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特開2022-167881ウェブ状の記録媒体に印刷するためのインクプリンタおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167881
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ウェブ状の記録媒体に印刷するためのインクプリンタおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221027BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/165 101
B41J2/165 207
B41J2/165 301
B41J2/165 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022070756
(22)【出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】10 2021 110 417.3
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516255493
【氏名又は名称】キャノン プロダクション プリンティング ホールディング ビー. ヴィ.
【氏名又は名称原語表記】Canon Production Printing Holding B.V.
【住所又は居所原語表記】Van der Grintenstraat 10, 5914 HH Venlo, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー ツォルナー
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC22
2C056EC23
2C056EC24
2C056FA13
2C056HA29
2C056HA33
2C056JA01
2C056JB01
2C056JB15
2C056JC23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インクの高い処理量および高い搬送速度により、プリントバーはすぐに汚れてしまうおそれがある。
【解決手段】記録媒体(11)を印刷するために、記録媒体をウェブキャリッジ(20)によって水平方向で印刷位置(30)へと移動させる。ここで記録媒体をプリントヘッドまで持ち上げる。プリントヘッドをクリーニングするために、保守整備ユニット(21)を使用し、この保守整備ユニットを、プリントバー(14)下方の保守整備位置へと水平方向で移動させる。次いでここで、カバーキャップ(27)をプリントヘッドに被せるために、またはプリントヘッドをクリーニングするために、カバーキャップ(27)を備えたクリーニングユニット(40)をプリントヘッドに向かって上昇させる。有利には、ウェブキャリッジ(20)と保守整備ユニット(21)とは水平方向にしか移動させられず、印刷ユニット(12)は位置が固定されたまま留まっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状の記録媒体(11)に印刷するためのインクプリンタであって、
-インク色を印刷するための1つまたは複数のプリントヘッドを備えた少なくとも1つのプリントバー(14)を備えた印刷ユニット(12)であって、前記インクプリンタ(10)内に位置が固定されて配置されている印刷ユニット(12)と、
-前記記録媒体(11)をガイドするための、1つの軸線に沿って可動なウェブガイドユニット(20)であって、前記印刷ユニット(12)の下方で、ガイドエレメント(22)に沿って直線移動可能に配置されているウェブガイドユニット(20)と、
-前記印刷ユニット(12)を保守整備するための、1つの軸線に沿って可動な保守整備ユニット(21)であって、同様に前記印刷ユニット(12)の下方で、前記ガイドエレメント(22)に沿って直線移動可能に配置されている保守整備ユニット(21)と、
を有しており、
-前記ウェブガイドユニット(20)は印刷状態で、前記プリントバー(14)の領域で、前記印刷ユニット(12)の下方に位置決めされていて、前記保守整備ユニット(21)は保守整備状態で、前記プリントバー(14)の領域で位置決めされており、
-前記ウェブガイドユニット(20)と前記保守整備ユニット(21)とは取外し可能に互いに機械的に連結されていて、水平方向で前記ガイドエレメント(22)に沿って、互いに独立してまたは共に直線移動させることができる、インクプリンタ。
【請求項2】
前記ウェブガイドユニット(20)は1つまたは複数のウェブガイドエレメント(23,24)を有しており、前記ウェブガイドエレメントは印刷モードで、前記記録媒体(11)を、印刷モードのために、昇降運動において前記印刷ユニット(12)の方向に動かすために、昇降装置(37)に連結されている、請求項1記載のインクプリンタ。
【請求項3】
前記保守整備ユニット(21)は少なくとも1つのクリーニング装置(40)と少なくとも1つのカバー装置(27)とを有しており、前記クリーニング装置(40)と前記カバー装置(27)とは保守整備モードで、前記クリーニング装置(40)および/または前記カバー装置(27)を、保守整備のために、前記印刷ユニット(12)の方向に共にまたは別個に動かすために、昇降装置(37)に連結されている、請求項1または2記載のインクプリンタ。
【請求項4】
前記ウェブガイドユニット(20)および前記保守整備ユニット(21)の下方に1つの共通の昇降装置(37)が配置されていて、前記昇降装置は、前記ウェブガイドエレメント(23,24)、前記クリーニング装置(40)、および/または前記カバー装置(27)のためのそれぞれの昇降運動を実施するために、前記記録媒体(11)の側方で垂直に移動させられる昇降エレメント(38)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のインクプリンタ。
【請求項5】
前記クリーニング装置(40)は、前記プリントヘッドをクリーニングするために、ワイパ装置(43,44,45)と、場合によっては噴霧装置とを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のインクプリンタ。
【請求項6】
前記カバー装置(27)は取外し可能に前記クリーニング装置(40)に接続されており、前記カバー装置(27)は、休止状態で、ノズルを乾燥から保護するために前記プリントヘッドをカバーする、請求項4記載のインクプリンタ(10)。
【請求項7】
前記カバー装置(27)は、休止状態(39)で、その位置が、前記昇降装置(37)による力の影響なく自立的に保持されるように、前記印刷ユニット(12)内で機械的にロックされる、請求項6記載のインクプリンタ(10)。
【請求項8】
前記プリントバー(14)は、垂直方向で受動的に可動に構成されていて、前記カバー装置(27)および/または前記クリーニング装置(40)の昇降運動により、同じ方向に強制ガイドされて共に移動させられる、請求項1から7までのいずれか1項記載のインクプリンタ。
【請求項9】
前記ウェブガイドユニット(20)は長さ補償装置を有しており、前記長さ補償装置は、前記ウェブガイドユニット(20)の直線移動の際に、印刷を再始動するための前記記録媒体(11)上の所望の始動位置と、前記記録媒体(11)における所望の引張応力とが維持されるように、制御される、請求項1から8までのいずれか1項記載のインクプリンタ。
【請求項10】
インクでウェブ状の記録媒体(11)に印刷するためのインクプリンタを作動させる方法であって、
-前記記録媒体(11)に印刷するために、ウェブガイドユニット(20)を、直線移動によって印刷ユニット(12)の下方の印刷位置(30)へと移動させ、次いで、ウェブガイドエレメント(23,24)を、所望の印刷ギャップ(25)が調節されるまで、昇降運動によって垂直方向で前記印刷ユニット(12)に向かって移動させ、この場合、前記記録媒体(11)の長さおよび引張応力を、前記直線移動の際および前記昇降運動の際に、印刷を再始動するための前記記録媒体(11)上の所望の始動位置および所望の引張応力が維持されるように、修正し、
-前記ウェブガイドユニット(20)を、印刷後に、前記記録媒体(11)の下降および次いで行われる前記ウェブガイドユニット(20)の直線移動後に、前記印刷位置(30)の外へ移動させ、
-前記印刷ユニット(12)の保守整備のために保守整備ユニット(21)を、直線移動で保守整備位置(33)へと前記印刷ユニット(12)の下方に移動させ、次いでクリーニングエレメントおよび/または保護エレメント(27,40)を、前記印刷ユニット(12)をクリーニングするためにかつ/または保護するために、昇降運動で前記印刷ユニット(12)の方向に移動させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ(巻取紙)状の記録媒体に印刷するための高印刷出力のインクプリンタに関する。さらに本発明は、インクでウェブ状の記録媒体に印刷するための方法に関する。
【0002】
様々な材料、例えば紙から成るウェブ状の記録媒体に一色刷りまたは多色刷りするために、インクプリンタを使用することができる。このようなインクプリンタ機器の構造は十分に公知である。特に、高速で移動するウェブ状の記録媒体にプリントヘッドのノズルからインク滴を吐出させて印刷画像を生成するデジタル式の高速インクプリンタが公知である。
【0003】
特に多色刷りのインクジェットプリンタでは、通常、様々なインクのために複数のプリントバーが設けられており、1つのプリントバーには、それぞれ1つのまたは複数のプリントヘッドが設けられている。インクの高い処理量および高い搬送速度により、プリントバー(すなわちプリントヘッドのノズルプレート)はすぐに汚れてしまうおそれがある。したがって、印刷品質を損なわないためには、プリントヘッドを繰り返しクリーニングしなければならない。
【0004】
プリントヘッドから、インク残留物またはその他の汚染粒子をクリーニングするために、いわゆるフラッシング(パージ)と拭取り(ワイプ)とによって、所定のサイクルでプリントヘッドのクリーニングが実施される。フラッシングは、プリントヘッドのすべての印刷ノズルからインクを短時間で強力に放出させることであり、これにより印刷ノズルは貫流洗浄される。拭取りでは、液体残留物がノズルプレートからワイパブレードによって拭き取られる。ワイパの代わりに、ノズルプレートを機械的にかつ/または湿式にクリーニングする、フリースのような吸水性のクリーニングテープを使用することもできる。付加的にまたは代替的に、従来のように、湿式のクリーニングを実施することもできる。この場合、ノズルプレート上の付着物および汚染物を分離するために、拭取り前に、洗浄液がノズルプレートに吹き付けられる。その後、ノズルプレートが拭き取られる。
【0005】
独国特許出願公開第102010037829号明細書には、記録媒体の搬送経路上方の印刷モード位置から、記録媒体の搬送経路に対して側方に位置する保守整備位置へと、印刷ユニットを移動させることができるインクプリンタが記載されている。この保守整備位置では、プリントヘッドに下方からアクセスすることができ、プリントヘッドのノズルプレートをクリーニングすることができる。高出力プリンタの印刷ユニットには、電力供給のための、またはプリントヘッドのために制御信号を伝達するための、多数の電気的および光学的ライン、ならびにインクを供給するための複数の機械的管路およびホースが接続されている。部分的に極めて大型の印刷ユニットを動かす必要があるため、このような供給部は極めて柔軟に形成されており、これらのラインをガイドするためには、体積の大きな長いドラッグチェーンが必要である。したがって、このような公知の機器コンセプトでは、技術的な労力は比較的大きく、印刷ユニットの側方移動により所要スペースも拡大されている。
【0006】
このようなことを回避するために、独国特許第102013106211号明細書により、印刷ユニットの位置がほぼ位置が固定されたまま留まる、ウェブ状の記録媒体にインクで印刷するためのインクプリンタが公知である。プリントヘッドのクリーニングのためには、長手方向可動な転写ループ内に配置され、様々なローラ上に延在している記録媒体を、印刷位置から休止位置へと水平移動させる。これにより空いたスペースには、次いで、転写ループの下方に事前に配置されていたクリーニングユニットが垂直に上昇移動させられる。
【0007】
インクプリンタのこのような構成では、比較的大型の2つのモジュール(クリーニングユニットおよび転写ループ)がそれぞれ互いに直交方向に動かされ、比較的長い距離を移動させられる。したがって、このような構成は、衝突することなく移動するために十分なスペースを設けるために、特に高さの高い大きなスペースを必要とする。
【0008】
本発明の課題は、改善された技術的信頼性のもとで、減じられた構成スペースしか必要としない、ウェブ状の記録媒体に印刷するためのインクプリンタおよび方法を提供することである。
【0009】
この課題は、インクプリンタに関しては請求項1の特徴により、方法に関しては請求項10の特徴により解決される。
【0010】
すなわち、インクプリンタは、インクプリンタ内に位置が固定されて配置されている印刷ユニットを有している。可動なウェブガイドユニットが、印刷ユニットの下方の平面で、ガイドエレメントに沿って直線移動可能に配置されている。印刷ユニットを保守整備するための可動な保守整備ユニットが、同様に印刷ユニットの下方で、ガイドエレメントに沿って直線移動可能に配置されている。したがって、ウェブガイドユニットと保守整備ユニットとは、同じ平面で同じ直線ガイドによって軸方向に移動する。
【0011】
ウェブガイドユニットは、印刷モードで、記録媒体をガイドし印刷するために、印刷ユニットの下方の、プリントバーの領域に位置決めされる。保守整備ユニットは、保守整備モードで、プリントバーを保守整備するために、印刷ユニットの下方に位置決めされる。ウェブガイドユニットと保守整備ユニットとは、取外し可能に互いに機械的に連結されていて、これによりウェブガイドユニットと保守整備ユニットとを、水平方向でガイドエレメントに沿って、互いに独立してまたは共に直線移動させることができる。ウェブガイドユニットは、印刷モードで印刷ユニットのすぐ下に配置されており、保守整備ユニットは保守整備モードで印刷ユニットのすぐ下に配置されている。所望のモード状態に応じて、対応するユニットが直線状に水平方向で適合する位置へと移動させられる。
【0012】
インクでウェブ状の記録媒体に印刷するためのインクプリンタを作動させるための方法では、まずは、ウェブガイドユニットを、記録媒体の印刷のために、直線移動により、印刷ユニットの下方の印刷位置へと移動させる。次いで、ウェブガイドエレメントを記録媒体と共に、所望の印刷ギャップが調節されるまで上昇運動で垂直に印刷ユニットに向かって移動させる。今や、記録媒体に印刷することができる。
【0013】
記録媒体の長さおよび引張応力は、直線移動の際におよび昇降運動の際に、印刷を再始動するための記録媒体上の所望の始動位置および所望の引張応力が維持されるように、修正される。ウェブガイドユニットは、印刷後、直線移動で印刷位置から外へ移動させられる。
【0014】
保守整備ユニットは、印刷ユニットの保守整備のために、直線移動で印刷ユニットの下方の保守整備位置へと移動させられる。次いで、クリーニングエレメントおよび/または保護エレメントが、印刷ユニットをクリーニングするために、かつ/または保護するために、上昇運動で印刷ユニットの方向に移動させられる。
【0015】
このような装置およびこのような方法は、ウェブガイドユニットおよび保守整備ユニットのみが、比較的大きな距離を、直線的にのみ同じ方向で移動すればよいという利点を有する。これらのユニットは、1つの共通のガイドレールに沿って移動させられる。複数の供給ラインを備えた大型の印刷ユニットは、位置が固定されて配置されているので、移動する必要はない。さらに、クリーニングエレメントおよび/または保護エレメントならびにウェブガイドエレメントのような比較的軽量のエレメントは、ウェブガイドユニットまたは保守整備ユニットを共に動かす必要なく、これとは独立して別個の駆動装置によって短い昇降運動を行うことができる。したがって、インクプリンタの構成高さを低くすることができる。インクプリンタはいずれにせよ、インクの乾燥のために比較的長く形成されているので、このような長さを、ウェブガイドユニットおよび保守整備ユニットの水平摺動のために良好に利用することができる。有利には、軽量なエレメントのみが昇降運動で動かされ、重たい両ユニット(ウェブガイドユニットおよび保守整備ユニット)は水平方向にのみ直線移動させられる。
【0016】
本発明の有利な構成は、従属請求項に記載されている。したがって、ウェブガイドユニットは、記録媒体のウェブをガイドするための1つまたは複数のウェブガイドエレメントを有しており、ウェブガイドエレメントは印刷モードで、記録媒体を、印刷モードのために、印刷ユニットの方向で転写位置へと動かすために、昇降装置に連結されている。したがって、昇降運動のための駆動装置は最小限に小型に寸法設定することができ、印刷ユニットおよび保守整備ユニットの直線移動用のメイン駆動装置とは独立している。
【0017】
保守整備ユニットが、クリーニング装置とカバー装置とを有しており、これらの装置はそれぞれ、プリントヘッドをクリーニングするために、さらには載着可能なカバー装置によって保護するために、短い垂直方向の昇降運動をプリントバーの方向に向かって実施することができる。ウェブガイドユニットおよび保守整備ユニットは、この場合、垂直方向で一緒に動かない。
【0018】
さらに、有利には、インクプリンタは、直線移動とは独立して、ウェブガイドエレメントまたはクリーニング装置および/またはカバー装置のための各昇降運動のみを行うことができる比較的小型に寸法設定された昇降装置しか必要としない。
【0019】
クリーニング装置が、ワイパ装置と、場合によっては噴霧装置とを有しているならば、プリントヘッドを湿式にクリーニングすることができ、その後拭き取って乾燥させることができる。
【0020】
カバー装置が取外し可能にクリーニング装置に接続されており、カバー装置とクリーニング装置とは共に昇降運動を行い、カバー装置が休止状態で、ノズルの乾燥を阻止するためにプリントヘッドをカバーし、そこに留まることができる場合に初めて互いに分離されるならばこれも有利である。したがって、カバー装置のために固有の駆動装置を使用する必要はない。
【0021】
プリントバーが受動的に可動に形成されているならば、プリントバーは、カバー装置および/またはクリーニング装置の昇降運動の際に、同じ方向に共に動かされ、これによりプリントヘッドは、ウェブガイドユニットまたは保守整備ユニットの移動経路に突入することはなく、休止状態で、印刷ユニット内に確実に、カバー装置と共に退避させられている。したがって、プリントバーには、昇降運動のための固有の駆動装置は必要ではない。
【0022】
ウェブガイドユニットは長さ補償装置を有しており、長さ補償装置によって、ウェブガイドユニットの直線移動の際に、印刷を再始動する際の記録媒体上の所望の始動位置と、記録媒体における所望の引張応力とが維持されるならば特に有利である。したがって印刷は、クリーニング工程後、中断されずに(すなわち、刷り損じなく)、正確な所望の位置(印刷ライン)で続けることができる。
【0023】
本発明の実施例を、以下に、概略的な図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるインクプリンタを印刷モードで示す図である。
図2】インクプリンタ機器をクリーニングモード(パージ)で示す図である。
図3】手動の点検のためにプリントバーにアクセス可能である状態で、インクプリンタ機器を示す図である。
図4】プリントバーが休止状態にあるインクプリンタ機器を示す図である。
図5】プリントバーが互いに別個にクリーニングされる(拭き取られる)インクプリンタ機器の実施例を示す図である。
図6】一方のプリントバーが休止状態で、他方のプリントバーがクリーニングされる(拭き取られる)図5の実施例を示す図である。
図7】すべてのプリントバーが1つの共通のワイパによってクリーニングされるインクプリンタ機器の別の実施例を示す図である。
図8】クリーニングモードで、プリントバーの1つに付加的な保守整備が行われるインクプリンタ機器の実施例を示す図である。
図9】ウェブ状の記録媒体に印刷するための方法のためのフローチャートである。
【0025】
以下に、本発明を、ここでは2色印刷用に形成されているインクプリンタにつき詳しく説明する。このために、インクプリンタは、ライン幅にわたってウェブ状の記録媒体に印刷することができる1つまたは複数のプリントヘッドを備えたそれぞれ1つのプリントバーを色ごとに有している。もちろん、本発明の思想から逸脱することなく、より多数のもしくはより少数の色またはインクのためにより多数のまたはより少数のプリントバーを備えたインクプリンタが使用されてもよい。図面には、本発明の機能性にとって必須の重要な構成要素のみが詳しく示されており、機能的に同じまたは同様のエレメントは同じ符号で示されている。
【0026】
図1には、ウェブ状の記録媒体11に印刷するためのインクプリンタ10の第1の実施例が示されており、記録媒体11は、搬送方向15(太い矢印参照)でインクプリンタ10を通過するように搬送される。印刷ユニット12は2つのプリントバー14(DR1およびDR2)を有しており、これらのプリントバーによって記録媒体11にラインごとに印刷することができる。プリントバー14は、ラインごとに記録媒体に印刷するように(ラインの延在は、図1では図平面内に向かっている)、搬送方向15に対して横方向に、記録媒体11の全幅(搬送方向15に対して横方向、すなわちライン幅)にわたって延在している。
【0027】
印刷ユニット12は、インクプリンタ10内に常に位置が固定されて配置されていて、水平方向にも垂直方向にも動かない。プリントバー14だけが、垂直方向の短い昇降距離16(図2参照)を有していてよいが、さらに詳しく後述するように、能動的にこの距離を進むのではなく、他のエレメントによって強制ガイドされて(すなわち受動的に)進む。
【0028】
印刷ユニット12の下方には、ウェブガイドユニット(以下では、ウェブキャリッジ20と記載する)と、保守整備ユニット21とが1つの共通の軸線上の水平平面に配置されている。ウェブガイドユニットと保守整備ユニット21とを、水平軸線に沿って、ガイドエレメント(以下では、ガイドレール22と記載する;図2および図3に略示されている)によってガイドされて、軸方向に(水平方向の直線移動に相当)動かすことができる。
【0029】
ウェブキャリッジ20は、図1の実施例では、水平位置に関して、プリントバー14のすぐ下に位置している。したがって、ウェブキャリッジ20に関して、この位置を、以下では水平方向の印刷位置30と記載する。ウェブキャリッジ20は、1つのウェブガイド支持体23と1つまたは複数のウェブガイドローラ24とを有することができるウェブガイドエレメントを有している。ウェブガイドエレメント23,24によって、記録媒体11のウェブは、ノズルプレートに対するほぼ一定の間隔(これを印刷ギャップ25と記載する)を置いて搬送方向15でプリントバー14に沿ってその近傍を移動させられる。したがって、記録媒体11は、印刷のために、プリントヘッドのノズルプレートに対してほぼ平行にガイドされる(これは、プリントバー14の領域でまっすぐのまたは湾曲した印刷ギャップ25であってよい)。したがって、記録媒体11は、印刷ギャップ25の領域でラインごとに印刷され得る。
【0030】
保守整備ユニット21は、図1の実施例では休止位置32に位置している。休止位置では、プリントバー14のクリーニングが必要となるまで、または保護カバー(以下ではカバーキャップ27と記載する)がプリントバー14に被せられるべきときまで、保守整備ユニットが退避させられている。保守整備のために、保守整備ユニットは、プリントバー14の下方の水平方向の保守整備位置33へと、すなわち、その前までウェブキャリッジ20が印刷位置30で存在していた位置へと移動させられる。これについては、さらに、図2図5図6図7、および図8につき詳しく説明する。
【0031】
ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とは、同じ平面(水平平面)でのみ軸方向で往復運動させられる。ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とは、同じ直線ガイド(典型的には1つまたは複数のガイドレール22)によってガイドされている。ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とは、有利には取外し可能に互いに連結されているので、これらを一緒に、または互いに独立して、水平軸線に沿って直線的に移動させることができる。
【0032】
ウェブガイド支持体23は、複数のウェブガイドローラ24に堅固に連結されていてよく、これにより、ウェブガイド支持体23の(垂直方向での)移動によって、ウェブガイドローラ24は、したがって記録媒体11のウェブは、一緒に動くことができる。
【0033】
別の搬送および変向エレメント(例えば、搬送または変向ローラ35)は、ウェブキャリッジ20によって搬送方向15(図1の矢印参照)で搬送する際に記録媒体11をループの形態でガイドする。
【0034】
第1の実施例では、昇降装置37はウェブキャリッジ20の下方に配置されている。昇降装置37は、2つ以上の昇降ガイドロッド38(図面では、細長い破線の両方向矢印によって示されている)を介して機械的にウェブガイド支持体23に連結することができる図示されていない駆動装置を有していて、これにより、このウェブガイド支持体23を介して、記録媒体11を、垂直方向に、記録媒体11とプリントヘッドのノズルプレートとの間に、印刷ギャップ25の所望の高さが得られるまで上昇行程で持ち上げる。上昇行程では、記録媒体11は、プリントヘッドのノズルプレートに対してそれぞれ面平行に維持されている。
【0035】
少なくとも1つのウェブガイド支持体23は、それぞれ記録媒体11のウェブの側方に配置されている(典型的には、ウェブの側方左右にある2つのウェブガイド支持体23で十分である)。昇降ガイドロッド38も、ウェブの側方に配置されていて、記録媒体に接触することなく記録媒体11を取り囲んでいる(典型的には、昇降ガイドロッド38は、安定性のため、および均一な昇降運動のために、対になって設けられている、または複数の対が設けられている)。これにより、ウェブガイド支持体23に作用する昇降ガイドロッド38によって、記録媒体11を、垂直方向の昇降運動で、上方および下方に動かすことができる。
【0036】
次いで、印刷を開始することができ、この際に記録媒体11が搬送されて、この場合、ラインごとに印刷される。印刷プロセスが比較的長時間中断される場合には、記録媒体11は、下降行程で昇降装置37によって再び下方に移動させられる。上昇行程および下降行程は、垂直方向の小さい昇降運動である(昇降距離16;図2参照)。ウェブキャリッジ20自体は、この場合、動かされず、記録媒体11を印刷ギャップ25の領域でガイドし、搬送する(ウェブガイド支持体23とウェブガイドローラ24とを含む)ウェブガイドエレメント23,24のみが動かされる。
【0037】
機械的にウェブガイドエレメント23,24に連結されている昇降ガイドロッド38は、ウェブガイドエレメント23,24を、ひいては記録媒体11を垂直方向の昇降運動において垂直方向に動かすために機能する。昇降運動の際に記録媒体11の搬送が妨げられないように、昇降ガイドロッド38は、この場合、記録媒体11の外側に(それぞれウェブの側方に)(すなわち、図1では、ウェブの手前および背後に)配置されている。
【0038】
保守整備ユニット21は、プリントバー14(すなわち、プリントバー内に位置するプリントヘッドのノズルプレート)のクリーニングおよび保護のために用いられる。保守整備ユニットは、各プリントバー14について、それぞれカバーキャップ27を備えたそれぞれ1つのクリーニング装置40(CL1もしくはCL2)を有している。クリーニング装置40とカバーキャップ27とは、(水平の移動平面に対して垂直の)垂直方向においても、小さな上昇行程または下降行程で移動させることができる(保守整備ユニット21自体はこの場合、動かされない)。この昇降運動は、ウェブキャリッジ20が事前にその印刷位置30を離れていて、その水平方向の休止位置31へと移動した状態で、保守整備ユニット21が保守整備位置33に位置するとすぐに、昇降装置37によって実現することができる。クリーニング装置40およびカバーキャップ27の場合、昇降ガイドロッド38は、保守整備ユニット21のそれぞれのエレメント(すなわち、クリーニング装置40および/またはカバーキャップ27)に作用して、これらのエレメントを昇降運動において持ち上げるまたは下降させる。
【0039】
図2には、保守整備ユニット21が、プリントバー14の下方の保守整備位置33へと直線移動距離42(両方向矢印参照)だけ移動させられた保守整備状態が示されている。この作動状態(ウェブキャリッジ20の休止位置31)では、記録媒体11は静止することができ、さらに搬送される必要はないので、記録媒体11は静止状態(すなわち、印刷モードではなく、休止状態)にある。しかしながら、論理的には、記録媒体11の搬送は常に可能である。
【0040】
ウェブキャリッジ20は、すなわち、保守整備ユニット21が保守整備位置33をとることができるように、事前に印刷位置30を離れ、休止位置31へと移動させられた。保守整備ユニット21の保守整備位置33は、ウェブキャリッジ20の印刷位置30とほぼ同じである。
【0041】
図2の実施例では、保守整備ユニット21は、クリーニング装置40とカバーキャップ27とが、昇降装置37によって上昇行程ぶんだけプリントバー14の方向に移動させられた保守整備位置33に位置しているので、カバーキャップ27は、下方からプリントバー14へと押し付けられ、これによりプリントバー14は、その位置が所定の小さな昇降距離16だけ受動的に、より上方に押される。
【0042】
この位置で、カバーキャップ27を、印刷ユニット12内で係止することができ、ロックすることができるので、プリントバー14は堅固に(しかしながら、再び取外し可能に)カバーキャップ27上に載置される。したがって、カバーキャップ27は、堅固にプリントバー14に接続されていて、ここで、休止状態で留まることができる(カバーされたプリントバー14のこのように持ち上げられた状態は、休止位置39とも記載される)。したがって、プリントヘッドのノズルの乾燥は阻止される。
【0043】
カバーキャップ27は、この場合、休止位置39で、印刷ユニット12内に機械的にロックされ、これによりこの位置は、昇降装置37による力の影響なく自立的に保持され得る。
【0044】
休止位置39ではパージも可能である。この場合、カバーキャップ27には、ノズルの領域に高湿度の環境を発生させ、ノズルが極めて早期には乾燥しないようにするために、少なくとも部分的に液体を充填することもできる。カバーキャップ27の充填、すすぎ、およびカバーキャップ27を空にすることは、好ましくは、図示されていない上方からの配管/管路によって行われる。これらの配管/管路は、カバーキャップ27の上方への昇降運動により初めて、カバーキャップ27内へと進入する。
【0045】
プリントバー14は、この場合、固有の駆動装置なしに受動的に強制ガイドされて、カバーキャップ27の下面が、もはや印刷ユニット12の下面から突出しなくなるまで、共に持ち上げられる。この位置では、カバーキャップ27は、適切なロック機構を介して印刷ユニット12内でロックされる。したがって、従来のカバーキャップの固有のモータによるプリントバー14の持ち上げならびに固有のモータによる位置決めは、不要である。したがって、極めて小さな昇降距離16しか進まなくてよいので、印刷ユニット12の構成高さを減じることができる。したがって、昇降装置37を極めて小型に寸法設定することができ、これにより、有利には、重量が僅かになる。この場合、短い移動時間は特に重要であり有利である。
【0046】
例えば、ノズルに洗浄液またはインクを高圧で貫流させる/ノズルをパージするために、カバーキャップ27を短時間だけ(一時的に)プリントバー14に被せることができる。貫流した液体は、カバーキャップ27によって捕集され、そこから排出される。したがって、カバーキャップ27の外側に位置するインクプリンタ10の構成要素は、フラッシング(パージ)の際の汚染に対して保護されている。ホースまたは配管を介して、洗浄液をプリントバー14およびカバーキャップ27内にガイドし、そこからポンプにより排出することもできる。
【0047】
ウェブキャリッジ20および保守整備ユニット21の水平方向の軸方向移動(直線移動とも呼ばれる)のためには、唯1つの駆動装置しか必要としない。両ユニットは、互いに堅固に連結されてはおらず、柔軟に、例えば、電磁的なまたは電気機械的なロック(図面には示されていない)を介して連結されている。これにより、両ユニットを互いに分離し、または共に水平方向(直線移動)で移動させることができる。
【0048】
両ユニットの移動領域は図3に示されており、図3では、両ユニットはそれぞれ、印刷ユニット12の縁部の完全に外側にある水平方向のそれぞれの休止位置31,32で示されている。印刷モードのためには、ウェブキャリッジ20は印刷位置30(すなわち、図1に示したように、プリントバー14の下方の領域)へと移動させられる。保守整備モードのためには、保守整備ユニット21が休止位置32から保守整備位置33へと(すなわち、図2に示したように、プリントバー14の下方の領域へと)移動させられる。ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とは、直線的なガイドレール22によって、1つの直線に沿って、線形に移動させられる(直線移動、または並進運動とも記載される)。
【0049】
ウェブキャリッジ20の移動の際には、記録媒体11の移動は入口側で(引込みモータ)ブロックされる。ウェブキャリッジ20の移動の際には、記録媒体11のウェブに沿った最小限の長さ補償ならびに引張応力制御が(例えば、能動的なダンサローラ/ペーパーループによって、もしくはトルク制御された引出しモータによって)行われなければならない。さもないと、ウェブが過剰に高い引張応力にさらされて、最悪な場合、裂断されるおそれがある。このような長さ補償により、印刷されたばかりの実際の位置(ライン)が変更されるのではなく、インクプリンタ10の出口から印刷位置30までのウェブ長さ変化が補償されるので、処理後、印刷の再始動の際には、プリントバー14のすぐ下方で記録媒体11に正しい始動位置が再び存在している。摺動後に、記録媒体11上の所望の始動位置で実際に正確に印刷を再び始動(または続行)することができるように、処理の際には、記録媒体11内には必要な所定の引張応力が維持される。この場合、始動位置の位置決めの精度は、典型的には、印刷解像度に応じて、約20~100μmの範囲にある。
【0050】
このような長さ補償により、印刷の再始動のための記録媒体11上の実際の始動位置(所望の新たな印刷ラインは、印刷を再開するためにウェブガイドローラ24の領域の相応する位置に位置している)ならびにウェブ内の引張応力は維持される。すなわち、ウェブキャリッジ20が印刷位置30と休止位置31との間を移動する際にほぼ完全な長さ補償が行われる。
【0051】
この長さ補償と引張応力補償とは、この場合、ウェブがその長さにおいても補償されなければならないので、昇降運動の際も有効になっている。この場合、搬送ステップは、例えばインクリメンタルローラを介して正確に測定され、処理後、ウェブキャリッジ20またはウェブガイドエレメント23,24の移動後に正確な始動位置を再び生成することができるように、遅らせられる。
【0052】
保守整備ユニット21は、印刷モードの間、プリントバー14の領域の外側に配置されている(すなわち休止位置32)。(プリントバー14の保守整備のために)必要な場合にだけ、すなわち保守整備状態において、保守整備ユニット21は、プリントバー14の下方の保守整備位置33へと移動させられる。
【0053】
印刷モードが完全に終了し、インクプリンタ10がオフにされると、インクプリンタ10は休止状態になる。この休止位置では、図4にも示されているように、両プリントバー14は、差し込まれた/被せられたカバーキャップ27と共に、持ち上げられた垂直方向の休止位置39に位置していて、すなわち、印刷領域から外へ出されて(上昇行程)、昇降距離16だけ高くに位置しているので、被せられたカバーキャップ27は印刷ギャップ25内に突入していない。上昇行程によって付勢されているプリントバー14は、図面にはプリントバー14側方の小さな矢印によって示されている。プリントバー14は、クリーニング装置40がカバーキャップ27から分離された場合でも、持ち上げられた位置に留まることができる。
【0054】
ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とはそれぞれ休止位置31もしくは32にある。この状態では、プリントバー14には自由にアクセス可能である(これは、カバーキャップ27有りまたは無しであってよい)。この休止状態では、新たな記録媒体11をインクプリンタ10内により簡単にアクセス可能に挿入することができる、または通すことができる。しかしながら、この場合、繊細なプリントヘッドは、カバーキャップ27によって保護されるのが望ましい。プリントバーには、この状態で、下方から良好にかつ簡単にアクセス可能であるので、この状態で、サービス技術者によってプリントバー14を簡単に手動でまたは目視により、点検または交換することもできる。
【0055】
図3および図4には、昇降装置37がプリントバー14の側方に配置されている実施形態が示されている。ここに図示されていない昇降ガイドロッド38は、この場合、記録媒体11の横方向で(すなわちウェブの側方で、ウェブに沿って)、ウェブキャリッジ20または保守整備ユニット21内における対応するエレメントに連結して、これらのエレメントを小さな昇降運動において持ち上げるためにまたは下降させるために、昇降装置37からこれらのエレメントへと上下に動かされなければならない。したがってこの場合、記録媒体11およびプリントバー14を損傷することなく、またはこれらに接触することなく、昇降運動を行うことができる。
【0056】
プリントヘッドからインク残留物またはその他の汚れをクリーニングするために、プリントヘッドのクリーニングは、図5に示すように、随時または必要に応じて行われる。この場合、クリーニング装置40は、(この場合、長手方向で、プリントバー14の手前または後方の)昇降装置37によって、カバーキャップ27がプリントバー14に対してまだ間隔を有しているように上方へ移動させられる。
【0057】
事前に、プリントヘッドがまずはパージされ(高圧下でのノズルの貫流)、この場合、洗浄液がカバーキャップ27によって捕集される。このためにカバーキャップ27は、図2に示されたようにプリントバー14に被せられる。次いで、ノズルプレートから、残留インク、洗浄液、および汚染粒子をクリーニングしなければならない。
【0058】
このためにカバーキャップ27は下降行程で幾分下方に向かって移動させられて、これによりノズルプレートに対して幾分大きな間隔が生じる。次いで、それぞれ1つの弾性的なワイパブレード44を備えた1つまたは複数のワイパ43が、プリントバー14に沿って、ノズルプレートとカバーキャップ27との間のこのスペースに入り込む。この場合、ワイパブレード44は昇降装置37によって位置決めされ、ノズルプレートに接触させられて、プリントバー14の長手方向軸線に沿って移動させられ、このときにノズルプレートを拭き取る。
【0059】
拭取り前に、ノズルプレートにさらに噴霧ノズルによって洗浄液を噴霧することもでき、その残留物は、その後の拭取り工程によってさらに拭き取られる。
【0060】
ワイパブレード44を有したワイパ43は、休止状態で、クリーニング装置40の端部に位置しているが、ワイパ43が昇降運動を妨害または阻害することがないように、プリントバー14の領域の外側に位置している。したがって、プリントバー14をカバーキャップ27によってカバーする工程も妨げられない。
【0061】
プリントバー14に噴霧するために、クリーニング装置40は、ノズルプレートのみに良好に洗浄液を噴霧することができるような高さまで上方に移動させられる。この場合、洗浄液を吹き付けるために、噴霧ノズルを、ワイパ43と同じ駆動装置によって、前方から後方にまたは後方から前方に(すなわち、ライン方向に)、動かすことができる。
【0062】
このためにカバーキャップ27はもちろん、プリントバー14に被せられていない。したがって、プリントバー14は持ち上げられてもおらず、直接、印刷ギャップ25の高さに位置している。
【0063】
ノズルプレートのクリーニングの際には、クリーニング装置40はカバーキャップ27と共に、ワイパ支持体45を含むワイパ43が適切な長手方向ガイドに沿って(ライン方向で)、プリントバー14に沿って(ライン方向での)水平移動により中間スペース内を貫通走行して、ノズルプレートを拭き取ることができるように、プリントバー14から離されている。
【0064】
クリーニング装置40とカバーキャップ27とは、この実施形態では、上昇行程および下降行程で互いに別個に移動させることができる。カバーキャップ27は、もちろん、各クリーニング装置40から取外し可能であって、プリントバー14に被せることができ、クリーニング装置40が再び下降させられて、出発位置に到るまでそこに留まることができる。
【0065】
図5の実施例では、各ワイパ43は、他方のワイパとは独立したワイパ支持体45を有しているので、ワイパ43を互いに別個に移動させることができる。したがって各ワイパ支持体45は、それぞれ1つのクリーニング装置40の上方に設けられている。したがって、各ワイパ43自体が、プリントバー14に沿った長手方向運動の際に各プリントバーのノズルプレートを拭き取ることができ、これによりクリーニングすることができる。
【0066】
プリントバー14のうちの一方(この場合、DR2)のみをクリーニングすればよく、他方(この場合、DR1)は作動させられていなかった場合には、第1のプリントバー14(DR1)は、図6に示したように、休止位置39でカバーキャップ27によってカバーされて保護されている。この第1のプリントバー14(DR1)は、プリントバー14が確実に休止させられ、場合によっては生じるワイパ運動の際にワイパ43がカバーキャップ27に接触することがないところまで、クリーニング装置40(CL1)の昇降運動によってカバーキャップ27と共に強制ガイドされて(第2のプリントバー14(DR2)に対して昇降距離16だけ)上方に押される。第2のプリントバー14は、カバーキャップ27によってカバーされず、通常通りクリーニングすることができる。このために第2のプリントバー14(DR2)は、所属のワイパ43と所属のクリーニング装置40(CL2)とによって、これらが(ライン方向の)プリントバー14の長手方向軸線に対して横方向に往復移動させられ、この場合、ノズルプレートを、場合によっては吹き付けて、拭き取ることにより、クリーニングされる。
【0067】
図7には、両ワイパブレード44が一緒に、1つの共通のワイパ支持体45上に配置されている実施例が示されている。ワイパ支持体は同様に、クリーニング装置40に沿ったガイドレールに沿ってライン方向で動くことができる。ワイパ支持体45は、両クリーニング装置40の上方に設けられていて、拭取り工程中、プリントバー14に沿って移動させられて、これにより両ワイパブレード44がノズルプレートに接触し、ワイパ支持体45は、クリーニング装置に接触するとこれを損傷させるおそれがあるので、クリーニング装置40には接触しない。したがって、プリントバー14を、1回の移動工程において共に、拭取り(および場合によっては事前の吹付け)によりクリーニングすることができる。したがって、単独で移動可能なワイパ43に対して、1つの駆動装置(または2つよりも多くのプリントバー14が設けられている場合には複数の駆動装置)(および場合によっては1つ以上のガイドレール)が省かれ、すなわち、両プリントバー14は同時に1回の工程でクリーニングされる。別個のワイパ43であっても、同時に移動させることができる。
【0068】
したがって、中央の共通のワイパ支持体45による個々のプリントバー14のクリーニングは、各ワイパ43のために1つずつ設けられたワイパ支持体45と同様に機能する。カバーキャップ27は、プリントバー14の直下に延在しており、槽のように上方で開かれて形成されているので、使用済みの洗浄液は、両ケースともカバーキャップ27内に捕集される。捕集された液体はここから、(例えば、プリントバー14の休止状態で)例えばポンプにより排出され、廃棄される、または再利用される。したがって、使用済み洗浄液のための付加的な容器は不要である。したがって、従来のカバーキャップ27と比較して、クリーニング機能の実装のために必要なスペースも僅かである。
【0069】
ノズルプレートに関して、ワイパブレード44の高さ位置を、昇降装置37によるクリーニング装置40の上昇する昇降運動により、任意に調節することができる。これにより、例えば、多かれ少なかれ押圧力をもって、または穏やかに、ノズルプレートに向かってワイパ43を動かすことができ、終了時には、ワイパ43に位置する洗浄液を飛散させることなく、穏やかにそこから再び離すことができる。
【0070】
ここに示した実施形態により構成スペースが節約されるので、図8に例として示したように、付加的な機能をインクプリンタ10に実装することができる。図8では、保守整備ユニット21が幾分長く形成されているので、内部には組込みスペースがまだ空いており、このスペースは、1つまたは複数の追加装置のために、または特別な保守整備装置47(SF)のために利用される。保守整備装置47としては、例えば、ノズル検査のためのカメラシステムの使用、または洗浄液によるノズルプレートのフラッシュクリーニングによる、またはフリースストリップによるクリーニングの形態の特別なプリントヘッドクリーニングのような、拡張された保守整備機能を実装することができる。カメラシステムによって、有利にはプリントヘッド調節もチェックすることができる。
【0071】
第1のプリントバー14(DR1)は、この場合、休止位置39にあり、第2のプリントバー14(DR2)は持ち上げられておらず、カバーされておらず、これにより、この場合、特別な保守整備装置47によって、適合するプリントヘッドを整備することができる。
【0072】
図8の実施例では、第2のプリントバー14(DR2)のみが整備されていて、第1のプリントバー14(DR1)は、休止位置39に位置していて、カバーキャップ27によってカバーされている。
【0073】
図9には、インクプリンタ10によって記録媒体11に印刷する方法が示されている。この場合、ステップS1では、記録媒体11に印刷するために、直線移動によりウェブキャリッジ20を印刷ユニット12の下方の印刷位置30へと移動させる。記録媒体11に印刷するために、記録媒体11を次いでステップS2において、ウェブガイドエレメント23,24によって、所望の印刷ギャップ25が調節されるまで、昇降運動において印刷ユニット12に向かって移動させる。この昇降運動の間、ステップS3で、正確かつ所望のライン位置で印刷を再始動することができるように、記録媒体11の長さ補償および引張応力補償を行う。
【0074】
印刷ユニット12を整備するために、ステップS4でウェブキャリッジ20を印刷位置30から出して直線的に休止位置31へと移動させる。このために、次いでステップS5で、プリントバー14を整備するために、保守整備ユニット21を、後の転写の領域における保守整備位置33内へと移動させる。小さな昇降運動において、ステップS6で、クリーニング装置40を、プリントヘッドのノズルプレートをクリーニングすることができるように、プリントバー14の方向に移動させる。プリントバー14が比較的長い時間、非作動である場合には、いわゆる休止状態で、ノズルが乾燥しないように、プリントバーをカバーキャップ27によってカバーし、保護する。カバーキャップ27を、保守整備ユニット21によって、プリントバー14の方向での昇降運動によってプリントバー14に被せる。
【0075】
記録媒体11に再び印刷すべき場合には、保守整備ユニット21を保守整備位置33から出して移動させると同時に、ウェブキャリッジ20を印刷位置30内に移動させ、ウェブキャリッジ20をプリントバー14の方向で幾分持ち上げる。ウェブキャリッジ20が水平方向の直線移動を行う際に、記録媒体11の長さ補償および引張応力補償も行われる。
【0076】
位置が固定されている印刷ユニット12を備えたこのようなインクプリンタ10によって、プリントヘッドへの供給のために、大型の柔軟な管路はもはや不要である。さらに、(小さい昇降運動を除いて)プリントバー14はもはや移動しないので、すべての管路およびホースをより短くすることができる。また、柔軟なケーブル、空気圧または液圧管路を、比較的長い距離にわたってガイドする必要がないので、ドラッグチェーンも不要である。
【0077】
ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とは、従来のインクプリンタヘッドと比較して、極めて減じられた重量を有している。これにより、例えば印刷モードからクリーニングモードへとより迅速に構成要素は移動することができる。さらに、ウェブキャリッジと保守整備ユニットとは、1つの水平方向軸線のみに沿って移動させられ(動かされ)、これにより所属の駆動装置の複雑性は減じられる。これにより、インクプリンタ10の特に高さにおいて大きな構成スペースを節約することができる。
【0078】
さらに、カバーキャップ27をプリントバー14に被せるためには、極めて短い昇降距離16しか必要ではないので、このためにかかる時間を減じることができる。さらに、保守整備ユニット21によってプリントバー14が受動的に持ち上がることで、プリントバー14を垂直方向に移動させるために適合する駆動装置が省略される。短い昇降距離16は、固有の駆動装置が不要であり、短い長さおよびガイドの駆動装置しか必要としないという利点を有している。得られたスペースにより、印刷ユニット12およびインクプリンタ10全体のための構造的な自由度が高まる。
【0079】
ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とが分離して移動することで、これらを外部に向かって側方に移動させることができ、これにより、ノズルプレートを含むプリントバー14の領域に自由にアクセスできるようになるので、印刷ユニット12の手作業での点検が容易になる。これにより、インクプリンタ10におけるモジュール式の構成要素の組替えも容易になる。
【0080】
記録媒体11が垂直方向で昇降運動を行うならば、これにより、印刷ユニット12全体を新たに調節する必要なしに、印刷ギャップ25の高さの迅速かつ簡単な適合および調節が可能である。印刷ギャップ25を調節するために、ウェブキャリッジ20全体を垂直方向に動かす必要もない。
【0081】
所定の印刷ギャップ25が常にその高さにおいて調節されるように、記録媒体11の厚さに対する適合も簡単に可能である。好ましくは、印刷ギャップ25の高さは、0.8mm~1.4mmであって;極めて好ましくは、約1mm~約1.2mmである。プリントヘッドの接触によるプリントヘッドの損傷を阻止するために、ウェブガイドエレメント23,24の迅速な下降または昇降装置37による印刷ギャップ25の拡大によって、記録媒体11上に場合によって存在している隆起個所または接着個所に、極めて迅速に反応することができる。クリーニング装置40およびカバーキャップ27の上昇する昇降運動により、プリントバー14、ワイパ43、および噴霧装置、ならびに場合によっては新たな付加的なまたはその他のクリーニング機能のために、カバーキャップ27の正確かつ迅速な位置決めが行われる。ウェブキャリッジ20および保守整備ユニット21において場合によっては存在するアクチュエータおよび/またはセンサのためには、例えば洗浄液のための、僅かな管路およびホースしか必要ではない。このようなホースまたは管路は、小型の軽量なドラッグチェーンによってガイドすることができる。
【0082】
プリントバー14を、能動的に上方または下方に移動させる必要はない。昇降運動による、クリーニング装置40またはカバーキャップ27を起点とする、カバーキャップ27をプリントバー14に被せる際にプリントバー14を強制ガイドで連行する受動的な移動のみが可能である。昇降距離16は、極めて短く、カバーキャップ27の高さにほぼ相当する。これにより、休止中のプリントバー14は差し込まれたカバーキャップ27と共に、別のプリントバー14のクリーニングを妨げることのないように、かつ記録媒体11の搬送を妨害することのないように上方に位置している。昇降運動は受動的であり極めて短いので、(休止フラップを備えた)従来のインクプリンタ10と比較して、印刷ユニット12の領域では大きなスペース・空間が節約される。
【0083】
移動は、電気機械的または液圧的な昇降装置37によって、または、直線移動用の駆動装置によって、実施することができる。昇降装置37は、それぞれ、保守整備ユニット21内に、ウェブキャリッジ20内に、印刷ユニット12内に、またはこれらのエレメントの外側に配置されていてもよい。ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とは、水平方向の軸方向でしか移動しないので、ウェブキャリッジ20および保守整備ユニット21のための1つの共通の昇降装置37を、これらの移動範囲の下方に配置することができる。
【0084】
したがって、昇降ガイドロッド38を備えた昇降装置37は、ほぼU字型に形成されていてもよい。これにより、ウェブガイド支持体23を含むウェブガイドエレメント23,24およびカバーキャップ27を含むクリーニング装置40を一緒にまたは互いに別個に上昇行程または下降行程で垂直に動かすことができるように、昇降ガイドロッド38は、昇降運動の際に、記録媒体11の外側で動かされる。
【0085】
各ユニット(ウェブキャリッジ20および保守整備ユニット21)が印刷位置30もしくは保守整備位置33に配置されるとすぐに、初めて昇降運動が行われる。次いで、昇降ガイドロッド38を介して、各ウェブガイドエレメント23,24またはクリーニング装置40/カバーキャップ27を上下に移動させることができる。昇降運動は、各ユニット(ウェブガイドエレメント23,24、クリーニング装置40、およびカバーキャップ27)のために別個に行うことができる。クリーニング装置40とカバーキャップ27とを、1つの駆動装置によって一緒に、垂直方向に動かすこともできる。カバーキャップ27を被せるために、カバーキャップを、プリントバー14およびクリーニング装置40と共に持ち上げなければならない。必ずしも軽量ではない重量に基づき、場合によっては持ち上げ工程を減速する強力な減速機が必要となる場合があるので、駆動装置は過度に小型に寸法設定すべきではない。
【0086】
ウェブキャリッジ20および保守整備ユニット21の水平方向の直線移動を妨げることなく、カバーキャップ27またはクリーニング装置40が上下に移動することができるように、昇降装置37を印刷ユニット12内に、プリントバー14の側方で配置することもできる。昇降装置37は、カバーキャップ27またはクリーニング装置40を動かすために、印刷ユニット12内で、プリントバー14の前または後に、記録媒体11の幅の外側で配置されていてもよい。
【0087】
ウェブキャリッジ20および保守整備ユニット21は、それぞれ固有の内部の昇降装置37を有していてよい。しかしながら、両ユニットとも構造がより複雑になり、これにより直線移動によりコストがかかるようになる。したがって、昇降装置37は、好ましくは、動かない部分の外側に配置される。
【0088】
昇降運動を意図したエレメントは、例えば、図1図8に示されたように、1つの共通の昇降装置37によって動かすこともできる。これにより、ウェブキャリッジ20および保守整備ユニット21内における個々の複数の昇降機構および位置センサの必要性は減じられる。これにより、配線の手間および柔軟な管路の必要性を最小限に減じることができる。
【0089】
昇降装置37は、伝動装置、駆動スクリュ、偏心体、ロープを備えた電気モータによって、または相応のガイド(ロッド、レール、ラック、楔等)を備えた液圧/空気圧シリンダによって実現することができる。機械的なカム軌道によって、ユニットを垂直に動かす昇降装置37も可能であるが、柔軟性および機能性は幾分制限される。
【0090】
ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21とは、直線的なガイド(ガイドレール22)によって、1つの直線に沿って移動させられる(並進運動、直線移動)。機械的ガイドとしてのこのような並進ガイドまたは直線ガイドによって、両ユニットを共に動かすことができる。しかしながら、ウェブキャリッジ20と保守整備ユニット21との間に、柔軟な可変のカップリングが配置されていてよく(図面には示されていない)、これにより両ユニットを互いに別個に、または共に水平方向に動かすことができる。したがって、常に、両ユニットのうちの一方のみが、インクプリンタ10の作動時に、プリントバー14の下方に位置することができるので、両ユニットが連結されている場合は、唯1つの駆動装置によって両ユニットを動かすことができる。
【0091】
このような特別なケースでは、第2の駆動装置は不要である。しかしながら、例えば、プリントヘッドを視覚的に検査するためにはプリントバー14の下方の領域が開放されることが、ひいては両ユニットのいずれもプリントバー14の下方に配置されないことが(例えば図3に示したように)、所望される。この場合は、両ユニット(ウェブキャリッジ20および保守整備ユニット21)は、互いに別個にも移動可能でなければならない。
【0092】
並進運動のためには、1つまたは複数のガイドキャリッジが、位置が固定されている、長い、主としてまっすぐな1つまたは複数の本体(ガイドレール22)に沿って走行するガイドシステムを使用することができる。簡単にするために、ガイドレール22は通常対になって、互いに隣接して、かつ水平方向に移動すべきユニットの下方に配置されており、ガイドレール22とユニットとは主として(上方部分および下方部分のように)互いに摺動可能に組み付けられている。
【0093】
昇降ガイドロッド38としては、並進的な昇降運動を完全に行うことができる、回転運動を直線移動に変更する、スピンドル、ラック、ロープ等のような任意の適切なエレメントを使用することができる。
【0094】
長さ補償装置は、図面には詳しく示されていない。しかしながら、このような長さ補償装置は、記録媒体11のための搬送装置の部分であってよい。印刷画像を正確な位置に印刷するためにも、搬送は、いずれにせよ極めて正確に制御されなければならないのである。この場合、常に、ウェブのすべての運動(進行方向運動および可能な後退運動)は、例えば搬送ローラにおける適切なインクリメンタルエンコーダによって極めて精密に測定される。移動をμmの範囲で測定し、所望の搬送駆動装置を相応に制御するために、いずれにせよ、制御すべき駆動装置は極めて精密に構成される。さらに、インクプリンタ10における寸法は極めて正確に把握されているので、長さ補償装置は、搬送のための装置制御を極めて良好に利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
10 インクプリンタ
11 記録媒体
12 印刷ユニット
14 プリントバー
15 記録媒体の搬送方向
16 昇降距離
20 ウェブキャリッジ(ウェブガイドユニット)
21 保守整備ユニット
22 ガイドレール(直線移動用のガイドエレメント)
23,24 ウェブガイドエレメント
23 ウェブガイド支持体
24 ウェブガイドローラ
25 印刷ギャップ
27 カバーキャップ(カバー装置)
30 印刷位置
31 ウェブキャリッジの休止位置
32 保守整備ユニットの休止位置
33 保守整備位置
35 搬送ローラまたは変向ローラ
37 昇降装置
38 昇降ガイドロッド
39 プリントバーの休止位置
40 クリーニング装置
42 直線移動距離
43 ワイパ
44 ワイパブレード
45 ワイパ支持体
47 追加装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】