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特開2022-167725カップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167725
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】カップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラー
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20221027BHJP
   F16L 37/12 20060101ALI20221027BHJP
   F16L 25/08 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F16L57/00 C
F16L37/12
F16L25/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095210
(22)【出願日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0052087
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521132831
【氏名又は名称】ホサンテック カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, テヒョン
【テーマコード(参考)】
3H024
3J106
【Fターム(参考)】
3H024CA01
3J106BC04
3J106BD03
3J106BE28
3J106BE29
3J106CA20
3J106EB02
3J106ED24
3J106ED42
3J106EF04
(57)【要約】
【課題】 雄カップラーとキャップとの結合に際して締結力を向上させ、遊びのない結合状態を保持してより完全なカップラーの保護機能を行うことのできるカップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラーを提供する。
【解決手段】 一方の側が開口されて雄カップラーを軸方向に挿入する収容溝が形成され、他方の側は閉止されたキャップ胴体と、前記キャップ胴体に半径方向を軸線として回転可能に連結されるハンドルと、前記ハンドルの回転によりキャップ胴体の半径方向に直線移動するストッパーと、を備え、前記キャップ胴体に雄カップラーが挿入された状態で、前記ハンドルの回転によりストッパーが雄カップラーの外周面に凹設された締結溝に結合されて、雄カップラーをキャップ胴体に対して軸方向に拘束するカップラーキャップ。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側が開口されて雄カップラーを軸方向に挿入する収容溝が形成され、他方の側は閉止されたキャップ胴体と、
前記キャップ胴体に半径方向を軸線として回転可能に連結されるハンドルと、
前記ハンドルの回転によりキャップ胴体の半径方向に直線移動するストッパーと、
を備え、
前記キャップ胴体に雄カップラーが挿入された状態で、前記ハンドルの回転によりストッパーが雄カップラーの外周面に凹設された締結溝に結合されて、雄カップラーをキャップ胴体に対して軸方向に拘束するカップラーキャップ。
【請求項2】
前記ストッパーは、端部に突出部を有し、前記突出部が締結溝に完全に挿入された状態で、キャップ胴体の軸方向に作用するせん断力によりキャップ胴体と雄カップラーとが結合保持される請求項1に記載のカップラーキャップ。
【請求項3】
前記締結溝は、雄カップラーの外周面の周りに沿って延設され、前記ストッパー及びハンドルは単一個からなる請求項1に記載のカップラーキャップ。
【請求項4】
前記キャップ胴体に収容溝の内外部を半径方向に貫通する挿入孔が形成され、前記ハンドルは、挿入孔にその場で回転可能なように挿入され、
一方の側が前記ストッパーに結合され、外周面にねじ山が形成されて前記ハンドルに螺合されるスクリュー棒が備配された請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のカップラーキャップ。
【請求項5】
前記キャップ胴体の内周面に環状溝が凹設され、前記ストッパーは環状溝に挿入されて、
前記ハンドルの回転に際して、ストッパーは、環状溝により回転が防がれながら直線移動が導かれる請求項4に記載のカップラーキャップ。
【請求項6】
前記ハンドルの両側にハンドルの軸方向に対して直交する方向に延設されてハンドルを回転可能に支持する一対のピンが備配される請求項4に記載のカップラーキャップ。
【請求項7】
前記ピンは、ハンドルの外周面と挿入孔の内周面との間に配置され、
ハンドルの外周面にピンにより回転可能に支持される係止溝が形成され、
ピンは、軸線が係止溝の内側に位置するようにキャップ胴体よりもハンドルに偏って備配される請求項6に記載のカップラーキャップ。
【請求項8】
前記突出部は、端部に向かって進むにつれて幅が次第に狭くなるように両側が傾斜するように形成され、前記雄カップラーの締結溝は、突出部に密着されるように突出部の形状に対応するように形成される請求項2に記載のカップラーキャップ。
【請求項9】
前記ハンドルは、スクリュー棒の端部を密着させてスクリュー棒の直線移動幅を制限する静止部を備える請求項4に記載のカップラーキャップ。
【請求項10】
雄カップラーの外周面と収容溝の内周面との間に雄カップラーとキャップ胴体との間をシールするOリングが備配される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のカップラーキャップ。
【請求項11】
雌カップラーは、スリーブの前進及び後退に応じて拘束状態が異なってくる拘束手段を有し、雄カップラーの外周面に拘束手段を結合する締結溝が凹設されたクイックカップラーにおいて、
前記雄カップラーは、カップラーキャップを備え、
前記カップラーキャップは、
一方の側が開口されて雄カップラーを軸方向に挿入する収容溝が形成され、他方の側は閉止されたキャップ胴体と、
前記キャップ胴体に半径方向を軸線として回転可能に連結されるハンドルと、
前記ハンドルの回転によりキャップ胴体の半径方向に直線移動するストッパーと、
を備え、
前記キャップ胴体に雄カップラーが挿入された状態で、前記ハンドルの回転によりストッパーが雄カップラーの締結溝に結合されて、雄カップラーをキャップ胴体に対して軸方向に拘束するクイックカップラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クイックカップラーに係り、さらに詳しくは、二本の管の端部を互いに連結及び連結解除するカップラーにおいて、異物と外部の衝撃などからカップラーを保護するためのキャップ及びこれを備えたクイックカップラーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、クイックカップラー(Quick Coupler)は、別途の組立て工具なしにホースまたはパイプなどの管状部材同士を連結及び連結解除する手段であって、様々な産業分野において用いられる。特に、半導体製造工場などにおいて、様々な種類のケミカル(Chemical)は、タンクローリーに積載され且つ運ばれて、工場の貯留タンクに荷下ろしされ、このような荷下ろし作業にクイックカップラーが用いられる。
【0003】
クイックカップラーは、雌カップラーと雄カップラーとを備え、雌カップラーのスリーブを後退させた状態で、雄カップラーを雌カップラーに挿入した後、スリーブを解放して弾性復元力によりスリーブが前進することにより、雌カップラーと雄カップラーとの締結状態を拘束するように構成される。この場合、雌カップラーと雄カップラーとの拘束及び拘束解除は、スリーブの前進及び後退に応じて拘束状態が異なってくる拘束手段(ボール)により行われる。雄カップラーが雌カップラーに挿入されるとき、雌カップラー及び雄カップラーのプランジャーが互いに押し合うことにより、内部流路は連通される。
【0004】
クイックカップラーは、表面に異物が付着することを防ぎ、ハンドリングの際に外部の衝撃から保護するなどの目的のために、雄カップラーにキャップを覆い被せてホースの積載、運搬などを行うことになる。特に、半導体製造工場などにおいて用いられるケミカルは酸性またはアルカリ性の毒性物質が多いため、安全事故が起こると、人体に致命的になる虞があるため、ケミカルの漏出を防ぐために、かつ、異物によるケミカルの汚れを防ぐために、キャップの使用が必要不可欠である。
【0005】
従来のカップラーキャップは、いくつかの改善すべき問題があった。まず、第一に、従来のカップラーキャップは、雄カップラーとの締結及び締結解除が行われ難く、作業者の大きな力を求める。第二に、従来のカップラーキャップは、雄カップラーとの締結力の向上に限界があり、遊び(隙間)のない結合状態を保持し難い。第三に、従来のカップラーキャップは、長時間にわたって用いるときに歪みまたは摩耗の問題があるため、耐久性が低下する。第四に、従来のカップラーキャップは、気密性能が低く、長時間にわたって用いるときに気密性能が急激に低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10-1894482号(2018年08月28日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の問題を解決するために、本発明においては、作業者の大きな力を求めないつつも、雄カップラーとの締結及び締結解除を行い易いカップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラーを提供する。
【0008】
また、本発明においては、雄カップラーとキャップとの結合に際して締結力を向上させ、遊びのない結合状態を保持してより完全なカップラーの保護機能を行うことのできるカップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラーを提供する。
【0009】
さらに、本発明においては、長時間にわたって用いるときに歪みまたは摩耗を極力抑えて耐久性が向上し、しかも、気密性能が確保されるカップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るカップラーキャップは、一方の側が開口されて雄カップラーを軸方向に挿入する収容溝が形成され、他方の側は閉止されたキャップ胴体と、前記キャップ胴体に半径方向を軸線として回転可能に連結されるハンドルと、前記ハンドルの回転によりキャップ胴体の半径方向に直線移動するストッパーと、を備え、前記キャップ胴体に雄カップラーが挿入された状態で、前記ハンドルの回転によりストッパーが雄カップラーの外周面に凹設された締結溝に結合されて、雄カップラーをキャップ胴体に対して軸方向に拘束する。
【0011】
前記ストッパーは、端部に突出部を有し、前記突出部が締結溝に完全に挿入された状態で、キャップ胴体の軸方向に作用するせん断力によりキャップ胴体と雄カップラーとが結合保持される。
【0012】
前記締結溝は、雄カップラーの外周面の周りに沿って延設され、前記ストッパー及びハンドルは単一個からなる。
【0013】
前記キャップ胴体に収容溝の内外部を半径方向に貫通する挿入孔が形成され、前記ハンドルは、挿入孔にその場で回転可能なように挿入され、一方の側が前記ストッパーに結合され、外周面にねじ山が形成されて前記ハンドルに螺合されるスクリュー棒が備配される。
【0014】
前記キャップ胴体の内周面に環状溝が凹設され、前記ストッパーは環状溝に挿入されて、前記ハンドルの回転に際して、ストッパーは、環状溝により回転が防がれながら直線移動が導かれる。
【0015】
前記ハンドルの両側にハンドルの軸方向に対して直交する方向に延設されてハンドルを回転可能に支持する一対のピンが備配される。
【0016】
前記ピンは、ハンドルの外周面と挿入孔の内周面との間に配置され、ハンドルの外周面にピンにより回転可能に支持される係止溝が形成され、ピンは、軸線が係止溝の内側に位置するようにキャップ胴体よりもハンドルに偏って備配される。
【0017】
前記突出部は、端部に向かって進むにつれて幅が次第に狭くなるように両側が傾斜するように形成され、前記雄カップラーの締結溝は、突出部に密着されるように突出部の形状に対応するように形成される。
【0018】
前記ハンドルは、スクリュー棒の端部を密着させてスクリュー棒の直線移動幅を制限する静止部を備える。
【0019】
雄カップラーの外周面と収容溝の内周面との間に雄カップラーとキャップ胴体との間をシールするOリングが備配される。
【0020】
一方、本発明に係るクイックカップラーは、雌カップラーは、スリーブの前進及び後退に応じて拘束状態が異なってくる拘束手段を有し、雄カップラーの外周面に拘束手段を結合する締結溝が凹設されたクイックカップラーにおいて、前記雄カップラーは、カップラーキャップを備え、前記カップラーキャップは、一方の側が開口されて雄カップラーを軸方向に挿入する収容溝が形成され、他方の側は閉止されたキャップ胴体と、前記キャップ胴体に半径方向を軸線として回転可能に連結されるハンドルと、前記ハンドルの回転によりキャップ胴体の半径方向に直線移動するストッパーと、を備え、前記キャップ胴体に雄カップラーが挿入された状態で、前記ハンドルの回転によりストッパーが雄カップラーの締結溝に結合されて、雄カップラーをキャップ胴体に対して軸方向に拘束する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るカップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラーは、雄カップラーとカップラーキャップとの締結及び締結解除が行われ易く、部品点数を減らすことができ、製造コストを削減することができる他、組立て性を改善することのできる非常に有用な発明である。
【0022】
また、本発明は、部品点数を減らしながらも、高い構造的な強度を有し、雄カップラーとカップラーキャップとの締結力を高めることができ、遊びのない結合状態を保持してより完全なカップラーの保護機能を有し、安定的な締結状態を保持してカップラーキャップの離脱を防ぐ。
【0023】
さらに、本発明は、長時間にわたって用いるときに歪みまたは摩耗を極力抑えて耐久性が向上し、機能性能が確保されてケミカルの流出を源泉的に遮断することができ、外部からカップラーが汚れることを防ぐ。
【0024】
さらにまた、本発明は、カップラーキャップの締結のために別途の締結手段を付設せず、雌カップラーとの締結のための雄カップラーの締結溝をそのまま活用しながらも安定的かつ高い締結力を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るクイックカップラーを示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る雄カップラーと雌カップラーの作動過程を示すものである。
図3】本発明の一実施形態に係る雄カップラーと雌カップラーの作動過程を示すものである。
図4】本発明の一実施形態に係る雄カップラーと雌カップラーの作動過程を示すものである。
図5】本発明の一実施形態に係る雄カップラーと雌カップラーの作動過程を示すものである。
図6】本発明の一実施形態に係るカップラーキャップと雄カップラーとの分離状態を示す背面斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るカップラーキャップと雄カップラーとの分離状態を示す正面斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係るカップラーキャップと雄カップラーとの結合状態を示す切開斜視図である。
図9図7のA-A線に沿った断面図である。
図10図7のB-B線に沿った断面図である。
図11図10の“C”を拡大して示す断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るカップラーキャップと雄カップラーの作動過程を示すものである。
図13】本発明の一実施形態に係るカップラーキャップと雄カップラーの作動過程を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に基づいて、カップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラーの技術的な構成について詳しく説明する。以下の説明において、図1の左右方向がカップラーの軸方向であり、上下方向がカップラーの半径方向である。なお、図9の左右方向がキャップ胴体の軸方向またはハンドルの半径方向であり、上下方向がキャップ胴体の半径方向またはハンドルの軸方向である。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るクイックカップラーは、雌カップラー50と雄カップラー10とを連結及び連結解除する。クイックカップラーは、半導体製造工場などのようにタンクローリーに積載されたケミカルを工場の貯留タンクに荷下ろしする配管ラインなどにおいて使用可能である。
【0028】
雌カップラー50は、雌カップラー胴体51と、スリーブ52と、ボール53と、第1のプランジャー55と、を備える。また、雄カップラー10は、雄カップラー胴体11と、第2のプランジャー12と、を備える。なお、雌カップラー50は、スリーブ52の前進及び後退に応じて拘束状態が異なってくる拘束手段を有する。この場合、拘束手段は、複数のボール53からなってもよい。雄カップラー10の外周面には、ボール53を結合する締結溝115が凹設される。
【0029】
スリーブ52は、雌カップラー胴体51の外側に軸方向に一定の範囲において摺動可能なように備配される。スリーブ52と雌カップラー胴体51との間には第1の弾性部材54が備配される。第1の弾性部材54は圧縮バネから構成されてもよく、スリーブ52を雌カップラー胴体51に対して軸方向に前進させるように弾性力を与える。この場合、スリーブの前進方向は図1の右側の方向である。スリーブ52と雌カップラー胴体51との間にはOリング512が備配される。
【0030】
第1のプランジャー55は、雌カップラー胴体51の内側に軸方向に一定の範囲において摺動可能なように備配される。第1のプランジャー55と雌カップラー胴体51との間には第2の弾性部材56が備配される。第2の弾性部材56は圧縮バネから構成されてもよく、第1のプランジャー55を雌カップラー胴体51に対して軸方向に前進させるように弾性力を与える。この場合、第1のプランジャーの前進方向は図1の右側の方向である。雌カップラー胴体51の内側には第2の弾性部材56の一方の側を支持するための支持体513が結合される。
【0031】
また、第1のプランジャー55には連通孔552が形成される。第1のプランジャー55が最大限に前進した状態で、雌カップラー胴体51の内部流路は第1のプランジャー55により閉止される。第1のプランジャー55が後進すると、雌カップラー胴体51の内部流路は連通孔552を介して開かれる。第1のプランジャー55と雌カップラー胴体51との間にはOリング551が備配される。なお、雌カップラー胴体51の内周面には雄カップラー10とのシールのためのOリング511が備配される。
【0032】
雄カップラー胴体11の外周面には締結溝115が凹設される。締結溝115は、雄カップラー胴体11の外周面の周りに沿って延設される。第2のプランジャー12は、雄カップラー胴体11の内側に軸方向に一定の範囲において摺動可能なように備配される。第2のプランジャー12と雄カップラー胴体11との間には第3の弾性部材13が備配される。第3の弾性部材13は圧縮バネから構成されてもよく、第2のプランジャー12を雄カップラー胴体11に対して軸方向に前進させるように弾性力を与える。この場合、第2のプランジャーの前進方向は図1の左側の方向である。雄カップラー胴体11の内側には第3の弾性部材13の一方の側を支持するための支持体111が結合される。
【0033】
さらに、第2のプランジャー12には連通孔122が形成される。第2のプランジャー12が最大限に前進した状態で、雄カップラー胴体11の内部流路は第2のプランジャー12により閉止される。第2のプランジャー12が後進すると、雄カップラー胴体11の内部流路は連通孔122を介して開かれる。第2のプランジャー12と雄カップラー胴体11との間にはOリング121が備配される。雄カップラー10が雌カップラー50に完全に挿入された状態で、雄カップラー胴体の端部116は雌カップラー胴体の支持部516に密着され、雌カップラー胴体の端部517は雄カップラー胴体の支持部117に密着され、第1のプランジャー55と第2のプランジャー12は互いに押し合って内部流路が連通される。
【0034】
以下では、本発明の一実施形態に係るクイックカップラーの締結過程について説明する。図2を参照すると、まず、雌カップラー50のスリーブ52を後ろに後退させてボール53が自由に動くようにする。図3を参照すると、図2の状態で、雄カップラー10を雌カップラー50に挿入する。図3の位置から第1のプランジャー55と第2のプランジャー12が互いに押し合って流路が連通され始める。
【0035】
次いで、図4のように、雄カップラー10を雌カップラー50に完全に挿入して、雄カップラー胴体の端部116が雌カップラー胴体の支持部516に密着されるようにする。図5を参照すると、雌カップラー50のスリーブ52を前進させると、ボール53が雄カップラー10の締結溝115に結合される。ボール53は、雌カップラー50と雄カップラー10との間を拘束して、雄カップラー10が雌カップラー50から軸方向に離脱されることを防ぎ、締結状態を保持する。
【0036】
図6から図10をさらに参照すると、雄カップラー10は、カップラーキャップ60を備える。雄カップラー10はホース20にフランジ21を介して結合され、雄カップラー10の端部にカップラーキャップ60が締結され、カップラーキャップ60は雄カップラー10から締結解除可能である。本発明の一実施形態に係るカップラーキャップ60は、キャップ胴体61と、ハンドル66と、ピン65と、スクリュー棒64と、ストッパー63と、を備える。
【0037】
キャップ胴体61は、軸方向に一方の側が開口され、軸方向に他方の側が閉止された管状を呈する。キャップ胴体61の開口部に雄カップラー10を軸方向に挿入する収容溝615が形成される。キャップ胴体61の内周面616には環状溝611が凹設され、環状溝611はキャップ胴体61の内周面の周りに沿って延設される。キャップ胴体61の外周面には挿入孔619が形成される。
【0038】
挿入孔619は、収容溝615の内外部を半径方向に貫通する。さらに詳しくは、挿入孔619は、環状溝611とキャップ胴体61の外側を貫通するように形成される。キャップ胴体61の外側には保管ボックスなどの外部装置に固定されるための固定溝614が形成される。キャップ胴体61にはOリング67が備配される。Oリング67は雄カップラー10の外周面と収容溝615の内周面との間に備配されて、雄カップラー10とキャップ胴体61との間をシールする。
【0039】
また、キャップ胴体61の内側には、雄カップラー10の挿入の際に雄カップラー胴体の支持部117に密着される支持爪612が形成される。雄カップラー10がカップラーキャップ60の終端まで挿入されると、雄カップラー胴体の支持部117がキャップ胴体61の支持爪612に密着されて、雄カップラー10はカップラーキャップ60にそれ以上挿入できず、雄カップラー10の端部とキャップ胴体61の内側端部613とは一定の距離だけ離隔されて雄カップラー10の端部とキャップ胴体61の内側端部613との間に所定の空間が形成される。すなわち、雄カップラー10の第2のプランジャー12は、キャップ胴体61の内側端部613に届かないため、ケミカルからカップラーキャップ60が汚れることが防がれる。
【0040】
ハンドル66は、キャップ胴体61に半径方向を軸線として回転可能に連結される。ハンドル66は、挿入孔619にその場で回転可能なように挿入される。ハンドル66は、挿入孔619に一部が挿入された状態で、他の一部はキャップ胴体61から突出される。ハンドル66の突出部の外周面には、回転操作に際して滑りを防ぐために凹凸またはエンボス状などの突起が形成されてもよい。
【0041】
ピン65は、一対からなり、ハンドル66の両側に備配される。ピン65は、ハンドル66の軸方向に対して直交する方向に延設されて、ハンドル66を回転可能に支持する。すなわち、ピン65は、ハンドル66の外周面と挿入孔619の内周面との間に配置され、カップラーの軸方向に長尺状に延設される。ピン65はキャップ胴体61に対して回転自在に連結され、ピン65の軸線方向はカップラーの軸方向と並んでいる。
【0042】
図11をさらに参照すると、ハンドル66の外周面には、ピン65により回転可能なように支持される係止溝665が凹設される。ピン65は、軸線が係止溝665の内側に位置するように、キャップ胴体61よりもハンドル66に偏って備配される。すなわち、ピン65の中心線Cは係止溝665よりも内側に位置する。したがって、ハンドル66が一対のピン65の間から離脱することなく、円滑にその場で回転可能である。
【0043】
スクリュー棒64は、一方の側がストッパー63に結合され、外周面にねじ山が形成されてハンドル66に螺合される。スクリュー棒64は、円形の棒状を呈し、外周面に軸方向にねじ山が形成される。半径方向にハンドル66の内側端部は開口され、外側端部は閉止される。開口されたハンドル66の内側端部にスクリュー棒64を螺合するねじ溝が形成される。スクリュー棒64はハンドル66のねじ溝に螺合され、ハンドル66の回転によりスクリュー棒64はハンドルの軸方向(カップラーの半径方向)に直線移動する。
【0044】
ストッパー63は、ハンドル66の回転につれてキャップ胴体61の半径方向に直線移動する。ストッパー63は、ハンドルの軸方向にスクリュー棒64の端部に結合されて、ハンドル66の回転の際にスクリュー棒64及びストッパー63は一緒に一体に直線移動する。すなわち、ストッパー63はキャップ胴体61の環状溝611に挿入されて、環状溝611内においてカップラーの半径方向に直線移動する。ハンドル66の回転の際に、ストッパー63は環状溝611により回転が防がれながら直線移動が導かれる。
【0045】
また、ストッパー63は、端部に突出部631を有する。突出部631は、端部に向かって進むにつれて幅が次第に狭くなるように両側が傾斜するように形成される。なお、雄カップラー10の締結溝115は、突出部631に密着されるように突出部631の形状に対応するように形成される。したがって、ストッパー63が雄カップラー10の締結溝115に向かって移動するとき、突出部631の端部が締結溝115の幅内において導かれながら締結溝115に向かって進入することに伴い、ストッパー63が雄カップラー10の締結溝115に対して自動的に位置合わせされる。結局、雄カップラー10とカップラーキャップ60との間の軸方向に微細な遊びが生じても円滑な締結が可能である。
【0046】
一方、ストッパー63、スクリュー棒64及びハンドル66は、それぞれ単一個からなる。したがって、部品点数を減らし、製造コストを削減することができるだけではなく、組立て性が改善されるなどの効果が得られる。この場合、ストッパー63、スクリュー棒64及びハンドル66は複数個からなって、カップラーキャップ60の周りに沿って配置されることも可能である。しかしながら、本発明の一実施形態に係るカップラーキャップ60は、単一個のストッパー63、スクリュー棒64及びハンドル66を備えて、部品点数を減らしながらも、高い構造的な強度を有し、雄カップラー10とカップラーキャップ60との締結力を高めることができる他、安定的な締結状態を保持することができる。
【0047】
一方、ハンドル66は、静止部661を備える。静止部661は、スクリュー棒64の端部を密着させてスクリュー棒64の直線移動幅を制限する機能を行う。ハンドル66が時計回り方向に回転すると、ストッパー63は環状溝611から引き出されて雄カップラー10の締結溝115に結合され、ハンドル66が反時計回り方向に回転すると、ストッパー63は環状溝611に引き込まれて雄カップラー10がカップラーキャップ60に挿入自在である。ハンドル66の静止部661の深さを調節することにより、ストッパー63の直線移動幅を制御することができる。
【0048】
図12をさらに参照すると、ハンドル66が反時計回り方向に最大限に回転してスクリュー棒64が静止部661に密着される。ストッパー63は、環状溝611の内部に完全に潜り込んで、雄カップラー10はカップラーキャップ60の内部に挿入可能である。雄カップラー10がカップラーキャップ60の終端まで挿入されると、雄カップラー胴体の支持部117はキャップ胴体61の支持爪612に密着されて、雄カップラー10がカップラーキャップ60の内部にそれ以上挿入されることができない。雄カップラー10の第2のプランジャー12は、キャップ胴体61の内側端部613から一定の距離だけ離隔されて届かず、Oリング67により雄カップラー10とカップラーキャップ60との間はシールされる。
【0049】
図13をさらに参照すると、ハンドル66が時計回り方向に回転して、スクリュー棒64及びストッパー63は一緒に雄カップラー10の締結溝115に向かって直線移動する。キャップ胴体61の終端まで雄カップラー10が挿入された状態で、ハンドル66が時計回り方向に最大限に回転すると、ストッパー63が締結溝115に結合されて、雄カップラー10をキャップ胴体61に対して軸方向に拘束する。この場合、ストッパー63の突出部631が締結溝115に完全に挿入された状態で、矢印にて示すように、キャップ胴体61の軸方向に作用するせん断力によりキャップ胴体61と雄カップラー10とが結合保持される。
【0050】
雄カップラー10の締結溝115は、雌カップラー50との締結のために欠かせない構成要素であり、本発明は、カップラーキャップ60の締結のために別途の締結手段を付設せず、雄カップラー10の締結溝115をそのまま活用しながら安定的かつ高い締結力を与えるものである。
【0051】
以上、本発明に係るカップラーキャップ及びこれを備えたクイックカップラーについては、図示の実施形態を参考として説明されたが、これは単なる例示的なものに過ぎず、当業者であれば、誰でもこれから様々な変形を加えることができ、かつ、均等な他の実施形態が採用可能であるという点が理解できる筈である。よって、真の技術的な保護範囲は、特許請求の範囲の技術的な思想により定められるべきである。
【符号の説明】
【0052】
10 雄カップラー
11 雄カップラー胴体
12 第2のプランジャー
115 締結溝
50 雌カップラー
51 雌カップラー胴体
52 スリーブ
53 ボール
55 第1のプランジャー
60 カップラーキャップ
61 キャップ胴体
611 環状溝
612 支持爪
613 内側端部
614 固定溝
615 収容溝
63 ストッパー
631 突出部
64 スクリュー棒
65 ピン
66 ハンドル
661 静止部
67 Oリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側が開口されて雄カップラーを軸方向に挿入する収容溝が形成され、他方の側は閉止されたキャップ胴体と、
前記キャップ胴体に半径方向を軸線として回転可能に連結されるハンドルと、
前記ハンドルの回転によりキャップ胴体の半径方向に直線移動するストッパーと、
を備え、
前記キャップ胴体に雄カップラーが挿入された状態で、前記ハンドルの回転によりストッパーが雄カップラーの外周面に凹設された締結溝に結合されて、雄カップラーをキャップ胴体に対して軸方向に拘束しており、
前記キャップ胴体に収容溝の内外部を半径方向に貫通する挿入孔が形成され、前記ハンドルは、挿入孔にその場で回転可能なように挿入され、
一方の側が前記ストッパーに結合され、外周面にねじ山が形成されて前記ハンドルに螺合されるスクリュー棒が備配されており、
前記ハンドルの両側にハンドルの軸方向に対して直交する方向に延設されてハンドルを回転可能に支持する一対のピンが備配されるカップラーキャップ。
【請求項2】
前記ストッパーは、端部に突出部を有し、前記突出部が締結溝に完全に挿入された状態で、キャップ胴体の軸方向に作用するせん断力によりキャップ胴体と雄カップラーとが結合保持される請求項1に記載のカップラーキャップ。
【請求項3】
前記締結溝は、雄カップラーの外周面の周りに沿って延設され、前記ストッパー及びハンドルは単一個からなる請求項1に記載のカップラーキャップ。
【請求項4】
前記キャップ胴体の内周面に環状溝が凹設され、前記ストッパーは環状溝に挿入されて、
前記ハンドルの回転に際して、ストッパーは、環状溝により回転が防がれながら直線移動が導かれる請求項に記載のカップラーキャップ。
【請求項5】
前記ピンは、ハンドルの外周面と挿入孔の内周面との間に配置され、
ハンドルの外周面にピンにより回転可能に支持される係止溝が形成され、
ピンは、軸線が係止溝の内側に位置するようにキャップ胴体よりもハンドルに偏って備配される請求項に記載のカップラーキャップ。
【請求項6】
前記突出部は、端部に向かって進むにつれて幅が次第に狭くなるように両側が傾斜するように形成され、前記雄カップラーの締結溝は、突出部に密着されるように突出部の形状に対応するように形成される請求項2に記載のカップラーキャップ。
【請求項7】
前記ハンドルは、スクリュー棒の端部を密着させてスクリュー棒の直線移動幅を制限する静止部を備える請求項に記載のカップラーキャップ。
【請求項8】
雄カップラーの外周面と収容溝の内周面との間に雄カップラーとキャップ胴体との間をシールするOリングが備配される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のカップラーキャップ。
【請求項9】
雌カップラーは、スリーブの前進及び後退に応じて拘束状態が異なってくる拘束手段を有し、雄カップラーの外周面に拘束手段を結合する締結溝が凹設されたクイックカップラーにおいて、
前記雄カップラーは、カップラーキャップを備え、
前記カップラーキャップは、
一方の側が開口されて雄カップラーを軸方向に挿入する収容溝が形成され、他方の側は閉止されたキャップ胴体と、
前記キャップ胴体に半径方向を軸線として回転可能に連結されるハンドルと、
前記ハンドルの回転によりキャップ胴体の半径方向に直線移動するストッパーと、
を備え、
前記キャップ胴体に雄カップラーが挿入された状態で、前記ハンドルの回転によりストッパーが雄カップラーの締結溝に結合されて、雄カップラーをキャップ胴体に対して軸方向に拘束しており、
前記キャップ胴体に収容溝の内外部を半径方向に貫通する挿入孔が形成され、前記ハンドルは、挿入孔にその場で回転可能なように挿入され、
一方の側が前記ストッパーに結合され、外周面にねじ山が形成されて前記ハンドルに螺合されるスクリュー棒が備配されており、
前記ハンドルの両側にハンドルの軸方向に対して直交する方向に延設されてハンドルを回転可能に支持する一対のピンが備配されるクイックカップラー。