IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディーティーエス・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図1
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図2
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図3
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図4
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図5
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図6
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図7
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図8
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図9
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図10
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図11
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図12
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図13
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図14
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図15
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図16
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図17
  • 特開-没入型オーディオ再生システム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167932
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】没入型オーディオ再生システム
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
H04S7/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022128814
(22)【出願日】2022-08-12
(62)【分割の表示】P 2018558292の分割
【原出願日】2017-05-05
(31)【優先権主張番号】62/332,872
(32)【優先日】2016-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503206684
【氏名又は名称】ディーティーエス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DTS,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョット ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】ノー テギョン
(72)【発明者】
【氏名】キャシディ ライアン ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】カトシアノス テミス ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー オヴィール
(57)【要約】
【課題】システム及び方法は、水平面にあるラウドスピーカを用いて、3次元音場内に高所の仮想スピーカ音源を提供することができる。
【解決手段】1つの実施例では、プロセッサ回路は、聴取者に対して高所にあり、任意選択的に聴取者の向く方向から特定の方位角だけオフセットしたラウドスピーカを用いた再生を目的とする情報を含む、少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取ることができる。特定の方位角に基づく使用のために、第1の仮想高さフィルタを選択することができる。第1の仮想高さフィルタを少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用することによって仮想化オーディオ信号を生成することができる。仮想化オーディオ信号が水平面にある1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されると、仮想化オーディオ信号は、方位角に対応する高所のラウドスピーカ音源から生じるものとして聴取者に知覚することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面に配置されたラウドスピーカを用いて3次元音場内に仮想化オーディオ情報を提供する方法であって、前記仮想化オーディオ情報は、前記第1の平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚され、
前記方法は、
第1のプロセッサ回路を用いて、前記第1の平面からオフセットしたラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成された少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて、前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に対応し方位角パラメータを含む定位情報を受け取るステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて、前記方位角パラメータに関する情報を用いて第1の仮想高さフィルタを選択するステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて前記第1の仮想高さフィルタを前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む、仮想化オーディオ信号を生成するステップであって、前記仮想化オーディオ信号は、前記第1の平面にある1又は2以上のラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成され、前記仮想化オーディオ信号は、前記1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記第1の平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚されるようになる、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記仮想化オーディオ信号が前記1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記仮想化オーディオ信号が、前記ラウドスピーカの水平面から第2の平面へ垂直方向に上方又は下方へ広がる可聴情報を含むものとして前記聴取者に知覚されるように、前記信号を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記仮想化オーディオ信号が前記1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記仮想化オーディオ信号が、前記ラウドスピーカの水平面に対して高所又は低所にある音源から生じるものとして前記聴取者に知覚されるように、前記信号を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記第1の仮想高さフィルタを適用する前に、水平面仮想化を前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記第1の仮想高さフィルタを適用した後に、水平面仮想化を前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
オーディオ信号ミキサ回路を用いて、前記仮想化オーディオ信号を、前記第1の平面にある前記1又は2以上のラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と混合するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取る前記ステップは、前記聴取者の水平面である前記第1の平面に対して高所にある異なるラウドスピーカを用いた再生を目的とする第1及び第2の高さオーディオチャンネルに関する情報を受け取るステップを含み、
前記定位情報を受け取る前記ステップは、前記第1及び前記第2の高さオーディオ信号チャンネルに対してそれぞれの方位角パラメータを受け取るステップを含み、
前記選択するステップは、前記それぞれの方位角パラメータに関する情報を用いて異なるそれぞれの第1及び第2の仮想高さフィルタを選択するステップを含み、
前記生成するステップは、前記第1のプロセッサ回路を用いて前記第1及び第2の仮想高さフィルタをそれぞれ前記第1及び第2の高さオーディオチャンネルに適用して、それぞれの第1及び第2の仮想化オーディオ信号を提供するステップを含み、前記第1及び第2の仮想化オーディオ信号が前記水平面にあるラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記再生された信号は、前記水平面以外の可聴情報を含むものとして前記聴取者に知覚される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生成するステップは、前記第1及び第2の仮想高さフィルタを適用する前に前記第1及び第2の高さオーディオ信号を脱相関させるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の高さオーディオチャンネルに対する前記それぞれの方位角パラメータは、実質的に対称的な方位角であり、前記選択された異なるそれぞれの第1及び第2の高さフィルタは、同側及び対側の頭部伝達関数データに基づく加算フィルタ及び差分フィルタを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記定位情報を受け取る前記ステップは、高度パラメータを受け取るステップを更に含み、前記第1の仮想高さフィルタを選択する前記ステップは、前記方位角パラメータに関する情報を使用するステップと前記高度パラメータに関する情報を使用するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の仮想高さフィルタを選択する前記ステップは、頭部伝達関数から導出される仮想高さフィルタを選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記第1のプロセッサ回路を用いて前記仮想化オーディオ信号に水平面空間化を適用するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のプロセッサ回路を用いて前記聴取者の水平面にあるラウドスピーカを用いた再生を目的とする他のオーディオ信号に対して水平面空間化を適用するステップを含む、水平面に対する空間的に強調されたオーディオ信号を生成するステップと、
前記仮想化オーディオ信号を前記空間的に強調されたオーディオ信号と混合して、前記聴取者の水平面にある前記ラウドスピーカを用いてサラウンド音響を提供するステップと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
聴取者の第1の平面の外部にあるラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成された高さオーディオ情報信号を受け取る手段と、
少なくとも1つの前記高さオーディオ信号に対応する、方位角パラメータを含む定位情報を受け取る手段と、
前記方位角パラメータを用いて仮想化高さフィルタを選択する手段と、
選択された前記仮想化高さフィルタと受け取られた前記高さオーディオ情報信号とを用いて仮想化高さオーディオ情報信号を生成するため、並びに前記仮想化高さオーディオ情報信号を非一時的コンピュータ可読媒体に記憶するための手段であって、前記仮想化オーディオ情報信号は、前記聴取者の前記第1の平面に設けられたラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成される、手段と、
を備えるシステム。
【請求項15】
前記仮想化高さオーディオ情報信号は、前記聴取者の前記第1の平面にある前記ラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用して、前記オーディオ再生で使用される前記ラウドスピーカの水平面から第2の平面へ垂直方向に上方又は下方へ広がる音像を提供するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記仮想化高さオーディオ情報信号は、前記聴取者の前記第1の平面にある前記ラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用して、前記オーディオ再生で使用される前記ラウドスピーカの水平面から垂直方向に上方又は下方にオフセットした位置から生じる音像を提供するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記仮想化高さオーディオ情報信号を生成する前に前記高さオーディオ情報信号に対して水平面仮想化を適用する手段を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記仮想化高さオーディオ情報信号を、前記聴取者の前記第1の平面にある前記ラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と混合する手段を更に備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記高さオーディオ情報信号内の複数チャンネルのオーディオ情報を脱相関させて複数の脱相関信号を提供する手段を更に備え、
前記仮想化高さオーディオ情報信号を生成するための前記手段は、前記選択された仮想化高さフィルタと前記脱相関信号の内の少なくとも1つとを用いて前記仮想化高さオーディオ情報信号を生成する手段を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記方位角パラメータを用いて前記仮想化高さフィルタを選択する前記手段は、高度パラメータを用いて前記仮想化高さフィルタを選択する手段を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
頭部伝達関数に関する情報を用いて前記仮想化高さフィルタを生成する手段を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
水平面にあるラウドスピーカを用いた3次元音場に仮想化オーディオ情報を提供するように構成されたオーディオ信号処理システムであって、前記仮想化オーディオ情報は、前記水平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚され、
前記システムは、
聴取者に対して高所にあるラウドスピーカを用いた再生を目的とするオーディオ信号情報を含む少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るように構成されたオーディオ信号入力と、
前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に関する定位情報を受け取るように構成され、第1の方位角パラメータを含む定位信号入力と、
1又は2以上の仮想高さフィルタを含むメモリ回路であって、前記仮想高さフィルタの各々が1又は2以上の方位角パラメータと関係付けられるメモリ回路と、
オーディオ信号プロセッサ回路と、
を備え、
前記オーディオ信号プロセッサ回路が、
前記第1の方位角パラメータを用いて前記メモリ回路から第1の仮想高さフィルタを取り出し、
前記第1の仮想高さフィルタを前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用することによって仮想化オーディオ信号を生成する、
ように構成され、前記仮想化オーディオ信号が前記水平面にある1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記仮想化オーディオ信号は、前記水平面以外の可聴情報を含むものとして前記聴取者に知覚される、ことを特徴とするシステム。
【請求項23】
前記オーディオ信号入力に結合され、前記少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るように構成された脱相関回路を更に備え、前記脱相関回路は、前記高さオーディオ信号に含まれる1又は2以上のオーディオチャンネルに脱相関フィルタを適用するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記高さオーディオ信号及び前記仮想化オーディオ信号の内の少なくとも1つに水平面仮想化を適用するように構成された水平面仮想化プロセッサ回路を更に備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記仮想化オーディオ信号を、同じ前記ラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と結合させるように構成されたオーディオ信号ミキサ回路を更に備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記オーディオ信号プロセッサ回路は、前記聴取者に対応する同側及び対側の頭部伝達関数情報に基づいて前記第1の仮想高さフィルタを導出するように構成された頭部伝達関数導出回路を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
N個のオーディオ入力チャンネルを有するシステムにおける少なくとも1つの高さオーディオ信号の仮想高さ処理の方法であって、前記少なくとも1つの高さオーディオ信号は前記N個のオーディオ入力チャンネルの内の1つに対応し、
前記方法は、
前記システムからダウンミックスされるオーディオ出力のためにM個のチャンネルを選択するステップであって、N及びMが非零の正の整数であり、MはNより小さい、ステップと、
オーディオ信号プロセッサ回路を用いて、前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に対する仮想定位に関する情報を受け取るステップであって、前記仮想定位に関する前記情報が方位角パラメータを含むステップと、
メモリ回路から、前記少なくとも1つの高さオーディオ信号と共に使用する仮想高さフィルタを前記方位角パラメータに基づいて選択するステップと、
前記オーディオ信号プロセッサ回路を用いて、前記方位角パラメータに基づく前記選択された仮想高さフィルタを用いて前記少なくとも1つの高さオーディオ信号を処理するため仮想化プロセッサ回路を用いて仮想化オーディオ信号を提供するステップと、
前記仮想化オーディオ信号を、前記選択されたM個のチャンネルの内の1又は2以上からの他のオーディオ信号情報と混合して出力信号を提供するステップと、
を含む方法。
【請求項28】
前記方位角パラメータ及び/又は高度パラメータに対応する頭部伝達関数から前記仮想高さフィルタを導出するステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
パワー信号比を用いて且つ前記方位角パラメータに基づいて前記仮想高さフィルタを導出するステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記出力信号に水平面空間化を適用するステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記仮想化オーディオ信号を提供する前記ステップは、前記少なくとも1つの高さオーディオ信号の複数チャンネルの内の少なくとも1つに脱相関フィルタを適用するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの高さオーディオ信号は、2つのチャンネルの各々に信号情報を含み、
前記仮想定位に関する情報を受け取る前記ステップは、前記2つのチャンネル内の前記信号情報にそれぞれ対応する方位角パラメータを受け取るステップを含み、
前記方位角パラメータは、実質的に対称な仮想定位方位角を含み、
前記仮想高さフィルタを選択する前記ステップは、同側及び対側の頭部伝達関数データそれぞれに基づく加算フィルタ及び差分フィルタを選択するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記混合するステップは、前記信号を混合して2チャンネルヘッドフォンオーディオ信号をレンダリングするステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
実質的に第1の平面内に設けられたラウドスピーカを用いて再生されるオーディオ信号において可聴アーティファクト高さを垂直方向に広げる方法であって、前記方法は、
第1のプロセッサ回路を用いて、聴取者の第1の平面に設けられた複数のラウドスピーカの内の少なくとも1つを用いた再生を目的とする第1のオーディオ入力信号を受け取るステップと、
仮想化高さ信号を提供するように、前記入力オーディオ信号を遅延させて前記第1のプロセッサ回路を用いて仮想高さフィルタを前記第1の入力オーディオ信号に適用するステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて、前記仮想化高さ信号と前記オーディオ入力信号を結合させて、加工オーディオ信号を提供するステップであって、前記加工オーディオ信号は、前記第1の平面から垂直方向に広がる可聴アーティファクトを提供するために、前記聴取者の前記第1の平面に設けられた前記複数のラウドスピーカの内の1又は2以上を用いて再生するように構成されるステップと、
を含む方法。
【請求項35】
前記垂直方向に広げられる可聴アーティファクトと関係付けられた方位角及び高度角に対応する頭部伝達関数から前記仮想化高さフィルタを導出するステップを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のオーディオ入力信号は、少なくとも2つのチャンネルに情報を含み、前記第1の入力オーディオ信号を遅延させて前記仮想化高さフィルタを前記第1の入力オーディオ信号に前記適用するステップは、前記仮想化高さ信号と前記オーディオ入力信号を前記結合させて前記加工オーディオ信号を提供する前に、前記2つのチャンネルの内の少なくとも1つに脱相関フィルタを適用するステップを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記信号内の低周波数情報を減衰又は増幅するために、前記仮想化高さ信号にスペクトル補正フィルタを適用するステップを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
2又は3以上のオーディオ情報チャンネルを含むオーディオ信号の仮想化処理の方法であって、前記方法は、
第1のプロセッサ回路を用いて、複数のオーディオ情報チャンネルを含むオーディオ信号を受け取るステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて、前記複数のオーディオ情報チャンネルの内の少なくとも1つに脱相関を適用し、少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルを提供するステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて前記少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルに仮想化処理を適用するステップを含む、仮想化オーディオ信号を生成するステップであって、前記仮想化処理は、前記仮想化オーディオ信号がラウドスピーカ又はヘッドフォンを用いて聴取者に提供されるときに前記仮想化オーディオ信号内の可聴情報の聴取者知覚定位を調整するように構成されるステップと、を含む方法。
【請求項39】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルに仮想高さフィルタを適用するステップを更に含み、前記仮想高さフィルタは頭部伝達関数から導出される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルに仮想高さフィルタを適用するステップを更に含み、前記仮想高さフィルタは複数の頭部伝達関数のパワー比から導出される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
方位角方向及び仰角方向にて聴取者からオフセットした音源とそれぞれに関係付けられた第1及び第2の頭部伝達関数からの振幅情報を用いて前記仮想高さフィルタを導出するステップを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記脱相関フィルタを適用する前記ステップは、前記複数のオーディオ情報チャンネルを含むオーディオ情報チャンネルの内の前記少なくとも1つにオールパスフィルタを適用するステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記仮想化オーディオ信号がラウドスピーカ又はヘッドフォンを用いて再生されるときに前記仮想化オーディオ信号内の可聴情報の原点の前記知覚定位を調整するように、頭部伝達関数に基づくフィルタを適用するステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
複数のオーディオ情報チャンネルを含むオーディオ信号を受け取る手段と、
前記複数のオーディオ情報チャンネルを脱相関させて少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルを提供する手段と、
前記少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルを用いて仮想化オーディオ信号を生成する手段であって、前記仮想化オーディオ信号は、聴取者の第1の平面の外部に可聴情報の聴取者知覚定位を作り出すために、前記第1の平面にあるラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成される手段と、
を備えるシステム。
【請求項45】
前記第1の平面は、前記ラウドスピーカの水平面であり、前記仮想化オーディオ信号は、前記水平面の上方又は下方に広がる可聴情報の聴取者知覚定位を作り出すために前記ラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の平面は、前記ラウドスピーカの水平面であり、前記仮想化オーディオ信号は、前記水平面の上方又は下方に生じる可聴情報の聴取者知覚定位を作り出すために前記ラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記手段は、前記少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルに頭部伝達関数に基づく仮想化フィルタを適用する手段を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前に前記フィルタ処理されたチャンネルに水平面仮想化を適用する手段を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の平面の内部及び前記第1の平面の外部にある可聴情報の聴取者知覚定位を作り出すために、前記仮想化オーディオ情報信号を、前記聴取者の前記第1の平面にある前記ラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と結合させる手段を更に含む、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年5月6日出願の米国特許仮出願第62/332872号に対する優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘッドフォン又はラウドスピーカを用いた3次元オーディオ再生のためなど、頭部伝達関数(HRTF)に基づいてオーディオ信号処理を実施するために、様々な技術が提案されている。一部の実施例では、この技術は、水平面内に局在化された、或いは高い位置に配置された仮想ラウドスピーカを再生するのに使用される。ラウドスピーカに基づくシステムにおいて「スイートスポット」から離れた聴取者位置に対する水平定位アーティファクトを低減するために、様々なフィルタを適用して、その影響をより低い周波数に制限することができる。しかしながら、これは、仮想高さ効果の有効性を損なう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような技術は一般に、高所ラウドスピーカを用いた再生を意図した少なくとも1つの専用チャンネルを含むオーディオ入力信号を必要とし、又は使用する。しかしながら、音楽レコーディングや映画サウンドトラックを含めて、一般に入手可能な一部のオーディオコンテンツには、このような専用チャンネルが含まれない場合がある。2つのラウドスピーカにわたってオーディオ信号を分散させるために「擬似ステレオ」技術を使用することは、例えば、再生される音像を全体的に垂直方向に持ち上げて広げるので、所望の垂直方向没入効果を作り出すには一般に不十分であるか、又は好適ではない。より自然に聞こえる没入又は強調効果のために、環境又は拡散信号成分に対して知覚される垂直方向の広がりを提供しながら、主信号成分(例えば、水平面の)の知覚定位を維持することが望ましい。
【0004】
1つの実施例では、上向き発射のラウドスピーカドライバを用いて、リスニングルームの天井で高さ信号を反射させることができる。しかしながら、この手法は、適度な高さでの水平天井を必要とし、水平チャンネル信号に対する高さチャンネル信号の較正及び相対的な遅延調整に関して付加的なシステム複雑化を要求するため、常に実用的であるとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本発明者らは、解決すべき課題には、高所スピーカを必要又は使用することなく、没入型の3次元リスニング体験を提供することが含まれることを認識した。課題は更に、垂直方向の高い位置、及び聴取者が向いている方向に対して特定の角度など、聴取者に対して3次元空間内に仮想音源を設けることを含むことができる。この課題は、聴取者の動きを追跡すること、及びそれに対応してユーザの3次元空間内にある仮想音源を調整又は維持することを含むことができる。この課題には更に、3次元又は没入型の音場体験を再現するためのハードウェア要件を簡素化又は削減することを含むことができる。
【0006】
1つの実施例では、垂直定位の課題に対する解決策には、没入空間オーディオ再生用のシステム及び方法が含まれる。実施形態は、物理的に高所の又は上方発射のラウドスピーカを必要とせずに又は使用することなく、ラウドスピーカを用いて、少なくとも部分的に高い位置から到来するものとして聴取者に知覚される音を再現することができる。種々の実施形態は、ヘッドフォン、ラウドスピーカ、及び従来のステレオ又はサラウンド音響再生システムを含む、特定のオーディオ再生デバイスと適合性があり、或いは特定のオーディオ再生デバイスに合わせて選択される。例えば、本明細書に記載される幾つかのシステム及び方法は、例えば、サウンドバーラウドスピーカ、ホームシアタシステムを用いて、或いは一体型ラウドスピーカを備えたTV又はラップトップコンピュータを用いて、強化された没入型の3次元多チャンネルオーディオコンテンツの再生に使用することができる。
【0007】
専用の「高さ」ラウドスピーカ又はドライバを排除することによるハードウェアの簡素化及びコスト削減の他に、本発明のシステム及び方法は様々な利点を含む。例えば、信号処理方法は、水平面定位の処理又はレンダリングとは関係なく、仮想高さ効果を実現することができる。これにより、垂直方向及び水平方向の様相を別々に最適化又は調整することができ、これによって、「スイートスポット」から離れたリスニング位置でも、水平方向サラウンド効果の設計的な妥協とは関係なく、高所効果を維持することができる。
【0008】
仮想高所効果と水平面定位との間の依存関係を取り除くことにより、効率的な信号処理トポロジを可能にすることができる。1つの実施例では、システムが2チャンネルステレオラウドスピーカ装置のみを含むかどうか、或いはシステムが、前方及び後方ラウドスピーカを含む多チャンネルのサラウンド音響システムなどの付加的なラウドスピーカを含むかどうかに関わらず、同じ又は類似の仮想高さ効果トポロジを使用することができる。1つの実施例では、多チャンネルシステムの実施例は、物理的な後方ラウドスピーカを使用して仮想後方高所効果を用いることができる。別の例では、2チャンネルシステムの実施例は、水平面の後方仮想化と併せて仮想後方高所効果を用いることができる。仮想高さ処理トポロジは、この両方の例において同一とすることができる。
【0009】
1つの実施例では、高さアップミックス技術を用いて、離散的な高さチャンネルを含まない場合があるレガシーコンテンツ形式などに対して強化された没入効果を生み出すことができる。高さアップミックス技術は、入力信号における環境成分の知覚定位を垂直方向に広げることを含むことができる。
【0010】
上述の課題に対する解決策は、従来の水平方向ラウドスピーカ又はヘッドフォン構成を用いて、より正確で没入感のある音場を供給するために、仮想高さオーディオ信号処理を含む又は使用することができる。1つの実施例では、仮想高さ処理は、高所ラウドスピーカを用いた送出する目的のオーディオ信号に仮想高さフィルタを適用することができる。このような仮想高さフィルタは、頭部伝達関数(HRTF)の振幅比又はパワー比の特性から導出することができる。一部の実施例では、HRTF振幅又はパワー情報は、聴取者の視線又は対面方向に対して所望の方位定位角度とは無関係に導出することができる。パワー比は、聴取者の正面の正中面に位置する音源について評価することができる。しかしながら、この手法では、正中面から離れた音響定位に対する仮想高さ処理を扱うことができない。
【0011】
1つの実施例では、仮想高さ処理は、聴取者の視線方向に対する仮想音源の特定の方位角又は回転方向に少なくとも部分的に依存する仮想高さフィルタを含む又は使用することができる。1つの実施例では、この処理は、高所仮想音源に対する同側HRTFと対側HRTFとの間の様々な相違を考慮に入れることができる。
【0012】
1つの実施例では、上述の課題に対する別の解決策は、ファントム音源のHRTFに基づく仮想化を含む又は使用することができる。ファントム音源は、複数の入力又は出力チャンネル間で振幅パンされるオーディオ情報又は音響信号を含むことができ、このようなファントム音源は一般に、ラウドスピーカ間のどこかから生じるものとして聴取者に知覚される。1つの実施例では、周波数領域の空間分析及び合成技術を含むといった仮想化技術を用いて、それぞれの適切な又は意図する位置でのファントム音響成分を抽出し「再レンダリング」することができ、脱相関処理を仮想化と共に用いて、ファントム中心成分などのファントム成分の再生を向上させることができる。
【0013】
1つの実施例では、可変脱相関効果は、デジタル有限インパルス応答(FIR)HRTFフィルタのペアに組み込むことができる。
【0014】
一部の実施例では、脱相関処理は、仮想中心音響成分に排他的に適用することができ、脱相関信号には、仮想化処理は適用されない。別の例では、脱相関処理を仮想化フィルタ内に組み込むことができる。更に別の例では、本明細書に記載される没入空間オーディオ再生システム及び方法は、ファントム音源の仮想化を含む又は使用し、仮想化処理の前などに、脱相関フィルタを入力チャンネル信号に適用することができる。
【0015】
1つの実施例では、本明細書に記載される没入空間オーディオ再生システム及び方法は、低複雑度の時間領域アップミックス処理技術を含む又は用いて、入力オーディオ信号に存在する環境信号成分及び/又は拡散信号成分の聴取者知覚定位を垂直方向に広げることなどにより、強化された没入効果を生成することができる。強化された没入効果は、主音響成分の定位に最小限度の又は制御された効果を示すことができる。アップミックス技術は、パッシブマトリクス又はアクティブマトリクスを含むことができ、後者は、5.1サラウンド音響コンテンツなどのレガシー多チャンネルコンテンツから合成高さチャンネルを得ることができる周波数領域アルゴリズム(例えば、DTS(登録商標)Neo:X(商標)及びDTS(登録商標)Neural:X(商標)など)を含む。
【0016】
代替の実施形態が可能であり、本明細書で論じるステップ及び要素を特定の実施形態に応じて変更、追加、又は削除することができることに留意されたい。これら代替の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、使用可能な代替のステップ及び代替の要素、並びに実施可能な構造的変更を含む。
【0017】
この概要は、本特許出願の主題の要旨を提供することを意図している。本発明の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図するものではない。詳細な説明は、本特許出願に関する更なる情報を提供するために含まれる。
【0018】
必ずしも一定の縮尺で描かれない図面において、同じ参照数字は、異なる図において同じ構成要素を示すことができる。異なる添字を有する同じ参照数字は、同じ構成要素の異なる事例を表すことができる。図面は、本明細書で論じる様々な実施形態を限定ではなく例証として概略的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】3次元音場におけるオーディオ信号再生の第1及び第2の実施例の概略図である。
図2】複数の同側及び対側仰角スペクトル応答チャートの1つの実施例を示す図である。
図3】仮想高さ及び水平面音響信号空間化の第1及び第2の実施例の概略図である。
図4】11.1再生システムを模擬するために複数の仮想高さラウドスピーカを使用するシステムの1つの実施例の概略図である。
図5】一部の実施形態による、バーチャライザ処理システムの1つの実施例の概略図である。
図6】一部の実施形態による、第2のバーチャライザ処理システムの1つの実施例の概略図である。
図7】仮想高さ処理用システムの一部のブロック図の1つの実施例の概略図である。
図8】入れ子型オールパスフィルタのブロック図の1つの実施例の概略図である。
図9】9チャンネル入力システムにおける仮想高さプロセッサの第1、第2及び第3の実施例の概略図である。
図10】高さアップミックス処理の1つの実施例の概略図である。
図11】単一チャンネル入力信号に対する高さアップミックス処理の概略的なブロック図である。
図12図11の実施例に基づく脱相関モジュールの1つの実施例の概略的なブロック図である。
図13】第1の高さアップミックス処理の例を示す概略図である。
図14】第2の高さアップミックス処理の例を示す概略図である。
図15】第3の高さアップミックス処理の例を示す概略図である。
図16】第4の高さアップミックス処理の例を示す概略図である。
図17】5チャンネル入力システムにおける仮想高さプロセッサの第1、第2及び第3の実施例の概略図である。
図18】本明細書で論じる手法の内の何れか1又は2以上を実行するように構成可能な機械の構成要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ヘッドフォン又は他のラウドスピーカを介した再生など、環境レンダリング及びオーディオ信号処理の実施例を含む以下の説明では、詳細な説明の一部を成す添付図面を参照して行う。図面は、1つの実施例として、本発明を実施できる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。このような実施例は、図示又は記載されたものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らはまた、図示又は記載された要素のみが与えられる実施例を企図している。本発明者らは、本明細書に図示又は記載された特定の実施例(又はその1又は2以上の態様)に関して、或いは他の実施例(又はその1又は2以上の態様)に関して、図示又は記載された要素(又はその1又は2以上の態様)の何れかの組み合わせ又は置き換えを使用した実施例を企図している。
【0021】
本明細書で使用する場合、語句「オーディオ信号」は、物理的な音響を表す信号である。本明細書に記載されるオーディオ処理システム及び方法は、様々なフィルタを用いてオーディオ信号を使用又は処理することができる。一部の実施例では、システム及び方法は、複数のオーディオチャンネルからの信号、又は複数のオーディオチャンネルに対応する信号を使用することができる。1つの実施例では、オーディオ信号は、複数のオーディオチャンネルに対応する情報を含むデジタル信号を含むことができる。
【0022】
様々なオーディオ処理システム及び方法を用いて、様々なラウドスピーカ構成で2チャンネル又は多チャンネルのオーディオ信号を再生することができる。例えば、オーディオ信号は、ヘッドフォンで、1対のブックシェルフ型ラウドスピーカで、或いは、聴取者に対して様々な場所に配置されたスピーカを使用するといったサラウンド音響システムで再生することができる。一部の実施例では、ラウドスピーカの数又は向きが限定されるといった場合、リスニング体験を強化するために強制的な空間強調効果を含む又は使用することができる。
【0023】
引用により全体が本明細書に組み込まれる、Walsh他に付与され「ラウドスピーカ又はヘッドフォン再生用の仮想オーディオ処理(Virtual Audio Processing for Loudspeaker or Headphone Playback)」と題された米国特許第8000485号は、オーディオ信号をバーチャライザプロセッサで処理して、他の信号と加算して修正ステレオ音像を生成することができる仮想化チャンネル信号を生成することができる。第8000485号特許の技術に加えて又はこれに代えて、本発明者らは、仮想高さ処理を用いて、水平配置のラウドスピーカ構成を使用しながら垂直方向成分を含む正確な音場表現を提供できることを認識した。
【0024】
1つの実施例では、頭部伝達関数から導出可能なものなど、相対的仮想高所フィルタを適用して、聴取者の体験を更に強化するために聴取者の上方又は下方の様々な特定の高度又は高所での音響情報を含むように、聴取者により知覚される仮想オーディオ情報をレンダリングすることができる。1つの実施例では、このような仮想オーディオ情報は、水平面内に設けられたラウドスピーカを用いて再生され、該仮想オーディオ情報は、例えば物理的又は実際のラウドスピーカが知覚された発生位置にて一切存在しない場合でも、ラウドスピーカから或いは水平面に対して高所にある他の音源から生じていると知覚される。1つの実施例では、仮想オーディオ情報は、水平面から広がりまた任意選択的に水平面内のオーディオ情報を含むサウンドエレベーションの印象又は聴覚性錯覚をもたらす。
【0025】
図1は、3次元音場におけるオーディオ信号再生の第1及び第2の実施例101,151を概略的に示す。第1の実施例101では、聴取者110は、第1の方向111、すなわち「視線方向」を向いている。この例では、視線方向は、聴取者110に関係付けられた第1の平面に沿って延びる。一部の実施例では、第1の平面は、聴取者110の耳と、又は聴取者110の胴体と、又は聴取者110の腰部と一致する水平面を含む。言い換えれば、第1の平面は、聴取者110に対する特定の向き又は位置を基準とすることができる。
【0026】
図1は、聴取者110の頭部に対する正中面の第1の位置121にて測定できるような、第1の頭部伝達関数(HRTF)フィルタH(z)に基づく仮想高さ処理フィルタを示す。すなわち、1つの実施例では、第1の位置121は、聴取者110に対して水平な正面方向で0度の方位角を有することができる。
【0027】
第2の実施例151では、聴取者110は第1の方向111を向いており、第2の頭部伝達関数(HRTF)フィルタHH(z)に基づく第2の仮想高さ処理フィルタは、聴取者110の頭部に対する第2の位置122で測定することができる。この例では、第2の位置122は、正中面内の高い位置に設けられる。すなわち、第2の位置122は、聴取者110に対して水平な正面方向で0度の方位角と非零の高度角とを有することができる。
【0028】
第1の実施例101では、以下で式(1)においてXで表されるオーディオ入力信号は、正中面の第1の位置121にあるラウドスピーカによって提供することができる。聴取者110の左耳又は右耳で受信される信号Yは、次式で表すことができる。
Y(z)=H(z)X(z) (1)
【0029】
第2の実施例151では、聴取者110の左耳又は右耳で受信される信号YHは、次式で表すことができる。
H(z)=HH(z)X(z) (2)
第1の位置121に位置するラウドスピーカを使用しながらも、信号Xが第2の位置122から発する又は生じるという聴取者110の知覚は、聴取者110によって受け取られた再生オーディオ信号が信号YHと実質的に同じ振幅スペクトルを確実に有することで提供することができる。このような信号は、入力信号Xを仮想高さフィルタEHで前置フィルタ処理することによって得ることができ、その結果、以下のように修正ラウドスピーカ入力信号X’と受聴信号Y’とをもたらす。
|Y’(z)|=|H(z)||X’(z)|=|H(z)||EH(z)X(z)| (3)
|H(z)||EH(z)X(z)|=|H(z)||EH(z)||X(z)| (4)
【0030】
1つの実施例では、仮想高さフィルタの振幅伝達関数|EH(z)|が式(5)を満たすときなどには、振幅スペクトル|Y’(z)|は、あらゆる入力信号Xに対して|YH(z)|と実質的に等しくすることができる。
|H(z)||EH(z)|=|HH(z)| (5)
【0031】
1つの実施例では、仮想高さフィルタEH(z)は、最小位相フィルタ又は線形位相フィルタとして設計することができ、その振幅伝達関数|EH(z)|は、式(6)に示すように、HRTFフィルタHH(z)及びH(z)の振幅スペクトル比に実質的に等しい。
|EH(z)|=|HH(z)|/|H(z)| (6)
最小位相設計を用いると、仮想高さフィルタEH(z)は、式(7)に示すように定義することができる。
H(z)={HH(z)}/{H(z)}-1 (7)
式(7)において、この検討を通じて、{G(z)}は、あらゆる伝達関数G(z)に対してなど、|G(z)|に等しい振幅を有する最小位相伝達関数を示す。
【0032】
図2は、複数の仰角スペクトル応答チャートの1つの実施例を示す。図示のチャートの各々は、HRTFスペクトル比の情報を示し、ここで、x軸は周波数を示し、y軸はデシベル単位で表された相対振幅比を示す。スペクトル比の情報は、45度の仰角、並びに様々な方位角(φ)、或いは同側の前後位置及び対側の前後位置を含む位置に設置された音源についてのものである。例えば、図2は、聴取者110の同側の前方位置についての周波数対相対振幅比の関係を表す第1のトレース211を示す第1のチャート201を含む。すなわち、第1のチャート201は、音源の高さ又は高度(仰角)が固定された(例えば、45度に)場合に、周波数固有の異なるHRTFフィルタ特性を使用できることを示し、この音源は、同側の前方位置から生じる又は同側の前方位置からの情報を含むものとし知覚されるように意図される。第2のチャート202は、聴取者110の同側の後方又は背後位置についての周波数対相対振幅比の関係を表す第2のトレース212を示す。第3及び第4のチャート203及び204は同様に、それぞれ、聴取者110の対側前方位置及び対側後方位置についての周波数対相対振幅比の関係を表す第3及び第4のトレース213及び214を示す。
【0033】
図2の実施例から、方位角(φ)又は位置に伴ってHRTFの振幅比(例えば、仰角スペクトラルキュー)が変化する。従って、例えば方位角(φ)に関係なく仮想高さフィルタを一定に保つのではなく、特定の方位角(φ)に少なくとも部分的に依存する仮想高さフィルタを用いて、有効又は正確な仮想高さ効果を提供することができる。1つの実施例では、仮想高さフィルタは、例えば、所与の方位角(φ)に対して測定された仰角スペクトラルキューとより厳密に一致するように使用される水平面音響空間化方法から独立したものとすることができる。
【0034】
図3は、仮想高さ及び水平面音響信号処理又は空間化の第1及び第2の実施例301,351を概略的に示す。このような空間化には、例えば、振幅パンニング、アンビソニックス、並びにHRTFに基づく仮想ラウドスピーカ処理技術を含めることができる。適切に適用すると、これらの技術を用いて、音場内で方位φ及び高度角θに位置するラウドスピーカから入力信号Xが再生されるなどの場合、聴取者110の同側及び対側で受け取ることになる信号を近似することができる。
【0035】
第1の実施例301では、聴取者110は、3次元音場において第2の方向311を向く又は見ることができる。音場内に位置する仮想音源305は、聴取者110は音場の原点に位置する場合など、3次元音場の座標(x,y,z)に設けることができる。定位問題には、聴取者110が再生信号を仮想音源305から生じるものとして知覚するように、複数の利用可能な処理又は空間化技術の内のどれを入力信号Xに使用又は適用するかを決定することを含むことができる。
【0036】
第2の実施例351は、仮想音源を設けるステップを含む、定位問題に対する解決策の1つの実施例を概略的に示す。第2の実施例351は、第2の方向311を向く同じ聴取者110を含む。例えば非零の方位角φ及び非零の高度角θで正中面の外側などに位置するといった高所音源の聴覚性錯覚を与えるために、第2の実施例351は、式(6)の仮想高さフィルタEH(z)を用いて水平面音響空間化を適用するなどの前置フィルタ処理を含むことができる。図3の実施例では、最初に、オーディオ入力信号は、オーディオプロセッサ回路を用いるなど、座標(x,y)で水平方向に位置する信号を仮想化又は提供するために水平面仮想化モジュール365を用いて処理することができる。次いで、水平方向に位置する信号は、例えば高さ仮想化モジュール375を含む同一の又は異なるオーディオプロセッサ回路を用いて更に処理して、水平方向に位置する信号から距離zで垂直方向に位置する信号を仮想化又は提供することができる。すなわち、1つの実施例では、オーディオプロセッサ回路を用いて、信号フィルタ(例えば、HRTFに基づくフィルタ)を1又は2以上の音源信号に適用することなどにより、仮想化又は定位された高さオーディオ信号を生成することができる。図3は、垂直方向に位置する信号が聴取者110の平面に対して高所にあるものとして示しているが、代替的に又は付加的に、垂直方向に位置する信号は、聴取者110の平面に対して低所にあることもできる。
【0037】
本明細書に記載される仮想化技術を使用又は適用して、種々の再生システム構成を模擬することができる。例えば、図4は、11.1サラウンド音響再生システムを模擬するために複数の仮想高さラウドスピーカを含む又は使用することができるシステム400の1つの実施例を概略的に示す。例えば、システム400は、聴取者110に対して11.1(又は7.1.4)再生システムを提供又は模擬するために、4つの仮想高さラウドスピーカを備えた7.1水平サラウンド音響再生システムを含むことができる。システム400の実施例では、水平サラウンド音響再生システムは、少なくとも中央スピーカ401、左前方スピーカ402、右前方スピーカ403、左側方スピーカ404、右側方スピーカ405、左後方スピーカ406、及び右後方スピーカ407を含む。1つの実施例では、左前方スピーカ402及び右前方スピーカ403を除いて、システム400内のスピーカの1又は2以上が仮想化される。
【0038】
図4の実施例では、システム400は、仮想左前方高さスピーカ412、仮想右前方高さスピーカ413、仮想左後方高さスピーカ416、及び仮想右後方高さスピーカ417を含む。1つの実施例では、各仮想高さラウドスピーカは、水平面上物理的ラウドスピーカ、或いは同一又は類似の方位角を有する水平面上仮想ラウドスピーカを用いて提供することができ、特定の方位角に対して計算された仰角スペクトラルキュー(例えば、異なる仰角スペクトラルキューの実施例を示す図2の実施例から、チャート201~204を参照されたい)を模擬するように構成された仮想高さフィルタで前置フィルタ処理された信号を再生のために受信する。1つの実施例では、各方位角に対する仮想高さフィルタの振幅伝達関数は、各周波数におけるスペクトルの振幅又はパワー比を計算する前に、同側及び対側HRTFのパワー平均化によって計算することができる。
【0039】
図5は、一部の実施形態による、バーチャライザ処理システム500の1つの実施例を概略的に示す。この実施例では、バーチャライザ処理システム500は、水平オーディオ信号入力ペア(L及びRと名付けた信号)を受信し、例えば出力ラウドスピーカドライバの対応するペアに対して又は増幅器回路に対して、出力ペアを与えるように構成された(例えば、水平面仮想化モジュール365に対応する)水平面バーチャライザ回路501を含む。システム500は更に、高さオーディオ信号入力ペア(Lh及びRhで指定された信号)を受信するように構成された(例えば、高さ仮想化モジュール375に対応する)高さバーチャライザ回路502を含む。
【0040】
システム500の実施例では、水平面バーチャライザ回路501は、オーディオ信号入力ペア(L,R)に対して水平面空間化を提供する。1つの実施例では、水平面バーチャライザ回路501は、L及びR仮想ラウドスピーカが正中面に対して並びにその2つの出力ラウドスピーカドライバに対して対称的に位置すると仮定する「トランスオーラル(transaural)」シャフラフィルタトポロジを用いて実現される。この仮定下で、式(8)及び(9)に従って、加算及び差分仮想化フィルタを設計することができる。
SUM={Hi+Hc}{H0i+H0c-1 (8)
DIFF={Hi-Hc}{H0i-H0c-1 (9)
式(8)及び(9)において、簡単にするために、周波数変数に関する依存性は省略し、以下のHRTF表記を使用する。
0i:左又は右の物理的ラウドスピーカ位置に対する同側HRTF、
0c:左又は右の物理的ラウドスピーカ位置に対する対側HRTF、
i:左又は右の仮想ラウドスピーカ位置に対する同側HRTF、並びに
c:左又は右の仮想ラウドスピーカ位置に対する対側HRTF。
1つの実施例では、式(8)及び(9)において水平HRTFペア(Hi;Hc)を高さHRTFペア(例えば、HHi及びHHc、ここでHHiは左又は右の仮想高さラウドスピーカ位置に対する同側HRTFであり、HHcは左又は右の仮想高さラウドスピーカ位置に対する対側HRTFである)と置き換えることによって、高さチャンネル信号Lh及びRhを再生するために、同じバーチャライザ処理システム500のトポロジを用いて高さラウドスピーカを模擬する又は仮想化することができる。
【0041】
一部の実施例では、仮想高さラウドスピーカは、例えば水平面仮想化処理に先立って、高さオーディオ信号入力ペア信号Lh,Rhを仮想高さフィルタEHで前処理することを用いて、図5に示すように模擬することができる。1つの実施例では、この手法は、例えばオーディオ信号入力ペア(L,R)及び高さオーディオ信号入力ペア(Lh,Rh)に対して単一の水平仮想化処理ブロックを共用することにより、システム500にかかる計算負荷を低減するのに役立つので、有利とすることができる。1つの実施例では、高さオーディオ信号入力ペアの信号を前処理することは、例えば水平面バーチャライザ回路501によって適用することができるフィルタ設計最適化とは独立して、仮想高さフィルタの主体的有効性を維持するのに役立つ。
【0042】
1つの実施例では、エレベーションフィルタEHは、加算及び差分フィルタペア(HSUM;HDIFF)を(EHSUM;EHDIFF)と置き換えることによって、加算及び差分フィルタペア内に直接組み込むことができる。従って、周波数を下げるためにHSUM及びHDIFFが帯域制限されるか又は別の方法で式(8)及び(9)から修正されるバーチャライザ設計では、仮想高さ効果の有効性は独立して制御することができる。
【0043】
図6は、一部の実施形態による、第2のバーチャライザ処理システム600の1つの実施例を概略的に示す。この実施例では、第2のバーチャライザ処理システム600は、例えば、水平オーディオ信号入力ペア(L及びRで指定された信号)を受信して出力ラウドスピーカドライバの対応するペア又は増幅器回路内のそれぞれのチャンネルなどに対して出力ペアを提供するように構成された、水平面バーチャライザ回路501を含む。システム600は更に、高さオーディオ信号入力ペア(例えば、Lh及びRhで指定された信号)を受信するように構成された第2の高さバーチャライザ回路602を含む。
【0044】
図6の実施例では、第2のバーチャライザ処理システム600は、同側及び対側の仰角スペクトラルキューの再生を差別化するように構成することができる。この実施例では、仮想高さラウドスピーカ信号Lh及びRhは、正中面に対して対称的に位置すると仮定することができ、第2の高さバーチャライザ回路602は、以下の加算フィルタ及び差分フィルタを含む。
SUM,H={HHi+HHc}{Hi+Hc-1 (10)
DIFF,H={HHi-HHc}{Hi-Hc-1 (11)
【0045】
仮想ラウドスピーカ処理の別の実施例では、仮想高さ処理は、加算及び差分フィルタペア(HSUM;HDIFF)を(ESUM,HSUM;EDIFF,HDIFF)と置き換えるなどして、加算及び差分フィルタペア内に直接組み込むことができる。従って、周波数を下げるためにHSUM及びHDIFFが帯域制限されるか又は別の方法で式(8)及び(9)から修正されるシステムでは、仮想高さ効果の有効性を独立して制御することができる。
【0046】
1つの実施例では、仮想高さ処理は、多チャンネル信号に適用することができる。多チャンネルオーディオ信号は、静的又は物理的なラウドスピーカ位置と一致しない音響定位を提供するために、2又は3以上のオーディオチャンネルにわたって「パン」される音響成分を含むことができる。このようなパンされる音響は、「ファントム音源」と呼ぶことができる。
【0047】
図4を再度参照すると、システム400は、第1及び第2の仮想ファントム音源421及び422を示す。1つの実施例では、左前方及び右前方高さ入力チャンネル間でパンされる入力信号が、第1の仮想ファントム音源421を提供する。これらの入力チャンネルが仮想ラウドスピーカとして再生される場合、知覚される結果を仮想ファントム音源と呼ぶ。同様に、第2の仮想ファントム音源422は、例えば、右前方高さ入力チャンネルと右後方高さ入力チャンネルとの間でパンされるファントム音源に対する仮想ラウドスピーカ処理後の定位を表すことができる。
【0048】
仮想ラウドスピーカ処理が、個々に視聴テストされた各入力チャンネル信号の定位効果を忠実に再現する場合でも、仮想ファントム音源のレンダリングは、他の対応するオーディオプログラム素材と組み合わせたときの定位、ラウドネス又は音質において可聴性劣化を受ける場合があることが分かる。例えば、第1の仮想ファントム音源421の知覚定位は、例えば仮想左前方高さスピーカ412及び仮想右前方高さスピーカ413と比較して、予期されるほど高くないことがある。一部の実施例では、この劣化問題は、例えば仮想化処理に先立って、チャンネル間の脱相関処理を適用することによって軽減することができる。
【0049】
図7は、仮想高さ処理用システム700の一部のブロック図の1つの実施例を概略的に示す。1つの実施例では、システム700は、前方高さ入力信号ペア(Lh,Rh)及び後方又は側方高さ入力信号ペア(Lsh,Rsh)を備える4チャンネル入力信号を受信するように構成される。このシステムは、脱相関フィルタを入力信号の各々に対して別々に適用するように構成された脱相関モジュールを含む。1つの実施例では、脱相関モジュールは、入力信号の各々に対してそれぞれに異なるオールパスフィルタを適用し、このフィルタの各々は、異なるように構成することができる。
【0050】
脱相関は、2又は3以上のオーディオ信号又はチャンネル間の相関を低減するオーディオ処理技術である。一部の実施例では、脱相関を用いて、聴取者の知覚されたオーディオ信号の空間音像を修正することができる。脱相関処理を用いて空間音像又は知覚を調整又は修正する別の実施例には、1対のオーディオチャンネル間で知覚される「ファントム」音源効果を減少させること、1対のオーディオチャンネル間で知覚される距離を広げること、ヘッドフォンで再生される場合にオーディオ信号の知覚される外在化を向上させること、及び/又は再生音場において知覚される広がりを増大させることを含めることができる。
【0051】
1つの実施例では、2つ(又は3つ以上)のオーディオ信号間の相関を低減する方法は、各オーディオ信号の位相をランダム化するステップを含む。例えば、周波数領域における異なるランダム位相計算に基づくといった、それぞれのオールパスフィルタを用いて、各オーディオ信号をフィルタ処理することができる。一部の実施例では、脱相関は、音質変化又は他の意図しないアーティファクトをオーディオ信号に導入する可能性がある。
【0052】
図7の実施例では、様々な入力信号は、仮想化に先立って、すなわち仮想高さフィルタ又は空間定位処理を受ける前に、脱相関処理を受けることができる。脱相関処理の後、入力信号(例えば、LhとRhの入力チャンネル間でパンされる音源信号)は、聴取者の位置を中心とした最短の円弧上に実質的に位置し且つ仮想ラウドスピーカの正当な位置を繋げる仮想位置で聴取者に聞こえるようにすることができる。本発明者らは、このような脱相関処理が、聴取者の体験を損なうような頭内定位、前後混乱、及び高さ誤差など、様々な仮想定位のアーティファクトを回避する上で有効であると認識した。
【0053】
図8は、入れ子型オールパスフィルタ800のブロック図の1つの実施例を概略的に示す。フィルタパラメータM、N,g1、及びg2は、例えば他のフィルタを用いて又は異なるパラメータを有するフィルタ800の他のインスタンスを用いて処理された他の信号と比べて、フィルタ800の脱相関効果に影響を与える。1つの実施例では、図7のシステム700からの各脱相関フィルタは、図8の実施例からの入れ子型オールパスフィルタ800の実施例を含む。
【0054】
1つの実施例では、各入れ子型オールパスフィルタのパラメータM、N,g1及びg2に対して異なる値(図7の実施例で異なる文字A、B、C、及びDによって表されるように)を選択することによって、チャンネル間の脱相関を得ることができる。他の脱相関フィルタのタイプ又は技術も同様に、システム700の脱相関ブロックで使用することができる。
【0055】
再び図7を参照すると、システム700は更に、仮想高さフィルタモジュールを含む。仮想高さフィルタモジュールでは、それぞれの仮想高さフィルタを4つの入力信号(Lh,Rh,Lsh,Rsh)の各々に適用することができる。この実施例では、各フィルタは、2次デジタルIIRフィルタ区画の連続又はカスケードとしてモデル化されている。別のデジタルフィルタ実装は、特定の振幅又は周波数応答特性に基づくものとすることができ、仮想高さフィルタに使用可能である。図7の実施例では、仮想高さフィルタモジュールの後にサラウンド処理モジュールが続く。1つの実施例では、サラウンド処理モジュールは、前方高さ入力信号ペア(Lh,Rh)(例えば、図5参照)に適用される前方チャンネル水平面バーチャライザと、後方高さ入力信号ペア(Lsh,Rsh)に適用される後方チャンネル水平面バーチャライザとを含む。
【0056】
図9は、9チャンネル入力システムにおける仮想高さプロセッサの第1、第2、及び第3の実施例901、902、及び903を概略的に示す。第1の実施例901は、信号成分又はチャンネルL、R、C、Ls、Rs、Lh、Rh、Lsh、及びRshを含む9チャンネル入力信号911を示す信号流れ図を含む。例えば、オーディオプロセッサ回路にて時変オーディオ信号情報を受信するための離散的な電気的又は光学的入力経路を含め、様々なハードウェア回路を用いて9チャンネル入力信号911を受信することができる。
【0057】
1つの実施例では、信号成分又はチャンネルの1又は2以上は、同じ又は別の信号成分或いはチャンネルの内の1又は2以上の定位に関する情報を備えたメタデータ(例えば、オーディオ信号情報で符号化されたアナログ又はデジタルデータ)を含む。例えば、左高さチャンネルLh及び右高さチャンネルRhは、含まれるオーディオコンテンツの特定の定位に関するそれぞれのデータ又は情報を含むことができる。1つの実施例では、定位情報は、オーディオプロセッサ回路への別個の又は専用のハードウェア入力を使用するなど、別の手段によって提供することができる。定位情報は、その定位情報がどのチャンネル(複数可)に対応するかに関する指示を含むことができる。1つの実施例では、定位情報は、方位角及び/又は高度の情報を含む。高度情報は、基準面の上方又は下方にある定位の指示を含むことができる。
【0058】
第1の実施例901では、高さチャンネル入力信号Lh、Rh、Lsh、及びRshが脱相関モジュール912に提供され、ここでは、4つの入力信号の内の1又は2以上が脱相関フィルタにかけられる。1つの実施例では、4つの入力信号の各々は、図8のフィルタ800のような入れ子型オールパスフィルタを含む又は用いる脱相関フィルタにかけられる。1つの実施例では、4つの入力信号の各々は脱相関フィルタの異なる実施例にかけられ、異なる脱相関フィルタパラメータが各実施例に対して使用される。脱相関モジュール912は、入力信号を脱相関させるために、他の回路(例えば、ハイパス、ローパス、又は他のフィルタ)を含む又は使用することができる。
【0059】
脱相関モジュール912による脱相関処理の後、得られた脱相関信号は、仮想高さフィルタモジュール913に提供される。1つの実施例では、仮想高さフィルタモジュール913は、図3の実施例の高さ仮想化モジュール375を含み又は使用し、信号処理又はフィルタ処理を1又は2以上の脱相関信号に適用して、仮想化高さオーディオ情報信号を提供する。仮想高さフィルタモジュール913では、前方仮想高さフィルタを選択して、例えば図5の説明で上述した、高さオーディオ信号入力ペア(Lh,Rh)に適用することができる。1つの実施例では、前方仮想高さフィルタは、入力信号(複数可)と関係付けられた方位角パラメータに基づいて適切なフィルタを取り込むため、プロセッサ回路を用いて選択される。1つの実施例では、後方仮想高さフィルタを後方高さ入力信号ペア(Lsh、Rsh)に適用することができる。一部の実施例では、前方及び後方仮想高さフィルタは、Cチャンネル(例えば、前方中央)スピーカの方向に対して測定できるような方位角固有のHRTFデータに基づくものとすることができる。仮想高さフィルタモジュール914に続いて、フィルタ処理された信号は、ミキサモジュール914に提供することができ、フィルタ処理された高さ信号Lh、Rh、Lsh及びRshは、対応する水平入力信号(それぞれL、R、Ls及びRs)にダウンミックスして、5チャンネル出力信号920を作り出すことができる。すなわち、ミキサモジュール914は、仮想化高さオーディオ情報信号(例えば、仮想高さフィルタ913からの)の1又は2以上の成分を、同時に再生されるように構成され又は同時に再生されるのが望ましい1又は2以上の他の信号(例えば、チャンネル入力信号911からの)と組み合わせ又は加算するための手段又はハードウェアを提供する。1つの実施例では、5チャンネル出力信号920は、聴取者の第1の平面にあるラウドスピーカを用いてオーディオ再生に使用するように構成して、例えば第1の平面の上方又は下方など、第1の平面の外部の情報を含むものとして聴取者に知覚される可聴情報を作り出すことができる。
【0060】
図9の第2の実施例902は、信号成分又はチャンネルL、R、C、Ls、Rs、Lh、Rh、Lsh、及びRshを含む9チャンネル入力信号911を示す信号流れ図を含む。第2の実施例902では、高さチャンネル入力信号Lh、Rh、Lsh、及びRshが、第1の実施例901と同様に、脱相関モジュール912及び仮想高さフィルタモジュール913に提供される。仮想高さフィルタモジュール913に続いて、フィルタ処理された信号はミキサモジュール924に提供することができ、フィルタ処理された高さ信号Lh、Rh、Lsh及びRshは、対応する水平入力信号(それぞれL、R、Ls及びRs)にダウンミックスして、5チャンネル出力信号を作り出すことができる。第2の実施例902では、5チャンネル出力信号は、2チャンネルラウドスピーカ出力信号926を提供するように構成された水平サラウンド処理モジュール925によって更に処理することができる。2チャンネル出力信号926を聴取者の第1の平面にあるラウドスピーカを用いてオーディオ再生に使用するように構成して、例えば第1の平面の上方又は下方など、第1の平面の外部の情報を含むものとして聴取者に知覚される可聴情報を作り出すことができる。一部の実施例では、サラウンド処理モジュール925は、図5に示すような前方信号ペア(L,R)に適用される前方チャンネル水平面バーチャライザと、側方信号ペア(Ls,Rs)に適用される後方チャンネル水平面バーチャライザとを含む。1つの実施例では、水平サラウンド処理モジュール925は、水平方向に位置する信号成分を仮想化又は提供するために、図3の実施例からの水平面仮想化モジュール365を含む又は使用することができる。
【0061】
図9の実施例の第3の実施例903は、信号成分又はチャンネルL、R、C、Ls、Rs、Lh、Rh、Lsh、及びRshを含む9チャンネル入力信号911を示す信号流れ図を含む。第3の実施例903では、高さチャンネル入力信号Lh、Rh、Lsh、及びRshが、第1の実施例901と同様に、脱相関モジュール912及び仮想高さフィルタモジュール913に提供される。1つの実施例では、仮想高さフィルタモジュール913は、フィルタ処理された信号を信号ペアにダウンミックスし、当該信号を高さサラウンド処理モジュール931に提供するように構成することができる。水平入力信号L、R、C、Ls、及びRsは、水平サラウンド処理モジュール932を用いて別々に処理することができる。1つの実施例では、水平サラウンド処理モジュール932は、水平方向に位置する信号成分を仮想化又は提供するために、図3の実施例からの水平面仮想化モジュール365を含む又は使用することができる。高さサラウンド処理モジュール931及び水平サラウンド処理モジュール932からの出力は、更に信号をミックスして2チャンネルラウドスピーカ出力信号936を提供するように構成されたミキサモジュール934に提供することができる。1つの実施例では、聴取者の第1の平面にあるラウドスピーカを用いてオーディオ再生に使用するように2チャンネル出力信号936を構成して、例えば第1の平面の上方又は下方など、第1の平面の外部の情報を含むものとして聴取者に知覚される可聴情報を作り出すことができる。
【0062】
1つの実施例では、水平面内でラウドスピーカを使用した演出又は再生を目的とする入力信号を修正して、実際の又は仮想の高さスピーカに提供されるべき出力信号を導くことができる。このような入力信号処理は、高さアップミキシング又は高さアップミックス処理と呼ぶ場合がある。
【0063】
図10は、高さアップミックス処理の1つの実施例を概略的に示す。図10は、見かけの音源位置1010が聴取者110から離間している第1の実施例1001を含む。1つの実施例では、高さアップミックス処理の意図する効果は、例えば、水平面内などに知覚された音源定位を維持しながら、拡散音の知覚される範囲を垂直方向に広げることである。図10は第2の実施例1051を更に含み、ここでは、見かけの音源位置1010は、実質的に同じ方位角のままであるが、高さスピーカ位置1060に対する信号を提供するために拡散音を見かけ上垂直方向に拡張させている。
【0064】
図11は、単一チャンネル入力信号1101に対する高さアップミックス処理のブロック図1100を概略的に示す。入力信号1101は、水平パス信号と高さパス信号とに分けることができる。1つの実施例では、水平パス信号は、水平スピーカ出力1102に渡すことができる。高さパス信号は、遅延モジュール1110にて受け取ることができる。特定の遅延時間が高さパス信号に適用された後、遅延信号は、遅延モジュール1110から脱相関モジュール1120に提供することができる。遅延時間は調整可能とすることができる。典型的な遅延時間値は、例えば過渡的な入力信号に対して知覚される音源定位が水平スピーカ(例えば、図10参照)に確実に維持されるようにするなど、音響心理学的ハース効果(別名「第1波面の法則」)を活用するために、約5~20ミリ秒の範囲内とすることができる。他の遅延時間値も同様に使用することができる。
【0065】
残響減衰テールなどの低い自己相関を有する準定常信号に対して、図11の高さアップミックス処理技術の効果により、知覚される音像定位を水平面から上方に広げることになるものとすることができる。図11に示すような一部の実施例では、脱相関モジュール1120は、脱相関フィルタを高さパス信号に(並びに、付加的に又は代替的に水平パス信号に)適用して、高さスピーカ出力1122及び水平スピーカ出力1102における信号間の相関を更に低減することができる。このような更なる脱相関により、垂直方向の広がりの知覚又は感覚を強化することができる。
【0066】
図12は、図11の実施例に基づく脱相関モジュール1120の1つの実施例のブロック図を概略的に示す。この実施例では、脱相関フィルタは、シュレーダオールパス区画1200を含む。このフィルタは、長さMの遅延と、1未満の大きさを有するフィードバック利得g1とを含めて、様々な調整可能なパラメータを有することができる。1つの実施例では、フィードバック利得g1の大きさの各々に対する値、並びに遅延長に対する値は、約0~10ミリ秒とすることができる。他の値も同様に使用することができる。
【0067】
仮想高さアップミキシングを実行することができるシステムの幾つかの実施例を図13~16に示す。これらの実施例では、図11の実施例と同様に、水平チャンネル入力信号は、高さパス信号及び水平パス信号を含めて、複数の信号パスに分割することができる。高さパス信号は、仮想高さフィルタに転送され、次いで、例えば信号の任意選択の水平面仮想化に先立って、水平パス信号の未処理、最小限処理、又は脱相関バージョンと組み合わせることができる。
【0068】
図13は、第1の高さアップミックス処理の実施例を概略的に示す。実施例1300は、第1の入力信号処理回路1301と、アップミックス処理回路1302とを含む。第1の入力信号処理回路1301は、水平チャンネル入力信号を受け取り、その信号を分割して、高さパス信号を減衰器回路(例えば、パラメトリック低周波シェルビング減衰器回路)に提供し、並びに水平パス信号をブースト回路(例えば、パラメトリック低周波シェルビングブースト回路)に提供する。1つの実施例では、減衰器回路とブースト回路は準相補的であるとすることができ、つまり、減衰器回路によって与えられる減衰特性は、ブースト回路によって与えられるブースト特性によって相殺できることを意味する。1つの実施例では、減衰特性とブースト特性は、実質的に等しく且つ相反する値を有することができるが、等しくない値も同様に用いることができる。第1の信号処理回路1301からの出力をアップミックス処理回路1302に提供することができる。
【0069】
アップミックス処理回路1302において、減衰回路からの減衰信号は、遅延回路を用いて遅延され、次いで脱相関モジュールを用いて更に処理することができる。1つの実施例では、脱相関モジュールは、左右のチャンネル信号成分を脱相関させ、高さ及び水平チャンネル信号成分を脱相関させ、或いは他の信号成分を脱相関させる。脱相関に続いて、得られた脱相関信号は、仮想高さフィルタを用いて処理され、次いでブースト回路からのブーストされた水平パス信号と混合することができる。混合信号は、任意選択的に、増幅器、後続のプロセッサモジュール、又はラウドスピーカに出力される前などに、更なる処理のために水平面バーチャライザ回路に提供することができる。
【0070】
図13の実施例1300では、脱相関モジュールの左/右及び高さ/水平のフィルタ要素は、例えば、図8の実施例の入れ子型オールパスフィルタ800を用いるなど、オールパスフィルタを用いて実現可能な単一の脱相関フィルタに結合することができる。1つの実施例では、脱相関モジュールは、遅延した高さパス信号を遅延無しの水平パス信号とダウンミックスすることによって生じる可能性のある音質アーティファクト又は音のカラレーションアーティファクト(「コムフィルタ(櫛型フィルタ)」カラレーションと呼ぶこともある)を軽減するのに役立つことができる。
【0071】
1つの実施例では、シェルビング等化フィルタ用いてなど(例えば、減衰回路を用いて)、より低い周波数で高さパス信号を減衰させることにより、コムフィルタカラレーションを更に軽減することができる。ブーストシェルビングフィルタを水平パス信号に(例えば、ブースト回路を用いて)適用して、最終的に結合された出力信号の全体的な信号ラウドネス特性を維持するのを助けることができる。加えて、全ての信号周波数にわたって等しいパワーを維持するために、ミックスダウン利得が0dBであり、相補的シェルビングフィルタの減衰及びブーストを逆極性値に設定する(例えば、+3dBと-3dB)ことが有用とすることができる。
【0072】
図14は、第2の高さアップミックス処理の実施例1400を概略的に示す。実施例1400は、第2の入力信号処理回路1401と、図13の実施例1300からの同じアップミックス処理回路1302とを含む。1つの実施例では、アップミックス処理回路1302の1又は2以上のパラメータを変更して、第2の入力信号処理回路1401からの信号に適応することができる。実施例1400では、第1の入力信号処理回路1301からの準相補的な減衰及びブースト回路は、単一のオールパスフィルタと信号の加算及び差分演算子とで置き換えることができる。入力信号と、同じ入力信号に適用された1次又は2次オールパスフィルタの出力との間で和信号及び差信号を得ることができる。減衰及びブーストシェルビング効果を達成するために、以前の差に続く和に対して、それぞれ減衰係数KA及びブースト係数KBを乗算することができ、以前の和を2で除算することができる。
【0073】
図15は、第3の高さアップミックス処理の実施例1500を概略的に示す。実施例1500は、第3の入力信号処理回路1501と、図13の実施例1300からの同じアップミックス処理回路1302とを含む。1つの実施例では、アップミックス処理回路1302の1又は2以上のパラメータを変更して、第3の入力信号処理回路1501からの信号に適応することができる。実施例1500では、第1の入力信号処理回路1301からの準相補的な減衰及びブースト回路は、単一のローパスフィルタと差分演算子とで置き換えることができる。実施例1500では、入力信号と、その同じ入力信号に適用されたローパスフィルタの出力との間で和信号及び差信号を得ることができる。
【0074】
図16は、第4の高さアップミックス処理の実施例1600を概略的に示す。実施例1600は、第4の入力信号処理回路1601と、図13の実施例1300からの同じアップミックス処理回路1302とを含む。1つの実施例では、アップミックス処理回路1302の1又は2以上のパラメータを変更して、第4の入力信号処理回路1601からの信号に適応することができる。実施例1600では、第1の入力信号処理回路1301からの準相補的な減衰及びブースト回路は、加算及び差分演算子に続くオールパスフィルタの並列組み合わせ(「オールパスフィルタ1」と「オールパスフィルタ2」)を用いて実施することができる。オールパスフィルタ1の出力とオールパスフィルタ2の出力との間で和信号及び差信号を得ることができる。減衰及びブーストシェルビング効果を達成するために、減衰係数KA及びブースト係数KBをそれぞれ乗算した以前の差に続く和を適用することができ、以前の和を2で除算することができる。
【0075】
図17は、5チャンネル入力システムにおける仮想高さアップミックスプロセッサの第1、第2及び第3の実施例1701、1702及び1703を概略的に示す。第1の実施例1701は、信号成分又はチャンネルL、R、C、Ls、及びRsを含む5チャンネル入力信号1711を示す信号流れ図を含む。例えば、オーディオプロセッサ回路にて時変オーディオ信号情報を受信するための離散的な電気的又は光学的入力経路を含め、様々なハードウェア回路を用いて5チャンネル入力信号1711を受け取ることができる。
【0076】
1つの実施例では、信号成分又はチャンネルの1又は2以上は、同じ又は別の信号成分或いはチャンネルの内の1又は2以上の定位に関する情報を備えたメタデータ(例えば、オーディオ信号情報で符号化されたアナログ又はデジタルデータ)を含む。1つの実施例では、定位情報は、オーディオプロセッサ回路への別個の又は専用のハードウェア入力を使用するなど、別の手段によって提供することができる。定位情報は、その定位情報がどのチャンネル(複数可)に対応するかに関する指示を含むことができる。1つの実施例では、定位情報は、方位角及び/又は高度の情報を含む。高度情報は、基準面の上方又は下方にある定位の指示を含むことができる。
【0077】
第1の実施例1701では、入力信号は、例えば入力信号の情報に基づいて、高さ信号Lh、Rh、Lsh、及びRshを生成するアップミックスプロセッサモジュール1712に提供される。アップミックスプロセッサモジュール1712は、図13、14、15、及び16の実施例それぞれからの第1~第4の高さアップミックス処理例1300、1400、1500、及び1600に示されるシステムの内の何れかを含む又は使用することができる。例えば、アップミックスプロセッサモジュール1712は、準相補的な低周波減衰及びブーストなどを用いて、各入力チャンネルを、遅延を適用できる高さパス信号と水平パス信号とに分割するように構成することができる。1つの実施例では、アップミックスプロセッサモジュール1712は更に、入力信号1711(L、R、C、Ls、及びRs)を第1のミキサモジュール1715に渡すように構成することができる。
【0078】
第1の実施例1701では、アップミックスプロセッサモジュール1712によって生成された4つの高さ信号は、脱相関モジュール1713に提供することができ、4つの入力信号の内の少なくとも1又は2以上を脱相関フィルタにかけることができる。1つの実施例では、4つの入力信号の各々は、図8のフィルタ800など、入れ子型オールパスフィルタの固有の例証を含む又は用いる脱相関フィルタにかけることができる。位相シフト又は時間遅延オーディオフィルタ回路を使用するなど、脱相関信号を生成するために他のハードウェアフィルタ又は回路も同様に使用又は適用することができる。脱相関モジュール1713による脱相関処理の後、得られた脱相関信号は、仮想高さフィルタモジュール1714に提供される。1つの実施例では、仮想高さフィルタモジュール1714は、図3の実施例の高さ仮想化モジュール375を含み又は使用し、信号処理又はフィルタ処理を1又は2以上の脱相関信号に適用する。
【0079】
仮想高さフィルタモジュール1714では、前方仮想高さフィルタは、オーディオプロセッサ回路を用いるなどして、例えば図5の検討において上述したような高さオーディオ信号入力ペア(Lh,Rh)に適用することができる。1つの実施例では、後方仮想高さフィルタは、後方高さ入力信号ペア(Lsh,Rsh)に適用することができる。一部の実施例では、前方及び後方仮想高さフィルタは、Cチャンネル(例えば、前方中央)スピーカの方向に対して測定できるような、方位角固有のHRTFデータに基づいて又は使用して選択することができる。1つの実施例では、仮想高さフィルタモジュール1714及び/又はオーディオプロセッサ回路は、高さオーディオ信号入力(複数可)をフィルタ処理することによって仮想化オーディオ信号を生成する。
【0080】
仮想高さフィルタモジュール1714に続いて、フィルタ処理された信号をミキサモジュール1715に提供することができ、フィルタ処理された高さ信号Lh、Rh、Lsh及びRshは、ミキサモジュール1715により対応する水平入力信号(L、R、Ls及びRs)にダウンミックスして、5チャンネル出力信号1719を作り出すことができる。5チャンネル出力信号1719は、聴取者の第1の平面にあるラウドスピーカを用いて、例えば第1の平面の上方又は下方など、第1の平面の外部の情報を含むものとして聴取者に知覚される可聴情報を作り出すようにオーディオ再生用に構成することができる。
【0081】
第2の実施例1702は、水平サラウンド処理を含む、第1の実施例1701の変形形態を示す。第2の実施例1702は、ミキサモジュール1725から5チャンネル出力信号を受け取り、ダウンミックスされた2チャンネル出力信号1729(例えば、左右のステレオペア)を提供するように構成された水平サラウンド処理モジュール1726を含むことができる。2チャンネル出力信号1729は、聴取者の第1の平面にあるラウドスピーカを用いて、例えば第1の平面の上方又は下方など、第1の平面の外部の情報を含むものとして聴取者に知覚される可聴情報を作り出すようにオーディオ再生用に構成することができる。
【0082】
1つの実施例では、水平サラウンド処理モジュール1726は、水平方向に位置する信号成分を仮想化又は提供するために、図3の実施例に基づく水平面仮想化モジュール365を含む又は使用することができる。1つの実施例では、水平サラウンド処理モジュール1726は、図5の実施例に示すような左右の前方信号ペア(L,R)に適用される前方チャンネル水平面バーチャライザと、左右の側方信号ペア(Ls,Rs)に適用される後方チャンネル水平面バーチャライザとを含む。
【0083】
第3の実施例1703は、別々に適用される高さサラウンド処理及び水平サラウンド処理を含む、第1の実施例1701の変形形態を示す。第3の実施例1703は、アップミックスプロセッサモジュール1712から5チャンネル出力信号を受け取り、ダウンミックスされた2チャンネル出力信号(例えば、左右のステレオペア)をミキサモジュール1735に提供するように構成された水平サラウンド処理モジュール1736を含むことができる。1つの実施例では、水平サラウンド処理モジュール1736は、水平方向に位置する信号成分を仮想化又は提供するために、図3の実施例に基づく水平面仮想化モジュール365を含む又は使用することができる。1つの実施例では、水平サラウンド処理モジュール1736は、図5の実施例に示すような左右の前方信号ペア(L,R)に適用される前方チャンネル水平面バーチャライザと、左右の側方信号ペア(Ls,Rs)に適用される後方チャンネル水平面バーチャライザとを含む。
【0084】
第3の実施例1703は、仮想高さフィルタモジュール1714から出力信号Lh、Rh、Lsh、及びRshを受け取るように構成された高さサラウンド処理モジュール1737を含むことができる。高さサラウンド処理モジュール1737は、仮想高さフィルタモジュール1714からの4つの高さ信号を更に処理してダウンミックスして、ダウンミックスされた2チャンネル出力信号(例えば、左右のステレオペア)を提供することができる。水平サラウンド処理モジュール1736及び高さサラウンド処理モジュール1737からのそれぞれの2チャンネル出力をミキサモジュール1735により結合させて、2チャンネルラウドスピーカ出力信号1739を提供することができる。2チャンネル出力信号1739は、聴取者の第1の平面にあるラウドスピーカを用いて、例えば第1の平面の上方又は下方など、第1の平面の外部の情報を含むものとして聴取者に知覚される可聴情報を作り出すようにオーディオ再生用に構成すことができる。
【0085】
本明細書に記載される信号処理タスクの1又は2以上を実施又は実行するように様々なシステム及び機械を構成することができる。例えば、図9及び図17の実施例で提供されるような、アップミックスモジュール、脱相関モジュール、仮想高さフィルタモジュール、高さサラウンド処理モジュール、水平サラウンド処理モジュール、ミキサモジュール、或いは他のモジュール又はプロセスの内の1又は2以上は、有形の非一時的なプロセッサ可読媒体から取り出された命令を使用するなどして、様々な処理タスクを実行する汎用又は専用の機械を用いて実装することができる。
【0086】
図18は、一部の例示的な実施形態による、機械可読媒体(例えば、機械可読記憶媒体)から命令1816を読み取って、本明細書で検討した手法の内の何れか1又は2以上を実行することができる、機械1800の構成要素を示すブロック図である。具体的には、図18は、機械1800の概略図をコンピュータシステムの例示的な形態で示しており、システム内では、本明細書で検討した手法の内の何れか1又は2以上を機械1800に実施させるための命令1816(例えば、ソフトウェア、プログラム、アプリケーション、アプレット、アプリ、又は他の実行可能コード)が実行可能である。例えば、命令1816は、図5~7及び図11~17などのモジュール又は回路又は構成要素を実装することができる。命令1816は、汎用のプログラムされていない機械1800を、記載され図示された機能を記載の方法で(例えば、オーディオプロセッサ回路として)実行するようにプログラムされた特定の機械に変えることができる。代替の実施形態では、機械1800は、スタンドアローンの装置として動作し、或いは、他の機械に結合(例えば、ネットワーク化)することができる。ネットワーク化された配備では、機械1800は、サーバ-クライアントネットワーク環境内のサーバマシン又はクライアントマシンの形態で、或いはピアツーピア(又は分散型)ネットワーク環境内のピアマシンとして動作することができる。
【0087】
機械1800は、限定ではないが、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブック、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、エンタテインメントメディアシステム又はシステム構成要素、セルラ電話、スマートフォン、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)、スマートホームデバイス(例えば、スマート機器)、他のスマートデバイス、ウェブ機器、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ネットワークブリッジ、ヘッドフォンドライバ、又は機械1800によって行われる処理を指定する命令1816を順次的に又は別の方法で実行することができる何れかの機械を備えることができる。更に、単一の機械1800だけが示されているが、用語「機械」はまた、本明細書で検討した手法の内の1又は2以上を実施する命令1816を個々に又は共同して実行する機械1800の集合を含むものと解釈すべきである。
【0088】
機械1800は、オーディオプロセッサ回路、非一時的メモリ/記憶装置1830、及びI/O構成要素1850を含むようなプロセッサ1810を含む又は使用することができ、これらはバス1802などを介して互いに通信するように構成することができる。例示的な一実施形態では、プロセッサ1810(例えば、中央処理装置(CPU)、縮小命令セット演算(RISC)プロセッサ、複合命令セット演算(CISC)プロセッサ、グラフィックス処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、無線周波数集積回路(RFIC)、別のプロセッサ、又はこれらの何れか適切な組み合わせ)は、例えば、命令1816を実行することができる、プロセッサ1812及びプロセッサ1814などの回路を含むことができる。用語「プロセッサ」は、命令1816を同時に実行できる2又は3以上の独立プロセッサ1812、1814(「コア」と呼ぶこともある)を備えることができるマルチコアプロセッサ1812、1814を含むものとする。図18は複数のプロセッサ1810を示しているが、機械1800は、単一のコアを備えた単一のプロセッサ1812、1814、複数のコア(例えば、マルチコアプロセッサ1812、1814)を備えた単一のプロセッサ1812、1814、単一のコアを備えた複数のプロセッサ1812、1814、複数のコアを備えた複数のプロセッサ1812、1814、又はこれらの何れかの組み合わせを含むことができ、プロセッサの内の何れか1又は2以上は、オーディオ信号に高さフィルタを適用し、処理又は仮想化されたオーディオ信号をレンダリングするように構成された回路を含むことができる。
【0089】
メモリ/記憶装置1830は、メインメモリ回路又は他の記憶保存回路などのメモリ1832と、記憶ユニット1836とを含むことができ、これらは両方ともバス1802などを介してプロセッサ1810にアクセス可能である。記憶ユニット1836及びメモリ1832は、本明細書に記載される手法又は機能の内の何れか1又は2以上を具現化する命令1816を記憶する。命令1816はまた、機械1800による実行の際に、メモリ1832内、記憶ユニット1836に、プロセッサ1810の内の少なくとも1つ内(例えば、プロセッサ1812、1814のキャッシュメモリ内)、或いはこれらの何れか適切な組み合わせ内で完全に又は部分的に存在することができる。従って、メモリ1832、記憶ユニット1836、及びプロセッサ1810のメモリは、機械可読媒体の実施例である。
【0090】
本明細書で使用する場合、「機械可読媒体」は、命令1816及びデータを一時的又は持続的に記憶することができるデバイスを意味し、また、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、光メディア、磁気メディア、キャッシュメモリ、他タイプの記憶装置(例えば、消去可能プログラム可能な読出し専用メモリ(EEPROM))、及び/又はこれらの何れか適切な組み合わせを含むことができる。用語「機械可読媒体」は、命令1816を記憶することができる単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、或いは関係するキャッシュ及びサーバ)を含むものと解釈すべきである。用語「機械可読媒体」はまた、機械(例えば、機械1800)による実行のために命令(例えば、命令1816)を記憶することができる何れかの媒体又は複数の媒体の組み合わせを含むものと解釈すべきであり、命令1816は、機械1800(例えば、プロセッサ1810)の1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、本明細書に記載される方法の内の何れか1又は2以上を機械1800に実行させるようにする。従って、「機械可読媒体」は、単一の記憶装置又はデバイス、並びに複数の記憶装置又はデバイスを含む「クラウドベース」の記憶システム又は記憶ネットワークを指す。用語「機械可読媒体」は、信号そのものを除外する。
【0091】
I/O構成要素1850は、入力を受け取り、出力を提供し、出力を生成し、情報を伝達し、情報を交換し、測定値を取り込むなどのために、様々な構成要素を含むことができる。特定の機械1800に含まれる特定I/O構成要素1850は、機械1800のタイプに依存することになる。例えば、携帯電話などの携帯用機械は、タッチ入力デバイス又は他のこのような入力機構を含む可能性が高いが、ヘッドレスサーバマシンは、このようなタッチ入力デバイスを含まない可能性が高い。I/O構成要素1850は、図18に示されていない多くの他の構成要素を含むことができることは理解されよう。I/O構成要素1850は、単に以下の説明を簡略化するために機能別にグループ分けされるのであって、このグループ分けは限定をするものではない。様々な例示的な実施形態において、I/O構成要素1850は、出力構成要素1852及び入力構成要素1854を含むことができる。出力構成要素1852には、視覚構成要素(例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プロジェクタ、又は陰極線管(CRT)などのディスプレイ)、聴覚構成要素(例えば、スピーカ)、触覚構成要素(例えば、振動性モータ、抵抗機構)、他の信号発生器などを含めることができる。入力構成要素1854には、英数字入力構成要素(例えば、キーボード、英数字入力を受け取るように構成されたタッチスクリーン、撮像光学キーボード、又は他の英数字入力構成要素)、ポイントベースの入力構成要素(例えば、マウス、タッチパッド、トラックボール、ジョイスティック、モーションセンサ又は他のポインティング計器)、触覚入力構成要素(例えば、物理的なボタン、タッチ又はタッチジェスチャの位置及び/又は力を提供するタッチスクリーン、又は他の触覚入力構成要素)、オーディオ入力構成要素(例えば、マイクロフォン)などを含めることができる。
【0092】
別の例示的な実施形態では、I/O構成要素1850は、種々の他構成要素の中でも、生体計測構成要素1856、モーション構成要素1858、環境構成要素1860、又は位置構成要素1862を含むことができる。例えば、生体計測構成要素1856には、聴取者固有又は環境固有のインパルス応答又はHRTFの包含、使用、又は選択に影響を与えることができるような、表情(例えば手の表情、顔の表情、声の表情、身振り、又は視線追跡)を検出する、生体信号(例えば、血圧、心拍数、体温、発汗、又は脳波)を計測する、人を識別する(例えば、音声識別、網膜識別、顔識別、指紋識別、又は脳波に基づく識別)及び同様のものを行う構成要素を含むことができる。1つの実施例では、生体計測構成要素1856は、環境内の聴取者110の検出位置に関する情報を感知又は提供するように構成された1又は2以上のセンサを含むことができる。モーション構成要素1858は、聴取者110の位置の変化を追跡するのに使用できるような、加速度センサ構成要素(例えば、加速度計)、重力センサ構成要素、回転センサ構成要素(例えば、ジャイロスコープ)などを含むことができる。環境構成要素1860は、例えば、照度センサ構成要素(例えば、光度計)、温度センサ構成要素(例えば、周囲温度を検出する1又は2以上の温度計)、湿度センサ構成要素、圧力センサ構成要素(例えば、気圧計)、音響センサ構成要素(例えば、1又は2以上の周波数又は周波数帯域などに対して残響減衰時間を検出する1又は2以上のマイクロフォン)、近接センサ又は室内容積感知構成要素(例えば、近傍の物体を検出する赤外線センサ)、ガスセンサ(例えば、安全のために有害ガスの濃度を検出するため、又は大気中の汚染物質を測定するためのガス検出センサ)、或いは、周囲の物理的環境に対応する指示、測定値又は信号を提供することができる他の構成要素を含むことができる。位置構成要素1862は、位置センサ構成要素(例えば、全地球測位システム(GPS)受信機構成要素)、高度センサ構成要素(例えば、高度計又は高度が導出できる空気圧を検出する気圧計)、方向センサ構成要素(例えば、磁力計)などを含むことができる。
【0093】
通信は、様々な技術を用いて実装することができる。I/O構成要素1850は、機械1800をそれぞれ接続1882及び接続1872を介してネットワーク1880又はデバイス1870に接続するように動作可能な通信構成要素1864を含むことができる。例えば、通信構成要素1864は、ネットワークインタフェース構成要素又はネットワーク1880とインタフェースで接続するための他の適切なデバイスを含むことができる。別の実施例では、通信構成要素1864は、有線通信構成要素、無線通信構成要素、セルラ通信構成要素、近距離無線通信(NFC)構成要素、Bluetooth(登録商標)構成要素(例えば、Bluetooth(登録商標)Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)構成要素、並びに他の方式を介した通信を提供する通信構成要素を含むことができる。デバイス1870は、別の機械又は多種多様な周辺デバイス(例えば、USBを介して接続された周辺デバイス)の何れかとすることができる。
【0094】
更に、通信構成要素1864は、識別子を検出する、又は識別子を検出するように動作可能な構成要素を含むことができる。例えば、通信構成要素1864は、無線自動識別(RFID)タグリーダ構成要素、NFCスマートタグ検出構成要素、光学リーダ構成要素(例えば、Universal Product Code(UPC)バーコードなどの1次元バーコード、Quick Responce(QR)コード、AztecCode、Data Matrix、Dataglyph、MaxiCode、PDF49、Ultra Code、UCC RSS-2Dバーコードなどの多次元バーコード、及び他の光学コード)、又は音響検出構成要素(例えば、タグ付きオーディオ信号を識別するマイクロフォン)を含むことができる。更に、インタネットプロトコル(IP)測位による位置、Wi-Fi(登録商標)信号三角測量による位置、特定のロケーションを示すNFCビーコン信号の検出による位置などといった様々な情報を、通信構成要素1864を介して得ることができる。このような識別子を用いて、参照又は局所的インパルス応答、参照又は局所的環境特性、或いは聴取者固有の特性の内の1又は2以上に関する情報を特定することができる。
【0095】
様々な例示的な実施形態では、ネットワーク1880の1又は2以上の部分は、アドホックネットワーク、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベートネットワーク(VPN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線LAN(WLAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線WAN(WWAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、インタネット、インタネットの一部、公衆交換電話網(PTSN)の一部、普通の従来型電話サービス(POTS)ネットワーク、セルラ電話ネットワーク、無線ネットワーク、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク、別タイプのネットワーク、又は2又は3以上のこのようなネットワークの組み合わせを含むことができる。例えば、ネットワーク1880又はネットワーク1880の一部は、無線ネットワーク又はセルラネットワークを含むことができ、接続1882は、符号分割多元接続(CDMA)接続、グローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))接続、又は別タイプのセルラ接続又は無線接続とすることができる。この実施例では、接続1882には、シングルキャリア無線伝送技術(1xRTT)、エボリューションデータオプティマイズド(EVDO)技術、汎用パケット無線サービス(GPRS)技術、GSM進化型高速データレート(EDGE)技術、3Gを含む第3世代パートナーシッププロジェクト、第4世代無線(4G)ネットワーク、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、高速パケットアクセス(HSPA)、マイクロ波アクセス用ワールドワイドインタオペラビリティ(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)規格、様々な標準設定機関により規定された他もの、他の長距離プロトコル、又は他のデータ転送技術など、様々なタイプのデータ転送技術の何れかを実装することができる。1つの実施例では、このような無線通信プロトコル又はネットワークは、集中型プロセッサ又は機械から聴取者が使用中のヘッドフォンにオーディオ信号を送信するように構成することができる。
【0096】
命令1816は、ネットワークインタフェースデバイス(例えば、通信構成要素1864に含まれたネットワークインタフェース構成要素)を介した伝送媒体を用いて、並びに数多くの周知の転送プロトコル(例えば、ハイパテキスト転送プロトコル(HTTP)の何れか1つを使用して、ネットワーク1880上で送信又は受信することができる。同様に、命令1816は、デバイス1870との結合1872(例えば、ピアツーピア接続)を介して伝送媒体を用いて送信又は受信することができる。用語「伝送媒体」は、機械1800による実行のために命令1816を記憶、符号化、又は搬送をすることができる何れかの無形媒体を含むものと解釈すべきであり、デジタル又はアナログ通信信号、或いはこのようなソフトウェアの通信を容易にする他の無形媒体を含む。
【0097】
本明細書で検討した概念及び実施例の多くの変形形態は、当業者には明らかであろう。例えば、実施形態に応じて、本明細書に記載した方法、プロセス、又はアルゴリズムの何れかの特定の動作、イベント又は機能を、異なる順序で実行することができ、追加する、併合する、又は省略する(記載した動作又はイベントの全てが、その様々な方法、プロセス、又はアルゴリズムの実施に必要である訳ではない)ことができる。更に、一部の実施形態では、動作又はイベントは、マルチスレッド処理、割込み処理、又は複数のプロセッサ又はプロセッサコアを介して、又は逐次的にではなく他の並列アーキテクチャ上で、同時に実行することができる。更に、異なるタスク又はプロセスは、連携して機能することができる異なる機械及びコンピューティングシステムで実行することができる。
【0098】
本明細書で開示される実施形態に関連して記載した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、方法、並びにアルゴリズムプロセス及びシーケンスは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はその両方の組み合わせとして実装することができる。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を説明するために、様々な構成要素、ブロック、モジュール、及びプロセス動作が、場合によっては、これらの機能性の観点から一般的に記載されている。このような機能性がハードウェアとして実装されるか、ソフトウェアとして実装されるかは、特定のアプリケーションと、システム全体に課される設計制約とに依存する。従って、記載する機能性は、特定のアプリケーションに対して様々な方法で実装することができるが、このような実装の決定を本明細書の範囲から逸脱するものと解釈すべきではない。本明細書に記載される没入空間オーディオ再生のシステム、方法及び技術の実施形態は、図18の説明で上述したような、数多くのタイプの汎用又は専用のコンピューティングシステム環境又は構成内で動作可能である。
【0099】
本発明の様々な態様は、独立して又は合わせて用いることができる。例えば、態様1は、主題(例えば、装置、システム、デバイス、方法、動作を実行するための手段、又はデバイスによって実行されるとそのデバイスに動作を実行させることができる命令を含むデバイス可読媒体)を含む又は使用することができ、例えば、第1の平面に配置されたラウドスピーカを用いて3次元音場内に仮想化オーディオ情報を提供する方法を含む又は使用することができ、仮想化オーディオ情報は、第1の平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚される。態様1において、本方法は、第1のプロセッサ回路を用いて、第1の平面からオフセットしたラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成された少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るステップと、第1のプロセッサ回路を用いて、少なくとも1つの高さオーディオ信号に対応し方位角パラメータを含む定位情報を受け取るステップと、を含むことができる。態様1は、第1のプロセッサ回路を用いて、方位角パラメータに関する情報を用いて第1の仮想高さフィルタを選択するステップと、第1のプロセッサ回路を用いて第1の仮想高さフィルタを少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む、仮想化オーディオ信号を生成するステップであって、仮想化オーディオ信号は、第1の平面にある1又は2以上のラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成され、仮想化オーディオ信号は、1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、第1の平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚されるようになるステップと、を更に含むことができる。1つの実施例では、態様1の第1の平面は、仮想化オーディオ信号を再生するのに使用される1又は2以上のラウドスピーカの水平面に対応する。1つの実施例では、態様1の第1の平面は、聴取者の水平面に対応する。別の実施例では、聴取者の水平面と仮想化オーディオ信号を再生するのに使用されるラウドスピーカの水平面とは一致し、態様1の第1の平面は、その一致する平面に対応する。
【0100】
態様2は、態様1の主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成するステップは、仮想化オーディオ信号が1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、仮想化オーディオ信号が、ラウドスピーカの水平面から第2の平面へ垂直方向に上方又は下方へ広がる可聴情報を含むものとして聴取者に知覚されるように、信号を生成するステップを含む。
【0101】
態様3は、態様1又は2の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成するステップは、仮想化オーディオ信号が1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、仮想化オーディオ信号が、ラウドスピーカの水平面に対して高所又は低所にある音源から生じるものとして聴取者に知覚されるように、信号を生成するステップを含む。
【0102】
態様4は、態様1~3の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成するステップは、仮想高さフィルタを適用する前に、水平面仮想化を少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む。
【0103】
態様5は、態様1~3の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成するステップは、第1の仮想高さフィルタを適用した後に、水平面仮想化を少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む。
【0104】
態様6は、態様1~5の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、オーディオ信号ミキサ回路を用いて、仮想化オーディオ信号を、第1の平面にある1又は2以上のラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と混合するステップを更に含む。
【0105】
態様7は、態様1~6の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るステップは、聴取者の水平面である第1の平面に対して高所にある異なるラウドスピーカを用いた再生を目的とする第1及び第2の高さオーディオチャンネルに関する情報を受け取るステップを含み、定位情報を受け取るステップは、第1及び第2の高さオーディオ信号チャンネルに対してそれぞれの方位角パラメータを受け取るステップを含み、選択するステップは、それぞれの方位角パラメータに関する情報を用いて異なるそれぞれの第1及び第2の仮想高さフィルタを選択するステップを含み、生成するステップは、第1のプロセッサ回路を用いて第1及び第2の仮想高さフィルタをそれぞれ第1及び第2の高さオーディオチャンネルに適用して、それぞれの第1及び第2の仮想化オーディオ信号を提供するステップを含み、第1及び第2の仮想化オーディオ信号が水平面にあるラウドスピーカを用いて再生されるときに、再生された信号は、水平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚される。
【0106】
態様8は、態様7の主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、生成するステップは、第1及び第2の仮想高さフィルタを適用する前に第1及び第2の高さオーディオ信号を脱相関させるステップを含む。
【0107】
態様9は、態様7の主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、第1及び第2の高さオーディオチャンネルに対するそれぞれの方位角パラメータは、実質的に対称的な方位角であり、選択された異なるそれぞれの第1及び第2の高さフィルタは、同側及び対側の頭部伝達関数データに基づく加算フィルタ及び差分フィルタを含む。
【0108】
態様10は、態様1~9の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、定位情報を受け取るステップは、高度パラメータを受け取るステップを更に含み、第1の仮想高さフィルタを選択するステップは、方位角パラメータに関する情報を使用するステップと高度パラメータに関する情報を使用するステップとを含む。
【0109】
態様11は、態様1~10の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、第1の仮想高さフィルタを選択するステップは、頭部伝達関数から導出される仮想高さフィルタを選択するステップを含む。
【0110】
態様12は、態様1~11の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成するステップは、第1のプロセッサ回路を用いて仮想化オーディオ信号に水平面空間化を適用するステップを更に含む。
【0111】
態様13は、態様12の主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、第1のプロセッサ回路を用いて聴取者の水平面にあるラウドスピーカを用いた再生を目的とする他のオーディオ信号に対して水平面空間化を適用するステップを含む、水平面に対する空間的に強調されたオーディオ信号を生成するステップを含む。態様13は、仮想化オーディオ信号を空間的に強調されたオーディオ信号と混合して、聴取者の前記水平面にあるラウドスピーカを用いてサラウンド音響を提供するステップを更に含むことができる。
【0112】
態様14は、態様1~13の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、聴取者の第1の平面の外部にあるラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成された高さオーディオ情報信号を受け取る手段と、少なくとも1つの高さオーディオ信号に対応する、方位角パラメータを含む定位情報を受け取る手段と、方位角パラメータを用いて仮想化高さフィルタを選択する手段と、選択された仮想化高さフィルタと受け取られた高さオーディオ情報信号とを用いて仮想化高さオーディオ情報信号を生成するため、並びに仮想化高さオーディオ情報信号を非一時的コンピュータ可読媒体に記憶するための手段であって、仮想化オーディオ情報信号は、聴取者の第1の平面に設けられたラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成される、手段と、を備えるシステムを含む又は使用することができるなど、主題(装置、方法、動作を実行する手段、或いは、機械によって実行されたときに機械に動作を実行させることができる命令を含む機械可読媒体など)を含む又は使用する。
【0113】
態様15は、態様14の主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化高さオーディオ情報信号は、聴取者の第1の平面にあるラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用して、オーディオ再生で使用されるラウドスピーカの水平面から第2の平面へ垂直方向に上方又は下方へ広がる音像を提供するように構成される。
【0114】
態様16は、態様14又は15の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化高さオーディオ情報信号は、聴取者の前記第1の平面にあるラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用して、オーディオ再生で使用されるラウドスピーカの水平面から垂直方向に上方又は下方にオフセットした位置から生じる音像を提供するように構成される。
【0115】
態様17は、態様14~16の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化高さオーディオ情報信号を生成する前に高さオーディオ情報信号に対して水平面仮想化を適用する手段を含む。
【0116】
態様18は、態様14~17の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化高さオーディオ情報信号を、聴取者の前記第1の平面にある前記ラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と混合する手段を含む。
【0117】
態様19は、態様14~18の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、高さオーディオ情報信号内の複数チャンネルのオーディオ情報を脱相関させて複数の脱相関信号を提供する手段を含む。態様19において、仮想化高さオーディオ情報信号を生成する手段は、選択された仮想化高さフィルタと脱相関信号の内の少なくとも1つとを用いて仮想化高さオーディオ情報信号を生成する手段を含むことができる。
【0118】
態様20は、態様14~19の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、方位角パラメータを用いて仮想化高さフィルタを選択する手段は、高度パラメータを用いて仮想化高さフィルタを選択する手段を含む。
【0119】
態様21は、態様14~20の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、頭部伝達関数に関する情報を用いて仮想化高さフィルタを生成する手段を含む。
【0120】
態様22は、態様1~21の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、水平面にあるラウドスピーカを用いた3次元音場に仮想化オーディオ情報を提供するように構成されたオーディオ信号処理システムであって、仮想化オーディオ情報は、水平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚されるオーディオ信号処理システムを含む又は使用することができるなど、主題(装置、方法、動作を実行する手段、或いは、機械によって実行されたときに機械に動作を実行させることができる命令を含む機械可読媒体など)を含む又は使用する。態様22では、本システムは、聴取者に対して高所にあるラウドスピーカを用いた再生を目的とするオーディオ信号情報を含む少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るように構成されたオーディオ信号入力と、少なくとも1つの高さオーディオ信号に関する定位情報を受け取るように構成され、第1の方位角パラメータを含む定位信号入力と、1又は2以上の仮想高さフィルタを含むメモリ回路であって、仮想高さフィルタの各々が1又は2以上の方位角パラメータと関係付けられるメモリ回路と、オーディオ信号プロセッサ回路と、を備え、オーディオ信号プロセッサ回路が、第1の方位角パラメータを用いてメモリ回路から第1の仮想高さフィルタを取り出し、第1の仮想高さフィルタを少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用することによって仮想化オーディオ信号を生成する、ように構成され、仮想化オーディオ信号が水平面にある1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、仮想化オーディオ信号は、水平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚される。
【0121】
態様23は、態様22の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、オーディオ信号入力に結合され、少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るように構成された脱相関回路であって、脱相関回路は、高さオーディオ信号に含まれる1又は2以上のオーディオチャンネルに脱相関フィルタを適用するように構成される脱相関回路を含む。
【0122】
態様24は、態様22又は23の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、高さオーディオ信号及び仮想化オーディオ信号の内の少なくとも1つに水平面仮想化を適用するように構成された水平面仮想化プロセッサ回路を含む。
【0123】
態様25は、態様22~24の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を、同じラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と結合させるように構成されたオーディオ信号ミキサ回路を含む。
【0124】
態様26は、態様22~25の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、オーディオ信号プロセッサ回路は、聴取者に対応する同側及び対側の頭部伝達関数情報に基づいて第1の仮想高さフィルタを導出するように構成された頭部伝達関数導出回路を含む。
【0125】
態様27は、態様1~16の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、N個のオーディオ入力チャンネルを有するシステムにおける少なくとも1つの高さオーディオ信号の仮想高さ処理の方法であって、少なくとも1つの高さオーディオ信号はN個のオーディオ入力チャンネルの内の1つに対応する方法を含む又は使用することができるなど、主題(装置、方法、動作を実行する手段、或いは、機械によって実行されたときに機械に動作を実行させることができる命令を含む機械可読媒体など)を含む又は使用する。態様27では、本方法は、システムからダウンミックスされるオーディオ出力のためにM個のチャンネルを選択するステップであって、N及びMは非零の正の整数であり、MはNより小さい、ステップと、オーディオ信号プロセッサ回路を用いて、少なくとも1つの高さオーディオ信号に対する仮想定位に関する情報を受け取るステップであって、仮想定位に関する情報が方位角パラメータを含むステップと、メモリ回路から、少なくとも1つの高さオーディオ信号と共に使用する仮想高さフィルタを選択するステップであって、選択するステップが方位角パラメータに基づくステップと、を含むことができる。態様27は、オーディオ信号プロセッサ回路を用いて、方位角パラメータに基づく選択された仮想高さフィルタを用いて少なくとも1つの高さオーディオ信号を処理するための仮想化プロセッサ回路を用いて仮想化オーディオ信号を提供するステップと、仮想化オーディオ信号を、選択されたM個のチャンネルの内の1又は2以上からの他のオーディオ信号情報と混合して出力信号を提供するステップと、を更に含むことができる。
【0126】
態様28は、態様27の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、方位角パラメータ及び/又は高度パラメータに対応する頭部伝達関数から仮想高さフィルタを導出するステップを含む。
【0127】
態様29は、態様27又は28の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、パワー信号比を用い、並びに方位角パラメータに基づいて仮想高さフィルタを導出するステップを含む。
【0128】
態様30は、態様27~29の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、水平面空間化を出力信号に適用するステップを含む。
【0129】
態様31は、態様27~30の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を前記与えるステップは、少なくとも1つの高さオーディオ信号の複数チャンネルの内の少なくとも1つに脱相関フィルタを適用するステップを含む。
【0130】
態様32は、態様27~31の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、少なくとも1つの高さオーディオ信号は、2つのチャンネルの各々に信号情報を含み、仮想定位に関する情報を受け取るステップは、2つのチャンネル内の信号情報にそれぞれ対応する方位角パラメータを受け取るステップを含み、方位角パラメータは、実質的に対称な仮想定位方位角を含み、仮想高さフィルタを選択するステップは、それぞれに同側及び対側の頭部伝達関数データに基づく加算フィルタ及び差分フィルタを選択するステップを含む。
【0131】
態様33は、態様27~32の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、混合するステップは、信号を混合して2チャンネルヘッドフォンオーディオ信号をレンダリングするステップを含む。
【0132】
態様34は、態様1~33の内の1つ又は何れかの組み合わせの主題を含むことができ、或いは必要に応じてこれらと組み合わせることができ、実質的に第1の平面内に設けられたラウドスピーカを用いて再生されるオーディオ信号において可聴のアーティファクト高さを垂直方向に広げる方法を含む又は使用することができるなど、主題(装置、方法、動作を実行する手段、或いは、機械によって実行されたときに機械に動作を実行させることができる命令を含む機械可読媒体など)を含む又は使用する。態様34では、本方法は、第1のプロセッサ回路を用いて第1のオーディオ入力信号を受け取るステップであって、オーディオ入力信号は、聴取者の第1の平面に設けられた複数のラウドスピーカの内の少なくとも1つを用いた再生を目的とするステップと、入力オーディオ信号を遅延させ、第1のプロセッサ回路を用いて仮想高さフィルタを第1の入力オーディオ信号に適用して、仮想化高さ信号を提供するステップと、第1のプロセッサ回路を用いて仮想化高さ信号と前記オーディオ入力信号を結合させて、加工オーディオ信号を提供するステップであって、その加工オーディオ信号は、第1の平面から垂直方向に広がる可聴アーティファクトを提供するために、聴取者の第1の平面に設けられた複数のラウドスピーカの内の1又は2以上を用いて再生するように構成されるステップと、を含むことができる。
【0133】
態様35は、態様34の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、垂直方向に広げられる可聴のアーティファクトと関係付けられた方位角及び高度角に対応する頭部伝達関数から仮想化高さフィルタを導出するステップを含む。
【0134】
態様36は、態様34又は35の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、第1のオーディオ入力信号は、少なくとも2つのチャンネルに情報を含み、第1の入力オーディオ信号を遅延させて仮想化高さフィルタを第1の入力オーディオ信号に適用するステップは、仮想化高さ信号とオーディオ入力信号を結合させて加工オーディオ信号を提供する前に、2つのチャンネルの内の少なくとも1つに脱相関フィルタを適用するステップを更に含む。
【0135】
態様37は、態様34~36の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、信号内の低周波数情報を減衰させる又は増幅するため前記仮想化高さ信号にスペクトル補正フィルタを適用するステップを更に含む。
【0136】
態様38は、態様1~37の内の1つ又は何れかの組み合わせの主題を含むことができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、2又は3以上のオーディオ情報チャンネルを含むオーディオ信号の仮想化処理の方法を含む又は使用することができるなど、主題(装置、方法、動作を実行する手段、或いは、機械によって実行されたときに機械に動作を実行させることができる命令を含む機械可読媒体など)を含む又は使用する。態様38では、本方法は、第1のプロセッサ回路を用いて、複数のオーディオ情報チャンネルを含むオーディオ信号を受け取るステップと、第1のプロセッサ回路を用いて、複数のオーディオ情報チャンネルの内の少なくとも1つに脱相関を適用し、少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルを提供するステップと、第1のプロセッサ回路を用いて少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルに仮想化処理を適用するステップを含む、仮想化オーディオ信号を生成するステップであって、仮想化処理は、仮想化オーディオ信号がラウドスピーカ又はヘッドフォンを用いて聴取者に提供されるときに仮想化オーディオ信号内の可聴情報の聴取者知覚定位を調整するように構成されるステップと、を含むことができる。
【0137】
態様39は、態様38の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成するステップは、少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルに仮想高さフィルタを適用するステップを更に含み、仮想高さフィルタは頭部伝達関数から導出される。
【0138】
態様40は、態様38又は39の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成するステップは、少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルに仮想高さフィルタを適用するステップを更に含み、仮想高さフィルタは複数の頭部伝達関数のパワー比から導出される。
【0139】
態様41は、態様40の主題を含む又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、方位角方向及び仰角方向にて聴取者からオフセットした音源とそれぞれに関係付けられた第1及び第2の頭部伝達関数からの振幅情報を用いて仮想高さフィルタを導出するステップを含む。
【0140】
態様42は、態様38~41の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、脱相関フィルタを適用するステップは、複数のオーディオ情報チャンネルを含むオーディオ情報チャンネルの内の少なくとも1つにオールパスフィルタを適用するステップを含む。
【0141】
態様43は、態様38~42の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成するステップは、仮想化オーディオ信号がラウドスピーカ又はヘッドフォンを用いて再生されるときに仮想化オーディオ信号内の可聴情報の原点の知覚定位を調整するように、頭部伝達関数に基づくフィルタを適用するステップを含む。
【0142】
態様44は、態様1~43の内の1つ又は何れかの組み合わせの主題を含むことができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、複数のオーディオ情報チャンネルを含むオーディオ信号を受け取る手段と、複数のオーディオ情報チャンネルを脱相関させて少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルを提供する手段と、少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルを用いて仮想化オーディオ信号を生成する手段であって、仮想化オーディオ信号は、聴取者の第1の平面の外部に可聴情報の聴取者知覚定位を作り出すために、第1平面にあるラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成される手段と、を含むシステムを含む又は使用することができるなど、主題(装置、方法、動作を実行する手段、或いは、機械によって実行されたときに機械に動作を実行させることができる命令を含む機械可読媒体など)を含む又は使用する。
【0143】
態様45は、態様44の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、第1の平面は前記ラウドスピーカの水平面であり、仮想化オーディオ信号は、水平面の上方又は下方に広がる可聴情報の聴取者知覚定位を作り出すためにラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成される。
【0144】
態様46は、態様44又は45の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、第1の平面はラウドスピーカの水平面であり、仮想化オーディオ信号は、水平面の上方又は下方に生じる可聴情報の聴取者知覚定位を作り出すためにラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成される。
【0145】
態様47は、態様44~46の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成前記手段前記少なくとも1つのフィルタ処理されたチャンネルに頭部伝達関数に基づく仮想化フィルタを適用する手段を含む。
【0146】
態様48は、態様44~47の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、仮想化オーディオ信号を生成する前にフィルタ処理されたチャンネルに水平面仮想化を適用する手段を含む。
【0147】
態様49は、態様44~48の内の1又は何らかの組み合わせの主題を含むか又は使用することができ、又は任意選択的に組み合わせることができ、任意選択的に、第1の平面の内部及び第1の平面の外部にある可聴情報の聴取者知覚定位を作り出すために、仮想化オーディオ情報信号を、聴取者の前記第1の平面にあるラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と結合させる手段を含む。
【0148】
これらの非限定的な態様の各々は、それ自体に基づくことができ、又は本明細書で提供される他の態様又は実施例の内の1つ又は2以上との様々な置換又は結合で組み合わせることができる。
【0149】
本明細書において、用語「a」又は「an」は、特許文書で共通するように、「少なくとも1つ」又は「1つ又は2以上」の他の何れかの事例又は使用に関係なく1又は1よりも多いものを含むのに使用される。本明細書において、用語「or(又は)」は、非排他的であることを指すのに使用され、すなわち、別途指示がない限り、「A又はB」が「BではなくA」、「AではなくB」、及び「A及びB」を含むものとする。本明細書において、「including」及び「in which」は、それぞれの用語「comprising」及び「wherein」の一般的意味の等価物として使用される。
【0150】
本明細書で使用する条件語、とりわけ、「できる(can)」「してよい(might)」「できる(may)」「例えば(e.g.)」及び同様のものは、他に明確に言及されていない限り、又は用いられる文脈でそれ以外に理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えるものである。従って、このような条件語は、特徴、要素、及び/又は状態が、1又は2以上の実施形態にとって必ず必須であること、或いは、作成者の入力又は指示があってもなくても、これらの特徴、要素、及び/又は状態が含まれるか又は何れかの特定の実施形態で実行されるべきかどうかを決めるためのロジックを、1又は2以上の実施形態が必ず含むことを一般に示唆するものではない。
【0151】
上記の詳細な説明は、種々の実施形態に適用される場合に新規の特徴を示し、説明し、及び指摘するが、本開示の精神から逸脱することなく、例証されたデバイス又はアルゴリズムの形式及び詳細において、様々な省略、置換、及び変更を加えることができる点を理解されたい。理解できるように、一部の特徴は、他の特徴とは別に使用すること又は実施することができるので、本明細書で記載される本発明の特定の実施形態は、本明細書に示した特徴及び利点の全てを提供しない形態の範囲内で具現化することができる。
【0152】
本主題は、構造的な特徴又は方法又は行為に固有の言語で記述しているが、添付の請求項に定義する主題は必ずしも上述した特定の特徴又は行為に制限されないことを理解されたい。逆に上述した特定の特徴及び行為は、請求項を実施する例示的な形態として開示するものである。
【符号の説明】
【0153】
110 聴取者
301 仮想高さ及び水平面音響信号処理の第1の実施例
305 仮想音源
311 第2の方向
351 仮想高さ及び水平面音響信号処理の第2の実施例
365 水平面仮想化モジュール
375 高さ仮想化モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面に配置されたラウドスピーカを用いて3次元音場内に仮想化オーディオ情報を提供する方法であって、前記仮想化オーディオ情報は、前記第1の平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚され、
前記方法は、
第1のプロセッサ回路を用いて、前記第1の平面からオフセットしたラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成された少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて、前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に対応し方位角パラメータを含む定位情報を受け取るステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて、前記方位角パラメータに関する情報を用いて第1の仮想高さフィルタを選択するステップと、
前記第1のプロセッサ回路を用いて前記第1の仮想高さフィルタを前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む、仮想化オーディオ信号を生成するステップであって、前記仮想化オーディオ信号は、前記第1の平面にある1又は2以上のラウドスピーカを用いたオーディオ再生で使用するように構成され、前記仮想化オーディオ信号は、前記1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記第1の平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚されるようになる、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記仮想化オーディオ信号が前記1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記仮想化オーディオ信号が、前記ラウドスピーカの水平面から第2の平面へ垂直方向に上方又は下方へ広がる可聴情報を含むものとして前記聴取者に知覚されるように、前記信号を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記仮想化オーディオ信号が前記1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記仮想化オーディオ信号が、前記ラウドスピーカの水平面に対して高所又は低所にある音源から生じるものとして前記聴取者に知覚されるように、前記信号を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記第1の仮想高さフィルタを適用する前に、水平面仮想化を前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記第1の仮想高さフィルタを適用した後に、水平面仮想化を前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
オーディオ信号ミキサ回路を用いて、前記仮想化オーディオ信号を、前記第1の平面にある前記1又は2以上のラウドスピーカを用いて同時に再生される1又は2以上の他の信号と混合するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取る前記ステップは、前記聴取者の水平面である前記第1の平面に対して高所にある異なるラウドスピーカを用いた再生を目的とする第1及び第2の高さオーディオチャンネルに関する情報を受け取るステップを含み、
前記定位情報を受け取る前記ステップは、前記第1及び前記第2の高さオーディオ信号チャンネルに対してそれぞれの方位角パラメータを受け取るステップを含み、
前記選択するステップは、前記それぞれの方位角パラメータに関する情報を用いて異なるそれぞれの第1及び第2の仮想高さフィルタを選択するステップを含み、
前記生成するステップは、前記第1のプロセッサ回路を用いて前記第1及び第2の仮想高さフィルタをそれぞれ前記第1及び第2の高さオーディオチャンネルに適用して、それぞれの第1及び第2の仮想化オーディオ信号を提供するステップを含み、前記第1及び第2の仮想化オーディオ信号が前記水平面にあるラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記再生された信号は、前記水平面以外の可聴情報を含むものとして前記聴取者に知覚される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生成するステップは、前記第1及び第2の仮想高さフィルタを適用する前に前記第1及び第2の高さオーディオ信号を脱相関させるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の高さオーディオチャンネルに対する前記それぞれの方位角パラメータは、実質的に対称的な方位角であり、前記選択された異なるそれぞれの第1及び第2の高さフィルタは、同側及び対側の頭部伝達関数データに基づく加算フィルタ及び差分フィルタを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記定位情報を受け取る前記ステップは、高度パラメータを受け取るステップを更に含み、前記第1の仮想高さフィルタを選択する前記ステップは、前記方位角パラメータに関する情報を使用するステップと前記高度パラメータに関する情報を使用するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の仮想高さフィルタを選択する前記ステップは、頭部伝達関数から導出される仮想高さフィルタを選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記仮想化オーディオ信号を生成する前記ステップは、前記第1のプロセッサ回路を用いて前記仮想化オーディオ信号に水平面空間化を適用するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のプロセッサ回路を用いて前記聴取者の水平面にあるラウドスピーカを用いた再生を目的とする他のオーディオ信号に対して水平面空間化を適用するステップを含む、水平面に対する空間的に強調されたオーディオ信号を生成するステップと、
前記仮想化オーディオ信号を前記空間的に強調されたオーディオ信号と混合して、前記聴取者の水平面にある前記ラウドスピーカを用いてサラウンド音響を提供するステップと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
水平面にあるラウドスピーカを用いた3次元音場に仮想化オーディオ情報を提供するように構成されたオーディオ信号処理システムであって、前記仮想化オーディオ情報は、前記水平面以外の可聴情報を含むものとして聴取者に知覚され、
前記システムは、
聴取者に対して高所にあるラウドスピーカを用いた再生を目的とするオーディオ信号情報を含む少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るように構成されたオーディオ信号入力と、
前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に関する定位情報を受け取るように構成され、第1の方位角パラメータを含む定位信号入力と、
1又は2以上の仮想高さフィルタを含むメモリ回路であって、前記仮想高さフィルタの各々が1又は2以上の方位角パラメータと関係付けられるメモリ回路と、
オーディオ信号プロセッサ回路と、
を備え、
前記オーディオ信号プロセッサ回路が、
前記第1の方位角パラメータを用いて前記メモリ回路から第1の仮想高さフィルタを取り出し、
前記第1の仮想高さフィルタを前記少なくとも1つの高さオーディオ信号に適用することによって仮想化オーディオ信号を生成する、
ように構成され、前記仮想化オーディオ信号が前記水平面にある1又は2以上のラウドスピーカを用いて再生されるときに、前記仮想化オーディオ信号は、前記水平面以外の可聴情報を含むものとして前記聴取者に知覚される、ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記オーディオ信号入力に結合され、前記少なくとも1つの高さオーディオ信号を受け取るように構成された脱相関回路を更に備え、前記脱相関回路は、前記高さオーディオ信号に含まれる1又は2以上のオーディオチャンネルに脱相関フィルタを適用するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【外国語明細書】