(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167887
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】加工システム、加工情報管理システム、加工装置、制御装置、プログラム、及び、加工履歴ファイル作成方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4063 20060101AFI20221027BHJP
G16Y 10/25 20200101ALI20221027BHJP
【FI】
G05B19/4063 L
G16Y10/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071067
(22)【出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2021073640
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤生 卓
(72)【発明者】
【氏名】田中 千紘
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB03
3C269AB05
3C269BB07
3C269CC02
3C269EF39
3C269KK08
3C269MN07
3C269MN27
(57)【要約】
【課題】加工装置の加工履歴が正しいものであるかを把握し易くする。
【解決手段】加工システム1000は、ワークを加工する加工装置100と、加工装置に加工指示の制御情報231を送信する制御装置200とを備える。制御装置200は、制御情報231を生成するNC生成部230と、制御情報231を用いて加工装置100を稼働させるアプリケーション部220とを有する。アプリケーション部220は、加工装置100を稼働させた際の加工装置100の加工履歴ファイル221を作成し、加工履歴ファイル221の同一性を検知するために、加工履歴ファイル221の少なくとも一部を変換した変換ファイル222を作成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する加工装置と、
前記加工装置に加工指示の制御情報を送信する制御装置と、を備えた加工システムであって、
前記制御装置は、
前記制御情報を生成するNC生成部と、
前記制御情報を用いて前記加工装置を稼働させるアプリケーション部と、を有し、
前記アプリケーション部は、前記加工装置を稼働させた際の前記加工装置の加工履歴ファイルを作成し、前記加工履歴ファイルの同一性を検知するために、前記加工履歴ファイルの少なくとも一部を変換した変換ファイルを作成することを特徴とする加工システム。
【請求項2】
前記アプリケーション部は、前記制御情報として、ワークの材質、ワークの種類、ワークから加工する加工物の種類、加工物の数、及び、1つの加工物当たりのワークの使用面積のうち少なくともいずれか一つを、前記加工履歴ファイルに用いることを特徴とする、請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記加工履歴ファイルは、所定の期間内に1つのみ作成され、前記変換ファイルは、所定期間内に生成された複数の前記制御情報による前記加工履歴ファイルを1つのハッシュ値に対応させたものであることを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
【請求項4】
前記アプリケーション部は、前記加工履歴ファイル及び前記加工履歴ファイルのバックアップファイルを記憶部に記憶させ、前記加工履歴ファイルが削除され、前記記憶部に前記バックアップファイルが残っている場合には、前記バックアップファイルを前記加工履歴ファイルとして復元することを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
【請求項5】
前記加工装置により加工するワークは、歯科材料であることを特徴とする、請求項1に記載の加工システム。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項に記載の加工システムと、
前記加工システムとデータ通信可能に接続された管理装置と、を備え、
前記管理装置は、前記加工システムの前記制御装置から前記加工履歴ファイルを取得して、所定の条件を満たした場合にエラー情報を作成し、前記エラー情報の回数が所定の期間内に、所定の閾値を超えた場合は、その後の前記加工システムに対する加工指示の登録を禁止することを特徴とする加工情報管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記エラー情報の回数が前記所定の期間である第1の期間内に、前記所定の閾値である第1の閾値を超えた回数を長期間用エラー情報値としてカウントし、前記長期間用エラー情報値が前記第1の期間よりも長い第2の期間内に第2の閾値を超えた場合は、前記加工装置による加工を強制終了することを特徴とする、請求項6に記載の加工情報管理システム。
【請求項8】
ワークを加工する加工装置であって、
前記加工装置への加工指示の制御情報を生成するNC生成部と、
前記制御情報を用いて前記加工装置を稼働させるアプリケーション部と、を有し、
前記アプリケーション部は、前記加工装置を稼働させた際の前記加工装置の加工履歴ファイルを作成し、前記加工装置の加工履歴ファイルを作成し、前記加工履歴ファイルの同一性を検知するために、前記加工履歴ファイルの少なくとも一部を変換した変換ファイルを作成することを特徴とする加工装置。
【請求項9】
ワークを加工する加工装置に加工指示の制御情報を送信する制御装置であって、
前記制御情報を生成するNC生成部と、
前記制御情報を用いて前記加工装置を稼働させるアプリケーション部と、を有し、
前記アプリケーション部は、前記加工装置を稼働させた際の前記加工装置の加工履歴ファイルを作成し、前記加工履歴ファイルの同一性を検知するために、前記加工履歴ファイルの少なくとも一部を変換した変換ファイルを作成することを特徴とする制御装置。
【請求項10】
ワークを加工する加工装置に加工指示の制御情報を送信する制御装置に用いられるプログラムであって、
前記制御装置は、
前記制御情報を生成するNC生成部と、
前記制御情報を用いて前記加工装置を稼働させるアプリケーション部と、を有するものであり、
前記アプリケーション部が前記加工装置を稼働させた際の情報を取得する第1工程と、
前記第1工程で取得した情報を用いて、前記加工装置の加工履歴ファイルを作成する第2工程と、
前記第2工程で作成した前記加工履歴ファイルの同一性を検知するために前記加工履歴ファイルの少なくとも一部を変換した変換ファイルを作成する第3工程をコンピュータにより実行させるプログラム。
【請求項11】
ワークを加工する加工装置と、
前記加工装置に加工指示の制御情報を送信する制御装置と、を備えた加工装置の加工履歴ファイル作成方法であって、
前記制御装置は、
前記制御情報を生成するNC生成部と、
前記制御情報を用いて前記加工装置を稼働させるアプリケーション部と、を有するものであり、
前記アプリケーション部が前記加工装置を稼働させた際の情報を取得する第1工程と、
前記第1工程で取得した情報を用いて、前記加工装置の加工履歴ファイルを作成する第2工程と、
前記第2工程で作成した前記加工履歴ファイルの同一性を検知するために前記加工履歴ファイルの少なくとも一部を変換した変換ファイルを作成する第3工程と、を有することを特徴とする加工履歴ファイル作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを加工可能な加工装置に用いられる加工システム、加工情報管理システム、加工装置、制御装置、プログラム、及び、加工履歴ファイル作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置として、加工具が取り付けられた主軸を回転させて加工対象物(ワーク)に切削加工などを行う装置が従来から知られている。このような加工装置において、主軸に取り付ける工具を用いてワークを加工し、主軸の回転に基づいて加工装置に対する課金処理を行う構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、管理装置として、特許文献1に記載のような課金装置を用いる場合であっても、加工装置の加工履歴が正しいものであるかを簡単に把握したいという要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の加工システムは、ワークを加工する加工装置と、前記加工装置に加工指示の制御情報を送信する制御装置と、を備えた加工システムであって、前記制御装置は、前記制御情報を生成するNC生成部と、前記制御情報を用いて前記加工装置を稼働させるアプリケーション部と、を有し、前記アプリケーション部は、前記加工装置を稼働させた際の前記加工装置の加工履歴ファイルを作成し、前記加工履歴ファイルの同一性を検知するために、前記加工履歴ファイルの少なくとも一部を変換した変換ファイルを作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、加工装置の加工履歴が正しいものであるかを把握し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態に係る加工情報管理システムの構成図。
【
図4】加工履歴ファイルの改ざんを検知するためのフローチャート。
【
図5】加工装置の不正利用を判断するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態について、
図1ないし
図5を用いて説明する。まず、本実施形態の加工装置100の全体構成について、
図1を用いて説明する。
【0009】
[加工装置]
図1は、本実施形態に係る加工装置100の外観斜視図である。加工装置100は、
図1に示すように、外装カバー101内に加工装置本体を収容している。即ち、外装カバー101は、主軸や工具マガジンなどが内部に配置され、工具による加工空間を形成する。外装カバー101は、加工空間にアクセス可能な開閉ドア102を有しており、開閉ドア102を開けることで、ワークの交換や手動による工具の交換が可能となっている。また、ワークの加工中には、開閉ドア102を閉めるようにしている。開閉ドア102の開閉は、不図示のセンサにより検知される。
【0010】
開閉ドア102には、透光性の窓103が設けられている。開閉ドア102は、窓103が設けられていない部分に、開閉ロッド104が接続される。透光性の窓103の下部にトレイ105が設けられている。本実施形態では、トレイ105を開閉ドア102の下端部側に設けて、開閉ドア102に付着した切粉などが開閉ドア102の開閉動作により本体部106の湾曲部などに入り込むことを防止している。
【0011】
このような加工装置100は、開閉ドア102を閉めた状態で、保持部40に保持されたワークWを主軸に取り付けた工具(不図示)により加工する。本実施形態の加工装置100は、保持部40と主軸は、X、Y、Zの3軸方向に相対移動可能であり、保持部40は、X軸と平行な回転軸、Y軸と平行な回転軸を中心にそれぞれ回動可能である。なお、主軸は、Z軸に平行な回転軸を中心に回転し、工具は、例えば、ドリルやエンドミルである。
【0012】
また、本実施形態の加工装置100は、コンピュータ制御により自動加工を行うNC加工装置である。具体的には、制御装置200(
図2)を用いてCAD/CAMシステムにより加工データを作成し、このデータに基づいて数値制御によりワークWの加工を行う。例えば、上述の加工装置100にCAMソフト等が導入されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置が制御装置200として接続されており、制御装置200の指示に従って、加工装置100は加工動作を行う。具体的には、制御装置は、NCファイルを読み込み実行することによって、加工装置を動作させる。なお、加工装置100自体に、数値制御が可能なCPUやメモリを搭載した制御部としてのコンピュータが設けられていても良い。即ち、制御装置200は、加工装置と、加工装置に接続されたコンピュータのどちらに設けられてもよい。
【0013】
例えば、加工装置100によりワークWとしてディスク状或いはブロック状の歯科材料に加工を行い、加工物として歯科用補綴物の作成を行う場合、3次元計測器で計測した歯科用補綴物のデータをCAD/CAMシステムに転送し、CAD/CAMシステムにより加工データを作成する。そして、この加工データに基づいて、加工装置100を制御してワークWを工具12により切削加工することで、歯科用補綴物を作成する。
【0014】
[加工情報管理システム]
次に、上述のような加工装置100を用いた加工情報管理システムについて説明する。
図2は、加工装置100を含む加工システム1000を用いた加工情報管理システム2000の構成図を示している。後述するように、本実施形態では、このような加工情報管理システム2000を用いて課金処理、加工履歴ファイルの改ざん検知や不正の判断を行っている。
【0015】
加工情報管理システム2000は、加工システム1000と、管理装置300とを有する。加工システム1000と管理装置300とは、データ通信可能に接続されている。本実施形態では、加工システム1000の制御装置200と管理装置300とがインターネット回線で接続されている。例えば、加工システム1000は客先の加工室や工場などで使用され、管理装置300は、管理会社などに設置されており、インターネット回線を通じて互いのファイルを同期可能となっている。
【0016】
管理装置300は、データベース301を有し、データベース301内の加工履歴ファイル302は、加工システム1000で後述するように作成された加工履歴ファイル221と同期したファイルである。管理装置300は、詳しくは後述するように、制御装置200からインターネットを介して受信し、同期した加工履歴ファイル302に基づいて、加工システム1000の使用状況に応じた課金処理などを行っている。
【0017】
[加工システム]
加工システム1000は、上述したようなワークWを加工する加工装置100と、制御装置200とを有する。制御装置200は、上述のように加工装置100にNCファイルを含む加工指示の制御情報を送信する。また、制御装置200は、制御部210と、アプリケーション部220と、NC生成部230とを有する。制御部210は、CPU211、RAM212、ROM213を備えたものである。アプリケーション部220及びNC生成部230は、制御装置200にインストールされたプログラムであり、制御部210により実行される。
【0018】
NC生成部230は、加工指示の制御情報を生成する。具体的には、NC生成部230は、上述のCAMソフトであり、加工装置100によりワークWを加工するためのNCファイルを含む制御情報を生成する。制御情報としては、ワークWの材質、ワークWの種類、ワークWから加工する加工物の種類、加工物の数、及び、1つの加工物当たりのワークWの使用面積などが挙げられる。
【0019】
例えば、歯科用補綴物を作成する場合、ワークWの材質及び種類がディスク状或いはブロック状の歯科材料(ジルコニアなど)、加工物の種類が1本に満たない歯、1本の歯、或いは、複数本の歯に相当する。なお、ワークWの使用面積は、ワークWがディスク状の材料である場合、この材料から複数本の加工物を加工可能であるため、そのNCファイルによりディスク状の材料のうち、どれくらいの面積を使用したかを示すものである。このように使用面積を把握することで、その材料でその後どれくらいの数の加工物を加工できるかがわかる。
【0020】
アプリケーション部220は、NC生成部230により生成された制御情報を用いて加工装置100を稼働させる。そして、アプリケーション部220は、加工装置100を稼働させた際の稼働情報215を取得する。具体的には、制御部210が、アプリケーション部220からの要求により、制御情報を加工装置100に送信し、加工装置100を稼働させる。また、制御部210は、アプリケーション部220からの要求により、加工装置100の稼働情報215をアプリケーション部220に送信する。稼働情報215としては、ワークWの加工開始時間、ワークWの加工終了時間、1NCファイル当たりの自動加工時間、及び、1NCファイル当たりの主軸の回転時間などが挙げられる。
【0021】
本実施形態では、加工装置100と制御装置200を別体として、これらで加工システム1000を構成しているが、加工装置と制御装置を一体としても良い。即ち、加工装置が制御部を有し、上述のアプリケーション部やNC生成部がインストールされていても良い。
【0022】
このような本実施形態の加工システム1000では、アプリケーション部220が、加工装置100を稼働させた際の加工装置100の加工履歴ファイル221を作成する。具体的には、アプリケーション部220が、加工装置100を稼働させた際の稼働情報215、及び、NC生成部230により生成された制御情報231を用いて、加工装置100の加工履歴ファイル221を作成する。即ち、稼働情報215及び制御情報231から、
図3に示したような項目を取得して、加工履歴ファイル221を作成する。なお、
図3の「情報元」のうち、「アプリ」は、アプリケーション部220が取得する稼働情報215、「CAM」は、NC生成部230が生成した制御情報231である。
【0023】
加工履歴ファイル221は、
図3に示した全ての項目を含まなくても良い。即ち、アプリケーション部220は、制御情報231として、ワークWの材質、ワークWの種類、ワークWから加工する加工物の種類、加工物の数、NCデータを作成するために使用したCAMソフトの情報、NCデータを作成したテンプレートの情報、及び、1つの加工物当たりのワークWの使用面積のうち少なくともいずれか一つを、加工履歴ファイルに用いれば良い。少なくとも制御情報231を加工履歴ファイルに用いると、複数個、多種類の加工物に対する料金を計算することができる。また、アプリケーション部220は、稼働情報215として、ワークWの加工開始時間、ワークWの加工終了時間、1NCファイル当たりの自動加工時間、及び、1NCファイル当たりの主軸の回転時間のうち少なくともいずれか一つを、加工履歴ファイルに用いれば良い。
【0024】
何れにしても、本実施形態では、加工装置100の稼働情報215に加えて、NC生成部230により生成された制御情報231を用いて加工履歴ファイル221を作成するようにしている。そして、この加工履歴ファイルを課金処理に用いることで、加工システム1000の稼働状況を正確に反映した課金処理を行うことができ、課金処理を行い易くしている。なお、加工装置100の稼働情報215と、NC生成部230により生成された制御情報231との少なくとも何れか一方の情報を用いて加工履歴ファイルを作成するようにしても良い。
【0025】
図3に示す加工履歴ファイルについて、より詳しく説明する。加工履歴ファイル(DATA)には、ヘッダ部(DATE、ERROR,SERIALNUMBER等)、ボディ部(ERRORCODE,NCFILE等)、詳細部(PARTTYPE、COUNT等)が存在する。加工履歴ファイルのファイル形式は、
図3のように複数のデータを入れ子構造にした形式を用いることが可能である。3つ以上のまとまりのある構造にすることで、情報元がアプリのみの構造部、情報元がCAMのみの構造部、情報元がアプリ及びCAMの構造部に分けることができ、データの管理が行い易い。
【0026】
アプリケーション部220は、例えば、一週間や一月など所定の期間ごとに加工履歴ファイル221を1つのみ作成する。ヘッダ部は、所定の期間同じ値が用いられ、それぞれ異なる制御情報により加工処理を行うごとにボディ部、詳細部が加工履歴ファイル221に付け加えられる。なお、ファイル名をファイルの作成年月日から参照した月の名前として、加工履歴の対象期間を示したり、START、FINISHなどの日時から対象としている期間を設定してもよい。
【0027】
ERRORCODE情報としては、加工装置100の加工停止、ドア開き、電源OFF、工具折れ、エア圧不足、NCデータの解釈NGといったものがあり、後述する
図5のフローチャートでカウントされるエラー情報としては、加工停止、ドア開き、電源OFFがある。
【0028】
CAMCODE情報には、NCデータを作成したCAMの識別子を含む。この識別子により、NCデータを作成したCAMを判別することが可能になる。
【0029】
TEMPLATE情報には、例えば速さ重視、仕上がり重視、といった加工モードの情報や、どの材料に対するテンプレートかの情報が含まれる。また、TEMPLATE情報は、所定のCAMを用いた場合の加工モードや材料を指定した際に用いられるNCデータ作成の加工設定を指し、加工の工程の順番や主軸回転速度、送り速度等の情報と対応している。TEMPLATE情報としては、少なくとも加工モード及び材料の種類の少なくともいずれか一方に対応して名称がつけられていれば良い。
【0030】
また、アプリケーション部220は、稼働情報215として、1NCファイル当たりの主軸の回転時間を用いるようにしても良い。これにより、管理装置300が、工具交換時間を含めた自動加工時間によって従量課金額を算出するのではなく、1NCファイル当たりの主軸の回転時間をもとに従量課金額を算出することで、より正確な従量課金情報を算出できる。さらに、稼働情報215として、1NCファイル当たりの主軸の回転時間から所定の時間を引いた値(減算した値)を用いるようにしても良い。所定の時間とは、例えば、加工処理が開始されてから工具がワークに切り込む前の時間、工具がワークを切削したあとに所定位置に戻ってくる時間、及び、主軸が回転しているものの切削を行わず移動している時間の少なくともいずれか一つの時間である。なお、この計算は、加工履歴ファイルに基づいて管理装置300が行うようにしても良い。これらの計算対象のデータは、加工装置100の装置制御部の情報から取得することができる。
【0031】
[課金処理]
次に、上述の加工情報管理システム2000を用いた課金処理について説明する。本実施形態では、加工システム1000の使用量などに応じて使用者に対して課金するようにしている。このために、上述のような加工装置100の加工履歴ファイルを作成し、加工システム1000とネットワークで接続された管理装置300がこの加工履歴ファイルから課金額を算出している。
【0032】
このような従量課金に際して、管理装置300とネットワーク上でつながった制御装置200ではなく、ネットワークにつながっていない他の制御装置から加工指示が加工装置100に登録されてしまった場合、加工装置100の加工履歴が取得できない事象が考えられる。このため、本実施形態では、例えば、制御装置固有の番号であるMACアドレスを加工装置100に設定することで、加工装置100と接続可能な制御装置を制限している。
【0033】
ここで、本実施形態の加工情報管理システム2000を用いた課金処理の具体例について説明する。特に、本実施形態では、NC生成部230が生成した制御情報を用いて加工履歴ファイルが作成されており、この加工履歴ファイルにはワークの材質などの制御情報が含まれている。
【0034】
[実施例]
実施例として、例えばワークの材料の種類が複数あり、材質によって異なる課金額を課す場合について説明する。管理装置300は、以下の式により課金額(使用料金)を算出する。
【0035】
使用料金=主軸回転時間×主軸回転1分あたりの料金×材質によるレート
本例では、アプリケーション部220が取得する加工装置100の稼働情報から得られる主軸回転時間と、NC生成部230が生成した制御情報から得られるワークの材料の材質の情報を用いている。そして、管理装置300は、データベース301に記憶されている主軸回転1分当たりの料金と、材質によるレートを用いて使用料金を算出する。なお、主軸回転1分当たりの料金と、材質によるレートが長期間変更しない場合には、料金、レート等の情報を制御装置200に記憶させていてもよい。
【0036】
他の実施例として、例えば、材料費込みで従量課金を行う場合には、以下のような式で課金額(使用料金)を算出する。
【0037】
使用料金=面積1mm2当たりの料金×加工面積+主軸回転時間×主軸回転1分あたりの料金×材質によるレート
ワークがディスクである場合、ディスクの面積と加工面積、即ち、1つの加工物当たりのワークの使用面積が分かれば、ディスクの何%を使ったのかにより課金を行うこともできる。1つの加工物当たりのワークの使用面積は、NC生成部230が生成した制御情報から得られる。
【0038】
このように、NC生成部230及びアプリケーション部220からの情報を用いて、加工情報のデータとしての加工履歴ファイルを作成することによって、加工装置の加工履歴をより正確に把握することができる。
【0039】
また、この加工履歴ファイルを管理装置300に送信することによって、材質によるレート等の管理装置300に記憶されている情報も組み合わせてより適切な課金処理を行うことができる。上述した計算例は一例にすぎず、主軸、工具などの消耗部品の使用時間により、加工装置に対する使用料金を算出し、加工物の個数に応じた値などの材料費を加えて全体の利用料金とするなど各種変形が考えられる。また、テンプレートごとに、加工物の品位、工具への負荷等が変化するため、テンプレートに応じて、加工装置及び加工物の少なくともいずれか一方の料金を求める式に所定のレートをかけたり、所定の値を足して利用料金を算出してもよい。
【0040】
[変換ファイル]
本実施形態では、加工履歴ファイル221内に記載の情報を変換する。変換した値は
図3の表にいれてもよいし、他のファイルに書き込みを行ってもよい。上記変換した値を用いて、加工履歴ファイル221の改ざんおよび削除を検知する。即ち、アプリケーション部220は、加工履歴ファイル221の同一性を検知するために、加工履歴ファイル221の少なくとも一部を変換した変換ファイル222を作成する。
【0041】
具体的には、
図3に示す項目全体のデータを16進数32桁のハッシュ値(変換ファイル222)に変換して、ファイルの末尾に付け加える。このハッシュ値が変更されているか否かを後述する
図4のフローチャートを用いて判断する。
【0042】
加工履歴ファイル221の各項目全体を圧縮するハッシュ値のようなデータを加工履歴ファイル221の確認に用いると、加工履歴ファイル221の各項目全体を確認するよりも情報処理装置の処理の負荷を低減することができる。また、ハッシュ値のような変換された値を用いると課金に用いられる情報を改ざん検知することができる。また、加工履歴ファイル221を直接ハッシュ値に変換する以外にも、加工履歴ファイル221を変換または圧縮等の処理を行ったファイルをハッシュ値に変換して、加工履歴ファイル221とハッシュ値を対応させてもよい。このとき不可逆変換方式を用いた変換を行うとファイル容量を減らし易い。
【0043】
なお、
図3に示す項目全体のデータをファイルの同一性を確認するために用いられるハッシュ値に変換したが、データの一部を分けてそれぞれハッシュ値にしてもよく、変換したい値のみを変換してもよく、変換の方法もハッシュ関数を用いる以外の各種の変換方法を用いることができる。このハッシュ値は、1つのNCファイルを用いて加工するたびに変化する加工履歴に合わせて1つのNCファイルの加工が終わるごとに加工履歴ファイルの末尾に付け加えられる。ハッシュ値を加工履歴ファイルと関連づけて別ファイルとしてもよい。
【0044】
1つのNCファイルの加工が終わるごとに、ハッシュ値が更新されることで、一定期間のどのタイミングで加工装置100の使用が行われなくなったとしても、課金処理や改ざん検知をより行い易くなる。また、一定期間をまたいで加工が終了した場合は、加工を終了した時間を基準にデータを新規作成する。このとき、加工履歴が更新されると、制御装置200がハッシュ値を計算して、RAM212などに記憶する。
【0045】
また、データのうち課金に関わる部分は、直接的な名称ではないデータ名称に変換しておくと、ファイル内を見られた場合であっても、改ざんしにくくなる。この場合、制御の処理を作成する段階等では、名称を分かり易くした方が編集し易いため、プログラムやデータシートの作成の途中では、直接的な名称を用い、処理途中や出力段階で予め記憶されたデータテーブルに従って書き換えるようにしてもよい。データテーブルを編集できるようにすることで、新材料等の項目追加に対応可能であり、材料名が登録されていない材料がNCファイルに含まれた場合には、制御装置に登録を行うか否かのダイアログを表示してもよい。このとき、直接的な名称ではないデータをユーザが入力できるようにしてもよく、制御装置200が選択候補を表示して、ユーザが選択するようにしてもよい。そして、新材料に対応する名称が決定されると、データテーブルを更新するようにすると、新材料等の項目追加に対応できる。
【0046】
[改ざん検知]
また、
図4に示すように改ざん検知処理を入れてもよい。
図4に示すような処理を実行し課金処理に関するファイルの書き換えや削除を検知することで、実際の使用状況を把握し易くする。
【0047】
改ざん検知方法は、加工システム1000の制御装置200が加工履歴ファイルの更新を更新履歴ファイルに記憶しておいて、更新履歴の有無、加工履歴ファイルの有無、及び、加工履歴ファイルに記載された内容を確認することで改ざんを検知する。内容確認の方法としては記載内容から計算した値を加工履歴ファイルまたは計算値を記載するためのファイルに記録しておき、その計算値を比較する方法や、ファイル更新日時を確認し、更新履歴と一致するか否かを確認する方法があり、この両方を使ってもいい。なお、このようなファイルなどのデータは、記憶部としてのRAM212に記憶される。但し、データが記憶される記憶部は、制御装置200内の別のストレージや、制御装置200に接続された外部ストレージであっても良い。
【0048】
また、バックアップファイルを用意しておくことで本ファイルの改ざんおよび削除がおこなわれた場合に復元することが可能になる。即ち、アプリケーション部220は、上述の加工履歴ファイルのバックアップファイルをRAM212などの記憶部に記憶させ、加工履歴ファイルが削除された場合に、記憶部にバックアップファイルが残っている場合には、バックアップファイルを加工履歴ファイルとして復元する。これらのファイルの保存場所としては、例えば、制御装置200の保存領域のうち、操作者から見えないように設定されている領域等を用いるとアクセスされにくく、削除されにくい。また、USBメモリなどの外部ストレージ内の操作者から見えないように設定されている領域等を保存場所としても良い。バックアップファイルは、加工履歴ファイルがRAM212に記憶される際に同時にバックアップファイルも記憶されるようにするとよい。このように構成するとバックアップファイルは、そのときの加工履歴ファイルの内容がコピーされたものとなり、更新日時、ハッシュ値が同じになる。
【0049】
具体的には、
図4に示したフローチャートを用いる。このとき加工履歴ファイルの確認では、ファイルの更新日時とハッシュ値を用いる。一定期間をまたいで加工が終了した場合には、加工を終了した時間を基準にデータを新規作成しているため、確認の対象とする期間とファイルの更新日時が異なることがなく処理を行い易い。
【0050】
図4のフローチャートでは、加工履歴ファイルの確認は制御装置200が行う。加工履歴ファイルを更新する際に、加工履歴の確認が行われる。加工履歴の確認では、加工履歴ファイルの末尾に付け加えられた前回のハッシュ値と、保存されている加工履歴ファイルのハッシュ値以外の部分を再計算した結果のハッシュ値の比較を行う。このときハッシュ値が相違する場合には、ヘッダ部のERRORにエラーの内容を書き込む。
【0051】
なお、加工履歴ファイルは所定の間隔でネットワークを介して接続されている管理装置300のファイルと同期がとられている。このため、管理装置300が同期されたファイルを確認するようにしてもよい。
【0052】
図4のフローチャートでは、制御装置200の制御部210がファイルの確認を行う場合について説明する。まず、制御部210は、加工履歴ファイル更新履歴の有無を確認し(S101)、更新履歴がない場合は(S101のN)、初回加工と判断する(S102)。
【0053】
次に、S101で更新履歴がある場合(S101のY)、制御部210は、加工履歴ファイルの有無を確認する(S103)。加工履歴ファイルが存在していれば(S103のY)、制御部210は、加工履歴ファイルの確認を行う(S104)。加工履歴ファイルの確認は、ファイルの更新日時と再計算したハッシュ値が、制御装置200に保存されている値と合っているか否かで行う。これらが合っていれば(S104のY)、制御部210は、加工装置100を正常に稼働する(S105)。
【0054】
S103で加工履歴ファイルが存在しない場合(S103のN)、及び、S104で加工履歴ファイルの確認ができない場合(S104のN)、制御部210は、加工履歴ファイルの異常と判断する(S106)。そして、制御部210は、バックアップファイル更新履歴の有無を確認し(S107)、更新履歴がある場合(S107のY)、制御部210は、バックアップファイルの有無を確認する(S108)。
【0055】
バックアップファイルがあることが確認できた場合(S108のY)、制御部210は、バックアップファイルの確認を行う(S109)。バックアップファイルの確認は、ファイルの更新日時と再計算したハッシュ値が、制御装置200に保存されているバックアップファイルの更新日時とハッシュ値と合っているか否かで行う。これらが合っていれば(S109のY)、加工履歴ファイルが削除された(加工履歴ファイル異常)と判断して、バックアップファイルを用いて加工履歴ファイルを復元する(S110)。
【0056】
S107でバックアップファイルの更新履歴がない場合(S107のN)、及び、S108でバックアップファイルが存在しない場合(S108のN)、加工履歴ファイルもバックアップファイルも削除されたと判断する(S111)。また、S109でバックアップファイルの確認が失敗した場合、即ち、バックアップファイルがあってもバックアップファイルから再計算したハッシュ値が保存されているハッシュ値と一致しない場合には(S109のN)、制御部210は、バックアップファイルが改ざんされたと判断する(S112)。S111及びS112では、加工履歴ファイルを新規作成し、ヘッダ部のERRORの項目に、加工履歴が改ざんされたこと(或いは削除されたこと)と改ざん(或いは削除)が検知された日時を記載してもよい。
【0057】
[不正判断]
次に、上述の加工情報管理システム2000を用いて、ユーザによる課金逃れなどの不正を判断するための処理について、
図5を用いて説明する。以下の不正判断は、変換ファイルを用いなくとも実行できる場合がある。ユーザが従量課金のための情報となる加工履歴ファイルの更新を防ぐために、例えば加工物の大半の加工工程が終了し、追加の手加工を少し行うことで加工物が完成する段階で加工装置100の電源を意図的に切断する可能性がある。また、このような不正以外にも、例えば、加工装置100の開閉ドア102を加工中に開いて緊急停止させるといったことや電源が切られる等が考えられる。このような場合には、本実施形態では、加工履歴ファイルにエラー情報としてERRORCODEに対応する情報が書き込まれる。このエラー情報を確認することで異常停止したことが判断できる。また、エラー情報単独で判断せず、加工の進捗率と組み合わせて、加工の終盤、例えば、90%以上でなんらかの異常で加工停止や、ドア開き、電源OFFがあったとするとエラー情報としてカウントするようにしてもよい。このようなエラー情報の書き込みやカウントは、制御装置200で行う。但し、管理装置300で行って、制御装置200に同期するようにしても良い。加工履歴ファイルは、加工終了時に更新されるだけでなく、加工途中の所定の時間ごとに一時ファイルを作成し、一時ファイルを基に不正の可能性があるか否かを判断してもよい。
【0058】
また、このような加工情報管理システム2000の場合、制御装置200からネットワーク経由で管理装置300のデータベース301に加工履歴ファイルの共有を行うため、加工履歴ファイルの取得にはネットワーク接続が必須となる。しかし、ユーザによって意図的に加工履歴ファイルの同期を妨げるためにネットワーク接続が切断される可能性がある。
【0059】
例えば、加工履歴ファイルの同期のタイミングの前、もしくはファイルの同期中に、ネットワークの回線を意図的に切断する場合が考えられる。この場合には、管理装置300が制御装置200とネットワークを介して所定の時間以上通信されず、切断されたことを検知することで異常切断したことが判断できる。この場合は、管理装置300が加工履歴ファイル302にエラー情報の書き込みを行って、制御装置200の加工履歴ファイル221に同期を行う。制御装置200がネットワーク接続を監視するように構成すれば、制御装置200が加工履歴ファイル221を更新してもよい。
【0060】
管理装置300がネットワーク上の制御装置200のアプリケーション部220に加工装置100の稼働の可否を決定するためのファイルを送り、制御部210からこのファイルを確認することで加工装置100の稼働の可否を決定できるようにする。エラー情報が多発した場合に、不正な利用の可能性がある旨、アラートを出すことができるようにする。また、アラートの表示だけでなく、稼働を強制的に停止することも可能である。ネットワークが切断されており前記ファイルが確認できない場合は、不正な利用の可能性がある旨、もしくはネットワーク接続を求めるアラートを出すことができるようにする。また、アラートの表示だけでなく、稼働を強制的に停止することも可能である。
【0061】
判断するためのファイルはファイルそのものとする方法とファイルに記載された内容を確認する方法が考えられる。
【0062】
本実施形態では、管理装置300は、加工システム1000の制御装置200から加工履歴ファイルを取得して(即ち、加工履歴ファイルを同期して)、所定の条件を満たした場合にエラー情報を作成する。所定の条件は、上述したような条件である。そして、エラー情報の回数が所定の期間内に、所定の閾値を超えた場合は、その後の加工システム1000に対する加工指示の登録を禁止する。
【0063】
また、管理装置300は、エラー情報の回数が所定の期間である第1の期間内に、所定の閾値である第1の閾値を超えた回数を長期間用エラー情報値としてカウントする。そして、長期間用エラー情報値が第1の期間よりも長い第2の期間内に第2の閾値を超えた場合は、加工装置100による加工を強制終了する。
【0064】
図5のフローチャートを用いて具体的に説明する。まず、加工システム1000の制御装置200で加工履歴ファイルの更新があると(S201)、管理装置300のデータベース301内の加工履歴ファイルにも共有され、管理装置300が加工履歴ファイルの確認及びエラー情報のカウントを行う(S202)。この点については上述した通りである。
【0065】
次に、管理装置300がエラー情報の回数が第1の閾値としての第1制限を超過しているか否かを判断する(S203)。エラー情報の回数が第1制限を超過していない場合(S203のNo)、管理装置300はエラー情報の回数が第2制限を超過しているか否かを判断する(S204)。ここで、
図5の第1制限と第2制限についてはエラー回数の制限値を指し、第1制限は回数が多い場合、第2制限は回数が少ない場合の制限値である。
【0066】
S204で、エラー情報の回数が第2制限を超過していない場合(S204のNo)、加工装置100の加工が継続可能である(S205)。一方、S204で、エラー情報の回数が第2制限を超過している場合(S204のYes)、管理装置300は、不正が行われた可能性があると判断し(S206)、加工システム1000が有するモニタなどの表示部に警告表示を行う(S207)。
【0067】
次に、S203で、エラー情報の回数が第1制限を超過している場合(S203のYes)、管理装置300は、第1制限を超過している回数が第2の閾値としての第3制限を超過しているか否か判断する(S208)。ここで、第3制限とは第1制限の超過回数の制限値を指し、常習性を判断するために用いる。第1制限については超過するとカウント値がリセットされ、第3制限のカウント値が1増える。
【0068】
S208で、第1制限を超過している回数が第3制限を超過していない場合(S208のNo)、管理装置300は不正が行われたと判断し(S209)、加工システム1000(具体的にはアプリケーション部220)に対する加工指示の登録を禁止する(S210)。ここでは、アプリケーション部220に既に登録されている実行待ちのファイル(加工指示)による加工は行い、その後のアプリケーション部220への加工指示の登録を禁止する。
【0069】
一方、S208で、第1制限を超過している回数が第3制限を超過している場合(S208のYes)、管理装置300は不正の常習性があると判断し(S211)、加工装置100を強制終了する(S212)。例えば、アプリケーション部220に実行待ちのファイルがあってもそのファイルを実行せず、勿論、その後のアプリケーション部220への加工指示の登録を禁止する。
【0070】
具体的には、加工履歴ファイルを一月ごと(所定の期間、第1の期間)に作成する場合を想定する。月に2回までは、ERRORCODEがありうると考え、5回を超えると不正と判断する場合には、第1制限の値を5、第2制限の値を2と設定する。第3制限の値を3と設定することによって、一年間(第2の期間)に6回以上のERRORCODEがある月が4回あると常習性があると判断して管理装置が制御装置を強制終了させる。
【0071】
このとき、ERRORCODEの回数が警告を行うような回数ではなく、少ない場合であっても、複数の月に渡って頻繁にある場合に管理装置が報知するようにしてもよい。上述した使用者に対する制限や表示は、どのようなものであってもよく、閾値に応じて異なる報知を行うようにするとよい。なお、加工履歴の更新の後に、加工履歴の確認を行う場合について説明したが、例えば、電源投入後の加工開始時やサービスマンのメンテナンス時など、加工履歴の更新に関わらず、加工履歴の確認を行ってもよい。
【0072】
[他の実施形態]
上述の加工システム1000又は加工情報管理システム2000は、制御装置200に、上述の制御が可能なプログラムがインストールされている。このプログラムは、以下のような加工装置100の加工履歴ファイル作成方法をコンピュータに実行させるプログラムでもある。即ち、加工履歴ファイル作成方法及びプログラムは、次の3つの工程を有する。まず、第1工程では、アプリケーション部220が加工装置100を稼働させた際の情報、具体的には、加工装置100を稼働させた際の稼働情報、及び、NC生成部230により生成された制御情報を取得する。第2工程では、第1工程で取得した情報を用いて、加工装置100の加工履歴ファイルを作成する。第3工程では、第2工程で作成した加工履歴ファイルの同一性を検知するために加工履歴ファイルの少なくとも一部を変換した変換ファイルを作成する。
【符号の説明】
【0073】
100・・・加工装置
200・・・制御装置
210・・・制御部
215・・・稼働情報
220・・・アプリケーション部
221・・・加工履歴ファイル
222・・・変換ファイル
230・・・NC生成部
231・・・制御情報
300・・・管理装置
1000・・・加工システム
2000・・・加工情報管理システム