(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167726
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】滑車付きジャンプ傘
(51)【国際特許分類】
A45B 25/16 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
A45B25/16 B
A45B25/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021096195
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】521247984
【氏名又は名称】安東 遼真
(72)【発明者】
【氏名】安東 遼真
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104TA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、滑車を取り付けることで、閉じる際に必要な力が軽減された滑車付きジャンプ傘を提供する。
【解決手段】ステンレスワイヤーを用いて4個以上の滑車をジャンプ傘に取り付けることで、閉じるときに必要となる力を減らす。引き具25を引くことで下ろくろ14が動き、傘が閉じるように連動された滑車付きジャンプ傘を特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーにより4個以上の滑車が取り付けられており、引き具を引くことで、滑車の作用により、より小さい力で下ろくろがハンドルに向かって動き、傘が閉じるように連動された滑車付きジャンプ傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑車を利用することにより、より小さい力で閉じることができるジャンプ傘に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジャンプ傘は、ボタンを押すとばねの力で自動的に開く傘である。ばねの力を利用することにより片手で簡単に開くことができる反面、閉じる際には押しばねを縮める必要があり、ある程度の力が必要である。そのため、幼い子供などあまり力がない人にとって、ジャンプ傘を閉じることは困難であった。
【0003】
特許文献1には、持手の内部に滑車を有する傘が記載されている。しかし、滑車を利用してジャンプ傘を閉じる際の力を軽減する方法はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に流通するジャンプ傘は、閉じる際に押しばねを縮める必要があるため、ある程度の力が必要である。そのため、あまり力のない人にとってジャンプ傘を閉じることは容易ではなかった。
本発明は、この問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
4個の滑車を、ステンレスワイヤーを使ってジャンプ傘に取り付ける。引き具を引くことで、滑車と連動した下ろくろがハンドルに向かって動き、ジャンプ傘が閉じる。
【発明の効果】
【0007】
滑車の性質を利用することで、従来のジャンプ傘に比べ、小さい力でより容易にジャンプ傘を閉じることができる。これにより、幼い子供などあまり力がない人でも簡単に使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の傘が開かれたときの側面からの模式図である。
【
図3】本発明の傘が閉じられたときの側面からの模式図である。
【
図5】4個の滑車を取り付けたときと取り付けなかったときの引く力の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明で用いるジャンプ傘は、ばねの力を使って、下ろくろを軸に沿って押し上げることを自動化したものであればよい。
【0010】
本発明で用いる滑車は、中央に1本の軸を持つ自由回転可能な円盤と、円盤を支持して他の物体に接続するための構造部とで構成されるものであればよい。
【0011】
はじめに、3個以下の滑車を使って引く力を軽減することを検討したが、それでは引く力はほとんど変わらず、むしろ滑車とワイヤーの摩擦力の影響で大きくなる可能性もあることが分かった。さらに検討を行った結果、4個の滑車を用いることにより、摩擦力を加味しても、実施例に示す通り、明らかに引く力が軽くなることが分かった。
【0012】
図1に、本発明の滑車付きジャンプ傘の全体像を示す。
図4に示すように、ジャンプ傘1の上部に小さな通し穴26を開け、そこにステンレスワイヤー(以下、単にワイヤーと呼ぶ)6を通し、その一端を石突き13に巻き付け固定する。そのワイヤー6のもう一端は滑車2の上端に固定する(
図2)。
【0013】
図2に示すように、ワイヤー8を滑車2の下端と滑車3の上端に取り付ける。ワイヤー7を滑車2、滑車4、滑車3、と順に通していき、最後に滑車4の上端に固定する。ワイヤー7の固定されていないもう一方の端は輪状にして、オーバルスリーブ24を使って引き具25を作る。ワイヤー12で滑車5とハンドル16が動かないように固定する。
【0014】
ワイヤー9の一端を滑車4の下端に取り付け、もう一端は滑車5を通す。ワイヤー10を、オーバルスリーブ21を使って引き棒18と固定する。同様に、ワイヤー11を、オーバルスリーブ22を使って引き棒19と固定する。引き棒の二か所にワイヤーをつけたのは、二か所に力が伝わることで、力がよりスムーズに下ろくろに伝わるからである。ワイヤー10とワイヤー11のそれぞれ固定されていない一端と、ワイヤー9の固定されていない一端の、計3本の端を、オーバルスリーブ23を使って結合する。
【0015】
本発明のジャンプ傘を閉じるときは、引き具25を引けばよい。引き具25を引くことにより、下ろくろ14がハンドル16に向かって動いていき、傘が閉じる。このとき、滑車2、滑車3、滑車5は動かないが、滑車4は滑車3の方へ近づいていく(
図3)。
【0016】
また、引き具25の代わりに、リールなどのワイヤーを巻き取れるものをジャンプ傘の持手付近に取り付けることもできる。リールにワイヤー7を巻き付けることにより、リールを回すことで傘が閉じる。このようにすることで、持手付近でジャンプ傘を開閉できるほか、幼い子供は遊び感覚で楽しくジャンプ傘を使うことができる。
【0017】
また、滑車の数を5個以上に増やすことにより、さらにジャンプ傘を閉じる際の力を軽減することも可能である。
【実施例0018】
以下、従来通り滑車を取り付けずに下ろくろを引きジャンプ傘を閉じるよりも、滑車を取り付けてから引き具を引きジャンプ傘を閉じる方がより軽く引くことができるのか、実際に検証した結果を示す。
【0019】
図1~
図3のように、4個の滑車を取り付けたときと、比較例として滑車を取り付けないときの、ジャンプ傘を閉じる際に必要な力を、ばねばかりを使ってそれぞれ10回ずつ測定した。傘は、親骨の長さが50cmのジャンプ傘(株式会社アテイン)を使った。滑車は、車輪径12mmの滑車を用いた。ばねばかりは、5g単位で測定する電子ばねばかり(BIGMANLTD社、BDS-H50K)を使用した。ワイヤーは、ナイロンコートで直径1.0mmのステンレスワイヤーを使い、オーバルスリープは直径1.2mmのワイヤー用のものを使用した。
【0020】
ばねばかりは、滑車なしで直接下ろくろ14を引く場合は、オーバルスリーブ23上部のワイヤー10とワイヤー11が分岐している場所に引っ掛けた。滑車ありで引き具25を引く場合は、引き具25の輪に引っ掛けた。
【0021】
また、ジャンプ傘を閉じるとき、下ろくろ14が動く位置によって引く力が異なるため、下はじき20から3cmおきに中棒17に印を7個つけ、下ろくろ14がそれらの7点を通るときのばねばかりが示す値を測定した。ハンドル16を手に持ち、ばねばかりを自分の体の方へ引く形でばねばかりの値を測定した。
【0022】
表1、2、および
図5に示されるように、滑車を取り付けた方が滑車を取り付けないよりも小さい力でジャンプ傘を閉じることができる。このことから、4個の滑車を傘に取り付けることで、ジャンプ傘を閉じる際の引く力を軽減できるということが示された。
【表1】
【表2】