(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167752
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】現実空間に設置されたアート作品の提供方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20221027BHJP
G06Q 50/16 20120101ALI20221027BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221027BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
G06Q50/16
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150039
(22)【出願日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2021072928
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519316232
【氏名又は名称】株式会社HARTi
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(74)【代理人】
【識別番号】100177987
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 真緒
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB24
5L049CC27
5L055AA72
(57)【要約】 (修正有)
【課題】現実空間に設置されたアート作品の取引の促進を実現する方法を提供する。
【解決手段】展示空間事業者が管理する現実空間に設置されたアート作品の提供方法であって、サーバ端末、アーティスト端末、不動産企業端末及び複数のコレクター端末が、ネットワークを介して各々接続されるアート作品の提供システムのサーバ端末は、アーティスト端末からアート作品の取引情報を受信し、取引情報をアート作品と関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけられた取引情報としてブロックチェーン・ネットワークに記録する制御部を有する。取引情報は、少なくとも、アート作品の所有権者情報及び収益権者情報を含む。収益権者情報は、所有権者の変更に伴う収益分配を受ける収益権者に関する情報を含む。アート作品が設置される展示空間を管理する事業者に関する不動産企業情報を含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展示空間事業者が管理する現実空間に設置されたアート作品の提供方法であって、
サーバ端末の制御部は、
アーティスト端末からアート作品の取引情報を受信し、
前記取引情報を前記アート作品と関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけられた取引情報としてブロックチェーン・ネットワークに記録し、
前記取引情報は、少なくとも、前記アート作品の所有権者情報及び収益権者情報を含み、
前記収益権者情報は、前記所有権者の変更に伴う収益分配を受ける収益権者に関する情報を含み、前記アート作品が設置される展示空間を管理する事業者に関する不動産企業情報を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記所有権者情報は、少なくとも、前記アート作品の所有権を保有する一または複数のコレクターに関するコレクター情報を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記収益権者情報は、さらに、前記アート作品を創作したアーティストに関するアーティスト情報及び前記アート作品の取引を仲介するプラットフォーム事業者に関するプラットフォーム事業者情報を含む、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の提供方法であって、
前記収益権者情報に基づいて、前記不動産企業情報に含まれる前記アート作品が設置される展示空間を管理する事業者の端末に収益分配処理を実行する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記取引情報は、前記アート作品の取引を行う取引者情報を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現実空間に設置されたアート作品の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現実空間に存在するアート作品等の対象物を、コレクター間で、オンラインで取引するマーケットプレイスが普及している。
【0003】
例えば、特許文献1において、有体物である対象物をオンラインで取引し、取引された対象物をノンファンジブルトークン(以下、「NFT」)と紐づけ、ブロックチェーン・ネットワークで管理するスキームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、対象物の取引の安全性や契約の透明性を担保することを実現することができるが、トレーディングカードのように移転に伴う所有者の変更が明確に捉えられる有体物の取引に関するものであり、現実空間に設置されたアート作品のように、移転が不可能であり、利害関係者に、アート作品の展示空間の事業者が含まれ、権利関係が複雑な場合等への考慮がなされていない。
【0006】
そこで、本発明は、現実空間に設置されたアート作品の取引の促進を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における、展示空間事業者が管理する現実空間に設置されたアート作品の提供方法であって、サーバ端末の制御部は、アーティスト端末からアート作品の取引情報を受信し、前記取引情報を前記アート作品と関連づけられたノンファンジブルトークンと関連づけられた取引情報としてブロックチェーン・ネットワークに記録し、前記取引情報は、少なくとも、前記アート作品の所有権者情報及び収益権者情報を含み、前記収益権者情報は、前記所有権者の変更に伴う収益分配を受ける収益権者に関する情報を含み、前記アート作品が設置される展示空間を管理する事業者に関する不動産企業情報を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現実空間に設置されたアート作品の取引の促進を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る、アート作品の提供システムを示すブロック構成図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る、アート作品に係る収益権情報を説明する概念図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る、アート作品に係る収益分配を説明する概念図である。
【
図4】
図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
【
図5】
図1のアーティスト端末200を示す機能ブロック構成図である。
【
図6】サーバ100に格納されるアートデータの一例を示す図である。
【
図7】サーバ100に格納されるアーティストデータの一例を示す図である。
【
図8】サーバ100に格納される不動産データの一例を示す図である。
【
図9】サーバ100に格納される取引データの一例を示す図である。
【
図10】本発明の第一実施形態に係る、アート作品の提供方法を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第一実施形態に係る、アート作品の取引の記録を実施する方法を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第一実施形態の変形例に係る、アート作品の提供システムを示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る、アート作品の提供システムを示すブロック構成図である。本システム1は、アート作品の基となるアート情報を格納し、アート情報を、アート作品を展示する展示空間を管理し、提供する事業者(以下、「不動産企業」)と連携し、アート作品としてコレクターに提供する、プラットフォーム事業者に関連づけられるサーバ端末100、アート情報を提供するアーティスト端末200と、及び不動産企業端末300(不動産企業は、例えば、駅の壁画を設置するための壁を所有・管理する鉄道会社、オブジェを設置するオフィスビルを所有・管理する不動産会社等のアート作品を展示する展示空間を所有・管理し、提供する事業者が挙げられる)を含む。さらに、本システム1は、サーバ端末100を介して提供されるアート商品の所有権を購入する、コレクター端末400A、400Bを含み、アート作品に関連する権利情報、一次流通として、マーケットプレイスを運営するプラットフォーム事業者からコレクターが直接所有権を購入した場合の取引記録、N次流通として、コレクター間で所有権の取引が行われた場合の取引記録、及び/または、アート商品に関連する売上を基に得られる収益分配を記録するためのブロックチェーン・ネットワークが、サーバ端末100に接続されている。なお、説明の便宜上、各端末を単一または特定数のものとして記載しているが、各々、数は制限されず、複数のアーティスト端末、複数の不動産企業端末、複数のコレクター端末で構成されてもよい。
【0012】
サーバ端末100、アーティスト端末200、不動産企業端末300及びコレクター端末400A、400Bは、ネットワークNW1を介して各々接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0013】
サーバ端末100及び不動産企業端末300は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0014】
サーバ端末100は、上記のように、不動産企業端末300とコレクター端末400A等との間、または、コレクター端末400Aと400B等との間で実行されたアート作品を対象とする取引に関する取引情報を受信し、商品に識別子等により関連づけられたノンファンジブルトークン(Non-Fungible Token(以下、「NFT」))を、他の取引情報とともに、ブロックチェーン・ネットワークに記録することができる。NFTは、例えば、ブロックチェーン・ネットワークのプラットフォームであるEtheriumの「ERC721」という規格で発行されるトークンであって、ブロックチェーン・ネットワークに記録されるデータの単位であり、IDに基づいてアート作品のエディション(所有権)に対応付けられることができ、非代替性の性格を有する。NFTはブロックチェーン上にスマートコントラクトとともに記録され、追跡可能であるため、権利者、所有権者情報等の詳細及び履歴を含む取引情報を証明することができる。また、ここで、スマートコントラクトを用いることで、プラットフォーム事業者とコレクター間、または、複数のコレクター間の取引に関する契約を、第三者を介さずに自動生成し、承認及び実行をすることができる。また、スマートコントラクトにより、取引の当事者及び第三者が、サーバ端末を介することなく、取引情報を参照することが可能となり、サービス利便性が高まり、運用コストも軽減することができる。
【0015】
ここで、アート作品は、展示空間を所有・管理する事業者により提供される現実空間に設置される作品であって、アート作品の所有権は、複数のコレクター間で共有することが可能な性格を有する。所有権は複数のエディションとして出品(例えば、出品数100)することができ、各々のエディションはNFTIDと対応づけられる。コレクターが購入した所有権は、他のコレクターにオークション等の手法により転売可能であり、コレクターがアート作品の所有権を取得する度に、アート作品に併設されるデジタルサイネージやアート作品に関連するウェブページ上にコレクターの名前を表示させることもできる。
【0016】
図2に示すように、アーティストが創作するアート情報に係る商品(アート作品)について、複数の事業者及びコレクター(エディション/所有権購入者)に関連して権利情報(収益権に関する情報)が予め設定されている。例えば、アート作品の所有権が、一次流通マーケットとして、アーティストからプラットフォーム事業者を介してコレクターに販売された場合の売上に基づく収益権と、N次流通マーケットとして、一次流通マーケットにおいてアート作品の所有権を購入したコレクターから他のコレクターへとその所有権が販売された場合の売上に基づく収益権とを含む。ここで、収益権は、一次流通マーケットにおけるアート作品の所有権の売買については、アーティスト、プラットフォーム事業者及び不動産企業との間で収益を分配し、N次流通マーケットにおいては、所有権を譲渡したコレクターに収益を分配しつつ、残りの収益を、アーティスト、プラットフォーム事業者及び不動産企業に分配することができる。これにより、アート作品の所有権の流通を促し、各マーケットで所有権が流通される度にアーティストに限らず、不動産企業等の当事者に収益が還元される仕組みを提供することができる。そして、アート作品は固有のデータとしてNFTに関連づけられて管理され、上記権利情報についても、NFTとしてブロックチェーン・ネットワークに予め記録しておくこともできるし、取引が当事者間で生じた場合に記録することもできる。
【0017】
また、
図3に示すように、アート作品毎にアート作品IDが関連づけられ、一次流通においては、作品ID毎に、アート作品の単価、所有権に対応するエディションの出品数、販売数に基づいた、単価×出品数×(販売数/出品数)×ロイヤリティ収入(例えば、プラットフォーム事業者の収益分配率は20%)という計算式に基づいた収益が算出される。また、二次流通においては、作品ID毎に、オークションの場合には落札額(直接取引の場合は販売額)とロイヤリティ収入(例えば、プラットフォーム事業者の収益分配率は6%)に基づいた収益が算出される。同様に、アーティスト、不動産企業、コレクターへの収益分配についても計算処理がなされる。
【0018】
アーティスト端末200及びコレクター端末400A、400Bは、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0019】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100、アーティスト端末200、不動産企業端末300、及びコレクター端末400を備え、各端末のコレクターが各々の端末を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、各コレクターが直接操作を行う機能を備えても良い。
【0020】
図4は、
図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0021】
通信部110は、ネットワークNWを介してアーティスト端末200、不動産企業端末300と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0022】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、アートに関連する各種データを格納する、アートデータ格納部121、アーティストに関連する各種データを格納する、アーティストデータ格納部122、不動産企業に関連する各種データを格納する、不動産企業データ格納部123、及び取引に関連する各種データを格納する取引データ格納部124を有する。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0023】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、各端末からの情報を受け付ける情報受付部131と、アートに関連する各種データを参照し、処理する、アート情報処理部132と、アーティストに関連する各種データを参照し、処理する、アーティスト情報処理部133と、不動産企業に関連する各種データを参照し、処理する、不動産情報処理部134と、アート商品の所有権の取引を管理する、取引情報処理部135とを有する。この情報受付部131、アート情報処理部132、アーティスト情報処理部133、不動産企業情報処理部134及び取引情報処理部135は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0024】
情報受付部131は、サーバ端末100が提供し、アーティスト端末200、不動産企業端末300から通信部110を介して情報を受付ける。例えば、アーティスト端末200からは、アートに関する情報(例えば、後述するアートデータ1000等)、不動産企業端末300からは、不動産企業が提供する展示空間に関する情報(例えば、展示空間に関する情報を受け付ける不動産情報要求等)を各々受信する。
【0025】
アート情報処理部132は、アーティスト端末200から受信したアートに関連する各種データ(例えば、後述するアートデータ1000等)を参照し、所定の処理を行う。
【0026】
アーティスト情報処理部133は、アーティスト端末200から受信したアーティストに関連する各種データ(例えば、後述するアーティストデータ2000)を参照し、所定の処理を行う。
【0027】
不動産企業情報処理部134は、不動産企業に関連する情報(例えば、後述する不動産企業データ3000)を参照し、所定の処理を行う。
【0028】
また、制御部130は、図示しない、画面生成部を有することもでき、求めに応じて、アーティスト端末200、不動産企業端末300及びコレクター端末各々のユーザーインターフェースを介して表示される画面情報を生成する。例えば、記憶部120に格納された(図示しない)画像及びテキストデータを素材として、所定のレイアウト規則に基づいて、各種画像及びテキストをコレクターインターフェースの所定の領域に配置することで、コレクターインターフェースを生成する。画像生成部に関連する処理は、GPU(Graphics Processing Unit)によって実行することもできる。
【0029】
なお、図示しないが、不動産企業端末300についても、サーバ端末100と基本構成は同等であり、記憶部に格納される各種データ、また、制御部によって処理される内容は、不動産企業の属性や、コレクター端末400に提供するサービス及びコンテンツの内容によって異なるが、上記不動産企業データ3000に含まれるデータ(例えば、作品情報等)の全部または一部を、不動産企業端末300の記憶部に格納し、制御部において参照し、処理を行うことができる。
【0030】
図5は、
図1のアーティスト端末200を示す機能ブロック構成図である。アーティスト端末200は、通信部410と、表示操作部420と、記憶部430と、制御部440とを備える。
【0031】
通信部410は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0032】
表示操作部420は、アーティストが指示を入力し、制御部440からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザーインターフェースであり、不動産企業端末300がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、アーティスト端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部420は、記憶部430に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるアーティスト端末200により実行される。
【0033】
記憶部430は、各種制御処理や制御部440内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部430は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0034】
制御部440は、記憶部430に記憶されているプログラムを実行することにより、アーティスト端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0035】
なお、コレクター端末400についても、アーティスト端末200と基本構成は同等であり、目的や用途に応じて適宜改変したものを用いることができ、詳細な説明は省略する。
【0036】
図6は、サーバ100に格納されるアートデータの一例を示す図である。
【0037】
図6に示すアートデータ1000は、アーティストが提供するアートに関連する各種データを格納する。
図6において、説明の便宜上、一アート(アートID「10001」で識別されるアート)の例を示すが、複数のアートの情報を格納することができる。アートに関連する各種データとして、例えば、アーティストに関するアーティスト情報(アーティストの氏名または名称、住所または所在地、アーティストが所属する企業・グループ、アーティストのプロフィール情報等)、アートに関するアート情報(アートの画像データ、アートの説明情報、価格情報、アートの展示を希望する不動産の立地及び不動産企業の業種/提供商品・サービス等)、展示空間にアートが適用されたアート作品に関する作品情報(展示空間提供不動産企業名、アート作品の説明情報、アート作品の画像データ、権利者情報(所有権者及び/または収益権者情報)、価格情報、エディション毎にNFTと関連づけるためのID等)を含むことができる。
【0038】
図7は、サーバ100に格納されるアーティストデータの一例を示す図である。
【0039】
アーティストデータ2000は、アーティストに関連する各種データを格納する。
図7において、説明の便宜上、一アーティスト(アーティストID「20001」で識別されるアーティスト)の例を示すが、複数のアーティストに関連する情報を格納することができる。アーティストに関連する各種データとして、例えば、アーティストの基本情報(アーティストの氏名または名称、住所または所在地、アーティストが所属する企業・グループ、アーティストのプロフィール情報等)、アートに関するアート情報(アートの画像データ、アートの説明情報、価格情報等)を含むことができる。
【0040】
図8は、サーバ100に格納される不動産企業データの一例を示す図である。
【0041】
不動産企業データ3000は、不動産企業に関連する各種データを格納する。
図8において、説明の便宜上、一不動産企業(不動産企業ID「30001」で識別される不動産企業)の例を示すが、複数の不動産企業に関連する情報を格納することができる。不動産企業に関連する各種データとして、例えば、不動産企業の基本情報(不動産企業の組織名、住所または所在地、不動産企業のプロフィール情報(企業の業種、提供商品/サービス)、展示を希望するアーティスト名/アートのジャンル/種類/サイズ等)、展示空間の説明情報(画像データ、面積、設備等)、展示空間にアート情報を適用し、提供するアート作品に関する作品情報(展示空間提供不動産企業名、アート作品の説明情報、アート作品の画像データ、権利者情報(所有権者及び/または収益権者情報)、価格情報、エディション毎にNFTと関連づけるためのID等)を含むことができる。
【0042】
図9は、サーバ100に格納される取引データの一例を示す図である。
【0043】
取引データ4000は、デジタル情報に関する商品の取引に関連する各種データを格納する。
図9において、説明の便宜上、一取引(取引ID「40001」で識別される取引)の例を示すが、複数の取引に関連する情報を格納することができる。取引に関連する各種データとして、例えば、作品情報(展示空間提供不動産企業名、アート作品の説明情報、アート作品の画像データ、価格情報、エディション毎にNFTと関連づけるためのID等)、権利者情報(作品に係るエディション(所有権)の所有者情報、アート作品に係る収益権の収益権者及び収益分配率等)、取引者情報(作品の取引当事者(作品の譲渡人、譲受人)に関する情報)、取引日時(取引を実行した日時等)、取引価格(取引した商品の販売価格等)を含むことができる。ここで、上述の通り、作品情報、権利者情報等の情報をNFTに紐づけられる情報として管理することもできる。
【0044】
<処理の流れ>
図10を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行するアート作品の提供方法の処理の流れについて説明する。
図10は、本発明の第一実施形態に係る、アート作品の提供方法を示すフローチャートの一例である。
【0045】
まず、ステップS101の処理として、本システム1を利用するために、アーティストは、各端末のウェブブラウザまたはアプリケーション等を利用してサーバ端末100にアクセスし、初めてサービスを利用する場合は、前述のアーティストの基本情報等を入力することでアーティスト登録を行う。ここで、アーティストは、既存のサービス若しくはSNSサービス(Facebook(登録商標)等)のユーザーアカウントと連携することでアーティスト登録を代用することもできる。サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、アーティスト端末200から、アーティスト登録に必要な情報を受信する。サーバ端末100の制御部130のアーティスト情報処理部133は、受信した情報を、記憶部120のアーティストデータ格納部122に、アーティストデータ2000として格納する。なお、アーティストが既にアーティスト登録済であって、コレクターカウントを取得済の場合は、例えばIDとパスワードを入力する等の所定の認証を受けてログインすることで、サービスが利用可能となる。この認証後、ウェブサイト、アプリケーション等を介して所定のユーザーインターフェースが提供され、次ステップへ進む。
【0046】
続いて、ステップS102の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、アーティスト端末200から、アート情報を受信する。アート情報として、アーティストは、創作したアート(例えば、アート作品としての展示空間に適用されるアート)の説明情報(アーティスト名、タイトル、詳細説明等)及び/または画像データを、アート端末200を介してサーバ端末100に送信する。ここで、画像データは、アーティストが、任意の開発用ツールを利用してアート作品向けに入力したアート情報を格納したデータとしてもよいし、現実空間において制作したアートを撮像し、スキャンしたデータとしてもよい。また、画像データは、サーバ端末100を運営するプラットフォーム事業者が指定したフォーマット(ファイル形式、サイズ)とすることができる。また、その他アート情報として、価格情報等を含むことができる。サーバ端末100の制御部130のアート情報処理部132は、受信したアート情報を、記憶部120のアートデータ格納部121に、アートデータ1000として格納する。アートデータは、アートIDとして管理され、後述するように、展示空間において作品として適用され得る。
【0047】
次に、ステップS103の処理として、サーバ端末100の情報受付部131は、不動産企業端末300から、不動産情報の登録要求を受信する。本処理の前段として、例えば、サーバ端末100は、アーティスト端末200から受信し、アートデータ1000として格納されたアート情報及びアーティストデータ2000として格納されたアーティスト情報に基づき、審査を行い、審査を通過した場合、不動産企業端末300のユーザーインターフェース画面に、アート情報一覧を表示させるか、特定のアートについて不動産企業が提供する展示空間に適用することを提案する提案資料を表示させる。アート情報の一覧として、各々のアートに関する説明情報、画像データ、アーティストがアート作品の展示を希望する不動産の立地及び不動産企業の業種/提供商品・サービス等を表示させ、これに付随して、アーティスト情報、価格情報等を表示させることができる。ここで、不動産事業端末300のユーザーインターフェースに表示されるアート情報一覧について、不動産業者は、アーティスト別、アートの価格別、アートの展示を希望する不動産の立地及び不動産企業の業種/提供商品・サービス等の希望条件別に、アート作品を絞り込み、または、並び替えて表示することで、展示を希望するアート作品を容易に特定し、決定することができる。また、ここで、不動産企業は、例えば、アートを作品として駅のコンコース等に展示する場合、展示空間を所有・提供する鉄道事業者であったり、オフィスビルのロビーに作品を展示する場合、オフィスビルを所有・提供する不動産事業者であったりする。また、ここで、展示空間として、不動産企業が管理する不動産において一または複数台のデジタルサイネージを設置し、デジタルアート作品をデジタルサイネージに表示させることもできる。表示されるデジタルアート作品としては、静止画像及び動画像のいずれでもよく、一台のデジタルサイネージにおいて複数のデジタルアート作品の各々を切り替えて表示することができる。また、プラットフォーム事業者は、アートについて、適切な展示空間を提供する不動産企業を選定し、特定の不動産企業にアート情報を送信し、不動産企業と調整のうえ、アート作品を検討することもできる。具体的には、サーバ端末100は、アーティスト端末200から受け付けたアート情報及び不動産企業端末300から受け付けた不動産情報に基づいて、アート作品を展示する展示空間を決定することができる。例えば、サーバ端末100のアート情報処理部132は、記憶部120のアートデータ格納部121に格納されたアート情報及び不動産データ格納部123に格納された不動産情報を参照し、アーティストがアート作品の展示を希望する不動産の立地、期間及び不動産企業の業種/提供商品・サービス等の情報と、不動産企業が展示を希望するアーティスト名/アートのジャンル/種類/サイズ/期間等の情報とを比較し、一致するアート作品及び展示空間を決定することができる。例えば、アーティストが、コンテンポラリーアートの作品を都心の一等地に所在するオフィスビルに展示することでインスタレーションとして作品の付加価値を向上させることを希望し、都心の一等地に所在するオフィスビルを保有する不動産業者が、コンテンポラリーアートを展示することでオフィスビルや不動産業者のブランディングの向上を図りたい場合、アート情報及び不動産情報の各々に含まれる希望条件に基づいてマッチングを行うことができる。また、ここで、展示空間がデジタルサイネージを含む場合には、不動産情報として、デジタルサイネージである旨、及びデジタルサイネージの台数、デジタルサイネージでアート作品を表示可能な時間(尺)、他のアート作品の表示が決定されている場合にはそのアート作品情報を含むことができ、アーティストまたはプラットフォーム事業者は、当該不動産情報に基づいて、デジタルサイネージに表示することが適切なアート作品を決定することができる。
【0048】
次に、ステップS104の処理として、サーバ端末100の制御部130のアート情報処理部132は、受け付けたアート情報に関連して作品情報を生成または更新する。本処理の前段として、サーバ端末100は、不動産企業端末300から受け付けた展示空間の情報等の不動産情報に基づき、アートを展示する展示空間を含めたアート作品に関する作品情報を生成し、アートデータ1000として、記憶部120のアートデータ格納部121に格納する。また、サーバ端末100は、作品情報を、不動産データ3000として、不動産データ格納部123に格納する。また、ここで、アーティストの報酬として、不動産企業による、当該アーティストのアートを適用した商品の売上に応じた金額を設定することも可能である。商品情報として、例えば、アートが適用される商品に関する商品情報(提供不動産企業名、商品の画像データ、NFT ID等)を生成または更新することができる。アート情報処理部132は、生成または更新した商品情報を、アートデータ格納部121にアートデータ1000として格納する。
【0049】
アートデータ1000として格納されたアート作品について、プラットフォーム事業者が提供するマーケットプレイスを介して、アート作品のエディション(所有権)について、所定数の出品がなされ、コレクターがコレクター端末400を利用して、エディション(所有権)を購入する(一次流通)。エディション(所有権)を購入したコレクターは、他のコレクターに対し、オークション形式または直接売買によって、プラットフォーム事業者が提供する同一のマーケットプレイスもしくは別のマーケットプレイスを介して、他のコレクターに購入したエディション(所有権)を販売し、他のコレクターは、エディション(所有権)を購入する(二次(N次流通))。
【0050】
図11は、本発明の第一実施形態に係る、アート作品の取引の記録を実施する方法を示すフローチャートである。
【0051】
まず、ステップS201の処理として、一次流通または二次(N次)流通において実施された取引について、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、取引を実施したコレクター端末400等から取引情報を受信する。取引情報として、例えば、取引されたアート作品のエディション(所有権)に係る商品情報(NFTと関連づけるためのID等)、取引者情報(商品の取引当事者(商品の譲渡人、譲受人)に関する情報)、取引日時(取引を実行した日時等)、取引価格(取引した商品の販売価格等)を含むことができる。
【0052】
次に、ステップS202の処理として、サーバ端末100の制御部130の取引情報処理受付部135は、受信した取引情報に基づいて、取引情報を格納、または、更新する処理を行う。例えば、取引情報処理部135は、記憶部120の取引データ格納部124を参照し、受信した取引情報に取引IDを紐づけ、取引情報に基づいて、作品情報(作品の画像データ、作品の説明情報、価格情報等)、権利者情報(作品に係るエディション(所有権)の所有者情報、アート作品に係る収益権の収益権者及び収益分配率等)、取引者情報(商品の取引当事者(作品の譲渡人、譲受人)に関する情報)、取引日時(取引を実行した日時等)、取引価格(取引した作品の販売価格等)を含む取引データを生成、または更新する。ここで、権利者情報等について予め格納された作品情報等の情報を参照して生成することもできる。取引情報処理部135は、生成または更新した取引情報を取引データ格納部124に格納する。
【0053】
続いて、ステップS203の処理として、サーバ端末100の制御部130の取引情報処理部135は、前ステップで生成または更新した取引情報をブロックチェーン・ネットワーク上に記録する。ここで、取引情報処理部135は、ブロックチェーン・ネットワークにおいて実行されるスマートコントラクトを呼び出し、取引情報を記録することができる。なお、取引情報には、作品(エディション)と関連づけられるNFTIDが含まれており、NFTIDによって識別されるNFTを作品の取引当事者間で移転させる手続を、スマートコントラクトを介してブロックチェーン・ネットワークで実行することができる。取引価格について、N次流通においては、オークションなどの方式により購入者が自らその価値に対して価格を設定する場合も考えられる。また、スマートコントラクトに、権利者情報が記録されるので、コレクターは、NFTについて権利者情報を参照することができ、真正な権利者を知ることができる。これにより安全性の高い取引が担保される。なお、権利者情報の詳細として、所有権者及び収益権者の双方をスマートコントラクトに記録することもできる。
【0054】
続いて、ステップS204の処理として、サーバ端末100の制御部130の取引情報処理部135は、収益分配処理を実行する。例えば、
図3において説明したように、取引情報処理部135は、記録部120の取引データ格納部124に格納される取引データ4000に含まれる権利者情報を参照し、取引された特定の商品に対し、その作品が一次流通であるか、もしくは、N次流通であるか、に応じて、アート作品(エディション)のオ収益権者の分配料率を決定し、一次流通の場合は、コレクターに譲渡されたアート作品(エディション)の販売価格単価、出品数、販売数、及び収益率(ロイヤリティ)に基づいて、もしくは、N次流通の場合は、販売価格及び収益率(ロイヤリティ)に基づいて、収益分配額を決定し、支払を実行する処理を行う。また、本例において、収益の分配をNFTと交換可能な暗号資産(例えば、Etheriumプラットフォームであれば、「Ether」等)を介して実行することもできる。
【0055】
以上のように、通常は移転することができない、展示空間に設置されたアート作品のエディション(所有権)をNFTに関連づけて管理し、NFTとしてコレクターに対し、もしくは、コレクター間で売買を図ることで、現実空間に設置されたアート作品の取引の促進を実現することができる。また、不動産企業が収益権者として含まれることで、アーティストに限らず、展示空間を提供する不動産企業も収益を享受することができる。また、NFTの売買が活性化することで、アート作品の投資価値の向上を図ることができ、アーティストに収益を還元することができる。また、アーティストの作品をエディション(所有権)として、コレクターと取引を行うことで、コレクターは、金銭を通じて、応援したいアーティストに対して直接収益を提供することができる。また、コレクターは、展示空間との関連で、例えば、一等地に所在するアート作品を、所有権を介して所有することができ、特に、アート作品に併設されたデジタルサイネージやアート作品に関連するウェブサイトに自己の氏名を表示させることで、自分がアート作品を所有することを広めることもできる。その他、コレクター間のコミュニティを提供し、コレクター向けのイベントを開催したり、公共の展示空間に適用されたアート作品、すなわち、パブリックアートについて、コレクターが所有権を有することで、より有機的なものとして世間に受け入れられ、投資価値が高まり地域活性化にもつながり得る。
【0056】
また、上記実施形態の変形例として、不動産企業は、飲食店舗に代替し得る。例えば、
図12のアート作品の提供システムを示すブロック構成図に示すように、変形例としてのシステム2は、アート作品の基となるアート情報を格納し、アート情報を、アート作品を展示する展示空間を提供し、飲食業を営む事業者(以下、「飲食店舗」)と連携し、アート作品としてコレクターに提供する、プラットフォーム事業者に関連づけられるサーバ端末100、アート情報を提供するアーティスト端末200と、及び飲食店端末500(印y速店舗として、例えば、カフェまたはレストランであって、アート作品を展示する、若しくは、椅子やテーブル等の備品として設置する店舗であったり、アート作品を展示する、若しくは、カーラッピングとして使用する、移動式のフードトラックを運営する店舗であったりする。その他のシステム2の構成は、上記システム1の構成と実質的に同一とすることができるため、説明を省略する。
【0057】
本変形例においては、上記実施形態の不動産情報に代えて飲食店情報を記憶部120に格納し、飲食店情報として、飲食店に展示等したアート作品を購入したコレクターに対して付与するポイントに関するポイント情報を含むことができる。これにより、アート作品を購入したコレクターは、アート作品を所有することができると共に、付与されたポイントを消費することで、アート作品を展示する飲食店において飲食に係る料金の全部または一部の支払いに替えることができる。また、飲食店情報として、飲食店舗において飲食料金を支払った顧客に対して付与するポイントに関するポイント情報を含むことができる。これにより、飲食店舗を利用したコレクターは、飲食料金と引き換えに付与されたポイントを、当該店舗に展示されたアート作品の購入のために消費することができる。これにより、アート作品の取引または飲食店の利用を通じた、飲食店の利用機会拡大及びアート作品の取引の活性化といった相乗効果を実現することができる。
【0058】
また、本変形例において、アート作品をフードトラックのカーラッピングとして適用する場合、または、フードトラックにデジタルサイネージ等を介して展示する場合、上記記憶部120に格納される飲食店情報に、移動するフードトラックの現在位置情報または移動を予定する位置に関する情報を含むことができる。これらの位置情報を、コレクター端末400または不特定のユーザ端末に送信することで、これからアート作品を購入しようとするコレクター(フードトラックの利用者を含む)またはアート作品を購入したコレクターに対し、アート作品の購入機会を増やすことができたり、自身が購入したアート作品がフードトラックとともに移動している様子をトラッキングすることができる。
【0059】
以上、発明に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 システム 100 サーバ端末、110 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 アーティスト端末、300 不動産企業端末、400 コレクター端末、NW1 ネットワーク