(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167913
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】セキュリティボックス装置
(51)【国際特許分類】
A61J 1/00 20060101AFI20221027BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61J1/00 420
A61G12/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126934
(22)【出願日】2022-08-09
(62)【分割の表示】P 2019062962の分割
【原出願日】2019-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】519111785
【氏名又は名称】株式会社マキナエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 桂之
(72)【発明者】
【氏名】中島 恒義
(72)【発明者】
【氏名】浦尾 貢
(57)【要約】
【課題】使用者に紐付けられた収容室内の収容物を間違いなく前記使用者に提供し、履歴管理が容易で不正利用を防止することのできるセキュリティボックス装置を提供すること。
【解決手段】予め許可されたユーザのみが開閉可能なセキュリティボックス装置であって、制御手段7aは、生体認証手段6,7bにより認証された生体パターンに紐付けされた収容室2を特定し、対応するロック機構15により開錠動作し、視認補助手段12,19により当該収容室を視覚的に認識可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め許可されたユーザのみが開閉可能なセキュリティボックス装置であって、
筐体と、該筐体内に引き出し可能に設けられ、上部開口する複数の収容室と、前記複数の収容室のそれぞれに対し設けられ、前記収容室の施錠及び開錠を行うロック機構と、前記ロック機構の開錠動作を制御する制御手段と、前記制御手段により読み書き可能に設けられ、前記収容室ごとに紐付けられたユーザの生体パターンを記憶する記憶手段と、生体センサを有し、該生体センサにより読み取ったユーザの生体パターンと前記記憶手段に記憶された生体パターンとのマッチングによる認証処理を行う生体認証手段と、前記複数の収容室のいずれが開錠されているかを視覚的に認識可能とする視認補助手段と、を備え、
前記制御手段は、前記生体認証手段により認証された生体パターンに紐付けされた収容室を特定し、対応するロック機構により開錠動作し、前記視認補助手段により当該収容室を視覚的に認識可能とすることを特徴とするセキュリティボックス装置。
【請求項2】
前記視認補助手段は、前記ロック機構が前記収容室を開錠した際に前記収容室を前方へ押し出す押出手段であることを特徴とする請求項1に記載されたセキュリティボックス装置。
【請求項3】
前記視認補助手段は、前記ロック機構が前記収容室を開錠した際に、当該収容室に対応して発光する発光手段であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたセキュリティボックス装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、
記憶している生体パターンに対応するユーザの管理コードと、前記管理コードに対応する当該ユーザに係る複数の情報とを記憶していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたセキュリティボックス装置。
【請求項5】
前記収容室を閉じた状態で該収容室と前記筐体側との間の隙間を遮蔽するひさし機構を各収容室に対して備え、
前記ひさし機構は、上部が前記筐体側において回転可能に軸支され、前後方向に回動自在に設けられたひさし本体と、前記ひさし本体を前方に回動する方向に付勢する弾性手段とを有し、
前記ひさし本体は、その下面側において対応する収容室の幅方向に沿って延設された溝部により断面逆U字状に形成されるとともに、前記溝部を形成する前部下端よりも後部下端が下方に長く形成され、
前記収容室を開いた状態から閉める方向に押し込む際、前記収容室の正面壁の上端が、前記ひさし本体の後部下端に当接し、前記弾性手段の付勢力に抗して前記ひさし本体を直立させる方向に回動させ、該正面壁の上端部が前記ひさし本体の溝部に係合することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたセキュリティボックス装置。
【請求項6】
予め許可されたユーザのみが開閉可能なセキュリティボックス装置であって、
筐体と、該筐体内に形成された収容室と、前記収容室を開閉可能に設けられた扉と、前記扉の施錠及び開錠を行うロック機構と、前記ロック機構の開錠動作を制御する制御手段と、前記制御手段により読み書き可能に設けられ、予め許可されたユーザの生体パターンを記憶する記憶手段と、生体センサを有し、該生体センサにより読み取ったユーザの生体パターンと前記記憶手段に記憶された生体パターンとのマッチングによる認証処理を行う生体認証手段と、前記収容室内に設置され、収容物を載置するとともに載置された収容物の重量データを前記制御手段に出力する電子秤と、を備え、
前記制御手段は、前記生体認証手段により生体パターンが認証されることにより、前記ロック機構により前記扉を開錠するとともに、前記扉の開閉履歴と前記電子秤から出力される収容物の重量データとを前記記憶手段に記憶することを特徴とするセキュリティボックス装置。
【請求項7】
前記筐体は、複数の前記収容室を有し、前記収容室ごとに予め許可されたユーザの生体パターンが紐付けされ、
前記制御手段は、前記生体認証手段により認証された生体パターンに紐付けされた収容室を特定し、対応するロック機構により前記扉を開錠することを特徴とする請求項6に記載されたセキュリティボックス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティボックス装置に関し、例えば掌の静脈パターンを用いて個人認証を行う静脈認証などの生体認証手段を用いて、患者などの個人に紐付けられた収容室の開閉制御を行うセキュリティボックス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院において入院患者に薬剤を投与する業務は、次のようにして行われる。先ず、医師が指示した処方箋に従って調合された薬剤を各病棟の看護師が配薬し、服薬時間になると、看護師が各病室を回って各患者に1回分の与薬を行っている。また、与薬の確認は、与薬表等をチェックすることにより行われている。
【0003】
近年、このような与薬業務においては、
図13に示すような与薬カート50が用いられている。この与薬カート50には、一般に図示するように複数列且つ多段に引き出し型の収容室51が設けられ、各収容室51は1人の患者に対応している。各収容室51においては、例えば仕切板によって複数スペースに仕切られ、その患者の朝、昼、夕、就寝前など用の薬剤を仕分けて収容できるように構成されている。
【0004】
従来、このような与薬カート50を用いた与薬業務を間違いなく行うために、例えば特許文献1では、処方をバーコードで読み取り、そのデータを表示させて処方を確認した後、患者に与薬するようにした医療支援システムが提案されている。
具体的には、例えば患者ごとの処方内容や看護計画に紐づけされたバーコードを印刷したラベルが、前記各収容室の前面に貼付され、看護師が所持する医療用携帯端末で前記バーコードを読み取り、処方内容等を確認してから与薬を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された医療支援システムによれば、各収容室51に貼付されたバーコードをスキャンすることにより、その中に収容された薬剤に間違いがないかを看護師が確認することができる。
しかしながら、患者自身と収容室51内の薬剤との紐付けができておらず、収容室51から取り出した薬剤を例えば隣のベッドの他の患者に与えてしまう等の与薬ミスが生じる虞があった。
【0007】
また、収容室51に貼付されたバーコードをスキャンして薬剤を確認した後、周囲の他の収容室51を間違えて引き出し、その中の薬剤を患者に与薬するミスが生じる虞があった。
また、引き出し式の各収容室51を閉じた状態で、上部の隙間から異物が収容室内に侵入し、薬剤を収容した袋等を汚染する虞があった。
【0008】
また、劇薬などの取り扱いに特に注意を要する薬剤は、前記のような与薬カートで運搬されず、例えば施錠可能なキャビネット内で厳重に保管された薬剤を、許可された看護師や医師が所定量取り出して使用場所まで運んでいる。
しかしながら、キャビネット内の保管物の使用履歴を正確に管理することは容易ではなく、特に無断使用などの不正行為に対しては、それを防止する対策ができていなかった。
【0009】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、使用者に紐付けられた収容室内の収容物を間違いなく前記使用者に供することができ、履歴管理が容易で不正利用を防止することのできるセキュリティボックス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するために、本発明に係るセキュリティボックス装置は、予め許可されたユーザのみが開閉可能なセキュリティボックス装置であって、筐体と、該筐体内に引き出し可能に設けられ、上部開口する複数の収容室と、前記複数の収容室のそれぞれに対し設けられ、前記収容室の施錠及び開錠を行うロック機構と、前記ロック機構の開錠動作を制御する制御手段と、前記制御手段により読み書き可能に設けられ、前記収容室ごとに紐付けられたユーザの生体パターンを記憶する記憶手段と、生体センサを有し、該生体センサにより読み取ったユーザの生体パターンと前記記憶手段に記憶された生体パターンとのマッチングによる認証処理を行う生体認証手段と、前記複数の収容室のいずれが開錠されているかを視覚的に認識可能とする視認補助手段と、を備え、前記制御手段は、前記生体認証手段により認証された生体パターンに紐付けされた収容室を特定し、対応するロック機構により開錠動作し、前記視認補助手段により当該収容室を視覚的に認識可能とすることに特徴を有する。
【0011】
尚、前記視認補助手段は、前記ロック機構が前記収容室を開錠した際に前記収容室を前方へ押し出す押出手段であることが望ましい。
或いは、前記視認補助手段は、前記ロック機構が前記収容室を開錠した際に、当該収容室に対応して発光する発光手段であってもよい。
また、前記記憶手段は、記憶している生体パターンに対応するユーザの管理コードと、前記管理コードに対応する当該ユーザに係る複数の情報とを記憶していることが望ましい。
また、前記収容室を閉じた状態で該収容室と前記筐体側との間の隙間を遮蔽するひさし機構を各収容室に対して備え、前記ひさし機構は、上部が前記筐体側において回転可能に軸支され、前後方向に回動自在に設けられたひさし本体と、前記ひさし本体を前方に回動する方向に付勢する弾性手段とを有し、前記ひさし本体は、その下面側において対応する収容室の幅方向に沿って延設された溝部により断面逆U字状に形成されるとともに、前記溝部を形成する前部下端よりも後部下端が下方に長く形成され、前記収容室を開いた状態から閉める方向に押し込む際、前記収容室の正面壁の上端が、前記ひさし本体の後部下端に当接し、前記弾性手段の付勢力に抗して前記ひさし本体を直立させる方向に回動させ、該正面壁の上端部が前記ひさし本体の溝部に係合することが望ましい。
【0012】
このように構成することにより、例えば看護師が静脈認証を行った患者に与薬する薬剤は、それを与えられる患者と生体認証により紐づけされた収容室内のものであり、前記収容室は生体認証後に自動的に前方に押し出されて開き、或いは発光によっても収容室を容易に特定することができるため、看護師は間違いなく該当する患者への与薬を行うことができる。
また、患者の静脈パターンと患者の管理コードが紐付けされることにより、患者が静脈認証を行うことで、管理コードに予め紐づけされたカルテ情報等を容易に参照することができる。
【0013】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係るセキュリティボックス装置は、予め許可されたユーザのみが開閉可能なセキュリティボックス装置であって、筐体と、該筐体内に形成された収容室と、前記収容室を開閉可能に設けられた扉と、前記扉の施錠及び開錠を行うロック機構と、前記ロック機構の開錠動作を制御する制御手段と、前記制御手段により読み書き可能に設けられ、予め許可されたユーザの生体パターンを記憶する記憶手段と、生体センサを有し、該生体センサにより読み取ったユーザの生体パターンと前記記憶手段に記憶された生体パターンとのマッチングによる認証処理を行う生体認証手段と、前記収容室内に設置され、収容物を載置するとともに載置された収容物の重量データを前記制御手段に出力する電子秤と、を備え、前記制御手段は、前記生体認証手段により生体パターンが認証されることにより、前記ロック機構により前記扉を開錠するとともに、前記扉の開閉履歴と前記電子秤から出力される収容物の重量データとを前記記憶手段に記憶することに特徴を有する。
【0014】
尚、前記筐体は、複数の前記収容室を有し、前記収容室ごとに予め許可されたユーザの生体パターンが紐付けされ、前記制御手段は、前記生体認証手段により認証された生体パターンに紐付けされた収容室を特定し、対応するロック機構により前記扉を開錠することが望ましい。
【0015】
このように構成することにより、筐体の扉を開けることができるのは、予め許可された生体認証を行うユーザ(例えば看護師)に限られ、中に保管する物は、制御手段に接続された電子秤上に置かれるため、その計量履歴を管理することができる。即ち、筐体内の保管物を、誰がどのくらいの量を何時使用したかを正確に管理することができ、劇薬などの特に取り扱いに注意すべきものに対する不正使用などの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者に紐付けられた収容室内の収容物を間違いなく前記使用者に供することができ、履歴管理が容易で不正利用を防止することのできるセキュリティボックス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明のセキュリティボックス装置を与薬カートに適用した図であって、本発明の第一の実施の形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の与薬カートの一部を他の角度から斜視した断面図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、
図1の与薬カートが有する収容室のロック金具と電磁ロック機構との係合関係を示す断面図である。
【
図4】
図4(a)、(b)は、
図1の与薬カートが有するひさし機構の断面図である。
【
図5】
図5は、与薬カートのシステム構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、与薬カートにおける一患者への与薬に係る工程を示すフローである。
【
図7】
図7は、本発明のセキュリティボックス装置を扉開閉式のキャビネットに適用した図であって、本発明の第二の実施の形態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7のキャビネットの扉を開いた状態の斜視図である。
【
図9】
図9(a)、(b)は、扉の把手の周辺部分を示す平断面図である。
【
図10】
図10は、キャビネットのシステム構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、使用者がキャビネットの収容室に保管する劇薬の容器から所定量の劇薬を使用し、残る劇薬を収容する前記容器をキャビネット内に戻すまでの工程を示すフローである。
【
図12】
図12は、登録済みデータを消去する操作の流れを示すフローである。
【
図13】
図13は、従来の与薬カートの例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるセキュリティボックス装置に係る実施の形態につき、図面に基づいて説明する。本実施の形態におけるセキュリティボックス装置は、例えば病院において用いられ、具体的には入院患者に対し看護師が薬剤を与薬するために用いる与薬カート、或いは劇薬管理用などのキャビネットに適用できるものである。
【0019】
最初に本発明に係る第一の実施形態について説明する。
図1は、本発明のセキュリティボックス装置を与薬カートに適用した図であって、本発明の第一の実施の形態を示す斜視図である。また、
図2は、
図1の与薬カートの一部を他の角度から斜視した断面図である。
【0020】
図1に示す与薬カート1は、入院患者への与薬を行うためのカートとして用いる。
この与薬カート1は、複数(図では8つ)の引き出し可能な収容室2が升目状に配置された筐体3と、この筐体3を移動可能とするための複数のキャスター4aを有する台車4とを備える。
【0021】
前記収容室2は、
図2に示すように上部が開口した箱状に形成され(
図2において手前の収容室2は側部断面を示す)、筐体3内に形成されたガイドフレーム10に沿って引き出す(開く)、或いは押し込む(閉じる)ことが可能に構成されている。尚、前記ガイドフレーム10は、
図2に示すように前部が開口したボックス状に形成され、天板10a、底板10b、背面板10c、各収容室2の仕切り板10d等を有している(側面板は図示せず)。
【0022】
各収容室2は、
図2に示すように上部開口した収容室本体2aと、収容室本体2aの正面壁2a1に設けられた把手部2bと、収容室2の背面壁2a2において後方に突出するように設けられたU字状のロック金具2cとを備える。尚、収容室2をガイドフレーム10に押し込んだ際に、前記ロック金具2cは
図2に示すように背面板10cに形成された孔10c1に挿通され、後方へ突出するようになっている。
【0023】
また、与薬カート1は、ガイドフレーム10の背面板10c外側において複数の収容室2をそれぞれ開閉可能とするための電磁ロック機構15を有する。この電磁ロック機構15は、前記収容室2に設けられたロック金具2cと係合することにより、収容室2を施錠及び開錠するように構成されている。
【0024】
また、前記ガイドフレーム10の前部には、該ガイドフレーム10と前記収容室2との間の隙間を遮蔽するためのひさし機構20を備えている。
また、前記ひさし機構20の下方には、例えば青色に点灯可能なLED点灯部12(発光手段、視認補助手段)が設けられ、後述する静脈認証の結果、或いは収容室2の開閉状態を発光で示すように構成されている。
【0025】
また、
図1に示すように与薬カート1は、前記電磁ロック機構15等を駆動するための電力を供給する電源部5を備えている。この与薬カート1は、薬剤の運搬に用いるものであるため、前記電源部5はバッテリーを含む構成であることが望ましい。
【0026】
また、与薬カート1は、筐体3の天板3a上に設けられた静脈検出センサ6(生体センサ)を備える。前記静脈検出センサ6は、人間の掌の静脈パターンを検出する装置である。
静脈検出センサ6により検出した静脈パターンは、与薬カート1内、或いは図示しない管理サーバに予め登録した静脈パターンとマッチングを行うために用いられるが、与薬カート1は、そのマッチング処理(認証処理)を行うためのコンピュータ装置7を例えば電源部5上に備えている。
【0027】
また、
図1に示すように筐体3の天板3a上には、前記コンピュータ装置7と接続された例えばキーボードからなるコード入力部11とLCD(液晶ディスプレイ)などの表示部13とが設置されている。
前記コード入力部11は、各患者の管理コード等の入力に用いられ、表示部13は、処方された薬剤の情報、病名等を含むカルテ情報等の表示、静脈検出センサ6により検出した静脈パターンの認証結果の表示等に用いられる。
【0028】
次に
図3(a)、(b)を用いて、各電磁ロック機構15の構成について詳しく説明する。
図3(a)は、収容室2のロック金具2cと電磁ロック機構15との係合が解除されている状態(収容室が開状態)を示す断面図である。
図3(b)は、収容室2のロック金具2cと電磁ロック機構15とが係合している状態(収容室が閉状態)を示す断面図である。
【0029】
図3(a)、(b)に示すように、このロック機構15は、前記ロック金具2cに係合できるように下方に向けて先端がテーパ状に形成されたプランジャー16を有する。また、このプランジャー16を垂直方向に進退動作させるためのソレノイド部17と、プランジャー16を下方に付勢するコイルスプリング18とを有する。
尚、ソレノイド部17は、ソレノイド本体と、これを駆動するための駆動回路(図示せず)とからなり、前記駆動回路には前記電源部5から電力供給されるとともに、前記コンピュータ装置7から制御信号が供給されるようになっている。
【0030】
更に前記電磁ロック機構15は、開錠された際、収容室本体2aを前方へ押し出し、開錠状態を保持するための押出ピン19(押出手段、視認補助手段)を有する。この押出ピン19は、その先端19aが図示しないコイルスプリング等の弾性体により弾発力をもって保持されるとともに、
図2に示すようにガイドフレーム10の背面板10cに形成された孔10c2から収容室2後部側へ突出した状態で設けられている。
【0031】
このように構成された電磁ロック機構15においては、
図3(a)に示すような収容室2が開いた状態から、収容室2を押し込むと、ロック金具2cの先端がプランジャー1先端のテーパ部16aに当接する。さらに収容室2を押し込むと、ロック金具2cはプランジャー16を押し上げながら前進し、プランジャー16がロック金具2c先端を乗り越えると、コイルスプリング18の付勢力によりプランジャー16が再び下方に移動する。
【0032】
これにより、
図3(b)に示すようにプランジャー16の先端部がロック金具2cの輪の中に挿入されて係合し、ロック状態となる。また、押出ピン19の先端19aがバネの付勢力に抗して後方に押し戻された状態で維持される(ピンの先端19aは、収容室2に対し前方への付勢力を与えている状態)。
尚、この収容室2のロック開の状態からロック閉の状態への動作については、ソレノイド部17の駆動に関係なく行うことができる。また、ロック閉の状態からロック開の状態への動作は、ソレノイド部17を駆動してプランジャー16を後退させることにより可能となる。
【0033】
次に
図4(a)、(b)を用いて前記ガイドフレーム10の前部に設けられたひさし機構20について説明する。
図4(a)は、収容室2を閉じた状態のひさし機構20の断面図であり、
図4(b)は、収容室2を開いた状態でのひさし機構20の断面図である。
尚、
図2に示したようにガイドフレーム10の前部には、収容室2の段(図では2段)毎に断面U字状のステー部材21が横方向に延設されており、各ひさし機構20は、このステー部材21に沿って取付けられる。
【0034】
図4(a)、(b)に示すように、ひさし機構20は、例えばゴム樹脂により溝部22aを有する断面逆U字状に形成された、ひさし本体22を有する。このひさし本体22の溝部22aは、対応する収容室2の幅方向に沿って延設され、
図4(a)に示すように収容室本体2aの正面壁2a1の上端部に係止可能となされている。この
図4(a)の状態となれば、ひさし本体22によりガイドフレーム10と収容室2との間の隙間が覆い隠され、異物などの侵入が防止される。
【0035】
前記ひさし本体22の上部は、ガイドフレーム10(筐体側)に固定された軸ピン26により回転可能に軸支され、前記ひさし本体22は、前後方向(時計方向、反時計方向)に回動自在に設けられている。
また、前記ひさし本体22の溝部22aは、前部22a1下端よりも後部22a2下端が下方に長く形成されている。
それにより、収容室2を前方に引き出した際に、ひさし本体22が軸ピン26回りに回動し、正面壁2a1n上端部からひさし本体22の溝部22aが容易に外れる(正面壁2a1がひさし本体22から離れる)ように構成されている。
【0036】
また、
図4(a)、(b)に示すように、前記ひさし本体22は、その背面側が板状の固定金具23に固定され、この固定金具23には圧縮スプリング24(弾性手段)の一端が固定されている。一方、前記圧縮スプリング24の他端は、前記ステー部材21に形成されたビス留め突起27に対しビス28により固定されている。
これにより、圧縮スプリング24の付勢力が、常にひさし本体22の裏面側に対し前方に回動する方向(
図4(a)における時計方向)へ与えられた状態とされている。
【0037】
また、前記固定金具23において、前記圧縮スプリング24の一端が固定される面の上端には、所定の横幅をもって後方に突出する板状突起部23aが形成されている。この板状突起部23aは、ひさし本体22の回動を停止する、いわゆるストッパとして機能する。
また、前記圧縮スプリング24の一端が固定される面の下端側には、所定の縦幅をもって後方に突出する板状突起部23bが形成されている。
この板状突起部23bは、ひさし本体22と共に回動し、収容室2の開閉状態を検出するための検知用遮蔽部として機能する。
即ち、ステー部材21の下面には、収納室の状態を検知するインタラプタセンサ(発光素子、受光素子)23cが設けられ、前記板状突起部23bがインタラプタセンサ23cを遮断している場合には収納室が閉じた状態を、遮断していない場合には、収納室が開いている状態を検出する。
【0038】
このように構成されたひさし機構20は、
図4(a)に示すように収容室2を閉じた状態では、ひさし本体22の溝部22aが収容室本体2aの正面壁2a1の上端部に覆いかぶさる状態に係合する。
その状態から収容室2を手前に引き出すと、圧縮スプリング24の付勢力により軸ピン26を支点としてひさし本体22が時計方向に回動し、ひさし本体22と収容室本体2aとの係合が解除される。尚、ひさし本体22の回動は、
図4(b)に示すように前記固定金具23の板状突起部23aがステー部材21に当接することで停止するようになっている。
【0039】
また、
図4(b)に示すように収容室2を開いた状態から収容室2を閉める方向に押し込むと、収容室2の正面壁2a1の上端が、ひさし本体22の後部22a2下端部に当接し、圧縮スプリング24の付勢力に抗してひさし本体22を直立させる方向(反時計方向)に回動させる。
収容室2が
図4(a)に示すように完全に閉まると、収容室2の正面壁2a1の上端部がひさし本体22の溝部22aに係合し、それによりひさし本体22の回動位置が固定される。
【0040】
続いて、与薬カート1のシステム構成について
図5のブロック図に基づいて説明する。
図5に示すように与薬カート1は、コンピュータ装置7内に各種演算を行う制御部7a(制御手段)と、静脈検出センサ6により検出した静脈パターンを予め登録したパターンとの間でマッチングする生体認証部7b(生体認証手段)と、各種データを記憶する記憶部7c(記憶手段)とを有する。
【0041】
前記コンピュータ装置7には、コード入力部11と表示部13とが接続され、コード入力部11から各患者の管理コードを入力することによって、処方された薬剤の情報、病名等を含むカルテ情報が表示部13に表示されるようになっている。尚、管理コードとは、英数字や記号を組み合わせた複数桁からなるコードであり、患者を識別するために従来から病院内で用いられているものである。
更に、例えば管理者が電磁ロック機構15を開閉できるように、静脈検出センサ6を用いた生体認証に関わらず、このコード入力部11を用いた暗証番号の入力によって電磁ロック機構15の開閉制御ができるように構成してもよい。
【0042】
また、前記コンピュータ装置7内の記憶部7cには、予め登録した患者(許可されたユーザ)の静脈データが記録されている他、患者を特定する管理コードとそれに対応するカルテ情報(患者名、性別、年齢、薬剤情報)、与薬時間を知らせるためのアラーム設定時刻情報等が記憶されるようになっている。
【0043】
尚、記憶部7cに登録した患者の静脈データ(生体認証データ)、及び患者に関連するデータは、
図12に示すフローに沿って削除可能となっている。即ち、例えば表示部13にメニュー画面が表示され、操作者はその中の抹消開始ボタンを選択する(ステップSP1)。
【0044】
次に登録管理コード、姓名、性別、年齢等の情報を入力する(ステップSP2)。コンピュータ装置7は、入力された管理コード等の情報が正しく、削除可能であるかを判定し(ステップSP3)、削除可能であれば操作者は削除ボタンを選択する(ステップSP4)。これにより記憶部7cに登録された当該患者に係るデータが消去される。
【0045】
また、前記コンピュータ装置7は、与薬カート1とは離れた場所にある管理サーバ25(コンピュータ)にLAN接続(有線または無線接続)されている。
尚、一般に病院においては、前記管理コードに紐づけて患者のカルテ情報等を管理サーバ25で保持し管理しているが、前記患者の静脈データを登録する際、その患者を特定する管理コードと紐付けすることにより、静脈データと前記管理サーバ25に保持されているカルテ情報とを自動的に紐付けすることができる。即ち、登録する患者の静脈データに対応させて、新たにカルテ情報を入力する必要がない。
【0046】
また、患者の静脈データと管理サーバ25内のカルテ情報とが一度紐付けされれば、以後の利用時には、患者が静脈検出センサ6に掌をかざして認証を行うことにより、その患者のカルテ情報を管理サーバ25側からコンピュータ装置7に読み出すことができる(記憶部7cにカルテ情報を記憶してなくてもよい)。
【0047】
また、コンピュータ装置7と管理サーバ25とはLAN接続されているため、記憶部7cに必ずしも、患者の静脈データやカルテ情報等を記憶しておく必要はなく、患者に係るデータはすべて管理サーバ25で管理する構成としてもよい。
尚、記憶部7cと管理サーバ25とに同一患者の同一項目のデータを記憶する場合には、定期的及び一方のデータに更新があったときに、同期処理を自動的に行う仕様となっている。
また、前記した記憶部7cからの患者データの削除操作を行った場合、記憶部7cからは患者に係るデータを消去しても、管理サーバ25に登録された当該患者の関連データは消去せず、残していてもよい。
【0048】
また、制御部7aには、前述したプランジャー16、ソレノイド部17等からなる電磁ロック機構15と、前記した板状突起部23b、インタラプタセンサ23cからなる扉(収納室)の開閉状態を検出する扉開閉センサ29とが接続されている。前記扉開閉センサ29においては、前記板状突起部23bがインタラプタセンサ23cを遮断している場合には収納室が閉じた状態を、遮断していない場合には、収納室が開いている状態を検出する。
前記扉開閉センサ29による検出結果は、制御部7aに送られ、制御部7aはその検出結果に基づきLED点灯部12の点灯及び消灯の制御を行うように構成されている。
【0049】
続いて、
図6のフローに基づいて、与薬カート1における一患者への与薬に係る工程について説明する。
例えば入院している患者への与薬は、担当看護師が与薬カート1を、患者の入院している病室まで押して移動する。前記看護師は、与薬カート1を例えば患者のベッド横に停車する。
当該患者に対応する収容室2を引き出す前において、扉開閉センサ29が複数の収容室2のいずれかが開いていることを検出すると、その開状態の収容室2に対応するLED点灯部12が点灯する(ステップS1)。
看護師はその開いている収容室2を確認して閉じる(ステップS2)。これにより与薬カート1は静脈認証処理を作動可能な状態となり、所定の認証開始設定後、当該患者(ユーザ)の掌を静脈認証センサ6上に載せてもらう。これによりコンピュータ装置7において、読み取った静脈パターンのマッチングによる認証処理が開始される(ステップS3)。
【0050】
掌を載せて所定時間(例えば20秒)内に認証結果がOKであれば(ステップS4、S5)、静脈パターンの一致するパターンに紐付けされた収容室2の電磁ロック機構15が、プランジャー16とロック金具2cとの係合を解除する(ステップS6)。
【0051】
また、それにより押出ピン19が収容室2を所定距離だけ前方に押し出す。その結果、扉開閉センサ29が収容室2の開状態を検出し、その収容室2に対応するLED点灯部12が例えば青色に点灯する(ステップS7)。
また、コンピュータ装置7は、収容室2が開状態となった時刻情報を記憶部7cに記録する(ステップS8)。
【0052】
看護師は、開いた収容室2から、その時間帯(例えば昼用)に対応する処方済みの薬剤を取り出し、静脈認証を行った患者に与薬する。この与薬した薬剤は、それを与えられた患者と生体認証により紐づけされた収容室2内のものであり、収容室2は生体認証後に自動的に前方に飛び出して開き、LED点灯によっても収容室2を容易に特定することができるため、看護師は間違いなく該当する患者への与薬を行うことができる。
【0053】
与薬が完了すると、看護師は収容室2を押込んで閉じ、それにより自動的に電磁ロック機構15が収容室2をロックする(ステップS9)。
また、これにより扉開閉センサ29が収容室2の閉状態を検出し、その収容室2に対応するLED点灯部12が消灯する(ステップS10)。また、コンピュータ装置7は、収容室2が閉状態となった時刻情報を記憶部7cに記録する(ステップS11)。
尚、静脈認証開始後のステップS4において、所定時間(例えば20秒)経過後は、認証動作開始不良としてLED消灯のまま処理終了する。
【0054】
以上のように本発明に係る第一の実施の形態によれば、本発明のセキュリティボックス装置を与薬カートに適用した場合、看護師が静脈認証を行った患者に与薬する薬剤は、それを与えられる患者と生体認証により紐づけされた収容室2内のものであり、収容室2は生体認証後に自動的に前方に飛び出して開き、LED点灯によっても収容室2を容易に特定することができるため、看護師は間違いなく該当する患者への与薬を行うことができる。
また、患者の静脈パターンと患者の管理コードが紐付けされているため、患者が静脈認証を行うことにより管理コードに予め紐づけされたカルテ情報等を容易に参照することができる。
【0055】
続いて、本発明に係る第二の実施形態について説明する。
図7は、本発明のセキュリティボックス装置を扉開閉式のキャビネットに適用した図であって、本発明の第二の実施の形態を示す斜視図である。また、
図8は、
図7のキャビネットの扉を開いた状態の斜視図である。尚、この第二の実施の形態において、前述した第一の実施の形態と重複する部材については、同じ符号で示し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
図7、
図8に示すキャビネット1Aは、例えば病院内に据え置きされ、劇薬等を保管するための収容室として用いる。
このキャビネット1Aは、立方体形状の筐体30の前面側にヒンジ31により開閉可能な扉32を備える。
図7に示すように扉32には、把手32aが設けられている。
【0057】
また、筐体30の中には、図示しないが前記第一の実施形態で説明したような電源部5とコンピュータ装置7とを備えている。但し、このキャビネット1Aは、据え置き使用が主であるため、電源部5はバッテリー型ではなくAC電源からの電力供給を行うAC/DCコンバータを有している。
【0058】
また、
図8に示すように扉32を開けると、中の収容室33には、電子秤34が設けられ、その上に劇薬等を置いて収容できるように構成されている。
この電子秤34は、コンピュータ装置7に接続され、秤上に置かれた物の重量(重さの計量値)がコンピュータ装置7側で管理される。即ち、コンピュータ装置7においては、扉32を開閉した時刻情報と、保管されるものが例えば劇薬ならば、その使用量を履歴として記憶できるように構成されている。
【0059】
また、筐体30の前面上部には、前記第一の実施の形態と同様に、静脈検出センサ6(生体センサ)を備えている。この静脈検出センサ6は、予め登録された使用者(許可されたユーザ)の静脈パターンのマッチング(認証)のために用いられ、その認証結果によって扉32の開閉(ロック開錠)が制御されるようになっている。
【0060】
また、筐体30の前面上部には、使用者の管理コード等の入力を行うための入力部、例えばタッチパネル35が設けられ、このタッチパネル35は、前記コンピュータ装置7に接続されている。尚、タッチパネル35は、各種情報を表示するための表示部の機能も兼ねている。
また、筐体30の下には、この筐体30を移動可能とするための複数のキャスター30bが設けられている。
【0061】
前記扉32は、筐体30に対し電磁ロック機構により開閉可能な構成となされている。
図9は、把手32の周辺を示す平断面図であり、
図9(a)は扉開状態を示し、
図9(b)は扉閉状態を示す。
図9に示すように筐体30の正面壁30cの裏面には、電磁ロック機構15Aが設けられている。
【0062】
前記電磁ロック機構15Aは先端がテーパ状に形成されたプランジャー16を有する。このプランジャー16は、正面壁30cの面に沿って水平方向に進退可能に設けられ、扉32を閉じた際に、扉32の端部32b側に突出し、前記端部32bに形成された係止孔32b1に係止するようになっている。
また、前記電磁ロック機構15Aは、プランジャー16を水平方向に進退動作させるためのソレノイド部17と、プランジャー16を正面開口側に付勢するコイルスプリング18とを有する。
【0063】
尚、ソレノイド部17は、ソレノイド本体と、これを駆動するための駆動回路(図示せず)とからなり、前記駆動回路には前記電源部5から電力供給されるとともに、前記コンピュータ装置7から制御信号が供給されるようになっている。
また、このロック機構15Aにあっては、前記プランジャー16を手動により進退させることが可能なシリンダー錠36が正面壁30cに設けられ、このシリンダー錠36は、非常時、緊急時の際に使用できるよう鍵が管理される。
【0064】
続いて、キャビネット1Aのシステム構成について
図10のブロック図に基づいて説明する。
図10に示すようにキャビネット1Aは、コンピュータ装置7内に各種演算を行う制御部7aと、静脈検出センサ6により検出した静脈パターンを予め登録したパターンとの間でマッチングする生体認証部7bと、各種データを記憶する記憶部7cとを有する。
【0065】
前記コンピュータ装置7には、前記したタッチパネル35が接続され、看護師や医師などの使用者の管理コードを入力することによって、保管する劇薬等の情報を参照できるようになっている。
更に、静脈検出センサ6を用いた生体認証に関わらず、このタッチパネル35を用いた英数字や記号を組み合わせたコードの入力によっても電磁ロック機構15A(扉32)の開閉制御ができるように構成してもよい。
【0066】
また、前記コンピュータ装置7内の記憶部7cには、予め登録した使用者の静脈データが記録されている他、使用者の氏名、所属、保管する劇薬などの使用目的等が記憶されるようになっている。
尚、記憶部7cに登録した使用者の静脈データ(生体認証データ)、及び使用者に関連するデータは、
図12に示すフローに沿って削除可能である。
【0067】
また、
図10に示すように制御部7aには、前記電磁ロック機構15Aと、扉の開閉状態を検出する扉開閉センサ29とが接続されている。尚、この扉開閉センサ29は、第一の実施形態のように、板状突起部23b、インタラプタセンサ23cからなる扉(収納室)の開閉状態を検出する扉開閉センサであっても良いが、扉開閉によってON-OFFするスイッチであっても良い。
前記開閉センサ29による検出結果は、制御部7aに送られ、制御部7aはその検出結果に基づきタッチパネル部35への表示制御を行うように構成されている。
【0068】
また、前記したようにコンピュータ装置7の制御部7aには電子秤34が接続され、電子秤34上に物が載置されている場合には、所定時間毎に測定した計量データが制御部7aに出力され、計量皿での荷重変化が生じた場合には、その時点での計量データを制御部7aに出力するように構成されている。
【0069】
また、前記コンピュータ装置7は、キャビネット1Aと離れた場所に管理されるコンピュータである管理サーバ25にLAN接続(有線または無線)されて利用されてもよい。
その場合、使用者の静脈データ等、記憶部7cに記憶するデータの内容を管理サーバ25に保存し管理する構成としてもよい。
【0070】
続いて、
図11のフローに基づいて、看護師などの使用者(ユーザ)がキャビネット1に保管する劇薬の容器から所定量の劇薬を使用し、残る劇薬を収容する前記容器をキャビネット1内に戻す工程について説明する。
【0071】
例えば看護師がキャビネット1内に保管する劇薬を使用する場合、その看護師は、タッチパネル35に表示される認証開始ボタンを押した後、所定時間内に掌を静脈認証センサ6上に載せる。これによりコンピュータ装置7において、読み取った静脈パターンのマッチングによる認証処理が開始され(ステップST1)、所定時間(例えば20秒)内に認証結果がOKであれば(ステップST2、ST3)、電磁ロック機構15Aがプランジャー16と扉32の係止孔32b1との係合を解除する(ステップST4)。
また、認証結果がOKであることがタッチパネル35上に表示され(ステップST5)、それを見た看護師は扉32の把手32aを掴んで扉32を開ける。
【0072】
ここで扉開閉センサ29により扉開の状態を示すデータがコンピュータ装置7に送られ、コンピュータ装置7は、その時刻を記憶部7cに記録する(ステップST6)。
看護師は、電子秤34上に置かれた劇薬の容器を取り出し、所定量を使用する。その後、残りの劇薬を収容する前記容器を再び電子秤34上に置き、電子秤34で計量される(ステップST7)。電子秤34で計量された劇薬容器の重量は、コンピュータ装置7の記憶部7cに記録される(ステップST8)。
【0073】
看護師は扉32を閉じ、それにより自動的に電磁ロック機構15Aが扉32をロックする(ステップST9)。
また、これにより扉開閉センサ29が収容室2の閉状態を検出し、コンピュータ装置7はその時間情報を記憶部7cに記録する(ステップST10)。
尚、静脈認証開始後のステップST2において、所定時間(例えば20秒)経過後は、認証動作開始不良としてLED消灯のまま処理終了する。
【0074】
以上のように本発明に係る第二の実施の形態によれば、本発明のセキュリティボックス装置をキャビネットに適用した場合、キャビネット1の扉を開けることができるのは、予め許可された静脈認証を行う使用者(看護師)に限られ、中に保管する物は、コンピュータ装置7に接続された電子秤34上に置かれるため、その計量履歴を管理することができる。即ち、キャビネット1内の保管物を、誰がどのくらいの量を何時使用したかを正確に管理することができ、劇薬などの特に取り扱いに注意すべきものに対する不正使用などの発生を防止することができる。
尚、第二の実施形態では、1つの収容室の場合を例にとって説明したが、複数の劇薬を管理するために、複数の収容室を設けても良い。
【0075】
尚、前記第一及び第二の実施形態においては、静脈センサを用いた認証により使用者(患者、看護師等)の本人認証を行うものとしたが、本発明にあっては静脈認証に限らず、指紋認証、虹彩認証など、他の生体認証手段を用いてもよい。
【0076】
また、前記第一及び第二の実施形態においては、薬剤を保管するセキュリティボックス装置を例に説明したが、本発明にあっては、保管する物は限定されるものではなく、例えば重要な書類などを保存する用途にも好適である。
【符号の説明】
【0077】
1 与薬カート(セキュリティボックス装置)
1A キャビネット(セキュリティボックス装置)
2 収容室
3 筐体
5 電源部
6 静脈センサ(生体センサ)
7 コンピュータ装置
7a 制御部(制御手段)
7b 生体認証部(生体認証手段)
7c 記憶部(記憶手段)
11 コード入力部
12 LED点灯部(発光手段、視認補助手段)
15 電磁ロック機構(ロック機構)
15A 電磁ロック機構(ロック機構)
19 押出ピン(押出手段、視認補助手段)
24 圧縮スプリング(弾性手段)
25 管理サーバ
29 扉開閉センサ
30 筐体
32 扉
33 収容室
34 電子秤
35 タッチパネル
36 シリンダー錠
【手続補正書】
【提出日】2022-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め許可されたユーザのみが開閉可能なセキュリティボックス装置であって、
筐体と、該筐体内に形成された収容室と、前記収容室を開閉可能に設けられた扉と、前記扉の施錠及び開錠を行うロック機構と、前記ロック機構の開錠動作を制御する制御手段と、前記制御手段により読み書き可能に設けられ、予め許可されたユーザの生体パターンを記憶する記憶手段と、生体センサを有し、該生体センサにより読み取ったユーザの生体パターンと前記記憶手段に記憶された生体パターンとのマッチングによる認証処理を行う生体認証手段と、前記収容室内に設置され、収容物を載置するとともに載置された収容物の重量データを前記制御手段に出力する電子秤と、を備え、
前記制御手段は、前記生体認証手段により生体パターンが認証されることにより、前記ロック機構により前記扉を開錠するとともに、前記扉の開閉履歴と前記電子秤から出力される収容物の重量データとを前記記憶手段に記憶することを特徴とするセキュリティボックス装置。
【請求項2】
前記筐体は、複数の前記収容室を有し、前記収容室ごとに予め許可されたユーザの生体パターンが紐付けされ、
前記制御手段は、前記生体認証手段により認証された生体パターンに紐付けされた収容室を特定し、対応するロック機構により前記扉を開錠することを特徴とする請求項1に記載されたセキュリティボックス装置。