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特開2022-167931レムナント腫瘍浸潤リンパ球並びにそれを調製及び使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167931
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】レムナント腫瘍浸潤リンパ球並びにそれを調製及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20221027BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20221027BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20221027BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20221027BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20221027BHJP
   C12N 9/50 20060101ALN20221027BHJP
   C07K 14/55 20060101ALN20221027BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
A61K35/17 Z
C12N5/0783 ZNA
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P35/02
A61K45/00
A61K38/20
A61K31/675
A61K31/7076
C12N9/10
C12N9/50
C07K14/55
C12N1/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022128638
(22)【出願日】2022-08-12
(62)【分割の表示】P 2019525747の分割
【原出願日】2017-11-17
(31)【優先権主張番号】62/460,441
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/423,750
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519006377
【氏名又は名称】アイオバンス バイオセラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン-アベルソン,ミッシェル,アール.
(72)【発明者】
【氏名】モシチャク,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ロッツェ,マイケル ティー.
(57)【要約】
【課題】レムナント腫瘍浸潤リンパ球並びにそれを調製及び使用する方法の提供。
【解決手段】一部の実施形態において、癌の処置のために、治療的に有効な量の、腫瘍レムナントから得られた増殖した数の腫瘍浸潤リンパ球の送達を、それを必要とする患者において行う方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法であって、
(a)患者から腫瘍組織を得ることと、ここで、前記腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、
(b)前記腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)前記腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数の前記eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、前記腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)前記腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
前記rTILは、前記eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、前記T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1、CTLA-4及びそれらの組合せからなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記腫瘍組織は、黒色腫腫瘍組織、頭頚部腫瘍組織、乳房腫瘍組織、腎臓腫瘍組織、膵臓腫瘍組織、膠芽腫腫瘍組織、肺腫瘍組織、結腸直腸腫瘍組織、肉腫腫瘍組織、トリプルネガティブ乳房腫瘍組織、子宮頸部腫瘍組織、卵巣腫瘍組織及び急性骨髄性白血病の骨髄又は腫瘍組織からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照射されたフィーダ細胞は、照射された同種末梢血単核細胞を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
IL-2は、約3000IU/mLの初期濃度で前記第2の細胞培地中に存在し、及びOKT-3抗体は、約30ng/mLの初期濃度で前記第2の細胞培地中に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記rTIL中のCD8T細胞及びCD4T細胞における少なくとも1つのT細胞疲弊マーカーは、前記eTILに対して少なくとも10%だけ低下する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記T細胞疲弊マーカーは、CD8T細胞におけるLAG3マーカーであり、前記rTILにおける前記LAG3マーカーは、前記eTILに対して少なくとも2倍だけ低下する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記T細胞疲弊マーカーは、CD8T細胞におけるTIM3マーカーであり、前記rTILにおける前記LAG3マーカーは、前記eTILに対して少なくとも3倍だけ低下する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記T細胞疲弊マーカーは、CD4T細胞におけるTIM3マーカーであり、前記rTILにおける前記LAG3マーカーは、前記eTILに対して少なくとも2倍だけ低下する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記rTILにおける前記TIM3マーカー及び前記LAG3マーカーは、フローサイトメトリによって検出不可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記rTILにおけるCD56発現は、前記eTILにおけるCD56発現に対して少なくとも3倍だけ低下する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記rTILにおけるCD69発現は、前記eTILにおけるCD69発現に対して少なくとも2倍だけ増大する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記消化混合物は、デオキシリボヌクレアーゼ、コラゲナーゼ及びヒアルロニダーゼを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記増殖した数のrTILを低温保存して、低温保存されたrTIL集団を形成する工程をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記低温保存されたrTIL集団を解凍する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記rTILは、eTILを実質的に含まない、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の細胞培地で前記腫瘍レムナント細胞を増殖させる前記工程は、eTILを前記第2の細胞培地に加えて、選択されたrTIL対eTIL比を提供することを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
eTILを前記rTILに加えて、選択されたrTIL対eTIL比を提供する工程をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記選択されたrTIL対eTIL比は、少なくとも1%のrTIL対eTILである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記選択されたrTIL対eTIL比は、最大で99.9%のrTIL対eTILである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記選択されたrTIL対eTIL比は、約1:99、約5:95、約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、約40:60、約45:55、約50:50、約55:45、約60:40、約65:35、約70:30、約75:25、約80:20、約85:15、約90:10、約95:5及び約99:1のrTIL対eTILからなる群から選択される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項23】
癌の処置を、前記処置を必要としている患者において行う方法であって、前記処置は、治療的に有効な量のrTILを患者に送達することを含み、前記rTILは、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法に従って調製される、方法。
【請求項24】
癌の処置を、前記処置を必要としている患者において行う方法であって、
(a)請求項1~22のいずれか一項に記載の方法に従って、患者から切除された腫瘍からrTILを得る工程と、
(b)前記患者に前記rTILを投与する前に前記患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置する工程と、
(c)治療的に有効な量のrTILを前記患者に投与する工程であって、前記治療的に有効な量のrTILは、任意選択的に、低温保存され、且つ前記患者への前記投与前に解凍され得る、工程と、
(d)前記患者への前記rTILの投与の翌日に開始して、前記患者を高用量IL-2レジメンで処置する工程と
を含む方法。
【請求項25】
治療的に有効な量のeTILは、前記rTILとの混合物中で前記患者に同時投与される、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンは、2日間にわたって60mg/m/日の用量でシクロホスファミドを投与し、それに続いて、5日間にわたって25mg/m/日の用量でフルダラビンを投与する工程を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記高用量IL-2レジメンは、耐容能まで8時間毎に15分のボーラス静注として投与される600,000又は720,000IU/kgのアルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体を含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記癌は、黒色腫、二重不応性黒色腫、ブドウ膜黒色腫、卵巣癌、子宮頸部癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、頭頚部癌、腎細胞癌、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌及び肉腫からなる群から選択される、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記癌は、乳癌であり、前記乳癌は、トリプルネガティブ乳癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、プロゲステロン受容体陽性乳癌及びエストロゲン受容体陽性/プロゲステロン受容体陽性乳癌からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記癌は、肺癌であり、及び前記肺癌は、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本国際出願は、2016年11月17日出願の米国仮特許出願第62/423,750号及び2017年2月17日出願の米国仮特許出願第62/460,441号に対する優先権の利益を主張し、これらの出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
[002] 腫瘍レムナントから腫瘍浸潤リンパ球を増殖させる方法及び組成物が一部の実施形態において開示される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[003] 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入を用いた嵩高い難治性の癌の処置は、予後が不十分な患者にとっての強力な治療アプローチを代表する。Gattinoni, et al, Nat. Rev. Immunol. 2006, 6, 383-393。自己由来TILによる養子T細胞療法は、転移性黒色腫患者の最大55%の客観的奏効率及び>25%の永続的退縮を実現する。多数のTILが免疫療法を成功させるのに必要とされ、及びロバストで信頼性が高いプロセスが商業化に必要である。これは、細胞増殖に関する技術的問題、理論上の問題及び規制上の問題のために達成するのが困難であった。IL-2ベースのTIL増殖に続く「迅速な増殖プロセス」(REP)は、その速度及び効率のため、TIL増殖の好ましい方法となった。Dudley, et al, Science 2002, 298, 850-54;Dudley, et al, J. Clin. Oncol. 2005, 23, 2346-57; Dudley, et al, J. Clin. Oncol. 2008, 26, 5233-39; Riddell, et al, Science 1992, 257, 238-41;Dudley, et al, J. Immunother. 2003, 26, 332-42。切除された腫瘍からTILを生成するプロセスは、腫瘍を1~3mmのフラグメントに細切除して、プレ迅速増殖プロトコル(プレREP又は開始)工程においてTILをインターロイキン2(IL-2)の存在下で増殖させる工程を含む。プレREP工程中、腫瘍内在免疫細胞が遊走且つ増殖し、及びこれらのTILが第2のREPプロセスにかけられて、照射された末梢血単核細胞(PBMC)フィーダ、抗CD3抗体(OKT-3、ムロモナブ)及びIL-2がTILの数を大幅に増大させる。現在まで、TIL増殖プロセスは、全てプレREPプロセス後の残留腫瘍フラグメントを破棄している。
【0004】
[004] 切除された腫瘍の酵素による直接的消化は、以前にプレREPに代わるものとして探究されてきたが、より少ないTIL培養体のみを与えることができ、IL-2によるプレREP開始プロセスよりもTILを得る能力が低下すると報告されてきた。Dudley, et al, J. Immunother. 2003, 26, 332-42。この理由のため、癌の治療としてのTILの開発において消化がさらに探究されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005] プレREPプロセス及びREPプロセスから得られたTILは、現在までTILの臨床研究の優勢を占めており、これは、適度な臨床応答を提供してきた。また、この分野は、特に黒色腫から他の腫瘍タイプへのTIL治療の延長線上において困難なままである。Goff, et al, J. Clin. Oncol. 2016, 34, 2389-97;Dudley, et al, J. Clin. Oncol. 2008, 26, 5233-39;Rosenberg, et al, Clin. Cancer Res. 2011, 17, 4550-57。多くの焦点が、特定のサブセット(例えば、CD8T細胞)を選択するか、又はドライバ突然変異、例えば突然変異されたERBB2IPエピトープ若しくはKRASオンコジーンにおけるドライバ突然変異を標的化するための増殖中のTILの選択に定められてきた。Tran, et al., N. Engl. J. Med. 2016, 375, 2255-62; Tran, et al, Science 2014, 344, 641-45。しかしながら、そのような選択アプローチは、たとえ開発されてより大きい臨床試験において有効性を示し得るとしても、TIL治療を実行する期間、複雑性及びコストを顕著に増大させて、様々なタイプの癌におけるTIL治療の広範な使用の可能性を制限する。したがって、癌治療に用いられる特性が向上したTILを提供することができるプロセスの開発が緊急に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[006] 本発明は、向上した特性を有するTILが、腫瘍レムナント細胞に基づくプロセスから得ることができ、及び予想外にも、そのようなレムナントTIL(rTIL)が正常なエミグラントTIL(eTIL)と表現型的且つ機能的に異なるという発見を提供する。癌免疫療法におけるrTILの使用及びrTILとeTILとの組合せは、先のeTILベースの治療を上回る大きい利点をもたらす。
【0007】
発明の概要
[007] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1、CTLA-4及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0008】
[008] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1、CTLA-4及びそれらの組合せからなる群から選択され、
腫瘍組織は、黒色腫腫瘍組織、頭頚部腫瘍組織、乳房腫瘍組織、腎臓腫瘍組織、膵臓腫瘍組織、膠芽腫腫瘍組織、肺腫瘍組織、結腸直腸腫瘍組織、肉腫腫瘍組織、トリプルネガティブ乳房腫瘍組織、子宮頸部腫瘍組織、卵巣腫瘍組織及び急性骨髄性白血病の骨髄又は腫瘍組織からなる群から選択される。
【0009】
[009] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1、CTLA-4及びそれらの組合せからなる群から選択され、
照射されたフィーダ細胞は、照射された同種末梢血単核細胞を含む。
【0010】
[0010] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることと、ここで、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
IL-2は、約3000IU/mLの初期濃度で第2の細胞培地中に存在し、及びOKT-3抗体は、約30ng/mLの初期濃度で第2の細胞培地中に存在する。
【0011】
[0011] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
rTIL中のCD8T細胞及びCD4T細胞における少なくとも1つのT細胞疲弊マーカーは、eTILに対して少なくとも10%だけ低下される。
【0012】
[0012] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
T細胞疲弊マーカーは、CD8T細胞におけるLAG3マーカーであり、rTILにおけるLAG3マーカーは、eTILに対して少なくとも2倍だけ低下される。
【0013】
[0013] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
T細胞疲弊マーカーは、CD8T細胞におけるTIM3マーカーであり、rTILにおけるLAG3マーカーは、eTILに対して少なくとも3倍だけ低下される。
【0014】
[0014] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
T細胞疲弊マーカーは、CD4T細胞におけるTIM3マーカーであり、rTILにおけるLAG3マーカーは、eTILに対して少なくとも2倍だけ低下される。
【0015】
[0015] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
rTILにおけるTIM3マーカー及びLAG3マーカーは、フローサイトメトリによって検出不可能である。
【0016】
[0016] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
rTILにおけるCD56発現は、eTILにおけるCD56発現に対して少なくとも3倍だけ低下される。
【0017】
[0017] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
rTILにおけるCD69発現は、eTILにおけるCD69発現に対して少なくとも2倍だけ増大される。
【0018】
[0018] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
消化混合物は、デオキシリボヌクレアーゼ、コラゲナーゼ及びヒアルロニダーゼを含む。
【0019】
[0019] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第1の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む。
【0020】
[0020] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む。
【0021】
[0021] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、処置は、治療的に有効な量のrTILを患者に送達することを含み、rTILは、
(a)患者から腫瘍組織を得る工程であって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、工程と、
(b)腫瘍組織をフラグメント化する工程と、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供する工程と、
(d)少なくとも複数のeTILを除く工程と、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化する工程と、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、レムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)の数を増殖させる工程と
を含む方法に従って調製され、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む。
【0022】
[0022] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0023】
[0023] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0024】
[0024] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含み、
癌は、黒色腫、二重不応性黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、頭頚部癌、腎細胞癌、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌、肉腫、非小細胞肺癌(NSCLC)及びトリプルネガティブ乳癌からなる群から選択される。
【0025】
[0025] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することであって、非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンは、2日間にわたって60mg/m/日の用量でシクロホスファミドを投与し、それに続いて、5日間にわたって25mg/m/日の用量でフルダラビンを投与する工程を含む、処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0026】
[0026] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含み、
高用量IL-2レジメンは、耐容能まで8時間毎に15分のボーラス静注として投与される600,000又は720,000IU/kgのアルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体を含む。
【0027】
[0027] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1、CTLA-4及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0028】
[0028] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1、CTLA-4及びそれらの組合せからなる群から選択され、
腫瘍組織は、黒色腫腫瘍組織、頭頚部腫瘍組織、乳房腫瘍組織、腎臓腫瘍組織、膵臓腫瘍組織、膠芽腫腫瘍組織、肺腫瘍組織、結腸直腸腫瘍組織、肉腫腫瘍組織、トリプルネガティブ乳房腫瘍組織、子宮頸部腫瘍組織、卵巣腫瘍組織及び急性骨髄性白血病の骨髄又は腫瘍組織からなる群から選択される。
【0029】
[0029] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1、CTLA-4及びそれらの組合せからなる群から選択され、
照射されたフィーダ細胞は、照射された同種末梢血単核細胞を含む。
【0030】
[0030] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
IL-2は、約3000IU/mLの初期濃度で第2の細胞培地中に存在し、及びOKT-3抗体は、約30ng/mLの初期濃度で第2の細胞培地中に存在する。
【0031】
[0031] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
rTIL中のCD8T細胞及びCD4T細胞における少なくとも1つのT細胞疲弊マーカーは、eTILに対して少なくとも10%だけ低下される。
【0032】
[0032] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
T細胞疲弊マーカーは、CD8T細胞におけるLAG3マーカーであり、rTILにおけるLAG3マーカーは、eTILに対して少なくとも2倍だけ低下される。
【0033】
[0033] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
T細胞疲弊マーカーは、CD8T細胞におけるTIM3マーカーであり、rTILにおけるLAG3マーカーは、eTILに対して少なくとも3倍だけ低下される。
【0034】
[0034] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
T細胞疲弊マーカーは、CD4T細胞におけるTIM3マーカーであり、rTILにおけるLAG3マーカーは、eTILに対して少なくとも2倍だけ低下される。
【0035】
[0035] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
rTILにおけるTIM3マーカー及びLAG3マーカーは、フローサイトメトリによって検出不可能である。
【0036】
[0036] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
rTILにおけるCD56発現は、eTILにおけるCD56発現に対して少なくとも3倍だけ低下される。
【0037】
[0037] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
rTILにおけるCD69発現は、eTILにおけるCD69発現に対して少なくとも2倍だけ増大される。
【0038】
[0038] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
消化混合物は、デオキシリボヌクレアーゼ、コラゲナーゼ及びヒアルロニダーゼを含む。
【0039】
[0039] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第1の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む。
【0040】
[0040] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のためのレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を調製する方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することと
を含み、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む。
【0041】
[0041] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、処置は、治療的に有効な量のrTILを患者に送達することを含み、rTILは、
(a)患者から腫瘍組織を得る工程であって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、工程と、
(b)腫瘍組織をフラグメント化する工程と、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供する工程と、
(d)eTILを除く工程と、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化する工程と、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、レムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)の数を増殖させる工程と
を含む方法に従って調製され、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む。
【0042】
[0042] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0043】
[0043] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0044】
[0044] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含み、
癌は、黒色腫、二重不応性黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、頭頚部癌、腎細胞癌、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌、肉腫、非小細胞肺癌(NSCLC)及びトリプルネガティブ乳癌からなる群から選択される。
【0045】
[0045] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することであって、非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンは、2日間にわたって60mg/m/日の用量でシクロホスファミドを投与し、それに続いて、5日間にわたって25mg/m/日の用量でフルダラビンを投与する工程を含む、処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0046】
[0046] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)eTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含み、
高用量IL-2レジメンは、耐容能まで8時間毎に15分のボーラス静注として投与される600,000又は720,000IU/kgのアルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体を含む。
【0047】
[0047] 一実施形態において、本発明は、養子T細胞治療のために、患者由来の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む増殖した数の腫瘍レムナント細胞を生じさせるプロセスを含む。一部の実施形態において、本発明のプロセスは、患者から腫瘍組織を得る工程を含み得、腫瘍組織は、TILを含む。一部の実施形態において、本発明のプロセスは、腫瘍組織をフラグメント化する工程を含み得る。一部の実施形態において、本発明のプロセスは、細胞培地並びにインターロイキン2(IL-2)及び他のT細胞増殖因子又はアゴニスト抗体入りの気体透過性コンテナ内で腫瘍組織を処理して、腫瘍レムナント及び増殖した数のTILを提供する工程を含み得る。一部の実施形態において、本発明のプロセスは、増殖した数のTILを除く工程を含み得る。一部の実施形態において、本発明のプロセスは、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化する工程を含み得る。一部の実施形態において、本発明のプロセスは、腫瘍レムナント細胞を、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、抗CD3モノクローナル抗体(ムロモナブ又はOKT-3)及びIL-2で処理して、増殖した数の腫瘍レムナント細胞を提供する工程を含み得る。一部の実施形態において、本発明のプロセスに従って調製される腫瘍レムナント細胞は、低いレベルの、TIM3、LAG3、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現するTILを含み得る。一部の実施形態において、腫瘍組織は、黒色腫腫瘍組織、頭頚部腫瘍組織、乳房腫瘍組織、腎臓腫瘍組織、膵臓腫瘍組織、肺腫瘍組織及び結腸直腸腫瘍組織からなる群から選択され得る。
【0048】
[0048] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み得る。一部の実施形態において、処置は、治療的に有効な量の増殖した数の腫瘍レムナント細胞を患者に送達することを含み得、増殖した数の腫瘍レムナント細胞は、本明細書中に記載されるあらゆるプロセスに従って調製され得る。
【0049】
図面の簡単な説明
[0049] 本発明の上述の概要及び以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】[0050]腫瘍消化溶液の調製の例示的な図を示す。
図2】[0051]腫瘍消化手順の例示的なフロースルー図を示す。この例では、2つの消化方法を同時に実行しており、各消化方法の有効性を比較するように設計した2つの異なるプレREPの一部として別々にシードしている。
図3】[0052]eTIL及びrTILにおける重要なマーカーの差次的な表現型の発現を示す。
図4】[0053]迅速な増殖前に代謝能を評価するための、2-(N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)-2-デオキシグルコース(2-NBDG)(A)及びMitotracker(B)によるeTIL及びrTILの研究を示す。
図5】[0054]eTIL及びrTILを、ブレフェルディンAを有するCD3/CD28/4-1BBビードでCD4T細胞及びCD8T細胞について一晩刺激した実験の結果を示す。PMA及びイオノマイシンを4~5時間加えた。インターフェロン-γを細胞内フローサイトメトリ分析(n=3)によって評価した。
図6】[0055]迅速な増殖中に(A)rTILが増殖し、及び(B)eTILと表現型的に異なったままであることを示す結果を示す。
図7】[0056]本発明のrTILを用いて患者を処置する例示的なプロセスを示す。
図8】[0057]本発明のrTILを用いて患者を処置するプロセスの例示的なタイムラインを示す。
図9】[0058]eTIL及びrTILにおけるTCR-vβレパートリの多様性(すなわち多様性スコア)を示す。
図10】[0059]eTIL及びrTILにおける共有CDR3のパーセントを示す。
図11】[0060]トリプルネガティブ乳癌、大腸癌、肺癌、腎癌及び黒色腫における細胞増殖分析を示す。5つの全ての腫瘍におけるCD4+集団又はCD8+集団由来のeTILは、抗CD3抗体によるrTILとの共培養の直後に、eTILのみと比較した場合、Cell Trace色素の推移(又は色素の希釈)によって実証される増殖能力の増強を実証した。rTILと共培養した場合、赤色は、eTILを表し、青色は、eTILを表す。
図12】[0061]Nanostring分析から作成したヒートマップを示し、これは、eTIL及びrTILについて遺伝子発現プロファイルが大きく異なることを示す。
図13】[0062]Nanostring分析から作成したグラフを示し、これは、いくつかの遺伝子がeTILと比較してrTILにおいて大きく上方制御又は下方制御されていることを示す。
図14】[0063]卵巣癌由来のeTIL及びrTIL(3つのeTIL/rTIL対について)間の上位50の共有CDR3を示すクローン型グラフを示す。
図15】[0064]腎癌由来のeTIL及びrTIL(3つのeTIL/rTIL対について)間の上位50の共有CDR3を示すクローン型グラフを示す。
図16】[0065]トリプルネガティブ乳癌由来のeTIL及びrTIL(3つのeTIL/rTIL対について)間の上位50の共有CDR3を示すクローン型グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
配列リストの簡単な説明
[0066] 配列番号1は、ムロモナブの重鎖のアミノ酸配列である。
[0067] 配列番号2は、ムロモナブの軽鎖のアミノ酸配列である。
[0068] 配列番号3は、組換えヒトIL-2タンパク質のアミノ酸配列である。
[0069] 配列番号4は、アルデスロイキンのアミノ酸配列である。
[0070] 配列番号5は、組換えヒトIL-4タンパク質のアミノ酸配列である。
[0071] 配列番号6は、組換えヒトIL-7タンパク質のアミノ酸配列である。
[0072] 配列番号7は、組換えヒトIL-15タンパク質のアミノ酸配列である。
[0073] 配列番号8は、組換えヒトIL-21タンパク質のアミノ酸配列である。
【0052】
発明の詳細な説明
[0074] 別途定義されない限り、本明細書中で用いられる技術用語及び科学用語の全ては、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書中で言及される特許及び刊行物の全ては、その全体が参照により組み込まれる。
【0053】
定義
[0075] 用語「疲弊表現型」及び「疲弊マーカー」は、抗原による長期間にわたるT細胞受容体(TCR)の刺激に応答する、T細胞疲弊に特有の細胞表面マーカーを指す。疲弊表現型を示すT細胞は、阻害受容体、例えばT細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM3又はTIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3又はLAG-3)、免疫グロブリンドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)並びにプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)を発現し、且つエフェクタサイトカインの産生及び有効な免疫応答を増大させる能力を欠いている。T細胞の疲弊は、Yi, et al., Immunology 2010, 129, 474-81に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
[0076] 本明細書中で用いられる用語「共投与」、「共投与すること」、「組み合わせて投与される」、「組み合わせて投与すること」、「同時の」及び「同時的な」は、ヒト対象への2つ以上の有効医薬成分の、両方の有効医薬成分及び/又はそれらの代謝物質がヒト対象中に同時に存在するような投与を包含する。共投与として、別個の組成物の同時投与、別個の組成物の異なる時点での投与又は2つ以上の有効医薬成分が存在する組成物の投与が挙げられる。別個の組成物の同時投与及び両方の剤が存在する組成物の投与も本発明の方法に包含される。
【0055】
[0077] 用語「インビボ」は、対象の体内で起こるイベントを指す。
【0056】
[0078] 用語「インビトロ」は、対象の体外で起こるイベントを指す。インビトロアッセイは、生きた細胞又は死んだ細胞が使用される細胞ベースのアッセイを包含し、且つ無傷の細胞が使用されない無細胞アッセイも包含し得る。
【0057】
[0079] 用語「抗原」は、免疫応答を誘導する物質を指す。一部の実施形態において、抗原は、抗体又はTCRによって結合されることができる分子である(主要組織適合性複合体(MHC)分子によって提示される場合)。本明細書中で用いられる用語「抗原」は、T細胞エピトープも包含する。抗原は、加えて、免疫系によって認識されることができる。一部の実施形態において、抗原は、体液性免疫応答又は細胞性免疫応答を誘導して、Bリンパ球及び/又はTリンパ球の活性化を引き起こすことができる。場合により、これは、抗原がTh細胞エピトープを含有するか又はTh細胞エピトープに関連があることを必要とし得る。抗原は、1つ以上のエピトープ(例えば、B-エピトープ及びT-エピトープ)も有し得る。一部の実施形態において、抗原は、好ましくは、典型的には高い特異性で且つ選択的にその対応する抗体又はTCRと反応することとなり、他の抗原によって誘導され得る多数の他の抗体又はTCRとは反応しない。
【0058】
[0080] 本明細書中に記載される用語「有効な量」又は「治療的に有効な量」は、疾患の処置が挙げられるが、これに限定されない意図される用途を達成するのに十分な化合物又は化合物の組合せの量を指す。治療的に有効な量は、意図される用途(インビトロ又はインビボ)又は処置されることとなるヒト対象及び疾患の状態(例えば、対象の体重、年齢及び性別)、疾患症状の重症度、投与の様式などに応じて変動し得、当業者によって容易に決定され得る。この用語は、標的細胞において特定の応答(例えば、血小板の接着及び/又は細胞の移動の低下)を誘導することとなる用量にも当てはまる。具体的な用量は、選択される特定の化合物、それに続く投薬レジメン、化合物が、他の化合物と組み合わされて投与されるか、投与のタイミング、投与される組織及び化合物が運び込まれる身体の送達系に応じて変動することとなる。治療的に有効な量は、「有効な抗腫瘍量」及び/又は「有効な腫瘍阻害量」であり得、これらは、投与されるべき本発明の組成物の正確な量であり得、医師が患者(対象)の年齢、体重、腫瘍サイズ、感染又は転移の程度及び状態の個々の差異を考慮して決定することができる。概して、本明細書中に記載される細胞障害性リンパ球又はrTILを含む医薬組成物は、10~1011細胞/体重kg(例えば、10~10、10~1010、10~1011、10~1010、10~1011、10~1011、10~1010、10~1011、10~1010、10~1011又は10~1010細胞/体重kg)(これらの範囲内の全ての整数値を含む)の投薬量で投与され得ると述べることができる。細胞障害性リンパ球又はrTIL組成物はまた、これらの投薬量で複数回投与され得る。細胞障害性リンパ球又はrTILは、免疫療法において一般的に知られている注入技術を用いて投与され得る(例えば、Rosenberg et al., N. Eng. J. Med. 319: 1676, 1988を参照されたい)。特定の患者にとって最適な投薬量及び処置レジームは、疾患の徴候について患者を監視して、処置を然るべく調整することにより、医学の当業者によって容易に決定され得る。
【0059】
[0081] 本明細書中で用いられる用語「治療効果」は、ヒト対象における治療的利益及び/又は予防的利益を包含する。予防的効果として、疾患若しくは症状の所見を遅延させるか若しくは除外すること、疾患若しくは症状の病徴の発現を遅延させるか若しくは除外すること、疾患若しくは症状の進行を遅らせ、停止させるか若しくは回復に向かわせること、又はそれらのあらゆる組合せが挙げられる。
【0060】
[0082] 「薬学的に許容できるキャリア」又は「薬学的に許容できる賦形剤」として、あらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤並びに不活性成分が挙げられることが意図される。そのような薬学的に許容できるキャリア又は薬学的に許容できる賦形剤の有効医薬成分への使用は、当該技術分野において周知である。従来のあらゆる薬学的に許容できるキャリア又は薬学的に許容できる賦形剤が有効医薬成分と適合しない場合を除き、本発明の治療組成物での使用が意図される。追加の有効医薬成分、例えば他の薬物も、記載される組成物及び方法に組み込まれ得る。
【0061】
[0083] 用語「処置」、「処置すること」、「処置する」等は、所望の薬理学的効果及び/又は生理学的効果を得ることを指す。この効果は、疾患若しくはその病徴を完全に若しくは部分的に予防する点から見ると予防的であり得、及び/又は疾患及び/又は疾患に起因する副作用の部分的な若しくは完全な治療の点から見ると治療的であり得る。本明細書中で用いられる「処置」は、哺乳類、特にヒトにおける疾患のあらゆる処置を包含し、以下を含む:(a)疾患の傾向があり得るが、疾患を患っていると依然として診断されていない対象において、疾患が発症するのを予防することと、(b)疾患を阻害すること、すなわち疾患の発症又は進行を抑制することと、(c)疾患を和らげること、すなわち疾患の退縮を引き起こし、及び/又は1つ以上の病徴を和らげること。「処置」は、疾患又は症状すらない場合における、薬理効果をもたらすための剤の送達を包含することも意味する。例えば、「処置」は、疾患症状がない場合における、例えばワクチンの場合における、免疫応答を誘発することができるか又は免疫を付与することができる組成物の送達を包含する。
【0062】
[0084] 核酸又はタンパク質の部分に関して用いられる場合の用語「異種」は、核酸又はタンパク質が2つ以上のサブ配列を含み、これらが、自然界での互いとの関係について同じである関係が見出されないことを示す。例えば、核酸が典型的に組換えにより生じて、無関係な遺伝子由来の2つ以上の配列、例えばある源由来のプロモータ及び別の源由来のコード領域又は異なる源由来のコード領域が新しい機能的核酸を形成するように構成されることである。同様に、異種起源のタンパク質は、タンパク質が2つ以上のサブ配列を含み、これらが、自然界での互いとの関係について同じである関係が見出されないことを示す(例えば、融合タンパク質)。
【0063】
[0085] 用語「迅速な増殖」は、抗原特異的TILの数の、1週間にわたる少なくとも約3倍(又は4倍、5倍、6倍、7倍、8倍若しくは9倍)、より好ましくは1週間にわたる少なくとも約10倍(又は20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍若しくは90倍)、最も好ましくは1週間にわたる少なくとも約100倍の増大を意味する。いくつかの迅速な増殖プロトコルが本明細書中で概説される。
【0064】
[0086] 本明細書中の「腫瘍浸潤リンパ球」又は「TIL」は、対象の血流から離れて腫瘍中に移行した白血球として元々得られた細胞の集団を意味する。TILとして、以下に限定されないが、CD8細胞毒性T細胞(リンパ球)、Th1及びTh17 CD4T細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞並びにM1マクロファージが挙げられる。TILとして、一次TIL及び二次TILの両方が挙げられる。「一次TIL」は、本明細書中で概説されるように患者組織サンプルから得られる(時折「新たに収穫される」と呼ばれる)ものであり、及び「二次TIL」は、本明細書中で考察されるように増殖されたあらゆるTIL細胞集団であり、以下に限定されないが、バルクTIL及び増殖TIL(「REP TIL」又は「ポストREP TIL」)が挙げられる。特定の実施形態において、用語「一次TIL」は、rTIL並びにeTIL及びrTILの混合物を含み得る。
【0065】
[0087] 本明細書中の(TILを含む)「細胞の集団」は、共通の形質を共有するいくつかの細胞を意味する。一般に、集団は、概して、数が1×10~1×1010個に及び、様々なTIL集団が様々な数を含む。例えば、IL-2の存在下での一次TILの最初の増殖では、およそ1×10細胞のバルクTILの集団となる。REP増殖は、概して、注入のために1.5×10~1.5×1010細胞の集団を提供するようになされる。
【0066】
[0088] 用語「末梢血単核細胞」及び「PBMC」は、円形核を有する末梢血球を指し、リンパ球(例えば、T細胞、B細胞及びNK細胞)及び単球が挙げられる。好ましくは、末梢血単核細胞は、照射された同種末梢血単核細胞である。PBMCは、抗原提示細胞の一種である。
【0067】
[0089] 本明細書中の「低温保存TIL」は、一次TIL、バルクTIL又は増殖TIL(REP TIL)が約-150℃~-60℃の範囲で処理及び貯蔵されていることを意味する。また、低温保存のための一般的な方法が本明細書中の他の箇所に記載されている。明確にするために、「低温保存TIL」は、rTILを含む一次TILの源として用いられ得る凍結組織サンプルと区別可能である。
【0068】
[0090] 本明細書中の「解凍された低温保存TIL」は、以前に低温保存されてから、細胞培養温度又はTILが患者に投与され得る温度が挙げられるが、これらに限定されない室温以上に戻るように処理されたTIL(例えば、rTIL)の集団を意味する。
【0069】
[0091] 2つ以上の核酸又はポリペプチドに関連して、用語「配列同一性」、「パーセント同一性」及び「配列パーセント同一性」は、あらゆる保存的アミノ酸置換を配列同一性の一部として考慮しないで、最大一致について比較且つアラインされた(必要に応じてギャップを導入した)場合の、同じであるか又は特定のパーセンテージで同じヌクレオチド若しくはアミノ酸残基を有する2つ以上の配列又はサブ配列を指す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェア若しくはアルゴリズムを用いて、又は視覚による検査によって測定され得る。アミノ酸又はヌクレオチド配列のアラインメントを得るのに用いられ得る種々のアルゴリズム及びソフトウェアが当該技術分野において知られている。パーセント配列同一性を判定する適切なプログラムとして、例えば米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTのウェブサイトから入手可能なBLASTプログラム集が挙げられる。2つの配列間の比較は、BLASTN又はBLASTPのアルゴリズムを用いて実行され得る。BLASTNは、核酸配列を比較するのに用いられる一方、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するのに用いられる。ALIGN、ALIGN-2(Genentech, South San Francisco, California)又はMegAlign(DNASTARから入手可能)は、配列をアラインするのに用いられ得る公表されている更なるソフトウェアプログラムである。当業者であれば、特定のアラインメントソフトウェアにより、最大アラインメントに適したパラメータを決定することができる。特定の実施形態において、アラインメントソフトウェアのデフォルトパラメータが用いられる。
【0070】
[0092] 用語「保存的アミノ酸置換」は、抗原への抗体の結合を排除しないアミノ酸配列の修飾を意味する。保存的アミノ酸置換として、あるクラス内のアミノ酸の、同じクラスのアミノ酸による置換が挙げられ、クラスは、共通の物理化学的アミノ酸側鎖の特性及び自然界に見出される相同タンパク質における高い置換頻度によって定義され、これらは、例えば、標準的なDayhoff頻度交換マトリックス又はBLOSUMマトリックスによって判定される。アミノ酸側鎖の6つの一般的なクラスがカテゴリ化されており、以下が挙げられる:クラスI(Cys);クラスII(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);クラスIII(Asn、Asp、Gln、Glu);クラスIV(His、Arg、Lys);クラスV(Ile、Leu、Val、Met);及びクラスVI(Phe、Tyr、Trp)。例えば、Aspの、クラスIIIの別の残基、例えばAsn、Gln又はGluとの置換は、保存的置換である。したがって、タンパク質中の予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じクラス由来の別のアミノ酸残基で置換されている。抗原結合を失わせないアミノ酸保存的置換を特定する方法が当該技術分野において周知である(例えば、Brummell, et al, Biochemistry 1993, 32, 1180-1187;Kobayashi, et al., Protein Eng. 1999, 12, 879-884 (1999);及びBurks, et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 412-417を参照されたい)。
【0071】
[0093] 「ペグ化」は、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体と、1つ以上のPEG基が抗体又は抗体フラグメントに取り付けられる条件下で典型的に反応する抗体若しくは融合タンパク質又はそのフラグメントの修飾を指す。ペグ化は、例えば、抗体(例えば、血清)の生物学的半減期を増大させ得る。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(又は類似する反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して実行される。本明細書中で用いられる用語「ポリエチレングリコール」は、他のタンパク質、例えばモノ(C~C10)アルコキシ-若しくはアリールオキシ-ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール-マレイミドを誘導体化するのに用いられたPEGのあらゆる形態を包含することが意図される。ペグ化されることとなるタンパク質又は抗体は、非グリコシル化タンパク質又は非グリコシル化抗体であり得る。ペグ化の方法が当該技術分野において知られており、且つ本発明の抗体に用いられ得、例えば欧州特許第0154316号及び欧州特許第0401384号並びに米国特許第5,824,778号に記載されており、これらの各開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
[0094] 用語「OKT-3」(本明細書中で「OKT3」とも呼ぶ)は、成熟T細胞のT細胞抗原受容体におけるCD3受容体に向けられるモノクローナル抗体又はそのバイオシミラー若しくは変異体(ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体又はマウス抗体が挙げられる)を指し、市販されている形態、例えばOKT-3(30ng/mL、MACS GMP CD3 pure, Miltenyi Biotech, Inc., San Diego, CA, USA)及びムロモナブ又はそれらの変異体、保存的アミノ酸置換体、グリコフォーム若しくはバイオシミラーが挙げられる。ムロモナブの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列が表1(配列番号1及び配列番号2)に与えられている。OKT-3を産生することができるハイブリドーマがAmerican Type Culture Collectionに寄託されており、ATCC受託番号CRL 8001が割り当てられている。また、OKT-3を産生することができるハイブリドーマがEuropean Collection of Authenticated Cell Cultures(ECACC)に寄託されており、カタログ番号86022706が割り当てられている。また、抗CD3抗体として、UHCT1クローン(BioLegend, San Diego, CA, USAから市販されている)(T3及びCD3εとしても知られている)が挙げられる。
【0073】
【表1】
【0074】
[0095] 用語「IL-2」(本明細書中で「IL2」とも呼ぶ)は、インターロイキン-2として知られているT細胞増殖因子を指し、ヒトの形態及び哺乳類の形態、それらの保存的アミノ酸置換体、グリコフォーム、バイオシミラー及び変異体が挙げられるIL-2の全ての形態を含む。IL-2は、例えば、Nelson, J. Immunol. 2004, 172, 3983-88及びMalek, Annu. Rev. Immunol. 2008, 26, 453-79に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明での使用に適した組換えヒトIL-2のアミノ酸配列が表2に与えられている(配列番号3)。例えば、用語IL-2は、IL-2のヒト組換え形態、例えばアルデスロイキン(PROLEUKIN、複数の供給者から単回使用バイアルあたり2200万IUで市販されている)並びにCellGenix, Inc., Portsmouth, NH, USA(CELLGRO GMP)又はProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-209-b)によって商業的に供給される組換えIL-2の形態及び他のベンダー由来の他の市販の均等物を包含する。アルデスロイキン(デス-アラニル-1、セリン-125ヒトIL-2)は、およそ15kDaの分子量を有するIL-2の非グリコシル化ヒト組換え形態である。本発明での使用に適したアルデスロイキンのアミノ酸配列が表2に与えられている(配列番号4)。用語IL-2は、本明細書中に記載されるIL-2のペグ化形態も包含しており、ペグ化IL2プロドラッグNKTR-214(Nektar Therapeutics, South San Francisco, CA, USAから入手可能)が挙げられる。本発明での使用に適したNKTR-214及びペグ化IL-2が米国特許出願公開第2014/0328791A1号及び国際公開第2012/065086A1号に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明での使用に適した結合IL-2の代替形態が米国特許第4,766,106号、米国特許第5,206,344号、米国特許第5,089,261号及び米国特許第4,902,502号に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明での使用に適したIL-2の製剤が米国特許第6,706,289号に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
【表2】
【0076】
[0096] 用語「IL-4」(本明細書中で「IL4」とも呼ぶ)は、インターロイキン4として知られているサイトカインを指し、これは、Th2 T細胞により、且つ好酸球、好塩基球及び肥満細胞により産生される。IL-4は、ナイーブヘルパーT細胞(Th0細胞)の、Th2 T細胞への分化を調節する。Steinke and Borish, Respir. Res. 2001, 2, 66-70。IL-4による活性化の直後に、Th2 T細胞は、続いてポジティブフィードバックループにおいて追加のIL-4を産生する。IL-4はまた、B細胞の増殖及びクラスII MHCの発現を誘発して、B細胞からのIgE及びIgGの発現にスイッチするクラスを誘導する。本発明での使用に適した組換えヒトIL-4は、複数の供給者から市販されており、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-211)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL-4組換えタンパク質、カタログ番号Gibco CTP0043)が挙げられる。本発明での使用に適した組換えヒトIL-4のアミノ酸配列が表2に与えられている(配列番号5)。
【0077】
[0097] 用語「IL-7」(本明細書中で「IL7」とも呼ぶ)は、インターロイキン7として知られているグリコシル化組織由来サイトカインを指し、これは、間質細胞及び上皮細胞並びに樹状細胞から得られ得る。Fry and Mackall, Blood 2002, 99, 3892-904。IL-7は、T細胞の発達を刺激することができる。IL-7は、IL-7受容体(IIL-7受容体であるアルファ鎖及び共通ガンマ鎖受容体からなるヘテロダイマー)に結合し、これは、一連のシグナルでは、胸腺内での発達及び末梢内でのT細胞の生存に重要である。本発明での使用に適した組換えヒトIL-4が複数の供給者から市販されており、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-254)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL-7組換えタンパク質、カタログ番号Gibco PHC0071)が挙げられる。本発明での使用に適した組換えヒトIL-7のアミノ酸配列が表2に与えられている(配列番号6)。
【0078】
[0098] 用語「IL-15」(本明細書中で「IL15」とも呼ぶ)は、インターロイキン-15として知られているT細胞増殖因子を指し、ヒトの形態及び哺乳類の形態、それらの保存的アミノ酸置換体、グリコフォーム、バイオシミラー及び変異体が挙げられるIL-2の全ての形態を含む。IL-15は、例えば、Fehniger and Caligiuri, Blood 2001, 97, 14-32に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。IL-15は、β及びγシグナル伝達受容体サブユニットをIL-2と共有する。組換えヒトIL-15は、12.8kDaの分子量を有する114個のアミノ酸(及びN末端メチオニン)を含有する単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖である。組換えヒトIL-15は、複数の供給者から市販されており、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-230-b)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL-15組換えタンパク質、カタログ番号34-8159-82)が挙げられる。本発明での使用に適した組換えヒトIL-15のアミノ酸配列が表2に与えられている(配列番号7)。
【0079】
[0099] 用語「IL-21」(本明細書中で「IL21」とも呼ぶ)は、インターロイキン-21として知られている多面発現性サイトカインタンパク質を指し、ヒトの形態及び哺乳類の形態、それらの保存的アミノ酸置換体、グリコフォーム、バイオシミラー及び変異体が挙げられるIL-21の全ての形態を含む。IL-21は、例えば、Spolski and Leonard, Nat. Rev. Drug. Disc. 2014, 13, 379-95に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。IL-21は、主にナチュラルキラーT細胞及び活性化されたヒトCD4T細胞によって産生される。組換えヒトIL-21は、15.4kDaの分子量を有する132個のアミノ酸を含有する単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖である。組換えヒトIL-21は、複数の供給者から市販されており、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-408-b)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL-21組換えタンパク質、カタログ番号14-8219-80)が挙げられる。本発明での使用に適した組換えヒトIL-21のアミノ酸配列が表2に与えられている(配列番号8)。
【0080】
[00100] 用語「バイオシミラー」は、モノクローナル抗体又は融合タンパク質が挙げられるバイオ生成物を意味し、これは、臨床的に不活性の構成要素内の差異が僅かであるにもかかわらず、米国で認可された基準バイオ生成物と高度に類似し、これについて、生成物の安全性、純度及び効力に関してバイオ生成物と基準生成物との間で臨床的に意味がある差異はない。さらに、類似のバイオ医薬品又は「バイオシミラー」医薬品は、European Medicines Agencyによって使用が既に認可された別のバイオ医薬品と類似するバイオ医薬品である。用語「バイオシミラー」は、他の国及び地域の規制機関によっても同義的に用いられる。バイオ生成物又はバイオ医薬品は、生物源、例えば細菌又は酵母によって製造されるか又はこれらに由来する医薬品である。これらは、比較的小さい分子、例えばヒトインスリン若しくはエリトロポイエチン又は複合分子、例えばモノクローナル抗体からなり得る。例えば、基準IL-2タンパク質がアルデスロイキン(PROLEUKIN)である場合、アルデスロイキンに関して薬物規制当局によって承認されるタンパク質は、アルデスロイキン及び「バイオシミラー」であり、又はアルデスロイキンの「そのバイオシミラー」である。欧州では、類似のバイオ医薬品又は「バイオシミラー」医薬品は、European Medicines Agency(EMA)によって使用が既に認可された別のバイオ医薬品と類似するバイオ医薬品である。欧州における類似の生物学的用途についての関連する法的根拠は、規則(EC)No 726/2004の第6条及び指令2001/83/ECの第10条第4項(改定)であるため、欧州において、バイオシミラーは、規則(EC)No 726/2004の第6条及び指令2001/83/ECの第10条第4項の下で認可され得、認可又は認可の申請の対象が承認され得る。既に認可された元のバイオ医薬生成物は、欧州において「基準医薬生成物(reference medicinal product)」と呼ばれ得る。バイオシミラーとみなされるための生成物の一部の要件は、Similar Biological Medicinal Productsに関するCHMPガイドラインに概説されている。加えて、モノクローナル抗体バイオシミラーに関するガイドラインが挙げられる生成物特定ガイドラインは、生成物対生成物基準でEMAによって提供されており、そのウェブサイト上に公開されている。本明細書中に記載されるバイオシミラーは、品質特性、生物学的活性、作用機構、安全性プロファイル及び/又は有効性が基準医薬生成物と類似し得る。加えて、バイオシミラーは、基準医薬生成物と同じ症状を処置するように用いられ得るか又はそのような使用が意図され得る。したがって、本明細書中に記載されるバイオシミラーは、基準医薬生成物と品質特性が類似するか又は高度に類似すると考えられ得る。代わりに又は加えて、本明細書中に記載されるバイオシミラーは、基準医薬生成物と生物学的活性が類似するか又は高度に類似すると考えられ得る。代わりに又は加えて、本明細書中に記載されるバイオシミラーは、基準医薬生成物と安全性プロファイルが類似するか又は高度に類似すると考えられ得る。代わりに又は加えて、本明細書中に記載されるバイオシミラーは、基準医薬生成物と有効性が類似するか又は高度に類似すると考えられ得る。本明細書中に記載される欧州におけるバイオシミラーは、EMAによって認可された基準医薬生成物と比較される。しかしながら、場合により、バイオシミラーは、特定の研究において、欧州経済地域(European Economic Area)外で認可されたバイオ医薬生成物(非EEA認可「コンパレータ」)と比較され得る。そのような研究として、例えば特定の臨床研究及びインビボ非臨床的研究が挙げられる。本明細書中で用いられる用語「バイオシミラー」は、非EEA認可コンパレータとなったか又はこれと匹敵し得るバイオ医薬生成物にも関する。特定のバイオシミラーは、タンパク質、例えば抗体、抗体フラグメント(例えば、抗原結合部分)及び融合タンパク質である。タンパク質バイオシミラーは、ポリペプチドの機能に大きい影響を及ぼさない、アミノ酸構造体中に微量の修飾(例えば、アミノ酸の欠失、付加及び/又は置換が挙げられる)を有するアミノ酸配列を有し得る。バイオシミラーは、その基準医薬生成物のアミノ酸配列に対して97%以上、例えば97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。バイオシミラーは、1つ以上の翻訳後修飾、例えば、限定されないが、グリコシル化、酸化、脱アミド化及び/又は切断を含み得、これらは、基準医薬生成物の翻訳後修飾と異なる(但し、差異が、医薬生成物の安全性及び/又は有効性の変化をもたらさない場合に限る)。バイオシミラーは、グリコシル化パターンが基準医薬生成物と同じであるか又は異なり得る。特に、排他的ではないが、バイオシミラーは、異なるグリコシル化パターンを有し得る(差異が基準医薬生成物と関連する安全性の問題に対処するか又は対処することが意図される場合)。加えて、バイオシミラーは、基準医薬生成物から例えばその強度、医薬形態、製剤、賦形剤及び/又は提示が逸脱し得る(但し、医薬生成物の安全性及び有効性が損なわれない場合に限る)。バイオシミラーは、基準医薬生成物と比較して例えば薬物動態学的(PK)プロファイル及び/又は薬力学的(PD)プロファイルの差異を含み得るが、認可されることとなるか又は認可に適しているとみなされる基準医薬生成物となおも十分に類似すると考えられる。特定の状況において、バイオシミラーは、基準医薬生成物と比較して異なる結合特性を示し、異なる結合特性は、規制当局、例えばEMAにより、類似のバイオ生成物としての認可の障壁とならないとみなされる。用語「バイオシミラー」は、他の国及び地域の規制機関によっても同義的に用いられる。
【0081】
[00101] 本明細書中で用いられる用語「変異体」は、以下に限定されないが、基準抗体のアミノ酸配列と、基準抗体のアミノ酸配列内の又はこれに隣接する特定の位置での1つ以上の置換、欠失及び/又は付加によって異なるアミノ酸配列を含む抗体又は融合タンパク質を包含する。変異体は、基準抗体のアミノ酸配列と比較して1つ以上の保存的置換をそのアミノ酸配列中に含み得る。保存的置換は、例えば、同様に荷電したアミノ酸又は荷電しないアミノ酸の置換を含み得る。変異体は、基準抗体の抗原に特異的に結合する能力を保持する。用語変異体は、ペグ化抗体又はペグ化タンパク質も含む。
【0082】
[00102] 「ペグ化」は、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体と、1つ以上のPEG基が抗体、抗体フラグメント又はタンパク質に取り付けられる条件下で典型的に反応する修飾抗体又はそのフラグメントを指す。ペグ化は、例えば、抗体又はタンパク質(例えば、血清)の生物学的半減期を増大させ得る。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(又は類似する反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して実行される。本明細書中で用いられる用語「ポリエチレングリコール」は、他のタンパク質、例えばモノ(C~C10)アルコキシ-若しくはアリールオキシ-ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール-マレイミドを誘導体化するのに用いられたPEGのあらゆる形態を包含することが意図される。ペグ化されることとなる抗体又はタンパク質は、非グリコシル化抗体であり得る。ペグ化の方法が当該技術分野において知られており、且つ本発明の抗体に用いられ得、例えば欧州特許第0154316号及び欧州特許第0401384号に記載されている。
【0083】
[00103] 用語「血液悪性腫瘍」は、以下に限定されないが、血液、骨髄、リンパ節及びリンパ系の組織が挙げられる造血組織及びリンパ組織の哺乳類の癌及び腫瘍を指す。血液悪性腫瘍は、「液性腫瘍」とも呼ばれる。血液悪性腫瘍として、以下に限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球白血病(AMoL)、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫が挙げられる。用語「B細胞血液悪性腫瘍」は、B細胞を襲う血液悪性腫瘍を指す。
【0084】
[00104] 用語「固形腫瘍」は、嚢胞も液体領域も通常含有しない組織の異常な塊を指す。固形腫瘍は、良性であるか又は悪性であり得る。用語「固形腫瘍癌」は、悪性、腫瘍性又は癌性の固形腫瘍を指す。固形腫瘍癌として、以下に限定されないが、肉腫、癌腫及びリンパ腫、例えば肺、乳房、前立腺、結腸、直腸及び膀胱の癌が挙げられる。固形腫瘍の組織構造体として、癌細胞が分散しており、且つ支持微環境を提供し得る、柔組織(癌細胞)及び支持間質細胞を含む相互依存組織コンパートメントが挙げられる。
【0085】
[00105] 用語「液性腫瘍」は、自然界で流体である細胞の異常な塊を指す。液性腫瘍癌として、白血病、骨髄腫及びリンパ腫並びに他の血液悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。また、液性腫瘍から得られるTILは、本明細書中で骨髄浸潤リンパ球(MIL)と呼ばれ得る。
【0086】
[00106] 本明細書中で用いられる用語「微環境」は、固形腫瘍又は血液腫瘍の全体としての微環境又は微環境内の細胞の個々のサブセットを指し得る。本明細書中で用いられる腫瘍微環境は、Swartz, et al., Cancer Res., 2012, 72, 2473に記載される「悪性形質転換を促進し、腫瘍の増殖及び浸潤を支持し、腫瘍を宿主免疫から保護し、治療耐性を促進し、且つ発達するための優位な転移のためのニッチを提供する細胞、可溶性因子、シグナル伝達分子、細胞外マトリックス及び機械的合図」の複合混合物を指す。腫瘍は、T細胞によって認識されるはずの抗原を発現するが、免疫系による腫瘍のクリアランスは、微環境による免疫抑制のために稀である。
【0087】
[00107] 本明細書中で用いられる、腫瘍を崩壊させるプロセスを説明するための用語「フラグメンティング」、「フラグメント」及び「フラグメント化される」は、機械的なフラグメンテーション方法、例えば腫瘍組織の破砕、スライス、分割及び細切除並びに腫瘍組織の物理的構造を崩壊させる他のあらゆる方法を含む。
【0088】
[00108] 用語「約」及び「およそ」は、値の統計学的に有意な範囲内を意味する。そのような範囲は、所定の値又は範囲の1桁以内、好ましくは50%以内、より好ましくは20%以内、さらにより好ましくは10%以内、さらにより好ましくは5%以内であり得る。用語「約」又は「およそ」によって包含される許容可能な変動は、研究中の特定の系次第であり、当業者によって容易に理解され得る。さらに、本明細書中で用いられる用語「約」及び「およそ」は、寸法、サイズ、式、パラメータ、形状並びに他の量及び特性が正確でなく、且つ正確である必要がないことを意味するが、所望に応じておよその及び/又はより大きいか若しくはより小さい反映耐容性(reflecting tolerance)、換算係数、四捨五入、測定エラー等、及び当業者に知られている他の係数であり得る。一般に、寸法、サイズ、式、パラメータ、形状又は他の量若しくは特性は、そうであると明確に述べられているか否かにかかわらず、「約」又は「およそ」である。なお、サイズ、形状及び寸法が非常に異なる実施形態は、記載される構成を使用し得る。
【0089】
[00109] 移行用語「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」は、添付の特許請求の範囲において元の形態及び補正された形態で用いられる場合、記載されていない追加の特許請求の範囲の要素又は工程(存在する場合)が特許請求の範囲から除外されることに関して、特許請求の範囲を定義する。用語「含む」は、包含的であること又はオープンエンドであることが意図されており、記載されていない追加のいかなる要素、方法、工程又は材料も除外しない。用語「からなる」は、特許請求の範囲において指定されたもの以外、及び後の例では、指定された材料と通常関連する不純物以外のあらゆる要素、工程又は材料を排除する。用語「から本質的になる」は、特許請求の範囲を、指定された要素、工程又は材料並びに特許請求される本発明の基礎的な特性及び新規の特性に物質的に影響を及ぼさないものに限定する。本発明を具体化する本明細書中に記載される全ての組成物、方法及びキットは、代替の実施形態において、移行用語「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」のいずれかによってより具体的に定義され得る。
【0090】
[00110] 疑義の回避のために、本明細書中では、本発明の特定の態様、実施形態又は実施例と関連して記載される特定の特徴(例えば、整数、特性、値、使用、疾患、式、化合物又は基)は、本明細書中に記載される他のあらゆる態様、実施形態又は実施例にそれらと不適合でない限り適用可能であると理解されるべきであることが意図される。したがって、そのような特徴は、本明細書中で定義される定義、特許請求の範囲又は実施形態のいずれかと関連して適切な場合に用いられ得る。本明細書中に開示される特徴の全て(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)及び/又はそのように開示されるあらゆる方法若しくはプロセスの工程の全てがあらゆる組合せで組み合わされ得るが、特徴及び/又は工程の少なくとも一部が相互排他的である組合せを除く。本発明は、開示されるあらゆる実施形態のいずれかの詳細に限定されない。本発明は、本明細書中に開示される特徴の新規の1つ若しくは新規の組合せ(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)又はそのように開示されるあらゆる方法若しくはプロセスの工程の新規の1つ若しくは新規の組合せに及ぶ。
【0091】
レムナント腫瘍浸潤リンパ球を増殖させる方法
[00111] 一実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるように、腫瘍の消化後にレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を増殖させる方法を含む。
【0092】
[00112] 一実施形態において、本発明は、rTILを増殖させる方法を含み、方法は、少なくとも1つのrTILを含むrTILの集団をIL-2と接触させることによってrTILを増殖させることを含む。
【0093】
[00113] 一実施形態において、本発明は、rTILの集団を増殖させる方法を提供し、方法は、Jin, et al., J. Immunotherapy 2012, 35, 283-292に記載される工程を含み、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、腫瘍は、酵素媒体中に入れられ得、且つおよそ1分間、機械的にフラグメント化され得る。次に、混合物は、5%CO中で37℃において30分間インキュベートされてから、ここでもおよそ1分間、機械的にフラグメント化され得る。5%CO中での37℃での30分間のインキュベーション後、腫瘍は、3回目におよそ1分間、機械的にフラグメント化され得る。3回目の機械崩壊後、大きい片の組織が存在する場合、1回又は2回の追加の機械分離がサンプルに施され得、5%CO中での37℃での30分の追加のインキュベーションがあってもなくてもよい。最後のインキュベーション終了後、細胞懸濁液が多数の赤血球又は死んだ細胞を含有する場合、これらの細胞を除去するために、Ficollを用いた密度勾配分離が実行され得る。TIL培養を24ウェルプレート(Costar 24ウェル細胞培養クラスタ、平底;Corning Incorporated, Corning, NY)内で開始し、各ウェルに対し、IL-2(6000IU/mL;Chiron Corp., Emeryville, CA)入りの2mLの完全培地(CM)中の1×10腫瘍消化細胞又はサイズがおよそ1~8mmの1腫瘍フラグメントが播種され得る。CMは、GlutaMAX入りの、10%ヒトAb血清、25mM Hepes及び10mg/mlゲンタマイシンが補充されたRPMI 1640からなる。培養は、40mL容量の、10cmの気体透過性シリコンボトムを有する気体透過性フラスコ(G-Rex 10;Wilson Wolf Manufacturing, New Brighton)内で開始され得、各フラスコに対し、IL-2入りの10~40mLのCM中、10~40×10個の生存腫瘍消化細胞又は5~30個の腫瘍フラグメントがロードされ得る。G-Rex 10及び24ウェルプレートが、37℃の加湿インキュベータ内において5%CO中でインキュベートされ得、培養開始の5日後に半分の培地が除去されてフレッシュなCM及びIL-2で置換され得、第5日後に半分の培地が2~3日毎に変えられ得る。TILのための迅速増殖プロトコル(REP)は、本明細書中の他の箇所に記載されるように、T-175フラスコ及び気体透過性バッグ又は気体透過性G-Rexフラスコを用いて実行され得る。T-175フラスコ内でのREPについて、1×10rTILが各フラスコ内の150mLの培地中に懸濁され得る。rTILは、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mLの抗CD3抗体(OKT-3)が補充されたCM及びAIM-V培地(50/50培地)の1対1混合物中で培養され得る。T-175フラスコは、5%CO中で37℃においてインキュベートされ得る。半分の培地は、5日目に3000IU/mLのIL-2入りの50/50培地を用いて変えられ得る。7日目に、2つのT-175フラスコ由来の細胞が3Lバッグ内で組み合わされ得、及び5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2入りの300mLのAIM-Vが300mLのTIL懸濁液に加えられ得る。各バッグ内の細胞数は、毎日又は2日毎にカウントされ得、及びフレッシュな培地は、0.5~2.0×10細胞/mLの細胞数を維持するように加えられ得る。100cmの気体透過性シリコンボトムを有する500mL容量フラスコ(例えば、本明細書中の他の箇所に記載されるG-Rex 100、Wilson Wolf Manufacturing)内でのREPについて、5×10又は10×10TILは、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mLの抗CD3抗体(OKT-3)が補充された400mLの50/50培地中で培養され得る。G-Rex 100フラスコは、5%CO中で37℃においてインキュベートされ得る。5日目に、250mLの上清が除かれて遠心分離ボトル中に入れられ、1500rpm(491g)において10分間遠心分離され得る。得られたTILペレットは、3000IU/mLのIL-2入りの150mLのフレッシュな50/50培地で再懸濁されて、G-Rex 100フラスコに戻され得る。TILがG-Rex 100フラスコ内で順次増殖された場合、7日目に、各G-Rex 100中のTILは、各フラスコ内に存在する300mLの培地中に懸濁されて、細胞懸濁液は、3つのG-Rex 100フラスコに播種するのに用いられ得る3つの100mLアリコートに分割され得る。次に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2入りの約150mLのAIM-Vが各フラスコに加えられ得る。次に、G-Rex 100フラスコが5%CO中で37℃においてインキュベートされ得、及び4日目後に3000IU/mLのIL-2入りの150mLのAIM-Vが各G-Rex 100フラスコに加えられ得る。この後、REPは、培養の14日目に細胞を収穫することによって完了され得る。
【0094】
[00114] 一実施形態において、癌を増殖させるか又は処理する方法は、TILを患者の腫瘍サンプルから得る工程を含む。患者の腫瘍サンプルは、当該技術分野において知られている方法を用いて得ることができる。例えば、TILは、酵素による腫瘍消化物及び鋭的切開由来の腫瘍フラグメント(約1~約8mmのサイズ)から培養され得る。そのような腫瘍消化物は、酵素媒体中でのインキュベーション(例えば、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640バッファ、2mMグルタメート、10mcg/mLゲンタマイシン、30ユニット/mL DNase及び1.0mg/mLコラゲナーゼ)、それに続く機械分離(例えば、組織ディソシエータ又はフラグメンテータを用いる)によって生成され得る。腫瘍消化物は、腫瘍を酵素媒体中に入れて、腫瘍を機械的におよそ1分間フラグメント化してから、5%CO中で37℃において30分間インキュベーションした後、上述の条件下において、小さい組織片のみが存在するまで機械分離及びインキュベーションのサイクルを繰り返すことによって生成され得る。このプロセスの終了後、細胞懸濁液が多数の赤血球又は死んだ細胞を含有する場合、FICOLL分枝状親水性多糖を用いた密度勾配分離がこれらの細胞を除去するために実行され得る。当該技術分野において知られている代替方法が用いられ得、例えば米国特許出願公開第2012/0244133A1号に記載されるものがあり、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。上述の方法のいずれかが、本明細書中に記載される実施形態のいずれかにおいて、TILを増殖させる方法又は癌を処理する方法に用いられ得る。
【0095】
[00115] 一実施形態において、rTILのREPは、気体透過性コンテナ内で適切なあらゆる方法を用いて実行され得る。例えば、rTILは、例えば、国際公開第2015/189356A1号及び国際公開第2015/189356A1号に記載されるように、非特異的T細胞受容体の刺激をインターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-15(IL-15)及び/又はインターロイキン-21(IL-21)の存在下で用いて迅速に増殖させることができ、これらの各開示は、参照により本明細書に組み込まれる。非特異的T細胞受容体の刺激は、例えば、約30ng/mLのOKT-3(モノクローナル抗CD3抗体)(Ortho-McNeil, Raritan, NJ又はMiltenyi Biotech, Inc., San Diego, CA, USAから市販されている)を含み得る。TILは、癌の1つ以上の抗原(その抗原性部分、例えばエピトープが挙げられる)によるTILの更なるインビトロ刺激によって迅速に増殖し得、抗原は、任意選択的に、任意選択的にT細胞増殖因子、例えば300IU/mLのIL-2又はIL-15の存在下でベクターから発現され得る(例えば、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)結合ペプチド、例えば0.3μM MART-L26-35(27L)又はgpl 00:209-217(210M))。他の適切な抗原として、例えばNY-ESO-1、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼ癌抗原、MAGE-A3、SSX-2及びVEGFR2又はそれらの抗原性部分が挙げられ得る。TILは、HLA-A2発現抗原提示細胞上にパルスにされた癌の同じ抗原による再刺激によっても迅速に増殖し得る。これ以外にも、TILは、例えば、照射された自己由来のリンパ球又は照射されたHLA-A2+同種リンパ球及びIL-2でさらに再刺激され得る。
【0096】
[00116] 一実施形態において、TILを増殖させる方法は、約5000mL~約25000mLの細胞培地、約5000mL~約10000mLの細胞培地又は約5800mL~約8700mLの細胞培地を用いることを含み得る。一実施形態において、TILを増殖させる方法は、約1000mL~約2000mLの細胞培地、約2000mL~約3000mLの細胞培地、約3000mL~約4000mLの細胞培地、約4000mL~約5000mLの細胞培地、約5000mL~約6000mLの細胞培地、約6000mL~約7000mLの細胞培地、約7000mL~約8000mLの細胞培地、約8000mL~約9000mLの細胞培地、約9000mL~約10000mLの細胞培地、約10000mL~約15000mLの細胞培地、約15000mL~約20000mLの細胞培地又は約20000mL~約25000mLの細胞培地を用いることを含み得る。一実施形態において、TIL数の増殖には、1種類以下の細胞培地を用いる。適切なあらゆる細胞培地が用いられ得、例えばAIM-V細胞培地(L-グルタミン、50μMストレプトマイシンサルフェート及び10μMゲンタマイシンサルフェート)細胞培地(Invitrogen, Carlsbad CA)がある。この点に関して、本発明の方法は、有利には、TILの数を増殖させるのに必要とされる培地の量及び培地の種類数を引き下げる。一実施形態において、TIL数の増殖は、3日毎又は4日毎よりも少ない頻度で細胞を供給することを含み得る。気体透過性コンテナ内での細胞数の増殖は、細胞を増殖させるのに必須の供給頻度を引き下げることによって細胞数を増殖させるのに必須の手順を単純化する。
【0097】
[00117] 一実施形態において、迅速な増殖は、気体透過性コンテナを用いて実行される。そのような実施形態は、細胞集団を約5×10細胞/cmから10×10~30×10細胞/cmに増殖させ得る。一実施形態において、この増殖は、供給なしで起こる。一実施形態において、この増殖は、培地が気体透過性フラスコ内で約10cmの高さにおいて存在する限り、供給なしで起こる。一実施形態において、これは、供給なしであるが、1つ以上のサイトカインの添加がある。一実施形態において、サイトカインは、ボーラスとして加えられ得、サイトカインを培地と混合する必要は全くない。そのようなコンテナ、装置及び方法は、当該技術分野において知られており、TILを増殖させるのに用いられており、米国特許出願公開第2014/0377739A1号、国際公開第2014/210036A1号、米国特許出願公開第2013/0115617A1号、国際公開第2013/188427A1号、米国特許出願公開第2011/0136228A1号、米国特許第8,809,050号、国際公開第2011/072088A2号、米国特許出願公開第2016/0208216A1号、米国特許出願公開第2012/0244133A1号、国際公開第2012/129201A1号、米国特許出願公開第2013/0102075A1号、米国特許第8,956,860号、国際公開第2013/173835A1号及び米国特許出願公開第2015/0175966A1号に記載されるものが挙げられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。そのようなプロセスは、Jin, et al., J. Immunotherapy 2012, 35, 283-292にも記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
[00118] 一実施形態において、気体透過性コンテナは、G-Rex 10フラスコ(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、気体透過性コンテナは、10cmの気体透過性培養表面を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、40mLの細胞培地容量を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、2回の培地交換後に1億~3億TILを提供する。
【0099】
[00119] 一実施形態において、気体透過性コンテナは、G-Rex 100フラスコ(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、気体透過性コンテナは、100cmの気体透過性培養表面を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、450mLの細胞培地容量を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、2回の培地交換後に10億~30億TILを提供する。
【0100】
[00120] 一実施形態において、気体透過性コンテナは、G-Rex 100Mフラスコ(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、気体透過性コンテナは、100cmの気体透過性培養表面を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、1000mLの細胞培地容量を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、培地交換なしで10億~30億TILを提供する。
【0101】
[00121] 一実施形態において、気体透過性コンテナは、G-Rex 100Lフラスコ(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、気体透過性コンテナは、100cmの気体透過性培養表面を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、2000mLの細胞培地容量を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、培地交換なしで10億~30億TILを提供する。
【0102】
[00122] 一実施形態において、気体透過性コンテナは、G-Rex 24ウェルプレート(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、気体透過性コンテナは、ウェルを有するプレートを備え、各ウェルは、2cmの気体透過性培養表面を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、ウェルを有するプレートを備え、各ウェルは、8mLの細胞培地容量を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、2回の培地交換後に1ウェルあたり2000万~6000万細胞を提供する。
【0103】
[00123] 一実施形態において、気体透過性コンテナは、G-Rex 6ウェルプレート(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、気体透過性コンテナは、ウェルを有するプレートを備え、各ウェルは、10cmの気体透過性培養表面を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、ウェルを有するプレートを備え、各ウェルは、40mLの細胞培地容量を備える。一実施形態において、気体透過性コンテナは、2回の培地交換後に1ウェルあたり1億~3億細胞を提供する。
【0104】
[00124] 一実施形態において、第1の気体透過性コンテナ及び/又は第2の気体透過性コンテナ内の細胞培地は、濾過されていない。濾過されてない細胞培地の使用は、細胞数を増殖させるのに必須の手順を単純化し得る。一実施形態において、第1の気体透過性コンテナ及び/又は第2の気体透過性コンテナ内の細胞培地は、ベータメルカプトエタノール(BME)を欠いている。
【0105】
[00125] 一実施形態において、方法の期間は、腫瘍組織サンプルを哺乳類から得ることと、腫瘍組織サンプルを、細胞培地を含有する第1の気体透過性コンテナ内で培養することと、TILを腫瘍組織サンプルから得ることと、TIL数を、細胞培地を含有する第2の気体透過性コンテナ内で約14~約42日、例えば約28日の期間、増殖させることとを含む。
【0106】
[00126] 一実施形態において、迅速な増殖におけるrTILのPBMCに対する比率は、約1~25、約1~50、約1~100、約1~125、約1~150、約1~175、約1~200、約1~225、約1~250、約1~275、約1~300、約1~325、約1~350、約1~375、約1~400又は約1~500である。一実施形態において、迅速な増殖におけるrTILのPBMCに対する比率は、1~50乃至1~300である。一実施形態において、迅速な増殖におけるrTILのPBMCに対する比率は、1~100乃至1~200である。
【0107】
[00127] 一実施形態において、rTILのPBMCに対する比率(rTIL:PBMC)は、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、1:105、1:110、1:115、1:120、1:125、1:130、1:135、1:140、1:145、1:150、1:155、1:160、1:165、1:170、1:175、1:180、1:185、1:190、1:195、1:200、1:225、1:250、1:275、1:300、1:350、1:400、1:450及び1:500からなる群から選択される。好ましい実施形態において、rTILのPBMCに対する比率(rTIL:PBMC)は、約1:90である。好ましい実施形態において、TILのPBMCに対する比率(rTIL:PBMC)は、約1:95である。好ましい実施形態において、rTILのPBMCに対する比率(TIL:PBMC)は、約1:100である。好ましい実施形態において、rTILのPBMCに対する比率(TIL:PBMC)は、約1:105である。好ましい実施形態において、rTILのPBMCに対する比率(TIL:PBMC)は、約1:110である。
【0108】
[00128] 一実施形態において、細胞培地は、IL-2をさらに含む。好ましい実施形態において、細胞培地は、約3000IU/mLのIL-2を含む。一実施形態において、細胞培地は、約1000IU/mL、約1500IU/mL、約2000IU/mL、約2500IU/mL、約3000IU/mL、約3500IU/mL、約4000IU/mL、約4500IU/mL、約5000IU/mL、約5500IU/mL、約6000IU/mL、約6500IU/mL、約7000IU/mL、約7500IU/mL又は約8000IU/mLのIL-2を含む。一実施形態において、細胞培地は、1000~2000IU/mL、2000~3000IU/mL、3000~4000IU/mL、4000~5000IU/mL、5000~6000IU/mL、6000~7000IU/mL、7000~8000IU/mL又は8000IU/mLのIL-2を含む。
【0109】
[00129] 一実施形態において、細胞培地は、OKT-3抗体を含む。好ましい実施形態において、細胞培地は、約30ng/mLのOKT-3抗体を含む。一実施形態において、細胞培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、約1μg/mLのOKT-3抗体を含む。一実施形態において、細胞培地は、0.1ng/mL~1ng/mL、1ng/mL~5ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、50ng/mL~100ng/mLのOKT-3抗体を含む。
【0110】
[00130] 一実施形態において、TILのための迅速な増殖プロセスは、前述のように、T-175フラスコ及び気体透過性バッグ(Tran, et al., J. Immunother. 2008, 31, 742-51;Dudley, et al, J. Immunother. 2003, 26, 332-42)又は気体透過性培養器(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USAから市販されているG-Rexフラスコ)を用いて実行され得る。T-175フラスコ内でのTIL迅速増殖について、150mLの培地中に懸濁された1×10TILが各T-175フラスコに加えられ得る。TILは、CM及びAIM-V培地の1対1混合物中で培養され得、1mLあたり3000IU(注射単位)のIL-2及び1mLあたり30ngの抗CD3抗体(例えば、OKT-3)が補充される。T-175フラスコは、5%CO中で37℃においてインキュベートされ得る。半分の培地は、5日目に1mLあたり3000IUのIL-2入りの50/50培地を用いて交換され得る。7日目に、2つのT-175フラスコ由来の細胞が3リットルのバッグ内で組み合わされ得、5%ヒトAB血清及び1mLあたり3000IUのIL-2入りの300mLのAIM-Vを300mlのTIL懸濁液に加えた。各バッグ内の細胞数を毎日又は2日毎にカウントし、フレッシュな培地を、0.5~2.0×10細胞/mLの細胞数を維持するように加えた。
【0111】
[00131] 一実施形態において、100cmの気体透過性シリコンボトムを有する500mL容量の気体透過性フラスコ(G-Rex 100、Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USAから市販)内でのTIL迅速増殖について、5×10又は10×10TILが5%ヒトAB血清、1mLあたり3000IUのIL-2及び1mLあたり30ngの抗CD3(OKT-3)が補充された、50/50培地中で培養され得る。G-Rex 100フラスコは、5%CO中で37℃においてインキュベートされ得る。5日目に250mLの上清が除かれて遠心分離ボトル中に入れられ、1500rpm(回転/分;491×g)において10分間遠心分離され得る。TILペレットは、5%ヒトAB血清、1mLあたり3000IUのIL-2入りの150mLのフレッシュな培地で再懸濁されて、元のG-Rex 100フラスコに戻され得る。TILがG-Rex 100フラスコ内で順次増殖された場合、7日目に、各G-Rex 100中のTILは、各フラスコ内に存在する300mLの培地中に懸濁され得、及び細胞懸濁液は、3つのG-Rex 100フラスコに播種するのに用いられ得る3つの100mLアリコートに分割され得る。次に、5%ヒトAB血清及び1mLあたり3000IUのIL-2入りの150mLのAIM-Vが各フラスコに加えられ得る。G-Rex 100フラスコは、5%CO中で37℃においてインキュベートされ得、及び4日目後に1mLあたり3000IUのIL-2入りの150mLのAIM-Vが各G-Rex 100フラスコに加えられ得る。細胞は、培養の14日目に収穫され得る。
【0112】
[00132] 一実施形態において、TILは、以下のように調製され得る。2mmの腫瘍フラグメントは、2mMグルタミン(Mediatech, Inc. Manassas, VA)、100U/mLペニシリン(Invitrogen Life Technologies)、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen Life Technologies)、5%熱不活化ヒトAB血清(Valley Biomedical, Inc. Winchester, VA)及び600IU/mL rhIL-2(Chiron, Emeryville, CA)が補充されたAIM-V培地(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)で構成される完全培地(CM)中で培養される。固形腫瘍の酵素による消化のため、腫瘍標本をさいの目に切ってRPMI-1640中に入れて、洗浄して、15~22℃で800rpmにおいて5分間遠心分離して、酵素消化バッファ(RPMI-1640中0.2mg/mLコラゲナーゼ及び30ユニット/ml DNase)中に再懸濁させてから、室温で一晩回転させた。フラグメントから確立されたTILがCM中で3~4週間増殖されて、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)入り熱不活化HAB血清中でフレッシュに増殖又は低温保存されて、研究時まで-180℃で貯蔵され得る。腹水収集物から得た腫瘍関連リンパ球(TAL)を24ウェルプレートのCM中に3×10細胞/ウェルで播種した。TILの増殖を、低倍率倒立顕微鏡を用いて約1日おきに検査した。
【0113】
[00133] 一実施形態において、TILは、気体透過性コンテナ内で増殖する。気体透過性コンテナは、当該技術分野において知られている方法、組成物及び装置を用いて、PBMCを用いてTILを増殖させるのに用いられてきており、米国特許出願公開米国特許出願公開第2005/0106717A1号に記載されるものが挙げられ、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TILは、気体透過性バッグ内で増殖する。一実施形態において、TILは、気体透過性バッグ内でTILを増殖させる細胞増殖系、例えばXuri Cell Expansion System W25(GE Healthcare)によって増殖する。一実施形態において、TILは、気体透過性バッグ内でTILを増殖させる細胞増殖系、例えばXuri Cell Expansion System W5(GE Healthcare)としても知られているWAVE Bioreactor Systemによって増殖する。一実施形態において、細胞増殖系は、容量が、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、約10L、約11L、約12L、約13L、約14L、約15L、約16L、約17L、約18L、約19L、約20L、約25L及び約30Lからなる群から選択される気体透過性細胞バッグを備える。一実施形態において、細胞増殖系は、容量範囲が、50~150mL、150~250mL、250~350mL、350~450mL、450~550mL、550~650mL、650~750mL、750~850mL、850~950mL及び950~1050mLからなる群から選択される気体透過性細胞バッグを備える。一実施形態において、細胞増殖系は、容量範囲が、1L~2L、2L~3L、3L~4L、4L~5L、5L~6L、6L~7L、7L~8L、8L~9L、9L~10L、10L~11L、11L~12L、12L~13L、13L~14L、14L~15L、15L~16L、16L~17L、17L~18L、18L~19L及び19L~20Lからなる群から選択される気体透過性細胞バッグを備える。一実施形態において、細胞増殖系は、容量範囲が、0.5L~5L、5L~10L、10L~15L、15L~20L、20L~25L及び25L~30Lからなる群から選択される気体透過性細胞バッグを備える。一実施形態において、細胞増殖系は、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日及び約28日のロッキング時間を利用する。一実施形態において、細胞増殖系は、30分~1時間、1時間~12時間、12時間~1日、1日~7日、7日~14日、14日~21日及び21日~28日のロッキング時間を利用する。一実施形態において、細胞増殖系は、約2ロック/分、約5ロック/分、約10ロック/分、約20ロック/分、約30ロック/分、約40ロック/分のロッキング速度を利用する。一実施形態において、細胞増殖系は、2ロック/分~5ロック/分、5ロック/分~10ロック/分、10ロック/分~20ロック/分、20ロック/分~30ロック/分、30ロック/分~40ロック/分のロッキング速度を利用する。一実施形態において、細胞増殖系は、約2°、約3°、約4°、約5°、約6°、約7°、約8°、約9°、約10°、約11°、約12°のロッキング角度を利用する。一実施形態において、細胞増殖系は、2°~3°、3°~4°、4°~5°、5°~6°、6°~7°、7°~8°、8°~9°、9°~10°、10°~11°及び11°~12°のロッキング角度を利用する。
【0114】
[00134] 一実施形態において、rTILを増殖させる方法は、rTILを優れた腫瘍反応性について選択する工程をさらに含む。当該技術分野において知られているあらゆる選択方法が用いられ得る。例えば、米国特許出願公開第2016/0010058A1号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法は、優れた腫瘍反応性についてのTILの選択に用いられ得る。
【0115】
rTILの特性
[00135] 一実施形態において、本発明のrTILは、1つ以上のT細胞疲弊マーカーによって特徴付けられる疲弊T細胞表現型を示す。一実施形態において、本発明のrTILは、フローサイトメトリ分析を用いて1つ以上のT細胞疲弊マーカーによって特徴付けられる疲弊T細胞表現型を示す。一実施形態において、T細胞疲弊マーカーは、PD-1である。一実施形態において、T細胞疲弊マーカーは、LAG3である。一実施形態において、T細胞疲弊マーカーは、TIM3である。
【0116】
[00136] 一実施形態において、rTILにおけるPD-1発現は、eTILに対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ低下される。一実施形態において、rTILにおけるPD-1発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ低下される。
【0117】
[00137] 一実施形態において、rTILにおけるLAG3発現は、eTILに対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ低下される。一実施形態において、rTILにおけるLAG3発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ低下される。一実施形態において、rTILにおけるLAG3発現は、フローサイトメトリによって検出不可能である。
【0118】
[00138] 一実施形態において、rTILにおけるTIM3発現は、eTILに対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ低下される。一実施形態において、rTILにおけるTIM3発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ低下される。一実施形態において、rTILにおけるTIM3発現は、フローサイトメトリによって検出不可能である。
【0119】
[00139] 一実施形態において、rTILにおけるTIGIT発現は、eTILに対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ低下される。一実施形態において、rTILにおけるTIGIT発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ低下される。一実施形態において、rTILにおけるTIGIT発現は、フローサイトメトリによって検出不可能である。
【0120】
[00140] 一実施形態において、rTILにおけるCTLA-4発現は、eTILに対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ低下される。一実施形態において、rTILのCTLA-4発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ低下される。一実施形態において、rTILにおけるCTLA-4発現は、フローサイトメトリによって検出不可能である。
【0121】
[00141] 一実施形態において、rTILにおけるCD69発現は、eTILに対して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ増大される。一実施形態において、rTILにおけるCD69発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ増大される。
【0122】
[00142] 一実施形態において、rTILにおけるS1PR1(スフィンゴシン-1-ホスファート受容体1)発現は、eTILに対して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ減少される。一実施形態において、rTILにおけるS1PR1発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ減少される。
【0123】
[00143] 一実施形態において、rTILにおけるテロメア長は、eTILに対して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ増大される。一実施形態において、rTILにおけるテロメア長は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ増大される。
【0124】
[00144] 一実施形態において、rTILにおけるCD28発現は、eTILに対して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ増大される。一実施形態において、rTILにおけるCD28発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ増大される。
【0125】
[00145] 一実施形態において、rTILにおけるCD27発現は、eTILに対して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%又は少なくとも150%だけ増大される。一実施形態において、rTILにおけるCD27発現は、eTILに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍だけ増大される。
【0126】
[00146] 一部の実施形態において、本明細書中に記載される方法は、貯蔵培地(例えば、5%DMSOを含有する培地)中でのeTIL及び/又はrTILの任意選択の低温保存を、本明細書中に記載される更なる工程を実行する前又は輸送、解凍及び/又は患者への投与前の本明細書中に記載されるREP工程の完了後に含み得る。一部の実施形態において、本明細書中に記載される方法は、本明細書中に記載される更なる工程を実行する前に、低温保存されたTIL(例えば、低温保存されたeTIL、低温保存されたrTIL又はそれらの組合せ若しくは混合物)を解凍する工程を含み得る。一部の実施形態において、更なる工程は、eTIL及び/又はrTIL(例えば、reREP)の追加の増殖又は反復増殖であり得、これは、例えば、IL-2、OKT-3及び/又はフィーダ細胞(例えば、抗原提示細胞)を含み、通常、末梢血単核細胞(PBMC;又は代わりに抗原提示細胞を用いる)を含む補充された細胞培地を用いて、解凍された細胞に実行され得、追加の増殖工程は、少なくとも14日間実行され得る。一部の実施形態において、そのような培地は、IL-2単独ではなく、IL-2、IL-15及び/又はIL-23の組合せも含有し得る。
【0127】
[00147] 本明細書中で考察される低温保存は、TIL増殖プロセスの全体を通して多数の点で起こり得る。一部の実施形態において、増殖後のバルクTIL集団(例えば、eTIL、rTIL又はそれらの組合せ若しくは混合物)は、低温保存され得る。低温保存は、通常、TIL集団を凍結溶液、例えば85%補足不活化AB血清及び15%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に入れることによって達成され得る。溶液中の細胞は、低温バイアル中に入れられて-80℃で24時間貯蔵され、任意選択的に低温保存のための気体窒素フリーザに移される。Sadeghi, et al, Acta Oncologica 2013, 52, 978-986を参照されたい。一部の実施形態において、本明細書中に記載されるTILは、5%DMSO中で低温保存され得る。一部の実施形態において、本明細書中に記載されるTILは、細胞培地プラス5%DMSO中で低温保存され得る。
【0128】
[00148] 適切な場合、本明細書中に記載される低温保存された細胞、例えば低温保存されたrTILは、フリーザから取り出されて、溶液のおよそ4/5が解凍されるまで37℃のウォータバス内で解凍される。細胞は、通常、完全培地中に再懸濁されて、任意選択的に1回以上洗浄される。一部の実施形態において、解凍されたTILは、当該技術分野において知られているようにカウントされ、且つ生存度について評価され得る。
【0129】
rTILを得るために腫瘍を消化する方法
[00149] 一実施形態において、rTILを得る方法は、1つ以上の酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。腫瘍の消化に適した酵素がVolvitz, et al., BMC Neuroscience 2016, 17, 30に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
[00150] 一部の実施形態において、本発明は、rTILを得る方法を含み得、これは、腫瘍組織又はその部分が挙げられ得る腫瘍を、デオキシリボヌクレアーゼ、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ又はそれらの組合せを用いて消化する工程を含む。
【0131】
[00151] 一実施形態において、rTILを得る方法は、DNA骨格中のリン酸ジエステル結合の加水分解切断を触媒する、したがってDNAを分解するあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、デオキシリボヌクレアーゼ及び少なくとも1つの他の酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、デオキシリボヌクレアーゼは、デオキシリボヌクレアーゼIである。一実施形態において、デオキシリボヌクレアーゼは、デオキシリボヌクレアーゼIIである。一実施形態において、デオキシリボヌクレアーゼは、ウシ膵臓由来のデオキシリボヌクレアーゼI(Sigma D5025又は均等物)である。一実施形態において、デオキシリボヌクレアーゼは、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)において発現されるウシ由来の組換えデオキシリボヌクレアーゼI(Sigma D2821又は均等物)である。一実施形態において、デオキシリボヌクレアーゼは、組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNAase I、ドルナーゼアルファとしても知られており、Genentech, Inc.からPULMOZYMEとして市販されている)である。一実施形態において、デオキシリボヌクレアーゼは、ウシ脾臓由来のデオキシリボヌクレアーゼII(Sigma D8764又は均等物)である。一実施形態において、デオキシリボヌクレアーゼは、ブタ脾臓由来のデオキシリボヌクレアーゼII(Sigma D4138又は均等物)である。一実施形態において、上述のデオキシリボヌクレアーゼのいずれも腫瘍消化物中に存在する。本発明での使用に適したデオキシリボヌクレアーゼの調製及び特性は、米国特許第5,783,433号;米国特許第6,391,607号;米国特許第7,407,785号;及び米国特許第7,297,526号並びに国際公開第2016/108244A1号に記載されており、これらの各開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
[00152] 一実施形態において、rTILを得る方法は、コラーゲン中のペプチド結合の切断を触媒する、したがってコラーゲンを分解するあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、コラゲナーゼを用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、コラゲナーゼ及び少なくとも1つの他の酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、コラゲナーゼは、クロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)由来のコラゲナーゼである。一実施形態において、コラゲナーゼは、クロストリジオペプチダーゼAである。一実施形態において、コラゲナーゼは、コラゲナーゼIである。一実施形態において、コラゲナーゼは、コラゲナーゼIIである。一実施形態において、コラゲナーゼは、クロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)由来のコラゲナーゼ(Sigma C5138又は均等物)である。本発明での使用に適したコラゲナーゼの調製及び特性は、米国特許第3,201,325号;米国特許第3,705,083号;米国特許第3,821,364号;米国特許第5,177,017号;米国特許第5,422,261号;米国特許第5,989,888号;米国特許第9,211,316号に記載されており、これらの各開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
[00153] 一実施形態において、rTILを得る方法は、ヒアルロン酸の分解を触媒するあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、ヒアルロニダーゼを用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、ヒアルロノグルコシダーゼ(hyaluronoglucosidase)を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、ヒアルロニダーゼは、ウシ精巣由来のヒアルロニダーゼI型(Sigma H3506又は均等物)である。一実施形態において、ヒアルロニダーゼは、ヒツジ精巣由来のヒアルロニダーゼII型(Sigma H2126又は均等物)である。一実施形態において、ヒアルロニダーゼは、ヒアルロニダーゼIII型である。一実施形態において、ヒアルロニダーゼは、ウシ精巣由来のヒアルロニダーゼIV型(IV-S型)(Sigma H3884又は均等物)である。一実施形態において、ヒアルロニダーゼは、ヒツジ精巣由来のヒアルロニダーゼV型(Sigma H6254又は均等物)である。一実施形態において、ヒアルロニダーゼは、ウシ精巣由来のヒアルロニダーゼVIII型(Sigma H3757又は均等物)である。一実施形態において、ヒアルロニダーゼは、組換えヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme, Inc.からHYLENEXとして市販されている)である。本発明での使用に適したヒアルロニダーゼの調製及び特性は、米国特許第4,820,516号;米国特許第5,593,877号;米国特許第6,057,110号;米国特許第6,123,938号;米国特許第7,767,429号;米国特許第8,202,517号;米国特許第8,431,124号;及び米国特許第8,431,380号に記載されており、これらの各開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
[00154] 一実施形態において、rTILを得る方法は、デオキシリボヌクレアーゼ及びヒアルロニダーゼを用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、デオキシリボヌクレアーゼ及びコラゲナーゼを用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、ヒアルロニダーゼ及びコラゲナーゼを用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、デオキシリボヌクレアーゼ、ヒアルロニダーゼ及びコラゲナーゼを用いて腫瘍を消化する工程を含む。
【0135】
[00155] 一実施形態において、rTILを得る方法は、デオキシリボヌクレアーゼ及びヒアルロニダーゼ並びに少なくとも1つの更なる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、デオキシリボヌクレアーゼ及びコラゲナーゼ並びに少なくとも1つの更なる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、ヒアルロニダーゼ及びコラゲナーゼ並びに少なくとも1つの更なる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。一実施形態において、rTILを得る方法は、デオキシリボヌクレアーゼ、ヒアルロニダーゼ及びコラゲナーゼ並びに少なくとも1つの更なる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含む。上述の実施形態のいずれにおいても、更なる酵素は、カゼイナーゼ、クロストリパイン、トリプシン及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0136】
[00156] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、且つ消化前、消化中又は消化後に腫瘍を機械的に崩壊させるか又はフラグメント化する工程をさらに含む。
【0137】
[00157] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、消化を、15分、30分、45分、1時間、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、36時間及び48時間からなる群から選択される期間にわたって実行する。
【0138】
[00158] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、消化を、約15分、約30分、約45分、約1時間、約90分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間及び約48時間からなる群から選択される期間にわたって実行する。
【0139】
[00159] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、消化を、15分未満、30分未満、45分未満、1時間未満、90分未満、2時間未満、3時間未満、4時間未満、5時間未満、6時間未満、7時間未満、8時間未満、9時間未満、10時間未満、11時間未満、12時間未満、18時間未満、24時間未満、36時間未満及び48時間未満からなる群から選択される期間にわたって実行する。
【0140】
[00160] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、消化を、15分超、30分超、45分超、1時間超、90分超、2時間超、3時間超、4時間超、5時間超、6時間超、7時間超、8時間超、9時間超、10時間超、11時間超、12時間超、18時間超、24時間超、36時間超及び48時間超からなる群から選択される期間にわたって実行する。
【0141】
[00161] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、消化を、30分~1時間、1時間~2時間、2時間~3時間、3時間~4時間、4時間~5時間、5時間~6時間、6時間~12時間、12時間~18時間、18時間~24時間及び24時間~48時間からなる群から選択される期間にわたって実行する。
【0142】
[00162] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、消化を、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃及び約80℃からなる群から選択される温度で実行する。
【0143】
[00163] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、消化を、20℃~25℃、25℃~30℃、30℃~35℃、35℃~40℃、40℃~45℃、45℃~50℃、50℃~約55℃、55℃~60℃、60℃~65℃、65℃~70℃、70℃~75℃及び75℃~80℃からなる群から選択される温度で実行する。
【0144】
[00164] 一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、(プレREP後の)腫瘍レムナントが消化されれば、消化の時間及び温度がそれぞれ引き下げられる。一実施形態において、rTILを得る方法は、先に記載されるあらゆる酵素を用いて腫瘍を消化する工程を含み、(プレREPなしで)腫瘍フラグメント全体が消化されれば、消化の時間及び温度がそれぞれ増大する。
【0145】
rTIL対eTILの比率を調節する方法
[00165] 一実施形態において、rTILのeTILに対する濃度は、本明細書中に記載されるあらゆる増殖工程及び消化工程(プレREPを含む)の使用により、本明細書中に記載される癌の処置に用いられる治療TIL生成物が所望のrTIL対eTIL比を含有し得るように調節又は制御することができる。一実施形態において、本発明は、eTIL及びrTILの混合物からeTILを除く方法を提供する。一実施形態において、本発明は、eTIL及びrTILの混合物からrTILを除く方法を提供する。
【0146】
[00166] 本発明の方法の一部の実施形態において、eTIL及び/又はrTILは、最初の増殖工程前の培養体に第1の増殖工程(例えば、プレREP)及び/又は第2の増殖工程(例えば、REP)で加えられ得る。本発明の方法の一部の実施形態において、eTILは、本明細書中に記載される培養工程又は増殖工程に従って1回、2回、3回又はそれを超える増殖を通して別々に培養されて、rTIL及びeTILの集団に選択されたrTIL対eTIL比で加えられ得る。本発明の方法の一部の実施形態において、rTILは、本明細書中に記載される培養工程又は増殖工程に従って1回、2回、3回又はそれを超える増殖を通して別々に培養されて、eTILの集団に加えられて、rTIL及びeTILの混合物が、選択されたrTIL対eTIL比で提供され得る。
【0147】
[00167] 一実施形態において、本明細書中に記載される方法に従って調製されるeTILは、rTILの集団に加えられて、結果として生じるrTIL/eTIL混合物中で選択されたrTIL対eTIL比を提供し得る。一実施形態において、本明細書中に記載される方法に従って調製されるrTILは、eTILの集団に加えられて、結果として生じるrTIL/eTIL混合物中で選択されたrTIL対eTIL比を提供し得る。
【0148】
[00168] 一実施形態において、本発明は、癌を処置する方法を提供し、この処置は、治療的に有効な量のTILを患者に送達することを含み、TIL中のrTILのeTILに対する比率(例えば、選択されるrTIL対eTIL比)は、約0:100、約1:99、約5:95、約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、約40:60、約45:55、約50:50、約55:45、約60:40、約65:35、約70:30、約75:25、約80:20、約85:15、約90:10、約95:5、約99:1及び約100:0のrTIL対eTILからなる群から選択される。
【0149】
[00169] 一実施形態において、rTIL対eTIL比は、選択方法を用いて調整され、これは、当業者により、必要に応じてrTIL対eTILを高めるか又は引き下げるのに用いられ得る。一実施形態において、選択方法は、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びCTLA-4が挙げられる疲弊マーカーの不足に基づく。一実施形態において、選択方法は、CD69発現の向上に基づく。一実施形態において、選択方法は、より上位のミトコンドリア質量に基づく。一実施形態において、選択方法は、細胞表面タンパク質のサブセットに基づく。一実施形態において、選択方法は、表現型に基づく。一実施形態において、選択方法は、機能に基づく。
【0150】
[00170] 一実施形態において、rTIL対eTIL比は、rTIL及びeTILを同じ細胞培地中で所望の比率が得られるまで共培養することによって調整される。一実施形態において、rTIL対eTIL比は、rTIL及びeTILを同じ細胞培地中で所望の比率が得られるまで増殖中の様々な時点での細胞培地へのrTIL又はeTILの添加を含めて共培養することによって調整される。一実施形態において、rTIL増殖は、IL-4、IL-7、IL-15及び/又はIL-21が挙げられる、IL-2以外のサイトカインの添加によって細胞培地中で優先して増殖する。
【0151】
[00171] 一実施形態において、本明細書中に記載される方法によって提供されるrTILのeTILに対する比率(例えば、選択されるrTIL対eTIL比)は、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%のrTIL対eTILであり得る。
【0152】
[00172] 一実施形態において、本明細書中に記載される方法によって提供されるrTILのeTILに対する比率(例えば、選択されるrTIL対eTIL比)は、最大で1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%のrTIL対eTILであり得る。
【0153】
[00173] 一実施形態において、本明細書中に記載される方法によって提供されるrTILのeTILに対する比率(例えば、選択されるrTIL対eTIL比)は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%のrTIL対eTILであり得る。
【0154】
癌及び他の疾患を処置する方法
[00174] 本明細書中に記載されるrTIL並びにrTIL及びeTILの組合せは、ヒトにおいて疾患を処置する方法に用いられ得る。一実施形態において、これらは、高増殖性障害を処置するのに用いられる。一部の実施形態において、高増殖性障害は、癌である。一部の実施形態において、高増殖性障害は、固形腫瘍癌である。一部の実施形態において、固形腫瘍癌は、黒色腫、二重不応性黒色腫(すなわち化学療法及びチェックポイント阻害薬を含む少なくとも2つの先行処置に不応性の黒色腫)、卵巣癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺癌、膀胱癌、乳癌、ヒトパピローマウィルスによって引き起こされる癌、頭頚部癌、腎癌、腎細胞癌及び肉腫からなる群から選択される。一部の実施形態において、高増殖性障害は、血液悪性腫瘍(又は液性腫瘍癌)である。一部の実施形態において、血液悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫及びマントル細胞リンパ腫からなる群から選択される。本明細書中に記載されるrTIL並びにrTIL及びeTILの組合せは、本明細書中及び以下の段落で記載される他の障害を処置するのにも用いられ得る。
【0155】
[00175] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、処置は、治療的に有効な量のrTILを患者に送達することを含み、rTILは、
(a)患者から腫瘍組織を得る工程であって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、工程と、
(b)腫瘍組織をフラグメント化する工程と、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供する工程と、
(d)少なくとも複数のeTILを除く工程と、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化する工程と、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、レムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)の数を増殖させる工程と
を含む方法に従って調製され、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む。
【0156】
[00176] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0157】
[00177] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0158】
[00178] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含み、
癌は、黒色腫、二重不応性黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、頭頚部癌、腎細胞癌、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌、肉腫、非小細胞肺癌(NSCLC)及びトリプルネガティブ乳癌からなる群から選択される。
【0159】
[00179] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することであって、非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンは、2日間にわたって60mg/m/日の用量でシクロホスファミドを投与し、それに続いて、5日間にわたって25mg/m/日の用量でフルダラビンを投与する工程を含む、処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含む。
【0160】
[00180] 本明細書中に記載される方法の一部の実施形態において、少なくとも複数のeTILを除く工程は、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%又は100%のeTILを除くことを含む。
【0161】
[00181] 示された疾患又は障害を処置、予防及び/又は管理する際の本明細書中に記載される化合物の有効性及び化合物の組合せは、当該技術分野において知られている種々のモデルを用いて試験され得、これらは、ヒト疾患の処置の指針を提供する。例えば、卵巣癌の処置の有効性を判定するモデルは、例えば、Mullany, et al., Endocrinology 2012, 153, 1585-92;及びFong, et al., J. Ovarian Res. 2009, 2, 12に記載されている。膵癌の処置の有効性を判定するモデルは、Herreros-Villanueva, et al, World J. Gastroenterol. 2012, 18, 1286-1294に記載されている。乳癌の処置の有効性を判定するモデルは、例えば、Fantozzi, Breast Cancer Res. 2006, 8, 212に記載されている。黒色腫の処置の有効性を判定するモデルは、例えば、Damsky, et al, Pigment Cell & Melanoma Res. 2010, 23, 853-859に記載されている。肺癌の処置の有効性を判定するモデルは、例えば、Meuwissen, et al, Genes & Development, 2005, 19, 643-664に記載されている。肺癌の処置の有効性を判定するモデルは、例えば、Kim, Clin. Exp. Otorhinolaryngol. 2009, 2, 55-60;及びSano, Head Neck Oncol. 2009, 1, 32に記載されている。
【0162】
IL-2の共投与
[00182] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法であって、
(a)本明細書中に記載される方法に従って、患者から切除した腫瘍からrTILを得る工程と、
(b)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置する工程と、
(c)治療的に有効な量のrTILを患者に投与する工程と、
(d)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者をIL-2レジメンで処置する工程と
を含む方法を提供する。
【0163】
[00183] 一実施形態において、IL-2レジメンは、高用量IL-2レジメンを含み、高用量IL-2レジメンは、TILの第3の集団の治療的に有効な部分を投与した翌日に開始して、静脈内投与されるアルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体を含み、アルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体は、600,000又は720,000IU/kg(患者体重)の用量において、最大14用量について耐容能まで8時間毎に15分のボーラス静注を用いて投与される。9日の休息日後、このスケジュールがさらに14用量繰り返されて、合計で最大28用量となり得る。
【0164】
[00184] 一実施形態において、IL-2レジメンは、高用量IL-2レジメンを含み、高用量IL-2レジメンは、TILの第3の集団の治療的に有効な部分を投与した翌日に開始して、静脈内投与されるアルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体を含み、アルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体は、0.037mg/kg又は0.044mg/kg IU/kg(患者体重)の用量において、最大14用量について耐容能まで8時間毎に15分のボーラス静注を用いて投与される。9日の休息日後、このスケジュールがさらに14用量繰り返されて、合計で最大28用量となり得る。
【0165】
[00185] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を高用量IL-2レジメンで処置することと
を含み、
高用量IL-2レジメンは、耐容能まで8時間毎に15分のボーラス静注として投与される600,000又は720,000IU/kgのアルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体を含む。
【0166】
[00186] 一実施形態において、IL-2レジメンは、漸減型IL-2レジメン(decrescendo IL-2 regimen)を含む。漸減型IL-2レジメンは、O’Day, et al., J. Clin. Oncol. 1999, 17, 2752-61及びEton, et al., Cancer 2000, 88, 1703-9に記載されており、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、漸減型IL-2レジメンは、6時間にわたって静脈内投与される18×10IU/m、それに続く12時間にわたって静脈内投与される18×10IU/m、それに続く24時間にわたって静脈内投与される18×10IU/m、それに続く72時間にわたって静脈内投与される4.5×10IU/mを含む。この処置サイクルは、28日毎に繰り返されて、最大4サイクルとなり得る。一実施形態において、漸減型IL-2レジメンは、1日目の18,000,000IU/m、2日目の9,000,000IU/m並びに3日目及び4日目の4,500,000IU/mを含む。
【0167】
[00187] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者を漸減型IL-2レジメンで処置することと
を含み、
漸減型IL-2レジメンは、6時間にわたって静脈内投与される18×10IU/m、それに続く12時間にわたって静脈内投与される18×10IU/m、それに続く24時間にわたって静脈内投与される18×10IU/m、それに続く72時間にわたって静脈内投与される4.5×10IU/mを含み、最大4サイクルが28日毎に繰り返される。
【0168】
[00188] 一実施形態において、IL-2レジメンは、ペグ化アルデスロイキンが挙げられるペグ化IL-2の投与を含む。一実施形態において、IL-2レジメンは、1、2、4、6、7、14又は21日毎の0.10mg/日~50mg/日の用量でのペグ化IL-2の投与を含む。
【0169】
[00189] 一実施形態において、本発明は、癌の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法を含み、方法は、
(a)患者から腫瘍組織を得ることであって、腫瘍組織は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、得ることと、
(b)腫瘍組織をフラグメント化することと、
(c)腫瘍組織を、第1の細胞培地及びインターロイキン2(IL-2)入りの気体透過性コンテナ内で処理して、腫瘍レムナント及び新生のTIL(eTIL)を提供することと、
(d)少なくとも複数のeTILを除くことと、
(e)消化混合物を用いて、腫瘍レムナントを腫瘍レムナント細胞に酵素で消化することと、
(f)腫瘍レムナント細胞を、気体透過性コンテナ内において、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びIL-2を含む第2の細胞培地で増殖させて、増殖した数のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を提供することであって、
rTILは、eTILに対して低下したレベルのT細胞疲弊マーカーを発現し、
T細胞疲弊マーカーは、TIM3、LAG3、TIGIT、PD-1及びそれらの組合せからなる群から選択され、
第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、提供することと、
(g)患者にrTILを投与する前に患者を非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンで処置することと、
(h)治療的に有効な量のrTILを患者に投与することであって、治療的に有効な量のeTILは、rTILとの混合物中で患者に同時投与される、投与することと、
(i)患者へのrTILの投与の翌日に開始して、患者をペグ化IL-2レジメンで処置することと
を含み、
ペグ化IL-2レジメンは、1、2、4、6、7、14又は21日毎の0.10mg/日~50mg/日の用量でのペグ化IL-2の投与を含む。
【0170】
化学療法による非骨髄破壊リンパ球枯渇
[00190] 一実施形態において、本発明は、rTILの集団で癌を処置する方法を含み、患者は、本発明に従うrTILの注入前に非骨髄破壊化学療法で前処置される。一部の実施形態において、rTILの集団は、eTILの集団と共に提供され得、患者は、本発明に従うrTIL及びeTILの注入前に非骨髄破壊化学療法で前処置される。一実施形態において、非骨髄破壊化学療法は、2日間(rTIL注入よりも前の27及び26日目)のシクロホスファミド60mg/kg/d及び5日間(rTIL注入よりも前の27~23日目)のフルダラビン25mg/m/dである。一実施形態において、非骨髄破壊化学療法及び本発明に従うrTIL注入(0日目)後、患者は、8時間毎に720,000IU/kgで静脈内にIL-2の静注を生理学的耐容能まで受ける。
【0171】
[00191] 実験に基づく発見は、腫瘍特異的Tリンパ球の養子移入よりも前のリンパ球枯渇が、免疫系の制御性T細胞及び競合要素(「サイトカインシンク」)を除外することにより、処置有効性の増強に重要な役割を果たしていることを示す。したがって、本発明の一部の実施形態は、本発明のrTILの導入前にリンパ球枯渇工程(時折、「免疫抑制コンディショニング」とも呼ばれる)を患者に活用する。
【0172】
[00192] 一般に、リンパ球枯渇は、フルダラビン又はシクロホスファミド(活性形態はマホスファミドと呼ばれる)及びそれらの組合せの投与を用いて達成される。そのような方法は、Gassner, et al, Cancer Immunol. Immunother. 2011, 60, 75-85、Muranski, et al, Nat. Clin. Pract. Oncol, 2006, 3, 668-681、Dudley, et al, J. Clin. Oncol. 2008, 26, 5233-5239及びDudley, et al, J. Clin. Oncol. 2005, 23, 2346-2357に記載されており、これらの全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0173】
[00193] 一部の実施形態において、フルダラビンは、0.5μg/mL~10μg/mLのフルダラビン濃度で投与される。一部の実施形態において、フルダラビンは、1μg/mLのフルダラビン濃度で投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は、1日、2日、3日、4日、5日、6日若しくは7日又はそれを超えて投与される。一部の実施形態において、フルダラビンは、10mg/kg/日、15mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日又は45mg/kg/日の投薬量で投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は、35mg/kg/日で2~7日間投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は、35mg/kg/日で4~5日間投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は、25mg/kg/日で4~5日間投与される。
【0174】
[00194] 一部の実施形態において、マホスファミド(シクロホスファミドの活性形態)は、シクロホスファミドの投与によって0.5μg/mL~10μg/mLの濃度で得られる。一部の実施形態において、マホスファミド(シクロホスファミドの活性形態)は、シクロホスファミドの投与によって1μg/mLの濃度で得られる。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は、1日、2日、3日、4日、5日、6日若しくは7日又はそれを超えて投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、100mg/m/日、150mg/m/日、175mg/m/日、200mg/m/日、225mg/m/日、250mg/m/日、275mg/m/日又は300mg/m/日の投薬量で投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、静脈内投与(i.v.)される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は、35mg/kg/日で2~7日間施される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は、250mg/m/日i.v.で4~5日間施される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は、250mg/m/日i.v.で4日間施される。
【0175】
[00195] 一部の実施形態において、リンパ球枯渇は、フルダラビンを投与することによって実行され、及びシクロホスファミドは、患者に一緒に投与される。一部の実施形態において、フルダラビンは、25mg/m/日i.v.で投与され、及びシクロホスファミドは、250mg/m/日i.v.で4日にわたって投与される。
【0176】
[00196] 一実施形態において、リンパ球枯渇は、2日間にわたって60mg/m/日の用量でシクロホスファミドを投与し、それに続いて、5日間にわたって25mg/m/日の用量でフルダラビンを投与することによって実行される。
【0177】
医薬組成物、投薬量及び投薬レジメン
[00197] 一実施形態において、本発明の方法を用いて増殖させたrTILは、医薬組成物として患者に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、滅菌バッファ中のrTILの懸濁液である。本発明の方法を用いて増殖させたrTILは、当該技術分野において知られているあらゆる適切な経路によって投与され得る。好ましくは、rTILは、単一の動脈内注入剤又は静脈内注入剤として投与され、これらは、好ましくは、およそ30~60分続く。他の適切な投与経路として、腹腔内投与、髄腔内投与及びリンパ管内投与が挙げられる。
【0178】
[00198] 一実施形態において、本発明の方法を用いて増殖させたrTIL及びeTILは、医薬組成物として患者に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、滅菌バッファ中のrTIL及びeTILの懸濁液である。本発明の方法を用いて増殖させたrTIL及びeTILは、当該技術分野において知られているあらゆる適切な経路によって投与され得る。好ましくは、rTIL及びeTILは、単一の動脈内注入剤又は静脈内注入剤として投与され、これらは、好ましくは、およそ30~60分続く。他の適切な投与経路として、腹腔内投与、髄腔内投与及びリンパ管内投与が挙げられる。
【0179】
[00199] 適切なあらゆる用量のrTILが投与され得る。好ましくは、約2.3×1010~約13.7×1010個のrTILが投与され、特に癌が黒色腫である場合、平均およそ7.8×1010個のrTILが投与される。一実施形態において、約1.2×1010~約4.3×1010個のrTILが投与される。
【0180】
[00200] 適切なあらゆる用量のrTIL及びeTILが投与され得る。好ましくは、約2.3×1010~約13.7×1010個のrTIL及びeTILが投与され、特に癌が黒色腫である場合、平均およそ7.8×1010個のrTIL及びeTILが投与される。一実施形態において、約1.2×1010~約4.3×1010個のrTIL及びeTILが投与される。
【0181】
[00201] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTILの数は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013及び8×1013、9×1013個である。一実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTILの数は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012及び5×1012~1×1013個の範囲内である。
【0182】
[00202] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILの数は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013及び9×1013個である。一実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILの数は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012及び5×1012~1×1013個の範囲内である。
【0183】
[00203] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTILの濃度は、例えば、医薬組成物の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/v未満である。
【0184】
[00204] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILの濃度は、例えば、医薬組成物の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/v未満である。
【0185】
[00205] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTILの濃度は、医薬組成物の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/v超である。
【0186】
[00206] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILの濃度は、医薬組成物の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/v超である。
【0187】
[00207] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTILの濃度は、医薬組成物の約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%又は約1%~約10%w/w、w/v又はv/vの範囲内である。
【0188】
[00208] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILの濃度は、医薬組成物の約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%又は約1%~約10%w/w、w/v又はv/vの範囲内である。
【0189】
[00209] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTILの濃度は、医薬組成物の約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/v又はv/vの範囲内である。
【0190】
[00210] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILの濃度は、医薬組成物の約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/v又はv/vの範囲内である。
【0191】
[00211] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTILの量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g又は0.0001g以下である。
【0192】
[00212] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILの量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g又は0.0001g以下である。
【0193】
[00213] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTILの量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5g、3g、3.5g、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g又は10g超である。
【0194】
[00214] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILの量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5g、3g、3.5g、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g又は10g超である。
【0195】
[00215] 本発明の医薬組成物中に提供されるrTILは、広い投薬量範囲にわたって有効である。正確な投薬量は、投与経路、化合物が投与される形態、処置されることとなる対象の性別及び年齢、処置されることとなる対象の体重並びに主治医の選択及び経験によって決まることとなる。適切な場合、rTILの臨床的に確立された投薬量が用いられ得る。本明細書中の方法を用いて投与される医薬組成物の量、例えばrTILの投薬量は、処置されることとなるヒト又は哺乳類、障害又は容体の重症度、投与速度、有効医薬成分の体内動態及び処置医師の裁量に依存することとなる。
【0196】
[00216] 本発明の医薬組成物中に提供されるrTIL及びeTILは、広い投薬量範囲にわたって有効である。正確な投薬量は、投与経路、化合物が投与される形態、処置されることとなる対象の性別及び年齢、処置されることとなる対象の体重並びに主治医の選択及び経験によって決まることとなる。適切な場合、rTIL及びeTILの臨床的に確立された投薬量が用いられ得る。本明細書中の方法を用いて投与される医薬組成物の量、例えばrTIL及びeTILの投薬量は、処置されることとなるヒト又は哺乳類、障害又は容体の重症度、投与速度、有効医薬成分の体内動態及び処置医師の裁量に依存することとなる。
【0197】
[00217] 一部の実施形態において、rTILは、単回用量で投与され得る。そのような投与は、注射、例えば静脈内注射によるものであり得る。一部の実施形態において、rTILは、複数回用量で投与され得る。投薬は、1年あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回超であり得る。投薬は、1ヶ月に1回、二週間毎に1回、週に1回又は1日おきに1回であり得る。必須である限り、rTILの投与が続き得る。
【0198】
[00218] 一部の実施形態において、rTIL及びeTILは、単回用量で投与され得る。そのような投与は、注射、例えば静脈内注射によるものであり得る。一部の実施形態において、rTILは、複数回用量で投与され得る。投薬は、1年あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回超であり得る。投薬は、一ヶ月に1回、二週間毎に1回、週に1回又は1日おきに1回であり得る。必須である限り、rTIL及びeTILの投与が続き得る。
【0199】
[00219] 一部の実施形態において、rTILの有効な投薬量は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013及び8×1013、9×1013個である。一部の実施形態において、rTILの有効な投薬量は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012及び5×1012~1×1013個の範囲内である。
【0200】
[00220] 一部の実施形態において、rTIL及びeTILの有効な投薬量は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、9×1013個である。一部の実施形態において、rTIL及びeTILの有効な投薬量は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×l0~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012、5×1012~1×1013個の範囲内である。
【0201】
[00221] 一部の実施形態において、rTILの有効な投薬量は、約0.01mg/kg~約4.3mg/kg、約0.15mg/kg~約3.6mg/kg、約0.3mg/kg~約3.2mg/kg、約0.35mg/kg~約2.85mg/kg、約0.15mg/kg~約2.85mg/kg、約0.3mg~約2.15mg/kg、約0.45mg/kg~約1.7mg/kg、約0.15mg/kg~約1.3mg/kg、約0.3mg/kg~約1.15mg/kg、約0.45mg/kg~約1mg/kg、約0.55mg/kg~約0.85mg/kg、約0.65mg/kg~約0.8mg/kg、約0.7mg/kg~約0.75mg/kg、約0.7mg/kg~約2.15mg/kg、約0.85mg/kg~約2mg/kg、約1mg/kg~約1.85mg/kg、約1.15mg/kg~約1.7mg/kg、約1.3mg/kg~約1.6mg/kg、約1.35mg/kg~約1.5mg/kg、約2.15mg/kg~約3.6mg/kg、約2.3mg/kg~約3.4mg/kg、約2.4mg/kg~約3.3mg/kg、約2.6mg/kg~約3.15mg/kg、約2.7mg/kg~約3mg/kg、約2.8mg/kg~約3mg/kg又は約2.85mg/kg~約2.95mg/kgの範囲内である。
【0202】
[00222] 一部の実施形態において、rTIL及びeTILの有効な投薬量は、約0.01mg/kg~約4.3mg/kg、約0.15mg/kg~約3.6mg/kg、約0.3mg/kg~約3.2mg/kg、約0.35mg/kg~約2.85mg/kg、約0.15mg/kg~約2.85mg/kg、約0.3mg~約2.15mg/kg、約0.45mg/kg~約1.7mg/kg、約0.15mg/kg~約1.3mg/kg、約0.3mg/kg~約1.15mg/kg、約0.45mg/kg~約1mg/kg、約0.55mg/kg~約0.85mg/kg、約0.65mg/kg~約0.8mg/kg、約0.7mg/kg~約0.75mg/kg、約0.7mg/kg~約2.15mg/kg、約0.85mg/kg~約2mg/kg、約1mg/kg~約1.85mg/kg、約1.15mg/kg~約1.7mg/kg、約1.3mg/kg~約1.6mg/kg、約1.35mg/kg~約1.5mg/kg、約2.15mg/kg~約3.6mg/kg、約2.3mg/kg~約3.4mg/kg、約2.4mg/kg~約3.3mg/kg、約2.6mg/kg~約3.15mg/kg、約2.7mg/kg~約3mg/kg、約2.8mg/kg~約3mg/kg又は約2.85mg/kg~約2.95mg/kgの範囲内である。
【0203】
[00223] 一部の実施形態において、rTILの有効な投薬量は、約1mg~約500mg、約10mg~約300mg、約20mg~約250mg、約25mg~約200mg、約1mg~約50mg、約5mg~約45mg、約10mg~約40mg、約15mg~約35mg、約20mg~約30mg、約23mg~約28mg、約50mg~約150mg、約60mg~約140mg、約70mg~約130mg、約80mg~約120mg、約90mg~約110mg、約95mg~約105mg、約98mg~約102mg、約150mg~約250mg、約160mg~約240mg、約170mg~約230mg、約180mg~約220mg、約190mg~約210mg、約195mg~約205mg又は約198~約207mgの範囲内である。
【0204】
[00224] 一部の実施形態において、rTIL及びeTILの有効な投薬量は、約1mg~約500mg、約10mg~約300mg、約20mg~約250mg、約25mg~約200mg、約1mg~約50mg、約5mg~約45mg、約10mg~約40mg、約15mg~約35mg、約20mg~約30mg、約23mg~約28mg、約50mg~約150mg、約60mg~約140mg、約70mg~約130mg、約80mg~約120mg、約90mg~約110mg又は約95mg~約105mg、約98mg~約102mg、約150mg~約250mg、約160mg~約240mg、約170mg~約230mg、約180mg~約220mg、約190mg~約210mg、約195mg~約205mg又は約198~約207mgの範囲内である。
【0205】
[00225] 有効な量のrTIL及び/又はeTILは、単回用量又は複数回用量において、ユーティリティが類似する剤の受け入れられるあらゆる投与様式によって投与され得、血流中への注入、腫瘍中への注入、動脈内、静脈内、腹膜内、非経口、筋肉内、皮下、局所注射、鼻腔内投与、移植又は吸入によるものが挙げられる。
【実施例0206】
実施例
[00226] 本明細書中に包含される実施形態は、以下の実施例を参照して説明される。これらの実施例は、説明の目的でのみ記載され、本明細書中に包含される開示は、決してこれらの実施例に限定されるものとして解釈されるべきでなく、むしろ本明細書中に記載される教示の結果として明らかとなるあらゆる全ての変形形態を包含すると解釈されるべきである。
【0207】
実施例1 - 腫瘍消化物からのrTILの増殖
[00227] 腫瘍レムナントを以下の例示的な手順に従って消化した。この手順は、腫瘍浸潤リンパ球を得て単離するための、単細胞懸濁液へのフレッシュなヒト腫瘍サンプルの生存可能な消化を記載しており、ヒト腫瘍を分離するのにDNase-コラゲナーゼ-ヒアルロニダーゼ(DCH)法(本明細書中に記載する)を用いることができ、又はMACSヒト腫瘍分離キット(TDK)(Miltenyi Biotech, Inc., San Diego, CA, USA)消化プロトコルを用いることができる。
【0208】
[00228] CM1+IL-2ワーキング培地の調製は、以下の通りである。500mL RPMI 1640、200mM L-グルタミン及び100mLヒトAB血清を37℃のウォータバス内に入れて、少なくとも30分間平衡化する。この混合物の内容物をウォータバスからバイオセーフティキャビネットに、冷蔵庫からの1000×β-MLストック溶液及び50mg/mLゲンタマイシンストック溶液と共に移す。RPMI 1640から50mLを除いて、50mLヒトAB血清、5mL 200mM L-グルタミン、500μL 1000×β-ML及び500μL 50mg/mLゲンタマイシンを加える。完全培地1に500μLの6000U/mL再構成ヒトrhIL-2(CellGenix, Inc., Portsmouth, ML USA)を加える。
【0209】
[00229] 10×DCHストック溶液を以下の手順を用いて調製する。これは、図1に示されている。最初に、所望のワーキング溶液濃度を得るように各酵素を再構成するのに必要とされる容量を算出する。例えば、150,000U(国際単位)のデオキシリボヌクレアーゼを15mL中に再構成して、10,000U/mLのワーキング溶液を得る。残りのワーキング溶液を等分する。凍結乾燥された酵素を、上で予め算出した量の滅菌ハンクス平衡化塩溶液(HBSS、Sigma H6648, Sigma-Aldrich Co., St. Louis, MO, USA又は均等物)中で室温において再構成する。ボトルの側部及び保護ホイルからいかなる残留粉末も取り外す。ピペットで数回出し入れしてかき回して、完全な再構成を確実にする。100,000UのDNase(ウシ膵臓由来のデオキシリボヌクレアーゼI、Sigma D5025又は均等物)、1gのコラゲナーゼ(クロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)由来のSigma C5138又は均等物)及び100mgのヒアルロニダーゼ(ヒツジ精巣由来のV型、Sigma H6254又は均等物)を加えて、100mL滅菌HBSSの最終容量にしてヒト腫瘍のための10×三重酵素消化ストック溶液を得る。残りの酵素ワーキング溶液を10,000U/mL DNase、10mg/mLコラゲナーゼ及び1mg/mLヒアルロニダーゼに等分する。100mLの最終容量において、10×DCHストック溶液は、以下の濃度を有する:DNase I 1000U/mL、コラゲナーゼ10mg/mL及びヒアルロニダーゼ1mg/mL。10×DCHストック溶液を腫瘍消化のためにHBSS中1×DCHに希釈する。
【0210】
[00230] 同時に、MACSのTDKとのDCH消化の比較のために、MACSのTDK中に含まれる試薬を必要に応じてメーカーの規格に調製する。-20℃で貯蔵してきたアリコートを室温で解凍する。
【0211】
[00231] 腫瘍を以下のように消化のために調製することができる。腫瘍をその一次パッケージング及び二次パッケージングから取り出して、バイアルを秤量して質量を記録して、バイオセーフティキャビネットに移す。腫瘍をフラグメントにカットし、又は腫瘍を細切除する。いくつかのフラグメントを選択し、消化プロトコルに用いて必要に応じて追加のフラグメントを組織学及びDNA抽出のために保持する。
【0212】
[00232] 例示的なDCHベースの腫瘍消化手順を図2に示しており、これは、以下の工程を含む。10×DCHストック溶液を消化のために1×ワーキング濃度に希釈しなければならない。腫瘍の消化に必要とされる総容量を算出する。これは、腫瘍の1cmあたり約5mLの溶液である。1部のDCHを9部のHBSSに加えることにより、DCHワーキング溶液を1×に希釈する。腫瘍フラグメントを50mL Falconコニカルチューブに、上で算出したHBSSの容量で移す。上で算出した10×DCHの量を加えて、チューブをキャップし、任意選択的にシールする。37℃、5%COの加湿インキュベータ内における、1~2時間一定に回転するMACSチューブローテータ(Miltenyi Biotech, Inc., San Diego, CA, USA)に移す。これ以外にも、腫瘍フラグメントを室温で一晩、ここでも一定に回転させて消化することができる。0.70μmのストレーナを滅菌Falconコニカルチューブに取り付ける。インキュベータからピペットを用いて消化物を得て、消化物の全ての内容物をストレーナに加える。滅菌シリンジプランジャの端部(butt)を用いて、あらゆる固形物をストレーナに押し通す。DCH消化rTILを含有するチューブをキャップする。本明細書中の他の箇所に記載するように細胞を洗浄して、消化物カクテルを除いてカウントし、REP増殖のための培地中に再懸濁させることができる。
【0213】
[00233] プレREP工程が、(以下の実施例のように)rTILとの比較のためにeTILを提供するために所望される場合、プレREPのために、DCH消化したrTILを用いてG-REXフラスコに播種する。必須の数のG-REX 10フラスコにラベル付けして、消化物を加える。40mLの最終容量を得るようにCM1+IL-2を加える。37℃、5%COの加湿インキュベータ内にフラスコを入れる。細胞のカウント及び生存度を、40μLのサンプルを40μLのアクリジンオレンジ及びヨウ化プロピジウムデュアル染色溶液(AOPI)に用いるNexcelom Cellometer K2を用いて実行して、必要に応じて希釈して、各消化物又は各状態について2反復でカウントすることができる。凝集を回避するためにサンプルを十分混合して、AOPIを、各サンプルをランさせる前に速やかにピペッティングして、生存度がヨウ化プロピジウムの細胞毒性作用によって不明瞭にされないことを確実にする。
【0214】
[00234] 上に記載したDCH手順は、驚くべきことに、いくつかの理由のため、MACSのTDKの酵素による消化混合物及び手順よりも優れていることが見出された。MACSのTDK混合物を用いた3つの独立した実験を実行した。第1の実験を、黒色腫腫瘍を用いて実行し、そこではrTIL中でのCD4/CD8集団の大きい下方制御が、MACS系を用いたフローサイトメトリによって観察された。そのような作用は、DCH消化rTILにおいて観察されなかった。これは、MACS消化手順が表面マーカーの発現に悪影響を及ぼし得ることを示す。第2の実験において、エストロゲン受容体-陽性(ER+)/プロゲステロン受容体-陽性(PR+)乳房腫瘍を用い、及びMACS消化物は、24-ウェルG-REXプレート内に残渣を出現させたが、DCH消化物は、クリアな物質を生じさせた。これは、MACS酵素カクテルについて消化が不十分であったことを示す。最後に、MACSのTDKの酵素による消化混合物及び手順を用いた異なるER+/PR+乳房腫瘍の第2の消化は、rTILの産出高及び生存度の両方を不十分とした。
【0215】
実施例2 - 腫瘍消化物由来のrTILの表現型の特性評価
[00235] プレREP中、腫瘍内在TILは、eTILとして遊走し且つ増殖する。rTILとの比較のためにeTILを調製するのに用いたプレREPの長さを11~21日で細胞増殖に応じて変え得る。残留腫瘍フラグメント(レムナント)を通常破棄して、増殖したeTILを、照射されたPBMCフィーダ、抗CD3及びIL-2によるREPにかける。プレREP後に腫瘍レムナント(rTIL)内に残っている生存可能なTILを、先に記載した実施例1に従う消化後に調査して、それらの機能及び表現型をeTILとの比較において評価した。
【0216】
[00236] 黒色腫、頭頚部、乳房、腎臓、膵臓、肺及び結腸直腸の腫瘍における腫瘍レムナント及びプレREP懸濁液由来の細胞集団(すなわち増殖した細胞集団)(n=17)を評価して比較した。興味深いことに、rTILは、LAG3、TIM-3、PD-1、CD69、CD45RO、CD27、CD56、CD57及びHLA-DRが挙げられる種々のマーカーの差次的発現によって本明細書中で判定され、且つ示されるように、eTILと一貫して表現型的に異なる。腫瘍レムナント集団及びプレREP集団のREPは、匹敵する増殖をもたらしたが、プレREPの結果と類似しており、表現型シグネチャは、LAG3、TIM-3、HLA-DR及びCD28に関して2つの集団間で様々であった。
【0217】
[00237] 黒色腫、乳房、腎臓、膵臓、肺及び結腸直腸の腫瘍から得たrTIL及びeTIL(n=9)を評価して比較した。腫瘍rTILは、種々のマーカーの差次的発現によって判定されるように、eTILと一貫して表現型的に異なる(表3及び図3)。
【0218】
【表3】
【0219】
[00238] rTILのeTILと比較した際の基本的な差異は、CD69発現の増大(CD4において7倍の中央値蛍光強度(MFI))(p<.0001)、LAG3発現の減弱(CD8T細胞において2倍のMFI)(p<0.05)及びTIM3発現の減弱(CD8及びCD4T細胞においてそれぞれ3倍及び2倍のMFI)(p<0.05/0.01)、CD154発現の減弱(CD4T細胞において3倍のMFI)(p<0.01)並びにCD56発現の減弱(5%)(p<0.05)であった。驚くべきことに、rTIL及びeTILのREPは、実施例4に記載するpre-REPの結果と類似した匹敵する増殖をもたらした。rTILの表現型シグネチャは、フィデリティのあるREP後に持続し、実施例4に記載するLAG3、TIM3及びCD28の個々のレベルまで発現した。さらに、CD57は、最終分化と関連する受容体であるため、結果は、rTILがeTILよりも最終的に分化されない(すなわち死にそうにない)ことを示唆している。
【0220】
[00239] 図3及び表3において報告した結果は、eTIL及びrTILが種々の腫瘍組織学における表現型発現において明白であるが一貫した差異を示すことを示す。最も顕著には、rTILにおいて、いわゆる「疲弊マーカー」(LAG3及びTIM3)の発現の低下があった。興味深いことに、PD-1は、eTIL及びrTILにおいて同様に発現された。加えて、eTILと比較してrTILにおけるCD69発現の増強があったが、それでも、KLRG1は、2つの集団間で類似した(データ示さず)。これは、rTILが最終的に分化されると思われないが、組織内在エフェクタ記憶T細胞に表現型的に類似しているという証拠をさらに提供する。
【0221】
[00240] まとめて、これらの結果は、腫瘍内に残存し、又は腫瘍から増殖且つ進行する細胞集団の生物学の有意な差異並びに遊走及び保持と関連するシグナルを特定した。
【0222】
実施例3 - 腫瘍消化物由来のrTILの機能的特性評価
[00241] T細胞機能不全は、ミトコンドリア機能の喪失と直接関連する。Sharping, et al., Immunity 2016, 45, 374-88。さらに、ミトコンドリアバイオジェネシスを支持するようなT細胞の再プログラミングは、腫瘍内T細胞の持続性及び機能を増大させ得る。したがって、代謝的により活性なT細胞は、腫瘍に対する有効な免疫応答のマウンティングに重要である。eTIL及びrTILを機能的に評価する取り組みにおいて、eTIL及びrTILを、代謝能に関してMitotracker及び2-(N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)-2-デオキシグルコース(2-NBDG)を介して比較した。2-NBDGを用いてグルコース吸収を測定することができるが、一次代謝プロセス、すなわちミトコンドリア内の完全な酸化又は糖分解のみ及びラクタートの生成は特定しない。Mitotracker色素(ThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA)を用いてミトコンドリア質量を測定することができる。このアプローチによるeTIL及びrTILの比較は、図4に示すように、rTILにおけるグルコースアップデートの増強を実証した。この結果は、驚くべきものである。なぜなら、腫瘍から直接解放されるrTILは、より解糖されると予想されるからである。しかしながら、rTIL中のミトコンドリア質量を評価した場合、rTILは、eTILと比較して僅かに増強されたMitotrackerレベルを示した。これらの結果は、より活性がないと予想される場合、rTILがeTILよりも代謝的に活性であったことを実証しており、及びrTILがeTILよりも腫瘍に対する免疫応答量を多くするより大きい能力を有し得ることを示唆している。
【0223】
[00242] 機能的能力をさらに評価するために、rTILを、ブレフェルディンA並びに抗CD3、抗CD28及び抗CD137の抗体でコーティングしたビード(DYNABEADS、カタログ番号11162D、ThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USAから市販されている)で一晩刺激してIFN-γを測定した。細胞を収穫して、透過化処理後にIFN-γについて細胞内染色してフローサイトメトリによって評価した。結果を図5に示す。
【0224】
[00243] また、細胞を13-酢酸12-ミリスチン酸ホルボール(PMA)及びイオノマイシンで刺激して、サイトカインを産生するTILの能力を評価した。結果をまた図5に示す。また、グランザイムB、TNF-α及びIL-17Aのレベルを評価した。僅かなIL-17Aのみが存在し、及びTNFα又はグランザイムBではrTILとeTIL間に差異はなかった(データ示さず)。驚くべきことに、eTILと比較してrTILにおいて、CD4サブセット中(CD8T細胞中でない)の僅かに上昇したIFN-γレベルが抗CD3/抗CD28/抗CD137ビード及びPMA/イオノマイシン条件で観察された(n=3)。このデータは、rTILが機能的にコンピテントな細胞であり、及びeTILよりも大きい機能的コンピテンスの証拠を示すことを示唆している。
【0225】
実施例4 - 腫瘍消化物由来のrTIL及びeTILのREPの比較
[00244] eTIL及びrTILを、照射されたPBMCフィーダ、抗CD3抗体(OKT3)及びIL-2による迅速な増殖プロトコル(REP)に14日間かけた。生存度及び細胞数を3つの独立した腫瘍(n=3)において2反復で評価した。表現型の発現をフローサイトメトリによって評価した。ミニREP実験の開始の成功をrTIL及びeTILの両方について観察した。抗CD3抗体及びフィーダによるTILのREP性能は、類似していたが、rTILは、驚くべきことに、eTILと比較して僅かに増強された細胞数を示した(p<0.08)(図6A)。REP前に観察されたように(実施例2を参照されたい)、REP後に得られたeTIL及びrTILは、表現型的に異なっていた。プレREPにおいて観察された多くの表現型差異は、REP中に保存され、例えばrTILにおけるLAG3及びTIM3の発現の低下があった(図6B)。
【0226】
[00245] eTIL及びrTILの追加特性を、(1)ディープTCRシーケンシング、(2)共培養増殖(サイトカイン混合物によるrTIL/eTIL共培養)及び更なる機能アッセイ、(3)転写プロファイリングについてのアッセイ(例えば、NanoString TechnologiesのNCOUNTER系を用いる)の結果に基づいて比較することができる。TCRシーケンシングは、Vbレパートリが挙げられるTCRレパートリのクローン性及び/又は多様性を評価することができる。また、テロメア長を評価して、rTILをeTILと比較することができる。
【0227】
実施例5 - rTIL並びにrTIL及びeTILの組合せによるヒト疾患の処置
[00246] 本明細書中に記載するように、本発明のrTILを癌の処置に用いることができる。患者の腫瘍由来のrTILの増殖及び患者の処置についての全体的なプロセスフロー図を図7に示す。プロセスは、示すように、患者に注入されるTIL生成物中でのrTIL対eTIL比の調整を可能にする。rTILのeTILに対する比率は、rTIL及びeTIL中でのCD69及び/又はT-細胞包括マーカーの差次的発現に基づく、当業者によって知られている親和性アッセイ又は他の細胞ソーティングアッセイによって選択することができる。
【0228】
[00247] 図8に、rTILを患者の腫瘍から得て、rTILを、プレREP後にREPステージを用いて腫瘍レムナントから増殖させて、リンパ球枯渇を実行して、rTILを患者に注入する例示的なプロセスを示すタイムラインを平行するeTILプロセスと共に示す。
【0229】
実施例6 - eTIL及びrTILにおいてVβレパートリを評価する研究
[00248] eTIL及びrTILを多様性及び頻度に関してVβT細胞受容体レパートリの差異について評価した。
【0230】
[00249] 本研究において、6つのプレREP eTIL/rTIL対を以下の組織構造から収穫した:卵巣癌;腎癌(n=2);及び乳癌(TNBC n=2、ER+PR+n=l)。RNA抽出及びVβシーケンシングのためにドライアイス上の細胞ペレットをiRepertoire(Huntsville, AL, USA)に出荷した。
【0231】
[00250] 本研究の結果を図9図10及び図14図16に示す。特に、図9及び図10は、それぞれ多様性スコア及び共有CDR3の%を示す。さらに、上位50の共有CDR3を示す3つのクローン型グラフを卵巣癌、腎癌及びトリプルネガティブ乳癌についてそれぞれ図14図15及び図16に示す。
【0232】
[00251] 驚くべきことに、TCRvβレパートリの多様性は、eTILにおけるよりもrTILにおいて大きい(図9)。eTIL及びrTILにおける総CDR3のおよそ30~50%が共有され(図10)、これは、総CDR3の高いパーセンテージが2つの集団において異なって発現されることを実証している。しかしながら、共有CDR3のうち、上位50のクローンは、ほとんどの場合、2つの集団間で共有された。これは、eTIL及びrTILが、抗原特異性が類似するクローンを有することを示唆している(図14図16を参照されたい)。さらに、上位50のクローンの頻度は変動した。これは、ここでも、eTIL及びrTILが驚くべきことに異なるT細胞集団であることを示唆している。
【0233】
実施例7 - 共培養増殖アッセイの研究
[00252] 共培養の直後にrTILがeTILの増殖状態を変更することができるか(又はその逆)を判定するのにeTIL及びrTILを評価した。
【0234】
[00253] 本研究において、5つのプレREP eTIL/rTIL対を以下の組織構造から収穫した:腎癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、黒色腫、肺癌及び結腸直腸癌。37℃で60分の酵素による消化によってrTILを腫瘍レムナントから単離した。eTILをCell Trace Yellowで着色し、且つrTILをCell Trace Redで着色して、2つの異なる集団を独立して追跡した。eTILの1e6、5e5 eTIL+5e5 rTIL及び1e6 rTILをIL-2+/-及びOKT3(抗CD3抗体)と37℃で4日間培養して、増殖についてフローサイトメトリによって評価した。
【0235】
[00254] 本研究の結果を図11に示す。図11において、5つ全ての腫瘍におけるCD4+集団又はCD8+集団由来のeTILが、抗CD3抗体によるrTILとの共培養の直後に、eTILのみと比較した場合、Cell Trace色素の推移(又は色素の希釈)によって実証される増殖能力の増強を実証した。rTILと共培養した場合、赤色は、eTILを表し、青色は、eTILを表す。
【0236】
実施例8 - 共培養増殖アッセイの研究
[00255] rTIL及びeTILの遺伝子発現プロファイルの類似性及び/又は差異を識別するためにeTIL及びrTILを評価した。
【0237】
[00256] 本研究において、Nanostring’s nCounter技術を利用した。これは、mRNAに対して多重化されたカラーコード化バーコードを使用して、遺伝子発現のデジタル読取りを供給するものである。6つのマッチしたeTILサンプル及びrTILサンプルから精製したRNA(RNeasy, Qiagen)をnCounter Immunology V2パネルコードセットとサーモサイクラー上で16時間ハイブリダイズさせた。コードセットは、サーモサイクリング中の22bpの相互作用により標的RNAと多重化される捕捉プローブ及びリポータプローブの混合物からなる。サンプルを12ウェルSPRINTカートリッジ中にロードして、nCounter SPRINT装置上でランさせた。カウントデータをカスタムRCCフォーマットでエクスポートして、RLFファイルにマッチさせ、これが遺伝子名をプローブIDにマッチさせる。標準化及び分析をnSolver 3.0(NanoString Technologies, Inc.)で行った。
【0238】
[00257] 本研究の結果を図12及び図13に示す。図12及び図13に示すように、遺伝子発現プロファイルは、eTIL及びrTILを比較した場合、大きく異なる(図12におけるヒートマップを参照されたい)。いくつかの遺伝子がeTILと比較してrTILにおいて大きく上方制御又は下方制御されている(図13)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
2022167931000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2022-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の処置を、前記処置を必要としている患者において行うための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、治療的に有効な量のレムナント腫瘍浸潤リンパ球(rTIL)を含み、前記rTILが、新生の腫瘍浸潤リンパ球(eTIL)から分離された腫瘍レムナントを、デオキシリボヌクレアーゼ、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ又はその組み合わせを含む消化混合物を用いて、酵素で消化することと、rTILを、細胞培地、照射されたフィーダ細胞、OKT-3抗体及びインターロイキン2(IL-2を含む第2の細胞培地で増殖させることにより得られ、
前記腫瘍レムナント及びeTILが、前記患者から得られた腫瘍組織であって、フラグメント化され、そしてIL-2を含む第1の細胞培地で処理された腫瘍組織に由来する、医薬組成物
【請求項2】
前記腫瘍組織は、黒色腫腫瘍組織、頭頚部腫瘍組織、乳房腫瘍組織、腎臓腫瘍組織、膵臓腫瘍組織、膠芽腫腫瘍組織、肺腫瘍組織、結腸直腸腫瘍組織、肉腫腫瘍組織、トリプルネガティブ乳房腫瘍組織、子宮頸部腫瘍組織、卵巣腫瘍組織及び急性骨髄性白血病の骨髄又は腫瘍組織からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
前記照射されたフィーダ細胞は、照射された同種末梢血単核細胞を含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物
【請求項4】
IL-2は、約3000IU/mLの初期濃度で前記第2の細胞培地中に存在し、及びOKT-3抗体は、約30ng/mLの初期濃度で前記第2の細胞培地中に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項5】
前記rTILにおけるCD56発現は、前記eTILにおけるCD56発現に対して少なくとも3倍だけ低下する、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項6】
前記rTILにおけるCD69発現は、前記eTILにおけるCD69発現に対して少なくとも2倍だけ増大する、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項7】
前記第1の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項8】
前記第2の細胞培地は、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21及びそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項9】
前記rTILが、前記rTILを得る前に低温保存されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記低温保存されたrTIL集団が、前記rTILを得る前に解凍されている、請求項に記載の医薬組成物
【請求項11】
前記患者に前記rTILを投与する前に前記患者非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンが投与され、治療的に有効な量のrTILを前記患者に投与する1日後に開始して、前記患者高用量IL-2レジメンが投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項12】
治療的に有効な量のeTILは、前記治療的に有効な量のrTILとの混合物中で同時に得られる、請求項11に記載の医薬組成物
【請求項13】
前記非骨髄破壊リンパ球枯渇レジメンは、2日間にわたって60mg/m/日の用量でシクロホスファミドを前記患者に投与し、それに続いて、5日間にわたって25mg/m/日の用量でフルダラビンを前記患者に投与する工程を含む、請求項11又は12に記載の医薬組成物
【請求項14】
前記高用量IL-2レジメンは、耐容能まで8時間毎に15分のボーラス静注として前記患者に投与される600,000又は720,000IU/kgのアルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項15】
前記癌は、黒色腫、二重不応性黒色腫、ブドウ膜黒色腫、卵巣癌、子宮頸部癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、頭頚部癌、腎細胞癌、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌及び肉腫からなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項16】
前記癌は、乳癌であり、前記乳癌は、トリプルネガティブ乳癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、プロゲステロン受容体陽性乳癌及びエストロゲン受容体陽性/プロゲステロン受容体陽性乳癌からなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物
【請求項17】
前記癌は、肺癌であり、及び前記肺癌は、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物
【請求項18】
前記治療的に有効な量のrTILが医薬組成物中に提供され、前記医薬組成物における前記rTILの濃度が50%超である、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】