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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167710
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】測距システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/483 20060101AFI20221027BHJP
   G01S 17/10 20200101ALI20221027BHJP
【FI】
G01S7/483
G01S17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073695
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 久貴
(72)【発明者】
【氏名】泉 克彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克美
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084BA34
5J084CA03
5J084CA12
5J084CA19
5J084DA08
5J084EA20
5J084EA24
(57)【要約】
【課題】
高い測距精度と広い測距範囲を両立し、かつ、装置間の間隔が短くなる場合であっても、装置間の干渉による効果を抑制して、測距誤差を低減させることができる測距システムを提供する。
【解決手段】
測距システムは、複数台の測距撮像装置を用いて、対象物までの距離を光の飛行時間により測定するシステムとされている。前記の複数台の測距撮像装置は、互いに素の関係があるそれぞれ異なる間隔でパルス光を照射する。そして、パルス光の間隔は、(1)2以上の自然数をべき指数として用いて、素数をべき乗した値、(2)2以上の自然数を用いて、素数を整数倍した値、(3)前記の素数のべき乗の値を、2以上の自然数を用いて整数倍した値、のうちの何れかの値に基づいて設定される。
【選択図】 図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の測距撮像装置を用いて、対象物までの距離を光の飛行時間により測定する測距システムであって、
前記測距撮像装置は、
光源で発光したパルス光を対象物に照射する発光部と、
対象物で反射したパルス光をイメージセンサで露光し電気信号に変換する受光部と、
前記受光部の出力信号から対象物までの距離を演算する距離演算部と、
前記発光部からパルス光を照射する発光タイミング、および、前記受光部にてパルス光を露光する露光タイミングを制御する制御部と、
を備え、
前記の複数台の測距撮像装置は、
互いに素の関係があるそれぞれ異なる間隔でパルス光を照射し、
パルス光の間隔は、
(1)2以上の自然数をべき指数として用いて、素数をべき乗した値、
(2)2以上の自然数を用いて、素数を整数倍した値、
(3)前記の素数のべき乗の値を、2以上の自然数を用いて整数倍した値、
のうちの何れかの値に基づいて設定される、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項2】
請求項1に記載の測距システムであって、
任意の2台の前記測距撮像装置についての前記値の最小公倍数が、200よりも大きい、または、200以上である、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項3】
請求項2に記載の測距システムであって、
前記最小公倍数は、各測距撮像装置の設置間隔が50cm以下であるときに、500よりも大きい、または、500以上である、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項4】
請求項2に記載の測距システムであって、
同一の前記測距撮像装置についての前記値の2乗値が、基準値よりも大きい、または、前記基準値以上であり、且つ、
任意の2台の前記測距撮像装置についての前記値の積が、前記基準値よりも大きい、または、前記基準値以上であり、
前記基準値の大きさは、500である、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項5】
請求項1に記載の測距システムであって、
前記測距撮像装置それぞれは、それぞれ異なる素数に基づく前記値を格納する干渉設定テーブルを生成し、
前記測距撮像装置それぞれのパルス光の間隔は、それぞれの前記測距撮像装置の前記干渉設定テーブルを参照して決定される、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項6】
請求項1に記載の測距システムであって、
前記の複数台の測距撮像装置は、照射するパルス光のパルス幅を変更可能である測距撮像装置を含み、
前記測距撮像装置がそれぞれパルス光を照射する場合における、前記測距撮像装置それぞれのパルス光の間隔が、前記(1)~(3)のうちの何れかの値に基づいて設定される、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項7】
請求項6に記載の測距システムであって、
前記測距撮像装置それぞれは、各パルス幅について、それぞれ異なる素数に基づく前記値を格納する干渉設定テーブルを生成し、
前記測距撮像装置それぞれのパルス光の間隔は、前記干渉設定テーブルを参照して決定される、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項8】
複数台の測距撮像装置を用いて、対象物までの距離を光の飛行時間により測定する測距システムであって、
前記測距撮像装置は、
光源で発光したパルス光を対象物に照射する発光部と、
対象物で反射したパルス光をイメージセンサで露光し電気信号に変換する受光部と、
前記受光部の出力信号から対象物までの距離を演算する距離演算部と、
前記発光部からパルス光を照射する発光タイミング、および、前記受光部にてパルス光を露光する露光タイミングを制御する制御部と、
を備え、
前記の複数台の測距撮像装置は、
互いに素の関係があるそれぞれ異なる間隔でパルス光を照射し、
一部の測距撮像装置からのパルス光の間隔は、
所定値以上の素数と同じ値に基づいて設定され、
他の測距撮像装置からのパルス光の間隔は、
(1)2以上の自然数をべき指数として用いて、素数をべき乗した値、
(2)2以上の自然数を用いて、素数を整数倍した値、
(3)前記の素数のべき乗の値を、2以上の自然数を用いて整数倍した値、
のうちの何れかの値に基づいて設定される、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項9】
請求項8に記載の測距システムであって、
任意の2台の前記測距撮像装置についての前記値の最小公倍数が、200よりも大きい、または、200以上である、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項10】
請求項9に記載の測距システムであって、
前記最小公倍数は、各測距撮像装置の設置間隔が50cm以下であるときに、500よりも大きい、または、500以上である、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項11】
請求項9に記載の測距システムであって、
同一の前記測距撮像装置についての前記値の2乗値が、基準値よりも大きい、または、前記基準値以上であり、且つ、
任意の2台の前記測距撮像装置についての前記値の積が、前記基準値よりも大きい、または、前記基準値以上であり、
前記基準値の大きさは、500である、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項12】
請求項8に記載の測距システムであって、
前記測距撮像装置それぞれは、それぞれ異なる素数に基づく前記値を格納する干渉設定テーブルを生成し、
前記測距撮像装置それぞれのパルス光の間隔は、それぞれの前記測距撮像装置の前記干渉設定テーブルを参照して決定される、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項13】
請求項8に記載の測距システムであって、
前記の複数台の測距撮像装置は、照射するパルス光のパルス幅を変更可能である測距撮像装置を含み、
前記測距撮像装置がそれぞれパルス光を照射する場合における、前記測距撮像装置の一部のパルス光の間隔が、所定値以上の素数と同じ値に基づいて設定され、他の測距撮像装置のパルス光の間隔が、前記(1)~(3)のうちの何れかの値に基づいて設定される、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項14】
請求項13に記載の測距システムであって、
前記測距撮像装置それぞれは、各パルス幅について、それぞれ異なる素数に基づく前記値を格納する干渉設定テーブルを生成し、
前記測距撮像装置それぞれのパルス光の間隔は、前記干渉設定テーブルを参照して決定される、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項15】
請求項1または請求項8に記載の測距システムであって、
計測時におけるそれぞれの前記測距撮像装置の最小のパルス周波数と、それぞれの前記測距撮像装置で共通する基準クロックと、の周波数差が、5kHz以上である、
ことを特徴とする測距システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物までの距離を光の飛行時間により測定する測距撮像装置を複数用いた測距システムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物までの距離を測定する方法として、照射光が対象物で反射して戻ってくるまでの飛行時間により距離を測定するTOF(Time Of Flight)法が知られている。具体的には、強度変調された照射光の発光タイミングに対して露光タイミングをずらした複数の露光ゲートで露光し、各露光ゲートで蓄積された露光量から照射光に対する反射光の時間の遅れを算出して距離を求めるものである。
【0003】
TOF法では、測距精度(繰り返し測定誤差)と測距範囲(測定可能な距離範囲)は照射光のパルス幅(変調周波数)に依存し、パルス幅が短い(変調周波数が高い)ほど測距精度が高くなるが測距範囲が狭くなる。このため、短いパルス幅と長いパルス幅の2種類の照射光を用いてそれぞれ距離を測定し、測定結果を比較することで高い測距精度と広い測距範囲を両立する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-56698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同一エリアで複数台の測距撮像装置を稼動させたときには、自装置以外の照射光(または反射光)が干渉光となり自装置で露光されることで、測距値に誤差が生じる問題がある。その対策として、特許文献1は、測定動作の単位である1つのフレームが、パルス光の幅THの第1の距離測定期間とパルス光の幅TLの第2の距離測定期間より構成され(ただしTH<TL)、第1の距離測定期間は、照射したパルス光に対して露光タイミングをずらした複数の露光期間に分割され、分割された各露光期間では、1つのパルス光から次のパルス光までの間に露光ゲートを所定の間隔でn回(nは複数)開いて繰り返し露光を行い、最後の露光ゲートを閉じてから次のパルス光を照射するまでに露光を行わない第1の非露光期間を設け、第2の距離測定期間は、照射したパルス光に対して露光タイミングをずらした複数の露光期間に分割され、分割された各露光期間では、1つのパルス光から次のパルス光までの間に露光ゲートを1回のみ開いて露光を行い、露光ゲートを閉じてから次のパルス光を照射するまでに露光を行わない第2の非露光期間を設ける技術を開示する。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術を用いても、装置間の間隔によっては干渉を十分に抑制することができず、これにより、測距誤差が発生して測距精度が不十分になることが考えられた。
【0007】
そこで、本発明は、高い測距精度と広い測距範囲を両立し、かつ、装置間の間隔が短くなる場合であっても、装置間の干渉による効果を抑制して、測距誤差を低減させることができる測距システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、下記の測距システムが提供される。測距システムは、複数台の測距撮像装置を用いて、対象物までの距離を光の飛行時間により測定するシステムである。測距撮像装置は、発光部と、受光部と、距離演算部と、制御部と、を備える。発光部は、光源で発光したパルス光を対象物に照射する。受光部は、対象物で反射したパルス光をイメージセンサで露光し電気信号に変換する。距離演算部は、受光部の出力信号から対象物までの距離を演算する。制御部は、発光部からパルス光を照射する発光タイミング、および、受光部にてパルス光を露光する露光タイミングを制御する。前記の複数台の測距撮像装置は、互いに素の関係があるそれぞれ異なる間隔でパルス光を照射する。パルス光の間隔は、(1)2以上の自然数をべき指数として用いて、素数をべき乗した値、(2)2以上の自然数を用いて、素数を整数倍した値、(3)前記の素数のべき乗の値を、2以上の自然数を用いて整数倍した値、のうちの何れかの値に基づいて設定される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、下記の測距システムが提供される。測距システムは、複数台の測距撮像装置を用いて、対象物までの距離を光の飛行時間により測定するシステムである。測距撮像装置は、発光部と、受光部と、距離演算部と、制御部と、を備える。発光部は、光源で発光したパルス光を対象物に照射する。受光部は、対象物で反射したパルス光をイメージセンサで露光し電気信号に変換する。距離演算部は、受光部の出力信号から対象物までの距離を演算する。制御部は、発光部からパルス光を照射する発光タイミング、および、受光部にてパルス光を露光する露光タイミングを制御する。前記の複数台の測距撮像装置は、互いに素の関係があるそれぞれ異なる間隔でパルス光を照射する。一部の測距撮像装置からのパルス光の間隔は、所定値以上の素数と同じ値に基づいて設定される。他の測距撮像装置からのパルス光の間隔は、(1)2以上の自然数をべき指数として用いて、素数をべき乗した値、(2)2以上の自然数を用いて、素数を整数倍した値、(3)前記の素数のべき乗の値を、2以上の自然数を用いて整数倍した値、のうちの何れかの値に基づいて設定される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い測距精度と広い測距範囲を両立し、かつ、装置間の間隔が短くなる場合であっても、装置間の干渉による効果を抑制して、測距誤差を低減させることができる測距システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る測距撮像装置を示す構成図。
図2】TOF法による距離測定の原理を説明する図。
図3】距離測定における1フレームの構成を示す図。
図4】1フレーム内の距離測定処理のフローチャートを示す図。
図5】実施例1における発光露光タイムチャートを示す図。
図6】実施例1における距離計算法を示す図。
図7】第1/第2距離測定期間の測定結果の例を示す図。
図8】第1/第2の距離測定結果から距離を確定する方法を説明する図。
図9】第1/第2の距離測定結果から距離を確定する方法を説明する図。
図10A】パルス光間隔を変えることによる干渉光対策を説明する図。
図10B】パルス光間隔を変えることによる干渉光対策を説明する図。
図10C】パルス光間隔を変えることによる干渉光対策を説明する図。
図10D】パルス光間隔を変えることによる干渉光対策を説明する図。
図11】干渉光のキャンセル効果について説明する図。
図12】連続方式に非露光期間を設けた場合のタイムチャートを示す図。
図13】露光のアンバランスにより発生する距離誤差を示す図。
図14】実施例2における発光露光タイムチャートを示す図。
図15】第1/第2の距離測定結果から距離を確定する方法を説明する図。
図16】第1/第2の距離測定結果から距離を確定する方法を説明する図。
図17図5の変形例として測定誤差が発生しやすい場合を示す図。
図18】パルス周期の関係の一例について示した図。
図19】パルス周期の設定の一例について説明するための図。
図20】パルス周期の最小公倍数の関係、および、パルス周期の積の関係の一例について示す図。
図21】パルス周期の最小公倍数の関係、および、パルス周期の積の関係の一例について示す図。
図22】それぞれ異なるパルス幅に対して設定したパルス周期の一例を示す図。
図23】パルス周波数と基準クロックとの周波数差の関係の一例を示す図。
図24】測距システムの機能ブロック図の一例を示す図。
図25】干渉設定演算ブロックの処理の一例を示す図。
図26】使用する素数の探索に用いるデータの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態の測距撮像装置を示す構成図である。測距撮像装置1は、人物や物体などの測定の対象物2までの距離をTOF法で測定し、測定した対象物の各部までの距離を2次元の距離データとして出力する。測距撮像装置1は、発光部11と、受光部12と、距離演算部13と、制御部14と、を備える。発光部11は、レーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)などの光源で発光したパルス状の照射光21を出射する。受光部12は、対象物2に照射され反射して戻ってきたパルス状の反射光22を、CCDやCMOSなどの2次元状に画素を配列したイメージセンサ23で露光し、電気信号に変換する。距離演算部13は、受光部12の出力信号から対象物2までの距離Dを演算する。制御部14は、発光部11と受光部12と距離演算部13を制御し、発光部11での照射光21の発光タイミングと受光部12での反射光22の露光タイミングを制御する。このように、測距撮像装置1は、イメージセンサ23で対象物2を撮像するデジタルカメラと類似の構成で、対象物2までの距離Dを2次元状のデータとして取得する。
【0013】
図2は、TOF法による距離測定の原理を説明する図である。TOF法では、照射光21の信号と反射光22の信号の時間差、すなわち遅延時間dTに基づいて距離Dが測定される。対象物2までの距離Dと遅延時間dTとの関係は、光速をcとすると、D=dT・c/2で表される。
【0014】
ただし本実施例では、遅延時間dTを直接測定せずに、受光期間を複数の露光ゲートに分割して、それぞれのゲート期間の露光量から遅延時間dTを間接的に求め、距離Dを測定する(間接法とも呼ばれる)。
【0015】
図2では、1回の照射光21(パルス幅T0)に対し、露光動作を例えば2つのゲートに分けて行う場合を示す。すなわち、反射光22の露光期間を、第1の露光ゲートS1と第2の露光ゲートS2に分け、それぞれのゲート幅は照射光21のパルス幅T0に等しくする。受光部12は、第1の露光ゲートS1と第2の露光ゲートS2での露光量を電荷量に変換し、第1の電荷量Q1と第2の電荷量Q2として出力する。
【0016】
このときの第1,第2の電荷量Q1,Q2と遅延時間dT、および対象物2までの距離Dは、
dT=T0・Q2/(Q1+Q2)
D=T0・Q2/(Q1+Q2)・c/2
すなわち、第1の電荷量Q1と第2の電荷量Q2とを測定することで、距離Dを算出できる。以上がTOF法による距離測定の原理であり、本実施例では、パルス幅T0や露光ゲートS1,S2が異なる2つの距離測定方式を組み合わせて距離測定を行う。
【0017】
図3は、距離測定における1フレームの構成を示す図である。対象物までの距離測定は、撮像動作と対応させてフレーム単位に行われる。1フレームは、発光・露光タイミングの異なる第1距離測定期間と第2距離測定期間で構成され、それぞれの期間から第1距離データと第2距離データを取得する。
【0018】
まず、第1距離測定期間から説明する。発光・露光期間では、短いパルス幅(高い変調周波数)の発光・露光動作を行う。発光・露光期間はnセットからなり、1セットの中では、露光タイミングをずらしたA,B,C期間を有し、露光を分割して行う。分割した各期間では、符号A1,B1,C1で示すように、1つの発光パルスから次の発光パルスまでの間に、露光ゲートを所定の間隔で複数回(ここでは3回)開いて露光し、電荷を蓄積する。1セット内では発光・露光動作をm回繰り返し、これをnセット繰り返して行う。
【0019】
データ出力期間では、A,B,C期間でそれぞれ蓄積されたm×n回分の電荷量が読み出されて距離が計算され、第1距離測定期間での第1距離データが出力される。このように、第1距離測定期間は、1つの発光パルスに対する反射光を所定の間隔で複数回露光する構成としており、このような発光・露光方式を「拡張パルス方式」と呼ぶことにする。
【0020】
次に、第2距離測定期間について説明する。発光・露光期間では、長いパルス幅(低い変調周波数)の発光・露光を行う。第1距離測定期間と同様に、1セットとして、露光タイミングをずらしたA,B,C期間を有し、露光を分割して行う。ただし分割した各期間では、符号A2,B2,C2で示すように、1つの発光パルスから次の発光パルスまでの間に、露光ゲートを1回のみ開いて露光し、電荷を蓄積する。1セット内で発光・露光動作をm回繰り返し、これをnセット繰り返して行う。
【0021】
データ出力期間では、A,B,C期間でそれぞれ蓄積されたm×n回分の電荷量が読み出されて距離が計算され、第2距離測定期間での第2距離データが出力される。以下、第2距離測定期間における発光・露光方式を「パルス方式」と呼ぶことにする。
【0022】
このように、第1距離測定期間と第2距離測定期間では、パルス光と露光ゲートの幅、および露光繰り返し回数が異なる。第1距離測定期間では短いパルス幅(高周波数)で測定することで、測距精度の高い測定結果が得られる。一方、第2距離測定期間では長いパルス幅(低周波数)で測定することで、測距範囲の広い測定結果が得られる。両者の測定結果を組み合わせて距離を確定(ディエイリアシング)することで、測距精度が高く測距範囲の広い測定が可能となる。なお、第1距離測定期間と第2距離測定期間の測定順序はいずれを先行させても良い。
【0023】
さらに本実施形態では、第1距離測定期間と第2距離測定期間において、1回の発光・露光動作とそれに続く次の発光・露光動作とを連続して行うのではなく、最後の露光ゲートを閉じてから次のパルス光を発光するまでに、それぞれ第1/第2の非露光期間を挿入したことに特徴がある。つまり、第1距離測定期間における「拡張パルス方式」は、発光・露光動作を連続して行う「連続方式」とは異なるものである。このように、第1距離測定期間と第2距離測定期間のいずれにおいても非露光期間を設けることで、後述するように、複数台の測距撮像装置を稼働させたときの装置間の干渉による測距誤差を低減させることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、1つのセットに対する露光動作を露光タイミングをずらした3つの期間(A,B,C期間)に分割して行うことで説明するが、分割数はこれに限らず任意の複数であってよい。
【0025】
図4は、1フレーム内の距離測定処理のフローチャートを示す図である。1フレーム期間では、第1距離測定(S100~)と第2距離測定(S200~)を行い、両者の距離データを用いて距離を確定する(S220)。
【0026】
まず、第1距離測定を開始すると(S100)、カウンタiを1とし(S101)、nセット分の発光露光を開始する(S102)。発光露光動作は、まずA期間発光露光(S103)では、図3のA1タイミングで示す発光露光をm1回行い、露光により発生した電荷(A電荷)を蓄積する(S104)。次に、B期間発光露光(図3のB1タイミングで示す発光露光)をm1回行い(S105)、露光により発生した電荷(B電荷)を蓄積する(S106)。さらに、C期間発光露光(図3のC1タイミングで示す発光露光)をm1回行い(S107)、露光により発生した電荷(C電荷)を蓄積する(S108)。そして、カウンタiに1を加算し(S109)、カウンタiが規定回数nに達したかどうか判定する(S110)。
【0027】
規定回数nに達していない場合は(S110でNo)、S103に戻りA期間発光露光から繰り返す。このようにして受光部12には、m1×n回分のA電荷、B電荷、C電荷が蓄積される。カウンタiが規定回数nに達した場合は(S110でYes)、受光部12から電荷量の蓄積データを読み出す(S111)。距離演算部13は、読み出したA~C電荷量を用いて対象物2までの距離(第1距離データ)を演算する(S112)。
【0028】
次に、第2距離測定を開始するが(S200)、第1距離測定(S100)と同様の手順なので繰り返しの説明は省略する。ただし、A期間発光露光(S203)では、図3のA2タイミングで示す発光露光をm2回行い、露光により発生した電荷(A電荷)を蓄積する(S204)。B期間発光露光(S205)では、図3のB2タイミングで行い、C期間発光露光(S207)では、図3のC2タイミングで行う。カウンタiが規定回数nに達したら(S210でYes)、受光部12から電荷量の蓄積データを読み出す(S211)。距離演算部13は、読み出したA~C電荷量を用いて対象物2までの距離(第2距離データ)を演算する(S212)。
【0029】
距離演算部13は、S112で求めた第1距離データと、S212で求めた第2距離データを用いて、距離を確定する(S220)。この演算の詳細は後述するが、第1距離測定では、狭い測距範囲を単位として折り返して表示される距離データが得られる。一方、第2距離測定では、広い測距範囲の距離データが得られ、これを用いて第1距離データの折り返しを解いて距離を確定(ディエイリアシング)するものである。
【0030】
なお、第1距離測定と第2距離測定における1セット内の発光露光の繰り返し回数m1,m2、及びセット数nは、1フレーム期間の長さに応じて適宜設定する。次に、具体的な距離測定の例を実施例1と実施例2で説明する。
【実施例0031】
図5は、実施例1における発光露光タイムチャートを示す図である。(a)は第1の距離測定期間の発光・露光タイミングを示す。発光パルスは短いパルス幅1Tを用いて、これを同じ幅1Tの露光ゲートで露光する(高い変調周波数)。露光期間は、タイミングを1TずつずらしたA,B,C期間で露光するが、各期間では、1つの発光パルスから次の発光パルス(符号35)までの間に、露光ゲートを周期3Tで3回開いて繰り返し露光する(符号31,32,33)。これが本実施例で導入した「拡張パルス方式」である。そして、最後の露光ゲート(符号34)を閉じてから次のパルス光(符号35)を発光するまでに、露光しない第1の非露光期間36(ここでは10Tの幅)を設けている。これにより、パルス光間隔40は19Tの幅となる。
【0032】
(b)は第2の距離測定期間の発光・露光タイミングを示す。発光パルスは長いパルス幅4Tを用いて、これを同じ幅4Tの露光ゲートで露光する(低い変調周波数)。露光期間は、タイミングを4TずつずらしたA,B,C期間で露光するが、各期間では、1つの発光パルスに対して露光ゲートを1回のみ開いて露光する。これは従来の「パルス方式」である。そして、最後の露光ゲート(符号37)を閉じてから次のパルス光(符号38)を発光するまでに、露光しない第2の非露光期間39(ここでは7Tの幅)を設けている。これにより、パルス光間隔40’は19Tの幅となる。
【0033】
ここでは、第1の距離測定期間でのパルス光間隔40と第2の距離測定期間でのパルス光間隔40’を等しくしたが、それらの比が整数倍の関係になるように第1の非露光期間36と第2の非露光期間39の長さを設定してもよい。
【0034】
図6は、実施例1における距離計算法を示す図である。(a)は第1距離測定期間での距離計算を示す。1つの発光パルスに対する反射光は、A,B,C期間の連続するいずれかの2ゲートで露光される。この例ではA期間とB期間で露光され、符号41,42で示す。A,B,C期間で露光により発生した電荷量をそれぞれA,B,Cとすると、前記図2の計算式を拡張し、照射光に対する反射光の遅延時間dTは次式で表される。電荷量A,B,Cの大小関係により、計算式が分かれる。
【0035】
MIN(A,B,C)=Cのとき、
dT={(B-C)/(A+B-2C)}・T+3nT
MIN(A,B,C)=Aのとき、
dT={(C-A)/(B+C-2A)}・T+T+3nT
MIN(A,B,C)=Bのとき、
dT={(A-B)/(C+A-2B)}・T+2T+3nT
【0036】
ここでMINは最小値を求める関数である。nは、3回の繰り返し露光のうち何回目の周期で露光したかを表すパラメータで、繰り返し数と呼ぶことにする。ここにn=0,1,2は、それぞれ1,2,3回目を表す。
【0037】
第1距離測定期間の測定では、何回目の露光で得られた信号であるか分からないので、繰り返し数nを特定することができない。そこで、第1距離測定期間ではn=0としたときのdTから、第1距離データD1Tを
D1T=c・dT(n=0)/2
と算出する。
【0038】
ここで、測定可能な距離の範囲(測距範囲)について説明する。測距範囲DRは、反射光遅延時間dTRから求められる。
dTR=(パルス幅)×(繰り返し露光回数×3-1)
DR=c・dTR/2
第1距離測定期間では、パルス幅=1T、繰り返し露光回数=3なので、
dTR=1T・(3×3-1)=8T
これに対し従来の1回の露光では
dTR=1T・(1×3-1)=2T
なので、測距範囲DRは4倍に拡張される。
【0039】
(b)は第2距離測定期間での距離計算を示す。1つの発光パルスに対する反射光は、A,B,C期間の連続するいずれかの2ゲートで露光され、符号43,44で示す。この場合も、A,B,C期間で露光により発生した電荷量A,B,Cから、照射光に対する反射光の遅延時間dTは次式で表される。ただしこの計算では、第1距離測定期間での計算におけるパルス幅を4T、繰り返し数n=0に置き換えている。
A≧Cのとき、dT={(B-C)/(A+B-2C)}・4T
A<Cのとき、dT={(C-A)/(B+C-2A)}・4T+4T
このdTから、第2距離データD4Tを
D4T=c・dT/2
と算出する。
【0040】
この場合の測距範囲DRは、反射光遅延時間をdTRとすると、
dTR=4T・(1×3-1)=8T
なので、上記の第1距離測定期間での測距範囲DRと一致している。
【0041】
しかしながら第2距離測定期間では、第1距離測定期間に比べて反射光のパルス幅が4倍になり、ショットノイズが2倍に増える。よって、測距範囲は広いが、第1距離測定期間よりも測定精度が悪化している。
【0042】
その後、第2距離測定期間の第2距離データD4Tを用いて第1距離測定期間の繰り返し数nを特定し、第1距離データD1Tから正確な距離Dを確定する。
【0043】
図7は、第1/第2距離測定期間の測定結果の例を示す図である。横軸は対象物までの実際の距離、縦軸は測定された距離の値である。なお、図5図6における時間軸の単位を1T=10nsecとしている。横軸を長い距離レンジで表した場合、近い距離から得られる符号50で示す測定結果と、遠い距離から得られる符号51で示す測定結果が存在する。
【0044】
まず、近距離から得られる符号50で示す結果では、第1距離測定期間(パルス幅=1T)での第1距離データD1T(実線で示す)は折り返しのある直線となる。折り返し点までの距離(折り返し距離)R1Tは、n=0における最大測定距離であり、R1T=3cT/2=4.5mとなる。また、勾配のある直線部分が測定可能な測距範囲DRであり、8cT/2=12mとなる。
【0045】
第2距離測定期間(パルス幅=4T)での第2距離データD4T(破線で示す)は折り返しのない直線となる。測距範囲DR(勾配部分)は8cT/2=12mであり、第1距離データD1Tの測距範囲DRと等しい。
【0046】
次に、遠距離から得られる符号51に示す結果について説明する。対象物が遠距離にあると、その反射光は当該パルス光に対する露光ゲート期間内に戻らず、次のパルス光の露光ゲート期間に戻ってくる。つまり、符号51で示す結果は、1つ前に照射したパルス光により測定された結果である。この例ではパルス光間隔を19T(190nsec)に設定しており、距離28.5mを基点としてそれより遠い位置からの測定結果51が、近距離の測定結果50と同じパターンで繰り返して得られる。ただし、パルス光の飛行距離が長くなるので、露光される信号強度は減衰している。
【0047】
しかし、遠距離から得られる測定結果51は本来の目的とするものではなく、これを残しておくと近距離の測定結果50に対するノイズ成分となるので、無効にする必要がある。対策として、非露光期間を長くしてパルス光間隔を広げ、反射光が弱くて露光されない距離まで遠ざけることで、無視することができる。ただし、パルス光間隔を広げすぎると、露光期間内での繰り返し露光回数が少なくなって測距精度が低下するので、第1、第2距離測定期間ともパルス光間隔を測距範囲の2倍以上とするのが望ましい。光の飛行距離が2倍になると露光量は1/4に低下するので、露光量に閾値を設けて2倍以上の距離からの反射光を無効とすることができる。実施例1の条件では、パルス光間隔(19T=28.5m)は測距範囲(8T=12m)の約2.4倍となっている。
【0048】
図8図9は、第1/第2の距離測定結果を用いて距離を確定(ディエイリアシング)する方法を説明する図である。
【0049】
図8には、図7の符号50で示した測定結果を再度示している。ディエイリアシングでは、第2距離データD4Tを用いて、第1距離データD1Tにおける繰り返し数n(何回目の周期で露光したかを表すパラメータ)を次の手順で求める。
【0050】
まず、第1、第2の距離データの差分量と、第1距離測定期間の折り返し距離R1T(=3cT/2)との比n’を求める。比n’は、求めようとする繰り返し数nに相当する値である。
n’=(D4T-D1T)/R1T
n’を点線で示すが、第1距離データD1Tおよび第2距離データD4Tには測定誤差が含まれるので、n’は本来の整数値ではなく小数点以下の端数伴う。そこで、ラウンド関数(4捨5入)でn’の整数化を行う。
n=ROUND(n’)
これで、繰り返し数の真値(整数値)nが求められる。
【0051】
図9には、ディエイリアシング後の距離出力を示している。上記した繰り返し数の真値nを用いて、次式より正確な距離Dを確定する。
D=D1T+n・R1T=D1T+n・3cT/2
この演算では、第1距離データD1Tに折り返し距離R1Tをn回加算する。ここに、第1距離データD1Tは測距精度が高く、また加算される折り返し距離R1Tは、単位時間Tと光速cから決まる定数(3cT/2)であるから、正確な距離Dを確定することができる。このようにして、高い測距精度と広い測距範囲を両立させて測定することができる。
【0052】
なお、距離が13.5m以降は測定範囲を超えているので、無効データとし距離計算を行わない。その場合は電荷量の関係が(A+B-2C)=0となるので、これを判定条件とすればよい。
【0053】
次に、複数の測距撮像装置間の干渉光対策について説明する。図10Aは、パルス光間隔を変えることによる干渉光対策を説明する図である。ここでは、同時に稼動する2台の測距撮像装置(以下、機器No.1と機器No.2と称する)を想定し、機器No.1が機器No.2から受ける干渉を考える。それぞれ第1距離測定期間において、機器No.1のパルス光間隔40を17T、機器No.2のパルス光間隔40”を19Tに設定し、互いに異ならせる。なお、各機器でのパルス光間隔を変更するには、第1距離測定期間に設けた非露光期間36の長さ(図5参照)を機器ごとに変更すればよい。その際、各機器でのパルス幅(1T)は固定しているので、測距精度や測距範囲が変わることはない。
【0054】
この状態で機器間の干渉光の影響を説明する。まず、機器No.2のパルス光51(照射光または反射光)が干渉光として、機器No.1の露光ゲート(A期間)52で露光される状態を示す。しかし、機器No.2の次のパルス光53(干渉光)は機器No.1の露光ゲート(A期間)から2Tだけずれるので露光されない。つまり、この後に機器No.1の露光ゲート(A期間)で機器No.2からの干渉光を露光する周期は、両機器のパルス光間隔の最小公倍数の周期(17×19T)に拡大する。ただし、機器No.1の露光ゲートはA期間に3回繰り返して開くことを含めると、露光される干渉光量は、両機器のパルス光間隔が同じ場合(いずれも17T)と比較し、3/19に低減される。なお他の期間(B,C期間)でも露光ゲートのタイミングが異なるが、露光される干渉光量はA期間と同じ3/19に低減される。
【0055】
図10Aの例では、機器No.1の第1距離測定期間に対する機器No.2の第1距離測定期間からの干渉光の露光について説明したが、干渉光の組合せはこれだけではない。機器No.1の第1距離測定期間に対する機器No.2の第2距離測定期間の干渉光の様子を図10Bに、機器No.1の第2距離測定期間に対する機器No.2の第1距離測定期間の干渉光および第2距離測定期間の干渉光の様子を、それぞれ図10Cおよび図10Dに示す。機器No.1および機器No.2の第2距離測定期間のパルス光間隔は、それぞれの機器の第1距離測定期間と同じである。露光される干渉光量は、両機器のパルス光間隔が同じ場合(いずれも17T)と比較し、図10Bでは6/19に、図10C図10Dでは4/19に低減される。このように、第1距離測定期間と第2距離測定期間のパルス光間隔を同じにすることによって、どの組合せでも同等の干渉低減効果を得ることができる。
【0056】
さらに、第1距離測定期間と第2距離測定期間のパルス光間隔を整数倍の関係にしても良い。例えば、機器No.2の第1距離測定期間のパルス光間隔19Tに対して第2距離測定期間のパルス光間隔を2倍の38Tにした場合、第2距離測定期間での露光回数は半分に減るが、図10B図10Dで機器No.1が受ける干渉光量が半分に低減される効果がある。
【0057】
上記したように、複数の機器間で干渉光の影響を受ける周期は、各機器のパルス光間隔の最小公倍数に拡大する。よって、最小公倍数を大きくするため、各機器のパルス光間隔の値は「互いに素」の関係になるよう設定するのが得策である。また、パルス光間隔を変える単位は1Tに限らず、0.5Tや0.25Tのように1T未満の任意の数値でもよい。1T未満の値とすることで、パルス光間隔の範囲を広げずに、多くの組合せにおいて干渉回避可能なパルス光間隔の選択が可能となる。
【0058】
図11では、干渉光のキャンセル効果について説明する図である。図10Aで示したように他機器からの干渉光を露光したとしても、距離演算の過程で3つの期間(A,B,C期間)での露光量の差分演算が行われるので、干渉光の成分がキャンセルされる。
【0059】
一般に、複数の機器間では1フレームの開始タイミングが異なるので、機器No.1と機器No.2の発光露光期間(1セット~10セットで構成)はdFだけずれが生じる。図11の例では、機器No.1と機器No.2の発光露光期間は約1セットずれており、機器No.1の2セットから10セットの期間で重なっている。この重なり期間では、機器No.1は機器No.2からの干渉光60を、A,B,C期間の露光ゲートでほぼ同量ずつ露光する。これらの露光した干渉光成分は、距離演算の過程でキャンセルされるので距離誤差はほとんど発生しない。
【0060】
しかし先頭の1セットにおいては、C期間の露光ゲート61のときだけ機器No.2からの干渉光が露光されるので、この部分で距離誤差が発生する。例えば、機器No.1と機器No.2のパルス光間隔が図10Aの組合せの場合には、上記したようにC期間露光時に3/19の干渉光が露光される。ただし、1つの発光露光期間には干渉光がキャンセルされるこれに続く2~10セットが含まれるので、発光露光期間内の累積では、干渉光量の距離誤差への影響は3/19×1/10=3/190に大幅に軽減される。そのため、距離誤差は実用上問題のないレベルに抑えることができる。
【0061】
1フレームの開始タイミングのずれdFが変化し、重なり期間が変化した場合を説明する。例えば、1セット内でB,C期間の露光ゲートのときだけ干渉光が露光される場合は、B,C期間ではキャンセルされる。よってその影響は、A期間で干渉光が露光されないことによるアンバランスを考えればよく、アンバランス量は上記と同様に3/19となる。従ってこの場合も、発光露光期間内の累積では、距離誤差は3/190に軽減される。
【0062】
また、開始ずれdFが1セットの期間を超えるときは、機器No.2からの干渉光を受けないセットが増加する訳であるから、全体として距離誤差はより小さくなる。
【0063】
ここに説明した干渉光のキャンセル効果は、機器No.1と機器No.2のパルス光間隔の組合せに依存し、キャンセル効果が大きくなるようにパルス光間隔を設定する。また、第1距離測定期間と第2距離測定期間のどの組合せでも干渉光量が小さくなるよう、パルス光間隔の組合せを求めて適用する。
【0064】
このように本実施例では、複数台の装置を稼働させるときの干渉を回避するため、各装置のパルス光間隔が異なるように、非露光期間を設けたことに特徴がある。その際、第1距離測定期間では、パルス幅の短い発光パルスに対して複数回の露光を繰り返す「拡張パルス方式」を採用し、これに非露光期間を設けたことで、測距精度を確保することができることを説明した。しかしながら、従来の「連続方式」において非露光期間を挿入する方法では、測距精度を確保することができない。以下その理由を説明する。
【0065】
図12は、連続方式に非露光期間を設けた場合の発光露光タイムチャートを示す図である。第1距離測定期間では、短いパルス幅(高い周波数)でパルス光を連続で照射する。ただし、照射期間において一定時間ごとに非露光期間70を挿入する。この例では、パルス光および露光ゲートの連続期間を3回として、その後に4回分の非露光期間70を設けた場合を示している。そして、非露光期間70の長さを変えることで照射するパルス光間隔を変えて干渉対策を行う方法が考えられる。
【0066】
対象物からの反射光が図12に示すタイミングで露光される場合、符号71で示すように、A期間とC期間で露光される。しかし符号72で示すタイミングでは、C期間では露光されるが、A期間の露光ゲートは閉じているため露光されず、A期間とC期間で本来露光すべき量にアンバランスが生じてしまう。
【0067】
図13は、露光のアンバランスにより発生する距離誤差を示す図である。図12から得られる第1距離データD1Tを示している。符号73で示す部分が直線ではなく、誤差による歪みを含んでいる。このような距離誤差を低減するためには露光ゲートの連続回数を増やせばよいが、連続回数を増やすと非露光期間70の設定に制約を受け、干渉光への対策が不十分となる。つまり、高い測距精度を確保しつつ複数台間の干渉による測距誤差を低減することは困難である。このように、「連続方式」において単に非露光期間を挿入しただけでは、本実施例のような効果は得られない。
【実施例0068】
実施例2では、実施例1に対しパルス幅と繰り返し露光回数が異なる例について説明する。
【0069】
図14は、実施例2における発光露光タイムチャートを示す図である。(a)は第1の距離測定期間の発光・露光タイミングを示す。発光パルスは短いパルス幅1Tを用いる。露光期間は、タイミングを1TずつずらしたA,B,C期間で露光するが、各期間では、1つの発光パルスに対して露光ゲートを周期3Tで2回開いて繰り返し露光する(符号81,82,83)。すなわち、この場合も「拡張パルス方式」である。そして、最後の露光ゲート(符号84)を閉じてから次のパルス光(符号85)を発光するまでに、露光しない第1の非露光期間86(ここでは13Tの幅)を設けている。これにより、パルス光間隔80は19Tの幅となる。
【0070】
(b)は第2の距離測定期間の発光・露光タイミングを示す。発光パルスは長いパルス幅2Tを用いる。露光期間は、タイミングを2TずつずらしたA,B,C期間で露光するが、各期間では、1つの発光パルスに対して露光ゲートを1回開いて露光する。これは従来の「パルス方式」である。そして、最後の露光ゲート(符号87)を閉じてから次のパルス光(符号88)を発光するまでに、露光しない第2の非露光期間89(ここでは13Tの幅)を設けている。これにより、パルス光間隔80’は19Tの幅となり、第1の距離測定期間でのパルス光間隔80と等しい。
【0071】
次に、実施例2の距離計算法を説明する(図6に対応する図面は省略する)。実施例1と同様に、A,B,C期間で露光した反射光の電荷量をそれぞれA,B,Cとする。まず、(a)の第1距離測定期間での距離計算を示す。照射光に対する反射光の遅延時間dTは次式で表される。
【0072】
MIN(A,B,C)=Cのとき、
dT={(B-C)/(A+B-2C)}・T+3nT
MIN(A,B,C)=Aのとき、
dT={(C-A)/(B+C-2A)}・T+T+3nT
MIN(A,B,C)=Bのとき、
dT={(A-B)/(C+A-2B)}・T+2T+3nT
ここでnは、2回の繰り返し露光のうち何回目の周期で露光したかを表す繰り返し数であり、n=0,1はそれぞれ1,2回目を表す。
【0073】
第1距離測定期間の測定では、繰り返し数nを特定することができない。そこで、第1距離測定期間ではn=0としたときのdTから、第1距離データD1Tを
D1T=c・dT(n=0)/2
と算出する。
【0074】
次に、(b)の第2距離測定期間での距離計算を示す。照射光に対する反射光の遅延時間dTは次式で表される。
A≧Cのとき、dT={(B-C)/(A+B-2C)}・2T
A<Cのとき、dT={(C-A)/(B+C-2A)}・2T+2T
このdTから、第2距離データD2Tを算出する。
D2T=c・dT/2
その後、第2距離測定期間の測定結果D2Tを用いて第1距離測定期間の繰り返し数nを特定し、第1距離データD1Tから正確な距離Dを確定する。
【0075】
図15図16は、第1/第2の距離測定結果を用いて距離を確定(ディエイリアシング)する方法を説明する図である。ここでも1T=10nsecである。
【0076】
図15には、第1、第2の距離測定結果を示している。第1距離測定期間(パルス幅=1T)での第1距離データD1T(実線で示す)は折り返しのある直線となり、折り返し距離R1Tは3cT/2=4.5mである。第2距離測定期間(パルス幅=2T)での第2距離データD2T(破線で示す)は折り返しのない直線となる。
【0077】
実施例2では、第1、第2の距離データにおける測距範囲が異なっている。すなわち、第1距離測定期間の反射光遅延時間dTR1と測距範囲DR1は、
dTR1=1T・(2×3-1)=5T、DR1=7.5m
第2距離測定期間の反射光遅延時間dTR2と測距範囲DR2は、
dTR2=2T・(1×3-1)=4T、DR2=6m
となる。
【0078】
ディエイリアシングでは、第2距離データD2Tを用いて、第1距離データD1Tにおける繰り返し数nを次の手順で求める。まず、第1、第2の距離データの差分量と、第1距離測定期間の折り返し距離R1T(=3cT/2)との比n’を求める。
n’=(D2T-D1T)/R1T
n’を点線で示すが、第1距離データD1Tおよび第2距離データD2Tには測定誤差が含まれるので、n’は本来の整数値ではなく小数点以下の端数伴う。そこで、n’の整数化を行う。
n=ROUND(n’)
これで、繰り返し数の真値(整数値)nが求められる。
【0079】
この例では、D1TとD2Tの測距範囲DR1、DR2が一致していないため、距離6~7.5mの範囲ではn’が1~0.66まで変化するが、ラウンド関数によりn=1とすることで正しくディエイリアシングを行うことができる。またn’からnへの整数化はラウンド関数(四捨五入)に限るものではなくn’の値のばらつきに応じて自由に閾値を設定して良く、この例ではn’≦0.4のときn=0、0.4<n’のときn=1としても良い。
【0080】
図16には、ディエイリアシング後の距離出力を示している。上記した繰り返し数の真値nを用いて、次式より正確な距離Dを確定する。
D=D1T+n・R1T=D1T+n・3cT/2
この演算でも、第1距離データD1Tは測距精度が高く、また加算される折り返し距離R1Tは、単位時間Tと光速cから決まる定数(3cT/2)であるから、正確な距離Dを確定することができる。このようにして、高い測距精度と広い測距範囲を両立させて測定することができる。
【0081】
実施例2の場合、第1距離測定期間、第2距離測定期間とも露光時間が短くなるため、太陽光など外光による測距精度の低下が懸念される環境では実施例1に比べて有利となる。また、実施例2においても、第1の非露光期間86と第2の非露光期間89を設けたので、実施例1と同様に、高い測距精度を確保しつつ複数台間の干渉による測距誤差を低減することができる。
【0082】
<パルス幅と繰り返し露光回数の関係>
ここで、第1距離測定期間(高い周波数)のパルス幅と繰り返し露光回数、および第2距離測定期間(低い周波数)のパルス幅の最適な関係について説明する。
【0083】
実施例1では、第1、第2距離測定期間の測距範囲を一致させたが、例えば第2距離測定期間でのパルス幅をさらに広げ、第2距離測定期間の測距範囲を第1距離測定期間の測距範囲より広くした場合を考える。
【0084】
図17は、図5の変形例として測定誤差が発生しやすい場合を示す図である。図5(a)の第1距離測定期間のパルス幅は1Tのままで、(b)の第2距離測定期間のパルス幅を5Tに広げた場合の距離測定結果を示す。第1距離データD1Tを実線で、第2距離データD5Tを破線で示し、その差分を折り返し距離R1Tで除した比n’を点線で示している。
【0085】
この場合、第1、第2の距離データD1T、D5Tの測距範囲DR1、DR5が一致していないため、距離12~13.5mの範囲ではn’が2~2.3まで変化するが、ラウンド関数によりn=2とすることでディエイリアシングを行うことができる。しかし、第2距離測定期間のパルス幅を5Tに広げたことでショットノイズが増加して第2距離データD5Tの誤差が大きくなり、n’の値のばらつきも大きくなるので、パルス幅が4Tの場合に比べてディエイリアシング時のエラーが発生しやすくなる。よって、第1距離測定期間の測距範囲と第2距離測定期間の測距範囲とは一致させることが望ましい。
【0086】
第1、第2距離測定期間の測距範囲が一致する条件は、第1距離測定期間のパルス幅をTH、第2距離測定期間のパルス幅をTLとし、それぞれに対応する測距範囲をDRH、DRLとすると、
DRH=(cTH/2)・(3-1)
DRL=(cTL/2)・(3n-1)
ここに、cは光速、nは繰り返し露光回数である。DRH=DRLとなる条件は、
TL/TH=(3n-1)/2
となる。
【0087】
前記実施例1(図5)は、パルス幅の比TL/TH=4、パルス幅TH側の繰り返し露光回数n=3とした場合で、DRH=DRLの条件を満足している。ただしnが偶数の場合には、TL/THは整数にならない。例えばn=2のときTL/TH=2.5で整数にならない。この場合はパルス幅の比TL/THをそのまま2.5倍とすればよい。
【0088】
しかし、TLをTHの整数倍でしか設定できない場合もある。その場合には、小数点以下を切り捨てた整数値を用いればよい。すなわちTHに対して
TL/TH=ROUNDDOWN[(3n-1)/2]
で求めたTLを用いることができる。ここにラウンドダウン関数では小数点以下を切捨てる処理をする。
【0089】
前記実施例2はこの場合に相当し、パルス幅の比TL/TH=2、パルス幅TH側の繰り返し露光回数n=2とすることで、DRH=DRLの条件に近づけている。
【0090】
以上述べた条件によれば、第1距離測定期間の測距範囲と第2距離測定期間の測距範囲が一致、または近い値となるので、測距精度と測距範囲の性能がバランスして最も効率の良い測定が可能となる。
【0091】
その一方で、例えば、店舗内の人の動線を分析するアプリにおいては、10台を超える複数の測距撮像装置を用いることが考えられる。そして、オクルージョン対策の一例として、測距撮像装置の設置間隔を従来の3m間隔から50cm間隔以下に詰める必要があるが、設置間隔を狭めることに伴って装置間における照射したパルス光の干渉強度が大きくなり、上記で説明した干渉光対策であっても測距誤差が5cmを超えるという点に課題があった。そこで、次に、このように装置間が狭まる場合であっても、精度の良い計測を行うことができる測距システム100について説明する。
【0092】
上記では、一例として、パルス間隔が17Tおよび19Tに設定される干渉光対策について説明されたが、この測距システム100は、図18等に示すようにパルス周期を設定して、干渉効果を抑制する。なお、下記の説明において、パルス間隔は、パルス周期×基準クロックの値に対応する。
【0093】
図18は、パルス周期の関係の一例について示した図である。図18では、7種類のパルス周期の設定が行われている(すなわち、干渉設定No.1~7においてパルス周期の設定が行われている)が、これよりも少ないパルス周期の設定が行われてもよいし、これよりも多いパルス周期の設定が行われてもよい。
【0094】
図18に示すように、各パルス周期の設定においては(言い換えれば、干渉設定Nо.ごとには)、互いに素の関係となるようにそれぞれに素数が割り当てられており(すなわち、干渉設定Nо.ごとに異なる素数が割り当てられており)、この素数を用いてパルス周期が設定されている。詳細には、パルス周期は、任意の自然数で素数をべき乗した値、素数に任意の自然数を掛けた値、任意の自然数で素数をべき乗した値に任意の自然数を掛けた値、に対応する。
【0095】
更に、パルス周期は、同じ距離モードですべて異なるように定められる。なお、距離モードは、計測距離(一例では、3.3m)を考慮したパルス幅に関するデータとすることができる。そして、この例においては、13以上であって149以下となるように、且つ、パルス数が250以上設定できる条件を満たすように、パルス周期が適宜に選択されて定められる。なお、パルス周期の設定においては、小さい値を設定することで、設定の容易化を図ることができると考えられるが、条件を満たすように適宜に選択されればよい。
【0096】
また、パルス周期の設定にあたり、例えば、最大周期(この例では、149)を超える場合、べき数(冪)に代えて整数倍の値が用いられる。この例では、干渉設定No.6~7において、素数(13、17)の2乗値は、149よりも大きくなる。従って、この場合、図19に示すように、べき数を使用しないで、整数倍が用いられてパルス周期が定められる。
【0097】
なお、整数倍に用いる自然数は、最小周期(この例では、13)に基づく値よりも小さくするとよい。これにより、パルス周期の設定の容易化を図ることができ、適切な干渉抑制を行うためのパルス周期を適宜に設定することができる。
【0098】
また、適切なパルス周期を設定することの容易化を図る観点(つまり、最小周期と最大周期の範囲におけるパルス周期を容易に設定する観点)から、適宜の条件が設けられてもよい。例えば、最小周期以上の素数については、素数のべき数の値、または、素数に自然数を掛けた値、に基づくパルス周期が設定され、最小周期よりも小さい素数については、素数のべき数に自然数を掛けた値を含めてパルス周期が設定されるという条件が設けられてもよい。
【0099】
このようにパルス周期が設定された場合では、パルス周期の最小公倍数(LCM)に基づく周期でタイミングの重なりによる干渉が発生する。図18には、最小公倍数の関係が示されている。例えば、干渉設定No.1のパルス周期は、32であり、干渉設定No.3のパルス周期は、125であり、これらの最小公倍数は、4000である。従って、これらのパルス周期の関係では、4000に基づく周期でタイミングが重なり、タイミングの重なりによる干渉が発生する。
【0100】
パルス周期を設定した場合、最小公倍数の値が基準値よりも大きいか(または、基準値以上であるか)について、判定が行われることが好ましい。これにより、素数ベースの適切なパルス周期が設定されたかどうかについて評価することができる。また、併せて、パルス周期の積が基準値よりも大きいか(または、基準値以上であるか)についても、判定が行われることが好ましい。これにより、最小公倍数を用いる観点とは異なる観点で、適切なパルス周期が設定されたかどうかについて評価することができる。
【0101】
図20図21を用いて具体的に説明する。図20図21は、パルス周期の最小公倍数の関係、および、パルス周期の積の関係の一例について示す図である。
【0102】
最小公倍数の基準値は、一例として、200とすることができる。そして、図20においては、最小公倍数それぞれは、基準値を満たす。その一方で、パルス周期の積の基準値は、一例として、500とすることができる。図20においては、パルス周期が19である干渉設定No.8において、361の値が算出されており、条件が満たされていない。従って、条件を満たさないことが判定され、この場合、パルス周期を再設定することが好ましい。なお、一例として、装置間隔が50cm以下である場合では、適切なパルス周期を設定する観点から、最小公倍数が、500よりも大きくなる(または、500以上となる)ことが好ましい。
【0103】
図21においては、図20の場合と比較して、干渉設定No.5のパルス周期が異なっている。また、干渉設定No.8のパルス周期が異なっている。そして、図21の例は、最小公倍数の基準値を満たし、且つ、パルス周期の積の基準値を満たしている。従って、干渉抑制を図るにあたり、適切なパルス周期が設定されていることを評価することができる。
【0104】
次に、照射するパルス光のパルス幅が選択されて使用される場合における、パルス周期の設定について説明する。図22は、それぞれ異なるパルス幅に対して設定したパルス周期の一例を示す。
【0105】
なお、測距システム100において、各測距撮像装置は、照射するパルス光のパルス幅を変更可能な装置とすることができる。例えば、各測距撮像装置は、ユーザの切り換え操作によって、1T、2T、3T、4Tの何れかにパルス幅を変更可能であってもよい。測距撮像装置が1T、2T、3T、4Tのパルス幅を用いる場合、図22の例のように、それぞれのパルス幅についてパルス周期が設定される。
【0106】
それぞれ異なるパルス幅のパルス周期は、上記と同様の方法によって、割り当てられた素数に基づいて設定される。すなわち、パルス周期は、素数のべき数、任意の自然数を素数に掛けた値、素数のべき数に任意の自然数を掛けた値、に基づいて設定される。なお、素数に掛ける自然数は、最小周期に基づく値よりも小さくするとよく、これにより、パルス周期の設定の容易化を図り、より適切なパルス周期を適宜に設定することができる。
【0107】
また、各パルス幅のパルス周期の設定において同一の素数を用いて設定することで、パルス周期の設定にあたって素数が有効に活用され、その結果として、パルス周期の設定にあたって使用する素数が少なくなることが防止される。すなわち、図22の例では、干渉設定Nо.ごとに、それぞれのパルス幅のパルス周期が設定されており、干渉設定Nо.ごとに、それぞれ異なる素数を用いているので、各パルス幅のパルス周期の設定にあたり、素数が有効に活用されている。また、パルス幅が異なる場合であっても、整数倍に用いる自然数は、最小周期に基づく値よりも小さくするとよい。これにより、パルス周期の設定の容易化を図ることができる。
【0108】
次に、パルス周波数と基準クロックとの周波数差について説明する。図23は、パルス周波数と基準クロックとの周波数差の関係の一例を示す図である。パルス周波数は、特定のパルス幅(図23等において、距離モードで記載)を用いて計測した場合の周波数であり、図23の一例では、パルス幅が1Tである場合、パルス周波数は、最小で604であり、最大で6923となっている。ここで、最小のパルス周波数と基準クロックとの周波数差が、5kHz以上となることが好ましく、この場合に、干渉抑制効果が良好になる。
【0109】
なお、それぞれのパルス幅を用いて計測した場合におけるduty比の一例を、図23に示す。図23に示すように、duty比は、パルス幅が大きくなるに従って増大する傾向が見られた。
【0110】
次に、図24を参照しながら、測距システム100が備える測距撮像装置の構成の一例について説明する。図24は、測距システムの機能ブロック図の一例(干渉機能システムブロック図)である。
【0111】
図24に示すように、測距システム100における各測距撮像装置(TOF♯1~n)は、水晶発振器111と、PLLブロック112と、を備える。水晶発振器111およびPLLブロック112は、基準クロックを生成する。なお、各装置(TOF♯1~n)は、共通の基準クロックに基づいて処理を行う。そして、基準クロックは、一例として、100MHz(10nsec)とすることができる。ここで、水晶発振器111は、一例として、45MHzの周波数の発振を起こす。
【0112】
また、各装置(TOF♯1~n)は、レジスタ設定ブロック121と、干渉設定演算ブロック122と、を備える。レジスタ設定ブロック121は、レジスタの設定を行う機能を有している。干渉設定演算ブロック122は、パルス周期を設定する機能を有しており、詳細な処理については後で詳しく説明する。
【0113】
また、各測距撮像装置(TOF♯1~n)は、発光/露光ゲート生成回路131と、パルス生成部132と、発光パルス回路133と、を備える。発光/露光ゲート生成回路131は、基準クロックに基づいた、発光に用いるゲート、および、露光ゲートを生成するための回路である。パルス生成部132は、基準クロックに基づくパルス幅とパルス間隔を生成するために用いられる。発光パルス回路133は、適宜に生成されるパルス幅(この例では、PW=1×T=10nsec)、および、パルス周期に基づくパルス間隔(この例では、パルス周期が19であり、PT=19×10nsec)で、生成したゲートを用いてパルス光を発生させることに利用する回路である。なお、計測に使用するパルス幅は、ユーザによって、上述したように選択されてもよい。
【0114】
また、各測距撮像装置(TOF♯1~n)は、照射光学系駆動回路141と、露光シャッタパルス回路142と、を備える。照射光学系駆動回路141は、発光パルス回路133からの入力に基づくパルス光を光源から照射するために、照射光学系を駆動させるために用いる回路である。露光シャッタパルス回路142は、適宜に設定されるパルス幅およびパルス周期に基づく計測を行う際に、露光ゲートを用いて露光するタイミングを制御するために用いる回路である。受光部12は、露光シャッタパルス回路142からの入力に基づいて露光を行う。
【0115】
また、各測距撮像装置(TOF♯1~n)は、蓄積電荷転送部151と、距離演算部13と、を備える。蓄積電荷転送部151は、測定期間において露光ゲートに蓄積した電荷を、距離計算に用いるために転送することに用いる。距離演算部13は、上述した計算方法により、蓄積された電荷に基づいて距離計算を行うために用いられる。
【0116】
また、各測距撮像装置(TOF♯1~n)は、通信I/Fブロック152を備える。通信I/Fブロック152は、通信するためのインタフェースを構成しており、例えば、データ(計算した距離データなど)を外部に出力することに用いられる。なお、それぞれの測距撮像装置(TOF♯1~n)から出力されるデータをホストPC161が受信して取得してもよい。そして、ホストPC161は、各測距撮像装置(TOF♯1~n)からのデータを集約して、その結果のデータを出力してもよい。また、ホストPC161には、各測距撮像装置(TOF♯1~n)が照射するパルス光のパルス周期やパルス幅などのデータが出力されてもよい。
【0117】
更に、ホストPC161は、例えば、共通の基準クロックを用いた計測が行われるように、各測距撮像装置(TOF♯1~n)を制御したり、共通の基準クロックを用いた計測が行われているかどうかについて監視することに用いられてもよい。また、ホストPC161から、レジスタ、パルス幅、パルス周期など、を設定するための指令が、各測距撮像装置(TOF♯1~n)に出力されてもよい。
【0118】
次に、図25を参照しながら、干渉設定演算ブロック122の処理の詳細について説明する。図25は、干渉設定演算ブロックの処理の一例を示す。なお、干渉設定演算ブロック122の処理の主体は、プロセッサ(この例では、CPU)である。干渉設定演算ブロック122の処理により、パルス周期の設定が行われ、後述する干渉設定テーブル(一例として、図18図20図22に示される形式のデータ)が生成される。
【0119】
干渉設定演算ブロック122では、サンプリングクロックが設定される。サンプリングクロックは、水晶発振器111およびPLLブロック112が生成する基準クロックと同一とすることができる。また、最小パルス周期および最大パルス周期が設定される。上述したように、最小パルス周期は、一例として、13に設定することができる。最大パルス周期は、一例として、149に設定することができる。
【0120】
また、干渉設定演算ブロック122の処理では、干渉抑止設定数の情報が用いられる。干渉抑止設定数には、パルス幅の種類の情報と、パルス周期の設定に使用する素数の個数の情報と、に関する情報が含まれる。干渉抑止設定数は、計測に用いるパルス幅の種類をm(m=1、2、3・・・)として、パルス周期の設定に使用する素数の個数をn(n=1、2、3・・・)とするデータの形式で適宜に設定され、測距撮像装置(TOF♯1~n)に格納されてもよい。この場合、mT×nTのパルス周期(つまり、m×n個分のパルス周期)が設定される。
【0121】
パルス周期を設定するために用いられる素数は、素数テーブルに配置されており、素数テーブルは、適宜の記憶装置(例えば、メモリ)に格納されている。
【0122】
そして、干渉設定演算ブロック122の処理では、素数テーブルに格納されている素数のうちで、パルス周期の設定に使用しない素数が検索される。上記のように、最小パルス周期が13、最大パルス周期が149と設定される場合、一例として、257、259、・・・等の素数は、範囲外の素数として検索され、2、3、5、7、11等の素数は、設定に使用する素数とされる。なお、ここでは使用しない素数を検索する例について説明されたが、素数テーブルに格納されている素数のうちで、実際に使用する素数と、使用しない素数と、を適宜に区別することができればよく、使用する素数の検索が行われてもよい。
【0123】
パルス周期の設定に使用する素数と使用しない素数は、適宜の手法により区別されて決定されればよい。例えば、最小パルス周期と最大パルス周期の範囲を満たすように素数のべき数や素数の整数倍の値を算出する際に、使用する自然数(すなわち、べき指数や整数倍の演算に用いる自然数)があまり大きくならない代表的な素数が、パルス周期の設定に使用する素数とされてもよい。例えば、べき指数や整数倍の演算に用いる自然数が、所定値よりも小さい、または、所定値以下となる条件で、パルス周期の設定に用いる素数が決定されてもよい。また、最小パルス周期よりも小さい素数(または最小パルス周期以下の素数)が、パルス周期の設定に用いる素数として決定されてもよい。
【0124】
使用する素数の決定においては、例えば、図26のようなデータを利用した素数の探索が行われてもよい。このデータ(テーブル)には、素数と累乗係数(べき指数)に関連付けて、素数のべき数が格納されている。そして、このデータを用いて、最小パルス周期と最大パルス周期の範囲をべき数が満たすように、素数が適宜に探索されてもよい。ここで、1つの干渉設定において(m×1分の干渉設定であり、1つの干渉設定Nо.において)同じ素数が使用され、各干渉設定において(それぞれの干渉設定Nо.において)それぞれ異なる素数が使用されるように、素数が探索される。つまり、既に選択した素数が再度選択されないように、探索が行われる。なお、例えば、パルス周期の設定の容易化を図る観点から、最小パルス周期と最大パルス周期の範囲を満たすべき数のうちで、最も小さいべき数に対応する素数を優先するなどの条件を設けたうえで、素数の探索が行われてもよい。また、例えば、べき数の観点から所定数以上(例えば、250以上)のパルス数を設定可能な素数を優先するなどの条件を設けたうえで、素数の探索が行われてもよい。
【0125】
そして、干渉設定演算ブロック122の処理では、使用する素数が決定した後に、最小パルス周期および最大パルス周期の条件で当該素数に基づいて求められる、素数のべき数、素数に任意の自然数を掛けた値、素数のべき数に任意の自然数を掛けた値、が適宜の記憶装置(例えば、メモリ)に配置される。
【0126】
次に、後述の処理で用いる値であって、素数から求めた値の最小公倍数の下限値が、測距撮像装置(TOF♯1~n)の設置間隔を考慮して設定される。図25に示すように、最小公倍数の下限値は、一例として、適宜に設定される定数を測距撮像装置(TOF♯1~n)の設置間隔で割って得られる商として、設定することができる。
【0127】
また、後述の処理で用いる値であって、素数から求めた値の積の下限値が、同様にして、測距撮像装置(TOF♯1~n)の設置間隔を考慮して設定される。
なお、ここでの説明は一例であり、適切な下限値を設定することができればよく、下限値は、例えば、計測する対象物2までのおおよその距離も考慮された値としてもよい。
【0128】
そして、干渉抑止設定数が参照され、素数から求めた値(素数のべき数、素数に任意の自然数を掛けた値、素数のべき数に任意の自然数を掛けた値)が、m×n分に適宜に割り当てられて、m×n分のパルス周期が求められる。ただし、各干渉設定において(すなわち、それぞれの干渉設定Nо.において)、それぞれ異なる素数に基づく値が割り当てられ、各干渉設定において、それぞれ異なる素数に基づくパルス周期が求められる。そして、割り当てられた値の最小公倍数が、上記で設定された下限値よりも大きいかどうかについて(または、下限値以上かどうかについて)判定される。そして、条件を満たさない最小公倍数が含まれる場合、再度の割り当てが行われる。なお、再度の割り当ては、m×n分のうちの部分的な割り当てであっても、全体的な割り当てであってもよい。また、最小公倍数に関する判定は、パルス幅ごとのパルス周期について行われ、同一の素数に基づくパルス周期の最小公倍数は、判定から除外される。
【0129】
最小公倍数が下限値に基づく条件を満たしていることの判定が行われた後に、更に、最小公倍数が所定値よりも大きい、または、所定値以上であることの判定が行われることが好ましい(つまり、2段階の判定を行うことが好ましい)。ここで、所定値は、計測において好ましい値とすることができ、例えば、測距撮像装置(TOF♯1~n)の間隔を考慮して、適宜に定めることができる。これにより、装置間の干渉をより適切に抑制するパルス周期を設定することができる。そして、条件を満たさない場合、条件を満たすように、再度の割り当てが行われてもよい。
【0130】
同様にして、割り当てられた値の積が、上記で設定された下限値よりも大きいかどうかについて(または、下限値以上かどうかについて)判定される。この判定は、同じパルス周期の積(つまり、同じパルス周期の2乗の値)を含む。そして、下限値以下の積が含まれる場合、再度の割り当てが行われる。なお、再度の割り当ては、m×n分のうちの部分的な割り当てであっても、全体的な割り当てであってもよい。
【0131】
また、最小公倍数の場合と同様に、積が下限値に基づく条件を満たしていることの判定が行われた後に、更に、積が所定値よりも大きい、または、所定値以上であることの判定が行われることが好ましい。所定値は、最小公倍数の場合と同様に、計測において好ましい値とすることができ、例えば、測距撮像装置(TOF♯1~n)の間隔を考慮して適宜に定めることができ、これにより、より適切なパルス周期を設定することができる。そして、条件を満たさない場合、条件を満たすように、再度の割り当てが行われてもよい。なお、パルス周期の積に関する判定は、最小公倍数の場合と同様に、パルス幅ごとのパルス周期について行われる。
【0132】
最小公倍数の条件、および、積の条件の両方を満たす場合、m×n分に割り当てられた素数の値に基づくパルス周期のデータ(干渉設定テーブル)が生成される。干渉設定テーブルは、一例として、上述した、図18図20図22に示す形式のデータとすることができ、素数を分類する干渉設定Nо.と、パルス幅と、パルス周期と、を関連付けるデータとすることができる。なお、生成された干渉設定テーブルは、適宜の記憶装置(例えば、メモリ)に出力されて格納される。
【0133】
測距システム100を用いて計測を行う場合、各測距撮像装置(TOF♯1~n)が照射するパルス光のパルス周期が、それぞれの装置に格納されている干渉設定テーブルから適宜に選択される。そして、各測距撮像装置(TOF♯1~n)において共通する基準クロックに基づくパルス光の間隔で、計測が行われる。
【0134】
ここで、例えば、各測距撮像装置(TOF♯1~n)のパルス幅が1Tで共通する設定で計測を行う場合、干渉設定テーブルのパルス幅1Tに対応するパルス周期が各測距撮像装置(TOF♯1~n)において適宜に選択され、選択されたパルス周期に基づく計測が行われる。なお、測距システム100は、測距撮像装置(TOF♯1~n)間で異なるパルス幅を用いた計測を行ってもよい。例えば、ある装置のパルス幅を2Tに設定して計測を行う場合、当該装置について、当該装置の干渉設定テーブルのパルス幅2Tに対応するパルス周期が選択される。ここで、パルス周期は、測距システム100の計測において各測距撮像装置(TOF♯1~n)間でそれぞれ異なるように選択される。
従って、測距システム100の計測では、各測距撮像装置(TOF♯1~n)間のパルス周期は全て異なる。また、各測距撮像装置(TOF♯1~n)間で同一の素数に基づくパルス周期が使用されないように、パルス周期が選択されてもよい。また、各測距撮像装置(TOF♯1~n)間でのパルス間隔が互いに素の関係となるように、パルス周期が選択されてもよい。
【0135】
測距システム100の計測において、干渉設定テーブルに基づくデータが各測距撮像装置(TOF♯1~n)から出力され、当該データを参照したユーザが、各測距撮像装置(TOF♯1~n)のパルス周期を適宜に設定(決定)してもよい。また、例えば、ホストPC161に干渉設定テーブルに基づくデータが各測距撮像装置(TOF♯1~n)から出力され、ホストPC161が当該データを参照して各測距撮像装置(TOF♯1~n)のパルス周期を選択してもよい。また、例えば、干渉設定No.と素数を各測距撮像装置(TOF♯1~n)で共通させて干渉設定テーブルを生成しておき、測距システム100の計測時において、それぞれの測距撮像装置(TOF♯1~n)の干渉設定No.を異ならせるように、パルス周期が選択されてもよい。これにより、各測距撮像装置(TOF♯1~n)間で異なる素数に基づく計測を容易に実行することができる。
【0136】
また、測距システム100の計測においては、干渉抑制効果を良好にする観点から、測距撮像装置(TOF♯1~n)間のパルス周期の最小公倍数が200以上となるように、または、200より大きくなるように、パルス周期が選択されることが好ましい。更に、測距撮像装置(TOF♯1~n)の設置間隔を考慮して、例えば、設置間隔が50cm以下であるときには、最小公倍数が500以上である、または、500よりも大きいことが好ましい。また、同一の測距撮像装置についてのパルス周期の2乗値が500よりも大きいまたは500以上であり、且つ、測距撮像装置間のパルス周期の積が500よりも大きいまたは500以上であることが好ましい。
【0137】
測距システム100は、上記で説明された干渉抑制対策を用いて、装置間隔が短くなる場合であっても、好適な計測を行うことができる。また、測距システム100が備える測距撮像装置(TOF♯1~n)の台数は、一例として、10台以上(n≧10)とすることができ、10台以上の測距撮像装置を用いて計測を行うことができる。
【0138】
本発明は上記の内容に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例等は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0139】
任意の1つのパルス幅に関するパルス周期の設定において、もとの素数に同値となるパルス周期が部分的に設定されてもよい。パルス周期は、適切な設定を行う観点から、全てもとの素数と異なるように設定されることが好ましい(つまり、全て素数と同値とならないように設定されることが好ましい)が、例えば、図20図21に示す干渉設定No10や、図22に示すパルス幅1Tに関する干渉設定No8-10のように、素数と同値になるパルス周期が部分的に設定されてもよい。このように、素数と同値のパルス周期を部分的に含めることで、設定の容易化を図ることができる。ここで、例えば、1つのパルス幅の設定において、干渉設定Nо.の総数の9割以下の数のパルス周期が、素数と同値とされてもよい。
【0140】
ただし、パルス周期を素数と同値にする場合、干渉抑制効果、最小公倍数や積の条件への影響を減らす観点から、所定値以上(例えば、最小パルス周期以上)の素数についてのみ、素数とパルス周期を同値にしてもよいとする条件が設けられることが好ましい。
【0141】
そして、測距システム100の計測においては、測距撮像装置の一部(干渉設定Nо.の場合と同様に、総数の9割以下の数の測距撮像装置)が、素数と同値となるパルス周期(ただし、最小周期以上のパルス周期)に基づいて設定されるパルス光の間隔で計測を行い、他の測距撮像装置が、素数と異なるパルス周期に基づいて設定されるパルス光の間隔で計測を行ってもよい。
【0142】
上記の説明では、水晶発振器111およびPLLブロック112により、基準クロックの発信源が構成されていた。しかしながら、例えば、水晶発振器111のみで発信源が構成されてもよい。また、PLL内臓の基準クロック発生器により、発信源が構成されてもよい。
【0143】
各種のデータ(テーブルやプログラム)は、適宜の記憶装置(一例として、測距撮像装置が有するメモリ)に格納することができる。測距システム100の処理は、所定の処理を行うための適宜のプログラムをプロセッサが実行することにより行われる。例えば、測距撮像装置(TOF♯1~n)の処理は、一例として、測距撮像装置(TOF♯1~n)が備えるプロセッサ(制御部14であって測距撮像装置が有するCPU)によって行われる。プロセッサの一例としてはCPUやGPUが考えられるが、所定の処理を実行する主体であれば他の半導体デバイスでもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 測距撮像装置
2 対象物
11 発光部
12 受光部
13 距離演算部
14 制御部
21 照射光
22 反射光
23 イメージセンサ
100 測距システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26