(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167824
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】患者の機械的換気のための人工呼吸器
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
A61M16/00 345
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022068315
(22)【出願日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】10 2021 110 429.7
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】308011030
【氏名又は名称】ドレーゲルヴェルク アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Draegerwerk AG & Co.KGaA
【住所又は居所原語表記】Moislinger Allee 53-55,Luebeck,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン フォン ブルーメンタール
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ベンダー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少なくとも1つのセンサユニットと、メモリユニットと、処理ユニットとを有する、患者の機械的換気のための人工呼吸器を提供する。
【解決手段】センサユニットは、人工呼吸器の換気回路(105)においてガス流に依存した測定値の推移(114)を測定して、対応するセンサ信号(116)を出力するように構成されている。メモリユニットには、換気パラメータ(122)が格納されており、人工呼吸器によって現在提供されている換気の吸気時間(124)と呼吸サイクルの呼気時間(126)を示す。処理ユニットは、センサ信号を受信し、ガス流に依存した測定値の推移に基づいて、現在の呼気終末ガス流(132)を決定し、下側の閾値(134)、上側の閾値(135)との間の比較に基づいて、患者の換気のための現在の目下の換気モードに関する吸気時間と呼気時間との間の比率(136)を調整するようにさらに構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(102)の機械的換気のための人工呼吸器(100)であって、当該人工呼吸器(100)は、
少なくとも1つのセンサユニット(110)と、
メモリユニット(120)と、
処理ユニット(130)と、
を有し、
前記少なくとも1つのセンサユニット(110)は、前記人工呼吸器(100)の換気回路(105)においてガス流に依存した測定値(115)の推移(114)を測定して、対応するセンサ信号(116)を出力するように構成されており、
前記メモリユニット(120)には、現在の目下の換気モードの複数の換気パラメータ(122)が格納されており、
格納されている前記換気パラメータ(122)は、少なくとも、前記人工呼吸器(100)によって現在提供されている換気の吸気時間(124)と、対応する呼吸サイクルに関する後続の呼気時間(126)とを示し、
前記処理ユニット(130)は、前記センサ信号(116)を受信し、前記ガス流に依存した測定値(115)の前記推移(114)に基づいて、少なくとも1つの現在の呼気終末ガス流(132)を求めるように構成されており、
前記処理ユニット(130)は、求められた前記現在の呼気終末ガス流(132)と、下側の閾値(134)および/または上側の閾値(135)との間の比較に基づいて、前記患者(102)の換気のための前記現在の目下の換気モードに関する吸気時間(124)と呼気時間(126)との間の比率(136)を調整するようにさらに構成されており、
前記対応する呼吸サイクルの持続時間は、実質的に一定のままである、
人工呼吸器(100)。
【請求項2】
前記処理ユニット(130)は、前記現在の呼気終末ガス流(132)が前記下側の閾値(134)を下回っている場合に、前記呼気時間(126)を短縮するように構成されている、請求項1記載の人工呼吸器(100)。
【請求項3】
前記処理ユニット(130)は、閉ループ時間制御を提供し、
前記閉ループ時間制御では、前記現在の呼気終末ガス流(132)が、前記閉ループ時間制御の測定量として機能し、前記吸気時間(124)が、前記閉ループ時間制御の操作量として機能し、前記下側の閾値(134)が、前記測定量の目標値を表す、
請求項1および2記載の人工呼吸器(100)。
【請求項4】
前記処理ユニット(130)は、前記現在の呼気終末ガス流(132)が前記上側の閾値(135)を上回っている場合に、前記呼気時間(126)を延長するように構成されている、請求項1および2記載の人工呼吸器(100)。
【請求項5】
前記下側の閾値(134)および/または前記上側の閾値(135)は、前記ガス流に依存した測定値(115)の測定された推移(114)に依存する、請求項1から4までの少なくとも1項記載の人工呼吸器(100)。
【請求項6】
前記下側の閾値(134)および/または前記上側の閾値(135)は、提供されている換気の前記呼気時間(126)中の、前記ガス流に依存した測定値(115)から決定される最大呼気ガス流(255)に依存する、請求項5記載の人工呼吸器(100)。
【請求項7】
前記処理ユニット(130)は、前記吸気時間(124)の調整に基づいて、前記吸気時間(124)の開始時における呼吸ガスのガス圧力の増加、および/または前記吸気時間(124)中における前記呼吸ガスの最大圧力を調整するようにさらに構成されている、請求項1から6までの少なくとも1項記載の人工呼吸器(100)。
【請求項8】
前記処理ユニット(130)は、前記吸気時間(124)が延長される場合に、前記吸気時間(124)の開始時におけるガス圧力の増加を低減するように、かつ/または前記呼吸ガスの最大圧力を低減するようにさらに構成されている、請求項7記載の人工呼吸器(100)。
【請求項9】
前記処理ユニット(130)は、
前記ガス流に依存した測定値(115)の前記推移(114)にわたって現在の吸気終末ガス流(465)を決定し、
前記現在の吸気終末ガス流(465)に基づいて、前記吸気時間(124)の開始時における前記呼吸ガスのガス圧力の増加のランプ持続時間(450)を調整する
ようにさらに構成されている、請求項1から8までの少なくとも1項記載の人工呼吸器(100)。
【請求項10】
前記処理ユニット(130)は、前記現在の吸気終末ガス流(465)が下側の吸気閾値(468)を下回っている場合に、前記ランプ持続時間(450)を延長し、それと同時に、前記吸気時間(124)の残りのプラトー持続時間(470)を、前記吸気時間(124)が前記吸気終末ガス流(465)とは無関係になるように短縮するように構成されている、請求項9記載の人工呼吸器(100)。
【請求項11】
前記処理ユニット(130)は、閉ループランプ制御を提供し、
前記閉ループランプ制御では、前記現在の吸気終末ガス流(465)が、前記閉ループランプ制御の測定量として機能し、前記ランプ持続時間(450)が、前記閉ループランプ制御の操作量として機能し、前記下側の吸気閾値(468)が、前記測定量の目標値を表す、
請求項9および10記載の人工呼吸器(100)。
【請求項12】
前記処理ユニット(130)は、前記現在の吸気終末ガス流(465)が上側の吸気閾値を上回っている場合に、前記ランプ持続時間(450)を短縮し、それと同時に、前記吸気時間(124)の残りのプラトー持続時間(470)を、前記吸気時間(124)が前記吸気終末ガス流(465)とは無関係になるように延長するように構成されている、請求項9および10記載の人工呼吸器(100)。
【請求項13】
前記処理ユニット(130)は、前記呼気時間(126)の延長、および/または最大圧力が一定である場合の前記ランプ持続時間(450)の延長を、これによって前記対応する呼吸サイクルにわたる平均換気圧力が所定の下側の平均圧力閾値を下回らない場合にのみ実施するようにさらに構成されている、請求項1から12までの少なくとも1項記載の人工呼吸器(100)。
【請求項14】
患者(102)の機械的換気のための人工呼吸器(100)を動作させるための方法(700)であって、当該方法(700)は、
前記人工呼吸器(100)の換気回路(105)においてガス流に依存した測定値(115)の推移(114)を測定して、対応するセンサ信号(116)を出力するステップと、
現在の目下の換気モードの複数の換気パラメータ(122)を格納するステップであって、格納された前記換気パラメータ(122)は、少なくとも、前記人工呼吸器(100)によって現在提供されている換気の吸気時間(124)と、対応する呼吸サイクルに関する後続の呼気時間(126)とを示す、ステップと、
前記センサ信号(116)を受信し、前記ガス流に依存した測定値(115)の前記推移(114)に基づいて、少なくとも1つの現在の呼気終末ガス流(132)を求めるステップと、
求められた前記現在の呼気終末ガス流(132)と下側の閾値(134)および/または上側の閾値(135)との間の比較に基づいて、前記患者(102)の換気のための前記現在の目下の換気モードに関する吸気時間(124)と呼気時間(126)との間の比率(136)を調整するステップであって、前記対応する呼吸サイクルの持続時間は、実質的に一定のままである、ステップと
を有する、方法(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の機械的換気のための人工呼吸器に関する。本発明はさらに、患者の機械的換気のための人工呼吸器を動作させるための方法に関する。
【0002】
患者の機械的換気のために事前に設定された換気圧力推移を用いる人工呼吸器が公知である。患者の状態に応じて、呼気終末陽圧(PEEP)、平均換気圧力、一回換気量、呼吸周波数などのような換気パラメータを設定することができる。
【0003】
換気を自動的または半自動的に実施するためには、公知のように、ガス流および/またはガス流に依存した測定値を、少なくとも1つのセンサを介して一定の時間間隔で測定しなければならない。これにより、吸気時間中のガス流と、対応する呼吸サイクルの呼気時間中のガス流とを監視することができる。
【0004】
本発明の課題は、改善された人工呼吸器、とりわけ、特に効率的で患者に優しい換気を行う人工呼吸器を提供することである。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、少なくとも1つのセンサユニットと、メモリユニットと、処理ユニットとを有する、患者の機械的換気のための人工呼吸器が提案される。
【0006】
少なくとも1つのセンサユニットは、人工呼吸器の換気回路においてガス流に依存した測定値の推移、とりわけガス流の推移を測定して、対応するセンサ信号を出力するように構成されている。
【0007】
メモリユニットには、現在の目下の換気モードの複数の換気パラメータが格納されている。これらの格納されている換気パラメータは、少なくとも、人工呼吸器によって現在提供されている換気の吸気時間と、対応する呼吸サイクルに関する後続の呼気時間とを示す。呼吸サイクルは、公知のように吸気時間と後続の呼気時間との組み合わせによって構成される。
【0008】
処理ユニットは、センサ信号を受信し、ガス流に依存した測定値の推移に基づいて、少なくとも1つの現在の呼気終末ガス流を決定するように構成されており、処理ユニットは、決定された現在の呼気終末ガス流と、下側の閾値および/または上側の閾値との間の比較に基づいて、患者の換気のための現在の目下の換気モードに関する吸気時間と呼気時間との間の比率を調整するようにさらに構成されており、対応する呼吸サイクルの持続時間は、実質的に一定のままである。
【0009】
本発明の枠内では、呼気ガス流がないか、または呼気ガス流が殆どないフェーズが、吸気時間中において呼吸ガスが不必要に迅速に患者に供給されることにつながることが認識された。したがって、吸気時間を延長して、これにより吸気ガス流の勾配をできるだけ小さく保つために、このような低ガス流のフェーズの分だけ呼気時間を短縮することができる。このことは、勾配の小さい吸気ガス流による換気が特に患者に優しいという背景に鑑みて、とりわけ有利である。
【0010】
代替的または追加的に、本発明によれば、とりわけ慢性閉塞性疾患を有する患者における吸気時間と呼気時間との間の比率は、呼気終末ガス流が上側の閾値を上回っている場合に呼気時間を延長することによって変更可能である。これにより、できるだけ最も自然に息を吐き出すことが可能になり、吸気時間中の後続の圧力勾配は、大抵の場合、対応する患者グループにとって問題ではない。
【0011】
本発明による人工呼吸器のさらなる利点は、本発明を容易に実施できることである。吸気時間と呼気時間との間の比率の変更は、既存の人工呼吸器を適合させるための純粋なソフトウェアソリューションとして実現可能である。これにより、本発明を特に低コストに実施することが可能になる。
【0012】
人工呼吸器のために市場で確立されている多数の換気モードを考慮すると、本発明は、有利には、多数の種々異なる換気モードに対して適用可能である。なぜなら、人工呼吸器による換気時には、大抵の場合、吸気時間および呼気時間が存在するからである。換気モードとは、対応する換気パラメータの開ループ制御または閉ループ制御によって個々のモードに応じた手法で患者の換気をコントロールする、人工呼吸器のモードを意味すると理解されるべきである。
【0013】
ガス流に依存した測定値の推移は、時間依存性の推移であり、この時間依存性の推移は、これらのガス流に依存した測定値の経時的な発展を連続的に、または離散的な時間刻みで記述したものである。
【0014】
吸気時間と呼気時間との間の比率は、例えば、吸気時間と呼気時間との商であり、この商が、吸気時間の変更によって、かつ/または呼気時間の変更によって調整される。好ましくは、吸気時間と呼気時間との合計、すなわち呼吸サイクルの持続時間は、所定の呼吸周波数に応じて実質的に一定に保たれる。
【0015】
本発明による人工呼吸器の各ユニットは、好ましくは、少なくとも部分的に互いに空間的に分離されて配置されている。例えば、センサユニットは、人工呼吸器の換気回路に配置されている。換気回路は、呼吸ガスを患者に送り、再び人工呼吸器に戻す。メモリユニットおよび処理ユニットは、好ましくは、人工呼吸器の中央のハウジング内に配置され、特に好ましくは、1つの共通のプロセッサによって制御される。各ユニットは、少なくともソフトウェアレベルにおいて互いに分離されている。
【0016】
下側の閾値および上側の閾値は、呼気終末ガス流に関して格納されている所定の値、またはそのような値に相関するシステム変数であってよい。代替的または追加的に、例えばガス流に依存した測定値のような、現在決定された値に基づいて、閾値のうちの少なくとも1つを継続的に決定し直すことができる。
【0017】
以下では、本発明による人工呼吸器の好ましい実施形態について説明する。
【0018】
特に好ましい実施形態では、処理ユニットは、現在の呼気終末ガス流が下側の閾値を下回っている場合に、呼気時間を短縮するように構成されている。この場合、現在の呼気終末ガス流は、非常に小さいので、生理学的観点から次の吸気フェーズがより早期に開始されていた可能性がある。したがって、人工呼吸器は、本発明によれば、本実施形態では、次の呼吸サイクルの枠内で呼気時間を短縮する。特に好ましくは、所定の呼吸周波数が維持され、したがって、呼気時間を短縮すると、これに対応して吸気時間が延長されることとなる。特に好ましくは、一回換気量も一定に保たれ、したがって、今やより長くなった吸気時間中、特に小さい圧力勾配、すなわち特に小さいガス流勾配も可能となり、したがって、患者を特に優しく換気することが可能となる。
【0019】
先行する実施形態の特に有利な変形例では、処理ユニットは、閉ループ時間制御を提供し、閉ループ時間制御では、現在の呼気終末ガス流が、閉ループ時間制御の測定量として機能し、吸気時間が、閉ループ時間制御の操作量として機能し、下側の閾値が、測定量の目標値を表す。このような閉ループ制御により、呼気終末ガス流が下側の閾値の範囲内に落ち着くように、吸気時間の持続時間が本発明によって調整されることを、特に確実に保証することができる。呼気終末ガス流は、内因性呼気終末ガス圧力(内因性PEEP)を直接的にもたらし、本変形例では、この内因性呼気終末ガス圧力に落ち着く。圧力は、実質的に二次関数的にガス流に依存しているので、ガス流に関する低い下側の閾値は、実質的に極めてわずかな内因性PEEPをもたらす。特に好ましくは、吸気時間と呼気時間との合計、すなわち呼吸サイクルの持続時間が一定のままであるように、吸気時間の変更とともに呼気時間も変更される。制御装置の内部にそのような制御要素を設けることは、当業者には公知であり、したがって、以下では詳細には説明しない。とりわけ、パラメータの顕著な振れ挙動なく、したがって、患者の換気を阻害することなく、どのようにしてそのような閉ループ制御を実現することができるかは公知である。
【0020】
上記の実施形態の、前述した変形例に対する代替的または追加的な変形例では、処理ユニットは、現在の呼気終末ガス流が上側の閾値を上回っている場合に、呼気時間を延長するように構成されている。本実施形態の本変形例では、下側の閾値と上側の閾値との間に、呼気終末ガス流が存在するガス流範囲が設けられている。呼気終末ガス流がこの範囲外にある場合、呼気終末ガス流が再びこの範囲内になるように呼気時間が延長または短縮される。吸気終末ガス流が上側の閾値を上回っている場合には、呼気時間の延長により、呼気終末ガス流が減少し、したがって、呼気時間が十分に延長された場合にも上側の閾値を下回ることが企図される。したがって、上側の閾値は、本発明によれば基本的に、下側の閾値よりも上に位置する。このような呼気時間の延長は、例えば、息の吸い込みを再開する前に比較的長期間にわたって息を吐き出さなければならない慢性閉塞性疾患を有する患者の場合には、有利であろう。このような患者の場合には、これによって増大される吸気時間中の圧力勾配は、大抵の場合、患者の健康にとって有害ではない。
【0021】
本発明によれば、人工呼吸器の処理ユニットは、呼気時間および吸気時間を、常に、対応する呼吸サイクルの持続時間が実質的に一定のままであるように調整するように構成されている。これによって有利には、換気の、好ましくは所定の呼吸周波数が、本発明による人工呼吸器によって実質的に一定に保たれることが保証される。呼吸周波数は、殆ど全ての換気モードの特に重要な所定の換気パラメータであるので、呼吸サイクルの持続時間を維持することは、本実施形態の枠内において特に有利である。
【0022】
本発明による人工呼吸器のさらなる実施形態では、下側の閾値および/または上側の閾値は、ガス流に依存した測定値の測定された推移に依存する。測定された推移に依存させることにより、本実施形態における両方の閾値は、特に有利には、特定の患者の換気特性に少なくとも部分的に依存することとなる。特に好ましくは、下側の閾値および/または上側の閾値は、最大ガス流、とりわけ最大呼気ガス流に依存する。例えば、下側の閾値は、最大呼気ガス流の、例えば0.1%~5%の間、好ましくは0.5%~3%の間、とりわけ2%であり得る。呼気ガス流は、基本的に、患者が呼気時間中に吐き出した呼吸ガスのガス流であり、これに対して、吸気ガス流は、患者が吸気時間中に吸い込む呼吸ガスのガス流である。したがって、最大呼気ガス流は、測定された推移からのガス流に依存した測定値のうちの少なくとも1つから決定される。
【0023】
有利な実施形態では、処理ユニットは、吸気時間の調整に基づいて、吸気時間の開始時における呼吸ガスのガス圧力の増加、および/または吸気時間中における呼吸ガスの最大圧力を調整するようにさらに構成されている。ガス圧力の増加および/または最大圧力を調整することにより、提供される換気特性が、有利には、調整された吸気時間に適合させられる。例えば、呼気時間をより長くすると、最大圧力を低下させることができ、これにより、吸気時間中の換気は、患者にとってより優しくなる。代替的または追加的に、吸気時間をより長くすると、ガス圧力の増加、とりわけ吸気時間の開始時におけるガス圧力の増加を低減することができる。これによってガス圧力の勾配が減少し、ひいてはガス流の勾配も減少し、このことにより、公知のように人工呼吸器による換気が患者にとってより快適になる。その結果、本実施形態では、特に効果的で、好ましくは特に患者に優しい換気を可能にするために、特に有利には、換気パラメータが、患者の換気の現在の状態に適合させられる。
【0024】
有利な実施形態では、処理ユニットは、ガス流に依存した測定値の推移にわたって現在の吸気終末ガス流を決定し、現在の吸気終末ガス流に基づいて、吸気時間の開始時における呼吸ガスのガス圧力の増加のランプ持続時間を調整するようにさらに構成されている。本明細書におけるランプ持続時間とは、患者への吸気ガス流が時間の経過とともに最大吸気ガス流まで線形に、すなわちランプ状に増加するような、吸気時間の開始時における時間間隔である。現在の吸気終末ガス流を評価することにより、有利には、本発明による人工呼吸器による換気を改善するために、ガス流に依存した測定値の測定された推移からのさらなる特性値が使用される。吸気終末ガス流を介して、呼気時間の終了時に、対応する呼吸サイクルの呼気時間が開始する前に、患者に呼吸ガスが供給されない時間範囲がまだ残っているかどうかを確認することができる。本実施形態の好ましい変形例では、処理ユニットは、現在の吸気終末ガス流が下側の吸気閾値を下回っている場合に、ランプ持続時間を延長し、それと同時に、吸気時間の残りのプラトー持続時間を、吸気時間が、すなわち全吸気時間が吸気終末ガス流とは無関係になるように短縮するように構成されている。これにより、吸気時間中に、好ましくは所定の呼吸ガス量で患者に供給されるべき呼吸ガスが、できるだけ患者に優しく提供可能となることを保証することができる。下側の吸気閾値は、固定の所定の値であってよい。代替的または追加的に、吸気閾値は、ガス流に依存した測定値の測定された推移に依存することができる。測定された推移に依存させることにより、本実施形態における閾値は、特に有利には、特定の患者の換気特性に少なくとも部分的に依存することとなる。特に好ましくは、下側の吸気閾値は、最大ガス流、とりわけ最大吸気ガス流に依存する。例えば、下側の吸気閾値は、最大吸気ガス流の、例えば0.1%~5%の間、好ましくは0.5%~3%の間、とりわけ2%であり得る。
【0025】
先行する実施形態の特に好ましい変形例では、処理ユニットは、閉ループランプ制御を提供し、閉ループランプ制御では、現在の吸気終末ガス流が、閉ループランプ制御の測定量として機能し、ランプ持続時間が、閉ループランプ制御の操作量として機能し、下側の吸気閾値が、測定量の目標値を表す。本変形例では、ランプ持続時間によって有利には、吸気ガス流が下側の吸気閾値の範囲内に落ち着くことを保証することができる。ランプ持続時間を短縮することにより、吸気終末ガス流が減少し、その一方で、ランプ持続時間を延長することにより、吸気終末ガス流が増加する。
【0026】
先行する変形例に対する代替的または追加的な変形例では、処理ユニットは、現在の吸気終末ガス流が上側の吸気閾値を上回っている場合に、ランプ持続時間を短縮し、それと同時に、吸気時間の残りのプラトー持続時間を、吸気時間が吸気終末ガス流とは無関係になるように延長するように構成されている。本変形例では、本発明による人工呼吸器は、所定の上側の吸気閾値および所定の下側の吸気閾値を介して、ランプ持続時間を閉ループ制御することにより、人工呼吸器が動作させられる吸気ガス流の範囲を規定するように構成されている。
【0027】
所定の上側の吸気閾値および/または所定の下側の吸気閾値は、好ましくは、ガス流に依存した測定値の測定された推移に依存する。特に好ましくは、下側の吸気閾値および/または上側の吸気閾値は、提供されている換気の吸気時間中の、ガス流に依存した測定値から決定される最大吸気ガス流に依存する。
【0028】
特に好ましい実施形態では、処理ユニットは、呼気時間の延長、および/または最大圧力が一定である場合のランプ持続時間の延長を、これによって対応する呼吸サイクルにわたる平均換気圧力が所定の下側の平均圧力閾値を下回らない場合にのみ実施するようにさらに構成されている。本実施形態では、有利には、所定の下側の平均圧力閾値を下回らないことが保証される。下側の平均圧力閾値は、患者を換気する際の特に重要なパラメータであり、したがって、人工呼吸器は、呼気時間および/またはランプ持続時間の調整によって現実に患者に存在する平均圧力が常にこの閾値を上回っていることを保証すべきであるので、このことは、とりわけ有利である。本実施形態では、本発明による人工呼吸器は、呼気時間および/またはランプ持続時間の適合によって患者に優しい換気を可能にすることに加えて、所定の下側の平均圧力閾値を遵守することも可能にし、したがって、患者の換気が、特に患者に優しく行われることを保証する。平均換気圧力の決定は、当業者に公知の人工呼吸器では一般的であり、典型的には、換気圧力を経時的に合計することによって行われる。
【0029】
さらなる実施形態では、本発明による人工呼吸器は、ユーザ入力を受信するように構成されたユーザインターフェースをさらに有する。ユーザ入力は、例えば、吸気時間と呼気時間との間の比率に関して人工呼吸器によって設定可能な範囲を示す。吸気時間と呼気時間との間の比率は、好ましくは、1:1の比率~1:5の比率の間、例えば、1:1の比率~1:3の比率の間である。代替的または追加的に、ユーザ入力は、使用されるべき換気モードを示すことができる。代替的または追加的に、ユーザ入力は、呼吸周波数、デジタルボリューム、吸気時間中の呼吸ガスの最大圧力、吸気時間の開始時におけるガス圧力の増加、呼気終末ガス流に関する下側の閾値、下側の平均圧力閾値などのような、格納されるべき換気パラメータを示すことができる。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、上記の課題を解決するために、患者の機械的換気のための人工呼吸器を動作させるための方法であって、当該方法は、
・人工呼吸器の換気回路においてガス流に依存した測定値の推移を測定して、対応するセンサ信号を出力するステップと、
・現在の目下の換気モードの複数の換気パラメータを格納するステップであって、これらの格納された換気パラメータは、少なくとも、人工呼吸器によって現在提供されている換気の吸気時間と、対応する呼吸サイクルに関する後続の呼気時間とを示す、ステップと、
・センサ信号を受信し、ガス流に依存した測定値の推移に基づいて、少なくとも1つの現在の呼気終末ガス流を決定するステップと、
・決定された現在の呼気終末ガス流と下側の閾値および/または上側の閾値との間の比較に基づいて、患者の換気のための現在の目下の換気モードに関する吸気時間と呼気時間との間の比率を調整するステップと
を有する、方法が提案される。
【0031】
本発明による方法は、本発明による人工呼吸器によって実施され、したがって、人工呼吸器に関連して挙げられた全ての利点を含む。本発明による方法はさらに、本発明による人工呼吸器の上記の実施形態に対応する特徴によって補完可能である。
【0032】
特に有利には、本発明による方法は、吸気時間と呼気時間との間の比率の動的な調整を可能にする。これにより、現在の呼気終末ガス流が特に高いこと、または特に低いことを考慮することができ、したがって、吸気時間中の特に患者に優しい換気を可能にするため、それと同時に、吸気ガス流および呼気ガス流のないフェーズを回避するために、吸気時間および/または呼気時間を相応に適合させることができる。
【0033】
本発明による方法のステップは、提示されている順序とは異なる順序で実施可能である。とりわけ、ガス流に依存した測定値の推移を測定する前に、複数の換気パラメータを格納することもできる。
【0034】
好ましくは、ガス流に依存した測定値の推移の測定と、吸気時間と呼気時間との間の比率の相応の調整との間に、20秒未満、とりわけ10秒未満、特に好ましくは2秒未満が経過する。したがって、吸気時間および呼気時間の適合を実質的にリアルタイムで実施することができるので、患者の換気を、患者特有の呼吸の現在の状態に特に迅速に適合させることができる。
【0035】
本発明による方法の実施形態では、平均値を下側の閾値および/または上側の閾値と比較するために、過去の複数の呼気終末ガス流にわたって、例えば、最後の2回の呼気終末ガス流にわたって平均がとられる。本実施形態では、この比較は、決定された平均値が現在の呼気終末ガス流に依存することにより、現在の呼気終末ガス流に依存して実施される。代替的な実施形態では、吸気時間と呼気時間との間の比率は、もっぱら最後に決定された現在の呼気終末ガス流のみに基づいて調整される。
【0036】
以下では、図面に概略的に図示されている有利な実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明による人工呼吸器の実施例の概略図である。
【
図2】本発明による実施例における、吸気時間と呼気時間との間の比率の調整前における、ガス流に依存した測定値の推移の線図である。
【
図3】本発明による実施例における、吸気時間と呼気時間との間の比率の調整後における、ガス流に依存した測定値の推移の線図である。
【
図4】本発明による実施例における、呼吸ガスのガス圧力の増加のランプ持続時間の調整前における、ガス流に依存した測定値の推移の線図である。
【
図5】本発明による実施例における、呼吸ガスのガス圧力の増加のランプ持続時間の調整後における、ガス流に依存した測定値の推移の線図である。
【
図6】本発明による実施例における換気パラメータの閉ループ制御のフローチャートである。
【
図7】本発明のさらなる態様による方法の実施例のフローチャートである。
【0038】
図1は、本発明による人工呼吸器100の実施例の概略図を示す。
【0039】
人工呼吸器100は、患者102の機械的換気のために構成されている。人工呼吸器100は、少なくとも1つのセンサユニット110と、メモリユニット120と、処理ユニット130とを含む。
【0040】
少なくとも1つのセンサユニット110は、人工呼吸器100の換気回路105においてガス流に依存した測定値115の推移114を測定するように構成されている。このために、図示の実施例におけるセンサユニット110は、換気回路105内に、とりわけ患者102に配置されたチューブの近くに配置されたセンサヘッド112を有する。センサユニット110はさらに、対応するセンサ信号116を出力するように構成されている。本実施例では、ガス流に依存した測定値115は、測定されたガス流である。代替的または追加的に、図示されていない実施例では、ガス流に依存した測定値としてガス圧力が測定される。
【0041】
メモリユニット120は、人工呼吸器100の現在の目下の換気モードの複数の換気パラメータ122が格納されているメモリを含む。格納されている複数の換気パラメータ122は、少なくとも、人工呼吸器100によって現在提供されている換気の吸気時間124と、対応する呼吸サイクルに関する後続の呼気時間126とを示す。図示の実施例では、少なくとも吸気時間124と、後続の呼気時間126と、提供されるべき一回換気量と、呼吸周波数と、吸気中の最大圧力とがメモリユニット120に格納されている。このために、メモリユニット120は、換気パラメータを入力するためのユーザインターフェースに接続可能であり、かつ/または現在の換気パラメータを指定するための人工呼吸器100の制御ユニット140に接続可能であり、かつ/または使用されるべき換気パラメータを提供するためのネットワーク、とりわけ病院ネットワークに接続可能である。これらの変形例のうちの1つによるそのような接続は、見やすくするために
図1には図示していない。
【0042】
処理ユニット130は、センサ信号116を受信し、ガス流に依存した測定値115の推移114に基づいて、少なくとも1つの現在の呼気終末(EE)ガス流132を求めるように構成されている。現在の呼気終末ガス流132の決定は、図示の実施例では、第1のモジュール131内で実施される。第1のモジュール131に接続された、処理ユニット130の第2のモジュール133は、求められた現在の呼気終末ガス流132と、下側の閾値134および/または上側の閾値135との間の比較に基づいて、患者102の換気のための現在の目下の換気モードに関する吸気時間124と呼気時間126との間の比率136を調整するようにさらに構成されている。その後、新しく提供されるべき比率136の決定が、処理ユニット130の第3のモジュール137において実施される。3つのモジュール131,133,および137は、実行されるべきプログラムの複数の異なる処理ステップがそれぞれ異なるモジュールを表すように、少なくともソフトウェアレベルにおいて分離されている。
【0043】
処理ユニット130は、対応する内部出力部138を介して第3のモジュール137から人工呼吸器100の制御ユニット140へと比率を出力するように構成されている。制御ユニット140は、患者102を換気する際に、吸気時間124と呼気時間126との間の以前に利用された比率136’を上書きすることにより、新しく決定された比率136を適用する。
【0044】
図示の実施例では、処理ユニット130は、現在の吸気終末ガス流132が下側の閾値134を下回っている場合に、呼気時間126を短縮するように構成されている。これによって有利には、換気時に、一回換気量および呼吸周波数が一定であるときの圧力勾配ができるだけ小さくなるように、吸気時間124ができるだけ長くなることが保証される。これにより、特に患者に優しく換気を行うことができる。
【0045】
過大な呼気終末ガス流は、高い内因性呼気終末圧力(内因性PEEP)と相関しており、このような高い内因性呼気終末圧力もまた、公知のように回避すべきである。このために、処理ユニットは、好ましくは、現在の呼気終末ガス流132が上側の閾値136を上回っている場合に、呼気時間126を延長するように構成されている。
【0046】
吸気時間124と呼気時間126との間の比率の変更は、常に、対応する呼吸サイクルの持続時間、すなわち吸気時間と呼気時間との合計が常に一定のままになるように実施される。これにより、好ましくは所定の呼吸周波数が、比率の調整中に実質的に不変のままであることが保証される。
【0047】
図示の実施例では、下側の閾値および/または上側の閾値は、ガス流に依存した測定値115の測定された推移114に依存する。したがって、これらの2つの閾値は、呼気時間126中の最大呼気ガス流に基づいて決定される。好ましくは、下側の閾値は、最大吸気ガス流の0.5%~5%の間、とりわけ最大呼気ガス流の1%~3%の間、特に好ましくは最大呼気ガス流の約2%である。
【0048】
最後に、処理ユニット130は、これにより、対応する呼吸サイクルにわたる平均換気圧力が所定の下側の平均圧力閾値内にない場合にのみ、呼気時間126を延長するようにさらに構成されている。
【0049】
代替的または追加的な実施例では、処理ユニットは、吸気時間124中のガス流の推移を調整するようにさらに構成されており、例えば、ガス流の増加を変更することによって、かつ/または吸気時間124中の最大ガス流を変更することによって調整するようにさらに構成されている。
【0050】
本発明による人工呼吸器100の複数の異なるユニットは、少なくとも部分的に1つの共通のハウジング内に配置可能である。複数の異なるユニットは、少なくともソフトウェアレベルにおいて互いに分離されている。これらのユニット間の通信は、有線または無線で実施される。そのような有線または無線の通信を実現するための種々の手段は、当業者には公知であるので、これらについては、以下では詳細には説明しない。
【0051】
図2および
図3は、本発明による実施例における、吸気時間124と呼気時間126との間の比率の調整前(
図2)および調整後(
図3)における、ガス流に依存した測定値115の推移214,314のそれぞれの線
図200,300を示す。
【0052】
線
図200,300は、それぞれのX軸202,302にわたって時間を示し、この時間は、それぞれ1回の呼吸サイクルよりも若干長く示されている。1回の呼吸サイクルの持続時間は、3秒~12秒の間、とりわけ5秒~10秒の間である。それぞれの線
図200,300の座標原点には、それぞれ図示されている呼吸サイクルの開始が位置している。
【0053】
それぞれのY軸204,304にわたって、ガス流に依存した測定値、すなわち本実施例ではガス流が示されている。図示されているマーキングは、25L/分の値に位置している。
【0054】
ガス流は、吸気時間124中には正であり、呼気時間126中には負である。吸気時間124中、ガス流は、ランプ持続時間250中には実質的に線形に増加し、その後、最大吸気ガス流252後には再び減少する。吸気時間124の吸気終了254は、理想的には0L/分に近い正のガス流を有する。吸気終了254の後、呼気時間126が開始し、この呼気時間126では、ガス流は、最大呼気ガス流255に至るまでY軸の負の方向に増加し、その後、0L/分に近い値まで再び減少する。
図2に示されている例示的な推移214では、本発明による呼気時間126の適合の前に、ガス流が実質的に存在しない拡張領域256が存在し、それから、呼気終了258の後、次の吸気時間124が開始する。このようにして換気が継続されるのであれば、それぞれの呼吸サイクルにおいて、対応する患者の換気のために有意に寄与しない拡張された呼気領域256が存在することとなろう。
【0055】
したがって、本発明によれば、推移214が存在する際に、呼気終了258時に下側の閾値134を下回っていることが確認され、これにより、吸気時間124と呼気時間126との間の比率が調整される。下側の閾値134は、図示の実施例では、最大呼気ガス流255の約2%である。
【0056】
この下側の閾値134を下回ることにより、
図3に示されているように、呼気時間126が短縮され、それと同時に、吸気時間124が延長される。呼吸サイクル全体は、自身の持続時間を維持しており、したがって、呼気終了358は、
図2の呼気終了258と実質的に同時点である。
図2および
図3における呼気の推移は、ガス流が全くまたは殆どない拡張領域256が呼気時間126の短縮によって省略されるという状況を除いて同一である。呼気の推移は、実質的に、提供される一回換気量と、実際の患者の生理機能とに依存しており、したがって、吸気時間124中のガス流の推移214の変化とは無関係である。
【0057】
供給されるべきガス量は、延長された吸気時間124を考慮するとより長期間にわたって供給されることとなるので、ガス流の勾配、すなわち経時的な変化はより小さくなり、これによって患者にとってより快適になる。図示の実施例ではさらに、最大吸気ガス流352は、
図2の最大吸気ガス流252よりも小さい。さらなる実施例では、吸気時間の調整に基づいて、吸気時間の開始時における呼吸ガスのガス圧力の増加、および/または吸気時間中における呼吸ガスの最大圧力が調整される。
【0058】
吸気時間124と呼気時間126との間の比率の調整は、所定の閉ループ時間制御を介して提供可能であり、この閉ループ時間制御では、現在の呼気終末ガス流が、閉ループ時間制御の測定量として機能し、吸気時間が、閉ループ時間制御の操作量として機能し、下側の閾値が、測定量の目標値を表す。これによって、例えば、呼気時間126の短縮によって内因性呼気終末ガス圧力(内因性PEEP)がもたらされないことが保証される。
【0059】
換気時に考慮されるべきさらなる換気パラメータは、目下の換気モードに基づいて当業者には公知である。好ましくは、少なくとも換気の呼吸数が指定されている。好ましくはさらに、以下の圧力、すなわち呼気終末陽圧(PEEP)、最大吸気圧力、平均呼吸圧力のうちの少なくとも1つが指定されている。これらの圧力のうちの1つだけが指定されている場合には、好ましくは、換気の1回換気量もまた、目下の換気モードの所定の換気パラメータである。
【0060】
図4および
図5は、本発明による実施例における、呼吸ガスのガス圧力の増加のランプ持続時間450,550の調整前(
図4)および調整後(
図5)における、ガス流に依存した測定値115の推移414,514のそれぞれの線
図400,500を示す。
【0061】
【0062】
図4では、ガス流に依存した測定値115の推移414は、拡張された吸気領域467にわたる吸気終末ガス流465が実質的に0L/分であるという点で、
図2および
図3の推移とは異なっている。吸気終了454および呼気終了458に加えて、ランプ持続時間450の終了を表す最大吸気ガス流452の時点が記されている。
【0063】
本発明による人工呼吸器は、吸気終末ガス流465が下側の吸気閾値468を上回ること、したがって、吸気時間124の長さを一定に保ちながら、ランプ持続時間450の延長を実施しなければならないことを確認する。この場合、吸気時間124の残り時間を表すプラトー持続時間470が短縮される。プラトー持続時間という用語は、この時間間隔に由来する。なぜなら、この時間範囲内では、Yピース内の圧力が一定のままであり、その一方で、残りの正のガス流は、直接的に患者の肺に到達するからである。これにより、この時間範囲内では公知のように、典型的にはYピースの領域に配置されている圧力センサに関する圧力プラトーが存在する。
【0064】
このときに得られた推移514が、
図5に示されている。ランプ持続時間550は、
図4のランプ持続時間450の約2倍の長さであるが、これに対して、推移514は、呼気時間126中、実質的に不変のままである。より長くなったランプ持続時間550は、ガス流の増加を低減するため、したがって、対応する患者を優しく換気するために利用される。
【0065】
本実施例の人工呼吸器は、吸気終末ガス流が上側の吸気閾値を上回っている場合には、ランプ持続時間も相応に短縮するであろう。
【0066】
ランプ持続時間および/または吸気時間および/または呼気時間の適切な調整は、所定の時間増分だけ反復的に調整することによって実現される。それぞれの調整プロセスの後、さらなる調整を制御するために、測定値の対応する推移に対する影響が考慮される。このような手順は、制御技術の分野では一般的に公知であるので、制御技術的な実現手段については、以下では詳細には説明しない。
【0067】
図6は、本発明による実施例における換気パラメータの閉ループ制御600のフローチャートを示す。
【0068】
閉ループ制御600は、吸気時間およびランプ持続時間を調整する際の、本発明による人工呼吸器の動作ステップについての実施例を示す。
【0069】
本発明による閉ループ制御の開始605の後、ステップ610において、複数の換気パラメータの入力および格納が実施される。その後、ステップ615において、患者の換気が開始される。
【0070】
本実施例では、換気中、有利にはステップ620において、対応する呼吸サイクルにわたる平均換気圧力が所定の下側の平均圧力閾値を上回るかどうかが常にチェックされる。平均換気圧力は、例えば、測定されたガス流に依存した測定値、すなわち例えば、測定されたガス圧力を、対応するスケーリングを用いて合計することによって計算される。代替的または追加的に、平均換気圧力MAPを、以下の計算規則:
MAP=PEEP+(TI-1/2*TRamp)*RR*P
によって近似的に計算することができる。
【0071】
ここで、TIは、例えば、吸気時間と呼気時間との間の比率と、所定の呼吸周波数RRとから得られる吸気時間である。さらに、TRampは、ランプ持続時間であり、Pは、一回換気量と肺活量との商から得られる吸気圧力ジャンプである。
【0072】
ステップ620において、平均換気圧力が下側の平均圧力閾値を上回ることが確認されると、閉ループ制御600は、さらにステップ630によって実施される。平均換気圧力が下側の平均圧力閾値を下回っている場合には、ステップ625において、現在のランプ持続時間が所定の最短ランプ持続時間よりも長いかどうかがチェックされる。ランプ持続時間が所定の最短ランプ持続時間よりも長い場合には、ステップ627においてランプ持続時間が増分的に短縮され、ステップ620が繰り返される。ランプ持続時間が最短ランプ持続時間以下である場合には、ステップ629において、平均換気圧力を増加させるために吸気時間が延長されて、ステップ630へと進む。
【0073】
ステップ630において、呼気終末ガス流が最大呼気ガス流の2%より大きいかどうかがチェックされる。呼気終末ガス流が最大呼気ガス流の2%より大きい場合には、ステップ634において、呼気終末ガス流が実質的に最大呼気ガス流の2%になるまで、かつ/または平均換気圧力が下側の平均圧力閾値に等しくなるまで、呼気時間が延長され、その一方で、吸気時間と呼気時間との合計が一定に保たれる。呼気終末ガス流が最大呼気ガス流の2%より大きい場合には、ステップ638において、呼気終了ガス流が実質的に最大呼気ガス流の2%になるまで、呼気時間が短縮される。
【0074】
その後、ステップ640が実施され、このステップ640では、吸気終末ガス流が最大吸気ガス流の2%より大きいかどうかがチェックされる。吸気終末ガス流が最大吸気ガス流の2%より大きい場合には、ステップ644において、吸気終末ガス流が実質的に最大吸気ガス流の2%になるまで、またはランプ持続時間が実質的に最短ランプ持続時間に相当するまで、ランプ持続時間が短縮される。吸気終末ガス流が最大吸気ガス流の2%より小さい場合には、ステップ648において、吸気終末ガス流が実質的に最大吸気ガス流の2%になるまで、または平均換気圧力が実質的に下側の平均圧力閾値に相当するまで、ランプ持続時間が延長される。
【0075】
ステップ644またはステップ648が実施された後、換気615の実施によって始まるステップが改めて実施される。
【0076】
本実施例では、本発明による人工呼吸器の閉ループ制御の全ての態様が説明される。代替的な実施例では、吸気時間の閉ループ制御のみが実施されるか、または吸気時間の閉ループ制御とランプの閉ループ制御との組み合わせのみが実施されるか、または吸気時間の閉ループ制御と平均換気圧力の閉ループ制御との組み合わせのみが実施される。
【0077】
閉ループ制御600の構造は、実質的に、本発明による閉ループ制御の反復的な特性を視覚化したものである。この閉ループ制御600の対応するステップが実施されるたびに、値の増分的な変更が実施される。換気のための適切な開始条件は、医療的な実践から公知であり、したがって以下では説明しない。
【0078】
図7は、本発明のさらなる態様による方法700の実施例のフローチャートを示す。
図6に示されている閉ループ制御と比較して、方法700は、本発明による方法ステップの上位のシーケンスを表す。以下の説明から当業者には、方法700の個々の方法ステップが、
図6の枠内で説明された閉ループ制御600の複数の段階を含み得ることが明確に理解可能である。
【0079】
本発明による方法700は、患者の機械的換気のための人工呼吸器を動作させるために構成されている。このために、方法700は、以下に示されているステップを有する。
【0080】
第1のステップ710は、人工呼吸器の換気回路においてガス流に依存した測定値の推移を測定して、対応するセンサ信号を出力することを含む。
【0081】
後続のステップ720は、現在の目下の換気モードの複数の換気パラメータを格納することを含み、これらの格納された換気パラメータは、少なくとも、人工呼吸器によって現在提供されている換気の吸気時間と、対応する呼吸サイクルに関する後続の呼気時間とを示す。
【0082】
さらなるステップ730は、センサ信号を受信し、ガス流に依存した測定値の推移に基づいて、少なくとも1つの現在の呼気終末ガス流を決定することを含む。
【0083】
最後のステップ740は、決定された現在の呼気終末ガス流と下側の閾値および/または上側の閾値との間の比較に基づいて、患者の換気のための現在の目下の換気モードに関する吸気時間と呼気時間との間の比率を調整することを含む。
【0084】
方法ステップ710および720の順序は、入れ替え可能である。したがって、複数の換気パラメータの格納は、既に人工呼吸器の提供とともに実施可能であるが、本方法の実施中にも、換気パラメータの変更によって改めて実施可能である。
【0085】
さらなるステップ730および740は、最初の2つのステップ710および720の後に実施される。ステップ730によって現在の呼気終末ガス流を決定することは、常に、ステップ740によって吸気時間と呼気時間との間の比率を調整することの前に実施される。
【0086】
好ましくは、ステップ730および740は、少なくともほぼリアルタイムで実施され、したがって、ある呼吸サイクルに関する測定値を、既に、後続の呼吸サイクルの吸気時間と呼気時間との間の比率を変更する際に考慮することができる。代替的または追加的な実施例では、吸気時間と呼気時間との間の比率の調整は、過去の呼吸サイクルの複数の測定値に基づいて、とりわけ、最後の2回の呼吸サイクルに基づいて実施される。以前の呼吸サイクルを考慮することにより、本発明による人工呼吸器の信頼性を改善することができる。なぜなら、例えば、現在の呼吸サイクルと過去の呼吸サイクルとの間の比較から、偏差が特に大きい場合には、測定誤差を推測することが可能となるからである。例えば、偏差が、偏差の閾値を上回っている場合には、吸気時間と呼気時間との間の比率を調整するために現在の測定値を利用しないようにすることができる。
【0087】
本発明による方法700のステップは、本方法の範囲内で複数回実施可能である。したがって、例えば、ステップ730によって複数の現在の呼気終末ガス流を決定することができ、その後、ステップ740によって吸気時間と呼気時間との間の比率の調整が実施される。
【0088】
好ましくは、例えば、ステップ710による測定、ステップ730による現在の呼気終末ガス流の決定、およびステップ740による調整のような本発明による方法の少なくとも一部は、それぞれの呼吸サイクルごとに改めて実施される。本発明によれば、ステップ740による調整は、決定された現在の呼気終末ガス流と、格納されている規則による対応する閾値との間の比較がそのことを示した場合にのみ実施される。
【0089】
方法700の複数の異なる方法ステップは、1つの共通の場所で、例えば1つの共通の機器によって実施可能である。例えば、1つの共通のプロセッサによる個々のステップの実施は、少なくともソフトウェアレベルにおいて互いに分離されている。代替的に、方法700を、少なくとも部分的に複数の異なる場所で実施してもよい。
【符号の説明】
【0090】
100 人工呼吸器
102 患者
105 換気回路
110 センサユニット
112 センサヘッド
114,214,314,414,514 測定値の推移
115 ガス流に依存した測定値
116 センサ信号
120 メモリユニット
122 換気パラメータ
124 吸気時間
126 呼気時間
130 処理ユニット
131 第1のモジュール
132 呼気終末ガス流
133 第2のモジュール
134 下側の閾値
135 上側の閾値
136 吸気時間と呼気時間との間の比率
136’ 過去の比率
137 第3のモジュール
138 内部出力部
140 制御ユニット
200,300,400,500 線図
202,302 X軸
204,304 Y軸
250,450,550 ランプ持続時間
252,352,452 最大吸気ガス流
254,454 吸気終了
255 最大呼気ガス流
256 拡張された呼気領域
258,358,458 呼気終了
465 吸気終末ガス流
467 拡張された吸気領域
468 下側の吸気閾値
470 プラトー持続時間
600 閉ループ制御
605,610,615,620,625,627,629,630,634,638,640,644,648 閉ループ制御ステップ
700 方法
710,720,730,740 方法ステップ
【手続補正書】
【提出日】2022-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(102)の機械的換気のための人工呼吸器(100)であって、当該人工呼吸器(100)は、
少なくとも1つのセンサユニット(110)と、
メモリユニット(120)と、
処理ユニット(130)と、
を有し、
前記少なくとも1つのセンサユニット(110)は、前記人工呼吸器(100)の換気回路(105)においてガス流に依存した測定値(115)の推移(114)を測定して、対応するセンサ信号(116)を出力するように構成されており、
前記メモリユニット(120)には、現在の目下の換気モードの複数の換気パラメータ(122)が格納されており、
格納されている前記換気パラメータ(122)は、少なくとも、前記人工呼吸器(100)によって現在提供されている換気の吸気時間(124)と、対応する呼吸サイクルに関する後続の呼気時間(126)とを示し、
前記処理ユニット(130)は、前記センサ信号(116)を受信し、前記ガス流に依存した測定値(115)の前記推移(114)に基づいて、少なくとも1つの現在の呼気終末ガス流(132)を求めるように構成されており、
前記処理ユニット(130)は、求められた前記現在の呼気終末ガス流(132)と、下側の閾値(134)および/または上側の閾値(135)との間の比較に基づいて、前記患者(102)の換気のための前記現在の目下の換気モードに関する吸気時間(124)と呼気時間(126)との間の比率(136)を調整するようにさらに構成されており、
前記対応する呼吸サイクルの持続時間は、実質的に一定のままである、
人工呼吸器(100)。
【請求項2】
前記処理ユニット(130)は、前記現在の呼気終末ガス流(132)が前記下側の閾値(134)を下回っている場合に、前記呼気時間(126)を短縮するように構成されている、請求項1記載の人工呼吸器(100)。
【請求項3】
前記処理ユニット(130)は、閉ループ時間制御を提供し、
前記閉ループ時間制御では、前記現在の呼気終末ガス流(132)が、前記閉ループ時間制御の測定量として機能し、前記吸気時間(124)が、前記閉ループ時間制御の操作量として機能し、前記下側の閾値(134)が、前記測定量の目標値を表す、
請求項1および2記載の人工呼吸器(100)。
【請求項4】
前記処理ユニット(130)は、前記現在の呼気終末ガス流(132)が前記上側の閾値(135)を上回っている場合に、前記呼気時間(126)を延長するように構成されている、請求項1および2記載の人工呼吸器(100)。
【請求項5】
前記下側の閾値(134)および/または前記上側の閾値(135)は、前記ガス流に依存した測定値(115)の測定された推移(114)に依存する、請求項1記載の人工呼吸器(100)。
【請求項6】
前記下側の閾値(134)および/または前記上側の閾値(135)は、提供されている換気の前記呼気時間(126)中の、前記ガス流に依存した測定値(115)から決定される最大呼気ガス流(255)に依存する、請求項5記載の人工呼吸器(100)。
【請求項7】
前記処理ユニット(130)は、前記吸気時間(124)の調整に基づいて、前記吸気時間(124)の開始時における呼吸ガスのガス圧力の増加、および/または前記吸気時間(124)中における前記呼吸ガスの最大圧力を調整するようにさらに構成されている、請求項1記載の人工呼吸器(100)。
【請求項8】
前記処理ユニット(130)は、前記吸気時間(124)が延長される場合に、前記吸気時間(124)の開始時におけるガス圧力の増加を低減するように、かつ/または前記呼吸ガスの最大圧力を低減するようにさらに構成されている、請求項7記載の人工呼吸器(100)。
【請求項9】
前記処理ユニット(130)は、
前記ガス流に依存した測定値(115)の前記推移(114)にわたって現在の吸気終末ガス流(465)を決定し、
前記現在の吸気終末ガス流(465)に基づいて、前記吸気時間(124)の開始時における前記呼吸ガスのガス圧力の増加のランプ持続時間(450)を調整する
ようにさらに構成されている、請求項1記載の人工呼吸器(100)。
【請求項10】
前記処理ユニット(130)は、前記現在の吸気終末ガス流(465)が下側の吸気閾値(468)を下回っている場合に、前記ランプ持続時間(450)を延長し、それと同時に、前記吸気時間(124)の残りのプラトー持続時間(470)を、前記吸気時間(124)が前記吸気終末ガス流(465)とは無関係になるように短縮するように構成されている、請求項9記載の人工呼吸器(100)。
【請求項11】
前記処理ユニット(130)は、閉ループランプ制御を提供し、
前記閉ループランプ制御では、前記現在の吸気終末ガス流(465)が、前記閉ループランプ制御の測定量として機能し、前記ランプ持続時間(450)が、前記閉ループランプ制御の操作量として機能し、前記下側の吸気閾値(468)が、前記測定量の目標値を表す、
請求項9および10記載の人工呼吸器(100)。
【請求項12】
前記処理ユニット(130)は、前記現在の吸気終末ガス流(465)が上側の吸気閾値を上回っている場合に、前記ランプ持続時間(450)を短縮し、それと同時に、前記吸気時間(124)の残りのプラトー持続時間(470)を、前記吸気時間(124)が前記吸気終末ガス流(465)とは無関係になるように延長するように構成されている、請求項9および10記載の人工呼吸器(100)。
【請求項13】
前記処理ユニット(130)は、前記呼気時間(126)の延長、および/または最大圧力が一定である場合の前記ランプ持続時間(450)の延長を、これによって前記対応する呼吸サイクルにわたる平均換気圧力が所定の下側の平均圧力閾値を下回らない場合にのみ実施するようにさらに構成されている、請求項1記載の人工呼吸器(100)。
【請求項14】
患者(102)の機械的換気のための人工呼吸器(100)を動作させるための方法(700)であって、当該方法(700)は、
前記人工呼吸器(100)の換気回路(105)においてガス流に依存した測定値(115)の推移(114)を測定して、対応するセンサ信号(116)を出力するステップと、
現在の目下の換気モードの複数の換気パラメータ(122)を格納するステップであって、格納された前記換気パラメータ(122)は、少なくとも、前記人工呼吸器(100)によって現在提供されている換気の吸気時間(124)と、対応する呼吸サイクルに関する後続の呼気時間(126)とを示す、ステップと、
前記センサ信号(116)を受信し、前記ガス流に依存した測定値(115)の前記推移(114)に基づいて、少なくとも1つの現在の呼気終末ガス流(132)を求めるステップと、
求められた前記現在の呼気終末ガス流(132)と下側の閾値(134)および/または上側の閾値(135)との間の比較に基づいて、前記患者(102)の換気のための前記現在の目下の換気モードに関する吸気時間(124)と呼気時間(126)との間の比率(136)を調整するステップであって、前記対応する呼吸サイクルの持続時間は、実質的に一定のままである、ステップと
を有する、方法(700)。
【外国語明細書】