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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167738
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】沈積防止逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/06 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
F16K15/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123856
(22)【出願日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】110114454
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】110116046
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519404230
【氏名又は名称】日揚科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】陳建勳
(72)【発明者】
【氏名】孫世源
(72)【発明者】
【氏名】彭冠穎
(72)【発明者】
【氏名】許俊樹
(72)【発明者】
【氏名】方志強
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA02
3H058BB33
3H058CA04
3H058CA06
3H058CB06
3H058CB24
3H058CB32
3H058CC02
3H058CD05
3H058EE05
3H058EE12
(57)【要約】
【課題】逆止弁の内部に沈積現象が発生して、密着度が降下する問題を解決可能な沈積防止逆止弁を提供する。
【解決手段】第1の開口を有し、第1の開口の片側に面取り環状面が形成されている上フランジと、第2の開口を有する下フランジと、上フランジと下フランジとの間に設けられている仕切りフレームと、その頂側がコーンプレートであり、軸方向に沿って移動可能に仕切りフレームに設けられておるシーリング部材と、を少なくとも備え、シーリング部材のコーンプレートのリングジョイントエリアは、常時に面取り環状面に並行的に接離可能に保持されており、開位置または閉位置に移動することにより、上フランジの第1の開口を対応して開閉し、上フランジの第1の開口は、下フランジの第2の開口と連通し、又は連通しないことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバーと空気抽出装置との間に組付けられている沈積防止逆止弁であって、
第1の開口を有し、前記第1の開口の片側に面取り環状面が形成されている上フランジと、
第2の開口を有する下フランジと、
前記上フランジと前記下フランジとの間に設けられている仕切りフレームと、
その頂側はコーンプレートであるシーリング部材と、を少なくとも備え、
前記シーリング部材の前記コーンプレートの頂端は、テーパー状、平面状、又は円弧状を呈し、
前記シーリング部材の底側には、ガイドロッドが一体的又は脱着可能に接続されており、
前記ガイドロッドが、前記仕切りフレームの案内溝内に移動可能に保持されることにより、前記シーリング部材は、軸方向に沿って移動可能に前記仕切りフレームに設けられており、
前記コーンプレートのリングジョイントエリアは、常時前記面取り環状面に並行的に接離可能に保持されており、
前記空気抽出装置が空気抽出状態または空気抽出停止状態に切り替えられるときに、前記シーリング部材は、それに応じて開位置または閉位置に移動して、前記上フランジの前記第1の開口を対応して開閉し、これにより、前記上フランジの前記第1の開口は、前記下フランジの前記第2の開口と連通して、前記空気抽出装置は前記プロセスチャンバーにおけるガスを抽出することができ、又は前記下フランジの前記第2の開口と連通せず、前記ガスの前記プロセスチャンバーへの回流を防止することを特徴とする、
沈積防止逆止弁。
【請求項2】
前記シーリング部材の前記コーンプレートの前記リングジョイントエリアの中心角の角度が、前記面取り環状面の面取りの角度と同じであることを特徴とする、請求項1に記載の沈積防止逆止弁。
【請求項3】
前記仕切りフレームは、環状中空フレームと、クロスバーと、を備え、前記クロスバーは、前記環状中空フレームの両側に接続されており、前記案内溝は前記クロスバーに設けられており、前記シーリング部材が軸方向に沿って移動可能に前記仕切りフレームに設けられている状態において、前記案内溝の軸心が、前記シーリング部材の前記コーンプレートの軸心に並行であることを特徴とする、請求項1に記載の沈積防止逆止弁。
【請求項4】
前記上フランジ及び前記下フランジは、それぞれ第1のリングパイプ、接続板および第2のリングパイプから構成され、前記下フランジの前記接続板が、前記下フランジの前記第1のリングパイプと前記第2のリングパイプとの間に、垂直又は斜めに接続されており、及び/又は、前記上フランジの前記接続板が、前記上フランジの前記第1のリングパイプと前記第2のリングパイプとの間に、垂直又は斜めに接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の沈積防止逆止弁。
【請求項5】
前記上フランジの前記面取り環状面は、第1の気密ワッシャーを有し、前記シーリング部材が前記閉位置に位置するときに、前記コーンプレートの前記リングジョイントエリアが、前記上フランジの前記面取り環状面上の前記第1の気密ワッシャーに当接することを特徴とする、請求項1に記載の沈積防止逆止弁。
【請求項6】
前記シーリング部材が前記開位置に位置するときに、前記シーリング部材の前記コーンプレートの頂端の位置が、前記上フランジの前記第1の開口の第1の側に近接し、前記シーリング部材が前記閉位置に位置するときに、前記シーリング部材の前記コーンプレートの前記頂端の位置が、前記上フランジの前記第1の開口に位置し、且つ前記上フランジの前記第1の開口の第2の側に近接し、前記第2の側は前記第1の側に対向することを特徴とする、請求項1に記載の沈積防止逆止弁。
【請求項7】
前記シーリング部材の前記頂側の前記コーンプレートの表面に、更に、カバー部材が設けられており、前記カバー部材の表面の平滑度は、前記シーリング部材の前記コーンプレートの表面の平滑度より高いことを特徴とする、請求項1に記載の沈積防止逆止弁。
【請求項8】
前記仕切りフレームが、前記下フランジと前記上フランジとの間に脱着可能に設けられており、前記上フランジと前記仕切りフレームとの間、及び前記下フランジと前記仕切りフレームとの間には、第2の気密ワッシャーがそれぞれ設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の沈積防止逆止弁。
【請求項9】
前記コーンプレートと前記仕切りフレームとの間に設けられている弾性部材を備え、前記ガイドロッドは前記弾性部材を挿通し、前記弾性部材の直径が、前記コーンプレートの直径と前記ガイドロッドの直径の間であることを特徴とする、請求項1に記載の沈積防止逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁に関し、特に、沈積防止逆止弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体技術の継続的な活発な発展により、技術製品は大きな進歩を遂げることができた。半導体チップの製造プロセスにおいて、一般的に、チップはプロセスチャンバーに置かれて、関連の製造工程を行い、且つ真空ポンプを利用して、プロセスチャンバーにおける空気またはガスを抽出することにより、プロセスチャンバーを負圧状態に保持し、ある程度の真空度にする。
【0003】
逆止弁(check valve)は、「逆流防止弁」、「チェックバルブ」とも呼ばれ、流体の逆流を自動的に防止することができる。真空ポンプが真空になるために作動すると、逆止弁のフラップが開くことにより、流体はプロセスチャンバーから流出できる。また、真空ポンプが停止すると、流体の圧力差により、逆止弁が自動的に閉じるため、流体のプロセスチャンバーへの逆流を防止することができる。
しかし、半導体の製造プロセスにおいて、ガス反応物やガスによって運ばれる固体粒子が、逆止弁に沈積しやすく、このような沈積物により、逆止弁の密着度が悪化して、製造プロセスの品質を降下する虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、逆止弁の内部に沈積現象が発生して、密着度が低下する問題を解決可能な沈積防止逆止弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、プロセスチャンバーと空気抽出装置との間に組付けられており、第1の開口を有し、第1の開口の片側に面取り環状面が形成されている上フランジと、第2の開口を有する下フランジと、上フランジと下フランジとの間に設けられている仕切りフレームと、その頂側はコーンプレートであるシーリング部材と、を少なくとも備え、シーリング部材のコーンプレートの頂端は、テーパー状、平面状、又は円弧状を呈し、前記シーリング部材の底側には、ガイドロッドが一体的に接続されており、又はガイドロッドが脱着可能に接続されており、ガイドロッドは、仕切りフレームの案内溝内で移動可能に制限されることにより、シーリング部材は、軸方向に沿って移動可能に仕切りフレームに設けられており、コーンプレートのリングジョイントエリアは、常時に面取り環状面に並行的に接離可能に保持されており、空気抽出装置が空気抽出状態または空気抽出停止状態に切り替えられるときに、シーリング部材は、それに応じて開位置または閉位置に移動して、上フランジの第1の開口を対応して開閉し、これにより、上フランジの第1の開口は、下フランジの第2の開口と連通して、空気抽出装置はプロセスチャンバーにおけるガスを抽出することができ、又は下フランジの第2の開口と連通せず、ガスのプロセスチャンバーへの回流を防止することを特徴とする。
【0006】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、前記シーリング部材の前記コーンプレートの前記リングジョイントエリアの中心角の角度は、実際に、前記面取り環状面の面取りの角度と同じであることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、前記仕切りフレームは、環状中空フレームと、クロスバーと、を備え、前記クロスバーは、前記環状中空フレームの両側に接続されており、前記案内溝は前記クロスバーに設けられており、前記シーリング部材は、軸方向に沿って移動可能に前記仕切りフレームに設けられている場合に、前記案内溝の軸心は、前記シーリング部材の前記コーンプレートの軸心に並行であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、前記上フランジ及び前記下フランジは、それぞれ第1のリングパイプ、接続板および第2のリングパイプから構成され、前記下フランジの前記接続板は、前記下フランジの前記第1のリングパイプと前記第2のリングパイプとの間に、垂直であるように接続されており、又は斜めに接続されており、及び/又は、前記上フランジの前記接続板は、前記上フランジの前記第1のリングパイプと前記第2のリングパイプとの間に、垂直であるように接続されており、又は斜めに接続されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、前記上フランジの前記面取り環状面は、第1の気密ワッシャーを有し、前記シーリング部材が前記閉位置に位置するときに、前記コーンプレートの前記リングジョイントエリアは、前記上フランジの前記面取り環状面上の前記第1の気密ワッシャーに当接することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、前記シーリング部材が前記開位置に位置するときに、前記シーリング部材の前記コーンプレートの頂端の位置は、前記上フランジの前記第1の開口の第1の側に近接し、前記シーリング部材が前記閉位置に位置するときに、前記シーリング部材の前記コーンプレートの前記頂端の位置は、前記上フランジの前記第1の開口に位置し、且つ前記上フランジの前記第1の開口の第2の側に近接し、前記第2の側は前記第1の側に対向することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、前記シーリング部材の前記頂側の前記コーンプレートの表面には、更に、カバー部材が設けられており、前記カバー部材の表面の平滑度は、前記シーリング部材の前記コーンプレートの表面の平滑度より高いことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、前記仕切りフレームは、前記下フランジと前記上フランジとの間に脱着可能に設けられており、前記上フランジと前記仕切りフレームとの間、及び前記下フランジと前記仕切りフレームとの間には、第2の気密ワッシャーがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、更に、前記コーンプレートと前記仕切りフレームとの間に設けられている弾性部材を備え、前記ガイドロッドは前記弾性部材を挿通し、前記弾性部材の直径は、前記コーンプレートの直径と前記ガイドロッドの直径の間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る沈積防止逆止弁は、シーリング部材がコーンプレートである設計を採用することにより、従来のフラットタイプの設計に比べて、逆止弁における低速ゾーン及び回流ゾーンの面積を減少することができ、ガス反応物やガスによって運ばれる固体粒子が、第1の気密ワッシャー及びシーリング部材に沈積することを防止することができる。
このため、第1の気密ワッシャーへの沈積による密着度の降下を防止することができる。さらに、コーンプレートの表面には、フッ素含有材料などのコーティングが設けられていることにより、表面の平滑度を向上することができ、摩擦を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る沈積防止逆止弁の外観を示す図である。
図2】本発明に係る沈積防止逆止弁を示す側面図である。
図3】本発明に係る沈積防止逆止弁を示す断面図である。
図4】本発明に係る沈積防止逆止弁を示す分解断面図である。
図5】本発明に係るシーリング部材を示す側面図である。
図6】本発明に係るコーンプレートの別の態様を示す断面図である。
図7】本発明に係るコーンプレートの更に別の態様を示す断面図である。
図8】本発明に係る沈積防止逆止弁、プロセスチャンバー及び空気抽出装置を示す図である。
図9】本発明に係るコーンプレート及び仕切りフレームの別の態様を示す分解断面図である。
図10】本発明に係るコーンプレート及び仕切りフレームの更に別の態様を示す分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施の形態の図面における各部材の比率は、説明を容易に理解するために示されるものであって、実際の比率ではない。また、図に示すアセンブリの寸法の比率は、各部品とその構造を説明するためのものであり、もちろん、本発明はこれに限定されない。一方、理解を便利にするために、下記の実施の形態における同じ部品については、同じ符号を付して説明する。
【0017】
さらに、明細書全体および特許請求の範囲で使用される用語は、特に明記しない限り、通常、この分野、本明細書に開示される内容、および特別な内容で使用される各用語の通常の意味を有する。本発明を説明するために使用されるいくつかの用語は、当業者に本発明の説明に関する追加のガイダンスを提供するために、本明細書の以下または他の場所で説明される。
【0018】
明細書全体および特許請求の範囲で使用される「第1」、「第2」、「第3」などの使用は、順序や順次を具体的に示すものではなく、本発明を制限するために使用されているものでもない。これは、同じ専門用語で説明するコンポーネントまたは操作を区別するだけために使用される。
【0019】
次に、明細書全体および特許請求の範囲で使用される「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」などの用語が使用されている場合、それらはすべてオープンな用語である。つまり、これらは、含むがこれに限定されないことを意味する。
【0020】
図1から図4を参照する。図1は本発明に係る沈積防止逆止弁の外観を示す模式図であり、図2は本発明に係る沈積防止逆止弁を示す側面図であり、図3は本発明に係る沈積防止逆止弁を示す断面図であり、図4は本発明に係る沈積防止逆止弁を示す分解断面図である。
【0021】
図1から図4に示すように、本発明に係る沈積防止逆止弁100は、上フランジ10と、下フランジ20と、仕切りフレーム30と、を少なくとも備える。
上フランジ10は、第1の開口12を有し、円形を呈し、第1の開口12の片側に面取り環状面14が形成されている。下フランジ20は、第2の開口22を有し、円形を呈する。仕切りフレーム30は、上フランジ10と下フランジ20との間に設けられている。例えば、仕切りフレーム30は、下フランジ20と上フランジ10との間に脱着可能に設けられている。シーリング部材40の頂側はコーンプレート42であり、例えば円形を呈する。
シーリング部材40は、軸方向に沿って移動可能に仕切りフレーム30に設けられており、且つシーリング部材40のコーンプレート42のリングジョイントエリア41は、常時、面取り環状面14に並行的に接離可能に保持されておる。シーリング部材40は、開位置または閉位置に移動することにより、上フランジ10の第1の開口12を対応して開閉する。これにより、上フランジ10の第1の開口12は、下フランジ20の第2の開口22と連通し、又は連通しない。本発明の上フランジ10と下フランジ20との断面形状は、例えば、それぞれやや反転したT字形とT字形を呈する。詳細には、例えば、上フランジ10は、第1のリングパイプ10a、接続板10b及び第2のリングパイプ10cから構成され、接続板10bは、第1のリングパイプ10aと第2のリングパイプ10cとの間に接続されている。さらに、第1のリングパイプ10a、接続板10b及び第2のリングパイプ10cは、一体成形されて上フランジ10を構成してもよい。
下フランジ20は、第1のリングパイプ20a、接続板20b及び第2のリングパイプ20cから構成され、接続板20bは、第1のリングパイプ20aと第2のリングパイプ20cとの間に接続されている。第1のリングパイプ20a、接続板20b及び第2のリングパイプ20cは、一体成形されて下フランジ20を構成してもよい。上記の上フランジ10の面取り環状面14は、第1のリングパイプ10aと接続板10bとの間に位置する。上フランジ10と下フランジ20とは、それぞれ第2のリングパイプ10cと第2のリングパイプ20cとで、仕切りフレーム30に接続されている。沈積防止逆止弁100の上フランジ10の第1の開口12は、第1のリングパイプ10aに位置する。下フランジ20の第2の開口22は、第2のリングパイプ20cに位置する。
【0022】
本発明に係る沈積防止逆止弁100は、図8に示すように、プロセスチャンバー200と空気抽出装置300との間に組付けられている。空気抽出装置300は、例えば真空ポンプであるが、これに限定されない。真空ポンプは、例えば、フォアポンプ又はターボ分子真空ポンプであるが、これに限定されない。
空気抽出装置300が起動されて空気抽出状態にあるときに、シーリング部材40のコーンプレート42のリングジョイントエリア41は、上フランジ10の面取り環状面14から離れる。このとき、上フランジ10の第1の開口12は、シーリング部材40に閉じられないため(シーリング部材40が開位置に位置する)、上フランジ10の第1の開口12は、下フランジ20の第2の開口22と連通して、プロセスチャンバー200におけるガスは、空気抽出装置300に抽出される。なお、空気抽出装置300が停止するときに、流体の圧力差により、シーリング部材40は、コーンプレート42のリングジョイントエリア41が上フランジ10の面取り環状面14に当接するまで、上フランジ10へ移動するため(このとき、シーリング部材40は、上フランジ10の第1の開口12を閉じ、且つシーリング部材40は閉位置に位置する)、上フランジ10の第1の開口12は、下フランジ20の第2の開口22と連通しない。このため、流体のプロセスチャンバー200への逆流を防止することができ、空気抽出装置300が空気抽出状態または空気抽出停止状態に切り替えられるときに、それに応じて、シーリング部材40は開位置または閉位置に変位して、空気抽出装置300がプロセスチャンバー200におけるガスを抽出し、又はガスのプロセスチャンバー200への回流を防止する。
【0023】
本発明では、シーリング部材40が開位置に位置するときに、シーリング部材40のコーンプレート42の頂端の位置は、上フランジ10の第1の開口12の第1の側に近接する。さらに、シーリング部材40のコーンプレート42の頂端の位置は、例えば、上フランジ10の第1の開口12の内部または外部に位置してもよい。
【0024】
なお、シーリング部材40が閉位置に位置するときに、シーリング部材40のコーンプレート42の頂端の位置は、上フランジ10の第1の開口12の内部に位置する。このとき、コーンプレート42の頂端の位置は、上フランジ10の第1の開口12の第2の側に近接し、且つ第2の側は第1の側に対向する。上記の第1の開口12の第1の側は、仕切りフレーム30に向き、なお、第1の開口12の第2の側は、仕切りフレーム30から遠く離れる。
【0025】
本発明では、シーリング部材40のコーンプレート42の頂端は、例えばテーパー状(図3から図5を参照)、平面状(図6参照)、又は円弧状(図7参照)を呈してもよい。もちろん、上記のコーンプレート42の頂端の形状は、例示に過ぎず、これに限定されない。また、本発明では、コーンプレート42の頂端の形状に係らず、コーンプレート42のリングジョイントエリア41(すなわち、面取り環状面14と接触する區域)の中心角Θの角度は、実際に、面取り環状面14の面取りαの角度とほぼ同じであり、且つ許容誤差は約10度である。
リングジョイントエリア41の中心角Θの角度と面取り環状面14の面取りαの角度は、例えば、α=Θ±10である。すなわち、αの角度は、Θの角度プラス10度とΘの角度マイナス10度の間である。このため、シーリング部材40の変位の過程中に、コーンプレート42のリングジョイントエリア41は、面取り環状面14に並行である状態を保持する。さらに、シーリング部材40のコーンプレート42のリングジョイントエリア41の中心角Θの角度は、90度より小さい。例えば、中心角Θの角度は45度と60度の間であることが好ましい。中心角Θの角度は60度であることが更に好ましい。もちろん、上記の中心角Θの角度は、例示にすぎず、これに限定されない。
【0026】
上記のように、シーリング部材40の頂側はコーンプレート42であり、なお、シーリング部材40の底側はガイドロッド44である。ガイドロッド44と案内溝32とは、一つ又は複数個ある。シーリング部材40が閉位置または開位置に切り替えられるときに、ガイドロッド44は、仕切りフレーム30上の案内溝32に移動可能に保持される。案内溝32は、片側に穴のあるスロットにしてもいいし、両側に穴のあるスロットにしてもよい。
案内溝32が片側に穴のあるスロットであることを例にして説明する。シーリング部材40が閉位置に位置するときに、ガイドロッド44の底端の案内溝32への差込長さが比較的短い。また、シーリング部材40が開位置に位置するときに、ガイドロッド44の底端の案内溝32への差込長さが比較的長い。このような設計により、シーリング部材40は、空気抽出装置300の操作により自由に上下に動かすことができ、第1の開口12を開閉する目的を達成することができる。さらに、ガイドロッド44の長さは、案内溝32の深さに対応し、且つガイドロッド44の長さは、シーリング部材40の開位置と閉位置の間の縦方向距離より大きく、又は同じである。
案内溝32が両側に穴のあるスロットであることを例にして説明する。ガイドロッド44は案内溝32を挿通し、ガイドロッド44の長さは、例えば、シーリング部材40の開位置と閉位置の間の縦方向距離より大きく、又は同じである。
【0027】
仕切りフレーム30は、環状中空フレーム31と、クロスバー33と、を備える。クロスバー33は、環状中空フレーム31の両側に接続されている。上記の案内溝32はクロスバー33に設けられており、且つシーリング部材40が軸方向に沿って移動可能に仕切りフレーム30に設けられている状態において、案内溝32の軸心は、シーリング部材40のコーンプレート42の軸心に並行である。
ガイドロッド44と案内溝32とが、それぞれ一つあることを例にして説明する。案内溝32の軸心は、シーリング部材40のコーンプレート42の軸心と重なり、並行である。ガイドロッド44と案内溝32とが、それぞれ複数個あることを例にして説明する。案内溝32の軸心は、シーリング部材40のコーンプレート42の軸心に並行である。
クロスバー33は、例えば一字形、Y字形または十字形を呈し、環状中空フレーム31を、2つの等しい部分、3つの等しい部分、又は4つの等しい部分に分割されることが好ましい。そして案内溝32がクロスバー33の中心に位置し、これにより、コーンプレート42の底端の中心に位置するガイドロッド44は案内溝32を挿通することにより、コーンプレート42を第1の開口12の軸心に沿って動かすことができる。
【0028】
なお、コーンプレート42と仕切りフレーム30との間には、更に、弾性部材80が設けられていてもよい。ガイドロッド44は弾性部材80を挿通する。弾性部材80は、例えばバネであるが、これに限定されない。弾性部材80が設けられることにより、シーリング部材40が閉位置へ変位するときに補助機能を提供して、密閉効果を向上することができる。
弾性部材80の直径rとコーンプレート42の直径r1及びガイドロッド44の直径r2は、例えば下記の関係
r2<r<r1
を満足する。すなわち、弾性部材80の直径rは、コーンプレート42の直径r1とガイドロッド44の直径r2の間である。ガイドロッド44の直径r2は外径であることが好ましい。弾性部材80は、案内溝32の外部または案内溝32内に設けられていてもよい。
弾性部材80は、図9に示すように、案内溝32の外部に設けられており、弾性部材80の両端がそれぞれコーンプレート42の底側と仕切りフレーム30のクロスバー33とに当接する。或いは、弾性部材80は、図10に示すように、案内溝32内に設けられており、弾性部材80の両端がそれぞれコーンプレート42の底側またはガイドロッド44と案内溝32の内壁とに当接し、且つ、弾性部材80の直径rは、ガイドロッド44の直径r2(外径)と案内溝32の内径の間である。
【0029】
別の実施態様では、本発明に係る下フランジ20の断面構造がT字形を呈することに限定されず、本発明に係る下フランジ20の断面構造は、I字形(直線状)を呈してもいいし、T字形とI字形(直線形)の間である外形を呈してもよい。換言すると、下フランジ20は、同様に、第1のリングパイプ20a、接続板20b及び第2のリングパイプ20cから構成されてもよいが、下フランジ20の接続板20bは、第1のリングパイプ20aと第2のリングパイプ20cとの間に、垂直であるように接続されていることに限定されない。
下フランジ20の接続板20bは、例えば、第1のリングパイプ20aと第2のリングパイプ20cとの間に、斜めに接続されていてもよい。すなわち、下フランジ20の第2のリングパイプ20cと接続板20bとの間のなす角βは、約89度と約180度の間であり、同じように、下フランジ20の接続板20bと第1のリングパイプ20aとの間のなす角δは、約89度と約180度の間である。これにより、ガス反応物やガスによって運ばれる固体粒子の沈積防止逆止弁への沈積を防止することができる。
同じ原理に基づいて、更に別の実施態様では、上記の下フランジ20の接続板20bが、第1のリングパイプ20aと第2のリングパイプ20cとの間に斜めに接続されていることを除いて、本発明に係る上フランジ10の接続板10bが、例えば、第1のリングパイプ10aと第2のリングパイプ10cとの間に斜めに接続されていてもよい。これにより、ガス反応物やガスによって運ばれる固体粒子の沈積防止逆止弁への沈積を防止することができる。
【0030】
シーリング部材40の材質は、例えば、ステンレス、アルミ、又はアルミ合金を採用するが、これに限定されない。なお、シーリング部材40の頂側のコーンプレート42の表面には、更に、カバー部材60が設けられていてもよい。図5では、コーンプレート42の表面の全部または一部にカバー部材60が設けられている。カバー部材60は、例えばフッ素含有材料のコーティング、又はニッケル層であり、これにより、シーリング部材40の表面の平滑度を向上することができ、摩擦力を減少することにより、沈積現象を減少することができる。
カバー部材60の表面の平滑度は、シーリング部材40のコーンプレート42の表面の平滑度より高い。なお、ガイドロッド44は、例えば、コーンプレート42と一体成形されてもいいし、コーンプレート42に脱着可能に接続されていてもよい。ガイドロッド44とコーンプレート42との材質は、同じでもいいし、異なってもよい。ガイドロッド44がコーンプレート42に脱着可能に接続されている場合には、例えば、ねじ込み、ロック、クリップ、又は磁気を使用できるが、これに限定されない。ねじ込みを採用することを例にして説明すると、コーンプレート42及びガイドロッド44は、例えば、それぞれが互いにねじ込み可能なボルト及びねじ穴である。これにより、コーンプレート42はガイドロッド44に脱着可能に接続することができる。
ロックを採用することを例にして説明すると、コーンプレート42及びガイドロッド44は、例えば、それぞれねじ穴を有し、且つ例えば、コーンプレート42とガイドロッド44とのねじ穴に一つのボルトをねじ込むことにより、コーンプレート42をガイドロッド44に脱着可能に接続することができる。
【0031】
上フランジ10の面取り環状面14は、例えば第1の気密ワッシャー51を有し、且つシーリング部材40が閉位置に位置するときに、コーンプレート42のリングジョイントエリア41は、上フランジ10の面取り環状面14上の第1の気密ワッシャー51に当接する。なお、上フランジ10と仕切りフレーム30との間、及び下フランジ20と仕切りフレーム30との間には、第2の気密ワッシャー52がそれぞれ設けられていてもよい。第1の気密ワッシャー51と第2の気密ワッシャー52との材質は、例えばゴムを採用し、第1の気密ワッシャー51と第2の気密ワッシャー52とにより、沈積防止逆止弁100の気密効果を向上することができる。
【0032】
シーリング部材40のコーンプレート42の直径は、例えば上フランジ10の第1の開口12の内径より大きく、又は同じであることにより、第1の開口12を完全に密閉することができる。
【0033】
仕切りフレーム30は、例えば、上フランジ10と下フランジ20との間に螺着されている。例にして説明すると、ボルト70などの接続部材により、上フランジ10と仕切りフレーム30、下フランジ20と仕切りフレーム30をそれぞれ接続してもよい。上記の接続方式は、例示にすぎず、クリップ又は溶接などの他の接続方式により、上フランジ10と仕切りフレーム30、下フランジ20と仕切りフレーム30を接続してもよい。
【0034】
第1の気密ワッシャー51又はシーリング部材40に沈積物が持続的に沈積すると、気密効果が降下して、逆止弁の作動が悪化する。これに対し、本発明は、シーリング部材40の構造の設計を改良することにより、第1の開口12での低速ゾーン(及び回流ゾーン)の面積を減少することができ、ガス反応物やガスによって運ばれる固体粒子の第1の気密ワッシャー51への沈積を回避することができ、シーリング部材40で沈積物の発生を回避することもできる。このため長期間に使用することができる。
【0035】
本発明に係る沈積防止逆止弁によれば、シーリング部材がコーンプレートの設計を採用することにより、従来のフラットタイプの設計に比べて、逆止弁における低速ゾーン及び回流ゾーンの面積を減少することができ、ガス反応物やガスによって運ばれる固体粒子が、第1の気密ワッシャー及びシーリング部材に沈積することを防止することができる。このため、第1の気密ワッシャーへの沈積による密着度の降下を防止することができる。さらに、コーンプレートの表面にフッ素含有材料などのコーティングが設けられていることにより、表面の平滑度を向上することができ、摩擦を低減することができる。
【0036】
以上の記述は例示にすぎず、限定するものではない。本発明の精神及び範疇から逸脱しない、それに対して行ういかなる同等効果の修正又は変更も、添付の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
100 沈積防止逆止弁
10 上フランジ
10a 第1のリングパイプ
10b 接続板
10c 第2のリングパイプ
12 第1の開口
14 面取り環状面
20 下フランジ
20a 第1のリングパイプ
20b 接続板
20c 第2のリングパイプ
22 第2の開口
30 仕切りフレーム
31 環状中空フレーム
32 案内溝
33 クロスバー
40 シーリング部材
41 リングジョイントエリア
42 コーンプレート
44 ガイドロッド
51 第1の気密ワッシャー
52 第2の気密ワッシャー
Θ 中心角
α 面取り
60 カバー部材
70 ボルト
200 プロセスチャンバー
300 空気抽出装置
80 弾性部材
r、r1、r2 直径
β、δ なす角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10