(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167840
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】空冷装置
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20221027BHJP
A41D 13/002 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069937
(22)【出願日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2021072254
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521176341
【氏名又は名称】有限会社サンライズ工業
(74)【代理人】
【識別番号】100116573
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 幸司
(72)【発明者】
【氏名】松原 進弥
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC03
(57)【要約】
【課題】 保冷材を用いた空冷装置であって、軽量で、送風流量を十分にしながらも、保冷効果(例えば25℃以下)について1時間を超えるような長時間化を図って、保冷材の交換頻度を減らすことができる空冷装置を提供する。
【解決手段】 保冷対象物を保冷する冷気を送風ファン19から送り込む保冷材を用いた空冷装置1は、吸気口から吸気した外部の空気を内部に設けた通路内(主冷室9)を通過させて冷却し、前記通路に接続する前記送風手段から冷気を送り出す冷却機構を備え、前記冷却機構は、前記通路内に配置される主冷用保冷材11と、主冷用保冷材11とは別の保冷材であって前記通路の外側に配置されるバックアップ用保冷材15とを備え、バックアップ用保冷材15が配置されている部分(保冷室13)の前記通路の壁が熱伝導性のある材料(銅板の仕切り板17)が用いられ、主冷用保冷材11及びバックアップ用保冷材15を内側に収納して囲むように保冷用ウレタンなどの断熱材で覆われている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保冷対象物を保冷する冷気を送風手段から送り込む保冷材を用いた空冷装置であって、
吸気口から吸気した外部の空気を内部に設けた通路内を通過させて冷却し、前記通路に接続する前記送風手段から冷気を送り出す冷却機構を備え、
前記冷却機構は、
前記通路内に配置される主冷用保冷材と、
前記主冷用保冷材とは別の保冷材であって前記通路の外側に配置されるバックアップ用保冷材とを備え、
前記バックアップ用保冷材が配置されている部分の前記通路の壁が熱伝導性のある材料が用いられ、前記主冷用保冷材及び前記バックアップ用保冷材を内側に収納して囲むように断熱材で覆われている、空冷装置。
【請求項2】
前記送風手段は、間欠運転を行うものである、請求項1記載の空冷装置。
【請求項3】
前記吸気口の下流側に配置される外部への空気の逆流を抑制する逆流抑制手段を備えた、請求項2記載の空冷装置。
【請求項4】
前記逆流抑制手段は、上流から下流及び下流から上流への空気の流れを、直線的な方向から角度をつけて変更させ、その後に直線的な方向に戻す変更手段を含む、請求項3記載の空冷装置。
【請求項5】
前記逆流抑制手段は、前記変更手段の下流側に配置された傾斜手段をさらに含み、
前記傾斜手段は、前記直線的な方向に対して傾斜して配置される、請求項4記載の空冷装置。
【請求項6】
前記冷却機構は、前記吸気口から吸気した外部の空気が前記通路に送り込まれる前に、ミストを噴霧する噴霧手段を備えた、請求項1記載の空冷装置。
【請求項7】
前記冷却機構は、前記主冷用保冷材とは別の保冷材であって前記吸気口から吸気する際に前記外部の空気に対して冷却を行うために前記吸気口の下流側又は上流側に配置される吸気冷却用保冷材を備えた、請求項1記載の空冷装置。
【請求項8】
前記冷却機構は、前記送風手段に接続されて前記保冷対象物に向かって延び、断熱材で覆われたホースを備えた、請求項1記載の空冷装置。
【請求項9】
前記保冷対象物は作業者の身体であり、前記冷却機構は前記作業者が着衣している空調服内に冷気を送るものである、請求項1記載の空冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空冷装置に関し、特に、例えば作業者が着衣している空調服内に冷気を送り込んで作業者の身体の温度上昇を抑制することが可能な空冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
夏場のような気温(例えば35℃以上)が高い現場での作業では、熱中症を発生しないように、空調服などが着用されている。空調服では、作業者の身体を覆う空調服内の密閉空間に空気を送風し、空調服の中に溜まった湿った空気を作業者の身体と空調服の間の隙間から外に排出し、作業者の汗の帰化を伴う熱を吸収する作用により、作業者の体温上昇を抑制するなどが一般的な仕組みとされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、外部の空気を取り込むファンを備えてなる空調服であって、空調服が表地と裏地を有しており、空調服の表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせる空調服が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、小型の送風ファンにより環境空気を送り込む構成であるため、装着者の体温が上昇し発汗した汗を環境空気の流れにより蒸発させるものであり、その冷却効果は限定的という問題がある。
【0005】
このような問題を解決する一つの技術として、特許文献2及び3に記載のように、保冷材を用いたものも提案されている。
【0006】
なお、この分野の一般的な技術水準を示すものとして、特許文献4~6のような技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-168485号公報
【特許文献2】特開2018-53387号公報
【特許文献3】特開2020-128603号公報
【特許文献4】特開2012-237531号公報
【特許文献5】特開2015-34693号公報
【特許文献6】特開2017-119928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に示された技術では、畜冷材の放熱に伴い冷却能力が著しく低下するため、冷却服内の畜冷材の補充又は交換作業が頻繁に必要となってしまうといった問題を有していた。
【0009】
同様に、特許文献3に示された技術でも、特許文献2の技術に比べれば冷却時間を長くできる面はあるものの、保冷効果を維持しようとすればするほど保冷材の数を含め、本質的には量を増やすことが必要になるという問題がある。なお、特許文献3の技術では、明細書段落番号0066にも記載されているように、人体冷却デバイスが冷却能力を保持している時間(例えば45分)毎に交換を予定しており、頻繁な交換が予定され、そのための人体冷却デバイス保冷システムまで提案されている。
【0010】
また、作業者の身体の体感温度を考えれば、ファンの空気流量が大きいことが期待される一方で、ファンの空気流量をあげればあげるほど、保冷効果の維持が短時間化してしまうというトレードオフの関係に陥る面があり、保冷材の量で対応していくことは現実的ではない状況にあるという問題があった。
【0011】
このような問題は、本質的には保冷材の量(数)で対応する発想から脱却できていないことが原因であり、保冷効果について1時間を超えるような長時間化する点では、開発の発想の方向として限界があると言わざるを得ない状況にある。
【0012】
一方、保冷材ではなく、ペルチェ素子などの電気的要素を用いての仕組化を行えば、保冷効果を数時間単位などの長時間化も可能ではあるが、大掛かりな回路構成が必要であり、作業者が通常行動を行える可搬重量を超えてしまい、作業自体ができないという問題もある。
【0013】
そこで、本発明は、保冷材を用いた空冷装置であって、軽量で、送風流量を十分にしながらも、保冷効果(例えば25℃以下)について1時間を超えるような長時間化を図って、保冷材の交換頻度を減らすことができる空冷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点は、保冷対象物を保冷する冷気を送風手段から送り込む保冷材を用いた空冷装置であって、吸気口から吸気した外部の空気を内部に設けた通路内を通過させて冷却し、前記通路に接続する前記送風手段から冷気を送り出す冷却機構を備え、前記冷却機構は、前記通路内に配置される主冷用保冷材と、前記主冷用保冷材とは別の保冷材であって前記通路の外側に配置されるバックアップ用保冷材とを備え、前記バックアップ用保冷材が配置されている部分の前記通路の壁が熱伝導性のある材料が用いられ、前記主冷用保冷材及び前記バックアップ用保冷材を内側に収納して囲むように断熱材で覆われている、ものである。
【0015】
本発明の第2の観点では、第1の観点において、前記送風手段は、間欠運転を行うものである。
【0016】
本発明の第3の観点は、第2の観点において、前記吸気口の下流側に配置される外部への空気の逆流を抑制する逆流抑制手段を備えたものである。
【0017】
本発明の第4の観点は、第3の観点において、前記逆流抑制手段は、上流から下流及び下流から上流への空気の流れを、直線的な方向から角度をつけて変更させ、その後に直線的な方向に戻す変更手段を含むものである。
【0018】
本発明の第5の観点は、第4の観点において、前記逆流抑制手段は、前記変更手段の下流側に配置された傾斜手段をさらに含み、前記傾斜手段は、前記直線的な方向に対して傾斜して配置されるものである。
【0019】
本発明の第6の観点は、第1から第5の観点のいずれかにおいて、前記冷却機構が、前記吸気口から吸気した外部の空気が前記通路に送り込まれる前に、ミストを噴霧する噴霧手段を備えたものである。
【0020】
本発明の第7の観点は、第1から第6の観点のいずれかにおいて、前記冷却機構が、前記主冷用保冷材とは別の保冷材であって前記吸気口から吸気する際に前記外部の空気に対して冷却を行うために前記吸気口の下流側又は上流側に配置される吸気冷却用保冷材を備えたものである。
【0021】
本発明の第8の観点は、第1から第7の観点のいずれかにおいて、前記冷却機構が、前記送風手段に接続されて前記保冷対象物に向かって延び、断熱材で覆われたホースを備えたものである。
【0022】
本発明の第9の観点では、第1から第8の観点のいずれかにおいて、前記保冷対象物は作業者の身体であり、前記冷却機構は前記作業者が着衣している空調服内に冷気を送るものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、吸気口から吸気した外部の空気が内部に設けた通路内を通過させる際に通路内に配置された主冷用保冷材によって冷却されて、送風手段によって保冷対象物を保冷する冷気が送られる上に、主冷用保冷材の冷却効果を維持するためのバックアップ用保冷材が通路の外側に配置されており、バックアップ用保冷材が配置されている部分の通路の壁が熱伝導性のある材料が用いられ、主冷用保冷材及びバックアップ用保冷材を内側に収納して囲むように断熱材で覆われていることから、主冷用保冷材の冷却効果を長時間化できる。そして、ペルチェ素子などの電気的要素を用いての仕組化ではなく、保冷材を基本とする空冷方式なので、大型化する必要はなく、軽量なものにできる。さらに、送風手段の空気流量を大きくしても、バックアップ用保冷材は直接的に吸気口から吸気した外部の空気に触れることがないため、主冷用保冷材の冷却効果を長時間化できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる空冷装置の概略を示す図である。
【
図2】
図1の空冷装置の試作品の外観を示す図である。
【
図4】
図2(A)及び
図2(E)の断熱材を用いた冷風を送りだす冷風ガイド用フレキホースを示す拡大図である。
【
図5】
図1の流量調整機能付吸気口に取り付けられた吸気流量調整機ディスクを示す拡大図である。
【
図6】吸気口に設けられた吸気冷却材の状態を示す図である。
【
図7】ミスト発生装置(噴霧機構)に関して示した図である。
【
図8】
図1の間欠タイマー回路の部分を示した図である。
【
図9】
図2~
図8に示した試作品の実験結果を表した表を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施の形態にかかる空冷装置の概略を示す図である。
【
図11】
図10の流量調整機能付吸気口とその下流側に配置される逆流抑制機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について述べる。なお、本発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
図1は本発明の実施の形態にかかる空冷装置の概略を示す図である。
図2は
図1の空冷装置の試作品の外観を示す図であり、
図2(A)は左側面図、
図2(B)は正面図、
図2(C)は右側面図、
図2(D)は背面図、
図2(E)は平面図、
図2(F)は底面図である。
図3は
図1の空冷装置の内部構造を示す図であって、
図3(A)は断熱材を用いたフレキホースを取り外して冷却チャンバを取り出している状態を示す図であり、
図3(B)は取り出した冷却チャンバを示す図であり、
図3(C)は冷却チャンバを上方から見た図であり、
図3(D)は送風ファンを外した状態を示す図であり、
図3(E)は主冷材である保冷材及びバックアップ用保冷材を取り外した状態を示す図であり、
図3(F)は図(E)の状態に主冷材である保冷材を取り付けている状態を示す図であり、
図3(G)は
図3(E)の状態にバックアップ用保冷材を取り付けている状態を示す図である。
図4は
図2(A)及び
図2(E)の断熱材を用いた冷風を送りだす冷風ガイド用フレキホースを示す拡大図である。
図5は
図1の流量調整機能付吸気口に取り付けられた吸気流量調整機ディスクを示す拡大図である。
図6は吸気口に設けられた吸気冷却材の状態を示す図である。
図7はミスト発生装置(噴霧機構)に関して示した図である。
図8は
図1の間欠タイマー回路の部分を示した図である。
【0027】
図1を主に参照して、空冷装置1は、
図5に示した吸気流量調整機ディスクにより流量が調整される吸気口3と、吸気口3から吸気した外部の空気である外気を冷却する冷却材(吸気冷却用保冷材)5(
図6参照)と、冷却材5で冷却された外気に対してミストを噴霧するミスト発生装置(噴霧機構)7(
図7参照)と、冷却されてミストが噴霧された外気が送り込まれる冷却チャンバ10と、冷却チャンバ10内に外気が入ってくる通路である主冷室9(
図3(D)及び
図3(E)参照)と、主冷室9に収納されている主冷材である主冷用保冷材11(
図3(F)参照)と、主冷室9の主冷用保冷材11の保冷効果を維持するための保冷室13(
図3(D)及び
図3(E)参照)と、保冷室13に収納されているバックアップ用保冷材15(
図3(G)参照)と、バックアップ用保冷材15の冷却効果を主冷室9の主冷用保冷材11に伝えるための熱伝導性がある材料の銅板の仕切り板17(
図3(E)参照)と、通路である主冷室9の出口に接続された送風ファン19(
図3(C)参照)と、送風ファン19を間欠運転させる間欠タイマー回路21(
図8参照)と、送風ファン19に接続して冷風を送りだす冷風ガイド用フレキホース23(
図4参照)とを備える。なお、上記で、外気という表現を用いたが、空冷装置1に対して外部の空気を意味し、屋外の空気の場合もあれば、屋内の空気の場合もあり、以下も、同様である。
【0028】
ここで、主冷室9の主冷用保冷材11は、吸気口3から取り込まれた外気が送風ファン19から送り出される空気の流れが生じる位置で直接的に外気に触れるような位置にある。これに対して、保冷室13のバックアップ用保冷材15は、そのような直接的な位置にはなく、主冷用保冷材11の冷却効果を維持するためのものであり、バックアップ用保冷材15は空気の流れが生じていない保冷室17に設けられている。また、冷却チャンバ10は、主冷用保冷材11及びバックアップ用保冷材15を内部に収めるようにして、保冷用ウレタンで主冷室9及び保冷室13が覆われて断熱されており、保冷効果が保たれるようになっている。さらに、冷風ガイド用フレキホース23は、フレキホース用断熱材で覆われて、この点でも保冷効果が保たれるようになっている。
【0029】
以下、空冷構造を説明する。まず、1段目の冷却として、外気を吸気して吸気冷却用保冷材5で冷やす。ここでの冷却は、吸気冷却用保冷材5のマイナス冷気で一気に下げる。ここで、さらに、吸気口3において吸気流量調整を行う吸気流量調整機ディスクの役割は、冷却感度の調整のために用いるものであり、排出側の送風ファン19の能力だけでなく、吸気側でも調整を行えるようにしている。
【0030】
次に、2段目の冷却として、吸気されて冷却された外気に対して噴霧機構7でミストを噴霧し、気化熱効果を使って連続的に冷やし、主冷室9の主冷用保冷材11が溶解することをできるだけ防ぎ、溶解を緩やかにする。
【0031】
次に、第3段目として、保冷用ウレタンで覆われた冷却チャンバで冷却される。この冷却は、主冷室9の主冷用保冷材11のマイナス冷気によって行われる。ここで、冷却チャンバ10は仕切り板17で主冷室9と保冷室13とに仕切られており、空気は主冷室9のみが通過する。保冷室13内は外気が流れるものではなく吸気された外気に直接的には接触しないため、主冷用保冷材11に比べてバックアップ用保冷材15の溶解は進み難く、保冷室13内の温度は主冷室9内の温度に比べて低い状態を維持できることになっている。そして、主冷室9は保冷室13のバックアップ用保冷材15からのマイナス冷気を銅板の仕切り板17を介して受けており、バックアップ用保冷材15は熱伝導性から熱交換を行って主冷用保冷材11の冷却効果をバックアップすることになる。
【0032】
次に、第4段目として、冷却チャンバ10からの冷気を吸い上げて外に送るための送風ファン19は、間欠タイマー回路21で間欠制御されている。例えば、1分運転/8秒停止を繰り返すなどが行われる。停止する時間を作ることで、運転時の送風の強さを大きくしつつ、冷却チャンバ10内の冷気が停止時間内にチャージされて冷却効果を大きなものにできている。そして、第5段目として、冷気が冷風ガイド用フレキホース23で作業者の空調服に送られることになっている。このガイド用フレキホース23は、断熱材で覆われており、冷却エネルギーの損失を防止し、ホースの曲げ調整が可能になっていて、冷却効果の維持と作業性の点で工夫したものとしている。
【0033】
図9は
図2~
図8に示した試作品の実験結果を表した表を示す図である。ここで、アウトレット温度は、フレキホース23の出口側で計測した温度であり、外気の温度にあたるテスト環境温度は30℃を超えて35℃前後にした室内の温度を計測したものである。
図9に示すように、風量24,000m
3/minに設定したところ、テスト環境温度が30℃を超える状態で、開始から200分で送付される冷風の温度が25℃を超え、190分までは25℃を下回る温度の状態を続けることができたことが示された。すなわち、外気が35℃のような温度で、25℃未満を保ちながら3時間を超えることができ、風量を20,000m
3/min~23,000m
3/minにすれば、3時間半、場合によっては4時間近くまで保冷効果を延ばす可能性が十分にあることが示された。
【0034】
図10は本発明の他の実施の形態にかかる空冷装置の概略を示す図である。
図11は
図10の流量調整機能付吸気口とその下流側に配置される逆流抑制機構を説明するための図である。
図11(A)は
図5に対応する図であり、
図11(B)は逆流抑制機構を説明するための図である。
【0035】
以下、
図1とは異なる点を説明する。空冷装置21では、吸気口3の下流側に、逆流抑制機構6が設けられている。逆流抑制機構6は、邪魔板6aと、傾斜スリット6bとを有する。邪魔板6aの下流側には、傾斜スリット6bを配置している。
【0036】
邪魔板6aは、上流から下流及び下流から上流への空気の流れを、直線的な方向から角度をつけて変更させ、その後に直線的な方向に戻す変更手段の一例である。この邪魔板6aによって、間欠タイマー回路21による送風ファン19の間欠動作におけるファン停止状態においても、温度差による吸気口3を介した外部と内部との間の熱エネルギーの移動に伴う冷気の外部への逆流を抑制できている。これにより、
図1の実施例に比べて、内部の温度の上昇を抑え、温度が低い状況の維持の時間を延ばすことができている。
【0037】
なお、傾斜スリット6bは、前記直線的な方向に対して傾斜して配置されており、傾斜手段の一例であり、邪魔板6aと同様な技術的な逆流抑制のためという技術的な意義から傾斜していることに加えて、ミスト発生装置7が発生するミストがドレイン化してミスト発生装置7の噴霧口に溜まらないように、端部へドレインを誘導する構造としている。
【符号の説明】
【0038】
1,21・・・空冷装置、5・・・吸気冷却用保冷材、6・・・逆流抑制機構(逆流抑制手段)、6a・・・邪魔板(変更手段)、6b・・・傾斜スリット(傾斜手段)、7・・・ミスト発生装置(噴霧機構)、9・・・主冷室、11・・・主冷用保冷材、13・・・保冷室、15・・・バックアップ用保冷材、17・・・仕切り板、19・・・送風ファン、21・・・間欠タイマー回路、23・・・冷風ガイド用フレキホース