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特開2022-167686レーダ信号処理装置及びレーダ信号処理プログラム
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  • 特開-レーダ信号処理装置及びレーダ信号処理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167686
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】レーダ信号処理装置及びレーダ信号処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/40 20060101AFI20221027BHJP
   G01S 13/02 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G01S7/40 121
G01S13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073652
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】318006365
【氏名又は名称】JRCモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】西山 拓真
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
5J070AH31
5J070AH35
5J070AH40
5J070AK07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射経路が、レーダの設計段階では不明であり、レーダの個体差、温度変化、経年変化及び筐体変更等で変動しても、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定することを目的とする。
【解決手段】本開示は、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定する検出閾値設定部8と、反射電力と検出閾値との間の大小関係に基づいて、近傍不要波を物標反射波と誤検知することなく、物標反射波を検出する物標反射波検出部9と、を備え、検出閾値設定部8は、リーク電波の電力の変動及び多重反射の経路の変動のうちの少なくともいずれかに応じて、検出閾値を可変に設定することを特徴とするレーダ信号処理装置Rである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定する検出閾値設定部と、
前記反射電力と前記検出閾値との間の大小関係に基づいて、前記近傍不要波を前記物標反射波と誤検知することなく、前記物標反射波を検出する物標反射波検出部と、
を備えることを特徴とするレーダ信号処理装置。
【請求項2】
前記検出閾値設定部は、前記リーク電波の電力の変動及び前記多重反射の経路の変動のうちの少なくともいずれかに応じて、前記検出閾値を可変に設定する
ことを特徴とする、請求項1に記載のレーダ信号処理装置。
【請求項3】
前記検出閾値設定部は、前記反射電力がdB単位で表わされるときに、前記検出閾値が物標距離の増加に対して線形的に減少するように、前記検出閾値を設定する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のレーダ信号処理装置。
【請求項4】
0m近傍の物標距離の前記近傍不要波及び前記物標反射波をA/D(Analog/Digital)変換部の有効スケールまで減衰させる反射電力減衰部、をさらに備え、
前記検出閾値設定部は、前記反射電力がdB単位で表わされるときに、前記検出閾値が0m近傍の物標距離の減少に対して減少するように、前記検出閾値を設定する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のレーダ信号処理装置。
【請求項5】
リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定する検出閾値設定ステップと、
前記反射電力と前記検出閾値との間の大小関係に基づいて、前記近傍不要波を前記物標反射波と誤検知することなく、前記物標反射波を検出する物標反射波検出ステップと、
を順にコンピュータに実行させるためのレーダ信号処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、近傍不要波を物標反射波と誤検知しないための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近傍不要波を物標反射波と誤検知しないための技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定する。そして、反射電力と検出閾値との間の大小関係に基づいて、近傍不要波を物標反射波と誤検知することなく、物標反射波を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-300101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、集積回路(レーダIC等)、給電線(導波管等)及び送信アンテナ端等から、レーダ筐体内の多重反射を経て、受信アンテナ端等へと、リーク電波が伝搬することが、考慮されていない。そして、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射経路は、レーダの設計段階では不明であり、レーダの個体差、温度変化、経年変化及び筐体変更等で変動する。よって、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定することができなかった。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射経路が、レーダの設計段階では不明であり、レーダの個体差、温度変化、経年変化及び筐体変更等で変動しても、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定することとした。そして、リーク電波の電力の変動及び多重反射の経路の変動のうちの少なくともいずれかに応じて、反射電力に対する検出閾値を可変に設定することとした。
【0007】
具体的には、本開示は、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定する検出閾値設定部と、前記反射電力と前記検出閾値との間の大小関係に基づいて、前記近傍不要波を前記物標反射波と誤検知することなく、前記物標反射波を検出する物標反射波検出部と、を備えることを特徴とするレーダ信号処理装置である。
【0008】
また、本開示は、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定する検出閾値設定ステップと、前記反射電力と前記検出閾値との間の大小関係に基づいて、前記近傍不要波を前記物標反射波と誤検知することなく、前記物標反射波を検出する物標反射波検出ステップと、を順にコンピュータに実行させるためのレーダ信号処理プログラムである。
【0009】
これらの構成によれば、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射経路が、レーダの設計・運用段階で不明であっても、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定することができる。
【0010】
また、本開示は、前記検出閾値設定部は、前記リーク電波の電力の変動及び前記多重反射の経路の変動のうちの少なくともいずれかに応じて、前記検出閾値を可変に設定することを特徴とするレーダ信号処理装置である。
【0011】
この構成によれば、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射経路が、レーダの設計・運用段階では不明であり、レーダの個体差、温度変化、経年変化及び筐体変更等で変動しても、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定することができる。
【0012】
また、本開示は、前記検出閾値設定部は、前記反射電力がdB単位で表わされるときに、前記検出閾値が物標距離の増加に対して線形的に減少するように、前記検出閾値を設定することを特徴とするレーダ信号処理装置である。
【0013】
この構成によれば、多重反射(反射回数及び反射物形状(点又は面等)は任意)を含むレーダ方程式に基づいて、反射電力に対する検出閾値を設定することができる。
【0014】
また、本開示は、0m近傍の物標距離の前記近傍不要波及び前記物標反射波をA/D(Analog/Digital)変換部の有効スケールまで減衰させる反射電力減衰部、をさらに備え、前記検出閾値設定部は、前記反射電力がdB単位で表わされるときに、前記検出閾値が0m近傍の物標距離の減少に対して減少するように、前記検出閾値を設定することを特徴とするレーダ信号処理装置である。
【0015】
この構成によれば、反射電力減衰部(ハイパスフィルタ部又は近傍距離減衰部)での減衰特性に基づいて、反射電力に対する検出閾値を設定することができる。
【発明の効果】
【0016】
このように、本開示は、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射経路が、レーダの設計段階では不明であり、レーダの個体差、温度変化、経年変化及び筐体変更等で変動しても、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力に対する検出閾値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示のレーダ信号処理装置の構成を示す図である。
図2】本開示のレーダ信号処理プログラムの手順を示す図である。
図3】本開示のレーダ信号処理内容の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0019】
本開示のレーダ信号処理装置の構成を図1に示す。レーダ信号処理装置Rは、送信アンテナ1、受信アンテナ2、ミキサ3、発振器4、ハイパスフィルタ部5、A/D変換部6、物標距離解析部7、検出閾値設定部8及び物標反射波検出部9を備える。
【0020】
レーダ信号処理装置Rは、FMCW(Frequency Modulation-Continuous Wave)レーダである。ミキサ3及び発振器4は、送信信号と受信信号との間のビート信号を算出する。A/D変換部6は、送信信号と受信信号との間のビート信号をA/D変換する。物標距離解析部7は、送信信号と受信信号との間のビート信号を時間軸方向にフーリエ変換することにより、物標距離を解析する。
【0021】
ここで、集積回路(レーダIC等)、給電線(導波管等)及び送信アンテナ1のアンテナ端等から、レーダ筐体内の多重反射を経て、受信アンテナ2のアンテナ端等へと、リーク電波が伝搬する。そして、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射経路は、レーダの設計段階では不明であり、レーダの個体差、温度変化、経年変化及び筐体変更等で変動する。
【0022】
そこで、検出閾値設定部8は、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、かつ、リーク電波の電力の変動及び多重反射の経路の変動のうちの少なくともいずれかに応じて、反射電力に対する検出閾値を可変に設定する。そして、物標反射波検出部9は、反射電力と検出閾値との間の大小関係に基づいて、近傍不要波を物標反射波と誤検知することなく、物標反射波を検出する。
【0023】
さらに、A/D変換部6は、数ビット分の有効スケールを有する。しかし、0m近傍の物標距離では、送信信号と受信信号との間のビート信号の電力は大きい。そこで、ハイパスフィルタ部5は、送信信号と受信信号との間のビート信号の高周波成分を除去する。
【0024】
以下に、検出閾値設定及び物標反射波検出を具体的に説明する。本開示のレーダ信号処理プログラムの手順を図2に示す。本開示のレーダ信号処理内容の具体例を図3に示す。
【0025】
検出閾値設定部8は、リーク電波の電力の変動及び多重反射の経路の変動のうちの少なくともいずれかに応じて、反射電力に対する検出閾値を可変に設定する命令を取得する(ステップS1)。ここで、検出閾値設定のタイミングとして、レーダ装置の試験のタイミング、定期的な校正のタイミング及びレーダ筐体の変更のタイミング等が挙げられる。
【0026】
検出閾値設定部8は、周囲に物標が「ない」環境において、反射電力y[dB]-物標距離x[m]のデータを取得する(ステップS2)。図3の左上欄では、物標距離0m~約2mにおいて、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が検出され、物標距離0m~約0.4mにおいて、ハイパスフィルタ部5による近傍不要波の電力減衰が検出され、物標距離約2m~約6mにおいて、ノイズ信号が検出される。
【0027】
検出閾値設定部8は、ノイズフロアn[dB]を算出し、ノイズの検出閾値t[dB]を設定する(ステップS3)。図3の中上欄では、物標距離2m~6mにおいて、ノイズフロア=約15[dB]が算出され、ノイズの検出閾値=約15[dB]が設定される。
【0028】
検出閾値設定部8は、物標距離0[m]から開始して、ノイズフロアn[dB]を下回る物標距離x[m]を算出し、当該区間内の最大電力の物標距離x[m]を算出する(ステップS4)。図3の右上欄では、ノイズフロアn[dB]を下回る物標距離=約2mが算出され、当該区間内の最大電力の物標距離=約0.4mが算出される。
【0029】
検出閾値設定部8は、当該区間内の最大電力の物標距離x[m]から、ノイズフロアn[dB]を下回る物標距離x[m]までの、反射電力y[dB]-物標距離x[m]のデータを、y[dB]=a[dB/m]x[m]+b[dB]で近似する(ステップS5)。図3の左下欄では、最小二乗法を用いて、近似直線(a<0)が算出される。
【0030】
検出閾値設定部8は、物標距離0[m]から、当該区間内の最大電力の物標距離x[m]までの、反射電力y[dB]-物標距離x[m]のデータを、y[dB]=a[dB/m]x[m]+b[dB]で近似する(ステップS6)。図3の左下欄では、最小二乗法を用いて、近似直線(a>0)が算出される(後述のように、曲線近似可能。)。
【0031】
検出閾値設定部8は、当該区間内の最大電力の物標距離x[m]から、ノイズフロアn[dB]を下回る物標距離x[m]までの、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]を、y[dB]=a[dB/m]x[m]+b[dB]+t[dB]に設定する(ステップS7)。図3の中下欄では、近似直線(a<0)にノイズの検出閾値t[dB]が加算され、検出閾値y[dB](a<0)が算出される。
【0032】
このように、検出閾値設定部8は、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]が物標距離x[m]の増加に対して線形的に減少するように、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]を設定する。よって、検出閾値設定部8は、多重反射(反射回数及び反射物形状(点又は面等)は任意)を含むレーダ方程式に基づいて、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]を設定することができる。
【0033】
検出閾値設定部8は、物標距離0[m]から、当該区間内の最大電力の物標距離x[m]までの、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]を、y[dB]=a[dB/m]x[m]+b[dB]+t[dB]に設定する(ステップS8)。図3の中下欄では、近似直線(a>0)にノイズの検出閾値t[dB]が加算され、検出閾値y[dB](a>0)が算出される(後述のように、曲線近似可能。)。
【0034】
このように、検出閾値設定部8は、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]が0m近傍の物標距離の減少に対して減少するように、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]を設定する。よって、検出閾値設定部8は、ハイパスフィルタ部5での減衰特性(0m近傍の物標距離の近傍不要波をA/D変換部6の有効スケールに減衰)に基づいて、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]を設定することができる。
【0035】
検出閾値設定部8は、ノイズフロアn[dB]を下回る物標距離x[m]より長距離の物標距離x[m]での、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]を、y[dB]=n[dB]+t[dB]に設定する(ステップS9、図3の中下欄)。
【0036】
物標反射波検出部9は、周囲に物標が「ある」環境において、反射電力y[dB]-物標距離x[m]のデータを取得する(ステップS10)。図3の右下欄では、物標距離0m~約2mにおいて、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が検出され、物標距離0m~約0.4mにおいて、ハイパスフィルタ部5による近傍不要波の電力減衰が検出され、物標距離約2m~約6mにおいて、ノイズ信号が検出され、物標距離約1mにおいて、近傍不要波に重畳された物標反射波が検出される。
【0037】
物標反射波検出部9は、反射電力y[dB]と検出閾値y[dB]との間の大小関係に基づいて、近傍不要波を物標反射波と誤検知することなく、物標反射波を検出する(ステップS11)。図3の右下欄では、物標距離約1mにおいて、反射電力y[dB]が検出閾値y[dB]より大きく、物標反射波が検出され、物標距離約1m以外において、反射電力y[dB]が検出閾値y[dB]より小さく、物標反射波が検出されない。
【0038】
このように、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射経路が、レーダの設計・運用段階では不明であり、レーダの個体差、温度変化、経年変化及び筐体変更等で変動しても、リーク電波のレーダ筐体内の多重反射による近傍不要波が物標反射波と誤検知されないように、反射電力y[dB]に対する検出閾値y[dB]を設定することができる。
【0039】
以上の実施形態では、レーダ信号処理装置Rは、FMCWレーダであり、ハイパスフィルタ部5は、0m近傍の物標距離の近傍不要波及び物標反射波を、A/D変換部6の有効スケールまで減衰させる。実施形態の変形例として、レーダ信号処理装置Rは、パルスレーダであってもよく、近傍距離減衰部(不図示)は、0m近傍の物標距離の近傍不要波及び物標反射波を、A/D変換部6の有効スケールまで減衰させてもよい。
【0040】
以上の実施形態では、検出閾値設定部8は、ハイパスフィルタ部5又は近傍距離減衰部(不図示)での減衰特性に応じて、検出閾値y[dB]が0m近傍の物標距離の減少に対して「線形的に」減少するように、検出閾値y[dB]を設定する。実施形態の変形例として、検出閾値設定部8は、ハイパスフィルタ部5又は近傍距離減衰部(不図示)での減衰特性に応じて、検出閾値y[dB]が0m近傍の物標距離の減少に対して「非線形的に」減少するように、検出閾値y[dB]を設定してもよい。
【0041】
以上の実施形態では、検出閾値設定部8は、0m近傍以外の物標距離において、検出閾値y[dB]=a[dB/m]x[m]+b[dB]+t[dB]を設定し、0m近傍の物標距離において、検出閾値y[dB]=a[dB/m]x[m]+b[dB]+t[dB]を設定する。実施形態の変形例として、検出閾値設定部8は、0m近傍以外の物標距離のみならず、0m近傍の物標距離においても、同一の検出閾値y[dB]=a[dB/m]x[m]+b[dB]+t[dB]を設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示のレーダ信号処理装置及びレーダ信号処理プログラムは、ミリ波帯等の高周波帯を用いる、FMCWレーダ及びパルスレーダ等の測距レーダに適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
R:レーダ信号処理装置
1:送信アンテナ
2:受信アンテナ
3:ミキサ
4:発振器
5:ハイパスフィルタ部
6:A/D変換部
7:物標距離解析部
8:検出閾値設定部
9:物標反射波検出部
図1
図2
図3