガタつきも軽減される。
【0016】
本開示の実施態様の折り畳みバリケードは、上述の折り畳みバリケードスタンドを複数台備えるとともに、前記折り畳みバリケードスタンドの各々の支柱の間に掛け渡される侵入阻止材を備えることを特徴とする。
【0017】
上記のように構成されることで、侵入阻止材の高さを任意に調節可能な折り畳みバリケードが提供される。なお、侵入防止材としては、帯状、紐状、鎖状、棒状など様々な形状とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の実施態様は、上記のように構成されているので、高さ調整、収納及び運搬が容易な折り畳みバリケードスタンド及び折り畳みバリケードが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の折り畳みバリケードスタンドにおいて、支柱を伸長した状態を側面図にて示す。
図2図1の折り畳みバリケードスタンドを正面斜視図にて示す。
図3図1の折り畳みバリケードスタンドを背面斜視図にて示す。
図4】実施形態の折り畳みバリケードスタンドにおいて、支柱を畳んだ状態を側面図にて示す。
図5図4の折り畳みバリケードスタンドを正面斜視図にて示す。
図6図4の折り畳みバリケードスタンドを背面斜視図にて示す。
図7】支柱上側部材の下端部分を斜視図にて示す。
図8】支柱上側部材が支柱下側部材に収容されている状態を、軸心に垂直な断面図にて示す。
図9】支柱ロック部材を分解した状態を斜視図にて示す。
図10A】非固定状態の支柱を、軸心に沿った断面図にて示す。
図10B】固定状態の支柱を、軸心に沿った断面図にて示す。
図11】支柱下側部材及び支柱上側部材が挿通された状態の支柱ロック部材を下方視にて示す。ただし、支柱下側部材及び支柱上側部材は断面図にて示し、支柱押圧部材及び支柱押圧操作部材は省略している。
図12】ロック部材を分解した状態を斜視図にて示す。
図13A】非固定状態のステーを、軸心に沿った断面図にて示す。
図13B】固定状態のステーを、軸心に沿った断面図にて示す。
図14】実施形態の折り畳みバリケードを正面斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1)折り畳みバリケードスタンド
本開示の折り畳みバリケードスタンド1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明にて「上側」及び「下側」に言及しているときは、図1図3に示す使用状態を基準にして上下方向を定義している。また、各図面において共通して付されている符号については、各図面の説明で言及されていない場合であっても同一の部位又は部材を指し示すものである。さらに、下記で言及する各部材の材質は一例であって、これに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本実施形態の折り畳みバリケードスタンド1において、支柱20を立てて伸長させた状態の使用状態を側面図にて示すものである。また、図2及び図3は、図1の状態をそれぞれ正面斜視図及び背面斜視図で示すものである。
【0022】
支柱20は折り畳み可能で、ベース部10の上面部11に固定されたヒンジ取付ブラケット17に、ヒンジ部材23を介して回動可能に装着されている。支柱20は、内部が中空の棒状に形成される支柱下側部材24と、内部が中空の棒状に形成される支柱上側部材25と、支柱ロック部材26とを備える。支柱下側部材24は、その一端である下端部でヒンジ部材23に連結される。支柱上側部材25は、支柱下側部材24の内部に摺動可能に挿通される。支柱ロック部材26は、支柱下側部材24の他端である上端側に設けられ、支柱上側部材25を支柱下側部材24に対して任意の位置で固定可能である。支柱下側部材24及び支柱上側部材25はいずれも金属製である。支柱20の先端には合成樹脂製の先端キャップ27が装着されている。支柱20は、立てた状態ではベース部10の上面部11に立設される台座部15の上に載置された状態を取る。
【0023】
ベース部10と支柱20との間には、ステー30が設けられている。ステー30の一方の端部はベース部側ヒンジ37を介してベース部10の上面部11に回動可能に連結されている。ステー30の他方の端部は支柱側ヒンジ38を介して支柱20に回動可能に連結されている。ステー30は、内部が中空の棒状に形成される外側部材31と、内部が中空の棒状に形成される内側部材32と、ロック部材33とを備える。外側部材31は、その一端で支柱側ヒンジ38に連結される。内側部材32は、外側部材31の内部に摺動可能に挿通されるとともに、他端でベース部側ヒンジ37に連結される。ロック部材33は、外側部材31の他端に設けられ、内側部材32を外側部材31に対して任意の位置で固定可能である。外側部材31及び内側部材32はいずれも金属製である。
【0024】
ステー30は支柱20の回動に伴い伸縮可能であるとともに、任意の長さで固定可能となっている。図1図2及び図3の状態ではステー30は伸長した状態で固定されている。この図1図2及び図3の状態から、支柱20を短縮させて閉鎖させつつ、ステー30を短縮させると、それぞれ図4図5及び図6のように支柱20が折り畳まれた収納状態となる。
【0025】
図4は、本実施形態の折り畳みバリケードスタンド1において、支柱20を折り畳んだ状態を側面図にて示すものである。また、図5及び図6は、図4の状態をそれぞれ正面斜視図及び背面斜視図で示すものである。
【0026】
図4図5及び図6に示す状態では、支柱20の支柱上側部材25が支柱下側部材24に収容された状態で支柱ロック部材26により固定され、同時に、ステー30の内側部材32が、ロック部材33が解除されたまま外側部材31に収容された状態となっている。この状態で、ベース部10、ステー30及び支柱20は互いに平行な位置で折り畳まれている。なお、支柱20が折り畳まれた状態においても、ロック部材33がステー30をロックするように形成してもよい。
【0027】
ベース部10の正面側、すなわち、ヒンジ取付ブラケット17が設けられている側には、図5及び図6に示すように把手孔18が貫通している。支柱20が折り畳まれた状態で、この把手孔18に手指を入れて折り畳みバリケードスタンド1を持ち運ぶことができる。なお、図4図5及び図6に示す状態では、持ち運ぶ際に支柱20が不意に動かないよう、ベース部10に取り付けたベルト等で支柱20を締結して固定することが望ましい。
【0028】
図7は、支柱上側部材25の下端部分を示す斜視図である。支柱上側部材25は、金属製の長尺部材である。その断面は略長方形状を呈し、その下方端部側面、換言すると長辺側の両側面に、長手方向に沿って断面コの字状の金属製のガイド部材25Aが、ブラインドリベット25A1で固定された状態で装着されている。また、ガイド部材25Aが設けられていない側面の一方には、内方に嵌入した溝であるリベット避け溝25Bが設けられている。
【0029】
図8は、支柱上側部材25が支柱下側部材24に収容されている状態を、軸心に垂直な断面図で示したものである。支柱下側部材24もまた、金属製の長尺部材である。支柱下側部材24は断面略長方形状を呈し、その長辺側の内側面の両方には、ガイド部材25Aの幅を収容可能な距離を間隔として、内方に平行に突出する1対の突条である、規制レール部24Aが設けられている。
【0030】
支柱上側部材25のガイド部材25Aは規制レール部24Aの間に収容されるとともに、規制レール部24Aに沿って上下方向に摺動可能である。また、図8に示すように、支柱上側部材25は支柱下側部材24に対してクリアランスを有しつつも、ガイド部材25Aが規制レール部24Aで規制されることで、支柱上側部材25を支柱下側部材24に対してスムーズに摺動させることができる。なお、ガイド部材25Aは、一方だけに設けられていてもよく、その場合、規制レール部24Aもまた対応する一方だけに設けられていてもよい。
【0031】
図9は、支柱ロック部材26を分解した状態を斜視図にて示す。支柱ロック部材26は、合成樹脂製の支柱カバー部材26Aと、金属製の支柱押圧操作部材26Cと、これとは異なる金属製の支柱押圧部材26Bとで構成される。支柱カバー部材26Aは、両端の開口を貫通する貫通部26A3と、外周の一面から突設される1対の支持板26A4と、支持板26A4を幅方向に貫通する軸孔26A5と、支持板26A4と支持板26A4との間において該一面を貫通する押圧孔26A6とを備える。支柱カバー部材26Aは、支柱下側部材24の上端側の外周を覆うように装着される部材である。支柱押圧部材26Bは、一辺の長さの異なる2つの正四角柱が、中心を同一に積層された形状を呈する。その2つの正四角柱のうち、一辺の長さがより長い方が被圧部26B1で、より短い方が押圧部26B2である。支持板26A4と支持板26A4との間に設けられる収容部26A8には支柱押圧部材26Bの被圧部26B1が収容される。収容部26A8と連通する押圧孔26A6には支柱押圧部材26Bの押圧部26B2が挿通される。支柱押圧操作部材26Cは、略円柱状の軸支部26C4と、軸支部26C4の側面の一部から延設される操作部26C5とで構成される。軸支部26C4には幅方向の貫通孔である軸孔26C3が設けられる。26C3の近傍には、別部材である円柱状の滑動ピン26C2(支柱押圧操作部材26Cとは異なる金属製)が埋設される。
【0032】
支柱下側部材24と、支柱上側部材25と、支柱ロック部材26とを組み付けた状態を図10Aの断面図にて示す。図10Aは、支柱20において支柱下側部材24と支柱上側部材25とが固定されていない状態(非固定状態)を、軸心に沿った断面図にて示している。支柱カバー部材26Aの、押圧孔26A6(図9参照)の設けられている側(ここでは「下端側」とする。)から、支柱上側部材25を収容した支柱下側部材24の上端が差し込まれる。この支柱下側部材24の上端は、貫通部26A3(図9参照)の上方端部側で内方に突設される係止フランジ26A7に当接してこれ以上挿入できなくなったところで、支柱下側部材24のみが支柱カバー部材26Aとブラインドリベット26A2にて固定される。このとき、ブラインドリベット26A2はリベット避け溝25B(図7参照)に入るため、ブラインドリベット26A2は支柱上側部材25とは干渉しない。また、支柱下側部材24が収容部26A8と対面する側には固定孔24Bが設けられる。そして、収容部26A8に支柱押圧部材26Bの被圧部26B1が収容され、押圧孔26A6に支柱押圧部材26Bの押圧部26B2が差し込まれた状態で、支柱押圧操作部材26Cが支柱カバー部材26Aに取り付けられる。すなわち、支柱押圧操作部材26Cの軸孔26C3と支柱カバー部材26Aの軸孔26A5とを位置合わせしてから、回転軸26C6を挿入して固定する。非固定状態においては、支柱押圧部材26Bは支柱上側部材25に対して押圧されていないので、支柱上側部材25は支柱下側部材24に対して出没自在となっている。
【0033】
この図10Aに示す状態から、支柱上側部材25が任意の長さだけ引き出されたところで、支柱押圧操作部材26Cを図面上で左回転させると、支柱20は図10Bの断面図に示す固定状態となる。この状態で、支柱押圧操作部材26Cの軸支部26C4において滑動ピン26C2が設けられている部分の近傍が、支柱押圧部材26Bの被圧部26B1を押圧し、これに伴い押圧部26B2が支柱下側部材24の固定孔24Bを通して支柱上側部材25を押圧することで、支柱上側部材25は支柱下側部材24に対して固定した状態が維持される。滑動ピン26C2は、支柱押圧操作部材26Cが支柱押圧部材26Bと接触する際の摺動性を向上させる。
【0034】
図11は、支柱下側部材24及び支柱上側部材25が挿通された状態の支柱ロック部材26を上方視にて示している。ただし、支柱下側部材24及び支柱上側部材25は断面図にて示している。また、支柱押圧部材26B及び支柱押圧操作部材26Cは省略している。支柱カバー部材26Aの貫通部26A3(図9参照)の上端側には、先述の通り内方に突設される係止フランジ26A7が形成されている。この係止フランジ26A7のガイド部材25Aに対応する部分は、さらに内方に突出することで、このガイド部材25Aがその突出した部分に当接することになっている。換言すると、ガイド部材25Aを含んだ支柱上側部材25の幅W1は、支柱カバー部材26Aの上方端部側の開口の幅、すなわち、係止フランジ26A7の辺縁間の幅W2を上回っている。これにより、非固定状態においても、支柱上側部材25を上方に伸長させる際に、ガイド部材25Aの上端が係止フランジ26A7に当接することで、支柱上側部材25が支柱ロック部材26から脱けるのを防止している。なお、ガイド部材25Aが一方だけに設けられているときには、係止フランジ26A7のガイド部材25Aに対応する部分もまた対応する一方だけに設けられていてもよい。
【0035】
ステー30においては、図1図3に示すように、外側部材31の上端部分には支柱側ヒンジ38が装着され、下端部分の開放端にはロック部材33が装着されている。一方、内側部材32の下端部分にはベース部側ヒンジ37が装着され、上端部分は、ロック部材33が装着されている外側部材31の開放端に挿入される。
【0036】
図12は、ロック部材33を分解した状態を斜視図にて示す。ロック部材33は、合成樹脂製のカバー部材34と、金属製の押圧操作部材36と、これとは異なる金属製の押圧部材35と、で構成される。カバー部材34は、両端の開口を貫通する貫通部34Cと、外周の一面から突設される1対の支持板34Dと、支持板34Dを幅方向に貫通する軸孔34Eと、支持板34Dと支持板34Dとの間において該一面を貫通する押圧孔34Fとを備える。押圧部材35は、一辺の長さの異なる2つの正四角柱が、中心を同一に積層された形状を呈する。その2つの正四角柱のうち、一辺の長さがより長い方が被圧部35Aで、より短い方が押圧部35Bである。支持板34Dと支持板34Dとの間に設けられる収容部34Hには押圧部材35の被圧部35Aが収容される。収容部34Hと連通する押圧孔34Fには押圧部材35の押圧部35Bが挿通される。押圧操作部材36は、略円柱状の軸支部36Dと、軸支部36Dの側面の一部から延設される操作部36Eとで構成される。軸支部36Dには幅方向の貫通孔である軸孔36Cが設けられる。軸孔36Cの近傍には、別部材である円柱状の滑動ピン36B(押圧操作部材36とは異なる金属製)が埋設される。
【0037】
外側部材31と、内側部材32と、ロック部材33とを組み付けた状態を図13Aの断面図にて示す。図13Aは、ステー30において外側部材31と内側部材32とが固定されていない状態(非固定状態)を、軸心に沿った断面図にて示している。カバー部材34の、押圧孔34F(図12参照)の設けられている側(ここでは「上端側」とする。)から、外側部材31の下端が差し込まれる。この外側部材31の下端は、貫通部34C(図12参照)の下端側で内方に突設される係止フランジ34Gに当接してこれ以上挿入できなくなったところで、ブラインドリベット34Bにて固定される。一方、上端側とは反対側の下端側からは内側部材32の上端が挿入される。また、外側部材31が収容部34Hと対面する側には固定孔31Aが設けられる。そして、収容部34Hに押圧部材35の被圧部35Aが収容され、押圧孔34Fに押圧部材35の被圧部35Aが差し込まれた状態で、押圧操作部材36がカバー部材34に取り付けられる。すなわち、押圧操作部材36の軸孔36Cとカバー部材34の軸孔34Eとを位置合わせしてから、回転軸36Fを挿入して固定する。非固定状態においては、押圧部材35は内側部材32に対して押圧されていないので、内側部材32は外側部材31に対して出没自在となっている。
【0038】
この図13Aに示す状態から、内側部材32が任意の長さだけ引き出されたところで、押圧操作部材36を図面上で左回転させると、ステー30は図13Bの断面図に示す固定状態となる。この状態で、押圧操作部材36の軸支部36Dにおいて滑動ピン36Bが設けられている部分の近傍が、押圧部材35の被圧部35Aを押圧し、これに伴い押圧部35Bが外側部材31の固定孔31Aを通して内側部材32を押圧することで、内側部材32は外側部材31に対して固定した状態が維持される。滑動ピン36Bは、押圧操作部材36が押圧部材35と接触する際の摺動性を向上させる。
【0039】
本実施形態の折り畳みバリケードスタンド1を設置する際には、まず、図4図6に示す折り畳み状態から、まずステー30のロック部材33を非固定状態(図13A参照)にしたまま、支柱20の支柱下側部材24の下端が、台座部15の上端に当接するまで回動させる。この状態で、ロック部材33を固定状態(図13B参照)とすることで、支柱20をベース部10に対して垂直に立てる状態で固定できる。そして、支柱ロック部材26を非固定状態(図10A参照)にした上で、支柱上側部材25を伸長させて、所望の長さで支柱ロック部材26を固定状態(図10B参照)にする。
【0040】
本実施形態の折り畳みバリケードスタンド1の支柱20は、ステー30の長さを調整して固定することで、図1図3に示す立設状態から任意の傾斜角度で固定することが可能となる。また、傾斜面にベース部10を設置するような場合には支柱20を鉛直に立設させることも可能となる。
【0041】
なお、ベース部10は各図面に示すような板状の部材として形成される必要はなく、たとえば中空に形成して中に水を入れることができる形状の部材として形成し、折り畳み時は持ち運びやすいように水を捨てて軽くして、支柱20を立てたときは水を入れて重くして動きにくくさせることも可能である。
【0042】
(2)折り畳みバリケード
図14は、(1)で説明した折り畳みバリケードスタンド1を複数台(図中では2台)備え、折り畳みバリケードスタンド1の各々の支柱20の間に掛け渡される侵入阻止材40を備えた折り畳みバリケード2を斜視図で示す。侵入阻止材40は、一方の支柱20に磁石又は粘着テープその他の付着手段で付着される巻取部41と、他方の支柱に同様の付着手段で付着される支着部42と、巻取部41と支着部42との間に張設されるバリケードテープ43とで構成される。バリケードテープ43は、支柱20の間の距離に応じて任意の長さで引き出すことが可能である。また、各々の支柱20の上端にある先端キャップ27の上には発光装置50が載置される。この発光装置50は、夜間に歩行者等に折り畳みバリケードスタンドの存在を認知させるための安全上の目的で設けられ、たとえば警告灯を点灯する、小型プロジェクターで地面に警告表示を投影する等が行われる。なお、折り畳みバリケード2は3台以上の折り畳みバリケードスタンド1を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 折り畳みバリケードスタンド 2 折り畳みバリケード 10 ベース部 11 上面部 15 台座部 17 ヒンジ取付ブラケット 18 把手孔 20 支柱 23 ヒンジ部材 24 支柱下側部材 24A 規制レール部 24B 固定孔 25 支柱上側部材 25A ガイド部材 25A1 ブラインドリベット 25B リベット避け溝 26 支柱ロック部材 26A 支柱カバー部材 26A2 ブラインドリベット 26A3 貫通部 26A4 支持板 26A5 軸孔 26A6 押圧孔 26A7 係止フランジ 26A8 収容部 26B 支柱押圧部材 26B1 被圧部 26B2 押圧部 26C 支柱押圧操作部材 26C2 滑動ピン 26C3 軸孔 26C4 軸支部 26C5 操作部 26C6 回転軸 27 先端キャップ 30 ステー 31 外側部材 31A 固定孔 32 内側部材 33 ロック部材 34 カバー部材 34B ブラインドリベット 34C 貫通部 34D 支持板 34E 軸孔 34F 押圧孔 34G 係止フランジ 34H 収容部 35 押圧部材 35A 被圧部 35B 押圧部 36押圧操作部材 36B 滑動ピン 36C 軸孔 36D 軸支部 36E 操作部 36F 回転軸 37 ベース部側ヒンジ 38 支柱側ヒンジ 40 侵入阻止材 41 巻取部 42 支着部 43 バリケードテープ 50 発光装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14