IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イースト チャイナ ジャオトン ユニバーシティの特許一覧

特開2022-167740希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム
<>
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図1
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図2
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図3
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図4
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図5
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図6
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図7
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図8
  • 特開-希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167740
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C22B 59/00 20060101AFI20221027BHJP
   G05B 13/04 20060101ALI20221027BHJP
   C22B 3/26 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C22B59/00
G05B13/04
C22B3/26
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021124811
(22)【出願日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】202110440337.4
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521333678
【氏名又は名称】イースト チャイナ ジャオトン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】East China Jiaotong University
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ジィエンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ション,コン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,フイ
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ファンピィン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ロンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ルゥオジュン
【テーマコード(参考)】
4K001
5H004
【Fターム(参考)】
4K001AA39
4K001BA19
4K001DB26
5H004GA30
5H004GB02
5H004HA04
5H004HB04
5H004KC01
5H004KC27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】希土類抽出プロセスの生産効率と精度を向上させることができる希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するステップと、希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するステップと、状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するステップと、予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するステップと、最適化記述問題を解き、最適解を得るステップと、最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するステップと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するステップS1と、
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するステップS2と、
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するステップS3と、
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するステップS4と、
前記最適化記述問題を解き、最適解を得るステップS5と、
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するステップS6と、を含むことを特徴とする希土類抽出プロセスの予測制御方法。
【請求項2】
前記ステップS1は具体的には、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態として、希土類抽出初期状態モデルを構築するステップS11と、
モデルの簡略化条件を構築するステップS12と、
前記モデル簡略化条件に基づいて前記希土類抽出初期状態モデルを簡略化および統合して、希土類抽出状態行列を取得するステップS13と、
水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力行列を構築するステップS14と、
前記希土類抽出状態行列と前記希土類抽出出力行列によって希土類抽出出力空間モデルを構築するステップS15と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の希土類抽出プロセスの予測制御方法。
【請求項3】
前記ステップS2は具体的には、
線形連続時間の前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、離散時間の前記希土類抽出出力空間モデルを取得するステップS21と、
離散時間の希土類抽出出力空間モデルを処理して、状態空間増分モデルを取得するステップS22と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の希土類抽出プロセスの予測制御方法。
【請求項4】
希土類抽出初期状態モデルを構築する具体的な式は
であり、
あり、
項2に記載の希土類抽出プロセスの予測制御方法。
【請求項5】
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御する具体的な式は、
スの予測制御方法。
【請求項6】
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するための希土類抽出空間モデル構築モジュールと、
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するための状態空間増分モデル構築モジュールと、
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するための予測制御出力モデル構築モジュールと、
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するための最適化記述問題構築モジュールと、
前記最適化記述問題を解き、最適解を得るための解きモジュールと、
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するための制御モジュールと、を含むことを特徴とする希土類抽出プロセスの予測制御システム。
【請求項7】
前記希土類抽出空間モデル構築モジュールは具体的には、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態として、希土類抽出初期状態モデルを構築するための希土類抽出初期状態モデル構築ユニットと、
モデルの簡略化条件を構築するための簡略化条件構築ユニットと、
前記モデル簡略化条件に基づいて前記希土類抽出初期状態モデルを簡略化および統合して、希土類抽出状態行列を取得するための希土類抽出状態行列構築ユニットと、
水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力行列を構築するための希土類抽出出力行列構築ユニットと、
前記希土類抽出状態行列と前記希土類抽出出力行列によって希土類抽出出力空間モデルを構築するための希土類抽出出力空間モデル構築ユニットと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の希土類抽出プロセスの予測制御システム。
【請求項8】
前記状態空間増分モデル構築モジュールは具体的には、
線形連続時間の前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、離散時間の前記希土類抽出出力空間モデルを取得するための離散化処理ユニットと、
離散時間の希土類抽出出力空間モデルを処理して、状態空間増分モデルを取得するための増分化処理ユニットと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の希土類抽出プロセスの予測制御システム。
【請求項9】
希土類抽出初期状態モデルを構築する具体的な式は
であり、
体積保持量であり、
求項7に記載の希土類抽出プロセスの予測制御システム。
【請求項10】
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御する具体的な式は
スの予測制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類抽出の技術分野、特に希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
希土類元素は、ランタニド、スカンジウム、イットリウムなど17種の元素で構成され、共生鉱物の形態で存在する。二成分希土類元素精製は、主にカスケード抽出および分離プロセスを採用しており、多くの段階がある。
【0003】
希土類抽出は、抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力として、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として構成された3入力2出力のシステムである。希土類カスケード抽出プロセスでは、各段階に水相と有機相の2つの相が含まれる。その大きなヒステリシス、強い結合、多変数、非線形等の問題を考慮して、現在使用されている方法の多数は、データ駆動型モデリングとソフトセンシングモデリングである。ただし、実際の作業条件の干渉により、上記の方法を使用した結果には大きな誤差が生じる可能性がある。さらに、現在の希土類産業における生産自動化のレベルは比較的低く、「オフライン分析、手動調整、および経験制御」の状態のままであり、その結果、企業の生産効率が低く、資源消費が高く、製品品質が不安定である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、希土類抽出プロセスの生産効率を改善するための希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、希土類抽出プロセスの予測制御方法を提供し、前記方法は、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するステップS1と、
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するステップS2と、
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するステップS3と、
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するステップS4と、
前記最適化記述問題を解き、最適解を得るステップS5と、
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するステップS6と、を含む。
【0006】
任意選択で、前記ステップS1は具体的には、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態として、希土類抽出初期状態モデルを構築するステップS11と、
モデルの簡略化条件を構築するステップS12と、
前記モデル簡略化条件に基づいて前記希土類抽出初期状態モデルを簡略化および統合して、希土類抽出状態行列を取得するステップS13と、
水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力行列を構築するステップS14と、
前記希土類抽出状態行列と前記希土類抽出出力行列によって希土類抽出出力空間モデルを構築するステップS15と、を含む。
【0007】
任意選択で、前記ステップS2は具体的には、
線形連続時間の前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、離散時間の前記希土類抽出出力空間モデルを取得するステップS21と、
離散時間の希土類抽出出力空間モデルを処理して、状態空間増分モデルを取得するステップS22と、を含む。
【0008】
任意選択で、希土類抽出初期状態モデルを構築する具体的な式は
であり、
であり、
酸性溶液の流量値を表す。
【0009】
任意選択で、前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御する具体的な式は、
【0010】
本発明はまた、希土類抽出プロセスの予測制御システムを提供し、前記システムは、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するための希土類抽出空間モデル構築モジュールと、
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するための状態空間増分モデル構築モジュールと、
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するための予測制御出力モデル構築モジュールと、
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するための最適化記述問題構築モジュールと、
前記最適化記述問題を解き、最適解を得るための解きモジュールと、
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するための制御モジュールと、を含む。
【0011】
任意選択で、前記希土類抽出空間モデル構築モジュールは具体的には、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態として、希土類抽出初期状態モデルを構築するための希土類抽出初期状態モデル構築ユニットと、
モデルの簡略化条件を構築するための簡略化条件構築ユニットと、
前記モデル簡略化条件に基づいて前記希土類抽出初期状態モデルを簡略化および統合して、希土類抽出状態行列を取得するための希土類抽出状態行列構築ユニットと、
水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力行列を構築するための希土類抽出出力行列構築ユニットと、
前記希土類抽出状態行列と前記希土類抽出出力行列によって希土類抽出出力空間モデルを構築するための希土類抽出出力空間モデル構築ユニットと、を含む。
【0012】
任意選択で、前記状態空間増分モデル構築モジュールは具体的には、
線形連続時間の前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、離散時間の前記希土類抽出出力空間モデルを取得するための離散化処理ユニットと、
離散時間の希土類抽出出力空間モデルを処理して、状態空間増分モデルを取得するための増分化処理ユニットと、を含む。
【0013】
任意選択で、希土類抽出初期状態モデルを構築する具体的な式は
あり、
【0014】
任意選択で、前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御する具
(11)であり、
【発明の効果】
【0015】
本発明によって提供される特定の実施例によれば、本発明は、以下の技術的効果を開示する。
【0016】
本発明は、希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステムを開示して、方法は、希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するステップと、前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するステップと、前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するステップと、前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するステップと、前記最適化記述問題を解き、最適解を得るステップと、前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するステップと、を含む。制御の難易度が高いという問題を目指して、本発明では、モデル予測制御MPC法を使用して、状態空間増分モデルを処理し、MPCは、モデルに対する要件が低く、多変数オブジェクトに適しており、拘束能力を備えた強力な処理の利点があるため、希土類抽出プロセスの問題を適切に処理でき、希土類抽出プロセスの生産効率と精度を向上させるだけでなく、大量の資源消費と不安定な製品品質の問題を克服する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例または従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例で使用する必要のある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明の図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力なしに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0018】
図1】本発明の実施例1における希土類抽出プロセスのプロセスフローである。
図2】本発明の実施例1における状態空間モデルの予測制御の模式図である。
図3】本発明の実施例1における希土類抽出プロセスの予測制御方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施例2における希土類抽出プロセスの予測制御システムの構造図である。
図5】本発明の実施例3のステップの作用下での操作可能量MVのシミュレーション図である。
図6】本発明の実施例3のステップの作用下での被制御量MOのシミュレーション図である。
図7】本発明の実施例3における98%および96%の最終値での操作可能量MVシミュレーション図である。
図8】本発明の実施例3における98%の最終値での抽出しにくい希土類元素成分含有量Yのシミュレーション図である。
図9】本発明の実施例3における96%の最終値での抽出しやすい希土類元素成分の含有量Yのシミュレーション図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は、本発明の実施例における添付の図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0020】
本発明は、希土類抽出プロセスの生産効率を改善するための希土類抽出プロセスの予測制御方法及びシステムを提供することを目的とする。
【0021】
本発明の上記の目的、特徴および利点をより明白かつ理解可能にするために、本発明を、添付の図面および発明を実施するための形態を参照して、以下でさらに詳細に説明する。
【0022】
実施例1
図1は、本発明の実施例1における希土類抽出プロセスのプロセスフローである。図1に示すように、P1-P3はすべてポンプを示し、F1-F4はすべて流量計を示し、u-uはそれぞれ希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を示し、YとYはそれぞれ抽出しやすい元素の濃度と抽出しにくい元素の濃度を示し、YとYはそれぞれ、抽出しにくい元素成分の含有量と抽出しやすい元素成分の含有量を示す。
【0023】
図2図3に示すように、本発明は、希土類抽出プロセスの予測制御方法を開示する。前記方法は、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するステップS1と、
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するステップS2と、
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するステップS3と、
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するステップS4と、
前記最適化記述問題を解き、最適解を得るステップS5と、
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するステップS6と、を含むことを特徴とする。
【0024】
各ステップについては、以下で詳しく説明する。
【0025】
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するステップS1は、具体的には、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、希土類抽出初期状態モデルを構築し、具体的な式が、
(1)であり、
あり、
希土類抽出プロセスに追加された酸性溶液の流量値を表すステップS11と、
具体的には
3、2つの相の間の第i希土類元素の物質移動速度が0であると仮定すると、つまり、
5、入力された抽出液u、供給液u、酸性溶液uの流量が一定であると仮定する場
ことを含む、モデル簡略化条件を構築するステップS12と、
前記モデル簡略化条件に基づいて前記希土類抽出初期状態モデルを簡略化および統合して、希土類抽出状態行列を取得し、具体的な式が、
プS13と、
水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力行列を構築し、具体的な式が、
S14と、
前記希土類抽出状態行列と前記希土類抽出出力行列によって希土類抽出出力空間モデルを構築し、具体的な式が、
ステップS15と、を含む。
【0026】
MPC理論:MPCには、モデル要件が低く、多変数オブジェクトに適しているなどの利点があり、これは、継続的なオンライン限定最適化により、従来の最適制御を置き換える。つまり、MPCは、予測モデル、ローリング最適化、およびフィードバック補正で構成されている。状態空間モデルに基づく予測制御の原理は図2に示され、システムの将来の出力の予測、最適化問題の解き、解いた第1要素のシステムへの応用という3つの部分で大まかに構成される。
【0027】
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するステップS2は、具体的には、
線形連続時間の前記希土類抽出出力空間モデルを離散化して、離散時間の前記希土類抽出出力空間モデルを取得し、具体的な式が、
離散時間の希土類抽出出力空間モデルを処理して、状態空間増分モデルを取得し、具体的な式が、
であるステップS22と、を含む。
【0028】
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するステップS3は、具体的な式が、
【0029】
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するステップS4は、具体的な式が、
時刻の希土類抽出出力空間モデルの予測に基づくステップ制御出力を表す。
【0030】
ステップS5:前記最適化記述問題を解き、最適解
【0031】
ステップS5の具体的なステップは以下のとおりである:
そして、制約なし最適化記述問題は式(10)になり、
が最小値をとるときの解であることがわかり、したがって、目的関数の最適解は
【0032】
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するステップS6は、具体的な式が、
【0033】
実施例2
図4に示されるように、本発明はまた、希土類抽出プロセスの予測制御システムを提供し、前記システムは、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出空間モデルを構築するための希土類抽出空間モデル構築モジュール401と、
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するための状態空間増分モデル構築モジュール402と、
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するための予測制御出力モデル構築モジュール403と、
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するための最適化記述問題構築モジュール404と、
前記最適化記述問題を解き、最適解を得るための解きモジュール405と、
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するための制御モジュール406と、を含む。
【0034】
任意の実施形態として、本発明の前記希土類抽出空間モデル構築モジュール401は具体的には、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態として、希土類抽出初期状態モデルを構築するための希土類抽出初期状態モデル構築ユニットと、
モデルの簡略化条件を構築するための簡略化条件構築ユニットと、
前記モデル簡略化条件に基づいて前記希土類抽出初期状態モデルを簡略化および統合して、希土類抽出状態行列を取得するための希土類抽出状態行列構築ユニットと、
水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力行列を構築するための希土類抽出出力行列構築ユニットと、
前記希土類抽出状態行列と前記希土類抽出出力行列によって希土類抽出出力空間モデルを構築するための希土類抽出出力空間モデル構築ユニットと、を含む。
【0035】
任意の実施形態として、本発明の前記状態空間増分モデル構築モジュール402は具体的には、
線形連続時間の前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、離散時間の前記希土類抽出出力空間モデルを取得するための離散化処理ユニットと、
離散時間の希土類抽出出力空間モデルを処理して、状態空間増分モデルを取得するための増分化処理ユニットと、を含む。
【0036】
実施例3
MPC理論によれば、コントローラーの場合、設定する必要のあるパラメーターは、予測時間領域P、制御時間領域m、サンプリング時間Ts、および加重行列Qyであった。希土類抽出出力空間モデルの場合、知っておく必要があるのは、a、b、e、H、およびHであった。
【0037】
ステップ1、モデル構築段階。具体的な希土類分離工場について、既存の状況でのモデ
ある:
相の累積合計は、それぞれ14.6892と2.6334であった。したがって、ここでは、22段階のそれぞれの水相と有機相の残りの量が等しいと仮定し、それを代入するこ
【0038】
ステップ2は、シミュレーション検証段階である。コマンドラインにおいて、
でその実現可能性を検証し、パラメーターを調整して、より良い効果を取得し、ブロック図を作成して結果を取得し、具体的なステップは次のとおりである。
【0039】
2つの参照軌道がステップとして実行された後、予測時間領域が10、制御時間領域が
図5図6に示す。
【0040】
本発明は、2つの参照軌道ステップの最終値をそれぞれ98%および96%に設定し、操作可能量のMVシミュレーション図、最終値が98%のY1シミュレーション図、および最終値が96%のY2シミュレーション図を取得し、図7図9に示す。
【0041】
シミュレーション結果は以下を十分に説明する。第一に、MPCによる希土類抽出の実現可能性、および安定性、速度、精度、等の指標に関する要件を満たすことができ、第二に、MPCは、希土類抽出プロセスなどの多変数オブジェクトの処理に適しており、優れた追跡効果がある。
【0042】
本明細書の様々な実施例は、漸進的に説明されている。各実施例は、他の実施例との違いに焦点を合わせ、様々な実施例の同じおよび類似の部分については、互いに参照すればよい。実施例に開示されたシステムについては、実施例に開示された方法に対応するため、説明は比較的簡単であり、関連部分は、方法部分の説明を参照すればよい。
【0043】
本明細書では、特定の例を使用して、本発明の原理と実施形態を説明し、上記の実施例の説明は、本発明の方法とコアアイデアを理解するのを助けるために使用されるだけであり、同時に、当業者にとって、本発明のアイデアによれば、発明を実施するための形態および応用範囲に変更があり、要約すると、本明細書の内容は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力空間モデルを構築するステップS1と、
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するステップS2と、
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するステップS3と、
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するステップS4と、
前記最適化記述問題を解き、最適解を得るステップS5と、
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するステップS6と、を含み、
前記ステップS1は具体的には、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態として、希土類抽出初期状態モデルを構築するステップS11と、
モデルの簡略化条件を構築するステップS12と、
前記モデル簡略化条件に基づいて前記希土類抽出初期状態モデルを簡略化および統合して、希土類抽出状態行列を取得するステップS13と、
水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力行列を構築するステップS14と、
前記希土類抽出状態行列と前記希土類抽出出力行列によって希土類抽出出力空間モデルを構築するステップS15と、を含むことを特徴とする希土類抽出プロセスの予測制御方法。
【請求項2】
前記ステップS2は具体的には、
線形連続時間の前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、離散時間の前記希土類抽出出力空間モデルを取得するステップS21と、
離散時間の希土類抽出出力空間モデルを処理して、状態空間増分モデルを取得するステップS22と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の希土類抽出プロセスの予測制御方法。
【請求項3】
希土類抽出初期状態モデルを構築する具体的な式は
【数1】
であり、
ここで、
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
ここで、
【数12】
nは抽出セクションの段階数、mは洗浄セクションの段階数、
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
【数17】
を表すことを特徴とする請求項に記載の希土類抽出プロセスの予測制御方法。
【請求項4】
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御する具体的な式は、
【数18】
ここで、
【数19】
【数20】
【数21】
【数22】
を表すことを特徴とする請求項1に記載の希土類抽出プロセスの予測制御方法。
【請求項5】
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力空間モデルを構築するための希土類抽出出力空間モデル構築モジュールと、
前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、状態空間増分モデルを取得するための状態空間増分モデル構築モジュールと、
前記状態空間増分モデルに基づいて予測制御出力モデルを構築するための予測制御出力モデル構築モジュールと、
前記予測制御出力モデルに基づいて最適化記述問題を構築するための最適化記述問題構築モジュールと、
前記最適化記述問題を解き、最適解を得るための解きモジュールと、
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御するための制御モジュールと、を含み、
前記希土類抽出出力空間モデル構築モジュールは具体的には、
希土類抽出プロセスにおける抽出剤、供給液、酸性溶液の流量を入力とし、水相と有機相の濃度を状態として、希土類抽出初期状態モデルを構築するための希土類抽出初期状態モデル構築ユニットと、
モデルの簡略化条件を構築するための簡略化条件構築ユニットと、
前記モデル簡略化条件に基づいて前記希土類抽出初期状態モデルを簡略化および統合して、希土類抽出状態行列を取得するための希土類抽出状態行列構築ユニットと、
水相と有機相の濃度を状態とし、抽出しにくい希土類元素と抽出しやすい希土類元素成分の含有量を出力として、希土類抽出出力行列を構築するための希土類抽出出力行列構築ユニットと、
前記希土類抽出状態行列と前記希土類抽出出力行列によって希土類抽出出力空間モデルを構築するための希土類抽出出力空間モデル構築ユニットと、を含む
ことを特徴とする希土類抽出プロセスの予測制御システム。
【請求項6】
前記状態空間増分モデル構築モジュールは具体的には、
線形連続時間の前記希土類抽出出力空間モデルを離散化処理して、離散時間の前記希土類抽出出力空間モデルを取得するための離散化処理ユニットと、
離散時間の希土類抽出出力空間モデルを処理して、状態空間増分モデルを取得するための増分化処理ユニットと、を含むことを特徴とする請求項に記載の希土類抽出プロセスの予測制御システム。
【請求項7】
希土類抽出初期状態モデルを構築する具体的な式は
【数23】
であり、
ここで、
【数24】
【数25】
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【数30】
【数31】
ここで、
【数32】
nは抽出セクションの段階数、mは洗浄セクションの段階数、
【数33】
【数34】
はそれぞれ入力された供給液及び酸性溶液の流量、Tは、ラグ時定数、
【数35】
【数36】
【数37】
を表すことを特徴とする請求項に記載の希土類抽出プロセスの予測制御システム。
【請求項8】
前記最適解に基づいて制御量を決定し、希土類抽出プロセスを制御する具体的な式は
【数38】
ここで、
【数39】
【数40】
【数41】
【数42】
を表すことを特徴とする請求項に記載の希土類抽出プロセスの予測制御システム。