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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167790
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20221027BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20221027BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20221027BHJP
   H02N 1/08 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G08B21/00 A
G01H17/00 Z
H02N1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043152
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2021072721
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021116338
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三屋 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 久幸
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢郎
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
5C086
【Fターム(参考)】
2G024AD21
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA02
2G024FA14
2G064AA12
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB22
2G064BA02
2G064CC54
2G064DD06
2G064DD15
5C086AA34
5C086BA17
5C086BA22
5C086CA01
5C086CA23
5C086CB19
5C086CB20
5C086DA07
5C086EA11
5C086FA11
5C086GA01
(57)【要約】
【課題】センサ部に電源を必要としない監視装置の提供。
【解決手段】監視装置1は、監視対象の所定の周波数の音または振動に反応して発電する振動発電部としての振動発電素子10と、振動発電素子10による発電の電圧値と所定の閾値との大小関係に応じて監視対象の状態変化を報知する報知部70と、を備える。報知部70は、振動発電素子10が発電すると状態変化を報知する構成なので、センサ部として機能する振動発電素子10は電源を必要としない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象で生じる所定の周波数の音または振動に反応して発電する振動発電部と、
前記振動発電部による前記発電の電圧値と所定の閾値との大小関係に応じて前記監視対象の状態変化を報知する報知部と、を備える監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置において、
前記報知部は、前記発電の電圧値と所定の閾値との大小関係の切り替わりに応じて起動し、前記監視対象の状態変化を報知する、監視装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の監視装置において、
前記報知部を動作させるための電源と、
前記発電の電圧値が前記所定の閾値以上の場合は前記電源から前記報知部への電源供給を許可し、前記発電の電圧値が前記所定の閾値を下回る場合は前記電源から前記報知部への電源供給を遮断する開閉部と、をさらに備え、
前記報知部は、前記開閉部の許可により前記電源供給が行われると起動し、前記監視対象の状態変化を報知する、監視装置。
【請求項4】
請求項3に記載の監視装置において、
前記発電の電圧値が前記所定の閾値以上から前記所定の閾値を下回る値になると、前記開閉部の電源供給許可状態を所定時間保持した後に、前記開閉部を遮断状態に切り替える保持部をさらに備える、監視装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の監視装置において、
前記振動発電部を複数備え、
前記開閉部は、複数の前記振動発電部の少なくとも一つの電圧値が前記所定の閾値以上の場合は前記電源供給を許可し、複数の前記振動発電部の全ての電圧値が前記所定の閾値を下回る場合は前記電源供給を遮断する、監視装置。
【請求項6】
請求項5に記載の監視装置において、
複数の前記振動発電部は固有振動数が互いに異なる、監視装置。
【請求項7】
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の監視装置において、
前記監視対象は変圧器であって、
前記振動発電部の固有振動数は前記変圧器の部分放電の周波数に設定されている、監視装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の監視装置において、
前記報知部を動作させるための電源と、
前記発電の電圧値が前記所定の閾値以上の場合は前記電源から前記報知部への電源供給を許可し、前記発電の電圧値が前記所定の閾値を下回る場合は前記電源から前記報知部への電源供給を遮断する開閉部と、をさらに備え、
前記報知部は、前記電源供給により起動して前記監視対象の正常を報知し、前記電源供給の遮断により前記正常の報知を停止することで前記監視対象の異常を報知する、監視装置。
【請求項9】
請求項1または2に記載の監視装置において、
前記報知部を動作させるための電源と、
前記発電の電圧値が前記所定の閾値以上の場合は前記電源から前記報知部への電源供給を遮断し、前記発電の電圧値が前記所定の閾値を下回る場合は前記電源から前記報知部への電源供給を許可する開閉部と、をさらに備え、
前記報知部は、前記開閉部の許可により前記電源供給が行われると起動し、前記監視対象の状態変化を報知する、監視装置。
【請求項10】
請求項1または2に記載の監視装置において、
前記報知部を動作させるための電源と、
前記発電の電圧値が前記所定の閾値以上の場合は前記電源から前記報知部への電源供給を遮断し、前記発電の電圧値が前記所定の閾値を下回る場合は前記電源から前記報知部への電源供給を許可する開閉部と、をさらに備え、
前記報知部は、前記電源供給により起動して前記監視対象の正常を報知し、前記電源供給の遮断により前記正常の報知を停止することで前記監視対象の異常を報知する、監視装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の監視装置において、
前記報知部は無線信号を送信することにより外部装置へ状態変化を報知する、監視装置。
【請求項12】
請求項3から請求項7までのいずれか一項に記載の監視装置において、
前記振動発電部による前記発電によって充電される蓄電部であって、ある値以上の加速度の振動が一定時間持続したことによる発電によって前記所定の閾値以上の電圧値を有するように設定された蓄電部をさらに備える、監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両や発電用風車等の回転部品の異常の有無や前兆、或いはその異常部位を特定する機械設備の異常診断装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の異常診断装置では、転がり軸受の振動をセンサによって検出し、センサからの電気信号を信号処理部に取り込んで振動状態を分析している。信号処理部では、電気信号の波形の周波数分析、周波数分析で得られた実測スペクトルデータの周波数成分と部品に起因した周波数成分との比較照合、照合結果に基づく部品の異常の有無および異常部位の判定などが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-234784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した異常診断装置では、振動検出に用いられるセンサとして振動センサ、AE(acoustic emission)センサ、超音波センサ等が用いられているが、センサへの電力供給が必要とされ、また、信号処理、異常の有無や異常部位の判定などを行う信号処理部においても消費電力が大きい。そのため、部品の異常の有無の判定を常時監視する場合には、上記異常診断装置はバッテリ交換の頻度が高くなり実用的でないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による監視装置は、監視対象で生じる所定の周波数の音または振動に反応して発電する振動発電部と、前記振動発電部による前記発電の電圧値と所定の閾値との大小関係に応じて前記監視対象の状態変化を報知する報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、振動発電部が音や振動を捉えるセンサ部として機能するので、センサ部に電源を必要とせず、監視装置の省電力をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、監視装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、変形例1を示す図である。
図3図3は、変形例2を示す図である。
図4図4は、異常音の周波数f1~f5と振動発電素子の固有振動数fa~fcとの関係を示す図である。
図5図5は、変形例3を示す図である。
図6図6は、監視装置の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本実施の形態の監視装置1の概略構成を示すブロック図である。監視装置1は、振動発電素子10、整流・蓄電部20、スイッチ回路30、自己保持回路40、オフ回路50、電池60、および、電池60を電源として動作する報知部70を備える。
【0009】
振動発電素子10は、櫛歯固定電極101と、弾性支持部103により支持された可動櫛歯電極102とを備える。監視対象である音または振動により可動櫛歯電極102が櫛歯固定電極101に対して振動することで、発電が行われる。振動発電素子10の固有振動数は監視対象の音または振動の周波数に設定されており、監視対象の音または振動に可動櫛歯電極が共振してより大きな電力が発生するように構成されている。振動発電素子10はエレクトレット型発電素子であるが、例えば、ピエゾ型発電素子、電磁誘導型、または磁歪型の発電素子を用いても良い。いずれの場合も、固有振動数が監視対象の音または振動の周波数に設定されている。
【0010】
整流・蓄電部20は、振動発電素子10から出力された交流電圧をダイオード201,202により直流電圧に変換し、コンデンサ203を充電する。コンデンサ203には、抵抗204が並列接続されている。振動発電素子10による発電が止まったときには、この抵抗204の作用によりコンデンサ203の充電電圧V1を低下させる。後述するように、抵抗204の抵抗値やコンデンサ203の静電容量は、振動の持続時間や発電量等の兼ね合いで適宜調整される。
【0011】
スイッチ回路30は2つのスイッチング素子301,302を備えており、電池60から報知部70への電源供給をオンオフする回路である。図1に示す例では、2つのスイッチング素子としてNチャネルMOSFET301とPチャネルMOSFET302とを用いているが、これに限らず、トランジスタ等を用いても良い。
【0012】
NチャネルMOSFET301のゲートには、コンデンサ203の充電電圧V1が印加される。NチャネルMOSFET301のドレインはPチャネルMOSFET302のゲートに接続されている。PチャネルMOSFET302のソースは電池60に接続され、ドレインは報知部70に接続されている。PチャネルMOSFET302のソースとゲートとの間には抵抗303が設けられていて、NチャネルMOSFET301のドレインは抵抗303を介して電池60にも接続されている。
【0013】
振動発電素子10による発電が行われてコンデンサ203の充電電圧V1が、すなわち、NチャネルMOSFET301のゲート-ソース間電圧Vgs1が、ゲート閾値電圧Vth1以上になると、NチャネルMOSFET301がオン状態となってドレインからソースへと電流が流れる。NチャネルMOSFET301がオン状態となって抵抗303に電流が流れると、その電圧降下分だけPチャネルMOSFET302のゲート電位はソース電位より低くなる。抵抗303の値は電圧降下がPチャネルMOSFET302のゲート閾値Vth2より大きくなるように設定されており、抵抗303に電流が流れると、PチャネルMOSFET302がオン状態となってソースからドレインへと電流が流れる。その結果、電池60から報知部70への電源供給が開始される。
【0014】
振動発電素子10による発電量が小さくなると、コンデンサ203の充電電荷が抵抗204を介して放電され、コンデンサ203の充電電圧V1、すなわちNチャネルMOSFET301のゲート-ソース間電圧Vgs1が低下する。そして、ゲート-ソース間電圧Vgs1がゲート閾値電圧Vth1よりも小さくなると、NチャネルMOSFET301がオフ状態となってソース-ドレイン間に電流が流れなくなる。その結果、抵抗303による電圧降下が無くなってPチャネルMOSFET302がオフ状態となり、電池60から報知部70への電源供給が停止する。
【0015】
報知部70は、無線により異常信号を送信する送信部701と、制御部702とを備えている。報知部70は電源供給により起動し、送信部701から異常信号を送信する。ユーザは、送信された異常信号を受信することにより、監視対象が異常であると判断することができる。一方、異常信号が受信されない場合には、監視対象は正常であると判断する。
【0016】
上述のように、振動発電素子10の発電量が小さくなると、充電電圧V1がゲート閾値電圧Vth1よりも小さくなってNチャネルMOSFET301がオフ状態になる。しかし、送信部701における異常信号の送信処理が完了する前に、NチャネルMOSFET301がオフになって報知部70への電源供給が停止してしまうのは好ましくない。一方、異常信号の送信処理が完了した後は、電池60の消費を可能な限り抑える必要がある。そこで、本実施の形態では、自己保持回路40を設けて、振動発電素子10の発電量が小さくなってもNチャネルMOSFET301のオン状態が維持されるようにし、かつ、異常信号の送信処理が完了した後にスイッチ回路30をオフするためのオフ回路50を設けた。
【0017】
自己保持回路40は、ダイオード401のカソードに抵抗402を直列接続した回路であり、PチャネルMOSFET302と報知部70との間の電源ラインと、NチャネルMOSFET301のゲートに接続されている整流・蓄電部20の充電電圧出力ラインとの間に接続される。PチャネルMOSFET302がオン状態となって、自己保持回路40が接続されている電源ラインが電池60に接続されると、ダイオード401、抵抗402および抵抗204に電流が流れる。その結果、整流・蓄電部20の充電電圧出力ラインの電圧(グランドからの電位)が、電源電圧を抵抗402,204で分圧した値とほぼ同じ値に固定される。抵抗402,204の値は、抵抗204による電圧降下の値がNチャネルMOSFET301のゲート閾値電圧よりも大きくなるように設定される。その結果、報知部70へ電源が供給されている間は、NチャネルMOSFET301がオン状態に維持される。すなわち、異常振動の持続時間が必要なオン状態維持時間より短い場合であっても、自己保持回路40によってNチャネルMOSFET301のオン状態時間を必要な長さまで延ばすことができ、報知部70による報知動作を確実に行わせることができる。
【0018】
一方、自己保持回路40によりNチャネルMOSFET301がオン状態に維持されている間は、少なくともスイッチ回路30および自己保持回路40による電池60の電力消費が発生する。そのため、異常信号の送信処理が完了後の無駄な電力消費を防止するために、オフ回路50を動作させてNチャネルMOSFET301をオフさせるようにした。オフ回路50は、NチャネルMOSFET501のドレインに抵抗502を直列接続した回路であり、抵抗502の他端は整流・蓄電部20の充電電圧出力ラインに接続されている。報知部70は、制御部702の制御指令によって、NチャネルMOSFET501のゲートへの電圧の印加を停止する。
【0019】
異常信号の送信処理が完了したならば、報知部70は、制御部702からのゲート電圧印加指令により、ゲート閾値電圧Vth3よりも大きな電圧をNチャネルMOSFET501のゲートに印加する。それによりNチャネルMOSFET501はオン状態となり、電源ライン→ダイオード401→抵抗402→抵抗502→NチャネルMOSFET501→グランドのように電流が流れる。その結果、整流・蓄電部20の充電電圧出力ラインの電圧(グランドからの電位)は、電源電圧を抵抗402,502で分圧した値とほぼ同じ値に固定される。
【0020】
抵抗402,502の抵抗値は、抵抗502における電圧降下が、NチャネルMOSFET301のゲート閾値電圧Vth1よりも十分小さくなるように設定される。その結果、コンデンサ203が抵抗502およびNチャネルMOSFET501を介して放電され、コンデンサ203の充電電圧V1はゲート閾値電圧Vth1よりも十分小さくなり、NチャネルMOSFET301はオフ状態となる。それにより、PチャネルMOSFET302もオフとなって、電池60から報知部70への電源供給が停止される。
【0021】
本実施の形態では、異常振動発生時の振動発電素子10の発電による電荷量(=電流×振動持続時間)によりコンデンサ203およびNチャネルMOSFET301のゲート容量が充電され、ゲート電圧がゲート閾値電圧Vth1以上になるとNチャネルMOSFET301がオンし、電池60から報知部70への電源供給が開始される。そのため、コンデンサ203の容量を小さくした方が、異常検知感度が高くなる。一方、コンデンサ203の容量を小さくしすぎると、異常でない振動によるわずかな発電によるオン動作(誤動作)が生じてしまう。よって、素子の電流定格やコンデンサ203の容量等の回路パラメータは、異常検知感度や誤検出等を考慮して設定される。
【0022】
例えば、異常振動が止んで振動発電素子10の振動が停止したとき、抵抗204を介した放電により、充電電圧V1がゲート閾値電圧Vth1より十分低い電圧にリセットされる。そのときの時定数は、(コンデンサ203の静電容量)×(抵抗204の抵抗値)で表される。この値が定格の異常振動持続時間よりも小さいと、充電が進まずに放電してしまうため、NチャネルMOSFET301をオンさせることができなくなってしまう。逆に、この時定数が大きすぎると、異常でない振動の微小充電電流が持続することによってNチャネルMOSFET301が誤ってオンしてしまうおそれがある。また、抵抗402と抵抗204との分圧でNチャネルMOSFET301のオン状態を維持する必要がある。しかし、抵抗204と抵抗402との合成抵抗値が小さすぎると、NチャネルMOSFET301をオン状態に保持のための電源電力消費が増えてしまう。以上のように、オン状態維持と電源電力の消費低減の観点から、抵抗204の抵抗値およびコンデンサ203の静電容量を適切に設計する。
【0023】
ここで、異常でない振動の微小充電電流が持続することによってNチャネルMOSFET301が誤ってオンになってしまうことに関して、当該誤作動を防止するための時定数の設定について検討する。
【0024】
本実施の形態では、異常時に現れる「ある周波数の、ある値以上の加速度」の振動に注目し、振動発電素子10の共振周波数を「ある周波数」に一致させて異常判定を行う。そこで、発電量の瞬間値で閾値判定するのではなく、持続時間を含めて判定することで、誤動作をなくすようにする。具体的には、ある値以上の加速度の振動が、一定時間持続したことによって判定することとする。
【0025】
ここで、図1を参照して、上記判定を行うための、整流・蓄電部20のコンデンサ203の静電容量Cと抵抗204の抵抗値Rによる時定数の設定について説明する。
【0026】
振動発電素子10と整流部(整流・蓄電部20のダイオード201、202により構成される部分)を直流電流源(電流i10、持続時間t2)で近似する。コンデンサ203の充電電圧V1がNチャネルMOSFET301のゲート閾値電圧Vth1を超えると、NチャネルMOSFET301はオン状態になるとする。
【0027】
振動発電素子10の電流i10は振動の加速度に正比例するため、電流i10と、NチャネルMOSFET301のゲート閾値電圧Vth1が決まると、以下の式(1)により抵抗204の抵抗値Rの下限値を求めることができる。
【0028】
【数1】
【0029】
なお、抵抗値Rは、ゲート閾値電圧Vth1に対してi10・Rが確実に大きくなるように、大きめの値に設定するとよい。
【0030】
振動発電素子10による発電持続時間の間、コンデンサ203の充電電圧V1は、コンデンサ203の静電容量C、及び発電開始からの経過時間t1(<t2)を用いて、以下の式(2)によって表される。
【0031】
【数2】
【0032】
したがって、発電開始からの経過時間t1(<t2)でNチャネルMOSFET301がオン状態になるためのコンデンサ203の静電容量Cの大きさは、上記式(2)のV1をVth1とすると、以下の式(3)によって算出することができる。
【0033】
【数3】
【0034】
このようにして、整流・蓄電部20のコンデンサ203の静電容量Cと抵抗204の抵抗値Rによる時定数を設定することで、ある周波数の、ある値以上の加速度の振動が一定時間持続したことによる発電によって充電された整流・蓄電部20の電圧値の閾値判定を行うことができる。
【0035】
上述した振動発電素子10は、固有振動数f0において振動振幅が大きくなる共振型の振動発電素子であり、固有振動数f0を中心とする近傍において大きな発電電圧が得られる。そのため、監視対象の装置が異常のときに発生する周波数(または周波数域)に固有振動数f0をほぼ一致させて設計することで、異常時のみに発電電圧が大きくなってスイッチ回路30がオン状態になり、報知部70に電源が供給されて異常が報知される。また、報知部70による異常報知が行われない非異常時には、振動発電素子10の発電電圧は小さくスイッチ回路30はオフ状態に維持されるので、電池60の無駄な消費が防止される。なお、監視対象より発生する周波数が所定帯域に分布している場合には、その帯域に合わせて固有振動数f0が設定される。
【0036】
このように、本実施の形態の振動発電素子10は、異常を捉えるセンサとして機能するものであるが、通常の加速度センサ等とは異なり、外部から電源を供給する必要がない。振動発電素子10の代わりに電源の必要な加速度センサ等を異常検出用センサとして用いた場合、異常検出用センサは、監視対象が異常状態か否かに関係なく常に電力を消費するので、その分だけ電池60の寿命が短くなり、より頻繁に電池交換をしなければならない。一方、図1に示した監視装置1では、異常時の報知動作時のみに電力が消費されるだけなので、電池60の長寿命化を図ることができる。
【0037】
図1に示した監視装置1では、振動発電素子10の固有振動数f0を、監視対象が異常のときに発生する周波数に一致させた。そのため、スイッチ回路30は、監視対象が正常時はオフで、異常時にオンとなる。一方、監視対象が正常時に発生する音や振動の周波数fが、監視対象が異常状態になると変化するような場合には、監視装置1をそのような周波数の変化を検出する構成とすることで、監視対象の異常を検出することができる。
【0038】
周波数の変化を検出する構成の場合、振動発電素子10の固有振動数f0を正常時の周波数fに一致させる。監視対象が正常時には大きな充電電圧V1が得られ、監視対象が異常状態となって発生する周波数が正常時の周波数fからずれると、充電電圧V1はV1≒0となる。その場合、スイッチ回路30は、図1に示したスイッチ回路30とは動作を反転させた構成、すなわち、充電電圧V1が所定の閾値以上となった場合に電池60から報知部70への電源供給をオフし、充電電圧V1が所定の閾値を下回った場合に電源供給をオンする。例えば、ノーマリークローズ型(b接点)のフォトリレーの入力側に振動発電素子10を接続し、発電時には電源供給をオフし、発電停止時に電源供給をオンする。報知部70は、電源供給により異常を報知する信号を外部装置へ送信する。
【0039】
なお、図1に示すスイッチ回路30の構成であっても、振動発電素子10の固有振動数を正常時の周波数に設定し、正常時には充電電圧V1が閾値以上となってスイッチ回路30がオン状態となり、報知部70から正常状態を報知する正常信号を送出する構成とすることができる。この構成の場合、充電電圧V1が閾値を下回ってスイッチ回路30がオフ状態となり正常信号が途絶えたことによって、監視対象が異常であることを知ることができる。図1の構成の場合と比べると省エネ効果は低いが、加速度センサ素子とFFTとを搭載したセンサに比べれば消費電力を低減することができる。
【0040】
また、図1の場合と同様に振動発電素子10の固有振動数f0を、監視対象が異常のときに発生する周波数に一致させ、スイッチ回路30を、図1に示したスイッチ回路30とは動作を反転させた構成としても良い。その場合、充電電圧V1が所定の閾値以上となった場合に電源供給がオフされ、充電電圧V1が所定の閾値を下回った場合に電源供給がオンされる。報知部70からは、正常を示す信号が送信される。この構成の場合も、図1の構成の場合と比べると省エネ効果は低いが、加速度センサ素子とFFTとを搭載したセンサに比べれば消費電力を低減することができる。
【0041】
(変形例1)
図1に示した例では、報知部70は異常か否かを知らせる報知信号を送信部701から送信することで、異常を報知した。しかし、報知手段としては報知信号を送信するだけでなく、種々の手段が可能である。例えば、図2に示す変形例1のように、送信部701に代えて、異常検出により発光するLED表示部703を設けても良い。振動発電素子10により異常が検出され電池60から報知部70に電源が供給されると、制御部702はオフ状態(開状態)のスイッチ704をオン状態(閉状態)に切り替える。オン状態になったスイッチ704は、スイッチ回路30を介した報知部70への電源供給が停止状態になった場合でも、オン状態を維持するように構成されている。その結果、LED表示部703は、異常検出により一端点灯すると、振動発電素子10の発電量が小さくなり充電電圧V1が閾値を下回ってスイッチ回路30がオフ状態となっても、点灯状態が維持される。
【0042】
(変形例2)
図3は、上述した実施の形態の変形例2を示す図である。図3に示す監視装置1では、振動発電素子10A,10B,10Cとその整流部20aとからなる構成をそれぞれ備え、それらを蓄電部20bに並列接続するようにした。振動発電素子10A,10B,10Cの固有振動数は、それぞれfa、fb、fcである。例えば、監視対象が3種類あってそれらの周波数がf1、f2、f3であった場合、fa=f1、fb=f2、fc=f3のように設定する。監視対象から周波数f1、f2、f3の内のどれか一つでも発生すると、振動発電素子10A,10B,10Cの内の対応する振動発電子による発電が行われ、充電電圧V1が閾値以上となるとスイッチ回路30がオン状態となり、報知部70による報知が実行される。
【0043】
図3に示す例では3つの振動発電素子10A,10B,10Cを設けたが、振動発電素子の数は2つでも、また、4以上であっても構わない。固有振動数の異なる複数の振動発電素子を設けたことにより、複数種類の異常を検出することができる。なお、一種類の異常であっても、図4に示すように異常音の周波数f1~f5が幅広い帯域に拡がっている場合がある。このような場合、振動発電素子10A~10Cの固有振動数fa~fcを図4のように設定することで、周波数f1~f5のどの異常音が発生した場合でも、異常音発生を検出することができる。
【0044】
また、異常音の周波数が一種類のf1だけであった場合でも、固有振動数がfa=fb=fc=f1のように設定された複数の振動発電素子10A,10B,10Cを設けるようにしても良い。そのような構成とすることで、いずれかの振動発電素子に動作不具合が生じた場合でも、他の正常な振動発電素子の発電により異常音の発生を検出することができる。
【0045】
(変形例3)
図5は、上述した実施の形態の変形例3を示す図である。図5は、図1と同じ構成の監視装置1に加えて、報知先装置71を示す。報知先装置71は、報知部70からの信号の送信先である。上述した実施の形態では、監視装置1は、監視対象の正常状態または異常状態を示す音または振動を検知して、監視対象が正常であるかまたは異常であることを示す信号を送信したが、監視装置1は、監視対象の状態が、無音の状態から所定の音(例えば、監視対象の異常を示す音ではなく、定期的な発信音)を発生する状態へ変化したときに、当該所定の音を検知して、報知部70がその状態変化を示す信号を報知先装置71に送信するようにしてもよい。すなわち、振動発電素子10の共振周波数を所定の音の「ある周波数」に一致させて、持続時間を含めて判定することで、所定の音が発生しているかどうかの判定を行ってよい。なお、監視装置1の動作は、上述した実施の形態と同様である。
【0046】
変形例3では、例えば、監視対象から所定の音が鳴ったときに、報知部70からWake-up信号を送信することにより、報知先装置71をWake-upさせることができる。そうすることにより、待機電力を大幅に削減して(または待機電力をなくして)、電池寿命を延ばすことができる。すなわち、監視対象から特定の周波数の音が発生した場合に、振動発電素子10とスイッチング素子301,302とによって報知先装置71をWake-upさせることができる。あるいは、監視対象から所定の音が鳴ったときに、報知部70が報知先装置71にSleep信号を送信するようにしてもよい。このように、本変形例によると、監視装置1は、監視対象の状態変化を報知し、対象システム(すなわち、報知先装置71)の動作を制御することができる。
【0047】
[適用例]
上述した監視装置1を、変電所の変圧器の状態を監視する装置に適用した場合について説明する。図6は、変電所の変圧器80の外観を模式的に示した図である。変圧器本体801は筐体802の内部に収納されている。監視装置1は、図1に示した各部の部品をケースに収納したものであり、例えば、監視装置1aのように変圧器本体801の表面や、監視装置1b,1cのように筐体802の内壁面または外壁面に取り付けられる。取り付け方法は、接着やねじ止め等の様々な方法が可能である。
【0048】
変圧器80は、磁束が鉄心に鎖交することで磁歪が生じ、通常、電源周波数の2倍の整数倍に比例した周波数の励磁音を発生している。変圧器80に内部異常(雷侵入等による異常電圧、絶縁紙の劣化による絶縁耐力の低下、層間短絡等)が発生すると、巻線間の絶縁が保てず放電が発生し、異常の度合いの進行に応じて断続的な部分放電、持続的な放電そしてアーク放電という形態を取るのが一般的である。監視装置1の振動発電素子10は、固有振動数f0を変圧器本体801の異常により発生する音または振動の周波数とほぼ同一に設定されている。
【0049】
変電所における変圧器の検査は、通常、目視による巡回検査を実施し、主に目視等の五感により異常確認が行われている。巡回中に人の耳で異常音を聞き分けて検査する場合、放電やアーク放電は常に異常音を発している可能性があるので聞き分けが可能である。しかし、部分放電は低エネルギー放電で異常音の音圧レベルが小さく、励磁音に埋もれて異常音を聞き取れない可能性がある。さらに、巡回による定期検査では、検査していない期間に異常が発生した場合には、異常発生に対する対応が遅れてしまうという問題がある。
【0050】
一方、図6に示すように、監視装置1(1a~1c)を変圧器80に設けておくことで、変圧器80に異常が生じていないか否かを常時監視することができ、異常に対して迅速に対応することができる。例えば、図1に示すように一つの振動発電素子10が設けられている監視装置1の場合、振動発電素子10の固有振動数f0を最も初期段階の異常音である部分放電の周波数に一致させることで、異常状態がアーク放電の段階に至る前に異常を検出することができる。部分放電は断続的に発生すると共に音圧レベルや振動レベルが小さいが、固有振動数f0を部分放電の周波数に一致させることで振動発電素子10が敏感に反応し、変圧器80の異常を確実に検出することができる。
【0051】
また、複数の振動発電素子10A~10Cを備える図3の監視装置1を用いても良い。その場合、固有振動数fa~fcを同じ値としても良いし、異なる値に設定しても良い。固有振動数fa~fcを同じ値に設定する場合、例えば、部分放電の周波数に一致するように設定する。複数の振動発電素子10A~10Cを備えることで、振動発電素子の不具合に対する信頼性向上を図ることができる。
【0052】
複数の異常音をそれぞれ検出できるように異なる値に設定する場合には、例えば、固有振動数faを部分放電の周波数に一致させ、固有振動数fbを次の段階の持続的な放電の周波数に一致させ、固有振動数fcを最終段階のアーク放電の周波数に一致させる。上述した図1の構成を適用した場合と比較すると、図1の場合には、部分放電の異常音が発生されずに次の段階の持続的な放電が発生するような状況に対して、異常を検出することができない。しかし、図3の構成の監視装置1を採用した場合には、そのような状況であっても、次の段階である持続的な放電を振動発電素子10Bの発電によって検出することができる。
【0053】
また、図2の監視装置1を適用した場合、従来、変圧器の異常音を作業員が巡回によって発見する監視方法の場合、断続的に発生する異常音の場合には異常音発生を聞き逃すおそれがあったが、LED表示の発光であれば巡回時に見逃す可能性が低く、異常監視の確実性向上を図ることができる。この場合、異常音が消えてスイッチ回路30がオン状態からオフ状態になっても、電池60からLED表示部703への電力供給は継続されるが、定期的に行われる巡回時に異常が発見された際に電池60を交換すれば、次の異常時の際に、電池消耗によるLED表示部703の非点灯といった不都合を避けることができる。
【0054】
なお、上記適用例では、変電所の変圧器への適用を例に説明したが、本実施の形態の監視装置1は、変圧器に限らず、モータ、ポンプ等の状態監視にも適用可能である。例えば、空調装置のモータ音の変化、すなわち、周波数の変化を監視装置1で検出して異常を検出する。
【0055】
上述した実施の形態の作用効果をまとめると以下のようになる。
(1)図1に示すように、監視装置1は、監視対象で生じる所定の周波数の音または振動に反応して発電する振動発電部としての振動発電素子10と、振動発電素子10による発電の有無に応じて監視対象の異常を報知する報知部70と、を備える。報知部70は、振動発電素子10の発電の電圧値と所定の閾値との大小関係に応じて、例えば、振動発電素子10の電圧値が所定の閾値以上の場合に異常を報知する構成なので、センサ部として機能する振動発電素子10は電源を必要としない。また、従来のように作業員の巡回により異常音を確認する監視方法では、作業員が異常音を聞き逃すおそれがあるが、振動発電素子10の発電により異常音や異常振動を検知し、報知部70により異常を報知する構成とすることで、異常の見逃しを防止することができる。
【0056】
(2)さらに、報知部70は、振動発電素子10の発電の電圧値と所定の閾値との大小関係の切り替わりに応じて起動し、監視対象の異常を報知するのが好ましい。例えば、図1に示す構成では、振動発電素子10の発電電圧値が所定の閾値を下回る状態から所定の閾値以上の状態へと切り替わると、電池60から報知部70への電源供給がオン状態となって報知部70が起動し、報知部70から報知信号が送信される。そのため、振動発電素子10が所定の周波数の音または振動に反応するまでは、待機電力を必要とせず、電池60の電力消費を削減することができる。
【0057】
(3)図1に示すように、報知部70を動作させるための電池60と、振動発電素子10の発電の電圧値が前記所定の閾値以上の場合、すなわち、充電電圧V1が所定の閾値(ゲート閾値電圧Vth1)以上の場合は電池60から報知部70への電源供給を許可し、振動発電素子10の発電の電圧値が前記所定の閾値を下回る場合は電池60から報知部70への電源供給を遮断する開閉部としてのスイッチ回路30、をさらに備え、報知部70は、スイッチ回路30の許可により電源供給が行われると起動し、監視対象の異常を報知する。
【0058】
なお、図1に示す構成では、スイッチ回路30により電源供給をオフ状態からオン状態に切り替えることにより報知部70を起動させたが、電池60に接続された状態の報知部70を、振動発電素子10の発電開始をトリガ信号として起動させるような構成としても良い。
【0059】
(4)図1に示すように、振動発電素子10の発電電圧値が前記所定の閾値以上から前記所定の閾値を下回る値になると、スイッチ回路30の電源供給許可状態を所定時間保持した後に、スイッチ回路30を遮断状態に切り替える保持部として、自己保持回路40およびオフ回路50をさらに備える。電源供給許可状態を所定時間保持するように構成したので、所定時間を報知処理時間以上とすることで、報知部70による報知処理を確実に完了させることが可能となる。さらに、所定時間保持後はスイッチ回路30を遮断状態に切り替えるようにしているので、報知部70による無駄な電力消費を防止することができる。
【0060】
(5)図3に示すように、振動発電部として複数の振動発電素子10A~10Cを備え、スイッチ回路30は、複数の振動発電素子10A~10Cの少なくとも一つの電圧値が所定の閾値以上の場合は報知部70への電源供給を許可し、複数の振動発電素子10A~10Cの全ての電圧値が所定の閾値を下回る場合は報知部70への電源供給を遮断する。すなわち、複数の振動発電素子10A~10Cの少なくとも一つの電圧値が所定の閾値以上であれば、報知部70による報知が行われる。
【0061】
(6)例えば、複数の振動発電素子10A~10Cの固有振動数が互いに異なるように設定することで、周波数が異なる複数の異常音や異常振動を検出することができる。
【0062】
(7)また、図6に示すように、監視装置1の監視対象が変電所の変圧器80である場合、振動発電素子10の固有振動数は、変圧器80の部分放電の周波数に設定される。部分放電は、変圧器80の異常として発生する放電の初期段階の放電であり、部分放電を監視装置1により検出することで、変圧器80が故障に至る前に異常を検出することができる。
【0063】
(8)また、報知部70を動作させるための電池60と、振動発電素子10の発電の電圧値が所定の閾値以上の場合は電池60から報知部70への電源供給を許可し、振動発電素子10の発電の電圧値が所定の閾値を下回る場合は電池60から報知部70への電源供給を遮断する開閉部と、をさらに備え、報知部70は、電源供給により起動して監視対象の正常を報知し、電源供給の遮断により前記正常の報知を停止することで監視対象の異常を報知する。
【0064】
(9)また、報知部70を動作させるための電池60と、振動発電素子10の発電の電圧値が所定の閾値以上の場合は電池60から報知部70への電源供給を遮断し、振動発電素子10の発電の電圧値が所定の閾値を下回る場合は電池60から報知部70への電源供給を許可する開閉部と、をさらに備え、報知部70は、開閉部の許可により電源供給が行われると起動し、監視対象の異常を報知する。
【0065】
(10)さらにまた、報知部70を動作させるための電池60と、振動発電素子10の発電の電圧値が所定の閾値以上の場合は電池60から報知部70への電源供給を遮断し、振動発電素子10の発電の電圧値が所定の閾値を下回る場合は電池60から報知部70への電源供給を許可する開閉部と、をさらに備え、報知部70は、電源供給により起動して監視対象の正常を報知し、電源供給の遮断により前記正常の報知を停止することで監視対象の異常を報知する。
【0066】
(11)さらに、図1の送信部701のように、無線信号を送信することにより外部装置へ異常を報知することで、監視作業における無人化を図ることができる。
【0067】
(12)また、図1に示すように、監視装置1は、振動発電素子10による発電によって充電される蓄電部としての整流・蓄電部20をさらに備える。整流・蓄電部20は、ある値以上の加速度の振動が一定時間持続したことによる発電によって所定の閾値以上の電圧値を有するように設定される。そうすることで、例えば、異常でない振動の微小充電電流が持続することにより、整流・蓄電部20が所定の閾値以上の電圧値を有するような充電が行われてしまい、開閉部としてスイッチ回路30が誤動作することを防止することができる。
【0068】
(13)さらに、監視装置1は、監視対象が所定の音を発生する状態へ変化したときに、当該状態変化を報知して、外部装置を制御することができる。この場合、監視対象の状態が異常であるとは限らない。
【0069】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1,1a~1c…監視装置、10,10A~10C…振動発電素子、20…整流・蓄電部、20a…整流部、20b…蓄電部、30…スイッチ回路、40…自己保持回路、50…オフ回路、60…電池、70…報知部、80…変圧器、701…送信部、703…LED表示部、704…スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6