(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167739
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】荷箱
(51)【国際特許分類】
B65D 90/62 20060101AFI20221027BHJP
B62D 33/04 20060101ALN20221027BHJP
B65D 88/12 20060101ALN20221027BHJP
B65D 90/66 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
B65D90/62 B
B62D33/04 Z
B65D88/12 C
B65D90/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124603
(22)【出願日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2021072418
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516169374
【氏名又は名称】太田 秀幸
(71)【出願人】
【識別番号】503041063
【氏名又は名称】沖本 成正
(71)【出願人】
【識別番号】000171665
【氏名又は名称】佐々木 洋
(71)【出願人】
【識別番号】521175104
【氏名又は名称】西山 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】沖本 成正
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋
(72)【発明者】
【氏名】西山 太郎
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170AA23
3E170HA04
3E170HA06
3E170HD01
3E170HD02
3E170HE01
3E170QA09
3E170RA03
3E170VA16
3E170WE01
3E170WE02
3E170WE03
3E170WE05
(57)【要約】
【課題】積載効率の高い荷箱を提供する。
【解決手段】本発明の荷箱10は、荷箱10の屋根部10Bの周囲を保持する天面フレーム38と、天面フレーム38を荷箱10の本体10Aに対して昇降するエアーシリンダ20と、荷箱10の側面の一部を構成するシャッタ28と、シャッタ28を開閉するシャッタ駆動装置34とを備える。エアーシリンダ20により天面フレーム38が上昇され、シャッタ駆動装置34によりシャッタ28が全開されるとき、荷箱10の床面14Bから天面フレーム38までの間の空間が全開される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷箱の屋根の周囲を保持するフレームと、
前記フレームを前記荷箱の本体に対して昇降する昇降装置と、
前記荷箱の側面の一部を構成する扉とを備え、
前記フレームが上昇され前記扉が全開されるとき、前記荷箱の床面から前記フレームまでの間の空間が全開される
ことを特徴とする荷箱。
【請求項2】
前記フレームが下降され前記扉が閉鎖されるとき、前記荷箱の床面から前記フレームまでの間の空間を閉鎖できることを特徴とする請求項1に記載の荷箱。
【請求項3】
前記扉にシャッタが含まれ、前記シャッタが前記床面の下に収容可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の荷箱。
【請求項4】
前記シャッタが前記床面の下を通って反対側の壁面内にまで収容可能であることを特徴とする請求項3に記載の荷箱。
【請求項5】
前記荷箱が輸送コンテナであることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の荷箱。
【請求項6】
前記荷箱がバンボディ型のトラックのバンを構成することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の荷箱。
【請求項7】
請求項6に記載の荷箱が据え付けされたことを特徴とするバンボディ型のトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の出し入れが行われる荷箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトラック輸送において貨物を荷箱に収容して輸送する場合、貨物は平ボディに載せられるコンテナやバンボディ型トラックのバンなどの荷箱内に収容される。バンボディ型のトラックやコンテナなどの荷箱では、多くの場合、貨物は荷箱後方妻面から出し入れされる。これに対してトラックの荷箱を左右半分ずつに分け、左右それぞれの屋根および側壁を一体的に上下に開閉できるようにしたウイングボディ型のトラックも知られている(特許文献1)。ウイングボディ型のトラックでは、荷箱側面から貨物の積み下ろしが可能となり荷役作業の効率が大幅に向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、貨物の積み下ろしにはフォークリフトが一般的に用いられるため、荷箱内では貨物をフォークリフトで持ち上げた状態で移動する必要がある。そのため荷箱に収容される貨物の高さは荷箱高さの凡そ70%以下に抑えられ、貨物の積載率は70%以下となり積載効率が悪い。
【0005】
本発明は、積載効率の高い荷箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の荷箱は、荷箱の屋根の周囲を保持するフレームと、フレームを荷箱の本体に対して昇降する昇降装置と、荷箱の側面の一部を構成する扉と、フレームが上昇され扉が全開されるとき、荷箱の床面からフレームまでの間の空間が全開されることを特徴としている。
【0007】
フレームが下降され扉が閉鎖されるとき、荷箱の床面からフレームまでの間の空間を閉鎖できる。扉には例えばシャッタが含まれ、シャッタは床面の下に収容可能である。シャッタは床面の下を通って反対側の壁面内にまで収容可能である。荷箱は例えば輸送コンテナである。荷箱は例えばバンボディ型のトラックのバンを構成する。
【0008】
本発明のバンボディ型のトラックは、上記荷箱が据え付けされたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、積載効率の高い荷箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の荷箱を後方斜め上からみた斜視図である。
【
図3】屋根部が荷箱本体に対して最大高さまで上昇された状態の斜視図である。
【
図4】屋根部が荷箱本体に対して最大高さまで上昇されるとともに、シャッタが完全に開かれ、可動補助支柱が取り外された状態の斜視図である。
【
図5】
図3の状態において屋根部を省略した図である。
【
図6】
図5において、シャッタが完全に開かれた状態を示す。
【
図7】シャッタ駆動装置の全体の構成を示す斜視図である。
【
図8】シャッタ駆動装置の原動部付近を拡大した斜視図である。
【
図9】シャッタとシャッタ駆動装置のスプロケットの噛み合い状態を示す斜視図である。
【
図10】天面フレームの四隅にX字型に筋交いを取り付けた平面図である。
【
図11】天面フレームの中央に前後方向に沿って補強部材を架け渡した平面図である。
【
図12】第2実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図13】第3実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図14】第4実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図15】第5実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図16】第6実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図17】第7実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態である荷箱を後方斜め上方から見た斜視図である。
図2は、
図1の分解斜視図である。
【0012】
本実施形態の荷箱10は、バンボディ型のトラックの荷箱であり、トラック荷台部分に一体的に設置される。図では、便宜的に荷箱10のみが描かれ、トラック本体の構成はテールランプ部12を除いて省略されている。
【0013】
荷箱10は略直方体形状を呈し、トラック荷台部分に固定される荷箱本体10Aと、荷箱本体10Aに対して昇降可能な屋根部10Bとから構成される。荷箱本体10Aは、トラック荷台上に固定される長方形のベースフレーム14と、ベースフレーム14の四隅に設けられる4本の支柱16と、4本の支柱16の上端部同士を連結し一体的に保持する上部フレーム18とを備える。
【0014】
ベースフレーム14には、その内側に横方向に架け渡される多数のビーム材14Aが設けられ、ビーム材14Aは床板14B(
図4参照)により覆われる。上部フレーム18は、荷箱10の一方の側面(図示例では左側側面)の上辺を除く3辺に沿って各支柱16に架け渡され、4本の支柱16の上端部を一体的に保持する。すなわち、左側側面の上方には、上部フレーム18は設けられていない。荷箱10の前後の側面(妻面)を構成する一対の支柱16において、中間よりもやや高い位置には、支持部材16Aが水平に架け渡される。それぞれの支持部材16Aにおいて支柱16の近くには、エアーシリンダ20が各々垂直に配置される。すなわち、本実施形態では荷箱10の4隅に対応して1本ずつエアーシリンダ20が設けられる。エアーシリンダ20の上端は、上部フレーム18よりも上方に突出可能であり、後述するように屋根部10Bの昇降に用いられる。
【0015】
荷箱10の前後の側面は、ベースフレーム14、左右2本の支柱16、上部フレーム18に取り付けられる壁面22によって覆われる。壁面22は、例えばコルゲートパネルなどからなる外壁22Aと平面パネルなどからなる内壁22Bとから構成され、外壁22Aは、フレーム14、18および支柱16の外側に、内壁22Bは内側に取り付けられる。なお、
図2では便宜上、内壁22Bがフレーム14、18および支柱16の外側に描かれている。
【0016】
荷箱10の右側側面は、ベースフレーム14、前後2本の支柱16、上部フレーム18に取り付けられる壁面24によって覆われる。壁面24は、例えばコルゲートパネルなどからなる外壁24Aと平面パネルなどからなる内壁24Bとから構成される。外壁24Aは、フレーム14、18および支柱16の外側に、内壁24Bは内側に取り付けられる。本実施形態では、右側側面は前後に2分割され、その略中央部には、補助支柱26が設けられる。これに伴い壁面24も前後に2分割され、補助支柱26の両側に各々配置される。なお、内壁22Bと同様に、内壁24Bも便宜上フレーム14、18および支柱16の外側に描かれている。
【0017】
荷箱10の左側側面(上部フレーム18が設けられていない壁面)は、シャッタ(扉)28により覆われる。本実施形態において、シャッタ28は前後2枚に分割されており、左側側面の略中央には、取り外し可能な可動補助支柱30が配置される。各シャッタ28は、支柱16および可動補助支柱30に設けられたガイド溝32に沿って昇降される。後述するように、シャッタ28は、ベースフレーム14内に設けられるシャッタ駆動装置(開閉装置)34により床面14Bの下面および外壁24Aと内壁24Bの間に沿って引き込み可能である。すなわち、シャッタ閉鎖時には、シャッタ28の先端(上辺)は上部フレーム18の上面高さ(後述する下降された天面フレーム38の下面高さ)まで上昇され左側側面を完全に覆う(
図1参照)。一方、シャッタ開放時には、シャッタ28は床面14B下および壁面24内に引き込まれ、シャッタ28の先端はベースフレーム14高さまで下降され、左側側面は開放される(
図4参照)。
【0018】
屋根部10Bは、屋根本体を構成する天面パネル36と、天面パネル36の周囲を四方から支える長方形の天面フレーム38と、天面フレーム38の4隅から下方に延出する4本のガイド支柱38Aとを備える。4本のガイド支柱38Aは、荷箱本体10Aの4本の支柱16の内側にそれぞれ摺動自在に係合し、エアーシリンダ20による屋根部10Bの昇降動作をガイドするとともに、屋根部10B上昇時に、荷箱本体10Aに対する屋根部10Bの位置を維持する。
【0019】
図3には、屋根部10Bが荷箱本体10Aに対して最大高さまで上昇された状態が示される。屋根部10Bがエアーシリンダ20により荷箱本体10Aから上昇される最大高さは、例えば80cm以下の任意の値に設定され得る。より具体的には約5~70cmの範囲、約10~70cm、あるいは約30~60cmの範囲において、貨物の出し入れに適切な任意の値に設定される。
図4には、屋根部10Bが荷箱本体10Aに対して最大高さまで上昇されるとともに、シャッタ28が完全に開かれ、可動補助支柱30が取り外された状態が示される。また、
図5には、
図3の状態において屋根部10Bを省略した図(ただし、右側側面は分解された状態)が示され、
図6には、シャッタ28が完全に開かれた
図5に対応する状態が示される。
【0020】
図6に示されるように、荷箱10の側面の高さは、荷箱10の床面の幅よりも長いので、シャッタ28を完全に床下に収容すると、シャッタ28の一部は、右側側面の外壁24Aと内壁24Bの間に収容される。そのため、右側側面を構成する支柱16および補助支柱26の側面にもシャッタ28をそれぞれガイドするガイド溝32が設けられる。なお、
図6において、外壁24A、内壁24Bは便宜的に分解された状態で、フレームの外側に示される。
【0021】
可動補助支柱30の下端はベースフレーム14に設けられた穴30A(
図4参照)に係合され、上端は天面フレーム38に設けられた突起または穴に係合されて固定される。すなわち、屋根部10Bが下降され、天面フレーム38が荷箱本体10Aの上部フレーム18に当接する状態(
図1の状態)において、可動補助支柱30は、天面フレーム38とベースフレーム14の間に挟まれた状態で固定される。
【0022】
次に、
図7~
図9を参照して本実施形態のシャッタ駆動装置34について説明する。
図7は、シャッタ駆動装置34の全体の構成を示す斜視図であり、
図8は、原動部付近を拡大した斜視図である。また、
図9はシャッタ28とシャッタ駆動装置34のスプロケット39の噛み合い状態を示す斜視図である。
【0023】
シャッタ駆動装置34は、シャッタ28の両側辺に沿って設けられた多数の角穴28Aに係合する一対のスプロケット39を回転させることでシャッタ28を駆動する。一対のスプロケット39の回転軸は荷箱10の前後方向に沿って配置される。スプロケット39は、その軸に設けられた歯車41Aと駆動シャフト40に設けられた歯車41Bを介して駆動シャフト40の両端に連結される。駆動シャフト40は荷箱10の前後方向に延在し、その所定の位置には、傘車42Aが設けられる。傘車42Aは、駆動シャフト40の軸に直交する軸周りに回転する傘車42Bと係合し、傘車42Bは歯車44A、44Bを介してモータ46に接続される。同機構を通してモータ46の回転力は、スプロケット39に伝達され、モータ46の正逆回転によりシャッタ28が開閉される。
【0024】
また、本実施形態のシャッタ駆動装置34は、モータ46などの電気系統の故障に備え、手動でシャッタ28の開閉を行うための手動駆動機構が設けられる。手動駆動機構は、駆動シャフト40の軸に直交する手動用シャフト48を備え、手動用シャフト48は、その先端にクランク50を取り付けて回転可能である。手動用シャフト48には歯車44Bに係合する歯車48Aが設けられ、クランク50を回転させることでスプロケット39が回転される。なお、各シャフトの軸や歯車の軸はベアリング52により軸支される。また、本実施形態の駆動シャフト40は、長手方向に適宜複数に分割され、ユニバーサルジョイント54により接続されている。
【0025】
次に、本実施形態の荷箱10における荷役作業について説明する。まず、屋根部10Bの天面フレーム38が荷箱本体10Aの上部フレーム18に当接し、シャッタ28が閉じられた
図1の状態にある荷箱10に対して、シャッタ駆動装置34によりシャッタ28が床下に収容され左側側面が全開される。その後、エアーシリンダ20により屋根部10Bが荷箱本体10Aから上昇されるとともに、可動補助支柱30が取り外され、
図4の状態とされる。同状態において、フォークリフトなどの機器を用いて、シャッタ28の床下への収容により開放された開口を通して貨物の積み入れまたは積み出しが行われる。貨物の積み入れまたは積み出しが終了すると、エアーシリンダ20により屋根部10Bが下降されるとともに、可動補助支柱30が取り付けられる。屋根部10Bの天面フレーム38が荷箱本体10Aの上部フレーム18に当接され、可動補助支柱30が固定されると、シャッタ駆動装置34によりシャッタ28が閉じられ、
図1の状態に戻される。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、荷箱の屋根部を荷箱本体に対して昇降可能とするとともに、屋根部が上昇された荷箱の側面を床面から天面にかけて全面的に開放可能としたことで、貨物の積み下ろしの際、貨物を天面に接触させることなく、荷箱本来の天面高さまで積み上げることができる。これにより、荷箱の積載効率を高めることができる。
【0027】
なお、
図10、
図11に示されるように、天面フレーム38は、補強用の強度部材を備えてもよい。例えば
図10の例では、矩形の天面フレーム38の四隅にX字型に筋交い56が取り付けられており、
図11の例では、天面フレーム38中央に前後方向に沿って補強部材58が架け渡されている。
【0028】
また、本実施形態では貨物の出し入れに用いられる側面を荷箱の長手方向の一方の側面としたが、妻面に本実施形態を適用することもできる。また、シャッタ駆動装置は、本実施形態に限定されるものではなく、シャッタの送りに利用できる従来周知の如何なる機構を用いてもよい。また本実施形態ではシャッタ駆動装置を各シャッタに設ける構成としたが、スプロケットの数を増やして複数のシャッタに対応可能とすることもできる。更に、本実施形態では、シャッタを側面に沿って2つに分割して適用したが、分割の数は3つ以上であってもよく、また、分割せずに単一のシャッタのみで構成してもよい。単独のシャッタを用いる場合、可動補助支柱や補助支柱は不要となる。
【0029】
次に、
図12を参照して第2実施形態の荷箱の構成について説明する。
図12は、第2実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。第1実施形態では、シャッタを扉として用いたが、第2実施形態の荷箱では、外側へ跳ね上げ可能な、跳ね上げ式の板部材(パネル)60を扉として用いる。なお、フレームや昇降装置の構成は、第1実施形態と同様であり、同様の構成に関しては同一参照符号を用い、その説明を省略する。
【0030】
板部材60は例えば天面フレーム38に軸支される。板部材60は、1枚の板で構成してもよいが、本実施形態では、板部材60は上下2枚(あるいは2枚以上)の折り畳み構造とされる。また、扉は第1実施形態と同様に一方の側面に設けることも可能であるが、本実施形態では、折り畳み式の板部材60の扉を、荷箱の両側面と、後部妻面に適用している。跳ね上げ式の扉を用いる場合、跳ね上げた扉が下がらないように係止する不図示の支持ユニット(係止部材)を設けてもよい。支持ユニットは、跳ね上げ式の扉の下降を防止するものであれば従来周知のいかなる構成でもよいが、例えば腕木や三角形のブラケットを用いてもよく、跳ね上げられ略水平にされた板部材の両測辺を隣接する支柱により支持する。支持ユニットがブラケットの場合、ブラケットは例えば板部材の外側面(扉が偶数の場合)や内側面(扉が奇数の場合)に沿って折り畳めるように板部材の両側辺に軸支されることが好ましい。
【0031】
図12に示されるように、跳ね上げ式の扉が上下2枚の上部板材60A、下部板材60Bからなる折り畳み式の扉の場合、上部板材60Aはその上辺が天面フレーム38に軸支され、下部板材60Bは、上部板材60Aと下部板材60Bの内側面同士が密接するように折り畳めるように上部板材60Aの下辺に軸支される。また、下部板材60Bの下辺の両端は両側の支柱16に沿ってガイドされる。跳ね上げ式の扉が上部板材60A、下部板材60Bからなるとき、支持ユニットは下部板材60Bの下端にあって、支柱16に近接した部位に設けられる。支持ユニットに直角三角形のブラケットを用いた場合、ブラケットの一辺は、これに垂直な辺が下部板材60Bの下端部に位置するように下部板材60Bの側辺に沿って回動自在に取り付けられる。ブラケットを使用しないときには、ブラケットは下部板材60Bの外側面に沿って折りたたまれている。扉が全開され、下部板材60Bと上部板材60Aの内側面が密接されると、下部板材60Bに取り付けられたブラケットが軸周りに回転されて下向きに延出される。回転軸に垂直なブラケットの辺には当接面が設けられており、この当接面が支柱16の上端近傍に設けられた保持部材に当接される。これにより折り畳まれた上部板材60Aと下部板材60Bが水平状態に保持される。
【0032】
図13は、第3実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。第3実施形態の荷箱は平ボディ型のトラックの荷台に着脱可能なコンテナ型の荷箱である。また、第3実施形態では両側面の扉を上部扉62と下部扉64に分割している。上部扉62は、第2実施形態と同様の折り畳み可能な跳ね上げ式扉(上部板材62A、下部板材62B)とされ、下部扉64はベースフレーム14に軸支されるアオリ板状の構成とされている。すなわち、下部扉64は、扉全開時にベースフレーム14から下方に吊り下げられる。なお、本実施形態では、後部妻面の扉は、第2実施形態と同様の構成としているが、両側面と同様に上部扉62と下部扉64に分割する構成としてもよい。
【0033】
荷箱をトラックの荷台から降ろす際、第3実施形態の荷箱では、各支柱16の下端から脚部66が地面にまで引き出され荷箱が支持される。脚部66は各支柱16内を軸方向に沿って昇降可能であり、荷箱が荷台に固定されている際には支柱16内に収容されている。脚部66の昇降は、油圧やギアを用いて行われ、収容時および荷箱を支持する際には、ストッパによりその位置が固定される。
【0034】
図14は、第4実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。第2実施形態では、荷箱の側面に跳ね上げ式の扉を用いたが、第4実施形態の荷箱では、ベースフレーム14の縁に沿って、横方向へ折り畳み可能な複数の折り戸を扉として用いる。
図14に示されるように、荷箱の側面には観音開きの折り戸68が用いられる。折り戸68は、各々支柱16に軸支される。本実施形態において、各折り戸68は2枚の板材68A、68Bから構成され、開放時には荷箱の外側へ折り曲げられる。また、後部妻面には、通常の観音開きの扉70が用いられる。
【0035】
図15は、第5実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。第5実施形態も第3実施形態と同様に、平ボディ型のトラックの荷台に着脱可能なコンテナ型の荷箱である。また、第5実施形態では両側面の扉は、第4実施形態と同様の構成の観音開きの折り戸72と、第3実施形態で採用されたアオリ板状の下部扉64とに上下に分割されて構成される。なお、後部妻面の扉は、第3実施形態と同様の構成としているが、両側面と同様にアオリ板状の下部扉64と併用してもよい。なお、脚部66の構成は第3実施形態と同様である。
【0036】
図16、
図17は第6、第7実施形態の荷箱をトラック後方斜め上方から見た斜視図である。第6、第7実施形態では、第3、第5実施形態の荷箱の屋根部の昇降装置として用いられたエアーシリンダ20に代えて可動補助支柱74を用いている。可動補助支柱74の上端は天面フレーム38の四隅近傍に軸支され、下端はそれぞれベースフレーム14の長手方向(前後方向)に沿って移動可能である。可動補助支柱74は、支柱16の長さよりも長く、可動補助支柱74が直立すると、天面フレーム38(屋根部)は支柱16から最大高さまで持ち上げられる。また、
図16、17に示されるように、各可動補助支柱74がベースフレーム14の長手方向に沿って傾けられると、天面フレーム38(屋根部)は下降され、支柱16や上部フレーム18によって支持される。可動補助支柱74の駆動は例えば図示しない駆動装置、例えば油圧装置や電動装置により行われる。
【0037】
以上のように、第2~第7実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
なお、第2~第7実施形態のように、扉に板部材を採用する場合、開閉装置(機構)には、ヒンジやガイドローラ、ガイドレールなどが含まれ得る。手動式であれば操作用の取っ手、電動式であればモータや適切な伝動機構も含まれ得る。扉の構成は、貨物の出し入れの際に、上昇された屋根部と床面との間が全面開放できる構成であればよい。また、第3、第5実施形態でのみ荷箱を取り外し可能とし、収納式の脚部で支持する構成を示したが、同構成は、他の実施形態に適用することもできる。
【0039】
第1実施形態では、屋根部を昇降させる昇降装置としてエアーシリンダを用いたが、昇降装置は任意であり、油圧式でもよいし、エアーバッグ、ボールネジ、リンク機構、チェーンやワイヤ動力、ジャッキ(流体作動式、機械式)やこれらの組み合わせを利用してもよく、各機構を電動で駆動する構成としてもよい。また、屋根部昇降時の状態が安定していれば、ガイド支柱を省くこともできる。また、各実施形態に用いられた各構成の組み合わせは、矛盾のない限り置き換え可能である。
【0040】
本実施形態では、荷箱としてバンボディ型のトラックのバンや、平ボディ型のトラックの荷台に載せられるコンテナとして説明したが、コンテナとして構成する場合には、船舶、航空機、鉄道などで輸送されるISO規格、JR規格など特定の規格に準拠する輸送用コンテナでもよく、規格外の任意のコンテナであってもよい。また、本実施形態の荷箱は、例えば大型の通い箱(通函箱)にも適用できる。また、本実施形態の荷箱を一定の場所に設置して倉庫として利用することもできる。
【符号の説明】
【0041】
10 荷箱
10A 荷箱本体
10B 屋根部
14B 床面
20 エアーシリンダ(昇降装置)
28 シャッタ(壁面、扉)
34 シャッタ駆動装置(開閉装置)
38 天面フレーム