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特開2022-167809最適化された流体吐出特徴を有する吐出ヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167809
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】最適化された流体吐出特徴を有する吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20221027BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B41J2/14 501
B41J2/14 305
B41J2/16 507
B41J2/16 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064426
(22)【出願日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】17/237,312
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】マーラ サード・マイケル エー.
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF99
2C057AG01
2C057AG12
2C057AG13
2C057AG14
2C057AG44
2C057AP12
2C057AP13
2C057AP31
2C057AP35
2C057AQ03
2C057BA04
(57)【要約】
【課題】吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】該吐出ヘッドは、半導体基板上に堆積された第1流体吐出器と第2流体吐出器とを含む。第1流体供給チャネルと、第1流体チャンバと、第2流体供給チャネル及び第2流体チャンバの第1部分とを提供するため、第1フロー特徴層が半導体基板に取り付けられる。第1ノズル孔の第1部分と、第2流体供給チャネル及び第2流体チャンバの第2部分とを提供するため、第2フロー特徴層が第1フロー特徴層に取り付けられる。第1ノズル孔の第2部分と、第2ノズル孔の第1部分とを提供するため、第1ノズルプレート層が第2フロー特徴層に取り付けられる。第2ノズル孔の第2部分を提供するため、第2ノズルプレート層が第1ノズルプレート層に取り付けられる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出装置のための吐出ヘッドであって、
半導体基板上に堆積された複数の第1流体吐出器及び第2流体吐出器と、
前記半導体基板に取り付けられ、第1フロー特徴層において前記複数の第1吐出器のための複数の第1流体供給チャネル及び複数の第1流体チャンバと、前記複数の第2吐出器のための複数の第2流体供給チャネル及び複数の第2流体チャンバの第1部分とを提供する第1フロー特徴層と、
前記第1フロー特徴層に取り付けられ、前記複数の第1流体チャンバに隣接した第1ノズル孔の第1部分と、前記複数の第2吐出器のための前記複数の第2流体供給チャネル及び前記複数の第2流体チャンバの第2部分とを提供する第2フロー特徴層と、
前記第2フロー特徴層に取り付けられ、前記複数の第1流体チャンバに隣接した前記第1ノズル孔の第2部分と、前記複数の第2流体チャンバに隣接した第2ノズル孔の第1部分とを提供する第1ノズルプレート層と、
前記第1ノズルプレート層に取り付けられ、前記複数の第2流体チャンバに隣接した前記第2ノズル孔の第2部分を提供する第2ノズルプレート層と
を含む、
吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第2ノズル孔を介して前記複数の第2流体吐出器により吐出される流体のボリュームが、前記第1ノズル孔を介して前記複数の第1流体吐出器により吐出される流体のボリュームの2~6倍である、
請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1フロー特徴層が、10~20ミクロンの範囲の厚さを有する第1フォトレジスト材料層由来である、
請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第2フロー特徴層が、1~10ミクロンの範囲の厚さを有する第2フォトレジスト材料層由来である、
請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第1ノズルプレート層が、5~30ミクロンの範囲の厚さを有する第3フォトレジスト材料層由来である、
請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第2ノズルプレート層が、5~30ミクロンの範囲の厚さを有する第4フォトレジスト材料層由来である、
請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第2フロー特徴層、前記第1ノズルプレート層、及び前記第2ノズルプレート層が積層フォトレジスト材料層を含む、
請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項8】
前記吐出ヘッドが流体吐出装置のための流体カートリッジに取り付けられ、前記流体カートリッジが少なくとも2つの異なる流体を含む、
請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項9】
複数の流体吐出器を有する半導体基板を提供することと、
前記半導体基板に第1流体フロー層を施すことと、
前記第1流体フロー層に、複数の第1流体吐出器のための第1流体チャネル及び第1流体チャンバと、複数の第2流体吐出器のための第2流体チャネル及び第2流体チャンバの第1部分とを画像形成及び現像することと、
前記半導体基板に流体供給ビアをエッチングすることと、
前記第1流体フロー層に第2流体フロー層を施すことと、
前記第2流体フロー層に、前記第1流体チャンバに隣接した第1ノズル孔の第1部分と、前記複数の第2流体吐出器のための前記第2流体チャネル及び前記第2流体チャンバの第2部分とを画像形成及び現像することと、
前記第2流体フロー層に第1ノズルプレート層を施すことと、
前記第1流体チャンバに隣接した前記第1ノズル孔の第2部分と、前記第2流体チャンバに隣接した第2ノズル孔の第1部分とを提供するため、前記第1ノズルプレート層を画像形成及び現像することと、
前記第1ノズルプレート層に第2ノズルプレート層を施すことと、
前記第2流体チャンバに隣接した前記第2ノズル孔の第2部分を提供するため、前記第2ノズルプレート層を画像形成及び現像することと
を含み、
前記第2ノズル孔を介し前記複数の第2流体吐出器から吐出される流体のボリュームが、前記第1ノズル孔を介し前記複数の第1流体吐出器から吐出される流体のボリュームの2~6倍である、
吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記第1流体フロー層が、前記半導体基板にスピンオンされたフォトレジスト材料である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2流体フロー層が前記第1流体フロー層に積層される、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1ノズルプレート層が前記第2流体フロー層に積層される、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2ノズルプレート層が前記第1ノズルプレート層に積層される、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
複数の第1流体吐出器と複数の第2の流体吐出器とを含む半導体基板と、
前記半導体基板に取り付けられたフロー特徴層と、
前記フロー特徴層に取り付けられたノズルプレート層と
を含み、
前記フロー特徴層が、
前記複数の第1流体吐出器に関連付く複数の第1流体供給チャネル及び複数の第1流体チャンバと、
前記複数の第2の流体吐出器に関連付く複数の第2の流体供給チャネル及び複数の第2の流体チャンバと
を含み、
前記ノズルプレート層が、
前記複数の第1流体チャンバに関連付く複数の第1ノズル孔と、
前記複数の第2の流体チャンバに関連付く複数の第2のノズル孔と
を含み、
前記複数の第2のノズル孔により吐出される流体のボリュームが、前記複数の第1ノズル孔により吐出される流体のボリュームの2~6倍である、
多流体吐出ヘッド。
【請求項15】
前記フロー特徴層が、前記半導体基板に取り付けられたフォトレジスト材料由来の第1フロー特徴層と、前記第1フロー特徴層に取り付けられたフォトレジスト材料由来の第2フロー特徴層とを含む、
請求項14に記載の多流体吐出ヘッド。
【請求項16】
前記第1フロー特徴層が、10~20ミクロンの範囲の厚さを有する、
請求項15に記載の多流体吐出ヘッド。
【請求項17】
前記第2フロー特徴層が、1~10ミクロンの範囲の厚さを有する、
請求項15に記載の多流体吐出ヘッド。
【請求項18】
前記ノズルプレート層が、前記第2フロー特徴層に取り付けられた第1ノズルプレート層と、前記第1ノズルプレート層に取り付けられた第2ノズルプレート層とを含む、
請求項15に記載の多流体吐出ヘッド。
【請求項19】
前記第1ノズルプレート層が、5~30ミクロンの範囲の厚さを有する、
請求項18に記載の多流体吐出ヘッド。
【請求項20】
前記第2ノズルプレート層が、5~30ミクロンの範囲の厚さを有する、
請求項18に記載の多流体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改善された吐出ヘッドに関するものであり、特に、異なる流体を同一の吐出ヘッドから吐出するため最適化された流体吐出特徴を有する吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小電子機械システム(MEMS)及びナノデバイスは、典型的に、画像形成された材料から製造された3次元(3D)構造を含む。MEMS及びナノデバイスの例には、流体吐出ヘッド、マイクロフィルタ、マイクロセパレータ、マイクロシーブ、及び他のマイクロ及びナノスケールの流体取扱構造を含むが、これに限定されない。このような構造は、多様な流体を取り扱うことができる。例えば、流体吐出ヘッドは、インク、冷却液、薬剤、潤滑剤等を含む様々な流体を吐出するために有用なナノデバイスである。流体吐出ヘッドは、蒸気治療、電子タバコ等のための蒸気化装置にも用いられることができる。
【0003】
流体吐出ヘッドは単純なデバイスのように思えても、強力でありながら多用途な流体吐出ヘッドを提供するために、電子回路、インク経路、そして精密に組み立てられた様々な微小部品を含む、比較的複雑な構造を有するデバイスである。吐出ヘッドの部品は互いに協働し、様々な流体や流体配合物に対して有用でなければならない。従って、吐出すべき流体に吐出ヘッド部品が適合性を有することが重要である。
【0004】
流体吐出ヘッドの主要部品は、半導体基板、フロー特徴層、ノズルプレート層、及び基板に取り付けられたフレキシブル回路である。半導体基板はシリコン製であり、そのデバイス面に堆積された様々なパッシベーション層、導電性金属層、抵抗層、絶縁層、及び保護層を含むことが好ましい。基板のデバイス面に形成された流体吐出アクチュエータは、サーマルアクチュエータ、バブルジェットアクチュエータ、又は圧電アクチュエータであってよい。サーマルアクチュエータでは、個別のヒータ抵抗器が抵抗層に定義され、各ヒータ抵抗器は流体を加熱して吐出ヘッドから所望の基板又は目標へ吐出するためにノズルプレートのノズル孔に対応する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の吐出ヘッドは単一のフロー特徴層と単一のノズルプレート層とを含む。このような吐出ヘッドは、典型的に、例えばインクといった1つの種類の流体を吐出するために設計及び最適化されており、吐出ヘッドにより吐出されるブラックインクのボリュームは、吐出されるカラーインクのボリュームの2倍未満であり得る。このように、単一の吐出ヘッドがブラック及びカラーインクを含む流体カートリッジのために用いられる可能性がある。
【0006】
蒸気療法、薬剤送達、又はアッセイ分析といったいくつかの応用では、様々な水性及び/又は非水性流体、及び/又は様々な流体ボリュームが、多流体含有カートリッジに取り付けられた単一の吐出ヘッドにより吐出されることを要する可能性がある。このため、単一の吐出ヘッドから2つ以上の異なる種類の流体を吐出することが望ましい場合、1種類の流体を吐出するために最適化された吐出ヘッドでは異なる種類及び/又はボリュームの流体を吐出するには最適でない可能性がある。例えば、水性流体を吐出するために設計された吐出ヘッドは、水性の流体と非水性の流体の両方を吐出するよう最適に設計されていない。同様に、約3~約6ナノグラムの流体を吐出するよう設計された吐出ヘッドは、約2:1~約6:1の範囲の流体ボリューム比を有する2つ以上の異なる流体を吐出するには有用でない可能性がある。
【0007】
従って、2つ以上の異なる種類の流体のための最適化された流体吐出特徴を提供するよう製造プロセスの間に構成されることのできる吐出ヘッドが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記を鑑み、本発明の1つの実施形態は、流体吐出装置のための吐出ヘッドを提供する。該吐出ヘッドは、半導体基板上に堆積された複数の第1流体吐出器と、複数の第2流体吐出器とを含む。第1フロー特徴層において複数の第1流体吐出器のための複数の第1流体供給チャネル及び複数の第1流体チャンバと、複数の第2流体吐出器のための複数の第2流体供給チャネル及び複数の第2流体チャンバの第1部分とを提供するため、第1フロー特徴層が半導体基板に取り付けられる。複数の第1流体チャンバに隣接した第1ノズル孔の第1部分と、複数の第2流体吐出器のための複数の第2流体供給チャネル及び複数の第2流体チャンバの第2部分とを提供するため、第2フロー特徴層が第1フロー特徴層へ取り付けられる。複数の第1流体チャンバに隣接した第1ノズル孔の第2部分と、複数の第2流体チャンバに隣接した第2ノズル孔の第1部分とを提供するため、第1ノズルプレート層が第2フロー特徴層へ取り付けられる。複数の第2流体チャンバに隣接した第2ノズル孔の第2部分を提供するため、第2ノズルプレート層が第1ノズルプレート層へ取り付けられる。第2ノズル孔を介して複数の第2流体吐出器により吐出される流体のボリュームは、第1ノズル孔を介して複数の第1流体吐出器により吐出される流体のボリュームの約2~約6倍である。
【0009】
もう1つの実施形態において、吐出ヘッドの製造方法を提供する。該方法は、複数の流体吐出器を有する半導体基板を提供することを含む。第1流体フロー層が半導体基板に施される。複数の第1流体吐出器のための第1流体チャネル及び第1流体チャンバと、複数の第2流体吐出器のための第2流体チャネル及び第2流体チャンバの第1部分とが、第1流体フロー層において画像形成されて現像される。流体供給ビアが半導体基板にエッチングされる。第2流体フロー層が第1流体フロー層へ施される。第1流体チャンバに隣接した第1ノズル孔の第1部分と、複数の第2流体吐出器のための第2流体チャネル及び第2流体チャンバの第2部分とが、第2流体フロー層において画像形成されて現像される。第1ノズルプレート層が第2流体フロー層に施される。第1流体チャンバに隣接した第1ノズル孔の第2部分と、第2流体チャンバに隣接した第2ノズル孔の第1部分とを提供するため、第1ノズルプレート層が画像形成されて現像される。第2ノズルプレート層が第1ノズルプレート層に施される。第2流体チャンバに隣接した第2ノズル孔の第2部分を提供するため、第2ノズルプレート層が画像形成されて現像される。複数の第2ノズル孔を介して複数の第2流体吐出器により吐出される流体のボリュームは、複数の第1ノズル孔を介して複数の第1流体吐出器により吐出される流体のボリュームの約2~約6倍である。
【0010】
もう1つの実施形態は、複数の第1流体吐出器と複数の第2流体吐出器とを含む半導体基板と、半導体基板に取り付けられたフロー特徴層と、フロー特徴層に取り付けられたノズルプレート層とを含む多流体吐出ヘッドを提供する。フロー特徴層は、複数の第1流体吐出器に関連付く複数の第1流体供給チャネル及び複数の第1流体チャンバと、複数の第2流体吐出器に関連付く複数の第2流体供給チャネル及び複数の第2流体チャンバとを含む。ノズルプレート層は、複数の第1流体チャンバに関連付く複数の第1ノズル孔と、複数の第2流体チャンバに関連付く複数の第2ノズル孔とを含む。複数の第2ノズル孔により吐出される流体のボリュームは、複数の第1ノズル孔により吐出される流体のボリュームの約2~約6倍である。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1フロー特徴層は、約10~約20ミクロンの範囲の厚さを有する第1フォトレジスト材料層由来である。
【0012】
いくつかの実施形態において、第2フロー特徴層は、約1~約10ミクロンの範囲の厚さを有する第2フォトレジスト材料層由来である。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1ノズルプレート層は、約5~約30ミクロンの範囲の厚さを有する第3フォトレジスト材料層由来である。
【0014】
いくつかの実施形態において、第2ノズルプレート層は、約5~約30ミクロンの範囲の厚さを有する第4フォトレジスト材料層由来である。
【0015】
いくつかの実施形態において、第2フロー特徴層、第1ノズルプレート層、及び第2ノズルプレート層は積層フォトレジスト材料層を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1流体フロー層は、半導体基板にスピンオンされたフォトレジスト材料である。
【0017】
いくつかの実施形態において、第2流体フロー層は、第1流体フロー層に積層される。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1ノズルプレート層は、第2流体フロー層に積層される。
【0019】
いくつかの実施形態において、第2ノズルプレート層は、第1ノズルプレート層に積層される。
【0020】
いくつかの実施形態において、フロー特徴層は、半導体基板に取り付けられたフォトレジスト材料由来の第1フロー特徴層と、第1フロー特徴層に取り付けられたフォトレジスト材料由来の第2フロー特徴層とを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、ノズルプレート層は、第2フロー特徴層に取り付けられた第1ノズルプレート層と、第1ノズルプレート層に取り付けられた第2ノズルプレート層とを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、吐出ヘッドは流体吐出装置のための流体カートリッジに取り付けられ、流体カートリッジは少なくとも2つの異なる流体を含む。
【0023】
開示される実施形態の利点は、多様な流体及び/又は多様な流体ボリュームを取り扱うための単一の吐出ヘッドの改善された能力である。開示される実施形態は、吐出ヘッドのフロー特徴層とノズルプレート層の両方における複数の厚さを含む、複数の最適化された流体吐出構造を有する吐出ヘッドの製造を可能とする。従って、吐出ヘッドの領域を特定の流体のために個別に最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、単一の吐出ヘッドから2つまでの異なる流体を吐出するための流体カートリッジの、縮尺通りでない、斜視図である。
図2図2は、単一の吐出ヘッドから4つまでの異なる流体を吐出するための流体カートリッジの、縮尺通りでない、斜視図である。
図3図3は、図1又は図2の流体カートリッジを用いる流体分注装置の、縮尺通りでない、斜視図である。
図4図4は、図3の流体吐出装置で用いるためのマイクロウェルプレート及びそのトレイの、縮尺通りでない、斜視図である。
図5図5は、単一の流体を吐出するための先行技術の吐出ヘッドの一部の、縮尺通りでない、平面図である。
図6図6は、図5の先行技術の吐出ヘッドの、縮尺通りでない、断面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施形態による吐出ヘッドの、縮尺通りでない、断面図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態による吐出ヘッドの、縮尺通りでない、断面図である。
図9図9は、本発明による吐出ヘッドを製造するための、基板及び互いへのフォトイメージアブル層適用の、縮尺通りでない、概略断面図である。
図10図10は、図7の吐出ヘッドのための各フォトイメージアブル層のための画像形成及び現像パターンを示す、半導体基板及びフォトイメージアブル層の一部の、縮尺通りでない、平面図である。
図11図11は、図8の吐出ヘッドのための各フォトイメージアブル層のための画像形成及び現像パターンを示す、半導体基板及びフォトイメージアブル層の一部の、縮尺通りでない、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照し、2つまでの異なる流体を分注するための流体供給チャンバ14a及び14bと、流体供給チャンバ14aと14bとの間の分離壁16とを含むカートリッジ本体12を有する流体カートリッジ10を表している。流体チャンバ14aと14bとに対応する2つの流体供給ビア20aと20bとを含む吐出ヘッド18が、フレキシブル回路22により流体カートリッジ10に取り付けられる。フレキシブル回路は、吐出ヘッド18上の流体吐出器を作動させるため、流体吐出装置への電気接続を提供する。
【0026】
図2は、4つまでの異なる流体を分注するための流体供給チャンバ34a、34b、34c、34dと、流体供給チャンバ34a、34b、34c、34dの間の分離壁36a及び36bとを含むカートリッジ本体32を有する流体カートリッジ30を表す。流体チャンバ34a、34b、34c、34dに対応する4つの流体供給ビアを含む吐出ヘッドが、上述したように流体カートリッジ30に取り付けられる。
【0027】
上述した流体カートリッジ10と30は、インク、潤滑剤、医療アッセイ流体、薬剤、蒸気治療薬、化学反応性流体等を含むがこれらに限定されない、多様な流体を分注するために用いられることができる。このような流体カートリッジ10と30は、例えば、マイクロウェルプレート44のウェル42(図4)内、又はガラススライド(図示せず)上に1以上の流体及び/又は流体の1以上のボリュームを分注するための流体分注装置40(図3)において用いられることができる。マイクロウェルプレート44は、典型的に、装置の起動ボタン52が押されたときにマイクロウェルプレート44のウェル42に流体を堆積させるためマイクロウェルプレート44を流体分注装置40の本体50中を移動させるためのキャリッジ機構48内に配置される、トレイ46に保持される。医療アッセイ分析では、マイクロウェルプレート44の異なるウェル42は、分析を完了するために、単一の流体カートリッジから異なる流体及び流体の異なる量が分注されることを要する可能性がある。装置40で用いられる流体カートリッジは、マイクロウェルプレート44が装置40中をy方向に移動するにつれ、x方向にマイクロウェルプレート44を横切る。従って、マイクロウェルプレート44のウェル42内に複数の流体を分注するため、複数の流体供給チャンバを含む単一の流体カートリッジが用いることができる。
【0028】
上述したように、従来の先行技術の吐出ヘッドは典型的に特定の種類の流体に最適化されている。図5は先行技術の吐出ヘッド60の平面図であり、図6は吐出ヘッド60の図5に示された断面線4-4に沿った断面図である。吐出ヘッド60は、その上に堆積された複数の流体吐出器64とそれらの電子回路とを含む半導体基板62を含む。半導体基板62は、その上に形成された圧電デバイス又はヒータ抵抗器といった、複数の流体吐出器64を含むシリコン半導体基板であることが好ましい。
【0029】
半導体基板62の流体供給ビア72から流体供給チャネル68を介し流体チャンバ70へ流体を提供するため、流体供給チャネル68と流体チャンバ70とを含む流体フロー層66が半導体基板62に取り付けられる。ノズル孔76を含むノズルプレート74が流体フロー層66に取り付けられる。流体吐出器64が作動されると、流体はノズルプレート74のノズル孔76を介し所定の基板又はターゲット材へ吐出される。
【0030】
上記の先行技術の吐出ヘッド60は、流体のボリューム及び特性が比較的一定のままである単一の流体を容易に収容することができる。比較的一定とは、流体が特定の比重といった類似の特性を有し、流体が水性又は非水性のいずれかであり、吐出される流体のボリューム範囲がボリューム比2:1未満であることを意味する。
【0031】
しかし、特性及び吐出される量が大きく異なる可能性のある流体の単一吐出ヘッドからの吐出を提供する必要があるとき、図7と8に表すような吐出ヘッドを提供することができる。吐出ヘッド80は、半導体基板84にエッチングされた流体供給ビア82の対向する側に2つの異なる流体フロー構造を含む。例えば、流体吐出器90のための流体フローチャネル86と流体チャンバ88が基板84上の第1フロー特徴層92に提供され、ノズル孔94が第2フロー特徴層96と第1ノズルプレート層98により提供される。第1フロー特徴層92は、約10~約20ミクロンの範囲の厚さを有してよい。第2フロー特徴層96は、約1~10ミクロンの範囲の厚さを有してよい。第1ノズルプレート層98は、約5~30ミクロンの範囲の厚さを有してよい。
【0032】
流体供給ビア82の対向する側には、第1フロー特徴層92と第2フロー特徴層96とにより提供される、拡大された流体フローチャネル100と流体チャンバ102とを含む。ノズル孔94とは異なり、ノズル孔104は第1ノズルプレート層98と第2ノズルプレート層106とにより提供される。第2ノズルプレート層106は、約5~30ミクロンの範囲の厚さを有してよい。層92、96、98、106の厚さによって、様々な流体ボリュームが流体供給ビア82の各側から吐出されることができる。吐出ヘッド80は、水性流体と、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)である溶剤系流体といった、2つの異なる種類の流体の使用、そして、ノズル孔94を介して吐出される流体のボリュームの約2~約6倍であるノズル孔104を介して吐出される流体のボリュームを可能とする。例えば、吐出器90は吐出すべき流体の所望のボリュームが小さいときに作動されてよく、吐出器108は吐出すべき流体の所望のボリュームが大きいときに作動されてよい。同様に、吐出器90は1つの種類の吐出すべき流体のために用いられてよく、吐出器108は異なる種類の吐出すべき流体のために用いられてもよい。このため、特定の流体を吐出するのに最適なフロー特徴及びノズルを用いることで、幅広い種類及びボリュームの流体を吐出するために単一の吐出ヘッドを用いることができる。
【0033】
図8は、図1と2を参照して上記で説明したような、異なる流体のための複数の流体供給チャンバを有するカートリッジのためのマルチビア吐出ヘッド200を表す。単純化するため、半導体基板206にエッチングされた2つの流体供給ビア202と204のみを表している。吐出ヘッド80のように、吐出ヘッド200は第1フロー特徴層92において提供された流体供給チャネル208と流体チャンバ210とを有する。ノズル孔214は第2フロー特徴層96と第1ノズルプレート層98とにより提供される。従って、吐出器220の作動はノズル孔214を介した流体の吐出を提供する。上述したように、第1フロー特徴層92は約10~約20ミクロンの範囲の厚さを有してよい。第2フロー特徴層96は、約1~約10ミクロンの範囲の厚さを有してもよい。第1ノズルプレート層98は、約5~約30ミクロンの範囲の厚さを有してもよい。
【0034】
吐出ヘッド200は、吐出器220を作動させることにより吐出される流体よりも大きなボリュームを吐出するために最適化された流体供給ビア204に関連付くフロー特徴も含む。従って、吐出ヘッド200は、第1フロー特徴層92と第2フロー特徴層96とにより提供される流体供給チャネル222と流体チャンバ224、そして第1ノズルプレート層98と第2ノズルプレート層106とにより提供されるノズル孔226も含む。第2ノズルプレート層106は、約5~約30ミクロンの範囲の厚さを有する。吐出器230が作動されると、ノズル孔214により吐出される流体のボリュームと比較して、より大きな流体のボリュームがノズル孔226を介し吐出される。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1フロー特徴層92は厚さが約12~約16ミクロンの範囲であってよく、第2フロー特徴層96は厚さが約2~約9ミクロンの範囲であってもよい。第1ノズルプレート層98は厚さが約5~約12ミクロンの範囲であってもよく、第2ノズルプレート層106は厚さが約5~約20ミクロンの範囲であってもよい。吐出すべき流体により要求される特定のフロー特徴によって、フロー特徴層及びノズルプレート層に対して他の厚さが用いられてもよい。
【0036】
吐出ヘッド80は、基板84にフォトイメージアブル材料をスピンコート又は積層することにより、半導体基板84にフォトイメージアブル材料を施すことで製造されてもよい。フォトイメージアブル材料は、半導体基板に流体供給ビアが形成される前に半導体基板84にスピンコート又は積層されるネガ型フォトレジスト材料であってよい。図7と併せて図9と10を参照し、吐出ヘッド80を提供するために用いられる各層のための画像形成及び現像パターンを表す。層92、96、98、106のそれぞれは、吐出ヘッド構造に一度に1つずつ施される。次いで、これら層は各層のため図10に示したパターンを用いて一度に1つずつ画像形成及び現像される。
【0037】
図示されるように、半導体基板84は、従来のマイクロ電子処理技術により形成される流体吐出器90と108を含む。次に、第1フロー特徴層92が半導体基板84にスピンオン又は積層される。次いで、流体フローチャネル86と、流体フローチャネル100の第1部分100a、並びに、流体チャンバ88と、流体チャンバ102の第1部分102aとを提供するため、第1フロー特徴層92がマスクを介して画像形成されて現像される。第1フロー特徴層92を画像形成及び現像した後、流体供給ビア82が深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)処理を用いて半導体基板にエッチングされる。
【0038】
次に、画像形成及び現像された第1フロー特徴層92に第2フロー特徴層96が積層される。ノズル孔94の第1部分94aと、流体フローチャネル100の第2部分100bと、流体チャンバ102の第2部分102bとを提供するため、第2フロー特徴層96がマスクを介して画像形成されて現像される。
【0039】
次に、第1ノズルプレート層が第2フロー特徴層96に積層される。ノズル孔94の第2部分94bと、ノズル孔104の第1部分104aとを提供するため、第1ノズルプレート層98がマスクを介して画像形成されて現像される。第1ノズルプレート層98を画像形成及び現像した後、第2ノズルプレート層106が第1ノズルプレート層98に積層される。部分240を完全に除去し、ノズル孔104の第2部分104bを形成するため、第2ノズルプレート層106がマスクを介して画像形成されて現像される。吐出ヘッドを形成するためにネガ型フォトレジスト材料が用いられるとき、活性光線に露光された領域のみが残り、マスクの非透明領域により遮られた未露光領域は除去され、図7に示すような各層における吐出ヘッドのフロー特徴が形成される。
【0040】
図8と併せて図9と11を参照し、吐出ヘッド200を提供するために用いられる各層のための画像形成及び現像パターンを表す。層92、96、98、106のそれぞれは、吐出ヘッド構造に一度に1つずつ施される。次いで、これら層は各層のため図11に示したパターンを用いて一度に1つずつ画像形成及び現像される。
【0041】
図示されるように、半導体基板206は、従来のマイクロ電子処理技術により形成される流体吐出器220と230を含む。次に、第1フロー特徴層92が半導体基板206にスピンオン又は積層される。次いで、流体供給チャネル208と、流体フローチャネル222の第1部分222a、並びに、流体チャンバ210と、流体チャンバ224の第1部分224aとを提供するため、第1フロー特徴層92がマスクを介して画像形成されて現像される。第1フロー特徴層92を画像形成及び現像した後、流体供給ビア202と204が深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)処理を用いて半導体基板にエッチングされる。
【0042】
次に、画像形成及び現像された第1フロー特徴層92に第2フロー特徴層96が積層される。ノズル孔214の第1部分214aと、流体フローチャネル222の第2部分222bと、流体チャンバ224の第2部分224bとを提供するため、第2フロー特徴層96がマスクを介して画像形成されて現像される。
【0043】
次に、第1ノズルプレート層が第2フロー特徴層96に積層される。ノズル孔214の第2部分214bと、ノズル孔226の第1部分226aとを提供するため、第1ノズルプレート層98がマスクを介して画像形成されて現像される。第1ノズルプレート層98を画像形成及び現像した後、第2ノズルプレート層106が第1ノズルプレート層98に積層される。部分242を完全に除去し、ノズル孔226の第2部分226bを形成するため、第2ノズルプレート層106がマスクを介して画像形成されて現像される。
【0044】
第1フロー特徴層92と第2フロー特徴層96及び第1ノズルプレート層98と第2ノズルプレート層106を製造するために用いられ得るフォトレジスト材料は、典型的に光酸発生剤を含み、多官能エポキシ化合物、二官能エポキシ化合物、比較的高分子量のポリヒドロキシエーテル、接着増強剤、脂肪族ケトン溶媒、及び任意的に疎水性剤、のうちの1以上を含むよう配合されてよい。本発明の目的のため、「二官能エポキシ」は、分子内にエポキシ官能基が2つのみであるエポキシ化合物及び材料を意味する。「多官能エポキシ」は、分子内にエポキシ官能基が2つよりも多いエポキシ化合物及び材料を意味する。
【0045】
本発明によるフォトレジスト製剤を製造するためのエポキシ成分は、ポリフェノールのグリシジルエーテルといった芳香族エポキシドから選択されてよい。例示的な多官能エポキシ樹脂としては、約190~約250の範囲のエポキシドグラム当量を有し、130℃での粘度が約10~約60ポアズの範囲のノボラックエポキシ樹脂といった、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルである。
【0046】
多官能エポキシ成分は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して約3,000~約5,000の重量平均分子量、及び3を超え、好ましくは約6~約10である平均エポキシド基官能を有する。フォトレジスト製剤中の多機能エポキシ樹脂の量は、乾燥したフォトレジスト層の重量に基づき約30~約50重量%の範囲であってもよい。
【0047】
二官能エポキシ化合物は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル―3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、及びビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテルを含む、二官能エポキシ化合物から選択されてもよい。
【0048】
例示的な二官能エポキシ化合物としては、約1000より大きいエポキシ当量を有するビスフェノール-A/エピクロロヒドリンエポキシ樹脂である。「エポキシド当量」は、1グラム相当のエポキシドを含む樹脂のグラム数である。二官能性エポキシ成分の重量平均分子量は、典型的に、例えば約2800~約3500重量平均分子量といった、2500ダルトンよりも上である。フォトレジスト製剤中の二官能エポキシ成分の量は、硬化した樹脂の重量に基づき約30~約95重量%の範囲であってもよい。
【0049】
例示的な光酸発生剤には、VA族元素のオニウム塩、VIA族元素のオニウム塩、及び芳香族ハロニウム塩から選択されることのできる芳香族錯体塩といった、カチオンを生成することのできる化合物又は化合物の混合物から選択されてよい。芳香族錯塩は、紫外線又は電子ビーム照射にさらされると、エポキシドとの反応を開始する酸部分を生成することができる。光酸発生剤は、ここで説明されるフォトレジスト製剤中において、硬化した樹脂の重量に基づき約5~約15重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0050】
活性光線で照射されたときプロトン酸を生成する化合物が光酸発生剤として用いられよく、芳香族ヨードニウム錯塩と芳香族スルホニウム錯塩を含むが、これに限定されない。例としては、ジ-(t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスファート、[4-(オクチルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフラート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’-ビス[ジフェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィドビス-ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィド-ビスヘキサフルオロホスフェート、7-[ジ(p-トリル)スルホニウム]-2-イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロホスフェート、7-[ジ(p-トリル)スルホニオ-2-イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7-[ジ(p-トリル)スルホニウム]-2-イソプロピルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4-tert-ブチルフェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、4-tert-ブチルフェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4-tert-ブチルフェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等を含む。
【0051】
フォトレジスト製剤の調製に用いるための溶媒は、非光反応性である溶媒である。非光反応性溶媒には、γ-ブチロラクトン、炭素数1~6のアセテート、テトラヒドロフラン、低分子量ケトン、これらの混合物等を含むが、これに限定されない。非光反応性溶媒は、フォトレジスト製剤の総重量に基づき、約40~約60重量%といった、約20~約90重量%の範囲の量でノズルプレート層98と106を提供するために用いられる製剤混合物に存在する。非光反応性溶媒は、典型的に、硬化した樹脂中に残留せず、このため樹脂の硬化ステップの前又は硬化ステップ間に取り除かれる。
【0052】
フォトレジスト製剤は、シラン化合物といった接着増強剤の有効量を任意的に含んでもよい。フォトレジスト製剤の成分と適合性のあるシラン化合物は、典型的に、多官能エポキシ化合物、二官能エポキシ化合物、及び光開始剤からなる群から選択された少なくとも1つと反応が可能である官能基を有する。そのような接着増強剤は、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランといった、3-(グアニジニル)プロピルトリメトキシシラン及びグリシドキシアルキルトリアルコキシシランといった、エポキシド官能基を有するシランであってよい。使用されるとき、接着増強剤は、硬化した樹脂の総重量に基づき、約1.0~約1.5重量%といった、約0.5~約2重量%の範囲の量で存在してよく、そこに含まれる全ての範囲を含む。ここで使用される接着増強剤は、フォトレジスト材料のフィルム形成及び接着特性を補助するフォトレジスト組成物に可溶な有機材料を意味すると定義される。
【0053】
ノズルプレート層のためのフォトレジスト製剤に用いることができるもう1つの任意的な成分には、疎水性剤を含む。用いられ得る疎水性剤には、シランやシロキサンといった材料を含むシリコンを含む。従って、疎水性剤は、ヘプタデカフルオロデカニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、t-ブチルメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ナトリウムメチルシリコネート、ビニルトリメトキシシラン、N-(3-(トリメトキシルシリル)プロピル)エチレンジアミンポリメチルメトキシシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチル水素シロキサン、及びジメチルシロキサンから選択されてよい。フォトレジスト層98と106における疎水性剤の量は、乾燥した樹脂の総重量に基づき、約1.0~約1.5重量%といった、約0.5~約2重量%の範囲であってよく、そこに含まれる全ての範囲を含む。
【0054】
上記説明はフォトレジスト材料製のノズルプレート層98と106を提供しているが、第1及び第2のノズルプレート層はフォトレジスト材料層に限定されない。第1ノズルプレート層98と第2ノズルプレート層106を提供するため、ポリイミド材料といった他の材料が用いられてもよい。
【0055】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のため、特に明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される量、百分率又は比率を表す全ての数値及び他の数値は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。従って、そうでないと示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明により得ることが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも言及された有効数字の数を考慮し、そして通常の丸め手法を適用することにより、解釈されるべきである。
【0056】
特定の実施形態について説明したが、出願人又は他の当業者には、現在予測してない、又は予測できない、代替、修正、変形、改善、及び実質的な均等物が生じうる。従って、提出された添付の特許請求の範囲及び補正された特許請求の範囲は、そのようなすべての代替、修正、変形、改善、及び実質的な均等物を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0057】
10:流体カートリッジ
12:カートリッジ本体
14a、14b:流体供給チャンバ
16:分離壁
18:吐出ヘッド
20a、20b:流体供給ビア
22:フレキシブル回路
30:流体カートリッジ
32:カートリッジ本体
34a~34d:流体供給チャンバ
36a、36b:分離壁
40:流体分注装置
42:ウェル
44:マイクロウェルプレート
46:トレイ
48:キャリッジ機構
50:本体
52:起動ボタン
60:吐出ヘッド
62:半導体基板
64:流体吐出器
66:流体フロー層
68:流体供給チャネル
70:流体チャンバ
72:流体供給ビア
74:ノズルプレート
76:ノズル孔
80:吐出ヘッド
82:流体供給ビア
84:半導体基板
86:流体フローチャネル
88:流体チャンバ
90:吐出器
92:第1フロー特徴層
94、104、214、226:ノズル孔
94a、104a、214a、226a:ノズル孔の第1部分
94b、104b、214b、226b:ノズル孔の第2部分
96:第2フロー特徴層
98:第1ノズルプレート層
100:流体フローチャネル
100a:流体フローチャネルの第1部分
100b:流体フローチャネルの第2部分
102、224:流体チャンバ
102a、224a:流体チャンバの第1部分
102b、224b:流体チャンバの第2部分
106:第2ノズルプレート層
108:吐出器
200:吐出ヘッド
202、204:流体供給ビア
206:半導体基板
208:流体供給チャネル
210:流体チャンバ
220:吐出器
222:流体供給チャネル
222a:流体供給チャネルの第1部分
222b:流体供給チャネルの第2部分
230:吐出器
240、242:部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11