(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016777
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】電動回転翼航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 27/06 20060101AFI20220118BHJP
B64C 27/12 20060101ALI20220118BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220118BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20220118BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20220118BHJP
F16H 1/12 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B64C27/06
B64C27/12
B64D27/24
H02P5/46 H
F16H1/06
F16H1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119712
(22)【出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】520031346
【氏名又は名称】eVTOL Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】御法川 学
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】三浦 義広
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 静
【テーマコード(参考)】
3J009
5H572
【Fターム(参考)】
3J009EA11
3J009EA15
3J009EA21
3J009EA23
3J009EA37
3J009FA30
5H572AA20
5H572BB03
5H572BB07
5H572CC04
5H572CC08
5H572EE03
5H572GG02
5H572HB07
5H572JJ03
5H572JJ17
5H572LL14
5H572LL22
5H572MM11
5H572PP01
(57)【要約】
【課題】内燃機関に相当する部分を、航空機のバランスを考慮し小型化された伝動機構に置き換えた電動回転翼航空機を提供すること。
【解決手段】電動回転翼航空機であって、第1の出力軸と、前記第1の出力軸に設けられ、前記第1の出力軸の軸中心に対して回転可能なローターシステムと、前記第1の出力軸に動力を伝達する動力軸と、前記動力軸に接続され、前記ローターシステムを駆動する第1のモーターと、前記動力軸に接続され、前記ローターシステムを駆動する第2のモーターと、前記第1のモーターに接続され、前記第1のモーターの回転数を第1の回転数に保つように、前記第1のモーターを制御する第1のモーター制御装置と、前記第2のモーター及び前記第1のモーター制御装置に接続され、前記第2のモーターの回転数を前記第1の回転数に保つように、前記第2のモーターを制御する第2のモーター制御装置と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出力軸と、
前記第1の出力軸に設けられ、前記第1の出力軸の軸中心に対して回転可能なローターシステムと、
前記第1の出力軸に動力を伝達する動力軸と、
前記動力軸に接続され、前記ローターシステムを駆動する第1のモーターと、
前記動力軸に接続され、前記ローターシステムを駆動する第2のモーターと、
前記第1のモーターに接続され、前記第1のモーターの回転数を第1の回転数に保つように、前記第1のモーターを制御する第1のモーター制御装置と、
前記第2のモーター及び前記第1のモーター制御装置に接続され、前記第2のモーターの回転数を前記第1の回転数に保つように、前記第2のモーターを制御する第2のモーター制御装置と、
を有する電動回転翼航空機。
【請求項2】
前記動力軸に接続される第1のモーター出力軸を有し
前記第1のモーターと前記第2のモーターとは、
前記第1のモーター出力軸を用いて直列に接続され、
第1のモーター出力軸及び前記動力軸を前記動力軸の軸中心に対して回転させ、前記第1の出力軸に動力を伝達し、前記ローターシステムを駆動する、
請求項1に記載の電動回転翼航空機。
【請求項3】
第1の歯車と、
前記第1の歯車に連結する第2の歯車及び第3の歯車と
前記第2の歯車に第1の端部が接続され、前記第1のモーターに第2の端部が接続される第2のモーター出力軸と、
前記第3の歯車に第1の端部が接続され、前記第2のモーターに第2の端部が接続される第3のモーター出力軸と、
を有し、
前記第1のモーターと前記第2のモーターとは、向かい合い、かつ、並列に設けられ、
前記動力軸と、前記第2のモーター出力軸と、前記第3のモーター出力軸とは、平行に設けられ、
前記第1のモーターは、前記第2のモーター出力軸を前記第2のモーター出力軸の軸中心に対して回転させ、かつ、前記第2の歯車を回転させ、
前記第2のモーターは、前記第3のモーター出力軸を前記第3のモーター出力軸の軸中心に対して回転させ、かつ、前記第3の歯車を回転させ、
前記第2の歯車および前記第3の歯車が回転することで前記第1の歯車が回転し、前記動力軸に動力を伝達し、前記ローターシステムを駆動し、
前記第2の歯車の回転方向は、前記第3の歯車の回転方向と同一であり、前記第1の歯車の回転方向と異なる、
請求項1に記載の電動回転翼航空機。
【請求項4】
第1の歯車と、
前記第1の歯車に連結する第2の歯車及び第3の歯車と
前記第2の歯車に第1の端部が接続され、前記第1のモーターに第2の端部が接続される第2のモーター出力軸と、
前記第3の歯車に第1の端部が接続され、前記第2のモーターに第2の端部が接続される第3のモーター出力軸と、
を有し、
前記第1のモーターと前記第2のモーターとは、向かい合い、かつ、並列に設けられ、
前記第2の歯車と前記第3の歯車とは、向かい合い、かつ、並列に設けられ、
前記第2のモーター出力軸及び前記第3のモーター出力軸の軸中心は、前記動力軸に対して、垂直に設けられ、
前記第1のモーターは、前記第2のモーター出力軸を前記第2のモーター出力軸の軸中心に対して回転させ、かつ、前記第2の歯車を回転させ、
前記第2のモーターは、前記第3のモーター出力軸を前記第3のモーター出力軸の軸中心に対して回転させ、かつ、前記第3の歯車を回転させ、
前記第2の歯車および前記第3の歯車が回転することで前記第1の歯車が回転し、前記動力軸に動力を伝達し、前記ローターシステムを駆動する、
請求項1に記載の電動回転翼航空機。
【請求項5】
前記第1のモーター制御装置および前記第2のモーター制御装置に電気的に接続される飛行制御装置を有し、
前記飛行制御装置は、前記第1のモーター制御装置および前記第2のモーター制御装置に、前記第1の回転数のデータを送信し、
前記第1のモーター制御装置は、前記第1のモーターの前記回転数を測定し、前記第1のモーターの前記回転数を前記第1の回転数に調整し、
前記第2のモーター制御装置は、前記第2のモーターの前記回転数を測定し、前記第2のモーターの前記回転数を前記第1の回転数に調整する、
を有する請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載の電動回転翼航空機。
【請求項6】
前記第1のモーター制御装置に電気的に接続され、前記第1のモーター及び前記第1のモーター制御装置に電力を供給する第1のバッテリーと、
前記第2のモーター制御装置に電気的に接続され、前記第2のモーター及び前記第2のモーター制御装置に電力を供給する第2のバッテリーと、
を有する請求項5に記載の電動回転翼航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動回転翼航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の電動化と並行し、小型航空機の電動化が注目されている。例えば、電動化された垂直離着陸可能な小型航空機は、化石燃料を使用せずに電動モーターを使用し動力を得ることができる。電動化された垂直離着陸可能な小型航空機は、化石燃料を使用しないため、内燃機関を有する航空機と比較して、CO2排出量が少なく、エネルギー補給が容易であり、システム全体の小型化が可能であり、操作性及び静音性が優れている。例えば、ヘリコプターは、垂直離着陸可能な小型航空機の一つである。電動化されたヘリコプターは、例えば、電動ヘリコプター、電動回転翼航空機などと呼ばれる。
【0003】
例えば、特許文献1乃至4は電動ヘリコプターの構成または制御方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8931732号明細書
【特許文献2】米国特許第9169027号明細書
【特許文献3】国際公開2016/009824号
【特許文献4】国際公開2015/146608号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題の一つは、従来の内燃機関を使用する航空機に対して、内燃機関に相当する部分を、航空機のバランスを考慮し小型化された伝動機構に置き換えた電動回転翼航空機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電動回転翼航空機であって、第1の出力軸と、前記第1の出力軸に設けられ、前記第1の出力軸の軸中心に対して回転可能なローターシステムと、前記第1の出力軸に動力を伝達する動力軸と、前記動力軸に接続され、前記ローターシステムを駆動する第1のモーターと、前記動力軸に接続され、前記ローターシステムを駆動する第2のモーターと、前記第1のモーターに接続され、前記第1のモーターの回転数を第1の回転数に保つように、前記第1のモーターを制御する第1のモーター制御装置と、前記第2のモーター及び前記第1のモーター制御装置に接続され、前記第2のモーターの回転数を前記第1の回転数に保つように、前記第2のモーターを制御する第2のモーター制御装置と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、内燃機関に相当する部分を、航空機のバランスを考慮し小型化された伝動機構に置き換えた電動回転翼航空機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機の構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るモーター部の配置を示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)及び
図4(B)は、本発明の一実施形態に係るモーター部の他の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5(A)は
図4(A)に示すモーター部の配置を示す斜視図であり、
図5(B)は
図4(B)に示すモーター部の配置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状、構成等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、b、A,Bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。なお、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0010】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機は、例えば、高速複合回転翼航空機、二重反転式回転翼航空機、同軸反転式回転翼航空機である。また、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機は、有人または無人の何れの構成も備えることができる。本明細書では、電動回転翼航空機が、有人型の電動ヘリコプターを例に説明する。
<1.第1実施形態>
<1-1.電動回転翼航空機10の構成>
【0011】
図1及び
図2を参照し、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の構成を示す平面図である。
図2は本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の構成を示すブロック図である。
図1及び
図2に示す電動回転翼航空機10の構成は一例であって、電動回転翼航空機10の構成は、
図1及び
図2に示す構成に限定されない。
【0012】
図1に示されるように、電動回転翼航空機10は、電動回転翼航空機体20、及びメインローターシステム30を有する。電動回転翼航空機体20は延長テール40を有し、メインローターシステム30を支持する。また、電動回転翼航空機10は、電動回転翼航空機体20内部に、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bを有するモーター部100、第1のモーター制御装置102A、第2のモーター制御装置102B、後部隔壁104、ワンウェイクラッチ105、第1のバッテリーマネジメントシステム110A、第2のバッテリーマネジメントシステム110B、第1のバッテリー120A、第2のバッテリー120B、飛行制御装置130、操縦装置140、減速機150、ドライブシャフト152、モーターシャフト153、メインローターシャフト154、テールローターシャフト156、メインローター160、ローターブレード170、及びテールローター180を有する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、ドライブシャフト152は動力軸または第1の動力軸、メインローターシャフト154は出力軸または第1の出力軸、テールローターシャフト156は出力軸または第2の出力軸、モーターシャフト153はモーター出力軸または第1のモーター出力軸と呼ぶことがある。また、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、モーター部100、第1のモーター制御装置102A、及び第2のモーター制御装置102Bを伝動機構と呼ぶことがある。さらに、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、第1のバッテリーマネジメントシステム110A、第2のバッテリーマネジメントシステム110B、第1のバッテリー120A及び第2のバッテリー120Bは、電力供給部と呼ぶことがある。また、伝動機構は、ドライブシャフト152を含んでもよく、電力供給部を含んでもよい。
【0014】
メインローターシステム30は、メインローター160、及びメインローター160に設けられた複数のローターブレード170を含む。延長テール40は、テールローター180を含む。詳細は後述するが、後部隔壁104は、例えば、延長テール40と主体部(図示は省略)との隔壁と、電動回転翼航空機体20の内側の底部との間に設けられ、モーター部100を支持する役割を有する。また、例えば、後部隔壁104周辺の領域が、従来の内燃機関を使用する航空機における内燃機関に相当する部分が設けられている領域である。
【0015】
図2に示されるように、メインローター160は、メインローターシャフト154に接続され、メインローターシャフト154の回転軸を中心に回転可能である。テールローター180はテールローターシャフト156に接続され、テールローターシャフト156の回転軸を中心に回転可能である。
【0016】
モーター部100は、モーターシャフト153、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bを有する。第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは、モーターシャフト153に接続する。第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは、モーターシャフト153の回転軸を中心に回転可能である。
【0017】
ドライブシャフト152の第1の端部は減速機150(
図2)またはワンウェイクラッチ105(
図2)に接続され、ドライブシャフト152の第2の端部はモーター部100に接続される。第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bを有するモーター部100は、ドライブシャフト152に接続される。具体的には、ドライブシャフト152の第2の端部はモーターシャフト153に接続される。すなわち、ドライブシャフト152の回転軸とモーターシャフト153の回転軸とは、同一直線上または略同一直線上に設けられる。また、第1のモーター100Aと前記第2のモーターl00Bとは、モーターシャフト153を用いて直接に接続される。すなわち、ドライブシャフト152、モーターシャフト153、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは同軸に接続される。よって、第1のモーター100Aは、モーターシャフト153及びドライブシャフト152をドライブシャフト152の回転軸の中心に対して回転し、メインローターシャフト154及びテールローターシャフト156に動力を伝達し、メインローターシステム30及びテールローター180を駆動する。第2のモーター100Bは、モーターシャフト153及びドライブシャフト152に対して第1のモーター100Aと直列に設けられ、第1のモーター100Aと同様に、モーターシャフト153及びドライブシャフト152をドライブシャフト152の回転軸の中心に対して回転し、メインローターシャフト154及びテールローターシャフト156に動力を伝達し、メインローターシステム30及びテールローター180を駆動する。
【0018】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、ドライブシャフト152がモーターシャフト153と剛結合される。例えば、ドライブシャフト152はスプライン(スプライン軸とも呼ぶ、図示は省略)を有し、スプラインがモーターシャフト153に設けられたモーター回転子(図示は省略)と結合される。この構造を用いることで、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bの回転数の差は生じることがなく、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bの回転数を一定に保つことができる。また、この構造を用いることで、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bはコギングの影響を抑制可能なモーターである。また、この構造を用いることで、ドライブシャフト152は、フリーローテーションが可能であり、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10はオートローテーション可能な構成を有する。また、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは、例えば、クラッチプレート(例えば、スリップリング)を有し、ドライブシャフト152に接続されてもよい。また、ドライブシャフト152はフレキシブルカップリング(図示は省略)を有し、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154とテールローターシャフト156とは、フレキシブルカップリングを用いて、接続されてもよい。フレキシブルカップリングを用いることで、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154とテールローターシャフト156とを接続する際の取付誤差を緩和することができるため、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154とテールローターシャフト156との接続のずれに伴う動力の伝達の損失を抑制することができる。また、フレキシブルカップリングを用いることで、ドライブシャフト152の回転に伴う振動を抑制し、ドライブシャフト152の振動に伴う動力の伝達の損失を抑制することができる。さらに、フレキシブルカップリングを用いることで、例えば、モーター部100で発生する熱を吸収することができるため、熱がドライブシャフト152を経由して、メインローターシャフト154とテールローターシャフト156に伝導し、熱に伴う動力の伝達の損失を抑制することができる。
【0019】
ドライブシャフト152の第1の端部、メインローターシャフト154、及びテールローターシャフト156は、減速機150に接続される。ドライブシャフト152は、モーター部100が生成する動力によって、ドライブシャフト152の回転軸を中心に回転可能である。
【0020】
ここで、例えば、地面が、第1の軸(D1)と第2の軸(D2)とで設けられる平面(D1D2平面)または略平面(略D1D2平面)であるとした場合、第3の軸(D3)は、当該平面または当該略平面に交差し、当該平面または当該略平面に対して垂直または略垂直に設けられる。電動回転翼航空機10の側面視において、ドライブシャフト152は、第3の軸に対して平行または略平行に設けられる。また、電動回転翼航空機10の側面視において、ドライブシャフト152を第3の軸に延長した線と、メインローターシャフト154を延長した線とがなす角度は、角度αとなる。角度αは、例えば、120度以上180度以下である。例えば、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154とをユニバーサルジョイントなどのような、柔軟性を有する可変可能なカップリング機構を用いて接続することで、電動回転翼航空機10の仕様や用途などに応じて、角度αを適宜変えることができる。なお、角度αを固定したのち、固定部材を用いて、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154とカップリング機構とを固定してもよい。例えば、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154とをカップリング機構を用いて接続することで、電動回転翼航空機10が不安定な気流の中を飛行する場合、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154との間は気流に応じて柔軟に変化する。その結果、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154とを固定する場合と比較して、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154との間にかかる力(例えば、電動回転翼航空機10が不安定な気流の中で受ける衝撃力)を分散、減衰、または緩和させ、ドライブシャフト152に接続されたモーターシャフト153及びモーター部100にかかる負荷を軽減することができる。
【0021】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関を使用する航空機に対して、内燃機関に相当する部分を、伝動機構で置き換えることができる。伝動機構では、第1の信号、第2の信号、回転数のデータを含む信号などの電気信号を用いて動力を各ローターに伝達することができるため、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関を使用する回転翼航空機よりも、動力を各ローターに速く伝達することができる。また、伝動機構の大きさは、内燃機関に相当する部分に対して小さいため、伝動機構を用いることで、航空機を動かす動力部を小型化することができる。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10はドライブシャフト152を第3の軸に延長した線と、メインローターシャフト154を延長した線とがなす角度(角度α)を調整可能である。例えば、角度αを略130度とすることで、伝動機構を、テールローターシャフト156を回避し、電動回転翼航空機体20略中央の下方の凸の部分に設けることができるため、従来の内燃機関を設けていた広い空間を有効利用することができる。また、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、例えば、角度αを180度または略180度の場合、メインローターシャフト154の回転軸と、ドライブシャフト152の回転軸と、モーターシャフト153の回転軸とを同一直線上または略同一直線上に設けることができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、回転軸を同一直線上または略同一直線上に設けない場合と比較して、動力伝達時のモーターの回転またはシャフトの回転などに伴う振動または衝撃を抑制することができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、出力軸と動力軸とに屈曲部がなく同軸で動力を伝達することを可能とし、本発明の一実施形態に係る構成を用いることで、簡素な伝動機構を有し、動力を伝達するときの損失が少ない電動回転翼航空機を実現することができる。
【0022】
ドライブシャフト152が回転することに伴い、モーター部100が生成する動力を、メインローターシャフト154、及びテールローターシャフト156に伝達することができる。すなわち、モーター部100が生成する動力を、一つのドライブシャフト152から、複数のローターシャフト(ここでは、メインローターシャフト154、及びテールローターシャフト156)に伝達することができる。その結果、メインローターシャフト154がメインローターシャフト154の回転軸を中心に回転し、メインローターシャフト154に接続されたメインローター160及び複数のローターブレード170が回転し、電動回転翼航空機10を浮上させる揚力を発生することができる。また、テールローターシャフト156がテールローターシャフト156の回転軸を中心に回転し、テールローターシャフト156に接続されたテールローター180が回転し、電動回転翼航空機10の反トルクを抑制することができる。また、テールローター180は、例えば、メインローター160の回転で複数のローターブレード170が回転することにより発生するトルク(反トルク)を抑制することができる。
【0023】
減速機150は、複数の歯車(図示は省略)を有する。複数の歯車の大きさ、歯数などは、一部の歯車において異なってもよく、一部の歯車において同じでもよい。複数の歯車は、少なくともドライブシャフト152とメインローターシャフト154、ドライブシャフト152とテールローターシャフト156の間に設けられる。ここで、ドライブシャフト152の回転数は、メインローターシャフト154の回転数、メインローター160及びメインローター160に設けられる複数のローターブレード170の回転数、テールローターシャフト156の回転数、及びテールローター180の回転数よりも極端に多い。減速機150は、大きさ、歯数などの異なる歯車を有することで、メインローターシャフト154の回転数及びとテールローターシャフト156の回転数を、ドライブシャフト152の回転数よりも少ない回転数に変化させることができる。その結果、減速機150は、各ローターの回転速度を減速することができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、ワンウェイクラッチ105が減速機150とモーター部100との間に設けられてもよい。ワンウェイクラッチ105は、例えば、モーター部100で発生するコギングまたは逆起電力などのブレーキ力を、モーターシャフト153から、メインローター160及びテールローター180に伝達されることを抑制する。また、ワンウェイクラッチ105は、例えば、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bが故障した場合、ドライブシャフト152の回転を抑制し、動力がメインローター160及びテールローター180に伝達されることを抑制する。したがって、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bが故障した場合、ドライブシャフト152は、フリーローテーションが可能であり、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10はオートローテーション可能な構成を有する。また、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、カップリング機構を有するため、ドライブシャフト152とメインローターシャフト154と同様に、ワンウェイクラッチ105にかかる力(例えば、電動回転翼航空機10が不安定な気流の中で受ける衝撃力)を分散、減衰、または緩和させ、ワンウェイクラッチ105にかかる負荷を軽減することができる。
【0025】
従来の内燃機関を使用する回転翼航空機では、メインローター及びテールローターの回転数が、飛行状態に関わらず一定または略一定の回転数になるように操縦される。しかし、回転数が一定または略一定であっても、トルク(出力)は飛行状態により増減する。その結果、内燃機関のスロットル(出力を調整する絞り弁)が、適宜調整される。従来の内燃機関を使用する回転翼航空機では、例えば、スロットルガバナーおよびスロットル制御回路を用いて、回転数が一定または略一定に保たれるように、スロットルが調整される。
【0026】
一方、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、第1のモーター制御装置102Aは、第1のモーター100A及び第1のバッテリーマネジメントシステム110Aに電気的に接続され、第1のモーター100Aの駆動を制御する。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、例えば、従来の内燃機関に備えられたスロットルガバナーと同様の構成を含むスロットルガバナー(図示は省略)を有してもよい。また、第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bは、従来の内燃機関に備えられたスロットル制御回路と同様の構成を含んでもよい。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、例えば、当該スロットルガバナーと、第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bと、第1のインバーター108A(
図3)及び第2のインバーター108B(
図3)とを用いて、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数を一定に保つことができる。例えば、トルク(出力)を制御するスロットル信号が、飛行制御装置130から第1のモーター制御装置102Aに含まれる第1のインバーター108A及び第2のモーター制御装置102Bに含まれる第2のインバーター108Bに送信され、第1のインバーター108A及び第2のインバーター108Bの出力周波数を制御する。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、トルク(出力)を制御し、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数を一定に保つことができる。
【0027】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関に備えられたスロットルガバナー及びスロットル制御回路と同様の構成を含むため、従来の内燃機関に備えられたスロットルガバナー及びスロットル制御回路の構成に基づき、回転翼航空機の飛行に関連するデータ及び構成、並びに、操縦に関連するデータ及び構成を利用することができる。なお、第1のモーター100Aまたは第2のモーター100B、並びに、第1のインバーター108Aまたは第2のインバーター108Bが、電動回転翼航空機10の飛行に必要な十分なトルク(出力)を発生し、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数を一定または略一定に制御することができる場合、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関に備えられたスロットルガバナー及びスロットル制御回路と同様の構成を含まなくてもよい。
【0028】
また、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、第1のモーター制御装置102Aは、例えば、第1のインバーター108A(
図3)、回転数検出装置(図示は省略)、回転数比較装置(図示は省略)、及び回転数フィードバック装置(図示は省略)を有してもよい。
【0029】
第1のインバーター108A(
図3)は、例えば、インバーター回路(図示は省略)、インバーター回路と第1のインバーター108Aとの間に設けられるコンデンサー(図示は省略)などを含む。第1のインバーター108Aは、例えば、第1のバッテリー120Aから供給された電力(直流)を、コンデンサーに蓄電し、インバーター回路で電力(交流)に変換する。第1のインバーター108Aは、変換された電力電力(交流)を第1のモーター100Aに供給する。
【0030】
回転数検出装置は、例えば、メインローター160の回転数、テールローター180の回転数、第1のモーター100Aの回転数と電流値とを対応付けしたルックアップテーブルを含む。ルックアップテーブルは、例えば、電流値から回転数を算出するための比例定数、後述するトルクからモーター出力を算出するための比例定数またはゲインなどが設定されたプログラムマップでもよい。回転数検出装置は、第1のモーター100Aに流れる電流値を計測し、計測した電流値からルックアップテーブルに基づき、第1のモーター100Aの回転数、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数を検出することができる。回転数比較装置は、設定されたメインローター160の回転数、設定されたテールローター180の回転数、設定された第1のモーター100Aの回転数を記憶する記憶装置を含んでもよい。回転数比較装置は、回転数検出装置から、検出された第1のモーター100Aの回転数を受信し、検出した第1のモーター100Aの回転数を、設定された第1のモーター100Aの回転数と比較することができる。その結果、回転数比較装置は、検出した第1のモーター100Aの回転数が、設定された第1のモーター100Aの回転数と同じ場合、検出した第1のモーター100Aの回転数を回転数フィードバック装置に送信し、検出した第1のモーター100Aの回転数が、設定された第1のモーター100Aの回転数と異なる場合、検出した第1のモーター100Aの回転数を設定された第1のモーター100Aの回転数に補正し、回転数フィードバック装置に送信する。回転数フィードバック装置は、回転数検出装置と同様に、例えば、メインローター160の回転数、テールローター180の回転数、第1のモーター100Aの回転数と電流値とを対応付けしたルックアップテーブルを含む。回転数フィードバック装置は、検出した第1のモーター100Aの回転数または設定された第1のモーターの回転数を回転数比較装置から受信する。回転数フィードバック装置は、ルックアップテーブルに基づき、受信した第1のモーター100Aの回転数を、第1のモーター100Aの電流値を求めることができる。回転数フィードバック装置は、求めた第1のモーター100Aの電流値を第1のモーター100Aに流すことによって、第1のモーター100Aの回転数を一定に保つことができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数を一定に保つことができるため、安定した飛行を続けることができる。
【0031】
第2のモーター制御装置102Bは、第2のモーター100B及び第2のバッテリーマネジメントシステム110Bに電気的に接続され、第2のモーター100Bの駆動を制御する。第2のモーター制御装置102Bは、例えば、第2のインバーター108B(
図3)、回転数検出装置(図示は省略)、回転数比較装置(図示は省略)、及び回転数フィードバック装置(図示は省略)を有する。第2のインバーター108Bは、変換された電力(交流)を第2のモーター100Bに供給する。すなわち、第2のモーター制御装置102Bは、上述したような第1のモーター制御装置102Aと同様の構成を有することができる。したがって、第2のモーター制御装置102Bは、求めた第2のモーター100Bの電流値を第2のモーター100Bに流すことによって、第2のモーター100Bの回転数を一定に保つことができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数を一定に保つことができるため、安定した飛行を続けることができる。なお、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、設定された第1のモーターの回転数は、第1の回転数と呼ばれることがあり、設定された第2のモーターの回転数は、第2の回転数と呼ばれることがある。
【0032】
また、第1の回転数は第2の回転数と同一である(剛結合であるため)。よって、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数は、2つのモーターによって、より安定的に制御される。また、例えば、モーターの軸出力値は、回転数とモーターのトルクとを用いて算出することができ、モーターの出力値=回転数×モーターのトルクである。第1のモーター100Aの回転数と第2のモーター100Bの回転数とは同一であっても、それぞれのモーターのトルクを変えることで、ローターシステムの軸出力を変えることができる。例えば、軸出力を一定に保つ場合、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bのトルクを1/2倍にしてよく、第1のモーター100Aのトルクを変えずに第2のモーター100Bのトルクを略0(ゼロ)にしてもよい。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとを交互に用いて軸出力を一定に保つことができ、また、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bの軸出力を半分にして軸出力を一定に保つことができるため、一方のモーターに負荷をかけることなく、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bの負荷を平均化することができる。したがって、1つのモーターを実装し1つのモーターを使用し続ける場合と比較して、モーターへの負荷を軽減可能であり、モーターの寿命も伸ばすことができる。
【0033】
第1のモーター制御装置102Aと第2のモーター制御装置102Bとは互いに接続されてもよい。例えば、第1のモーター100Aの回転数及び電流値などのデータを、第2のモーター制御装置102Bが第1のモーター制御装置102Aと共有してもよく、第2のモーター100Bの回転数及び電流値などのデータを、第1のモーター制御装置102Aが第2のモーター制御装置102Bと共有してもよい。例えば、第1のモーター制御装置102Aが制御不能になっても、第2のモーター制御装置102Bが第1のモーター100Aを制御することが可能であり、第2のモーター制御装置102Bが制御不能になっても、第1のモーター制御装置102Aが第2のモーター100Bを制御することが可能である。また、例えば、第1のモーター制御装置102Aが制御不能になった場合、第2のモーター制御装置102Bが第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを制御してもよく、第2のモーター制御装置102Bが制御不能になった場合、第1のモーター制御装置102Aが第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを制御してもよい。
【0034】
具体的には、第1のモーター100Aまたは第2のモーター100Bの一方が故障した場合、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを用いて飛行している状態(デュアルモード)から、第1のモーター100Aまたは第2のモーター100Bの故障していないモーターを用いて飛行する状態(シングルモード)に、飛行状態を変更してもよい。例えば、操縦士は操縦装置140を用いて、飛行状態をデュアルモードからシングルモードに変更する指示を入力し、当該指示に基づく信号が操縦装置140から飛行制御装置130に送信され、当該信号に基づき、第1のモーター100Aまたは第2のモーター100Bの故障したモーターを停止し、第1のモーター100Aまたは第2のモーター100Bの故障していないモーターを駆動するように変更される。ここで、例えば、第1のモーター100Aの連続最大出力は、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bの定格最大出力である。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、一方のモーターまたは一方のモーター制御装置が故障した場合、故障していないモーターまたは故障していないモーター制御装置を用いて、飛行状態を制御することを、たすき掛けのモーター制御システムと呼ぶことがある。
【0035】
したがって、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、モーター制御装置の故障に対して、飛行に必要な動力を確保し、安全性を確保することができる。
【0036】
発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、第1のモーター制御装置102Aが制御不能になった場合、第2のモーター制御装置102Bが第1のモーター100Aに接続されるように構成されていてもよく、第2のモーター制御装置102Bが制御不能になった場合、第1のモーター制御装置102Aが第2のモーター100Bに接続されるように構成されていてもよい。例えば、第1のモーター制御装置102Aが制御不能になった場合、第2のモーター制御装置102Bが第1のモーター100Aに接続されることで、制御不能になった第1のモーター制御装置102Aを介さないため、第2のモーター制御装置102Bと第1のモーター100Aとのデータの送受信または授受を、最小限の遅延で実行することができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、例えば、回転数のフィードバックを最小限の遅延で実行することができる。
【0037】
飛行制御装置130は、第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bに接続される。飛行制御装置130はCPU及び記憶装置などを有する。飛行制御装置130は、例えば、入力装置142に入力された信号に基づき、記憶装置に記憶された命令を読み出し、CPUによって命令を処理し、第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bに所望の信号を送信する。
【0038】
操縦装置140は、飛行制御装置130に接続される。操縦装置140は、入力装置142、表示装置144などを含む。入力装置142は、例えば、スタータースイッチ、推力制御レバーなどを含む。表示装置144は、例えば、第1のモーター100Aの回転数及び電流値、第2のモーター100Bの回転数及び電流値、メインローター160の回転数及びテールローター180の回転数などのデータを時系列に表示するように構成される。
【0039】
電動回転翼航空機10の操縦士は、操縦装置140を用いて所望の操作を入力する。操縦士は、例えば、第1のモーター100Aの第1の回転数を入力装置142に入力する。入力装置142は、第1の回転数を飛行制御装置130に送信する。飛行制御装置130は、第1のモーター制御装置102Aおよび第2のモーター制御装置102Bに第1の回転数のデータを送信する。第1のモーター制御装置102Aおよび第2のモーター制御装置102Bには、第1の回転数のデータが格納(記憶)される。例えば、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bの回転数を調整する場合、操縦士は、回転数を調整するための操作を入力装置142に入力し、入力装置142が回転数を調整するための操作に対応した第1の信号を飛行制御装置130に送信する。飛行制御装置130は第1の信号を受信し、第1の信号に基づき、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bの回転数を検出する第2の信号を第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bに送信する。第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bは第2の信号を受信し、第2の信号に基づき、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bの回転数を検出する。飛行制御装置130、第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bは、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bの回転数を一定または略一定になるように制御する。また、に送信する。第1のモーター制御装置102Aは第2の信号を受信し、第2の信号に基づき、第1のモーター100Aの回転数を検出する。また、電動回転翼航空機10の制御においては、操縦士が操縦装置140を用いて所望の操作を入力し、電動回転翼航空機10を制御することが優先される。
【0040】
第1のバッテリーマネジメントシステム110Aは、第1のモーター制御装置102A及び第1のバッテリー120Aに接続される。第1のバッテリーマネジメントシステム110Aは、第1のバッテリー120Aの残量などを制御し、第1のバッテリー120Aから、第1のモーター制御装置102Aに電力を供給する。第2のバッテリーマネジメントシステム110Bは、第2のモーター制御装置102B及び第2のバッテリー120Bに接続される。第2のバッテリーマネジメントシステム110Bは、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aと同様に、第2のバッテリー120Bの残量などを制御し、第2のバッテリー120Bから、第2のモーター制御装置102Bに電力を供給する。
【0041】
第1のバッテリーマネジメントシステム110Aと第2のバッテリーマネジメントシステム110Bとは互いに接続されてもよい。例えば、第1のバッテリー120Aの残量などのデータを、第2のバッテリーマネジメントシステム110Bが第1のバッテリーマネジメントシステム110Aと共有してもよく、第2のバッテリー120Bの残量などのデータを、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aが第2のバッテリーマネジメントシステム110Bと共有してもよい。例えば、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aが制御不能になっても、第2のバッテリーマネジメントシステム110Bが第1のバッテリー120Aを制御することが可能であり、第2のバッテリーマネジメントシステム110Bが制御不能になっても、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aが第2のバッテリー120Bを制御することが可能である。また、例えば、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aが制御不能になった場合、第2のバッテリーマネジメントシステム110Bが第1のバッテリー120A及び第2のバッテリー120Bを制御してもよく、第2のバッテリーマネジメントシステム110Bが制御不能になった場合、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aが第1のバッテリー120A及び第2のバッテリー120Bを制御してもよい。
【0042】
具体的には、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aまたは第2のバッテリーマネジメントシステム110Bの一方が故障した場合、第1のバッテリー120A及び第2のバッテリー120Bを用いて飛行している状態(デュアルバッテリーモード)から、第1のバッテリー120A及び第2のバッテリー120Bの故障していないバッテリーを用いて飛行する状態(シングルバッテリーモード)に、飛行状態を変更してもよい。例えば、操縦士は操縦装置140を用いて、飛行状態をデュアルバッテリーモードからシングルバッテリーモードに変更する指示を入力し、当該指示に基づく信号が操縦装置140から飛行制御装置130に送信され、当該信号に基づき、第1のバッテリー120Aまたは第2のバッテリー120Bの故障したバッテリーから第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bなどへの電力の供給を停止し、第1のバッテリー120Aまたは第2のバッテリー120Bの故障していないバッテリーから第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bなどへ電力を供給するように変更される。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、一方のバッテリーまたは一方のバッテリーマネジメントシステムが故障した場合、故障していないバッテリーまたは故障していないバッテリーマネジメントシステムを用いて、飛行状態を制御することを、たすき掛けのバッテリー制御システムと呼ぶことがある。
【0043】
したがって、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、バッテリーマネジメントシステムの故障に対しても、飛行に必要な電力をモーター制御装置に供給し、動力を確保し、安全性を確保することができる。
【0044】
以上説明したように、飛行制御装置130は第1のモーター制御装置102Aおよび第2のモーター制御装置102Bに電気的に接続される。また、飛行制御装置130は、第1のモーター制御装置102Aおよび第2のモーター制御装置102Bに第1の回転数のデータを送信する。第1のモーター制御装置102Aは、第1のモーター100Aの回転数を検出し、第1のモーター100Aの回転数を第1の回転数に調整する。さらに、第2のモーター制御装置102Bは、第2のモーター100Bの回転数を測定し、第2のモーター100Bの回転数を第1の回転数に調整する。以上のような操作によって、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10のメインローター160またはテールローター180の回転数を一定に保つことができる。
【0045】
以上説明したように、内燃機関を使用する従来の回転翼航空機は、内燃機関によって動力を生成し、生成された動力をローターシャフトに伝達する。内燃機関を動力とする場合、例えば、内燃機関における燃料の不完全燃焼に伴う動力の低下、飛行環境における不安定な動力供給が生じる可能性がある。その結果、ローターの回転数を一定に保つこと、または、ローターの回転数を細かく制御することは、困難であった。一方、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、電気的制御可能な電動モーターによって動力を発生するため、燃料の性能によって動力を左右されることがない。したがって、電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関を使用する回転翼航空機と比較して、ローターシャフトに伝達する動力を安定的に供給することができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、ローターの回転数を一定に保つこと、または、ローターの回転数を細かく制御することができる。
【0046】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、2つの電動モーターを有する例を示すが電動モーターの数は2つに限定されない。例えば、電動回転翼航空機10は、3つ以上の電動モーターを有してもよい。その結果、電動回転翼航空機10は、少なくとも2つの電動モーターが故障しても、飛行に必要な動力を確保し、安全性を確保することができる。また、電動回転翼航空機10は、より多くの電動モーターを有することで、メインローター160、または、テールローター180に、飛行高度、天候、気温などによらず安定的に、動力を伝達することができる。その結果、電動回転翼航空機10は、メインローター160の回転数、または、テールローター180の回転数をより安定化することができる。
<1-2.モーター部100の配置>
【0047】
図3を参照し、本発明の一実施形態に係るモーター部100の配置について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るモーター部100の配置を示す斜視図である。
図3は、本発明の一実施形態に係るモーター部100を、電動回転翼航空機体20の機体内部の左斜め後方から見た斜視図である。
図3に示すモーター部100の配置は一例であって、モーター部100の配置は
図3に示す構成に限定されない。
図1及び
図2と同一、又は類似する構成については説明を省略することがある。
【0048】
図3に示されるように、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、
図1及び
図2に示した構成に加え、例えば、マウントプレート106、第1のマウントフレーム107A、第2のマウントフレーム107B、開口部109を有する。
【0049】
第1のマウントフレーム107A及び第2のマウントフレーム107Bは、後部隔壁104に接続され、マウントプレート106、第1のインバーター108A及び第2のインバーター108Bを支持する。なお、第1のインバーター108A及び第2のインバーター108Bは、例えば、ボルトなどの接続部材によって、後部隔壁104にも接続される。
【0050】
マウントプレート106の左右は、第1のマウントフレーム107A及び第2のマウントフレーム107Bに支持される。マウントプレート106は、例えば、ボルトなどの接続部材によって、ドライブシャフト152、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを含むモーター部100を固定し、ドライブシャフト152、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを含むモーター部100を支持する。よって、マウントプレート106、第1のマウントフレーム107A、及び第2のマウントフレーム107Bは、ドライブシャフト152、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを含むモーター部100の落下を抑制することができる。
【0051】
開口部109は、例えば、延伸されたドライブシャフト152を減速機150に接続するため、延伸されたドライブシャフト152を通す開口である。また、開口部109は、例えば、テールローターシャフト156を通す開口であってもよい。
【0052】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の伝動機構は、従来の内燃機関を設けていた広い空間において、後部隔壁104に対して略左右対称にコンパクトに配置可能である。したがって、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の構成によって、従来の内燃機関を使用する航空機に対して、内燃機関に相当する部分を、航空機のバランスを考慮し小型化された伝動機構に置き換えた電動回転翼航空機を提供することができる。
<2.第2実施形態>
【0053】
図4(A)及び
図5(A)を参照し、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の他の構成について説明する。
図4(A)は、本発明の一実施形態に係るモーター部100の他の構成を示すブロック図である。
図5(A)は、
図4(A)に示すモーター部100の配置を示す斜視図である。
図4(A)に示すモーター部100は、
図2に示すモーター部100と比較して、第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとが並列に設けられ、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bが歯車によってドライブシャフト152に接続されている点が異なる。ここでは、
図4(A)に示すモーター部100と
図2に示すモーター部100との異なる部分を、主に説明する。
図4(A)及び
図5(A)に示すモーター部100の構成は一例であって、モーター部100の構成は
図4(A)及び
図5(A)に示す構成に限定されない。
図1乃至
図3と同一、又は類似する構成については説明を省略することがある。
【0054】
図4(A)に示すように、モーター部100は、ギアボックス165を有する。ギアボックス165は、第1の歯車166、第2の歯車167、及び第3の歯車168を有する。ドライブシャフト152の第1の端部は減速機150(
図2)またはワンウェイクラッチ105(
図2)に接続され、ドライブシャフト152の第2の端部は第1の歯車166に接続される。第1の歯車166は第2の歯車167、及び第3の歯車168に連結される。モーターシャフト162の第1の端部は第2の歯車167に接続され、モーターシャフト162の第2の端部は第1のモーター100Aに接続される。モーターシャフト164の第1の端部は第3の歯車168に接続され、モーターシャフト164の第2の端部は第2のモーター100Bに接続される。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、モーターシャフト162は動力軸または第2の動力軸、モーターシャフト164は動力軸または第3の動力軸と呼ばれることがある。
【0055】
電動回転翼航空機10の後方視において、ドライブシャフト152とモーターシャフト162とモーターシャフト164とは、第3の軸(D3)に対して、平行または略平行に設けられる。また、第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとは、ドライブシャフト152の延長線に対して、互いに向かい合い、かつ、並列または略並列に設けられる。
【0056】
第1のモーター100Aは、モーターシャフト162をモーターシャフト162の軸中心に対して回転させ、かつ、第2の歯車167を回転させる。第2のモーター100Bは、モーターシャフト164をモーターシャフト164の軸中心に対して回転させ、かつ、第3の歯車168を回転させる。第2の歯車167および第3の歯車168が回転することで、第1の歯車166が回転する。その結果、第1のモーター100Aは、第1のバッテリー120Aから供給された電力に基づいて、ドライブシャフト152に動力を伝達し、メインローターシステム30およびテールローター180を駆動し、第2のモーター100Bは、第2のバッテリー120Bから供給された電力に基づいて、ドライブシャフト152に動力を伝達し、メインローターシステム30およびテールローター180を駆動する。このとき、第2の歯車167の回転方向167Aは、第3の歯車168の回転方向168Aと同一であり、第1の歯車166の回転方向166Aと異なる。各歯車の回転方向は、それぞれに接続するシャフトの回転方向と同一である。なお、
図4(A)に示す回転方向は一例であって、それぞれの回転方向は逆の回転方向でもよい。
【0057】
図5(A)に示すモーター部100の配置は、
図3に示すモーター部100の配置と比較して、第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとが、ドライブシャフト152の延長線に対して互いに向かい合い、かつ、並列に、また、ギアボックス165に対しても並列に設けられる構成を有する。また、
図5(A)に示すモーター部100の配置は、
図3に示すモーター部100の配置と比較して、第1のモーター100Aがモーターシャフト162に接続され、第2のモーター100Bがモーターシャフト164に接続され、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bがギアボックス165を介してドライブシャフト152に接続される構成を有する。さらに、
図5(A)に示すモーター部100の配置は、
図2に示すモーター部100の配置と比較して、第1のモーター100Aに関連する部分と、第2のモーター100Bに関連する部分とがドライブシャフト152に対して平行に設けられる構成を有する。
【0058】
図5(A)に示すモーター部100の配置において、第1のマウントフレーム107A、第2のマウントフレーム107B、マウントプレート106などを用いて、モーター部100を後部隔壁104に接続する構成、および、第1のインバーター108A及び第2のインバーター108Bを支持する構成などは、
図2に示すモーター部100の配置と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0059】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとが互い向かい合い、かつ、並列に設けられることで、伝動機構は、ドライブシャフト152に対して平行または略平行に設けることができる。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の構成を用いることで、従来の内燃機関を使用する航空機に対して、内燃機関に相当する部分を、航空機のバランスを考慮し小型化された伝動機構に置き換えた電動回転翼航空機を提供することができる。
<3.第3実施形態>
【0060】
図4(B)及び
図5(B)を参照し、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の他の構成について説明する。
図4(B)は、本発明の一実施形態に係るモーター部100の他の構成を示すブロック図である。
図5(B)は、
図4(B)に示すモーター部100の配置を示す斜視図である。
図4(B)に示すモーター部100は、
図2に示すモーター部100と比較して、第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとが互い向かい合い、かつ、並列に設けられ、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bが歯車によってドライブシャフト152に接続されている点が異なる。また、
図4(B)に示すモーター部100は、
図4(A)に示すモーター部100と比較して、第1のモーター100Aに関連する部分と、第2のモーター100Bに関連する部分とが90度回転し設けられる点が異なる。ここでは、
図4(B)に示すモーター部100と、
図2及び
図4(A)に示すモーター部100との異なる部分を、主に説明する。
図4(B)及び
図5(B)に示すモーター部100の構成は一例であって、モーター部100の構成は
図4(B)及び
図5に示す構成に限定されない。
図1乃至
図4(A)、
図5(A)と同一、又は類似する構成については説明を省略することがある。
【0061】
図4(B)に示すように、電動回転翼航空機10の後方視において、モーターシャフト162またはモーターシャフト162の軸中心は、ドライブシャフト152及び第3の軸(D3)に対して、垂直または略垂直に設けられる。モーターシャフト162またはモーターシャフト162の軸中心と同様に、モーターシャフト164またはモーターシャフト164の軸中心も、ドライブシャフト152及び第3の軸(D3)に対して、垂直または略垂直に設けられる。第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとは、ドライブシャフト152に対して、対称または略対称に互いに向かい合い、かつ、並列または略並列に設けられる。さらに、第2の歯車167と第3の歯車168とは、ドライブシャフト152に対して、対称または略対称に互いに向かい合い、かつ、並列または略並列に設けられる。
【0062】
第1のモーター100Aは、モーターシャフト162をモーターシャフト162の軸中心に対して回転させ、かつ、第2の歯車167を回転させる。第2のモーター100Bは、モーターシャフト164をモーターシャフト164の軸中心に対して回転させ、かつ、第3の歯車168を回転させる。このとき、第2の歯車167の回転方向167Bは、第3の歯車168の回転方向168Bと逆方向である。第2の歯車167と第3の歯車168とが互いに逆方向に回転することで、第1の歯車166は回転方向166Bに回転する。各歯車の回転方向は、それぞれに接続するシャフトの回転方向と同一である。なお、
図4(B)に示す回転方向は一例であって、それぞれの回転方向は逆の回転方向でもよい。
【0063】
以上説明した第1の歯車166と第3の歯車168、第1の歯車166と第2の歯車167の構成は、例えば、かさ歯車、ベベルギア、まがりばかさ歯車、冠歯車などと呼ばれる構成を組み合わせて構成される。また、ドライブシャフト152と第1の歯車166とを、例えば、ねじの溝をらせん状に設けた歯を円筒形の部材に設けたウォームギヤと呼ばれる部材で構成し、第2の歯車167および第3の歯車168をウォームギヤにかみ合わせて駆動するウォームホイールと呼ばれる部材で構成してもよい。これらを組み合わせて構成したギアを含むギアボックス165は、多段の変則ギアを設けることなく、ねじの溝をらせん状に設けた歯の数に基づき、減速された回転数を得ることでき、また、大きな動力をドライブシャフト152に伝動可能である。
【0064】
図5(B)に示すモーター部100の配置は、
図3に示すモーター部100の配置と比較して、第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとが互いに向かい合い、並列に設けられ、かつ、ギアボックス165に対して対称または略対称に設けられる構成を有する。また、
図5(B)に示すモーター部100の配置は、
図3に示すモーター部100の配置と比較して、第1のモーター100Aがモーターシャフト162に接続され、第2のモーター100Bがモーターシャフト164に接続され、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bがギアボックス165を介してドライブシャフト152に接続される構成を有する。さらに、
図5(B)に示すモーター部100の配置は、
図2に示すモーター部100の配置と比較して、第1のモーター100Aに関連する部分と、第2のモーター100Bに関連する部分とがドライブシャフト152に対して90度回転し設けられる構成を有する。
【0065】
図5(B)に示すモーター部100の配置において、第1のマウントフレーム107A、第2のマウントフレーム107B、マウントプレート106などを用いて、モーター部100を後部隔壁104に接続する構成、および、第1のインバーター108A及び第2のインバーター108Bを支持する構成などは、
図2に示すモーター部100の配置と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0066】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10において、第1のモーター100Aと第2のモーター100Bとが互い向かい合い(対向に)、かつ、並列に設けられることで、伝動機構は、ドライブシャフト152に対して平行または略平行に設けることができる。その結果、第1のモーター100Aによって発生するモーター回転の反トルクが、第2のモーター100Bによって発生するモーター回転の反トルクによって抑制され、第2のモーター100Bによって発生するモーター回転の反トルクが、第1のモーター100Aによって発生するモーター回転の反トルクによって抑制される。例えば、モーター回転の反トルクを抑制することで、マウントプレート106に作用するねじり荷重を抑制することができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、電動回転翼航空機10の構造強度を節約し、電動回転翼航空機10を軽量化することができる。また、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、モーター部100のコギングトルクによって発生する騒音を抑制することができる。
【0067】
本発明の実施形態として上述した各実施形態または各実施形態の一部は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
【0068】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる別の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0069】
10:電動回転翼航空機、20:電動回転翼航空機体、30:メインローターシステム、40:延長テール、100:モーター部、100A:第1のモーター、l00B:第2のモーター、102A:第1のモーター制御装置、102B:第2のモーター制御装置、104:後部隔壁、105:ワンウェイクラッチ、106:マウントプレート(支持部材)、107A:第1のマウントフレーム(支持部材)、107B:第2のマウントフレーム(支持部材)、108A:第1のインバーター、108B:第2のインバーター、109:開口部、110A:第1のバッテリーマネジメントシステム、110B:第2のバッテリーマネジメントシステム、120A:第1のバッテリー、120B:第2のバッテリー、130:飛行制御装置、140:操縦装置、142:入力装置、144:表示装置、150:減速機、152:ドライブシャフト(動力軸)、153:モーターシャフト(第1のモーター出力軸)、154:メインローターシャフト(第1の出力軸)、156:テールローターシャフト(第2の出力軸)、160:メインローター、162:モーターシャフト(第2のモーター出力軸)、164:モーターシャフト(第3のモーター出力軸)、165:ギアボックス、166:第1の歯車、167:第2の歯車、168:第3の歯車、166A、166B、167A、167B、168A、168B:回転方向、167:第2の歯車、168:第3の歯車、170:ローターブレード(プロペラ)、180:テールローター