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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167696
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】流量調整弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/03 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
F16K3/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073667
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】594165734
【氏名又は名称】イハラサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 竜也
【テーマコード(参考)】
3H053
【Fターム(参考)】
3H053AA11
3H053BA12
3H053BC03
(57)【要約】
【課題】流量調整可能であって圧力損失の小さい流量調整弁を提供すること。
【解決手段】流量調整弁1は、ケース2と、ケース2の内面23に沿って配置される複数の絞り駒3と、複数の絞り駒3を絞り移動可能に回転操作されるハンドル4と、ケース2およびハンドル4を覆うカバー5とを備える。ケース2の内面23には、ハンドル4の回転操作において複数の絞り駒3にそれぞれ摺接する複数の摺接案内面231が形成される。複数の摺接案内面231は、ハンドル4の回転操作によって複数の絞り駒3に移動力が加わる方向よりも、流体通路6側に向かって延びる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースの内面に沿って配置される複数の絞り駒と、前記複数の絞り駒を絞り移動可能に回転操作されるハンドルと、前記ケースおよび前記ハンドルを覆うカバーとを備え、
前記ハンドルは、流体が流れる流体通路を形成する通路孔と、前記通路孔の周囲において前記流体が流れる流れ方向に交差する交差方向に延びる複数の長穴および前記複数の長穴にそれぞれ配置される連結ピンのうちの一方とを有し、
前記複数の絞り駒は、前記長穴および前記連結ピンのうちの他方を有し、
前記ケースの内面には、前記ハンドルの回転操作において前記複数の絞り駒にそれぞれ摺接する複数の摺接案内面が形成され、
前記複数の摺接案内面は、前記ハンドルの回転操作によって前記複数の絞り駒に移動力が加わる方向よりも、前記流体通路側に向かって延びる流量調整弁。
【請求項2】
前記摺接案内面には、前記絞り駒を当該摺接案内面に沿って案内可能に当該絞り駒と嵌合するガイド部が形成される請求項1に記載の流量調整弁。
【請求項3】
前記摺接案内面は、直線的に延びた平面によって形成される請求項1または請求項2に記載の流量調整弁。
【請求項4】
前記複数の絞り駒は、前記摺接案内面に摺接する第一摺接面と、前記流体通路を形成する絞り面と、前記複数の絞り駒のうち隣り合う絞り駒の前記絞り面が摺接する第二摺接面とを有し、
前記隣り合う絞り駒の前記絞り面と前記第二摺接面とは、同方向に沿って配置される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流量調整弁。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記通路孔および前記複数の長穴が形成されたハンドル本体部と、前記ハンドル本体部から前記交差方向に突出したハンドル突起部とを備え、
前記ハンドル突起部には、ロックナットが前記ケースおよび前記カバーのうちの少なくとも一方の外周面に当接可能に螺合する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の流量調整弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量調整弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁箱と、弁箱の弁座に接離可能に昇降するステムとを備えたグローブ弁が知られている(特許文献1参照)。このグローブ弁では、ステムの昇降によって弁箱内を流れる流体の流量を調整可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-12484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のグローブ弁では、弁箱内を流れる流体の流れ方向は弁座を通る際に前記流れ方向に直交する直交方向に一旦変わるので、その分、圧力損失が大きくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、流量調整可能であって圧力損失の小さい流量調整弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流量調整弁は、ケースと、前記ケースの内面に沿って配置される複数の絞り駒と、前記複数の絞り駒を絞り移動可能に回転操作されるハンドルと、前記ケースおよび前記ハンドルを覆うカバーとを備え、前記ハンドルは、流体が流れる流体通路を形成する通路孔と、前記通路孔の周囲において前記流体が流れる流れ方向に交差する交差方向に延びる複数の長穴および前記複数の長穴にそれぞれ配置される連結ピンのうちの一方とを有し、前記複数の絞り駒は、前記長穴および前記連結ピンのうちの他方を有し、前記ケースの内面には、前記ハンドルの回転操作において前記複数の絞り駒にそれぞれ摺接する複数の摺接案内面が形成され、前記複数の摺接案内面は、前記ハンドルの回転操作によって前記複数の絞り駒に移動力が加わる方向よりも、前記流体通路側に向かって延びる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、流量調整可能であって圧力損失の小さい流量調整弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る流量調整弁を示す分解斜視図。
図2】第1実施形態に係る流量調整弁を示す縦断面図。
図3】第1実施形態に係る流量調整弁の開放状態を示す平面図。
図4】第1実施形態に係る流量調整弁の絞り状態を示す平面図。
図5】第1実施形態に係る流量調整弁の閉鎖状態を示す平面図。
図6】第1実施形態に係る流量調整弁の開放状態における絞り駒の説明図。
図7】第1実施形態に係る流量調整弁の絞り状態における絞り駒の説明図。
図8】第1実施形態に係る流量調整弁の閉鎖状態における絞り駒の説明図。
図9】本発明の第2実施形態に係る流量調整弁を示す分解斜視図。
図10】第2実施形態に係る流量調整弁の開放状態を示す平面図。
図11】第2実施形態に係る流量調整弁の閉鎖状態を示す平面図。
図12】第2実施形態に係る流量調整弁の開放状態における絞り駒を示す説明図。
図13】第2実施形態に係る流量調整弁の絞り状態における絞り駒を示す説明図。
図14】第2実施形態に係る流量調整弁の閉鎖状態における絞り駒を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図5において、第1実施形態に係る流量調整弁1は、ケース2と、ケース2の内面23に沿って配置される複数の絞り駒3と、複数の絞り駒3を絞り移動可能に回転操作されるハンドル4と、ケース2およびハンドル4を覆うカバー5とを備えている。この流量調整弁1は、ケース2、複数の絞り駒3で囲まれる中央部分、ハンドル4およびカバー5を貫いた流体通路6が形成されており、この流体通路6を流体7が流れる。
【0010】
以下の説明において、第1実施形態では、X軸方向を流量調整弁1の左右方向とし、X軸方向に直交するY軸方向を流量調整弁1の奥行方向(前後方向)とし、X,Y軸方向に直交するZ軸方向を流量調整弁1の上下方向とする。
【0011】
ケース2は、四辺形板状のケース本体21と、ケース本体21の略中央に形成された通路孔22とを有している。通路孔22は、ケース本体21の略中央に流体通路6を形成している。通路孔22は、ケース本体21の内面23によって形成されており、絞り駒3(第1実施形態では6個)が納まる形状とされている。なお、ケース本体21は、第1実施形態では四辺形板状であるが、板状であれば円形形状でも三角等の多角形状でもよい。
【0012】
内面23には、ハンドル4の回転操作において絞り駒3の後述する第一摺接面311に摺接する摺接案内面231、摺接案内面231に連続する底面232、並びに底面232および他の摺接案内面231に連続する連続面233を有した収容部234が複数(第1実施形態では6個)形成されている。
【0013】
各収容部234の摺接案内面231は、ハンドル4の流体通路6の中心Cの周りでの回転操作によって、複数の絞り駒3に移動力が加わるA1方向よりも、流体通路6側に向かって直線的に延びた平面で形成されている。このため、複数の摺接案内面231は、A1方向よりも流体通路6側に向かって延びている(A2方向)。また、摺接案内面231には、絞り駒3を当該摺接案内面231に沿って離間せずに案内可能に当該絞り駒3と嵌合するガイド部235が形成されている。
【0014】
6個の絞り駒3は、互いに摺接するブロック状の駒本体31と、ハンドル4の後述する複数の長穴412にそれぞれ配置される連結ピン32とを有している。第1実施形態では、ハンドル4に長穴412が形成され、連結ピン32が絞り駒3に形成されるので、例えば絞り駒3に長穴412が形成され、連結ピン32がハンドル4に形成される場合と比べて、流量調整弁1を、圧力損失が少ない状態を維持しつつ小型化できる。
【0015】
駒本体31は、摺接案内面231に摺接する第一摺接面311と、流体通路6を形成する絞り面312と、複数の絞り駒3のうち隣り合う絞り駒3の絞り面312が摺接する第二摺接面313と、第一摺接面311および第二摺接面313に連続する底面314とを有して平面視略台形状に形成されている。第一摺接面311には、ガイド部235に嵌合する被ガイド部315が形成されている。ガイド部235および被ガイド部315は、互いに凹凸嵌合可能にレール状に形成されており、絞り駒3の下方への脱落を防止している。底面314は絞り面312よりも短くなっている。第一摺接面311および絞り面312の連続部分には面取りが施されている。隣り合う絞り駒3の絞り面312、第二摺接面313および連続面233は、同じB方向に沿って配置される。絞り面312は、図3に示す開放状態では、連続面233の延長線上に配置される。
【0016】
連結ピン32は、円柱状に形成され、駒本体31から後述するハンドル本体部41側に突出している。この連結ピン32は、ハンドル4の長穴412に沿って移動可能に当該長穴412に配置される。
【0017】
この複数の絞り駒3は、それぞれの絞り面312によって通路孔316を形成しており、通路孔316は流体通路6を形成している。
【0018】
ハンドル4は、円環状のハンドル本体部41と、ハンドル本体部41からZ軸方向に直交する方向に突出したハンドル突起部42とを備えている。
ハンドル4のR方向の回転操作量は、1/4回転もない程度であって、第1実施形態ではR方向の回転操作角度は40度程度であり、例えばグローブ弁などと比べて、少ない回転操作量で流量調整弁1を開放状態から閉鎖状態にできる。なお、絞り駒の個数を減らして構成すれば、ハンドル4の回転操作角度は増大する。
【0019】
ハンドル本体部41は、流体7が流れる流体通路6を略中央に形成する通路孔411と、通路孔411の周囲において流体7が流れる流れ方向(第1実施形態ではZ軸方向)に交差する交差方向(第1実施形態ではX,Y軸方向に沿った面方向)に放射状に延びる複数の長穴412(第1実施形態では6個)とを有している。
【0020】
ハンドル突起部42には、周面にネジ部421が形成されており、ネジ部421にはロックナット43が螺合する。ロックナット43は、ネジ部421に対する回転によってケース2およびカバー5の外周面に圧接してハンドル4をR方向に回転不能に止め、逆回転によって前記外周面から離間してハンドル4をR方向に回転可能な状態とする。ここで、ケース2およびカバー5のうちロックナット43が接触する外周面は円弧状に形成されている。
【0021】
カバー5は、カバー本体部51と、流体通路6を形成する筒状部52とを有している。カバー本体部51は、ケース2にネジ止めされるようになっており、ケース2との間でハンドル4をR方向に回転操作可能に挟み込んでいる。なお、カバー5は、流体通路6を形成可能であれば筒状部52を有していなくてもよい。
【0022】
[流量調整弁1の動作]
以下、第1実施形態に係る流量調整弁1の動作について説明する。
図3には流体通路6を開放した開放状態の流量調整弁1を示している。図4には流体通路6を絞った絞り状態の流量調整弁1を示している。図5には流体通路6を閉鎖した閉鎖状態の流量調整弁1を示している。また、図6には流量調整弁1の開放状態における任意の一つの絞り駒3を示しており、図7には流量調整弁1の絞り状態における前記一つの絞り駒3を示しており、図8には流量調整弁1の閉鎖状態における前記一つの絞り駒3を示している。
【0023】
まず、開放状態にある流量調整弁1のハンドル4をR方向に回転操作する。これにより、複数の連結ピン32には、ハンドル本体部41からR方向の移動力が加えられ、且つ、複数の長穴412に案内される。
また、複数の絞り駒3は、第一摺接面311がケース2の摺接案内面231に摺接しつつ当該摺接案内面231に沿って直線的に案内される。このため、絞り駒3は図6から図7に示すようにA2方向に移動する。
第二摺接面313および底面314は、ケース2の連続面233および底面232から離間し、絞り面312は、隣り合う絞り駒3の第二摺接面313に摺接する。
これにより、複数の絞り駒3は図4に示すように流体通路6を各絞り面312によって絞る動きとなる。
【0024】
続いて、絞り状態の流量調整弁1のハンドル4をR方向に回転操作し、第一摺接面311が摺接案内面231に沿って直線的に案内され、このため、絞り駒3は図7から図8に示すようにA2方向に移動する。複数の絞り駒3の絞り面312および第二摺接面313の連続する角部が図5に示すように接触することで通路孔316を閉じる。
これにより、流体通路6を閉鎖し、流量調整弁1を閉鎖状態とする。
【0025】
流量調整弁1を閉鎖状態から開放状態にする場合には、ハンドル4をR方向に逆回転操作する。これにより、流量調整弁1は、上記手順とは逆の手順を経て開放状態となる。
第1実施形態では、流量調整弁1の開放状態では、絞り駒3の底面314は、ケース2の底面232に接触する。また、開放状態では、絞り駒3の絞り面312は第二摺接面313と摺接状態を保っている。
【0026】
開放状態、絞り状態、閉鎖状態のいずれの状態でも、任意状態でロックナット43を回転して締めることで、ハンドル4の回転および複数の絞り駒3の移動を停止し、任意状態を保つことができる。
このように、第1実施形態に係る流量調整弁1は、流体通路6を開放し、絞り、閉鎖する。
【0027】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図9から図11において、第2実施形態に係る流量調整弁1Bは、3個の絞り駒3Bと、これに対応した3個の収容部234Bとを備えたものであり、第1実施形態に係る流量調整弁1と比べて、絞り駒3の個数が少ない分、部品点数を減らせるのでコストパフォーマンスに優れる。流量調整弁1Bは、ケース2Bと、ケース2Bの内面23Bに沿って配置される前述した3個の絞り駒3Bと、3個の絞り駒3を絞り移動可能に回転操作されるハンドル4Bと、ケース2Bおよびハンドル4Bを覆うカバー5Bとを備えている。この流量調整弁1Bは、ケース2B、3個の絞り駒3Bで囲まれる中央部分、ハンドル4Bおよびカバー5Bを貫いた流体通路6Bが形成されており、この流体通路6Bを流体7が流れる。
【0028】
以下の説明において、第2実施形態では、X軸方向を流量調整弁1Bの左右方向とし、X軸方向に直交するY軸方向を流量調整弁1Bの奥行方向(前後方向)とし、X,Y軸方向に直交するZ軸方向を流量調整弁1Bの上下方向とする。
【0029】
ケース2Bは、四辺形板状のケース本体21Bと、ケース本体21Bの略中央に形成された通路孔22Bとを有している。通路孔22Bは、ケース本体21の略中央に流体通路6Bを形成している。通路孔22は、ケース本体21の内面23Bによって形成されており、3個の絞り駒3Bが納まる形状とされている。
【0030】
内面23Bには、ハンドル4Bの回転操作において絞り駒3Bの後述する第一摺接面311Bに摺接する摺接案内面231B、摺接案内面231Bに連続する底面232B、並びに底面232Bおよび他の摺接案内面231Bに連続する連続面233Bを有した収容部234Bが複数(第2実施形態では3個)形成されている。
【0031】
各収容部234Bの摺接案内面231Bは、ハンドル4Bの流体通路6の中心Cの周りでの回転操作によって、複数の絞り駒3Bに移動力が加わるA1方向よりも、流体通路6B側に向かって直線的に延びた平面で形成されている。このため、複数の摺接案内面231Bは、A1方向よりも流体通路6B側に向かって延びている(A2方向)。また、摺接案内面231Bには、絞り駒3Bを当該摺接案内面231Bに沿って離間せずに案内可能に当該絞り駒3Bと嵌合するガイド部235Bが形成されている。
【0032】
3個の絞り駒3Bは、互いに摺接するブロック状の駒本体31Bと、ハンドル4Bの後述する複数の長穴412Bにそれぞれ配置される連結ピン32Bとを有している。第2実施形態では、ハンドル4Bに長穴412Bが形成され、連結ピン32Bが絞り駒3Bに形成されるので、例えば絞り駒3Bに長穴412Bが形成され、連結ピン32Bがハンドル4Bに形成される場合と比べて、流量調整弁1Bを、圧力損失が少ない状態を維持しつつ小型化できる。
【0033】
駒本体31Bは、摺接案内面231Bに摺接する第一摺接面311Bと、流体通路6Bを形成する絞り面312Bと、複数の絞り駒3Bのうち隣り合う絞り駒3Bの絞り面312Bが摺接する第二摺接面313Bとを有して平面視略三角形状に形成されている。駒本体31Bは、第一摺接面311Bおよび第二摺接面313Bに連続する底面314Bを更に有している。第一摺接面311Bには、ガイド部235Bに嵌合する被ガイド部315Bが形成されている。ガイド部235Bおよび被ガイド部315Bは、互いに凹凸嵌合可能にレール状に形成されており、絞り駒3Bの下方への脱落を防止している。第一摺接面311Bおよび絞り面312Bの連続部分には面取りが施されている。隣り合う絞り駒3Bの絞り面312B、第二摺接面313Bおよび連続面233Bは、同じB方向に沿って配置される。絞り面312Bは、図10に示す開放状態では、連続面233Bの延長線上に配置される。
【0034】
連結ピン32Bは、円柱状に形成され、駒本体31Bから後述するハンドル本体部41B側に突出している。この連結ピン32Bは、ハンドル4Bの長穴412Bに沿って移動可能に当該長穴412Bに配置される。
【0035】
3個の絞り駒3Bは、それぞれの絞り面312Bによって通路孔316Bを形成しており、通路孔316Bは流体通路6Bを形成している。
【0036】
ハンドル4Bは、前述したハンドル4と同様に、円環状のハンドル本体部41Bと、ハンドル本体部41からZ軸方向に直交する方向に突出したハンドル突起部42Bとを備えており、R方向に回転操作可能である。ハンドル突起部42にはロックナット43Bが螺合しており、ロックナット43と同様にハンドル4BのR方向に回転不能に止めることが可能である。
【0037】
ハンドル本体部41Bは、流体7が流れる流体通路6を略中央に形成する通路孔411Bと、通路孔411Bの周囲において流体7が流れる流れ方向(第2実施形態ではZ軸方向)に交差する交差方向(第2実施形態ではX,Y軸方向に沿った面方向)に放射状に延びる3個の長穴412Bとを有している。
【0038】
カバー5Bは、カバー本体部51Bと、カバー本体部51Bに形成された通路孔52Bとを有している。カバー本体部51Bは、ケース2Bにネジ止めされるようになっており、ケース2Bとの間でハンドル4BをR方向に回転操作可能に挟み込んでいる。通路孔52Bは、流体7が流れる流体通路6を形成している。
【0039】
[流量調整弁1Bの動作]
以下、第2実施形態に係る流量調整弁1Bの動作について説明する。
図10には流体通路6Bを開放した開放状態の流量調整弁1Bを示している。図11には流体通路6を閉鎖した閉鎖状態の流量調整弁1Bを示している。また、図12には流量調整弁1Bの開放状態における任意の一つの絞り駒3Bを示しており、図13には流量調整弁1Bの絞り状態における前記一つの絞り駒3Bを示しており、図14には流量調整弁1Bの閉鎖状態における前記一つの絞り駒3Bを示している。
【0040】
まず、開放状態にある流量調整弁1Bのハンドル4BをR方向に回転操作する。これにより、3個の絞り駒3Bのそれぞれの連結ピン32Bには、ハンドル本体部41BからR方向の移動力が加えられ、且つ、3個の長穴412Bのそれぞれに沿って案内される。
また、3個の絞り駒3Bは、第一摺接面311Bがケース2Bの摺接案内面231Bに摺接しつつ当該摺接案内面231Bに沿って直線的に案内される。このため、絞り駒3Bは図12から図13に示すようにA2方向に移動する。
第二摺接面313Bおよび底面314Bは、ケース2Bの連続面233Bおよび底面232Bから離間し、絞り面312Bは、隣り合う絞り駒3Bの第二摺接面313Bに摺接する。
これにより、3個の絞り駒3Bは図4に示すように流体通路6Bを各絞り面312Bによって絞る動きとなる。
【0041】
続いて、絞り状態の流量調整弁1Bのハンドル4BをR方向に回転操作し、第一摺接面311Bが摺接案内面231Bに沿って直線的に案内され、このため、絞り駒3Bは図13から図14に示すようにA2方向に移動する。3個の絞り駒3Bの絞り面312Bおよび第二摺接面313Bの連続する角部が図11に示すように接触することで通路孔316Bを閉じる。
これにより、流体通路6Bを閉鎖し、流量調整弁1Bを閉鎖状態とする。
【0042】
流量調整弁1Bを閉鎖状態から開放状態にする場合には、ハンドル4BをR方向に逆回転操作する。これにより、流量調整弁1Bは、上記手順とは逆の手順を経て開放状態となる。
第2実施形態では、流量調整弁1Bの開放状態では、絞り駒3Bの底面314Bは、ケース2Bの底面232Bに接触する。また、開放状態では、絞り駒3Bの絞り面312Bは第二摺接面313Bと摺接状態を保っている。
【0043】
開放状態、絞り状態、閉鎖状態のいずれの状態でも、任意状態でロックナット43Bを回転して締めることで、ハンドル4Bの回転および3個の絞り駒3Bの移動を停止し、任意状態を保つことができる。
このように、第1実施形態に係る流量調整弁1Bは、流体通路6Bを開放し、絞り、閉鎖する。
【0044】
[変形例]
第1,2実施形態では、ケース2,2Bおよび絞り駒3,3Bには、互いに嵌合するガイド部235,235Bおよび被ガイド部315,315Bが形成されているが、ガイド部235,235Bおよび被ガイド部315,315Bがなくても流量調整弁1,1Bが動作可能に構成されていれば、ガイド部235,235Bおよび被ガイド部315,315Bの構成を省略してもよい。
【0045】
第1,2実施形態では、ケース2,2Bの摺接案内面231,231Bは、直線的に延びているが、曲線的に延びていてもよい。
【0046】
第1,2実施形態では、隣り合う絞り駒3,3Bの絞り面312,312Bと第二摺接面313,313Bとは、B方向に沿って配置されているが、流量調整弁1,1Bが動作可能であれば、互いに異なる方向に沿って配置されていてもよい。
【0047】
第1,2実施形態では、流量調整弁1,1Bは、ロックナット43,43Bがケース2,2Bおよびカバー5,5Bの双方の外周面に当接する構成となっているが、双方の外周面ではなく、ロックナット43,43Bがケース2,2Bおよびカバー5,5Bのうちの一方の外周面に当接する構成となっていてもよい。
【0048】
第1,2実施形態では、ロックナット43,43Bがハンドル4,4Bに取り付けられるが、他のハンドル回転停止手段があってもよく、また、絞り駒3,3Bが所定状態を維持可能であればロックナット43,43Bを省略してもよい。
【0049】
第1,2実施形態では、ハンドル4,4Bの長穴412,412Bは、上下貫通して形成されているが、連結ピン32,32Bを配置可能であれば、有底であってもよい。
【0050】
第1,2実施形態では、連結ピン32,32Bは、円柱状であるが、これに限らず各種形状を採用可能である。
【0051】
例えば、第1実施形態における絞り駒3の個数を減らすことで、絞り駒3自体は大きくなるが部品点数を減らせるので、コストパフォーマンスに優れる。一方、絞り駒3の個数を増やすことで、絞り駒3の部品点数は増えるが絞り駒3自体を小さくできてコンパクト性に優れる。このことに鑑みて、第1実施形態では、絞り駒3は、コンパクト性とコストパフォーマンスのバランスをとって6個としている。なお、絞り駒3は3個以上で任意に増減設定するのが好ましい。
【0052】
流体通路6,6Bを流れる流体7としては、水等の液体、気体などが挙げられ、流量調整弁1,1Bを構成する材料選択によって使用する流体7は変わる。
【0053】
[発明のまとめ]
本発明の流量調整弁は、ケースと、前記ケースの内面に沿って配置される複数の絞り駒と、前記複数の絞り駒を絞り移動可能に回転操作されるハンドルと、前記ケースおよび前記ハンドルを覆うカバーとを備え、前記ハンドルは、流体が流れる流体通路を形成する通路孔と、前記通路孔の周囲において前記流体が流れる流れ方向に交差する交差方向に延びる複数の長穴および前記複数の長穴にそれぞれ配置される連結ピンのうちの一方とを有し、前記複数の絞り駒は、前記長穴および前記連結ピンのうちの他方を有し、前記ケースの内面には、前記ハンドルの回転操作において前記複数の絞り駒にそれぞれ摺接する複数の摺接案内面が形成され、前記複数の摺接案内面は、前記ハンドルの回転操作によって前記複数の絞り駒に移動力が加わる方向よりも、前記流体通路側に向かって延びる。
本発明によれば、複数の摺接案内面が前述したように流体通路側に向かって延びるので、ハンドルの回転操作により移動力が加えられる複数の絞り駒が、複数の摺接案内面に摺接することで当該複数の摺接案内面に沿って移動する。これにより、複数の絞り駒によって流体通路を絞ることができ、流量調整弁を流れる流体の流量を調整できる。そのうえ、本発明によれば、複数の摺接案内面に摺接する複数の絞り駒が、前述したグローブ弁のように流体の流れ方向が一旦変わるようなことをなくし得て、これに起因する圧力損失を小さくすることができる。
また、本発明によれば、グローブ弁の弁座に接離させるためのステムよりも回転操作量を減らすことができる。
更に、本発明によれば、前述した複数の絞り駒によって流体通路を絞る構成とすることで、例えばグローブ弁の弁箱に対し昇降可能なステムが突き出てしまうようなことをなくし得、流量調整弁の小型化を図り得る。
【0054】
本発明の流量調整弁では、前記摺接案内面には、前記絞り駒を当該摺接案内面に沿って案内可能に当該絞り駒と嵌合するガイド部が形成されてもよい。
このような構成によれば、ガイド部によって摺接案内面および絞り駒の摺接状態を一定に保つことができ、流量調整弁の動作をより安定させることができる。
【0055】
本発明の流量調整弁では、前記摺接案内面は、直線的に延びた平面によって形成されてもよい。
このような構成によれば、摺接案内面によって絞り駒を回動ではなく直動でき、リニアなハンドル操作を実現できる。
【0056】
本発明の流量調整弁では、前記複数の絞り駒は、前記摺接案内面に摺接する第一摺接面と、前記流体通路を形成する絞り面と、前記複数の絞り駒のうち隣り合う絞り駒の前記絞り面が摺接する第二摺接面とを有し、前記隣り合う絞り駒の前記絞り面と前記第二摺接面とは、同方向に沿って配置されてもよい。
このような構成によれば、ハンドルの回転操作に基づき、摺接案内面に沿って第一摺接面が案内される複数の絞り駒の絞り面が、隣り合う絞り駒の第二摺接面と摺接しつつ流体通路を絞ることができる。
【0057】
本発明の流量調整弁では、前記ハンドルは、前記通路孔および前記複数の長穴が形成されたハンドル本体部と、前記ハンドル本体部から前記交差方向に突出したハンドル突起部とを備え、前記ハンドル突起部には、ロックナットが前記ケースおよび前記カバーのうちの少なくとも一方の外周面に当接可能に螺合してもよい。
このような構成によれば、ロックナットを締めて前記一方の外周面に当接させることで、流量調整弁を流れる流体の内圧によってハンドルが開閉しようとする動きを抑制できる。
【符号の説明】
【0058】
1,1B…流量調整弁、2,2B…ケース、21,21B…ケース本体、22,22B…通路孔、23,23B…内面、231,231B…摺接案内面、232,232B,314,314B…底面、233,233B…連続面、234,234B…収容部、235,235B…ガイド部、3,3B…絞り駒、31,31B…駒本体、311,311B…第一摺接面、312,312B…絞り面、313,313B…第二摺接面、315,315B…被ガイド部、316,316B…通路孔、32,32B…連結ピン、4,4B…ハンドル、41,41B…ハンドル本体部、411,411B…通路孔、412,412B…長穴、42,42B…ハンドル突起部、421…ネジ部、43,43B…ロックナット、5,5B…カバー、51,51B…カバー本体部、52,52B…筒状部、6,6B…流体通路、7…流体、C…中心。
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