(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167839
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】腸活動調整装置、腸活動調整システム、及び腸活動調整プログラム
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20221027BHJP
A61F 7/03 20060101ALI20221027BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20221027BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20221027BHJP
A61M 21/02 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61M11/00 Z
A61F7/08 332A
A61N1/36
A61H7/00 322J
A61M21/02 C
A61M21/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069883
(22)【出願日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2021073438
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 望
(72)【発明者】
【氏名】三木 早苗
(72)【発明者】
【氏名】平野 智也
(72)【発明者】
【氏名】平山 喬弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 成宏
【テーマコード(参考)】
4C053
4C100
【Fターム(参考)】
4C053JJ21
4C053JJ31
4C053JJ36
4C100AD01
4C100BB05
4C100BC11
4C100CA13
4C100DA06
4C100EA05
4C100EA06
4C100EA07
(57)【要約】
【課題】対象者の腸活動の状態に基づいて腸活動を調整する。
【解決手段】腸活動調整装置(2)は、対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)で検出した該腸活動の状態に基づいて、該腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者(T)の腸活動を改善する腸活動調整装置であって、
前記対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)で検出した該腸活動の状態に基づいて、該腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)を備える
腸活動調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記対象者(T)の自律神経に作用するような前記調整動作を行う
腸活動調整装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記調整動作として、前記腸活動を促進する促進動作を行う
腸活動調整装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記調整動作として、前記腸活動を抑制する抑制動作を行う
腸活動調整装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態を表示する表示部(53)を更に備える
腸活動調整装置。
【請求項6】
請求項5に記載の腸活動調整装置において、
前記表示部(53)は、前記調整動作の前の前記腸活動の状態と、前記調整動作の後の前記腸活動の状態とを表示する
腸活動調整装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記対象者(T)が存在する空間(S)に有用物質を放出する放出部(20)を有する
腸活動調整装置。
【請求項8】
請求項7に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記検出部(11)で検出した前記腸活動のレベルが所定値以下のときに、前記放出部(20)に前記腸活動を促進する前記有用物質を放出させる
腸活動調整装置。
【請求項9】
請求項7に記載の腸活動調整装置おいて、
前記調整部(3)は、前記調整動作に連動して空気を送風する送風部(30)を更に有する
腸活動調整装置。
【請求項10】
請求項7に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記空間(S)の環境に応じて、前記有用物質の放出量を調節する
腸活動調整装置。
【請求項11】
請求項7に記載の腸活動調整装置において、
前記放出部(20)は、種類の異なる複数の前記有用物質を有し、
前記調整部(3)は、前記有用物質の種類に応じて、該有用物質の放出量を調節する
腸活動調整装置。
【請求項12】
対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)と、
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置(2)とを備える
腸活動調整システム。
【請求項13】
対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)で検出した該腸活動の状態を表示部(53)に表示させる第1処理と、
前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態を、前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態に基づいて前記腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)に送信する第2処理と、
前記調整部(3)の前記調整動作に基づいて、前記表示部(53)における前記腸活動の状態の表示を変更する第3処理とをコンピュータに実行させる
腸活動調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、腸活動調整装置、腸活動調整システム、及び腸活動調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体に関する情報を測定する測定装置が知られていている。特許文献1には、生体情報として腸音を測定する腸音測定装置が開示されている。特許文献1の腸音測定装置は、被験者の腸音を測定し、測定された腸音を解析することで腸の蠕動運動の状況を把握する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、人が精神的又は肉体的なストレスを受けた場合には、そのストレスに起因して腸の活動が変化する。ストレス等によって腸活動が変化すると、便秘や下痢などの症状が現れることがある。特許文献1の腸音測定装置では、ストレス等の影響による腸活動の変化を把握できるが、変化した腸活動を正常な状態に戻すことはできない。
【0005】
本開示の目的は、対象者の腸活動の状態に基づいて腸活動を調整することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、対象者(T)の腸活動を改善する腸活動調整装置(2)を対象とする。腸活動調整装置(2)は、前記対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)で検出した該腸活動の状態に基づいて、該腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)を備える。
【0007】
第1の態様では、腸活動の調整動作を行う調整部(3)を備えるので、対象者(T)の腸活動の状態に基づいて対象者(T)の腸活動を調整できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記調整部(3)は、前記対象者(T)の自律神経に作用するような前記調整動作を行う。
【0009】
第2の態様では、調整部(3)が調整動作を行うことにより、対象者(T)の自律神経に作用して対象者(T)の腸活動を調整できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記調整部(3)は、前記調整動作として、前記腸活動を促進する促進動作を行う。
【0011】
第3の態様では、調整動作として促進動作が行われることにより、対象者(T)の腸活動が促進される。
【0012】
本開示の第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記調整部(3)は、前記調整動作として、前記腸活動を抑制する抑制動作を行う。
【0013】
第4の態様では、調整動作として抑制動作が行われることにより、対象者(T)の腸活動が抑制される。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態を表示する表示部(53)を更に備える。
【0015】
第5の態様では、表示部(53)を備えることにより、対象者(T)に腸活動の状態を知らせることができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第5の態様において、前記表示部(53)は、前記調整動作の前の前記腸活動の状態と、前記調整動作の後の前記腸活動の状態とを表示する。
【0017】
第6の態様では、表示部(53)に調整動作の前後における腸活動の状態を表示することにより、対象者(T)に調整動作による腸活動の状態の変化を知らせることができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記調整部(3)は、前記対象者(T)が存在する空間(S)に有用物質を放出する放出部(20)を有する。
【0019】
第7の態様では、調整部(3)が放出部(20)を有することにより、対象者(T)が存在する空間(S)に有用物質が放出される。
【0020】
本開示の第8の態様は、第7の態様において、前記調整部(3)は、前記検出部(11)で検出した前記腸活動のレベルが所定値以下のときに、前記放出部(20)に前記腸活動を促進する前記有用物質を放出させる。
【0021】
第8の態様では、対象者(T)の腸活動のレベルが所定値以下のときに有用物質が放出される。これにより、対象者(T)の腸活動のレベルが低い場合に対象者(T)の腸活動を促進できる。
【0022】
本開示の第9の態様は、第7又は第8の態様において、前記調整部(3)は、前記調整動作に連動して空気を送風する送風部(30)を更に有する。
【0023】
第9の態様では、送風部(30)による送風が調整動作に連動するので、調整部(3)から放出される有用物質の濃度のむらを抑制できる。
【0024】
本開示の第10の態様は、第7~第9のいずれか1つの態様において、前記調整部(3)は、前記空間(S)の環境に応じて、前記有用物質の放出量を調節する。
【0025】
第10の態様では、対象者(T)が存在する空間(S)の環境に応じて有用物質の放出量が調節される。
【0026】
本開示の第11の態様は、第7~第10のいずれか1つの態様において、前記放出部(20)は、種類の異なる複数の前記有用物質を有し、前記調整部(3)は、前記有用物質の種類に応じて、該有用物質の放出量を調節する。
【0027】
第11の態様では、有用物質の種類に応じて、該有用物質の放出量が調節される。
【0028】
本開示の第12の態様は、対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)と、第1~第11のいずれか1つの態様の腸活動調整装置(2)とを備える腸活動調整システムである。
【0029】
本開示の第13の態様は、対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)で検出した該腸活動の状態を表示部(53)に表示させる第1処理と、前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態を、前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態に基づいて前記腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)に送信する第2処理と、前記調整部(3)の前記調整動作に基づいて、前記表示部(53)における前記腸活動の状態の表示を変更する第3処理とをコンピュータに実行させる腸活動調整プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施形態に係る腸活動調整システムが適用される空間の概略の全体構成図である。
【
図2】
図2は、腸活動調整システムのブロック図である。
【
図4】
図4は、有用物質の放出量を決定するための入力情報の種類を示す表である。
【
図5】
図5は、表示部における調整動作の前後の腸活動の状態の表示を示す図である。
【
図6】
図6は、腸活動調整システムの運転動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、調整運転を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例1に係る調整運転を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例2に係る香りの強さの段階を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0032】
《実施形態》
-腸活動システムの概要-
本開示の腸活動調整システム(1)は、対象者(T)の腸活動を改善するためのシステムである。腸活動調整システム(1)は、検出ユニット(10)、及び腸活動調整装置(2)を備える。検出ユニット(10)は、対象者(T)の腸活動の状態を検出するための機器である。腸活動調整装置(2)は、対象者(T)の腸活動を改善するための装置である。具体的には、腸活動調整装置(2)は、検出ユニット(10)からの出力に基づいて対象者(T)の腸活動を調整する。腸活動調整装置(2)は、調整部(3)、及び通信端末(50)を含む。
【0033】
図1に示すように、腸活動調整システム(1)は、対象者(T)が存在する室内空間(S)で使用される。対象者(T)は、例えば室内空間(S)において、ベッドなどの寝具の上で就寝する。検出ユニット(10)は、小型の持ち運び可能な機器である。検出ユニット(10)は、対象者(T)の腹部に密着するように装着される。腸活動調整装置(2)の調整部(3)は、室内空間(S)(例えば、床の上)に配置される。腸活動調整装置(2)の通信端末(50)は、調整部(3)及び検出ユニット(10)と通信可能な機器である。通信端末(50)には、スマートフォンや、タブレット端末、携帯電話等が含まれる。
【0034】
〈検出ユニット〉
図2に示すように、検出ユニット(10)は、機能部としての検出部(11)と、第1通信部(12)とを含む。なお、ここでいう、あるいは以下で述べる「機能部」という用語はハードウェアのみによって実現される機能部、ソフトウェアのみによって実現される機能部、及びハードウェアとソフトウェアとが協調して実現される機能部を含む。
【0035】
検出部(11)は、対象者(T)の腸活動の状態を検出する。ここで、腸活動とは、腸の蠕動運動のことである。腸の蠕動運動とは、腸が収縮と弛緩を繰り返す運動のことである。これにより、腸内の内容物を移動させて体外へ排出する。腸が蠕動運動する際に、腸の内容物が移動することにより音が発生する。本例の検出部(11)は、腸の蠕動運動による生じる音(以下、腸音という)を測定するマイクである。言い換えると、検出部(11)は、腸音のデータを検出する。なお、検出部(11)では、測定された腸音のノイズを処理してもよい。
【0036】
第1通信部(12)は、有線又は無線の通信回線を介して検出部(11)と接続する。検出部(11)で検出された腸音のデータは、第1通信部(12)に受信される。第1通信部(12)は、Bluetooth(登録商標、以下同様。)のような短距離無線通信によって通信端末(50)に接続される。第1通信部(12)は、通信端末(50)に腸音のデータを送信する。
【0037】
〈調整部〉
図2に示すように、腸活動調整装置(2)は、調整部(3)を含む。調整部(3)は、検出部(11)で検出した腸活動の状態に基づいて腸活動を調整する。調整部(3)は、機能部としての放出部(20)、送風部(30)、及び制御装置(40)を含む。
【0038】
〈放出部〉
放出部(20)は、対象者(T)が存在する室内空間(S)に有用物質を放出する。放出部(20)は、種類の異なる複数の有用物質を有する。本例の放出部(20)は、有用物質を霧状に放出する噴霧装置である。本例の有用物質は、液状の香料である。本例では、放出部(20)は、2種類の香料を有する。なお、ここで示す香料の種類の数は、単なる一例である。放出部(20)は、1種類又は3種類以上の香料を有してもよい。
図3に示すように、放出部(20)は、ケーシング(21)、噴霧ユニット(61,66)、エアポンプ(22)、空気流路(23)、開閉弁(24,25)、及びフィルタ(26)を備える。
【0039】
(ケーシング)
ケーシング(21)は、中空状に形成される。ケーシング(21)には、噴霧ユニット(61,66)、エアポンプ(22)、空気流路(23)、開閉弁(24,25)、及びフィルタ(26)が収容される。ケーシング(21)の上部には、微粒化された有用物質を室内空間(S)に供給する供給口(21a)が形成される。
【0040】
(噴霧ユニット)
ケーシング(21)には、2つの噴霧ユニット(61,66)が収容される。第1噴霧ユニット(61)は、第1タンク(62)、及び第1噴霧ノズル(63)を有する。第1タンク(62)は、第1噴霧ノズル(63)の下部に着脱可能に取り付けられる。第1タンク(62)には、第1香料(C1)が貯留される。
【0041】
第1噴霧ノズル(63)は、第1タンク(62)の第1香料(C1)を微粒化させる微粒化機構を構成する。具体的には、第1噴霧ノズル(63)は、第1香料(C1)の液膜を気流の剪断力によって微粒化する。第1噴霧ノズル(63)の上部には、微粒化された有用物質が噴出する噴出口(65)が形成される。噴出口(65)は、ケーシング(21)の供給口(21a)から室内空間(S)へ露出する。
【0042】
第2噴霧ユニット(66)の構成は、第1噴霧ユニット(61)の構成と同様である。第2噴霧ユニット(66)の第2タンク(67)には、第2香料(C2)が貯留される。
【0043】
(エアポンプ)
エアポンプ(22)は、室内空間(S)の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を空気流路(23)に吐出する。エアポンプ(22)は、空気を第1噴霧ノズル(63)及び第2噴霧ノズル(68)へ供給する。
【0044】
(空気流路)
エアポンプ(22)の吐出部には、空気流路(23)が接続される。空気流路(23)は、チューブによって構成される。空気流路(23)は、主流路(23a)、第1分岐路(23b)、及び第2分岐路(23c)を含む。
【0045】
主流路(23a)の流入端は、エアポンプ(22)に接続する。主流路(23a)の流出端は、第1分岐路(23b)の流入端及び第2分岐路(23c)の流入端に接続する。言い換えると、主流路(23a)は、第1分岐路(23b)と第2分岐路(23c)とに分岐する。第1分岐路(23b)の流出端は、第1噴霧ノズル(63)に接続する。第2分岐路(23c)の流出端は、第2噴霧ノズル(68)に接続する。
【0046】
第1分岐路(23b)には、第1開閉弁(24)が配置される。第1開閉弁(24)は、電磁弁で構成される。第1開閉弁(24)は、第1噴霧ユニット(61)に空気を送る際に開かれる。第2分岐路(23c)には、第2開閉弁(25)が配置される。第2開閉弁(25)は、電磁弁で構成される。第2開閉弁(25)は、第2噴霧ユニット(66)に空気を送る際に開かれる。
【0047】
(フィルタ)
第1分岐路(23b)及び第2分岐路(23c)のそれぞれには、フィルタ(26)が配置される。具体的には、一方のフィルタ(26)は、第1分岐路(23b)における第1開閉弁(24)と第1噴霧ユニット(61)との間に配置される。他方のフィルタ(26)は、第2分岐路(23c)における第2開閉弁(25)と第2噴霧ユニット(66)との間に配置される。フィルタ(26)は、エアポンプ(22)から吸い込まれた空気に含まれる塵埃等を捕集するためのものである。
【0048】
(香料)
本例において第1タンク(62)に貯留される第1香料(C1)、及び第2タンク(67)に貯留される第2香料は、腸活動の状態を促進する作用のある香料である。言い換えると、人の副交感神経を亢進させる作用のある香料である。具体的には、第1香料(C1)は、ラベンダーを主成分とする香料である。第2香料(C2)は、青葉アルコール及び青葉アルデヒドを主成分としたみどりの香りの香料である。なお、第1香料及び第2香料は、上記の成分以外の香料成分を含んでもよい。
【0049】
〈送風部〉
送風部(30)は、放出部(20)から放出された香料をむらなく室内空間(S)に行き渡らせるためのものである。送風部(30)は、空気を送風するファンである。本例では、送風部(30)は、放出部(20)のケーシング(21)内に配置される。送風部(30)は、室内空間(S)に向かって空気を吹き出す。
【0050】
〈制御装置〉
図2に示すように、腸活動調整装置(2)の調整部(3)は、制御装置(40)を有する。制御装置(40)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータ及びメモリディバイスを含む。メモリディバイスは、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウェアを格納する。
【0051】
制御装置(40)は、機能部としての第2通信部(41)、及び判定部(42)を有する。第2通信部(41)は、有線又は無線の通信回線を介して通信端末(50)と接続する。第2通信部(41)は、Bluetooth(登録商標、以下同様。)のような短距離無線通信によって通信端末(50)に接続される。第2通信部(41)は、通信端末(50)を経由して検出ユニット(10)から送信された腸音のデータ、及び通信端末(50)から送信された有用物質の放出量を決定するための情報を受信する受信部を含む。第2通信部(41)は、腸活動のレベルを通信端末(50)に送信する送信部を含む。
【0052】
判定部(42)は、第2通信部(41)で受信された腸音のデータに基づいて、腸活動のレベルを判定し、判定した腸活動のレベルを出力する。腸活動のレベルとしては、例えば、腸音のデータに対応する複数のレベルが用いられる。腸の活動が活発なほど、腸活動のレベルは高くなる。
【0053】
制御装置(40)は、放出部(20)及び送風部(30)を制御する。具体的には、制御装置(40)は、エアポンプ(22)と、第1開閉弁(24)と、第2開閉弁(25)とを制御することにより、放出部(20)に調整動作を行わせる。放出部(20)の調整動作では、放出部(20)から有用物質を放出する。制御装置(40)は、送風部(30)を制御することにより、放出部(20)の調整動作に連動して空気を送風させる。
【0054】
本例における有用物質の放出量の調節は、エアポンプ(22)の間欠的な運転の時間間隔によって行われる。なお、有用物質の放出量の調節は、開閉弁(24,25)の開閉動作の時間間隔、エアポンプ(22)の吐出流量、空気流路(23)の開度の調節などによって行われてもよい。
【0055】
制御装置(40)は、室内空間(S)の環境に応じて、有用物質の放出量を調節する。言い換えると、エアポンプ(22)の間欠的な運転の時間間隔は、室内空間(S)の環境に応じて調節される。本例では、室内空間(S)の環境として、部屋の広さ及び建物の種類が用いられる。
【0056】
具体的には、
図4に示すように、部屋の広さとしては、4畳(6畳以下)、8畳(6~8畳)、及び12畳(10~14畳)のいずれであるかによって、有用物質の放出量が変更される。建物の種類としては、木造、プレハブ、及びその他のいずれであるかによって、有用物質の放出量が変更される。ここで、建物の種類によって1時間あたりの換気回数が異なる。そのため、建物の種類は有用物質の放出量の調節に影響を与える。
【0057】
制御装置(40)は、有用物質の種類に応じて、該有用物質の放出量を調節する。言い換えると、エアポンプ(22)の間欠的な運転の時間間隔は、有用物質に応じて調節される。本例では、有用物質の種類として、第1タンク(62)に貯留された第1香料、及び第2タンク(67)に貯留された第2香料のいずれであるかによって、有用物質の放出量が変更される。
【0058】
制御装置(40)は、上記のような部屋の広さ、建物の種類、及び有用物質の種類に応じて、有用物質の放出量を調節する。部屋の広さ、建物の種類、放出する有用物質の種類は、後述する通信端末(50)の操作部(52)において、対象者(T)によって設定される。
【0059】
〈通信端末〉
図2に示すように、腸活動調整装置(2)は、通信端末(50)を含む。通信端末(50)は、対象者(T)が操作する端末である。本例の通信端末(50)は、スマートフォンである。通信端末(50)は、マイクロコンピュータ及びメモリディバイスを含む。メモリディバイスは、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウェアを格納する。通信端末(50)は、機能部としての第3通信部(51)、操作部(52)、表示部(53)、及び記憶部(54)を含む。
【0060】
通信端末(50)は、メモリディバイスに記録されたブログラムを実行することで、第3通信部(51)、操作部(52)、表示部(53)、及び記憶部(54)として機能する。通信端末(50)に記憶されたプログラムは、本開示の腸活動調整プログラムに対応する。このプログラムは、第1処理、第2処理、第3処理、第4処理、及び第5処理をコンピュータとしての通信端末(50)に実行させる。
【0061】
第1処理では、検出部(11)で検出した腸活動の状態を表示部(53)に表示させる。第2処理では、検出部(11)で検出した腸活動の状態を調整部(3)に送信する。第3処理では、調整部(3)の調整動作に基づいて、表示部(53)における腸活動の状態の表示を変更する。第4処理では、操作部(52)において入力された情報を調整部(3)に送信する。第5処理では、検出部(11)で検出した腸活動の状態を記憶部(54)に記憶する。
【0062】
(第3通信部)
第3通信部(51)は、検出ユニット(10)から送信された腸音のデータを受信するとともに、調整部(3)から送信された腸活動のレベルを受信する受信部を含む。第3通信部(51)は、調整部(3)に腸音のデータを送信する送信部を含む。
【0063】
(操作部)
操作部(52)は、例えばタッチパネルで構成される。対象者(T)は、操作部(52)を用いて通信端末(50)に記憶されたアプリケーションソフトを操作する。このアプリケーションソフトを操作することで、腸活動調整システム(1)を作動又は停止させたり、就寝時間及び起床時間を入力したり、有用物質の放出量を決定するための情報を入力したりできる。
【0064】
ここで、本例における有用物質の放出量を決定するための情報として、対象者(T)は、上述した部屋の広さ、建物の種類、及び有用物質の種類のそれぞれについて、情報を選択する。具体的には、
図4に示すように、対象者(T)は、部屋の種類について、3種類の広さの中から1種類を選択する。対象者(T)は、建物の種類について、3種類の建物の中から1種類を選択する。対象者(T)は、有用物質の種類について、2種類の香料の中から1種類を選択する。
【0065】
(表示部)
表示部(53)は、例えば液晶パネルで構成される。表示部(53)は、検出部(11)で検出した腸活動の状態を表示する。本例では、表示部(53)は、腸活動の状態として腸活動のレベルを表示する。表示部(53)は、調整動作が行われる前の腸活動の状態と、調整動作が行われた後の腸活動の状態とを表示する。表示部(53)における調整動作の前後の腸活動の状態の表示については、後述する。
【0066】
(記憶部)
記憶部(54)は、検出部(11)で検出された腸活動の状態を記憶する。本例では、記憶部(54)は、腸活動の状態として腸活動のレベルを記憶する。記憶部(54)は、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0067】
-腸活動の状態の表示-
次に、表示部(53)における調整動作の前後の腸活動の状態の表示について、
図5を参照しながら説明する。
【0068】
図5は、通信端末(50)の表示部(53)に表示される画像である。画像の上部には、調整動作の前後の腸活動の状態が表示される。具体的には、画像の上部における左側には、調整動作が行われる前の腸活動の状態(本例では、腸活動のレベル)が表示される。
【0069】
画像の上部における右側には、調整動作が行われた後の腸活動の状態(本例では、腸活動のレベル)が表示される。ここで、本例における調整動作が行われた後の腸活動の状態とは、腸活動調整システム(1)の運転が終了する直前に検出された腸活動の状態である。これにより、対象者(T)は、腸活動調整システム(1)を使用することによる腸活動の改善状況を認識できる。
【0070】
画像の下部には、過去に測定された腸活動の状態(本例では、腸活動のレベル)の変化がグラフで表示される。グラフにおける横軸は日付を示し、縦軸は腸活動のレベルを示す。グラフでは、過去1週間、過去2週間、及び過去1か月間のいずれかの期間の腸活動のレベルの変化が折れ線グラブとして表示される。これにより、対象者(T)は、腸活動調整システム(1)を長期的に使用することによる腸活動の改善状況を認識できる。
【0071】
-腸活動調整システムの運転動作-
腸活動調整システム(1)の運転動作について、
図6を参照しながら説明する。本例の腸活動調整システム(1)は、対象者(T)の就寝直前から起床直後までの間に動作する。
【0072】
図6に示すように、腸活動調整システム(1)が運転を開始すると、ステップST1において、対象者(T)が通信端末(50)の操作部(52)に部屋の広さ、建物の種類、及び放出する有用物質の種類を選択するとともに、起床時間を入力する。操作部(52)に入力された情報は、第3通信部(51)に送信される。第3通信部(51)は、操作部(52)において入力された情報を、第2通信部(41)に送信する。
【0073】
次に、ステップST2において、検出部(11)で対象者(T)の腸活動の状態が検出される。具体的には、ステップST2において、検出部(11)によって対象者(T)の腸音を測定する。測定された腸音のデータは、第1通信部(12)に送信される。第1通信部(12)は、測定された腸音のデータを、第3通信部(51)を介して、第2通信部(41)に送信する。
【0074】
次に、ステップST3において、検出部(11)で検出した腸活動の状態に基づいて、腸活動のレベルを判定する。具体的には、ステップST3において、制御装置(40)の判定部(42)は、第2通信部(41)において受信した腸音のデータに基づいて、腸活動のレベルを判定し、判定した腸活動のレベルを出力する。出力された腸活動のレベルは、第2通信部(41)を介して第3通信部(51)に送信される。第3通信部(51)で受信された腸活動のレベルは、記憶部(54)に記憶される。
【0075】
次に、ステップST4において、対象者(T)の腸活動の状態を表示部(53)に表示する。具体的には、ステップST4において、第3通信部(51)で受信した対象者(T)の腸活動のレベルを表示部(53)に送信する。腸活動のレベルを受信した表示部(53)は、対象者(T)の該腸活動のレベルを表示する。
【0076】
次に、ステップST5において、制御装置(40)は、調整運転を実行する。制御装置(40)は、調整運転において、放出部(20)及び送風部(30)を制御する。調整運転については、後述する。
【0077】
次に、ステップST6において、検出部(11)で対象者(T)の腸活動の状態が検出される。具体的には、ステップST6において、検出部(11)によって対象者(T)の腸音を測定する。測定された腸音のデータは、第1通信部(12)に送信される。第1通信部(12)は、測定された腸音のデータを、第3通信部(51)を介して、第2通信部(41)に送信する。
【0078】
次に、ステップST7において、検出部(11)で検出した腸活動の状態に基づいて、腸活動のレベルを判定する。具体的には、ステップST7において、制御装置(40)の判定部(42)は、第2通信部(41)において受信した腸音のデータに基づいて、腸活動のレベルを判定し、判定した腸活動のレベルを出力する。出力された腸活動のレベルは、第2通信部(41)を介して第3通信部(51)に送信される。第3通信部(51)で受信された腸活動のレベルは、記憶部(54)に記憶される。
【0079】
次に、ステップST8において、制御装置(40)は、現在の時刻が予め入力された起床時間を過ぎているか否かを判定する。現在の時刻が予め入力された起床時間を過ぎていた場合(ステップST8のYES)、ステップST9に移行する。現在の時刻が予め入力された起床時間を過ぎていなかった場合(ステップST8のNO)、ステップST5に移行する。
【0080】
ステップST9において、表示部(53)は、調整動作が行われる前の腸活動の状態と、調整動作が行われた後の腸活動の状態とを表示する。具体的には、ステップST9において、表示部(53)は、調整動作が行われる前の腸活動のレベルと、調整動作が行われた後の最新の腸活動のレベルと、過去に測定された腸活動のレベルの変化を表示する。
【0081】
このように、表示部(53)では、腸活動調整システム(1)の運転が開始される際に、調整動作が行われる前の対象者(T)の腸活動の状態が表示され、腸活動調整システム(1)の運転が終了する際、調整動作が行われた後の対象者の腸活動の状態が表示される。言い換えると、表示部(53)では、調整部(3)の調整動作に基づいて、表示部(53)における腸活動の状態の表示が変更される。
【0082】
〈調整運転〉
図6のステップST5の調整運転について、
図7を参照しながら説明する。
【0083】
ステップST11において、制御装置(40)は、腸活動のレベルが所定値以下であるか否かを判定する。腸活動のレベルが所定値以下である場合(ステップST11のYES)、ステップST12に移行する。腸活動のレベルが所定値よりも大きい場合(ステップST11のNO)、ステップST14に移行する。
【0084】
ステップST12において、制御装置(40)は、操作部(52)において入力された情報に基づいて、放出部(20)に調整動作を行わせる。本例では、放出部(20)は、調整動作として、腸活動を促進する促進動作を行う。促進動作では、放出部(20)は、腸活動を促進する有用物質を放出する。具体的な放出部(20)の動作については、後述する。
【0085】
次に、ステップST13において、制御装置(40)は、放出部(20)の促進動作に連動して、送風部(30)を動作させる。これにより、放出部(20)から室内空間(S)に放出された有用物質の濃度のむらが抑制される。
【0086】
次に、ステップST14において、制御装置(40)は、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していた場合(ステップST14のYES)、ステップST15に移行する。所定時間が経過していない場合(ステップST14のNO)、ステップST11に移行する。
【0087】
ステップST15において、制御装置(40)は、放出部(20)及び送風部(30)の動作を停止する。
【0088】
〈放出部の動作〉
放出部(20)は、第1動作と第2動作とを行う。第1動作は、第1香料(C1)を室内空間(S)に放出する動作である。第2動作は、第2香料(C2)を室内空間(S)に放出する動作である。制御装置(40)は、操作部(52)において入力された情報に基づいて、第1動作と第2動作とを切り替える。
【0089】
(第1動作)
第1動作では、エアポンプ(22)がONされ、第1開閉弁(24)が開状態、且つ第2開閉弁(25)が閉状態となる。エアポンプ(22)で搬送された空気は、主流路(23a)を通過し、第1開閉弁(24)を経由して、第1分岐路(23b)に流入する。第1分岐路(23b)を通過した空気は、第1噴霧ノズル(63)に流入する。第1噴霧ノズル(63)では、この空気の気流によって第1香料(C1)が微粒化される。微粒化された第1香料(C1)は、噴出口(65)を通じて室内空間(S)へ供給される。なお、第2開閉弁(25)が閉じられているので、エアポンプ(22)で搬送された空気は、第2噴霧ノズル(68)には流入しない。
【0090】
(第2動作)
第2動作では、エアポンプ(22)がONされ、第1開閉弁(24)が閉状態、且つ第2開閉弁(25)が開状態となる。エアポンプ(22)で搬送された空気は、主流路(23a)を通過し、第2開閉弁(25)を経由して、第2分岐路(23c)に流入する。第2分岐路(23c)を通過した空気は、第2噴霧ノズル(68)に流入する。第2噴霧ノズル(68)では、この空気の気流によって第2香料(C2)が微粒化される。微粒化された第2香料(C2)は、噴出口(65)を通じて室内空間(S)へ供給される。なお、第1開閉弁(24)が閉じられているので、エアポンプ(22)で搬送された空気は、第1噴霧ノズル(63)には流入しない。
【0091】
このように、室内空間(S)に対象者(T)の腸活動を促進する有用物質を放出することにより、対象者(T)は呼吸に伴って有用物質を吸い込む。対象者(T)が有用物質を吸い込むと、有用物質の作用により、対象者(T)の副交感神経が亢進され、腸活動が促進される。その結果、対象者(T)の腸活動が正常な状態に戻され、対象者(T)の腸活動が低下していることに起因して生じる症状(例えば、便秘)が改善される。
【0092】
-実施形態の特徴-
本実施形態の特徴(1)は、腸活動調整装置(2)が、検出部(11)で検出した腸活動の状態に基づいて、該腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)を備えることである。これによれば、調整部(3)で調整動作が行われるので、対象者(T)の腸活動の状態に基づいて対象者(T)の腸活動を調整できる。
【0093】
本実施形態の特徴(2)は、調整部(3)が、調整動作として、前記腸活動を促進する促進動作を行うことである。これによれば、対象者(T)の腸活動が促進される。
【0094】
本実施形態の特徴(3)は、腸活動調整装置(2)が表示部(53)を備えることである。これによれば、検出部(11)で検出した腸活動の状態が表示部(53)に表示されるので、対象者(T)に腸活動の状態を知らせることができる。
【0095】
本実施形態の特徴(4)は、表示部(53)が、調整動作が行われる前の腸活動の状態と、調整動作が行われるの後の腸活動の状態とを表示することである。これによれば、対象者(T)に調整動作を行うことによる腸活動の状態の変化を知らせることができる。
【0096】
本実施形態の特徴(5)は、調整部(3)が放出部(20)を有することである。これによれば、対象者(T)が存在する室内空間(S)に有用物質が放出される。
【0097】
本実施形態の特徴(6)は、調整部(3)が、腸活動のレベルが所定値以下のときに、放出部(20)に腸活動を促進する有用物質を放出させることである。これによれば、対象者(T)の腸活動のレベルが低い場合に対象者(T)の腸活動を促進できる。例えば、対象者(T)の腸活動が正常なときよりも弱いときに便秘の症状が生じたような場合には、対象者(T)が放出部(20)から放出された有用物質を吸い込むことで、対象者(T)の副交感神経が亢進され、腸活動が促進される。その結果、対象者(T)の便秘の症状が緩和される。
【0098】
本実施形態の特徴(7)は、腸活動調整装置(2)が送風部(30)を有することである。これによれば、送風部(30)が調整動作に連動して空気を送風するので、調整部(3)から放出される有用物質の濃度のむらを抑制できる。
【0099】
本実施形態の特徴(8)は、調整部(3)が、室内空間(S)の環境に応じて有用物質の放出量を調節することである。これによれば、室内空間(S)の環境に応じて有用物質の放出量が調節される。
【0100】
本実施形態の特徴(9)は、調整部(3)が、有用物質の種類に応じて、該有用物質の放出量を調節することである。これによれば、有用物質の種類に応じて該有用物質の放出量が調節される。
【0101】
本実施形態の特徴(10)は、腸活動調整装置(2)が対象者(T)の就寝中に運転されることである。これによれば、対象者(T)の就寝中に腸活動が改善されるので、起床後(特に、朝食後)に腸を再活動させやすく、正常な排便を促すことができる。
【0102】
-実施形態の変形例-
〈変形例1〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整運転では、調整動作として、抑制動作が行われてもよい。抑制動作では、放出部(20)は、腸活動を抑制する有用物質を放出する。具体的には、噴霧ユニット(61,66)の第2タンク(67)には、腸活動の状態を抑制する作用のある第2香料が貯留される。
【0103】
また、
図8に示すように、本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整運転では、調整動作として、促進動作及び抑制動作が行われてもよい。制御装置(40)は、腸活動のレベルに基づいて、放出部(20)に促進動作又は抑制動作を行わせる。
【0104】
具体的には、ステップST21において、制御装置(40)は、腸活動のレベルが第1所定値以下であるか否かを判定する。腸活動のレベルが第1所定値以下である場合(ステップST21のYES)、ステップST22に移行する。腸活動のレベルが第1所定値よりも大きい場合(ステップST21のNO)、ステップST24に移行する。
【0105】
ステップST22において、制御装置(40)は、腸活動のレベルに基づいて、放出部(20)に促進動作を行わせる。具体的には、放出部(20)は、腸活動の状態を促進する作用のある第1香料(C1)を室内空間(S)に放出する。
【0106】
次に、ステップST23において、制御装置(40)は、放出部(20)の促進動作に連動して、送風部(30)を動作させる。これにより、放出部(20)から室内空間(S)に放出された有用物質の濃度のむらが抑制される。
【0107】
次に、ステップST24において、制御装置(40)は、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していた場合(ステップST24のYES)、ステップST25に移行する。所定時間が経過していない場合(ステップST24のNO)、ステップST21に移行する。
【0108】
ステップST25において、制御装置(40)は、放出部(20)及び送風部(30)の動作を停止する。
【0109】
ステップST26において、制御装置(40)は、腸活動のレベルが第2所定値以上であるか否かを判定する。腸活動のレベルが第2所定値以上である場合(ステップST26のYES)、ステップST27に移行する。腸活動のレベルが第2所定値よりも小さい場合(ステップST26のNO)、ステップST24に移行する。
【0110】
ステップST27において、制御装置(40)は、腸活動のレベルに基づいて、放出部(20)に抑制動作を行わせる。具体的には、放出部(20)は、腸活動の状態を抑制する作用のある第2香料(C2)を室内空間(S)に放出する。
【0111】
次に、ステップST28において、制御装置(40)は、放出部(20)の抑制動作に連動して、送風部(30)を動作させる。これにより、放出部(20)から室内空間(S)に放出された有用物質の濃度のむらが抑制される。ステップST28が終了すると、ステップST24に移行する。
【0112】
腸活動のレベルが第1所定値以下である場合、腸活動が低下している状態であるため、例えば便秘等の症状が生じやすい。このような場合に、放出部(20)から第1香料が放出されることで、対象者(T)の腸活動を促進でき、腸活動を正常な状態に戻すことができる。
【0113】
腸活動のレベルが第2所定値以上である場合、腸活動が過剰に活発な状態であるため、例えば下痢等の症状が生じやすい。このような場合に、放出部(20)から第2香料が放出されることで、対象者(T)の腸活動を抑制でき、腸活動を正常な状態に戻すことができる。
【0114】
なお、腸活動のレベルが第1所定値よりも大きく、且つ第2所定値よりも小さい場合は、対象者(T)の腸活動は正常な状態であるため、放出部(20)における調整動作は行われない。
【0115】
〈変形例2〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、放出部(20)から放出される香りの強さを、対象者(T)が手動で調節してもよい。具体的には、対象者(T)は、操作部(52)を用いて通信端末(50)に記録されたアプリケーションソフトを操作することで、放出される有用物質の香りの強さを変更する。
【0116】
本例では、
図9に示すように、香りの強さは、5段階の強さに区分される。対象者(T)は、この5段階の強さの中から1つの強さを選択する。ここで、腸活動調整装置(2)の制御装置(40)が自動的に設定する香りの強さを基準とし、このときの香りの強さを0とする。この基準となる香りの強さは、例えば、その臭気強度が2である。なお、ここでいう臭気強度は、六段階臭気強度表示法における強度である。六段階臭気強度表示法における臭気強度2とは、何のにおいであるかわかる弱いにおいである。
【0117】
操作部(52)において、香りの強さを基準の香りから1段階強くすると、放出部(20)から臭気強度が2.5程度の強さの香りが放出される。香りの強さを2段階強くすると、放出部(20)から臭気強度が3程度の強さの香りが放出される。六段階臭気強度表示法における臭気強度3とは、楽に検知できるにおいである。
【0118】
一方、操作部(52)において、香りの強さを基準の香りから1段階弱くすると、放出部(20)から臭気強度が1.5程度の強さの香りが放出される。香りの強さを2段階弱くすると、放出部(20)から臭気強度が1程度の強さの香りが放出される。六段階臭気強度表示法における臭気強度1とは、やっと検知できるにおいである。
【0119】
香りの強さの調節は、有用物質の放出量を調節することにより行われる。ここで、有用物質の放出量の調節が、エアポンプ(22)の間欠的な運転の時間間隔によって行われる場合には、エアポンプ(22)をONする時間を変更することにより、香りの強さが調節される。
【0120】
具体的には、例えば、香りの強さを基準の香りから1段階強くする場合には、エアポンプ(22)をONする時間を3倍にする。香りの強さを2段階強くする場合には、エアポンプ(22)をONする時間を10倍にする。
【0121】
一方、例えば、香りの強さを基準の香りから1段階弱くする場合には、エアポンプ(22)をONする時間を0.3倍にする。香りの強さを2段階弱くする場合には、エアポンプ(22)をONする時間を0.1倍にする。
【0122】
これにより、対象者(T)の好みに応じて、腸活動調整装置(2)から放出される有用物質の香りの強さを調節できる。なお、ここで示す臭気強度及びエアポンプ(22)をONする時間は、単なる一例である。エアポンプ(22)をONする時間の倍率については、放出される有用物質としての香料の種類によって異なってもよい。
【0123】
〈変形例3〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、放出部(20)に代えて、温熱部を有してもよい。温熱部は、体温よりも少し高い40℃程度に発熱する温熱装置である。温熱装置は、例えば、発熱素子やペルチェ素子が発熱することによって温度が上昇する。温熱部は、小型で持ち運び可能である。温熱部は、対象者(T)の腹部(腸の周辺)に密着するように装着される。温熱部が発熱することにより、対象者(T)の腹部が温められる。
【0124】
温熱部は、制御装置(40)によって制御される。具体的には、腸活動調整システム(1)の運転動作の調整運転において、制御装置(40)は、温熱部に促進動作を行わせる。促進動作では、温熱部が腸活動を促進するように発熱する。制御装置(40)は、促進動作において、腸活度のレベルに応じて、温熱部の発熱温度を変更する。
【0125】
このように、腸活動調整装置(2)が温熱部を有することにより、対象者(T)の腹部を直接的に温めることで腸活動を促進できる。なお、温熱部は、検出部(11)と一体に構成されてもよいし、別体に構成されてもよい。
【0126】
〈変形例4〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、放出部(20)は、第2表示部を備えてもよい。第2表示部は、例えば液晶パネルで構成される。放出部(20)における第2表示部には、検出部(11)で検出した腸活動の状態に基づいて、該腸活動を調整する調整方法を表示する。第2表示部に表示される調整方法としては、腸活動を促進する運動や、腸活動を促進するための生活習慣の改善方法、腸活動の状態に合わせた商品を用いた調整方法などである。なお、腸活動の状態に合わせた商品を用いた調整方法を表示する場合には、使用する商品の詳細な情報を表示してもよい。腸活動を調整する調整方法は、通信端末(50)の表示部(53)に表示されてもよい。また、第2表示部には、制御装置(40)の判定部(42)が出力した腸活動のレベルを表示してもよい。
【0127】
〈変形例5〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整部(3)は、対象者(T)の自律神経に作用するような調整動作を行ってもよい。
【0128】
具体的には、調整部(3)が放出部(20)を有する場合には、放出部(20)が対象者(T)の自律神経に作用するような有用物質を放出する。詳細には、上記実施形態の第1香料(C1)及び第2香料(C2)は、対象者(T)の自律神経に作用することで該対象者(T)の腸活動の状態を促進する有用物質を含む。
【0129】
この場合、放出部(20)から放出された第1香料(C1)又は第2香料(C2)を対象者(T)が吸い込むと、該香料のにおい物質が対象者(T)の鼻腔内の嗅覚受容体で感知される。そして、この感知によって得られた情報が対象者(T)の脳内における自律神経の中枢に伝わることで、交感神経が抑制されると同時に、副交感神経が優位な状態となり、副交感神経が亢進される。その結果、対象者(T)の腸活動を促進できる。
【0130】
なお、調整部(3)が抑制動作を行うために第1香料(C1)又は第2香料(C2)を用いる場合、第1香料(C1)又は第2香料(C2)は、対象者(T)の自律神経に作用することで該対象者(T)の腸活動の状態を抑制する有用物質を含んでもよい。
【0131】
また、上記変形例3のように、調整部(3)が放出部(20)に代えて温熱部を有する場合には、温熱部が対象者(T)の腹部を温めることにより、対象者(T)の自律神経に作用する。詳細には、温熱部が発熱することによって対象者(T)の腹部が温められると、腹部に温熱刺激が与えられ、皮膚温度が上昇する。対象者(T)の皮膚温度が上昇すると、温覚受容器が刺激され、この刺激による興奮が脳内における自律神経の中枢に作用する。これにより、交感神経が抑制されると同時に、副交感神経が優位な状態となり、副交感神経の亢進されることで、対象者(T)の腸活動が促進される。
【0132】
〈変形例6〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、上記変形例3のように調整部(3)が放出部(20)に代えて温熱部を有する場合に、温熱部を構成する温熱装置は、自己温度調整機能を有する半導体を利用したものであってもよい。温熱装置は、例えば、PTCヒータや半導体性発熱体を並列回路で構成したヒータケーブルであってもよい。このような温熱装置を用いる場合においても、温熱部が対象者(T)の腹部を直接的に温められて、腹部に温熱刺激が与えられることにより、対象者(T)の自律神経に作用する。これにより、対象者(T)の腸活動が促進される。
【0133】
〈変形例7〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、上記変形例3のように調整部(3)が放出部(20)に代えて温熱部を有する場合に、温熱部は対象者(T)の腹部に密着させるものでなくてもよい。言い換えると、温熱部は、対象者(T)の腹部から離れた場所から熱を与えるものであってもよい。具体的には、温熱部を構成する温熱装置は、例えば、ハロゲンヒータ、カーボンヒータ、グラファイトヒータ、シーズヒータである。このようなヒータを用いる場合では、該ヒータを対象者(T)の腹部に向けることで、対象者(T)の腹部周辺を温める。これにより、対象者(T)の腹部に温熱刺激が与えられ、対象者(T)の自律神経に作用することで、対象者(T)の腸活動が促進される。
【0134】
〈変形例8〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整部(3)は、放出部(20)に代えて振動部を有してもよい。振動部は、振動を発生させる振動装置である。振動装置は、例えば、超音波モータ、振動モータ、水晶振動子、発振器である。振動装置は、小刻みに振動する。振動部は、小型で持ち運び可能である。振動部は、対象者(T)の腹部(腸の周辺)に密着するように装着される。振動部が振動することにより、対象者(T)の腹部に軽擦刺激が与えられる。このように、振動部によって対象者(T)の腹部に直接的な刺激が与えられる。
【0135】
振動部は、制御装置(40)によって制御される。具体的には、腸活動調整システム(1)の調整運転において、制御装置(40)は、振動部に促進動作を行わせる。促進動作では、振動部が対象者(T)の腸活動を促進するように振動する。制御装置(40)は、促進動作において、腸活動のレベルに応じて、振動部の周波数を変更する。
【0136】
このように、本変形例では、腸活動調整装置(2)が振動部を有することにより、対象者(T)の腹部に対して直接的な軽擦刺激が与えられる。これにより、この振動による直接刺激が対象者(T)の自律神経に作用することで、対象者(T)の腸活動を促進できる。なお、振動部は、検出部(11)と一体に構成されてもよいし、別体に構成されてもよい。
【0137】
〈変形例9〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整部(3)は、放出部(20)に代えて電気刺激部を有してもよい。電気刺激部は、人体に微弱な電気を流す電気装置である。電気刺激部は、小型で持ち運び可能である。電気刺激部は、対象者(T)の腹部(腸の周辺)に密着するように装着される。電気刺激部によって対象者(T)の腹部に微弱な電気が流れることにより、対象者(T)の腹部に電気刺激が与えられる。このように、電気刺激部によって対象者(T)の腹部に直接的な刺激が与えられる。
【0138】
電気刺激部は、制御装置(40)によって制御される。具体的には、腸活動調整システム(1)の調整運転において、制御装置(40)は、電気刺激部に促進動作を行わせる。促進動作では、電気刺激部が対象者(T)の腸活動を促進するように対象者(T)に電気を流す。
【0139】
このように、本変形例では、腸活動調整装置(2)が電気刺激部を有することにより、対象者(T)の腹部に対して直接的な電気刺激が与えられる。これにより、この電気による直接刺激が対象者(T)の自律神経に作用することで、対象者(T)の腸活動を促進できる。なお、電気刺激部は、検出部(11)と一体に構成されてもよいし、別体に構成されてもよい。
【0140】
〈変形例10〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整部(3)は、放出部(20)に代えて圧迫部を有してもよい。圧迫部は、持ち運び可能である。圧迫部は、例えばエアバックである。エアバックに取り付けられたベルトによって、対象者(T)の腹部に該エアバックを巻き付ける。エアバックは、対象者(T)の腹部(腸の周辺)に密着するように装着される。エアバックが膨らむことにより、対象者(T)の腹部に圧迫刺激が与えられる。このように、圧迫部によって対象者(T)の腹部に直接的な刺激が与えられる。
【0141】
圧迫部は、制御装置(40)によって制御される。具体的には、腸活動調整システム(1)の調整運転において、制御装置(40)は、圧迫部に促進動作を行わせる。促進動作では、圧迫部としてのエアバックが対象者(T)の腸活動を促進するように膨らむ。
【0142】
このように、本変形例では、腸活動調整装置(2)が圧迫部を有することにより、対象者(T)の腹部に対して直接的な圧迫刺激が与えられる。これにより、この振動による直接刺激が対象者(T)の自律神経に作用することで、対象者(T)の腸活動を促進できる。なお、圧迫部は、検出部(11)と一体に構成されてもよいし、別体に構成されてもよい。
【0143】
〈変形例11〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整部(3)は、放出部(20)に代えて音発生部を有してもよい。音発生部は、腸活動を調整可能な音を発生する。音発生部は、例えば、デジタルオーディオプレーヤのような音楽再生機器で構成される。音発生部は、通信端末(50)のスピーカ機能で構成されてもよい。音発生部は、スピーカを介して音を発してもよく、イヤホンを通じて音を発してもよい。
【0144】
音発生部は、制御装置(40)によって制御される。具体的には、腸活動調整システム(1)の調整運転において、制御装置(40)は、音発生部に促進動作または抑制動作を行わせる。促進動作では、音発生部が対象者(T)の腸活動を促進するような音楽を流す。抑制動作では、音発生部が対象者(T)の腸活動を抑制するような音楽を流す。
【0145】
詳細には、促進動作において、音発生部が流す音楽は、ヒーリングミュージックや、1/fゆらぎを含む音(例えば、自然音、波の音、小鳥のなき声、小川のせせらぎ等)である。ここで、1/fゆらぎとは、スペクトル密度が周波数fに反比例するゆらぎのことである。抑制動作において、音発生部が流す音楽は、前衛音楽や、ハードロック音楽である。
【0146】
このように、本変形例では、腸活動調整装置(2)が音発生部を有することにより、音発生部から流れる音楽によって対象者(T)に対して聴覚刺激が与えられる。そして、音発生部が促進動作を行う場合には、音楽による聴覚刺激が対象者(T)の自律神経に作用することで、副交感神経が優位な状態となる。その結果、対象者(T)の腸活動を促進できる。一方、音発生部が抑制動作を行う場合には、音楽による聴覚刺激が対象者(T)の自律神経に作用することで、交感神経が優位な状態となる。その結果、対象者(T)の腸活動を抑制できる。
【0147】
〈変形例12〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整部(3)は、放出部(20)に代えて映像提示部を有してもよい。映像提示部は、腸活動を調整可能な映像を提示する。映像提示部は、例えば、液晶パネル、タッチパネル、又はプロジェクタで構成される。映像提示部は、通信端末(50)の表示部(53)で構成されてもよい。映像提示部が提示する映像は、静止画であってもよく、動画であってもよい。映像提示部は、対象者(T)が目視で確認できる位置に配置される。
【0148】
映像提示部は、制御装置(40)によって制御される。具体的には、腸活動調整システム(1)の調整運転において、制御装置(40)は、映像提示部に促進動作を行わせる。促進動作では、映像提示部が対象者(T)の腸活動を促進するような映像を提示する。詳細には、促進動作において映像提示部が提示する映像は、例えば、自発的な笑いを生じさせる動画(お笑い動画、コメディー映画等)、森林や花等を含む自然風景の画像、観葉植物の画像である。
【0149】
自発的な笑いを生じさせる動画を提示した場合では、笑い刺激によって自発的な笑いが喚起され対象者(T)の感情を表出させることで、交感神経の活動が亢進する。その後、交感神経が低下することに伴い副交感神経が亢進されることで、副交感神経が優位な状態となる。自然風景や観葉植物の画像を提示した場合では、該画像による視覚刺激が対象者(T)の自律神経に作用することで、副交感神経が優位な状態となる。
【0150】
このように、本変形例では、腸活動調整装置(2)が映像提示部を有することにより、映像提示部から提示される映像によって対象者(T)対して視覚刺激が与えられる。この視覚刺激が対象者(T)の自律神経に作用することで、副交感神経が優位な状態となる。その結果、対象者(T)の腸活動を促進できる。なお、映像提示部は、検出部(11)と一体に構成されてもよいし、別体に構成されてもよい。
【0151】
〈変形例13〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整部(3)は、放出部(20)に代えて情報提示部を有してもよい。情報提示部は、腸活動を調整するための情報を提示する。情報提示部は、例えば、液晶パネル、タッチパネル、またはプロジェクタで構成される。情報提示部は、通信端末(50)の表示部(53)で構成されてもよい。情報提示部は、対象者(T)が目視で確認できる位置に配置される。
【0152】
情報提示部は、制御装置(40)によって制御される。具体的には、腸活動調整システム(1)の調整運転において、制御装置(40)は、情報提示部に促進動作を行わせる。促進動作では、情報提示部が、対象者(T)の腸活動を促進させるための行動に関する情報を提示する。詳細には、促進動作において情報提示部が提示する情報としては、例えば、以下の(a1)~(a4)である。
【0153】
(a1)ハーブティー(例えば、カモミールティー)、白湯、または約60℃の飲料を飲む
(a2)腸活動を促進させるサプリメントまたは薬の摂取する
(a3)腸活動を促進させるマッサージ、ツボ押し、または腹式呼吸の仕方
(a4)仰臥位から右側臥位への体位変換
このように、本変形例では腸活動調整装置(2)が情報提示部を有することにより、情報提示部から提示される情報に基づいて、対象者(T)が提示された行動を行うことで対象者(T)の腸活動を促進できる。なお、映像提示部は、検出部(11)と一体に構成されてもよいし、別体に構成されてもよい。
【0154】
〈変形例14〉
本実施形態の腸活動調整装置(2)では、調整部(3)は、機能部としての放出部(20)、温熱部、振動部、電気刺激部、圧迫部、音発生部、映像提示部、および情報提示部のうち、複数の機能部を有してもよい。この場合においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0155】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0156】
上記実施形態の腸活動調整システム(1)において、検出部(11)は、マイクに代えて、超音波センサでもよい。この場合、超音波によって腸の蠕動運動が測定される。
【0157】
上記実施形態の腸活動調整装置(2)において、放出される有用物質は、腸活動を促進又は抑制する作用を有するものであればよく、香料以外でもよい。放出される有用物質は、例えば、薬理作用のある物質でもよい。
【0158】
上記実施形態の腸活動調整装置(2)において、送風部(30)を備えていなくてもよい。また、送風部(30)は、放出部(20)と別体に設けられてもよく、例えば空調機でもよい。
【0159】
上記実施形態の腸活動調整システム(1)において、判定部(42)は、通信端末(50)又はサーバ装置に設けられてもよい。
【0160】
上記実施形態の腸活動調整装置(2)において、制御装置(40)は、サーバ装置又は通信端末(50)に設けられてもよい。
【0161】
上記実施形態の腸活動調整システム(1)において、第1通信部(12)は、検出部(11)において測定された腸音のデータを、第3通信部(51)を介さずに、第2通信部(41)に直接送信してもよい。
【0162】
上記実施形態の腸活動調整システム(1)において、対象者(T)が予め操作部(52)に入力して設定した就寝時間に運転を開始してもよい。この場合、事前に通信端末(50)の操作部(52)において就寝時間を入力する。
【0163】
上記実施形態の腸活動調整システム(1)において、運転を開始してから、所定時間の経過後に運転を停止してもよい。ここでいう所定時間は、腸活動調整装置(2)に予め初期設定されている時間でもよく、対象者(T)が操作部(52)に入力した時間でもよい。
【0164】
上記実施形態の腸活動調整システム(1)において、運転の開始及び停止は、検出部(11)に設けられたスイッチ、腸活動調整装置(2)に設けられたスイッチ、又は通信端末(50)に記憶されたアプリケーションソフトを操作することで行ってもよい。
【0165】
上記実施形態の腸活動調整システム(1)は、対象者(T)が安静な状態で有用物質を効率よく取り込める時間帯(例えば、読書中やデスクワーク中など)に運転されてもよい。
【0166】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、及びその他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0167】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0168】
以上説明したように、本開示は、腸活動調整装置、腸活動調整システム、及び腸活動調整プログラムについて有用である。
【符号の説明】
【0169】
1 腸活動調整システム
2 腸活動調整装置
3 調整部
11 検出部
20 放出部
30 送風部
53 表示部
T 対象者
S 室内空間(空間)
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者(T)の腸活動を改善する腸活動調整装置であって、
前記対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)で検出した該腸活動の状態に基づいて、該腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)を備え、
前記検出部(11)は、前記対象者(T)の腸から発せられる音を検出する
腸活動調整装置。
【請求項2】
対象者(T)の腸活動を改善する腸活動調整装置であって、
前記対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)で検出した該腸活動の状態に基づいて、該腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)を備え、
前記調整部(3)は、
前記対象者(T)が存在する空間(S)に有用物質を放出する放出部(20)を有し、
前記空間(S)の環境に応じて、前記有用物質の放出量を調節する
腸活動調整装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記対象者(T)の自律神経に作用するような前記調整動作を行う
腸活動調整装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記調整動作として、前記腸活動を促進する促進動作を行う
腸活動調整装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記調整動作として、前記腸活動を抑制する抑制動作を行う
腸活動調整装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態を表示する表示部(53)を更に備える
腸活動調整装置。
【請求項7】
請求項6に記載の腸活動調整装置において、
前記表示部(53)は、前記調整動作の前の前記腸活動の状態と、前記調整動作の後の前記腸活動の状態とを表示する
腸活動調整装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記対象者(T)が存在する空間(S)に有用物質を放出する放出部(20)を有する
腸活動調整装置。
【請求項9】
請求項8に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記検出部(11)で検出した前記腸活動のレベルが所定値以下のときに、前記放出部(20)に前記腸活動を促進する前記有用物質を放出させる
腸活動調整装置。
【請求項10】
請求項8に記載の腸活動調整装置おいて、
前記調整部(3)は、前記調整動作に連動して空気を送風する送風部(30)を更に有する
腸活動調整装置。
【請求項11】
請求項8に記載の腸活動調整装置において、
前記放出部(20)は、種類の異なる複数の前記有用物質を有し、
前記調整部(3)は、前記有用物質の種類に応じて、該有用物質の放出量を調節する
腸活動調整装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置において、
前記調整部(3)は、前記対象者(T)の腹部を温める温熱部である
腸活動調整装置。
【請求項13】
対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)と、
請求項1又は2に記載の腸活動調整装置(2)とを備える
腸活動調整システム。
【請求項14】
対象者(T)の腸から発せられる音を検出することにより該対象者(T)の腸活動の状態を検出する検出部(11)で検出した該腸活動の状態を表示部(53)に表示させる第1処理と、
前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態を、前記検出部(11)で検出した前記腸活動の状態に基づいて前記腸活動を調整する調整動作を行う調整部(3)に送信する第2処理と、
前記調整部(3)の前記調整動作に基づいて、前記表示部(53)における前記腸活動の状態の表示を変更する第3処理とをコンピュータに実行させる
腸活動調整プログラム。