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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167714
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】室内殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20221027BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073699
(22)【出願日】2021-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】503156448
【氏名又は名称】株式会社アルサ
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】関 孝人
(72)【発明者】
【氏名】川端 孝幸
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK28
4C058KK32
4C058KK46
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH11
4C180LL04
(57)【要約】
【課題】光量減衰を抑えつつ照射範囲の収束をより確実にできる室内殺菌装置を提供する。
【解決手段】本発明の室内殺菌装置は、筐体と、前記筐体内部の奥側に備わる紫外線を照射する光源と、前記光源の背面に備わる主反射鏡と、前記筐体内部であって前記光源の前方に備わる複数の副反射鏡と、前記筐体の前方に備わる開口部と、を備え、前記開口部は、出力紫外線を、前方に出力し、前記出力紫外線は、少なくとも、前記光源から照射される直接的な紫外線である直接光と、前記光源から照射されて前記主反射鏡で反射された第1光軸制御光と、前記光源から照射されて前記複数の副反射鏡のいずれかで反射した後で更に前記主反射鏡で反射された第2光軸制御光を、含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内部の奥側に備わる紫外線を照射する光源と、
前記光源の背面に備わる主反射鏡と、
前記筐体内部であって前記光源の前方に備わる複数の副反射鏡と、
前記筐体の前方に備わる開口部と、を備え、
前記開口部は、出力紫外線を、前方に出力し、
前記出力紫外線は、少なくとも、
前記光源から照射される直接的な紫外線である直接光と、
前記光源から照射されて前記主反射鏡で反射された第1光軸制御光と、
前記光源から照射されて前記複数の副反射鏡のいずれかで反射した後で更に前記主反射鏡で反射された第2光軸制御光を、含む、室内殺菌装置。
【請求項2】
前記筐体は、室内において人間の平均身長より高い位置に取り付けられる、請求項1記載の室内殺菌装置。
【請求項3】
前記出力紫外線は、前記光源中央と前記開口部中央とを結ぶ接続軸と略平行および上方方向に沿う、請求項1または2記載の室内殺菌装置。
【請求項4】
前記開口部は、前記筐体の前方であって前記光源と逆側に備わり、
前記開口部は、前記筐体の取り付けられた室内において、前方に向けて前記出力紫外線を出力する、請求項3記載の室内殺菌装置。
【請求項5】
前記直接光は、前記光源から照射される紫外線の内、前記光源から前記開口部に直接的に到達して、前記開口部から出力される紫外線である、請求項1から4のいずれか記載の室内殺菌装置。
【請求項6】
前記第1光軸制御光は、前記光源から照射される紫外線の内、前記光源の背面にある前記主反射鏡において前記開口部に向けて反射され、前記開口部から出力される紫外線である、請求項1から5のいずれか記載の室内殺菌装置。
【請求項7】
前記第2光軸制御光は、前記光源から照射される紫外線の内、前記光源の前方にある前記複数の副反射鏡のいずれかで後方に反射された上で、前記主反射鏡で再び前方に反射されて、前記開口部から出力される紫外線である、請求項1から6のいずれか記載の室内殺菌装置。
【請求項8】
前記出力紫外線は、
前記光源から照射される紫外線の内、前記主反射鏡で前方に反射されて前記複数の副反射鏡のいずれかで後方に反射され、更に、前記主反射鏡で前方に反射されて前記開口部から出力される紫外線である第3光軸制御光を、更に含む、請求項1から7のいずれか記載の室内殺菌装置。
【請求項9】
前記複数の副反射鏡は、前記開口部の下方に備わる開口部副反射鏡を含み、
前記開口部副反射鏡は、前記接続軸に到達する高さを有する、請求項3記載の室内殺菌装置。
【請求項10】
前記開口部副反射鏡は、前記接続軸の下方への紫外線の漏洩を防止する、請求項9記載の室内殺菌装置。
【請求項11】
前記複数の副反射鏡は、前記筐体内部において、列状態で備わる、請求項1から10のいずれか記載の室内殺菌装置。
【請求項12】
前記主反射鏡は、平面形状、屈曲形状および凹面形状の少なくとも一つを有する、請求項1から11のいずれか記載の室内殺菌装置。
【請求項13】
前記第2光軸制御光は、
前記光源からの光が前記副反射鏡で反射される反射角度と、
前記副反射鏡で反射された光が前記主反射鏡で反射される反射角度と、
の組み合わせにより、前記開口部の開口範囲に収まる、請求項1から12のいずれか記載の室内殺菌装置。
【請求項14】
前記出力紫外線は、その照射領域にある空気を殺菌可能である、請求項1から13のいずれか記載の室内殺菌装置。
【請求項15】
前記筐体が設置される室内において、前記照射領域とそれ以外の領域との空気を攪拌する撹拌機を更に備える、請求項14記載の室内殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に設置されて、室内の空気に含まれる細菌やウイルスを殺菌できる室内殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な感染症の流行が問題となっている。SARSやMERSといったある地域を基点として流行する感染症や、2020年に世界を襲った新型コロナウイルスなどの感染症などがたびたび問題となっている。このような感染症は、グローバル化の進展や世界中の人々や物品が移動する大移動の時代にあっては、地域にとどまることなく、このような感染症が世界中に広まる問題がある。
【0003】
このような感染症は、あるウイルスや細菌に基づく感染症が収束しても、また別のウイルスや細菌による流行が始まる問題がある。あるいは、同じウイルスが変異して、流行期間を延ばしたり、新たな流行を引き起こしたりすることがある。このような感染症の流行や広がりが生じると、多くの人々の生活様式に影響を与える。
【0004】
例えば、日常生活の中でのマスク着用、手指消毒などの必要性が生じる。また、これら以外においても、衛生観念を高めることが求められている。
【0005】
上記は、ヒトに係る感染症であるが、ヒト以外でも、鳥インフルエンザや豚インフルエンザなどの家畜などに流行する感染症の問題もたびたび生じている。家畜におけるウイルスや細菌による感染症が発生すると、畜産業者に大きな打撃になり経済活動や人々の食生活へ影響を与えてしまう。また、家畜における感染症が流行すると、ウイルス変異などによって家畜からヒトへの感染が始まる懸念もある。
【0006】
このように、グローバル化や物流のサプライチェーン、人口増加や人々の生活レベル向上に伴って、様々な感染症の問題が広まっている。これはヒトでも家畜などの動物でも同じであり、かつヒトと家畜との間でも同様である。
【0007】
上述のように、マスク着用や手指消毒などの生活様式や衛生対策が行われていても、ウイルスや細菌は、生活や行動の中で様々に存在する。人体から放出されたウイルスや細菌が空気中に浮遊したり、人体や物品に付着していたウイルスや細菌が浮遊したりすることがある。人が咳やくしゃみをすることによりウイルスや細菌が、空間に放出される。これにより、室内の空気中に含まれるウイルスや細菌が増加する問題がある。
【0008】
住宅、オフィス、ビル、公共施設、病院、介護施設、宿泊施設などの様々な施設においては、様々な居室があり、この居室内部で、ウイルスや細菌の殺菌が必要となっている。これらの施設は、複数の人が出入りしたり、不特定の来訪者が出入りしたりする。このため、これらの複数の人の出入りによって、外部から細菌やウイルスが持ち込まれることも多い。加えて、これらの施設は、複数の部屋に区分されている。このような部屋は、一定の広さに仕切られており、浸入した細菌やウイルスが残留しやすい。これらの残留した細菌やウイルスは、室内にいる人の健康へ影響を与える可能性がある。
【0009】
特に、入院患者や通院患者などは、抵抗力が弱まっているので、室内に浮遊するウイルスや細菌による影響を受けやすい問題がある。また、近年の衛生志向によって、多くの人が細菌やウイルスに対する耐久性を低下させてしまっている。このような状況では、様々な施設において、細菌やウイルスを軽減することが必要になってきている。
【0010】
このような室内に付着していたり浮遊したりするウイルスや細菌を殺菌するために、紫外線を室内の物品や壁面などに照射して殺菌することが行われたりしている。しかし、室内の様々な場所に紫外線を照射することは、室内にいる人に紫外線が直接的に照射されて好ましくない。紫外線の一部には、人体への影響を与えるものがあるからである。
【0011】
また、室内全体に渡って紫外線を照射することは、殺菌と人体影響とのアンバランスを生じさせる懸念がある。これを超えて殺菌するには、紫外線の強度と範囲を大きくしなければならず、紫外線照射での人体へのマイナス影響も懸念される。
【0012】
これらの結果、紫外線照射を照射する範囲を絞って殺菌する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2019-205916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1は、筐体2と、室内の壁面に前記筐体2を取り付けるための取付部と、紫外線を照射する光源3と、前記光源3が照射する紫外線の照射範囲を絞る絞り部材4を備える室内殺菌装置を、開示する。
【0015】
特許文献1の室内殺菌装置は、紫外線を照射する範囲を、複数の板材を用いた絞り部材で絞り込むことを開示している。
【0016】
しかしながら、特許文献1のような室内殺菌装置においては、次のような問題がある。
【0017】
(問題1)光源から照射された紫外線は、複数の板材に衝突して反射を繰り返しながら、外部に収束された状態で発出される。このため、板材に衝突するたびに紫外線が吸光されてしまい最終的に出力される紫外線の光量が減少する問題がある。すなわち、光源に供給されるエネルギーの一部が、無駄に消耗されてしまう問題がある。勿論、消費エネルギーに対する殺菌能力が落ちる問題もある。
【0018】
(問題2)最終的に出力されるまでに、光源からの光が板材のそれぞれで反射する。この反射の繰り返しは乱反射となり、最終的な射出口から照射される紫外線が拡がってしまう問題がある。結果として、室内の高い位置に設置していながら、室内にいる人へ紫外線が当たってしまうなどの問題につながる。
【0019】
すなわち、特許文献1のような従来技術は、消費エネルギーに対する殺菌能力が低いことや室内の人への影響などの問題がある。
【0020】
本発明は、これらの問題を解決し、光量減衰を抑えつつ照射範囲の収束をより確実にできる室内殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題に鑑み、本発明の室内殺菌装置は、筐体と、
前記筐体内部の奥側に備わる紫外線を照射する光源と、
前記光源の背面に備わる主反射鏡と、
前記筐体内部であって前記光源の前方に備わる複数の副反射鏡と、
前記筐体の前方に備わる開口部と、を備え、
前記開口部は、出力紫外線を、前方に出力し、
前記出力紫外線は、少なくとも、
前記光源から照射される直接的な紫外線である直接光と、
前記光源から照射されて前記主反射鏡で反射された第1光軸制御光と、
前記光源から照射されて前記複数の副反射鏡のいずれかで反射した後で更に前記主反射鏡で反射された第2光軸制御光を、含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の室内殺菌装置は、室内にいる人に紫外線を照射することなく、室内を浮遊する細菌やウイルスに紫外線を照射して殺菌できる。特に、人体への照射を防止するように、人体より上の室内の上方空間に紫外線を照射することで、対流によって上昇する細菌やウイルスを殺菌する。室内の対流によって天井付近に浮遊してくる細菌やウイルスを殺菌することを繰り返すことで、室内の細菌やウイルスを極めて減少させることができる。
【0023】
また、2つの反射部を用いて照射方向を収束させることで、スリット状の板材での反射を繰り返して収束させる従来技術と異なり、収束の過程での紫外線の光量減衰を抑えることができる。結果として、使用エネルギーに対する殺菌効果のバランスを高めることができる。
【0024】
また、従来技術の板材による乱反射での最終的に射出される紫外線の拡散を防止できる。これにより、室内の人の安全を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】室内殺菌装置が取り付けられた室内の状態を示す模式図である。
図2】本発明の実施の形態1における室内殺菌装置の側面図である。
図3】本発明の実施の形態1における室内殺菌装置の側面図である。
図4】本発明の実施の形態1における室内殺菌装置による出力紫外線の出力状態を示す模式図である。
図5】本発明の実施の形態1における室内殺菌装置が備わる室内での出力紫外線の照射状態を示す説明図である。
図6】ルーバーやスリット板を用いて出力紫外線の出力方向を収束させようとする従来技術の問題点を説明する説明図である。
図7】本発明の実施の形態1における直接光が出力紫外線の一部を構成することを示す説明図である。
図8】本発明の実施の形態1における第1光軸調整光が出力紫外線の一部を構成することを示す説明図である。
図9】本発明の実施の形態1における第2光軸調整光が出力紫外線の一部を構成することを示す説明図である。
図10】本発明の実施の形態1における室内殺菌装置の斜視図である。
図11】本発明の実施の形態1における室内殺菌装置の斜視図である。
図12】スリット板などを用いる殺菌装置の問題を示す説明図である。
図13】スリット板などのない殺菌装置の問題を示す説明図である。
図14】本発明の実施の形態1における室内殺菌装置が備わる室内を示す模式図である。
図15】本発明の実施の形態2における室内殺菌装置の側面図である。
図16】紫外線強度測定実験の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の発明に係る室内殺菌装置は、筐体と、
前記筐体内部の奥側に備わる紫外線を照射する光源と、
前記光源の背面に備わる主反射鏡と、
前記筐体内部であって前記光源の前方に備わる複数の副反射鏡と、
前記筐体の前方に備わる開口部と、を備え、
前記開口部は、出力紫外線を、前方に出力し、
前記出力紫外線は、少なくとも、
前記光源から照射される直接的な紫外線である直接光と、
前記光源から照射されて前記主反射鏡で反射された第1光軸制御光と、
前記光源から照射されて前記複数の副反射鏡のいずれかで反射した後で更に前記主反射鏡で反射された第2光軸制御光を、含む。
【0027】
この構成により、室内殺菌装置は、人体のある下方に出力紫外線を照射することを防止すると共に、光軸を揃えるための乱反射を減少させて紫外線強度の減衰を防止できる。
【0028】
本発明の第2の発明に係る室内殺菌装置では、第1の発明に加えて、前記筐体は、室内において人間の平均身長より高い位置に取り付けられる。
【0029】
この構成により、室内に備わっても、人体への影響を防止できる。
【0030】
本発明の第3の発明に係る室内殺菌装置では、第1または第2の発明に加えて、前記出力紫外線は、前記光源中央と前記開口部中央とを結ぶ接続軸と略平行および上方方向に沿う。
【0031】
この構成により、室内殺菌装置は、人体のある下方に出力紫外線を照射することを防止する。
【0032】
本発明の第4の発明に係る室内殺菌装置では、第3の発明に加えて、前記開口部は、前記筐体の前方であって前記光源と逆側に備わり、
前記開口部は、前記筐体の取り付けられた室内において、前方に向けて前記出力紫外線を出力する。
【0033】
この構成により、室内に紫外線を照射して殺菌できる。
【0034】
本発明の第5の発明に係る室内殺菌装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、前記直接光は、前記光源から照射される紫外線の内、前記光源から前記開口部に直接的に到達して、前記開口部から出力される紫外線である。
【0035】
この構成により、減衰がほぼなくかつ適切な光軸の紫外線を、出力紫外線に含むことができる。
【0036】
本発明の第6の発明に係る室内殺菌装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、前記第1光軸制御光は、前記光源から照射される紫外線の内、前記光源の背面にある前記主反射鏡において前記開口部に向けて反射され、前記開口部から出力される紫外線である。
【0037】
この構成により、減衰を非常に抑えたうえで、光軸を適切にした紫外線を、出力紫外線に含むことができる。
【0038】
本発明の第7の発明に係る室内殺菌装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、前記第2光軸制御光は、前記光源から照射される紫外線の内、前記光源の前方にある前記複数の副反射鏡のいずれかで後方に反射された上で、前記主反射鏡で再び前方に反射されて、前記開口部から出力される紫外線である。
【0039】
この構成により、減衰を非常に抑えたうえで、光軸を適切にした紫外線を、出力紫外線に含むことができる。
【0040】
本発明の第8の発明に係る室内殺菌装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、前記出力紫外線は、
前記光源から照射される紫外線の内、前記主反射鏡で前方に反射されて前記複数の副反射鏡のいずれかで後方に反射され、更に、前記主反射鏡で前方に反射されて前記開口部から出力される紫外線である第3光軸制御光を、更に含む。
【0041】
この構成により、光源から照射されるより多くの量の紫外線を無駄にすることなく、出力紫外線とできる。
【0042】
本発明の第9の発明に係る室内殺菌装置では、第3の発明に加えて、前記複数の副反射鏡は、前記開口部の下方に備わる開口部副反射鏡を含み、
前記開口部副反射鏡は、前記接続軸に到達する高さを有する。
【0043】
この構成により、下方を向くベクトル方向への出力紫外線の出力を確実に防止できる。人体への影響を防止できる。
【0044】
本発明の第10の発明に係る室内殺菌装置では、第9の発明に加えて、前記開口部副反射鏡は、前記接続軸の下方への紫外線の漏洩を防止する。
【0045】
この構成により、人体への影響を防止できる。
【0046】
本発明の第11の発明に係る室内殺菌装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、前記複数の副反射鏡は、前記筐体内部において、列状態で備わる。
【0047】
この構成により、光源から照射される種々の方向の紫外線を、満遍なく主反射鏡に向けて適切な角度で反射させる。併せて、主反射鏡での反射後は、略平行か上方への光軸に制御される。副反射鏡の反射角度のそれぞれは、複数の副反射鏡において異なってよく、この相違により、光源からの角度の異なる紫外線を確実に主反射鏡に向けて反射すると共に、主反射鏡に当たる位置とその角度との組み合わせにより、第2光軸調整光は、接続軸と略平行もしくは上方に向くように調整される。
【0048】
本発明の第12の発明に係る室内殺菌装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、前記主反射鏡は、平面形状、屈曲形状および凹面形状の少なくとも一つを有する。
【0049】
この構成により、出力紫外線として略平行もしくは上方に向いた第1光軸調整光および第2光軸調整光を作り出せる。
【0050】
本発明の第13の発明に係る室内殺菌装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、前記第2光軸制御光は、
前記光源からの光が前記副反射鏡で反射される反射角度と、
前記副反射鏡で反射された光が前記主反射鏡で反射される反射角度と、
の組み合わせにより、前記開口部の開口範囲に収まる。
【0051】
この構成により、第2光軸調整光は、下方に向いて出力されない。
【0052】
本発明の第14の発明に係る室内殺菌装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、前記出力紫外線は、その照射領域にある空気を殺菌可能である。
【0053】
この構成により、室内の清浄を保つことができる。
【0054】
本発明の第15の発明に係る室内殺菌装置では、第14の発明に加えて、前記筐体が設置される室内において、前記照射領域とそれ以外の領域との空気を攪拌する撹拌機を更に備える。
【0055】
この構成により、室内全体の殺菌を容易化できる。
【0056】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0057】
(実施の形態)
【0058】
(発明者による分析)
図1は、室内殺菌装置が取り付けられた室内の状態を示す模式図である。図1は、部屋100を側面から見た状態を示しており、部屋100内部を可視状態として示している。部屋100内部には、人300が存在している。部屋100がオフィスであれば、人300は、従業員であったり来客であったりする。あるいは、部屋100が公共施設であれば、人300は、訪問者や職員であったりする。
【0059】
部屋100内部には、細菌やウイルス(以下、「細菌等」という)30が存在している。この細菌等30は、部屋100内部で発生する気流によって、空中を浮遊している。この浮遊によって、細菌等30は、部屋100内部の様々な場所に充満する。
【0060】
室内殺菌装置1は、部屋100の壁110に設置される。室内殺菌装置1は、後述のように、紫外線を照射する。この紫外線が、細菌等30を照射することで、細菌等30を殺菌できる。このとき、図1のように壁110に室内殺菌装置1が設置される場合には、室内殺菌装置1は、紫外線を壁110から対向する方向に向けて照射する。この照射範囲において、細菌等30を殺菌できる。
【0061】
(1)人体への照射の回避
部屋100内部には、人300が存在していることが多い。上記のように、部屋100の特性に応じて、従業員、来客、職員、入院患者など様々な種類の人300が在室している。室内殺菌装置1は、紫外線を照射することで、細菌等30を殺菌する。この紫外線は、人300が長時間浴びることは皮膚トラブルなどを初めとして好ましくないこともある。このため、室内殺菌装置1は、室内に設置されて紫外線を照射する場合に、部屋100内部の人300への紫外線の照射を回避することが必要である。
【0062】
(2)紫外線強度の減衰の抑制
部屋100においては、室内殺菌装置1による紫外線照射により、細菌等30を殺菌できる。このとき、光源から最終的に照射される紫外線強度の減衰が少ないことが重要である。
【0063】
紫外線強度の減衰が少ないことは、光源の消費エネルギーを削減できるメリットがある。あるいは、光源から最終的に照射される紫外線強度の減衰が少ないことで、殺菌能力を担保する必要がある。
【0064】
従来技術で説明したように、ルーバーやスリット板などによって、直進性や人300のいる下方への照射を制限する殺菌装置では、ルーバーやスリット板に紫外線が吸収されてしまう。このため、光源から最終的に照射される紫外線強度が減衰してしまい、殺菌能力が下がる問題がある。あるいは、殺菌能力を担保するためには、光源での消費エネルギーを上げなければならなくなる。これは、省エネや環境負荷の観点から好ましくない。
【0065】
本発明は、このような解析に基づいてなされたものである。
【0066】
(全体概要)
図2図3は、本発明の実施の形態1における室内殺菌装置の側面図である。図2図3は、室内殺菌装置1の内部構造が分かるように透視状態で表されている。室内殺菌装置1は、筐体2、光源3、主反射鏡4、副反射鏡5、開口部6とを、備える。
【0067】
筐体2は、室内殺菌装置1の外形を形成し、必要な要素を格納する本体である。筐体2は、金属、樹脂、合金、その他の素材で形成されればよい。また、壁110に筐体2が取り付け可能なように、取り付け部を備えることでもよい。また、筐体2は、図2に示されるように、壁110に取り付けられて紫外線を照射するので、これに合わせた外形を有していることも好適である。
【0068】
光源3は、筐体2内部に備わる。ここで、図2に示すように、光源3は、筐体2の奥側21に備わる。奥側21とは、取り付けられる壁110側である。光源3は、紫外線を照射する。すなわち、光源3は、実際の紫外線を照射する要素である。光源3から照射された紫外線が、最終的に開口部6から、出力紫外線200として出力される。
【0069】
主反射鏡4は、光源3の背面に備わる。図2図3などでは、主反射鏡4が光源3の背面に備わっている状態が示されている。主反射鏡は、反射機能を有し、主反射鏡4に届く紫外線を反射できる。また、この反射においては、この紫外線の到達位置における主反射鏡4の反射角度に基づいて、反射される。
【0070】
複数の副反射鏡5は、筐体2内部に備わる。また、光源3の前方に備わる。すなわち、筐体2内部での位置関係は、奥側21から、主反射鏡4,光源3、副反射鏡5となる。副反射鏡5は、複数であるので、図2,3のように、筐体2内部に並んでいる。また、副反射鏡5は、筐体2内部の上下のそれぞれに備わっている。
【0071】
複数の副反射鏡5のそれぞれも、到達する紫外線を反射できる。このとき、到達する紫外線の位置において、その副反射鏡5の角度と紫外線の角度とに応じた反射角度で反射させる。
【0072】
開口部6は、筐体2の前方22に備わり、実際に紫外線を外部に出力する。ここで、開口部6が出力する紫外線は、出力紫外線である。図3には、出力紫外線200が示されている。すなわち、室内殺菌装置1は、開口部6から、室内を殺菌する実際の紫外線として、この出力紫外線200を出力する。この出力紫外線200が、紫外線の照射領域において、存在する細菌などを殺菌する。
【0073】
開口部6は、筐体2の前方で会って光源3と逆側に備わる。開口部6は、筐体2の取り付けられた室内に置いて、前方に向けて出力紫外線200を出力する。
【0074】
ここで、出力紫外線200は、少なくとも次の(1)~(3)の紫外線を含む。
【0075】
(1)光源3から照射される直接的な紫外線である直接光。
直接光は光源3から照射される紫外線の内、光源3から開口部6に直接的に到達して、そのまま開口部6から出力される紫外線である。
【0076】
(2)光源3から照射されて主反射鏡4で反射された第1光軸制御光。
第1光軸制御光は、光源3から照射される紫外線の内、光源3の背面に向けて照射され、この背面にある主反射鏡4で開口部6に向けて反射されて開口部6から出力される紫外線である。
【0077】
(3)光源3から照射されて、複数の副反射鏡5のいずれかで反射された後で、更に主反射鏡で反射された第2光軸制御光。
第2光軸制御光は、光源3から照射される紫外線の内、光源3の前方にある複数の副反射鏡5のいずれかで後方に向けて反射され、更に、主反射鏡4で前方に向けて反射されてそのまま開口部6から出力される紫外線である。
【0078】
開口部6から最終的に出力される出力紫外線200は、少なくともこの直接光、第1光軸制御光および第2光軸制御光を含んでいる。このような構造を有することで、開口部6から室内に向けて出力される出力紫外線200は、図4のようになる。すなわち、出力紫外線200は、光源3中央と開口部6の中央とを結ぶ接続軸と略平行および上方方向に沿う。
【0079】
図4は、本発明の実施の形態1における室内殺菌装置による出力紫外線の出力状態を示す模式図である。図4は、室内殺菌装置1を側面から見た状態で、内部の光源3を基点として、上記の(1)~(3)の紫外線を含んだ出力紫外線200が出力されている状態を示している。図4に示されるように、開口部6からみて接続軸およびその上方方向に双方向に、出力紫外線200は出力している。すなわち、図1のような部屋100に設置された場合、出力紫外線200が、下方にいる人300に当たらない。これにより、安全が保証される。
【0080】
また、筐体2は、図1のように室内に置いて人間の平均身長よりも高い位置に取り付けられる。例えば、室内に取り付けられるエアコンのような感じである。これにより、図4のように、室内殺菌装置1は、部屋100に居る人300に当たらないように出力紫外線200を照射できる。結果として、室内殺菌装置1が取り付けられている室内においては、図5のような人300への照射を回避したうえでの適切な照射領域を実現できる。
【0081】
この照射領域に存在する細菌などを殺菌できる。この時、室内においては空気が循環・対流しており、細菌などは上方に舞い上がってくることが多い。これにより、細菌などは、照射領域に入り込んでくる。この照射領域に出力紫外線200があることで、室内の細菌などは殺菌されて、室内が清潔・清浄に保たれる。
【0082】
特に、近年問題となっているコロナウイルスなどの感染症予防にも適切である。
【0083】
(従来技術に対する優位性の整理)
また、図3,4などに示されるように、筐体2内部においては、主反射鏡4および副反射鏡5での反射による紫外線が、出力紫外線200の一部を構成する。このため、従来技術のルーバーやスリット板に乱反射するものと異なり、出力する際に、乱反射した紫外線が、下方に漏れ出ることが防止される。ルーバーやスリット板であると、光源から出力するまでにルーバーやスリット板に何度も反射を繰り返して収束するが、反射した紫外線の一部は、下方に漏れ出てしまう。これは、図6に示される通りである。
【0084】
図6は、ルーバーやスリット板を用いて出力紫外線の出力方向を収束させようとする従来技術の問題点を説明する説明図である。
【0085】
図6の通り、光源からの紫外線はルーバーやスリット板のそれぞれに衝突して反射を繰り返しながら、最終的に出力紫外線として出力する。このとき、光源から照射された紫外線は、複数のルーバーやスリット板に何度も反射されながらを繰り返して、やがて出力時の出力方向が収束していく。
【0086】
しかし、図6に示されるように2つの問題がある。
【0087】
問題1)反射を繰り返すことで乱反射して、反射した紫外線の一部は、下方に出力されてしまう。下方に出力されると、室内にいる人に紫外線が照射されてしまう問題につながる。また、上方過ぎて天井に向けて紫外線が照射されてしまうこともありえる。この場合には、殺菌能力を低めることにもなる。
【0088】
すなわち、図6のような従来技術では、適切な照射方向を実現できない問題がある。
【0089】
問題2)ルーバーやスリット板に衝突するたびに、吸光されてしまい、紫外線が減衰する。結果として最終的に出力される出力紫外線の強度が下がってしまい、殺菌能力の低下もしくは光源での消費エネルギーの増加につながる。
【0090】
これに対して、図3,4などに示されるように本発明の室内殺菌装置は、主反射鏡4と副反射鏡5の反射角度の適切な制御(と組み合わせ)により出力方向が制御される。このため、出力方向に移動する方向での反射(図6の従来技術のような)は生じない。このため、乱反射が生じない。直接光、第1光軸調整光、第2光軸焼成光により構成されるので、開口部6から出力される出力紫外線200の出力方向が、下方となって人体にあたることは無い。あるいは異常に上方となって殺菌のための照射が不足することも防止される。
【0091】
これらは、主反射鏡4,副反射鏡5の位置、角度、形状によって、光源3との相対関係も含めて調整されるからである。
【0092】
加えて、直接光はそのままであり、第1光軸調整光は1回の反射、第2光軸調整光は2回の反社のみであり、吸光による減衰は極めて少ない。このため、従来技術のような殺菌能力の低下あるいは光源の消費エネルギーの増加などが防止されている。
【0093】
このように、本発明の室内殺菌装置1は、ルーバーやスリット板で出力方向を収束させようとする従来技術での問題1,問題2を解決できている。詳細は後述するが、発明者の実験によると、同じ光源エネルギーの場合には、従来技術に比較して本体から1m離れた位置での出力紫外線の強度は、27%向上していることが確認された。勿論、人体被爆も生じないことも確認された。
【0094】
(出力紫外線を構成する要素の詳細について)
出力紫外線200は、少なくとも直接光、第1光軸調整光および第2光軸調整光を含む。それぞれの詳細について、次に説明する。
【0095】
(1)直接光
図7は、本発明の実施の形態1における直接光が出力紫外線の一部を構成することを示す説明図である。筐体2内部が見える状態として示している。光源3は、紫外線を照射する。例えば、光源3が円筒状のものであれば、この円筒の外周に対して放射状に紫外線を照射する。
【0096】
この放射された紫外線の内、光源3から開口部6に向けて直接到達する紫外線がある。この紫外線は、主反射鏡4や副反射鏡5にあたることなく、光源3から照射されて開口部6から直接出力される。これが直接光210である。
【0097】
直接光210は、このようにして、出力紫外線200の一部を構成する。
【0098】
また、開口部6は、接続軸に略平行もしくはその上方に沿う位置・角度・大きさで構成されている。このため、直接光210が下方や異常な上方に出ることは無い。このため、直接光210は、図5に示す接続軸に略平行もしくはその上方に沿う照射範囲での出力範囲に収まる。
【0099】
(2)第1光軸調整光
図8は、本発明の実施の形態1における第1光軸調整光が出力紫外線の一部を構成することを示す説明図である。光源3は、放射状に紫外線を照射する。この照射される紫外線の一部は、図8のように光源3の背面に向けて照射される。背面には、主反射鏡4が備わる。このため、背面に照射された紫外線は主反射鏡4で反射する。
【0100】
主反射鏡は、この背面に照射された紫外線を、前方であると共に開口部6の位置に合うように反射させる反射角度を有している。これは、紫外線の当たる位置に対応して適切な反射角度を有している。これにより、背面に照射されて主反射鏡4に到達する紫外線は、開口部6に合わせた位置に反射される。
【0101】
この主反射鏡4で反射された紫外線であって、開口部6から出力される紫外線が、第1光軸調整光220である。この第1光軸調整光220が、出力紫外線200の一部を構成する。第1光軸調整光220は、主反射鏡4において、接続軸に略平行もしくは上方に沿う方向での角度を持っている。これにより、図5のように、出力紫外線200は、接続軸に略平行もしくは上方に沿う方向での角度で出力される。図5は、本発明の実施の形態1における室内殺菌装置が備わる室内での出力紫外線の照射状態を示す説明図である。
【0102】
(3)第2光軸調整光
図9は、本発明の実施の形態1における第2光軸調整光が出力紫外線の一部を構成することを示す説明図である。光源3は、放射状に紫外線を照射する。この照射される紫外線の一部は前方の下方や上方に照射される。
【0103】
副反射鏡5が備わっていないと、これら前方の下方や上方に照射される紫外線は、最終的に様々な方向に出力されてしまう。しかしながら、本発明の室内殺菌装置1の筐体2の内部には、複数の副反射鏡5が備わる。つまり、前方の下方や上方に照射された紫外線のそれぞれは、複数の副反射鏡5のいずれかに当たって反射する。
【0104】
副反射鏡5は、図9のように後方に向けて反射面を有している。この結果、副反射鏡5のそれぞれは、後方に向けて(奥側21に向けて)、紫外線を反射させる。後方に反射された紫外線は、主反射鏡4に到達する。主反射鏡4は、この到達した紫外線を前方に反射させる。
【0105】
ここで、主反射鏡4は、自身に到達する紫外線については、接続軸に略平行もしくは上方に反射するような角度を有している。このため、主反射鏡4で反射された紫外線は、前方に反射されて開口部6から出力される。これが第2光軸調整光230である。
【0106】
このように、光源3から前方に照射されるが、開口部6に直接的に到達しない紫外線でも、副反射鏡5と主反射鏡4での反射で、開口部6から出力できる。このとき、接続軸に略平行もしくは上方に沿った方向で出力する。これにより、第2光軸調整光230も、図4のように接続軸に略平行もしくは上方に沿った方向での出力となる。これが、出力紫外線200を構成する。
【0107】
このように、直接光210、第1光軸調整光220、第2光軸調整光230が出力紫外線200を構成する。この結果、光源3から照射される紫外線は、無駄になることなく開口部6から出力される。また、主反射鏡4や副反射鏡5での反射を経過するだけであるので、吸光による減衰も少ない。結果として、光源3の消費エネルギーに対して、出力される出力紫外線200の紫外線強度の減衰を、大きく抑制できる。
【0108】
この結果、殺菌能力の向上と消費エネルギーの低減を実現できる。
【0109】
また、反射を伴う第1光軸調整光220や第2光軸調整光230も、主反射鏡4での反射角度と副反射鏡5での反射角度とのそれぞれ、あるいは、組み合わせにより、開口部6の開口範囲に収まる。加えて、接続軸に略平行もしくは上方に沿った方向に整えられる。特に、複数の副反射鏡5のそれぞれは、筐体2内部において列状態で備わる。これにより、光源3からの紫外線のそれぞれは、いずれかの副反射鏡5で反射される。これらの反射された紫外線は、最終的に主反射鏡4で反射されて第2光軸調整光230となる。
【0110】
この結果、開口部6から出力される出力紫外線200は、接続軸に略平行もしくは上方に沿う。これにより、図4のように、人体に当たることない照射範囲を実現できる。この照射範囲で殺菌などを行なえる。
【0111】
(詳細図での説明)
より詳細な図面で、室内殺菌装置1を説明する。図10は、本発明の実施の形態1における室内殺菌装置の斜視図である。図10は、内部構成を分かるように示している。
【0112】
図2などを用いて説明したものを、より実際の形態に合わせた詳細な図面である。
【0113】
図10に示されるように、室内殺菌装置1は、筐体2を備える。筐体2は、壁に取り付け部25によって取り付け可能である。これにより、人体よりも高い位置に取り付けられる。
【0114】
筐体2内部には、光源3、主反射鏡4,複数の副反射鏡5が備わっている。また、前方に開口部6が備わっている。この開口部6から出力紫外線200が出力される。出力紫外線200は、上述したように直接光、第1光軸調整光、第2光軸調整光を含む。
【0115】
これらは、図10に示す主反射鏡4,副反射鏡5の反射によって作られて、開口部6から出力される。
【0116】
ここで、図10に示されるように、主反射鏡は、平面形状を含む態様でもよい。あるいは、屈曲形状、凹面形状の少なくとも一つを含む形状でもよい。すなわち、主反射鏡4は、平面形状、屈曲形状および凹面形状の少なくとも一つを有することも好適である。
【0117】
副反射鏡5は、図10に示されるように、角度を持った板部材でありその表面に反射面が備わる構造でもよい。主反射鏡4も同様である。反射面は、メッキ(スパッタ)あるいは塗料などで実現されればよい。図10のような構造であることで、室内殺菌装置1は、必要な要素を備えつつ、壁に取り付け可能である。勿論、実際の筐体2は、開口部6を除いて内部を覆う状態である。
【0118】
また、複数の副反射鏡5は、筐体2内部において列状態で備わっている。それぞれの角度や大きさが異なっていることで、光源3から前方に照射された紫外線のそれぞれを、漏らすことなく適切な角度で後方(主反射鏡4に向けて)に反射できる。これにより、第2光軸調整光を、適切な角度で生じさせることができる。また、光源3からの紫外線を出力できずに無駄にすることを低減できる。
【0119】
図11は、本発明の実施の形態1における室内殺菌装置の斜視図である。図11は、内部構成を分かるように示している。図10と重複する要素については、符号を省略している。
【0120】
図11の室内殺菌装置1では、主反射鏡4が凹面形状を有している。凹面形状により、紫外線を反射する際に、接続軸に略平行もしくは上方に沿った方向に反射させることをより確実にできる。
【0121】
図11に示される室内殺菌装置1も、内部に光源3,主反射鏡4,複数の副反射鏡5,開口部6を備える。また、光源3などの制御を行う制御部や電源も備える(これらは、他の図面でも同様である)。
【0122】
このような構成により、室内殺菌装置1は、紫外線強度の減衰の低減、人体に当たらないように下方への照射を防止して、適切な出力紫外線200を照射できる。結果として、照射領域にある細菌などを殺菌できる。室内の衛生環境を維持できる。
【0123】
(従来技術との照射範囲の比較)
既述した図4図5での説明のように、本発明の室内殺菌装置1は、紫外線強度の減衰を抑えつつ、人体に向けた下方への紫外線出力漏洩を防止できる。
【0124】
これに対して、従来技術は、図12図13の通りの、紫外線強度の減衰や下方(人体のある場所)への紫外線漏洩などの問題がある。図12は、スリット板などを用いる殺菌装置の問題を示す説明図である。図13は、スリット板などのない殺菌装置の問題を示す説明図である。
【0125】
図12のルーバーやスリット板を備える場合には、スリット板などでの吸光での紫外線強度の減衰や、下方への漏洩が生じる。図13の何もない形態では、減衰は抑えられるものの下方に出力されて、人体へ悪影響が生じる。
【0126】
本発明の室内殺菌装置1は、これら従来技術の問題を一度に解決し、十分な殺菌能力を実現できる。
【0127】
このとき、紫外線はUV-A、UV-B、UV-Cなど、細菌やウイルスの種類に応じて適した波長の紫外線が用いられれば良い。勿論、これら以外で殺菌に適した波長の紫外線が用いられてもよい。
【0128】
(実施の形態2)
【0129】
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2では、種々の工夫について説明する。
【0130】
(第3光軸調整光)
出力紫外線は、次のような第3光軸調整光を更に含むことも好適である。
【0131】
光源3から照射される紫外線の内、背面に向けて照射されて主反射鏡4により前方に反射される。次に、この前方に反射された紫外線は、副反射鏡5のいずれかで後方に反射される。更に、主反射鏡4で前方に反射されて開口部6に到達する。接続軸と略平行もしくは上方に向いている。
【0132】
これが、第3光軸調整光である。
【0133】
主反射鏡4と副反射鏡5の形態、大きさ、位置、角度、光源3との相対関係によっては、第1光軸調整光で終了しないこともある。この場合に、このような第3光軸調整光が生じる。出力紫外線200は、この第3光軸調整光を更に含むことも好適である。
【0134】
こうして、光源3から照射される紫外線を無駄にすることをより低減できる。消費エネルギーの削減と殺菌能力の向上を実現できる。
【0135】
(撹拌機)
【0136】
図14は、本発明の実施の形態1における室内殺菌装置が備わる室内を示す模式図である。筐体2が設置される室内において、照射領域とそれ以外の領域の空気を攪拌する撹拌機8を更に備える。
【0137】
撹拌機は、室内に置いて空気の対流を生じさせる。
【0138】
この対流によって、室内にある細菌などは照射領域に移動しやすくなる。また、循環対流となるので、入れ替わりながら移動する。これにより、室内にある細菌などをより確実かつ効果的に殺菌できる。
【0139】
撹拌機8は、室内の空気を広く対流させる。これにより、室内の様々な場所にある細菌を照射領域移動させる。移動させられた細菌などは、出力紫外線200により殺菌される。殺菌された空気は、対流により、再び下方に移動する。これらの循環で、室内の衛生状態の維持が持続される。
【0140】
(開口部副反射鏡)
【0141】
図15は、本発明の実施の形態2における室内殺菌装置の側面図である。複数の副反射鏡5は、開口部6の下方に備わる開口部副反射鏡51を含む。開口部副反射鏡51は、接続軸に到達する高さを有する。図15は、開口部副反射鏡51が、接続軸に到達している形態が示されている。
【0142】
このような形態を有することで、開口部副反射鏡51は、接続軸より下方への出力紫外線200の出力(漏洩)を防止できる。
【0143】
上述したように、主反射鏡4と副反射鏡5の反射角度とその組み合わせにより、第1光軸調整光と第2光軸調整光は、接続軸に略平行もしくは上方に沿う。しかしながら、直接光の一部や、その他の紫外線の一部が、接続軸より下方に向いてしまう可能性もある。開口部副反射鏡51は、このような下方に向いた紫外線の開口部6からの出力(漏洩)を確実に防止できる。
【0144】
この結果、図4図5のような出力紫外線200の下方に行かない確実な出力を実現できる。勿論、開口部副反射鏡51も反射能力を有しているので、これを介する第2光軸制御光も生じて、これも出力紫外線200の一部となる。
【0145】
このように、開口部副反射鏡51は、安全性を更に高めることができる。
【0146】
(実施の形態3)
【0147】
実施の形態3では、本発明の室内殺菌装置の出力する紫外線強度の能力が、従来技術よりも高いことの実験結果について説明する。
【0148】
(出力紫外線の測定実験)
発明者は、図12に示されるようなスリット板を有する室内殺菌装置と、本発明の室内殺菌装置とで、実際に出力される出力紫外線の照射強度を測定した。
【0149】
(測定方法)
同じ条件の室内に設置されたスリット板を有する室内殺菌装置(従来型室内殺菌装置)と、本発明の室内殺菌装置1(本発明室内殺菌装置)とにおいて、水平照射される紫外線強度を、装置の1m先において測定した。
【0150】
このとき、光源での紫外線照射エネルギーを同じにした。
【0151】
(測定基準)
【0152】
殺菌装置の1m前方において、デルタオーム社製の紫外線強度計(照度・輝度・放射線照度計およびLP471UVCプローブ)を用いて、紫外線強度を測定した。この紫外線強度計の仕様は、放射照度として220~280nm(ピーク260nm)である。
【0153】
図16に測定の形態を示している。図16は、紫外線強度測定実験の様子を示す説明図である。
【0154】
(測定結果)
測定の結果は次の通りである。1m先の紫外線強度の値を、従来型室内殺菌装置と本発明室内殺菌装置とで、示す。
【0155】
従来型室内殺菌装置: 33.0μW/cm2
本発明室内殺菌装置: 41.9μW/cm2
本発明の能力向上: 27.0%向上
【0156】
と、27%の向上が図られた。すなわち、この向上に対応する殺菌能力の向上が実現される。逆に言えば、同じ殺菌能力であれば、光源で必要となる消費エネルギーが27%小さくて済むことになる。すなわち、省エネを実現できる。
【0157】
このように、従来技術のようなスリット部材での吸光による減衰が解決され、殺菌能力の向上や省エネが実現されていることも、実験により確認された。また、発明者は、本発明の室内殺菌装置から、下方に向けた紫外線の漏洩が、0.0μW/cmであることも併せて確認した。これは、安全基準である、0.2μW/cmであることをクリアーしている結果である。
【0158】
なお、実施の形態1~3で説明された室内殺菌装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0159】
1 室内殺菌装置
2 筐体
21 奥側
22 前方
3 光源
4 主反射鏡
5 副反射鏡
51 開口部副反射鏡
6 開口部
8 撹拌機
100 部屋
110 壁
200 出力紫外線
210 直接光
220 第1光軸調整光
230 第2光軸調整光
300 人
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16