(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167940
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】感圧スタイラス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20221027BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G06F3/03 400A
G06F3/044
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022129887
(22)【出願日】2022-08-17
(62)【分割の表示】P 2019541136の分割
【原出願日】2018-01-23
(31)【優先権主張番号】15/418,823
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ミシャロフ,ヴァジム
(72)【発明者】
【氏名】ペレッツ,アーヒア
(57)【要約】
【課題】感圧スタイラスを提供する。
【解決手段】感圧スタイラスは、ハウジングと、加えられた接触力に基づいてハウジングに対して動くチップと、チップに加えられた力を検出する圧力センサとを含む。圧力センサは、チップに一体化されるか又は固定される第1要素と、ハウジングに対して固定され、第1要素に対向するように配置される第2要素とを含む。第1要素は、導電性の剛性材料から形成される。第2要素は、導電性であり、弾性特性を有する。加えて、第1要素又は第2要素の一方が、非導電層でコーティングされる。第1要素は、チップに加えられた力に基づいて第2要素の方へ動き、力に基づいて第2要素を変形する。センサは、第1要素と第2要素との間のキャパシタンスを検出する回路を更に含む。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとチップを有する、スタイラスであって、前記スタイラスはさらに:
前記チップに加えられる力を検出するように構成される圧力センサであって、前記圧力センサは:
第1要素と、
前記ハウジング内に配置される第2要素であって、前記第2要素は、少なくとも部分的に導電性であり、かつ変形可能なエラストマを有し、前記第2要素は、前記第1要素に向く前記変形可能なエラストマ上に非導電プラズマで少なくとも部分的にコーティングされる、第2要素と;を含む、
圧力センサと;
検出されるキャパシタンスに基づいてホバリング状態とインク状態を区別するために前記第1要素と前記第2要素との間の前記キャパシタンスを検出するように構成される回路と;
を有する、スタイラス。
【請求項2】
前記第1要素はドーム形状である、
請求項1に記載のスタイラス。
【請求項3】
前記非導電プラズマは10nmのオーダーから10μmのオーダーの間の範囲の厚さを有する、
請求項1又は2に記載のスタイラス。
【請求項4】
前記第2要素は平坦な形状を有する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスタイラス。
【請求項5】
前記第1要素は、部分的に金属から形成される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスタイラス。
【請求項6】
前記非導電層は、前記第1要素上に塗布されたシリコン層である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスタイラス。
【請求項7】
前記ハウジング及び前記チップに機械的に結合される弾性要素をさらに有し、前記弾性要素は、前記チップに予荷重を与えるように構成される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスタイラス。
【請求項8】
前記回路は、いつ前記スタイラスがホバー状態にあるかを決定するために、静電容量を、前記第1要素と前記第2要素との間の既定の静電容量レベル(CH2T)と比較するように構成される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のスタイラス。
【請求項9】
ハウジングと;
チップホルダと;
前記チップホルダに圧入される書込みチップであって、前記書込みチップに加えられる接触力に基づいて前記ハウジングに対して動くように構成される、書込みチップと;
前記書込みチップの動きに基づいて前記書込みチップに加えられる力を検出するように構成される圧力センサであって、前記圧力センサは:
第1要素と;及び
前記ハウジング内に配置される第2要素であって、前記第2要素は、少なくとも部分的に導電性であり、かつ変形可能なエラストマを有し、前記第2要素は、前記第1要素に向く前記変形可能なエラストマ上に非導電プラズマで少なくとも部分的にコーティングされる、第2要素;
を含む、圧力センサと;
検出されるキャパシタンスに基づいてホバリング状態とインク状態を区別するために前記第1要素と前記第2要素との間の前記キャパシタンスを検出するように構成された回路と;
を有する、
スタイラス。
【請求項10】
前記第1要素は、ドーム形状である、
請求項9に記載のスタイラス。
【請求項11】
前記書込みチップは、前記ハウジングの外に延びるよう構成される第1端部を含む細長い要素である、
請求項9又は10に記載のスタイラス。
【請求項12】
前記書込みチップは、導電性プラスチックで成形される、
請求項11に記載のスタイラス。
【請求項13】
前記圧力センサは、弾性要素を含まない、
請求項9乃至12のいずれか1項に記載のスタイラス。
【請求項14】
前記チップは、1から80μmの移動範囲を有する、
請求項9乃至13のいずれか1項に記載のスタイラス。
【請求項15】
前記非導電層は、規定されたテクスチャでパターニングされる、
請求項9乃至14のいずれか一項に記載のスタイラス。
【請求項16】
前記ハウジング及び前記書込みチップに機械的に結合されるバネをさらに有する、
請求項9乃至15のいずれか一項に記載のスタイラス。
【請求項17】
タッチスクリーンを含むコンピューティングデバイス;及び
スタイラスであって:
ハウジングと;
書込みチップであって、前記書込みチップに加えられる接触力に基づいて前記ハウジングに対して動くように構成される、書込みチップと;
前記書込みチップの動きに基づいて前記書込みチップに加えられる力を検出するように構成される圧力センサであって、前記圧力センサは:
第1要素と、
前記ハウジング内に配置される第2要素であって、前記第1要素に面して非導電プラズマで少なくとも部分的にコーティングされる、第2要素と、を含む、
圧力センサと;
検出されるキャパシタンスに基づいてホバリング状態とインク状態を区別するために前記第1要素と前記第2要素との間の前記キャパシタンスを検出するように構成された回路と;
を有する、
スタイラス;を有する、
システム。
【請求項18】
前記第2要素は、前記第1要素に面する前記第1要素の中間部分に沿って前記第1要素と常に接触している。
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1要素又は前記第2要素は、非導電層で少なくとも部分的にコーティングされる、
請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記チップは10μmの移動範囲を有する、
請求項17乃至19のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スタイラスは、コンピューティングデバイスとともに使用するために当技術分野で公知である。スタイラスの位置検出は、コンピューティングデバイスに関連付けられるデジタイザセンサに入力を提供し、ユーザコマンドとして解釈され得る。位置検出は、スタイラスのチップがデジタイザセンサの検出面上に接触しているか、かつ/又はホバリングしている間に行われ得る。デジタイザセンサは、電子ディスプレイ画面内に一体化されることが多く、コンピューティングデバイスは、スタイラスの位置を画面上に描かれる情報と相関させる。
【0002】
一部のスタイラスは、ユーザがスタイラスを使用している間にスタイラスのチップに加えられる圧力のレベルを感知し、任意に報告するという点で、感圧性である。コンピューティングデバイス上で実行されるアプリケーションは、その後、この情報を使用することができる。例えばグラフィックアプリケーションは、検出された圧力レベルに基づいて、引く線の線太さ又は影を調整することができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、デバイスの相互作用チップ(interacting tip)に加えられる圧力を感知するセンサを含むハンドヘルドデバイスに関する。ハンドヘルドデバイスは、例えばスタイラスであってよい。本開示の実施形態によれば、センサは、低コストで実装されることができ、比較的単純な構造を有し、そして改善された感度及び精度を提供することができる、改善された容量ベースの圧力センサである。
【0004】
別段の定めがない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び/又は科学的用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で説明されるものと同様又は等価な方法及び材料を、本開示の実施形態の実施又は試験において使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料は、以下で説明される。矛盾がある場合は、定義を含む本特許明細書が支配することになる。加えて、材料、方法、及び実施例は、例示にすぎず、必ずしも限定するように意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示のいくつかの実装は、添付の図面に関連して、単なる例示として本明細書で説明される。次に図面を詳細に参照するが、図示される詳細は、例示として、本開示の実施の例示的な議論のためのものであることが強調される。この点に関し、図面を伴う本説明は、本開示の実施がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0006】
図面は次のとおりである。
【0007】
【
図1】例示の感圧スタイラスの簡略化されたブロック図である。
【0008】
【
図2A】スタイラスに一体化され得る例示の圧力センサの要素の簡略化された概略図であり、センサはニュートラルの状態で示されている。
【
図2B】スタイラスに一体化され得る例示の圧力センサの要素の簡略化された概略図であり、センサは押圧状態で示されている。
【0009】
【
図3】スタイラスに一体化された例示の圧力センサを用いて検出され得るキャパシタンスの簡略化されたグラフを示す図である。
【0010】
【
図4】スタイラスと一体化された例示の圧力センサの代替構成を示す簡略化された概略図である。
【0011】
【
図5】スタイラスと一体化された例示の圧力センサの更に別の構成を示す簡略化された概略図である。
【0012】
【
図6】スタイラスと一体化された例示の圧力センサの代替の誘電体層を示す簡略化された概略図である。
【0013】
【
図7】感圧スタイラスを用いて操作される例示のコンピューティングデバイスの簡略化されたブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
デバイスのハウジングに対して移動可能な相互作用チップを有するハンドヘルドデバイスは、ユーザがデバイスを操作している間にチップに加えられる圧力を感知するための容量ベースの圧力センサを含む。いくつかの例示の実装によると、センサは、相互作用チップに固定される剛性要素と、ハウジングに固定されるエラストマと、それらの間の容量結合を検出するための回路とを含む。剛性要素及びエラストマは、相互作用チップに圧力が加えられると、剛性要素がエラストマの方へ動いてエラストマを押しつけるように、ハウジング内に配置される。剛性要素及びエラストマの双方が導電性である。いくつかの例示の実装では、剛性要素は、該剛性要素とエラストマとの間に誘電体分離を提供する電気的絶縁材料でコーティングされる。あるいはまた、エラストマは、誘電体分離を提供する電気的絶縁材料でコーティングされてもよい。チップに加えられる圧力は、検出される容量結合のレベルに基づいて感知され得る。
【0015】
任意で、剛性要素は、チップ又はチップホルダの一端に形成され、相互作用チップ又はチップを保持するチップホルダ、例えば単一部品として形成されるチップホルダと一体である。剛性要素をデバイス内の既存の部品と一体化することにより、材料表(bill of material)を低減することができ、接続部品に関連する公差をなくすことができ、そして部品間の解放に起因するいかなる誤作動も回避することができる。剛性要素を既存の部品と一体化する際の別の利点は、圧力センサを組み込むのに必要なスペースを減らすことができることである。
【0016】
典型的には、剛性要素及びエラストマのうちの一方は、要素の間の有効接触面積が圧力に応じて変化し得るように、ドーム形状、円錐形、あるいは他の平らではない形状である。これは、剛性要素とエラストマとの間の近接性及び接触面積の双方が、検出される容量結合に影響を及ぼす可能性があるので、圧力が検出され得る分解能を改善することができる。
【0017】
いくつかの実装では、剛性要素の形状は、所望の力曲線、例えば検出された容量結合とチップに加えられた圧力との間の所望の関係を提供する。剛性要素を用いて所望の形状を形成し、平らなエラストマを使用する利点は、剛性要素の材料、例えば金属又は導電性プラスチックの材料が、エラストマよりも低い公差で成形され得ることである。設計の単純さ及び部品の低い公差により、所望の力曲線は、経時的にかつ温度範囲にわたって一貫性があり得る。剛性要素がチップ又はチップホルダに一体化される実装では、剛性要素を規定された形状へ成形することは、コストを増加させず、必要な形状でエラストマを製造する必要性を排除する可能性が高い。剛性要素によって所望の形状が提供されると、市販の製品から平らなエラストマを選択することができる。
【0018】
いくつかの実装では、センサの感度は、剛性要素上の10nm規模(order of magnitude)~10μm規模、例えば20μm未満の範囲の薄い非導電性コーティング層でセンサを動作させることによって改善される。非導電性コーティングの誘電率定数は、所望の特性を有する誘電体又は非導電層を提供するように選択され得る。
【0019】
誘電体層が剛性要素に塗布されるコーティングである実装においては、厚さは、標準的な製造方法を使用して、例えば陽極酸化製造プロセスを使用して、低い公差を有する所望の厚さに、制御可能に制限することができる。層の厚さを制御することによって、センサの精度を改善することができ、センサ間の製造性のばらつきを低減することができる。これは、各センサを較正する必要性をなくすことができる。この実装は、より厚く、かつ、その厚さ並びにより高いコストに関してより高い公差に関連付けられるプリント回路基板の層を誘電体層として使用する既知の方法よりも有利である。いくつかの例では、規定されたテクスチャをコーティング又はコーティングの一部に適用して、接触中のコーティングとエラストマとの間の接着を減少させる。また、テクスチャは、標準的な製造方法によるコーティングの間に比較的低コストで適用され得る。テクスチャを加えるための任意の製造方法は、例えば吹付け加工(abrasive blasting)又は腐食(erosion)を含んでもよい。
【0020】
次に、
図1を参照すると、例示の感圧スタイラスの簡略化されたブロック図が図示されている。いくつかの実装では、スタイラス100は、電源105、1つ以上のプリント回路基板(PCB)アセンブリ120及び125、1つ以上のユーザ制御ボタン130、書込みチップ150、書込みチップ150に関連する圧力センサ200及び任意のコンポーネント115、例えば追加のセンサを収容する、ハウジング110を含む。電源105は、1つ以上の再充電可能バッテリ及び/又はスーパーキャパシタを含んでもよい。PCBアセンブリ120は、スタイラス100の動作を制御するASIC121を含んでもよい。スタイラス100の動作中、ASIC121は信号を生成することができ、この信号は、書込みチップ150を介して、あるいは書込みチップ150に関連付けられるチップホルダ155を介して送信されてよい。
【0021】
書込みチップ150は、典型的に、端部151に加えられる接触圧力に応答して、ハウジング110内へ及びハウジング110の外へスライドするように構成される。コイルバネのような弾性要素160が、ハウジング110及び書込みチップ150に結合されて、書込みチップ150の動きに対して弾性力を提供することができる。いくつかの実装では、書込みチップ150はチップホルダ155に固定、例えば圧入され、チップホルダ155は、弾性要素160に機械的に結合される。書込みチップ150の移動範囲は、10μm規模、例えば0~80μmであってよい。
【0022】
圧力センサ200は、キャパシタの第1電極として剛性要素220を含み、キャパシタの第2電極としてエラストマ210を含む容量ベースのセンサであってよい。圧力センサ200によって検出される圧力は、剛性要素220とエラストマ210との間の容量結合に関連する。剛性要素220は、書込みチップ150に固定されてよく、書込みチップ150の端部151に接触圧力が加えられると、エラストマ210を押しつけることができる。剛性要素220及びエラストマ210の双方が導電性材料から形成されてよい。いくつかの例示的な実装では、剛性要素220は、物理的接触の間に電気的絶縁を提供する絶縁材料の層225、例えば剛性要素220とエラストマ210との間の誘電体層でコーティングされる。
【0023】
いくつかの例示の実装では、エラストマ210は、PCB125に取り付けられる平らな要素である。エラストマ210を有するPCB125は、エラストマ210が、例えばスタイラス100の長手軸101に略垂直な角度で剛性要素220に対向するように、ハウジング110に固定されてよい。いくつかの実装では、剛性要素220が、増大した圧力でエラストマ210と係合するにつれて、剛性要素220とエラストマ210との間の表面接触が変化し得るように、剛性要素220は、ドーム形状、円錐形、あるいは他の平らでない形状とすることができる。剛性要素220は、チップホルダ155の延長部であってもよく、同じ材料、例えば金属又は導電性プラスチックから形成されてよい。
【0024】
エラストマ210は、PCB120及び電源105に電気的に接続される。いくつかの実装では、ASIC121は、圧力センサ200の動作のために、剛性要素220及びエラストマ210の少なくとも一方を充電するように制御する。圧力センサ200は、剛性要素220とエラストマ210との間の容量結合を検出する容量測定ユニットを更に含む。容量測定ユニットは、ASIC121に埋め込まれてもよい。任意で、容量測定ユニットは、市販のユニット、例えば電荷増幅器である。
【0025】
圧力センサ200からの出力は、例えばASIC121によってデジタル的に符号化され、スタイラス100によって送信される信号を変調するために使用される。信号は、圧力センサ200から取得された情報、並びにボタン130の状態、スタイラスID、バッテリの健全性状態、スタイラス内に埋め込まれるかスタイラスと通信する他のセンサからの情報及び/又は他の情報を含むように変調され得る。いくつかの例示的な実装では、送信される情報は圧力レベルである。任意で、送信される情報は、圧力センサ200によって検出されるホバリング又はタッチ状態の一方である。
【0026】
ここで、
図2A及び
図2Bを参照すると、
図2A及び
図2Bは、スタイラスに一体化され得る例示の圧力センサの要素の簡略化された概略図を示しており、センサは、それぞれ、ニュートラルの状態及び押圧状態で示されている。圧力センサ200は、剛性要素220とエラストマ210との間の容量結合のレベルをモニタする。いくつかの実装では、ホバリング中、例えば接触力が書込みチップ150の端部151に加えられていない間は、規定されたエアギャップ157が、剛性要素220をエラストマ210から分離する(
図2A)。エアギャップ157は、弾性要素160によって加えられる予荷重(preloading force)によって維持され得る。
【0027】
端部151に加えられた接触力250が弾性要素160の予荷重に打ち勝つと、書込みチップ150はチップホルダ155及び剛性要素220とともにエラストマ210の方へ動く。剛性要素220がエラストマ210に近づくにつれて、エアギャップ157は減少し、容量結合が増加する。力250が除去されると、弾性要素160によって加えられる弾性力がエアギャップ157を回復し得る。
【0028】
力250が増加するにつれて、剛性要素220はエラストマ210に押しつけられてエラストマ210を変形する(
図2B)。層225は、接触中に剛性要素220とエラストマ210との間の電気的絶縁を維持する。剛性要素220のドーム形状により、剛性要素がエラストマ210へ押し込まれてエラストマ210を変形するにつれて、剛性要素220とエラストマ210との間の表面接触面積は増加する。接触面積の増加は、容量結合を増加させる。力250が解放され、剛性要素220がエラストマ210から移動されると、エラストマ210は、典型的に、そのニュートラルな形状を回復することができる。
【0029】
いくつかの例示の実装では、剛性要素220とエラストマ210との間の誘電体層は層225である。いくつかの例示的な実装において、層225は、陽極酸化プロセスを使用することによって剛性要素220上に適用される薄い酸化層である。コーティングのための陽極酸化プロセスは、低コストであり、数ナノメートルから数ミクロン、例えば10nm~10μmの範囲の薄層を比較的低い公差で提供するために適用することができるので、有利であり得る。いくつかの実装では、層225は、接触中のエラストマ210との接着を低減するために適用され得る、規定のテクスチャ又は粗さ(roughness)を有する。任意で、層225は、その厚さが色に基づいて容易に検出され得るように、色コード化されてもよい。
【0030】
次に、
図3を参照すると、
図3は、スタイラスに一体化された例示的な圧力センサで検出され得るキャパシタンスの簡略化されたグラフを示している。いくつかの実装では、圧力センサ200からの出力は、スタイラス100のホバリング状態とインク状態とを区別するために印加される。任意で、ホバリングとインクとの間のカットオフは、剛性要素220とエラストマ210との間の所定のレベルのキャパシタンスC
H2Tで生じる。1つの例示の実装では、C
H2Tは、わずかな力で又は力を伴わずに剛性要素がエラストマ210と係合するときに検出されるキャパシタンスに対応する。
【0031】
スタイラス100のインク状態(又はタッチ状態)の間、剛性要素220は、エラストマ210と係合することができ、容量結合は、力の増加に伴うエラストマ210の漸進的変形による、剛性要素220とエラストマ210との間の表面接触面積の変化によって支配され得る。この曲線の勾配は、典型的に、エラストマ210の硬さと剛性要素220の形状によって支配され得る。
【0032】
次に、
図4を参照すると、
図4は、スタイラスと一体化された例示的な圧力センサの代替構成を示す簡略化された概略図を示している。いくつかの実装では、剛性要素220は、書込みチップ153の一部として一体化される。剛性要素220は、端部151に対して遠位の書込みチップ153の端部で形成される。書込みチップ153(剛性要素220を含む)は、金属から機械加工されてもよく、あるいは導電性プラスチックで成形されてもよい。書込みチップ153は、弾性要素160を支持するためのフランジ156を更に含んでもよい。
【0033】
次に、
図5を参照すると、
図5は、スタイラスと一体化された例示的な圧力センサのための更に別の構成を示す簡略化された概略図を示している。圧力センサ200は、書込みチップ150がニュートラルな状態の間、例えば書込みチップ150の端部151に力が加えられていないとき、剛性要素220がエラストマ210と係合するように組み立てられる。この例示の構成では、(
図2Bに示されるような)エアギャップ157は除去される。任意で、エアギャップ157がない構成では、弾性要素160の代わりに(例えば弾性要素160を除去することによって)、弾性要素210の弾性特性を使用することができる。
【0034】
次に、
図6を参照すると、
図6は、スタイラスと一体化された例示的な圧力センサのための代替の誘電体層の簡略化された概略図を示している。剛性要素220とエラストマ210との間の誘電体層215が、剛性要素220の代わりにエラストマ210上に一体化される。例えばエラストマ210は、シリコン又はプラズマのような他の非導電性材料の層でコーティングされてよい。層215は、10nm規模~10μm規模の間、例えば20μm未満の間の範囲の厚さの薄い層であってよい。任意で、層215は、異なる厚さを区別するために色コード化されてもよい。任意で、接触中の剛性要素220との接着を低減するために、層215にテクスチャを加えてもよい。
【0035】
次に、
図7を参照すると、
図7は、感圧スタイラスを用いて操作される例示のコンピューティングデバイスの簡略化されたブロック図を示している。いくつかの実装によれば、コンピューティングデバイス10は、デジタイザセンサ50に一体化されるディスプレイ画面45を含む。デジタイザセンサ50は、信号を送信する感圧スタイラス100による入力と、1つ以上の指先46又は他の導電性物体による入力との双方を検出するように動作する導電性ストリップ51から形成される、グリッドベースの容量センサとすることができる。デジタイザセンサ50は、デジタイザ回路25によって動作され、ホスト22と通信することができる。
【0036】
スタイラス100のチップに加えられる圧力を、スタイラス100に含まれる圧力センサ200によって感知することができる。いくつかの実施例では、センサ200の出力は、スタイラス100によって送信され、1つ以上の導電線51によってピックアップされる。任意で、センサ200からの出力は、スタイラス100によって送信される位置信号に符号化される。任意で、センサ200によって検出されるインク又はホバリング動作状態を示す情報は、スタイラス100によって送信される位置信号に符号化される。任意で、センサ200からの出力は、デジタイザ回路25によって送信されるクエリ信号に応答して送信される。
【0037】
デジタイザ回路25からの出力はホスト22に報告される。デジタイザ回路25によって提供される出力は、スタイラス100の座標、スタイラス100のチップの圧力状態やレベル及び/又はデジタイザセンサ50と相互作用する1つ以上の指先46の座標を含む。任意で、デジタイザ回路25はスタイラス100のホバリング又はインク状態を報告する。任意で、デジタイザ回路25は、スタイラスチップに加えられる圧力を報告する。任意で、デジタイザ回路25の機能の一部及び/又は全部が、ホスト22と一体化されるか、かつ/又はホスト22に含まれる。
【0038】
いくつかの実装によれば、装置は、ハウジングと;チップであって、該チップに加えられる接触力に基づいてハウジングに対して動くように構成されるチップと;チップの動きに基づいて、チップに加えられる力を検出するように構成される圧力センサであって、該センサは、チップに一体化されるか固定される第1要素であって、導電性の剛性材料から形成される第1要素と、ハウジングに対して静止し、第1要素に対向するように配置される第2要素であって、導電性であり、かつ弾性特性を有する第2要素とを含み、第1要素又は第2要素の一方が、非導電層でコーティングされ、第1要素が、チップに加えられた力に基づいて第2要素の方へ動き、力に基づいて第2要素を変形するように構成される、圧力センサと;第1要素と第2要素との間のキャパシタンスを検出するように構成された回路と;を含む。
【0039】
任意で、第1要素はドーム形状又は円錐形である。
【0040】
任意で、第2要素はエラストマである。
【0041】
任意で、第2要素は平坦な形状を有する。
【0042】
任意で、非導電層は、10nm~20μmの間の厚さである。
【0043】
任意で、非導電層は、第1要素と第2要素との間の接着を低減するよう構成されるテクスチャを含む。
【0044】
任意で、第1要素は、金属から形成され、非導電層は、金属上に形成される陽極酸化層である。
【0045】
任意で、非導電層は、第2要素上に塗布されたシリコン層である。
【0046】
任意で、装置は、ハウジング及びチップに機械的に結合される弾性要素を備え、該弾性要素は、チップに予荷重を与えるように構成される。
【0047】
いくつかの実装によれば、スタイラスは、ハウジングと;書込みチップであって、該書込みチップに加えられる接触力に基づいてハウジングに対して動くように構成される書込みチップと;書込みチップの動きに基づいて、書込みチップに加えられる力を検出するように構成される圧力センサであって、該センサは、書込みチップと一緒に動くように構成される第1要素であって、導電性の剛性材料から形成される第1要素と、ハウジングに対して静止し、第1要素に対向するように配置される第2要素であって、導電性エラストマである第2要素とを含み、第1要素の1つが、非導電層でコーティングされ、第1要素が、チップに加えられた力に基づいて第2要素の方へ動き、力に基づいて第2要素を変形するように構成される、圧力センサと;第1要素と第2要素との間のキャパシタンスを検出するように構成された回路と;を含む。
【0048】
任意で、第1要素はドーム形状又は円錐形である。
【0049】
任意で、書込みチップは、ハウジングの外に延びるよう構成される第1端部と、ハウジング内に維持される第2端部とを含む細長い要素であり、第2端部は第1要素を含む。
【0050】
任意で、書込みチップは、金属から機械加工される。
【0051】
任意で、書込みチップは、導電性プラスチックで成形される。
【0052】
任意で、スタイラスは、チップホルダを備え、書込みチップは、ハウジングの外に延びるよう構成される第1端部と、ハウジング内に維持される第2端部とを含む細長い要素であり、チップホルダは、書込みチップの第2端部に接続され、第1要素を含む。
【0053】
任意で、第2要素は平坦な形状を有する。
【0054】
任意で、非導電層は、10nm~20μmの間の厚さである。
【0055】
任意で、非導電層は、規定されたテクスチャでパターニングされる。
【0056】
任意で、第1要素は、金属から形成され、非導電層は、金属上にコーティングされた着色層(colored layer)ある。
【0057】
任意で、スタイラスは、ハウジング及び書込みチップに機械的に結合されるバネを含み、該バネは、書込みチップに予荷重を与えるように構成される。
【0058】
明確性のために別個の実施形態の文脈で説明される、本明細書に記載した実施例の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。反対に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈で説明される、本明細書に記載した実施例の様々な特徴は、別個に又は任意の適切な副次的組合せで、あるいは本開示の説明された任意の他の実施形態において適切であるように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とはみなされない。
【0059】
次の付記を記す。
(付記1) ハウジングと;
チップであって、該チップに加えられる接触力に基づいて前記ハウジングに対して動くように構成されるチップと;
前記チップの動きに基づいて前記チップに加えられる力を検出するように構成される圧力センサであって、該センサは、
前記チップに一体化されるか固定される第1要素であって、導電性の剛性材料から形成される第1要素と、
前記ハウジングに対して静止し、前記第1要素に対向するように配置される第2要素であって、導電性であり、かつ弾性特性を有する第2要素と、
を含み、前記第1要素又は前記第2要素の一方が、非導電層でコーティングされ、前記第1要素が、前記チップに加えられた力に基づいて前記第2要素の方へ動き、前記力に基づいて前記第2要素を変形するように構成される、前記圧力センサと;
前記第1要素と前記第2要素との間のキャパシタンスを検出するように構成された回路と;
を含む、装置。
(付記2) 前記第1要素はドーム形状又は円錐形である、
付記1に記載の装置。
(付記3) 前記第2要素はエラストマである、
付記1又は2に記載の装置。
(付記4) 前記第2要素は平坦な形状を有する、
付記1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
(付記5) 前記非導電層は、10nm~20μmの間の厚さである、
付記1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
(付記6) 前記非導電層は、前記第1要素と前記第2要素との間の接着を低減するよう構成されるテクスチャを含む、
付記1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
(付記7) 前記第1要素は、金属から形成され、前記非導電層は、前記金属上に形成される陽極酸化層である、
付記1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
(付記8) 前記非導電層は、前記第2要素上に塗布されたシリコン層である、
付記1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
(付記9) 前記ハウジング及び前記チップに機械的に結合される弾性要素を備え、該弾性要素は、前記チップに予荷重を与えるように構成される、
付記1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
(付記10) 当該装置はスタイラスであり、前記チップは前記スタイラスの書込みチップである、
付記1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
(付記11) 前記書込みチップは、前記ハウジングの外に延びるよう構成される第1端部と、前記ハウジング内に維持される第2端部とを含む細長い要素であり、前記第2端部は前記第1要素を含む、
付記10に記載の装置。
(付記12) 前記書込みチップは、金属から機械加工される、
付記11に記載の装置。
(付記13) 前記書込みチップは、導電性プラスチックで成形される、
付記11に記載の装置。
(付記14) チップホルダを備え、前記書込みチップは、前記ハウジングの外に延びるよう構成される第1端部と、前記ハウジング内に維持される第2端部とを含む細長い要素であり、前記チップホルダは、前記書込みチップの前記第2端部に接続され、前記第1要素を含む、
付記10に記載の装置。
(付記15) 前記第1要素は、金属から形成され、前記非導電層は、前記金属上にコーティングされた着色層である、
付記10乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【外国語明細書】